2024年01月13日

今回のラミーズワイン会はローヌの北と南

8月のラミーズワイン会は、プロのソムリエ向けの内容で、ちょっと素人にはレベルが高すぎた感がある。

たとえば、2022年8月のソムリエ2次試験で出題されたテイスティングの過去問は、ワイン産地と品種の特徴やポイントを答える問題だ。それと同じレベルのテイスティングだった。

結局、いまいち特徴がつかめず、12月にリターンマッチとして、シャプティエのコートロティをラミーズに持ち込んで、再度飲んで、なぜこれにパーカーが100点を付けたのかわかったような気になった。

今回のワインセレクションは、フランス南部のローヌ川添いの北と南、北からはシャプティエのコートロティとエルミタージュ、南からはローマ法王のアヴィニヨン幽閉にちなんだシャトー・ヌフ・デュ・パプ、そしてジゴンダスだ。

地図だとこんなロケーションとなる。

Rhone地方ワイン産地



































出典:Wikipedia

20230818ワイン会2






































コートロティは、炙られる丘という意味で、今回のメニューでもカモのロティが出た。急傾斜地で、ブドウ栽培が大変な土地だが、日当たりが抜群によく、世界最高のシラーが取れる。



ただの急斜面ではない。こんな感じの崖で、人が手摘みでブドウを収穫するのだ。




【送料無料】M.シャプティエ コート ロティ ラ モルドレ 2019 赤ワイン シラー フランス 750ml
【送料無料】M.シャプティエ コート ロティ ラ モルドレ 2019 赤ワイン シラー フランス 750ml

世界的なワイン評論家のロバート・パーカーが連続で100点を出したのが、いずれもローヌ地方のワインであるコートロティとエルミタージュだ。

【送料無料】M.シャプティエ エルミタージュ ルージュ レ グレフュー 2018 赤ワイン シラー フランス 750ml
【送料無料】M.シャプティエ エルミタージュ ルージュ レ グレフュー 2018 赤ワイン シラー フランス 750ml

南ローヌ地方のアヴィニョン地区からは、これもパーカーが100点を連発しているシャトー ボーカステルのシャトー・ヌフ・デュ・パプだ。このシャトーの3代目醸造家の故・ジャック・ペランの名前を冠したワインは、今回テイスティングした中では最も価格が高いものだ。

シャトー ボーカステル シャトーヌフ デュ パプ ルージュ オマージュ ア ジャック ペラン 2016 ファイミーユ ペラン Chateau Beaucastel Chateauneuf du Pape Rouge Hommage a Jacques Perrin Famille Perrin 赤ワイン フランス コート デュ ローヌ
シャトー ボーカステル シャトーヌフ デュ パプ ルージュ オマージュ ア ジャック ペラン 2016 ファイミーユ ペラン Chateau Beaucastel Chateauneuf du Pape Rouge Hommage a Jacques Perrin Famille Perrin 赤ワイン フランス コート デュ ローヌ

シャトー・ヌフ・デュ・パプは13種類までブドウを使うことが許されている特別の地域だ。シャトー ボーカステルは、この製法を守って実際に13種類をブレンドしているという。

食事もおいしかった。カモとローヌのワインはよく合って、最高のマリアージュだ。

20230818ワイン会3





































ジゴンダスの赤ワインは、魚との相性がいい赤ワインということで、内田さんが選んだもので、真鯛のポワレ香草焼きと抜群の相性だった。

ジゴンダス ラ ジル 2020 ファミーユ ペラン家(シャトー・ド・ボーカステル)元詰 AOCジゴンダス 正規品 ローヌ 赤ワインGigondas La Gille 2020 Famille Perrin (Chateau de Beaucastel) AOC Gigondas Rouge 14.5%
ジゴンダス ラ ジル 2020 ファミーユ ペラン家(シャトー・ド・ボーカステル)元詰 AOCジゴンダス 正規品 ローヌ 赤ワインGigondas La Gille 2020 Famille Perrin (Chateau de Beaucastel) AOC Gigondas Rouge 14.5%

ソムリエ(ワインエクスパート)試験は到底受からないが、これまで注目していなかったローヌのワインの良さが楽しめた。料理にもワインにも大変満足したワイン会だった。

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2023年09月11日

ファクトフルネス 世界は思ったほど悪くない




この本を書いてから、2017年に、すい臓がんで亡くなったスウェーデンの医師であり、国際医療福祉推進者で、カロリンスカ医科大学教授のハンス・ロスリングと、息子夫妻の3人による合作。

冒頭の13の質問が公開されているので、あなたもやってみて頂きたい(Google翻訳の機能を使えば日本語で受検できる)。

筆者もタカをくくっていたが、世界の「いわゆる途上国」の現状を正しく理解していないことを痛感させられた。

問題は次の様なものだ。

4.世界の平均寿命はどれくらいですか?

A 50年
B 60年
C 70年

9.2021 年に世界の1 歳児のうち何人が何らかの病気の予防接種を受けましたか?

A 20%
B 50%
C 80%

12.いくらかでも電気を使える人は世界中にどれくらいいるでしょうか?

A 20%
B 50%
C 80%


答えはGapminderのサイトで質問の後に表示されるので、そちらを参照して欲しい。

アフリカのサブサハラの諸国など、低所得国のことを思い浮かべて悲惨な数字を選択肢がちだが、(実際、筆者も間違えた)、世界は思ったほど悪くないことがわかる。

”FACTFULNESS”というのは、著者の造語だが、いかにもありそうな言葉だ。

この本では、10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見ることを提唱している。

ひさしぶりに「目からうろこ」の本だ。

ビルとメリンダ・ゲイツ夫妻や、ダボス会議など、筆者の幅広いコネクションから得られた情報は貴重で、話題も豊富だ。

ひところ、はやった赤ん坊のうつぶせ寝で、むしろ乳幼児の死亡率はあがったことや、極めつけは、大学の授業の終わった後に、著者がサーカス芸人の服に着替えて「剣飲み」の芸を披露することなど、読み物としても面白い(剣飲みは平たい剣を使うのがポイント)。

余談になるが、剣飲みの芸の説明で出てくる食道をまっすぐにするという秘訣は、筆者の長年の課題を解決するのに大変役にたった。というのは、筆者は子供のころから薬を飲むのが苦手で、今は毎日各種のサプリを飲んでいるが、なかなかうまく飲み込めないのだ。

ところが、この話を知って、薬を飲むときに上を向いて食道をまっすぐにすると、少量の水でも5〜10個のカプセル・錠剤を簡単に飲み込めるのだ。人工呼吸の時の「気道確保」も同じことだ。思わぬところで役に立った。

グラフも多く載っていて、現在の数字を知るのに役立つ。簡単に読めて、大変参考になる本だった。


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2023年08月20日

ワイン愛好家の会 5月は個人コレクションの御披露

今回のワイン愛好家の会は、ラミーズの内田さんの発案で、愛好家の会のメンバーのコレクションをご披露頂くという趣向でした。

飲んだワインは次の通りです。

20230523ワイン会1





















オーストリアのPRAGERがつくる白ワイン・グリューナーフェルトリーナー。

【2.2万円以上で送料無料】プラーガー グリューナーフェルトリーナー ヒンター デル ブルグ フェーダーシュピール 2020 Prager Gruner Veltliner Hinter der Burg Federspiel 白ワイン オーストリア
【2.2万円以上で送料無料】プラーガー グリューナーフェルトリーナー ヒンター デル ブルグ フェーダーシュピール 2020 Prager Gruner Veltliner Hinter der Burg Federspiel 白ワイン オーストリア

次にアルザスの白ワイン・ゲバルツラミネール。

2018 ゲヴュルツトラミネール フルシュタンチュム ドメーヌ マルク テンペ 正規品 白ワイン 750ml 自然派 Domaine Marc Tempe Gewurztraminer Furstentum
2018 ゲヴュルツトラミネール フルシュタンチュム ドメーヌ マルク テンペ 正規品 白ワイン 750ml 自然派 Domaine Marc Tempe Gewurztraminer Furstentum

赤白調整のために、内田さんが出してくれたワインがブルゴーニュのシャルドネ。

フランソワ カリヨン ブルゴーニュ ブラン / Francois Carillon Bourgogne Blanc [現行VT][FR][白]
フランソワ カリヨン ブルゴーニュ ブラン / Francois Carillon Bourgogne Blanc [現行VT][FR][白]

そして、次からは、あたかもカリフォルニア、イタリア、そしてボルドーを代表する赤ワインの品評会の様を呈してきました。

カリフォルニア・ナパのシャトー・モンテレナのカベルネ・ソーヴィニオン1991年。シャトー・モンテレナは、このブログで紹介している「パリスの審判」という1976年にパリで開催されたカリフォルニアワインとフレンチワインのブラインドテイスティングで、白ワインのトップに選ばれた銘柄です。

シャトー モンテレーナ カベルネ ソーヴィニヨン 2004 750ml アメリカ カリフォルニアフルボディ 赤ワイン Chateau Montelena Estate Cabernet Sauvignon 2004
シャトー モンテレーナ カベルネ ソーヴィニヨン 2004 750ml アメリカ カリフォルニアフルボディ 赤ワイン Chateau Montelena Estate Cabernet Sauvignon 2004

個人で大事に寝かせてきた1991年ものだったので、格別の味わいでした。

次にイタリアを代表する赤ワイン・ブリッコ・ロッケのバローロ1997年。
チェレット バローロ・ブリッコ・ロッケ[2015]【750ml】Ceretto Barolo Bricco Rocche
チェレット バローロ・ブリッコ・ロッケ[2015]【750ml】Ceretto Barolo Bricco Rocche

そして最後の締めがボルドーの5大シャトーの一つ、シャトー・オーブリオン2001年。

Chateau Haut-Brion 1998/シャトー・オーブリオン 1998
Chateau Haut-Brion 1998/シャトー・オーブリオン 1998

このワインコレクションに合わせたメニューはこれ。

20230523ワイン会2






































最後は、やはりビーフで、プライムアメリカンビーフと赤ワインはどれもよく合って、大変おいしかった。

また、ペンネ・カルボナーラもワインに合って、おいしかった。

ワインを提供してくれた愛好家の会のメンバーには、飲みごろのワイン在庫を一挙に5本も減らすことになってしまい、申し訳なかったですが、おかげで裕福な気分になれました。

こういう趣向はなかなかできないので、発案してくれた内田さんと、今回ワインを提供頂いたメンバーに大感謝です。


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2023年04月08日

ワイン愛好家の会 2023年3月開催 今回は駐在地のワインで参加

今回のワイン愛好家の会のテーマは、自分の駐在地のワインです。

20230315ワイン会







































一番左から、私が持ち込んだアルゼンチンの赤ワイン・マヤカバのマルベック。




次が、ドイツの白ワイン・ヴェレナー・ゾンネンウァー・リースリング・スペトレーゼ。

ヴェレナー・ゾンネンウァー リースリング SPA 白[2020]年(J.J.プリュム)
ヴェレナー・ゾンネンウァー リースリング SPA 白[2020]年(J.J.プリュム)

その次が、カリフォルニアの白ワイン・カレラのマウント・ハーラン・シャルドネ。

カレラ マウント ハーラン シャルドネ 2017 カレラ社 日本正規代理店輸入品 アメリカ カリフォルニア 白ワイン 辛口 750mlCALERA Mount Harlan Chardonnay 2017
カレラ マウント ハーラン シャルドネ 2017 カレラ社 日本正規代理店輸入品 アメリカ カリフォルニア 白ワイン 辛口 750mlCALERA Mount Harlan Chardonnay 2017

次が、日本のマンズワインの最高峰の赤ワイン・ソラリス・マニフィカ。

日本ワイン ソラリス マンズ マニフィカ 2014 750ml 1本 期間限定
日本ワイン ソラリス マンズ マニフィカ 2014 750ml 1本 期間限定

次が、カリフォルニア・ナパのベリンジャーの赤ワイン・プライベート・リザーブ。

ベリンジャー プライベート・リザーヴ ナパ・ヴァレー カベルネ・ソーヴィニヨン 2015 750ml ワイン
ベリンジャー プライベート・リザーヴ ナパ・ヴァレー カベルネ・ソーヴィニヨン 2015 750ml ワイン

一番右が、フランス・ボルドーのマルゴーの赤ワイン・シャトー・パルメ。

シャトー・パルメ[2011]【750ml】Chateau Palmer
シャトー・パルメ[2011]【750ml】Chateau Palmer

ワイングラスに注いだところの写真です。一番向こうの、ほとんどなくなっている赤ワインがアルゼンチンのマルベック。白ワインが2つ並んで、次がカリフォルニアのベリンジャー、3つ並んだ赤ワインの真ん中がマンズワインのソラリス、ちょっと色が薄いのがボルドーのシャトー・パルメです。

20230315ワイン会4






































食事のメニューは次の通りです。

20230315ワイン会5







































私が持ち込んだアルゼンチンのマルベックは、内田さんと事前に飲んで確かめた結果、牛肉との相性では、カベルネ・ソーヴィニョンに負けるということがわかっていました。

私は2年間アルゼンチンの賄いつきの下宿にいて、毎晩ステーキを食べて、アルゼンチンワインを飲んでいました。

今回持ち込んだワインも、アルゼンチンのプレミアムワインで、ビーフとの相性は間違いないと思っていましたが、やはりワールドクラスのカベルネ・ソーヴィニョンと比べると、比較にはなりませんでした。

そのため、メインディッシュのビーフでは勝負せず、内田さんがマリアージュを試した結果、カモの生ハム、天然マイタケの天ぷらと合わせることにしました。

さらに、エスカルゴと野菜のポトフで、ドイツの白ワインのリースリングと、カリフォルニアのシャルドネを含む全ワインの料理とのマリアージュを確かめました、

最後のビーフで、日米仏のカベルネ・ソーヴィニョンの対決となりました。日本のマンズワインのソラリス・マニフィカは、値段も2万円以上して、マンズワインの最高峰とされていますが、写真のワイングラスのワインの減り具合からもわかる通り、パルメとは同じレベルでの比較はできません。

カリフォルニアのベリンジャー・プライベート・リザーブは、カリフォルニアワインの特徴である樽香があり、如何にもカリフォルニアワインというやや甘めの味と香りで、これはこれでいいと思いました。

シャトー・パルメは、メドックの格付けは3級ですが、取引価格は、1級と2級の間の「1.5級」といわれているだけに、さすがに素晴らしい香りと味です。

ラミーズの定例ワイン会は、このブログで紹介している通り、もっと専門的な内容ですが、我々のワイン愛好家の会は、専門性はなくとも楽しめる会なので、これからも続けていきたいと思っています。

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今月のラミーズワイン会はボルドーの飲み比べ

今月のラミーズワイン会はボルドーワインの飲み比べです。

20230406ワイン会2






















参加者はラミーズの常連7名で、テーブルがワイングラスだらけになりました。

20230406ワイン会4






















飲んだのは、すべてボルドーのワインです。

ジロンド川の右岸のサンテミリオン地区からポムロールのシャトー・レヴァンジル(1993年)

左岸のグラーブ地区のペサック・レオニャンからドメーヌ・ド・シュヴァリエ(1998年)

メドック地区のマルゴーから格付け2級のシャトー・ブラーヌ・カントナック(2000年)

同じくメドック地区のポイヤックから、私がお気に入りのラベルのシャトー・クレール・ミロン(2000年)の4本です。

シャトー・レヴァンジル[1993]
シャトー・レヴァンジル[1993]

ドメーヌ・ド・シュヴァリエ ルージュ [1982] <赤> <ワイン/ボルドー>
ドメーヌ・ド・シュヴァリエ ルージュ [1982] <赤> <ワイン/ボルドー>

シャトー・ブラーヌ・カントナック [1995] <赤> <ワイン/ボルドー>
シャトー・ブラーヌ・カントナック [1995] <赤> <ワイン/ボルドー>

[2014] シャトー・クレール・ミロン [Chateau Clerc Milon] ( フランス ボルドー ポイヤック ) ワイン 赤ワイン
[2014] シャトー・クレール・ミロン [Chateau Clerc Milon] ( フランス ボルドー ポイヤック ) ワイン 赤ワイン

ボルドー地区の地図をネットで探してみました。

Bordeaux-Map-wo2





























出典:ちょっとまじめにソムリエ対策こーざ

これがフランスにおける場所もわかって、参考になると思います。ボルドーワインの解説は、エノテカの記事が参考になると思います。

この地区は一時期イギリスに占領されていたこともあり、ボルドーからワインが大量にイギリスに輸出されていたことから、大英帝国の拡張とともに、世界的にボルドーワインの名声がひろがったものです。

毎回ラミーズワイン会に参加しておられるサントリーのアナザー内田さんの解説もありました。アナザー内田さんは、最近ソムリエ資格を取られました。

結論から言うと、どのワインも味も香りもほとんど差はありませんでした。

シャトー・レヴァンジル(このワインだけメルロー主体。他はカベルネ・ソヴィニョンと一部メルロー。シュヴァリエはカベルネ・フランも入っている)が若干秀でているかという程度で、それでも、ほとんど差はありませんでした。

値段はレヴァンジェルが3万円前後、他は2万円前後で、価格もあまり差がありません。

これまで私が主催するワイン会では、違う国のワインの飲み比べばかりで、今回の様に同じ地区のワインの飲み比べはやってきませんでした。

プロのソムリエは、こういった同じ地区のワインの飲み比べを日常的にやって、それで自分の推薦するワインを選んでいるのだと思います。

プロには慣れた方式のワイン会なのでしょうが、しろうとには差をつけることは難しいと痛感しました。勉強になりました。

ちなみに、食事にだされたフォアグラのパテ、熊本産の朝取れタケノコは、全くボルドーワインとは合わないので、別のワインが出され、ボルドーワインには、ビーフが赤ワインソースで出されました。

ワインそのものの味と香りは十分楽しめますが、食事とのマリアージュと言う意味では、選択がほぼ牛肉に限られるのが、ボルドーのフルボディの赤ワインの特徴でした。

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2023年03月04日

今回のラミーズワイン会はブルゴーニュの特級と一級

今回のラミーズワイン会は、フランスのブルゴーニュの赤ワインの特級と一級の比較というレベルの高い内容でした。

20230302ラミーズワイン会






































まずはシャンボール・ミュジニーの1級畑。地区の名前はレ・ボードで、シャンボール・ミュジニーに二つある特級畑の隣の一級畑です。




ブルゴーニュでは、ワインのラベルに、「シャンボール・ミュジニー」という生産地区の名前だけでなく、「レ・ボード」という畑の名称まで表示していることを始めて知りました。

次は同じシャンボール・ミュジニーにある二つの特級畑のうちの一つのボンヌ・マールの特級。

ボンヌ マール グラン クリュ 特級 2017年 蔵出し品 ドメーヌ ルイ ジャド元詰 正規代理店輸入品(重厚ボトル) 特級 WA92?94点&バーガウンド92-94点&JS96点&WE誌96点Bonnes Mares Grand Cru2017 Domaine Louis Jadot AOC Bonnes Mares Grand Cru【eu_ff】
ボンヌ マール グラン クリュ 特級 2017年 蔵出し品 ドメーヌ ルイ ジャド元詰 正規代理店輸入品(重厚ボトル) 特級 WA92?94点&バーガウンド92-94点&JS96点&WE誌96点Bonnes Mares Grand Cru2017 Domaine Louis Jadot AOC Bonnes Mares Grand Cru【eu_ff】

この二つを飲み比べると、特級の方がたしかに味の余韻が長く続き、まろやかだと思いますが、ブラインドで出されたら当てられる自信はありません。

一方、香りは、飲み干した後のグラスの香りをかぐと(内田さん伝授の見分け法)はっきり差がわかり、特級の方がいつまでもいい香りが残っています。

今回はもう一本、ニュイ・サン・ジョルジュでDRCのラ・タシェの畑とほぼ隣接している畑のワインも味わいました。ニュイ・サン・ジョルジュは、村民の意向で特級格付けを申請しなかったので(税金が高くなることを嫌ったらしい)、1級格付けのままですが、特級に匹敵するワインがあります。内田さんのようなプロは、そういった掘り出し物を常にさがしているのです。

2018 ニュイ サン ジョルジュ プルミエ クリュ レ サン ジョルジュ ドメーヌ ティボー リジェ ベレール 正規品 赤ワイン 辛口 750ml Thibault Liger Belair Nuits Saint Georges 1er Cru les Saints Georges
2018 ニュイ サン ジョルジュ プルミエ クリュ レ サン ジョルジュ ドメーヌ ティボー リジェ ベレール 正規品 赤ワイン 辛口 750ml Thibault Liger Belair Nuits Saint Georges 1er Cru les Saints Georges

値段もそれなりに高いですが、ラ・タシェやロマネ・コンティと同じ斜面(石ころだらけだという)にあるブドウ畑なので、味と香りは特級ワインとほぼ同格だと感じました。

ワイン会を終えて、当初から予想していたことですが、筆者にはブルゴーニュワインの良さと価格も含めた価値がわからないというのが率直な感想です。

DRCも含めてブルゴーニュのピノ・ノアールの特級畑はわずか5キロくらいの長さに集中していて、今回テイスティングしたワインの様に、特級畑と隣接している一級畑もあります。

今回は、最初のシャンボール・ミュジニーの一級(2011年もの)が3万円前後、特級(2007年もの)が9万円前後、ニュイ・サン・ジョルジュの一級(2018年もの)が4万円前後というネットでの販売価格ですが、値段ほどの差はないというのが筆者の実感です。

食事は、今回はブルーチーズドレッシングをかけたブロッコリーなどの野菜と、カモのローストが出されました。さすが内田さんのマリアージュと感心しましたが、ブルゴーニュワインの場合は、ボルドーの赤ワインの様に、カベルネソーヴィニヨン=ビーフというような確立した方程式はありません。

食事と一緒に楽しむワインというよりは、あくまでワインの希少性とワイン単体での味わいを楽しむワインだと思います。

以前のモンラッシェとシュヴァリエ・モンラッシェのワイン会でも感じましたが、筆者にはブルゴーニュワインはわからないし、近づきがたいというのが残念ながら結論です。


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2023年02月10日

アマゾンはカスターマーサービスもすごかった(ステマにあらず)



仕事で持ち歩いているノートPCが不具合で、マザーボード交換となり、OS再インストールの憂き目にあい、PCに入れていた名刺管理ソフトが消えてしまった。メーカーに聞いたら販売店に相談してくれとのことなので、ダウンロード購入したアマゾンのカスタマーサービスに聞いてみた。

チャットもあったが、それでは解決せず、電話でカスタマーサービスに相談したところ、無事ソフトがダウンロードでき、再インストールして、保存してあった名刺データを載せて復旧した。

電話の対応も、つながるまで何分もかかる他社の一般的なカスタマーサービスとは異なり、すぐにオペレーターが出てきた。最初のオペレーターからダウンロード販売担当に変わって、ログインのセキュリティ確認のメールが届かないトラブルがあったが、それも担当者がシステム担当に相談してすぐに解決した。

こんなメールも来ている。(編集済み)

Amazon.co.jpへのお問い合わせ



































ダウンロード販売なので、ドキュメントはないし、当時のダウンロードキーもなく、買い直さなければならないかと思っていただけに、簡単に解決できたので正直驚いた。

迅速性といい、ここまでのカスタマーサービス品質を保つのはスゴイ。

メールにある通り、「お客様からのご意見により、地球上で最もお客様を大切にする会社を目指しています」というだけある。


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2023年01月01日

会社の5周年記念ディナーを開催しました

会社の5周年記念ディナーを東京ベイコート倶楽部のフレンチレストラン マルダムールで開催しました。

レストランからお祝いのデコレーションをつくって頂きました。

SP5周年ディナー1





















最初にシャンパンのギイ・シャルルマーニュ ブリュット・クラシック グラン・クリュ)
で乾杯。

SP5周年ディナー4





































白ワインはフランスロワール地方のアンリ・ブルジョワ サンセール ダンタン 白 ワイン


SP5周年ディナー2





































赤ワインはサントリーが所有しているシャトー・ラグランジェ 2017 フランス ボルドー サン・ジュリアン
.


SP5周年ディナー3






































大変楽しい夕べでした。

5周年3
  

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2022年12月30日

日本酒唎酒会

高校の同級生が企画した高校のOB会の日本酒の唎酒(ききざけ)会に参加しました。

湘友会唎酒会20221204

















銘柄は:

穏 おだやか 純米吟醸 720ml 日本酒 仁井田本家 福島 郡山 地酒 ふくしまプライド
穏 おだやか 純米吟醸 720ml 日本酒 仁井田本家 福島 郡山 地酒 ふくしまプライド
こちらは福島の生酛(きもと=酒母を手作業で造る製法)純米吟醸酒。自社で酒米も栽培しています。1711年創業です。

鳳凰美田 純米吟醸「芳」(生酒) 720ml【専用化粧箱選択可】
鳳凰美田 純米吟醸「芳」(生酒) 720ml【専用化粧箱選択可】
こちらは栃木の純米吟醸酒。日本酒度はプラス/マイナスゼロ。中間です。1822年創業です。

【梅乃宿】Unシリーズ Unfeigned SAKE Terroiorアンフェインド サケテロワール生もと純米 720mL梅乃宿酒造 奈良県葛城市
【梅乃宿】Unシリーズ Unfeigned SAKE Terroiorアンフェインド サケテロワール生もと純米 720mL梅乃宿酒造 奈良県葛城市
こちらは奈良県のイギリス人蔵人がいる酒造メーカー。アンフェインドとは、真実のという意味です。日本酒度はマイナス1.2。やや甘口。1893年創業です。

【日本酒】天寶一(てんぽういち)Style パンジー 純米吟醸 直汲み生 1800ml ※クール便発送
【日本酒】天寶一(てんぽういち)Style パンジー 純米吟醸 直汲み生 1800ml ※クール便発送
広島県福山市の酒造メーカーの純米吟醸酒です。実際に出たのは、この写真のものとは似ていますが、天寶一(てんぽういち)Style さるすべりという酒で、バラの花の酵母を使って作った日本酒とのことです。日本酒度はマイナス5で、甘口の日本酒です。1910年創業です。

【日本酒】天穏(てんおん)純米吟醸 馨(かおる)R3BY 720ml
【日本酒】天穏(てんおん)純米吟醸 馨(かおる)R3BY 720ml
これは島根県出雲市の酒で、日本酒度はプラス4。辛口の酒です。1871年創業です。

おちょこサイズの小さなプラスティックカップに色シールを貼り、白が「おだやか」、黄色が「鳳凰美田 芳」というように、銘柄がわかるように飲み分けます。

ワインは料理とのマリアージュを楽しみますが、日本酒はまた違った楽しみ方が味わえます。いろいろなタイプの日本酒を一度に楽しめて、大変参考になりました。

一番新しい酒蔵でも1910年創業なのは驚かされました。

次の唎酒会が楽しみです。

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2022年12月09日

ワイン愛好家の会 2022年10月開催

20221025ワイン会






































久しぶりに各自がお勧めのワインを持ち込む形式でワイン愛好家の会を開催した。

ラインアップは変化球がオレンジワイン。日本でも甲州ブドウでオレンジワインを作っていますが、冒頭の写真の真ん中のボトルがオレンジワインです。




写真左から、コート・ロティのシャトーダンピュイ。




カリフォルニアのダックホーン。




イタリアのスーパータスカンのルーチェ、




オレンジワインを挟んで、右が白のシャサーニュ・モンラッシェ。




その右が三ツ星レストラン・レジス・エ・ジャック・マルコンの赤ワイン(コートデュローヌ、グルナッシュとシラーが大半)。これはたぶんラミーズのオーナーの内田さんがチーズとのマリアージュを説明するために出したワインだと思います。




そして、私のおすすめのシャンパン・ドラモット(世界最高と言われるシャンパンのサロンと同じブドウを使っている)。




ちなみに、世界最高と言われるサロンはこれです。




このブログで以前紹介したワイン会の様には、テーマを決めずに、各自が持ち寄ったワインを飲みましたが、これもまた楽しかったです。

ラミーズは、新型コロナウイルス対策もバッチリで、安心してワインを楽しめました。


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2022年07月30日

シャトー・ラフィット・ロートシルトのバーチカルワイン会

Chラフィット・ロートシルト 1998 PP98点
Chラフィット・ロートシルト 1998 PP98点
Chラフィット・ロートシルト 1997
Chラフィット・ロートシルト 1997

ラミーズでワイン愛好家仲間と一緒に続けているワイン会。今回はラミーズのオーナーの内田さんの提案で、お題は2つ、シャトー・ラフィット・ロートシルトの1998年と1997年のバック・ツー・バックと、魚料理(舌平目のムニエル)に合うワインでした。

シャトー・ラフィット・ロートシルトといえば、フランスボルドーの格付け1級の5大シャトーのトップです。

Lafite Rothschild比較





















今回飲んだワインです。左からシャトー・ラフィット・ロートシルト1997年、1998年、魚料理を食べる時のワインとして比較のためのヴァンソーブルと、白ワインのシャトーレイノンです。

20220727ワイン会






















その日の料理は、上記写真に写っているメニューに書いてあります。

ヴァンソーブル レ コルニュ 2019 年 ファミーユ ペラン家 AOCコート デュ ローヌ ヴィラージュ ヴァンソーブル 正規品 ワインアドヴォケイト誌堂々90点Vinsobres Les Cornuds 2019 Famille Perrin AOC Cotes du Rhone Villages Vinsobres【eu_ff】
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メストレーザ シャトー レイノン 白 750ml[サッポロ フランス ボルドー 白ワイン H944] ギフト プレゼント 酒 サケ 敬老の日
メストレーザ シャトー レイノン 白 750ml[サッポロ フランス ボルドー 白ワイン H944] ギフト プレゼント 酒 サケ 敬老の日

最初のお題のいい年と悪い年のワインの飲み比べは、結論から言うと、シャトー・ラフィット・ロートシルトの様な超一流ワインでも、いい年の1998年と、大熱波の年でワインの生産量を1/4に落として、なんとか品質の維持を図った1997年では、大きな差があることが実感できました。

もっとも、これは味の話ではなく、香りの話です。

ラフィットの1998年ものは、ワイングラスを運んできただけで、部屋中にワインのいい香りが広がり、ワインを飲まなくても、これがいい年のワインだとわかります。

ラ・ターシュの試飲会でも同じように感じました。これこそ、いい年の世界最高峰のワインのなせる業です。

一方、1997年ものは、香りの点で1998年ものとは圧倒的な差があります。部屋に持ってきても、気づくような香りはありません。

しかし、さすがは世界最高峰のワインの作り手だけに、味に関しては、それほどの差はないことがわかります。たぶん、作り手は醸造技術により、味までは、なんとか作り出せますが、香りについてはお手上げなのでしょう。

上記の楽天市場の1998年もの18万円、1997年もの10万円という価格差は、世界のワイン批評家の評価を反映した市場価格ですが、味にはそれほどの差はなく、もっぱら、「これこそ5大シャトーのトップだ」という圧倒的な香りがあるかないかの差だと私は思います。

ラフィットを飲みながら食べる食事は、やはりビーフ以外ありません。メニューとはちょっと違いますが、鹿児島産和牛のローストを出してもらいました。

2番目のお題の魚料理に合うワインは、ラフィットと魚は、全く相性悪く、ダメ、シャトーレイノン(ボルドーの白ワイン)と魚はそこそこ相性が良く、赤ワインのヴァンソーブルと魚は、赤ワインでも魚料理と合うものがあるという新たな発見でした。

前回のワイン会のジゴンダスに続いて、新たな魚料理に合う赤ワインの発見です。

ジゴンダス [2018] ギガル <赤> <ワイン/ローヌ>
ジゴンダス [2018] ギガル <赤> <ワイン/ローヌ>

次のワイン会は、各自が持ち込む形に戻します。お題を決めたワイン会も勉強になりましたが、各自の自慢のワインを味わうのも楽しみです。


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2022年06月04日

シャトー・タルボの熟成度違い飲み比べとシーフードに合う赤ワイン

シャトー・タルボ [2010] Chateau Talbot [2010] フランス/ボルドー/AOCサンジュリアン・メドック格付第4級/赤/750ml
シャトー・タルボ [2010] Chateau Talbot [2010] フランス/ボルドー/AOCサンジュリアン・メドック格付第4級/赤/750ml

ラミーズで開催しているワイン会。今回は番外編ということで、ラミーズのオーナーの内田さんにお任せで実施しました。

今回のテーマとしては、ワインと料理のマリアージュ、それとボルドーのグランヴァン4級のシャトー・タルボの2010年ものと1985年ものの飲み比べです。

メニューは最後の写真に写っています。

いい年と悪い年を比べても意味がないという内田さんのアドバイスで、シャトー・タルボは、いずれもいい年の2010年(飲み頃になってきたところ)と、1985年(熟成のピークで、これからは下り坂)を飲みました。

20220524ワイン会Talbot






































飲んでみて、どちらも味ではほとんど区別できないが、1985年ものの方が、わずかに香りで優っていると感じました。

熟成が進んでいる1985年ものの方が色が薄いので、判別できます。

20220524ワイン会Talbot2






































フルボディのシャトー・タルボに合うのは、やはり牛肉で、今回は米国産のプライムのローストビーフをいただきました。

もう一つのシーフードとのマリアージュでは、ジゴンダスというローヌ地方南部のシャトー・ヌフ・デュ・パプの近くの小さい産地の赤ワインを飲みました。グルナッシュというブドウのタイプで、ラミーズ名物のシーフードスフレとの相性抜群でした。

【6本〜送料無料】ファミーユ ペラン ジゴンダス ラ ジル [赤] 2019 750ml Gigondas La Gille Famille Perrin
【6本〜送料無料】ファミーユ ペラン ジゴンダス ラ ジル [赤] 2019 750ml Gigondas La Gille Famille Perrin

比較のために、白ワインのシャブリの特級を飲みました。シーフードスフレには、ジゴンダスの赤ワインの方が合う様に感じました。赤ワインだって、シーフードに合うものもあります。

【2.2万円以上で送料無料】シャブリ 1級 フルショーム 2019 ジャン ポール エ ブノワ ドロワン Chablis 1er Fourchaume Jean Paul et Benoit Droin 白ワイン フランス ブルゴーニュ
【2.2万円以上で送料無料】シャブリ 1級 フルショーム 2019 ジャン ポール エ ブノワ ドロワン Chablis 1er Fourchaume Jean Paul et Benoit Droin 白ワイン フランス ブルゴーニュ

この日飲んだワインは次の写真の通りです。

20220524ワイン会Talbot3







































ラミーズの内田さんというプロ中のプロのオーナーソムリエが開催してくれたワイン会でしたので、大変勉強になりました。次回が楽しみです。


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2022年05月04日

モンラッシェとシュヴァリエ・モンラッシェを飲み比べました

【正規品】ルイ・ラトゥール モンラッシェ 2010年フランスワイン/白ワイン/ブルゴーニュ/ドメーヌ・ワイン/辛口/フルボディ/750ml/アサヒビール【希少品・取り寄せ品】
【正規品】ルイ・ラトゥール モンラッシェ 2010年フランスワイン/白ワイン/ブルゴーニュ/ドメーヌ・ワイン/辛口/フルボディ/750ml/アサヒビール【希少品・取り寄せ品】

ルイ・ラトゥール シュヴァリエ・モンラッシェ グラン・クリュ レ・ドモアゼル[2015] 【750ml】 Louis Latour Chevalier Montrachet Grand Cru Les Demoiselles
ルイ・ラトゥール シュヴァリエ・モンラッシェ グラン・クリュ レ・ドモアゼル[2015] 【750ml】 Louis Latour Chevalier Montrachet Grand Cru Les Demoiselles

[2003] シャサーニュ・モンラッシェ・モルジョ・ブラン 750ml ルイ・ラトゥール Chassagne Montrachet Morgeot Blanc / Louis Latour [A-2]
[2003] シャサーニュ・モンラッシェ・モルジョ・ブラン 750ml ルイ・ラトゥール Chassagne Montrachet Morgeot Blanc / Louis Latour [A-2]

1月のラ・ターシュに続いて、4月のラミーズのワイン会は、世界最高の白ワインとされるフランス・ブルゴーニュのモンラッシェと、シュヴァリエ・モンラッシェの同じ年(1995年)に仕込まれた特級ワインの飲み比べでした。

ラミーズの内田さんが1999年頃に購入して保存していたワインなので、ラベルはボロボロで、かすかに文字が読める程度です。

モンラッシェとシュヴァリエモンラッシェ





















見た目はこんな感じです。ワインの「足」は一番左の一級ワインの方が顕著です。

20220422ワイン会





















左から比較のためのシャサーニュ・モンラッシェの一級ワイン、モンラッシェ、シュヴァリエ・モンラッシェのそれぞれ特級で、ネゴシアンはルイ・ラトゥールです。

モンラッシェのあたりは、特級や一級ワインが集中しており、ソムリエ試験の筆記試験にもよく出題されるそうですが、正直私にはあまり興味がない地域です。

今回世界最高峰の白ワインを飲むことで、はっきりわかったことがあります。それは、私には特級も一級も区別がつかず、今回の様に比較して飲み比べればランクは付けられますが、そうでもしない限り、区別がつきません。

また、私が好きなのは、軽い、青リンゴの香りがするような白ワインで、たとえばアルゼンチン原産のぶどうのトロンテスで作った白ワインや、フランスでもロワール地方のサンセールなど価格も千円から4千円程度のワインで、1万円以上する、いわゆる辛口・フルボディのブルゴーニュタイプの白ワインではないことに気づきました。

【2.2万円以上で送料無料】ドンダビ トロンテス レゼルバ 2019 or 2020 Don David Torrontes Reserve 白ワイン アルゼンチン やや辛口 スマイル
【2.2万円以上で送料無料】ドンダビ トロンテス レゼルバ 2019 or 2020 Don David Torrontes Reserve 白ワイン アルゼンチン やや辛口 スマイル

【送料無料】サンセール・ブラン レ・ザンプリヴォー [2013] ジトン・ペール・エ・フィス <白> <ワイン/ロワール>
【送料無料】サンセール・ブラン レ・ザンプリヴォー [2013] ジトン・ペール・エ・フィス <白> <ワイン/ロワール>

つまり、私は赤ワインなら価格差に見合ったクオリティの見分けがある程度つきますが、白ワインで、とくにブルゴーニュの白ワインはテイスト的にも好みではなく、価格差がクオリティ差を反映しているのか、全くわかりません。

1995年のモンラッシェは20万円前後、シュヴァリエ・モンラッシェは10万円前後、シャサーニュ・モンラッシェは1万円前後という価格帯だと思いますが、味と香りにそれだけの差があるのか全くわかりません。

また、料理とのマリアージュという意味からも、10〜20万円の白ワインにあわせるのが、チキンか、魚料理では、ワインと料理の不釣り合いが生じるのではないかとも思いました。

ともあれ、いろいろな気づきを与えてくれたワイン会でした。

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2022年04月17日

La Tacheを飲みました



ラミーズの常連が集まってのワイン会に初参加しました。これまで親しい仲間が集まってワイン会を開催していましたが、今回は、いわば「他流試合」です。

世界最高のワインといわれているDRC(ドメーヌ・ロマネ・コンティ)社のロマネ・コンティ(冒頭の写真・リンク)に次ぐ「La Tache」(ラ・ターシェ)(次の写真・リンク)を飲みました。これまでDRCのワインは飲んだことがありませんので、初DRCです。比較のために、ブルゴーニュの1級ワインも飲みました。

DRC ラ ターシュ 2016 750ml赤ワイン フランス ブルゴーニュ フルボディ
DRC ラ ターシュ 2016 750ml赤ワイン フランス ブルゴーニュ フルボディ

La Tache ラ・ターシュ 1986 DRC (Domaine de la Romanee Conti)
DRC ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ



ビンテージは1999年。同じ年のロマネ・コンティだと冒頭のリンクの通り、7〜800万円しますので、最高の年の一つです。日本総代理店のサントリーが輸入した正規品です。
La Tache1999






































色はこんな具合です。上がラ・ターシェ、下が比較用のブルゴーニュの一級ワインです。

La Tache






































ボルドーの5大シャトーも含めてこれまで飲んできたワインとは全く別物だと感じました。全てにおいてスムーズで、全く「角(かど)」がありません。芳醇なアロマ、心地よい口当たりから始まって、心地よいアフターテイストで終わります。

ブルゴーニュワインは「ワインの女王」と呼ばれる理由がわかるような気がしました。

ラ・ターシェを飲めば、ほぼロマネ・コンティを飲んだも同然?なので、もうワインに関して思い残すことは無くなりました。


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2021年10月10日

クララとお日さま カズオ・イシグロのノーベル文学賞受賞後第1作

クララとお日さま
カズオ イシグロ
早川書房
2021-03-02


ノーベル文学賞受賞作家のカズオ・イシグロの受賞後の第1作。

「はじめてお店に並んだとき、ローザとわたしに与えられた場所は店央の雑誌台側でした。そこからだとショーウィンドーの半分以上が見えます。お店の外もよく見えました。‥‥。」という書き出しで始まるので、最初のうちは何の話か皆目わからなかった。

そのうち何の注釈もなく「AF」という言葉が出てきて、これがたぶん「Artificial Friend」(人工の友達)のことではないかと気が付いて、それで物語がわかってきた。

近未来の話で、遺伝子操作が進み、子供の大部分は「向上処置」を受けている。遺伝子ドーピングなのだろう。

中には「向上処置」を受けない子供もいて、そういった子供は大学進学の道が閉ざされている。

クララは最新式のB3型でないので、嗅覚が備わっていないが、それでもクララを気に入った病弱の子供に買われていった。

病弱の子供のシングルマザーはクララを驚くべき目的で購入したのだ。それは‥‥‥。という具合にストーリーは展開する。

いつも通り、小説の詳しいあらすじは紹介しない。近未来の話で、太陽光で動くアンドロイドのクララが主人公という設定だが、なぜか筆者のようなオジサンでも感情移入ができる。不思議な小説である。

カズオ・イシグロさんの作品では、「日の残り」のあらすじを以前紹介した。「日の残り」とはまた違ったテイストの、映画化が待ち望まれる作品である。

日の名残り (ハヤカワepi文庫)
土屋 政雄
早川書房
2012-08-01




日の名残り [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]
ヒュー・グラント
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
2017-11-22



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2021年09月06日

ハイジャック犯をたずねて 元商社マンの珍しい交友



知人が本を出版したので読んでみた。

著者の和田さんは、大学のクラブの後輩で、同じ会社の後輩でもある。入社前に先輩訪問で就職相談に来た彼に「司法試験の短答式まで合格しているのであれば、そちらの方を頑張ったほうが良いのではないか」とアドバイスしたが、結局同じ会社に入社した。

もう40年近く前、和田さんは、初めての海外出張の帰りに、インドからバンコックに行くアリタリア航空のフライトでハイジャックにあった。1982年のことだ。

同じバンコック空港では、前年にインドネシアのガルーダ航空のフライトがハイジャックされ、機内に軍隊が強硬突入して、犯人全員射殺などという事件が続発していた中で、穏便に解決したケースだった。

犯人は複数を装っていたが、実際は単独犯で、体につけたダイナマイトも偽物だった。犯人の要求は、現金30万ドルとイタリアにいる実の息子を連れてこいというものだった。到着地のバンコックで、犯人と駐タイ・スリランカ大使、駐タイ・イタリア大使との交渉が始まった。

犯人はスリランカ人の30代の男で、ヨーロッパで働いていた時にイタリア人の妻と結婚していたが、仲たがいし、当時はスリランカとイタリアで別居しており、息子はイタリア人の妻と一緒に住んでいた。

そんな要求でハイジャックするかあ?というような動機だが、イタリア人の妻が協力的で、在タイ・イタリア大使の要請に応じて、すぐさまバンコック行きのフライトでバンコック入りして、犯人の説得を試み、犯人との交渉が成立して、無事に人質全員が解放された。

著者の和田さんは、まさにそのハイジャックを経験した。

当時の飛行機は、後部の座席が喫煙席だったので、スモーカーの和田さんは、後部の座席に座っていて、最後部に陣取っていた犯人の顔がわかる位置にいた。

交渉が成立し、人質は全員解放され、犯人はスリランカに息子とイタリア人の妻と一緒に帰国した。

当時のスリランカでは、まだハイジャックに対する法律ができておらず、到着時は英雄として歓迎されたが、政府が過去にさかのぼって適用される法律をつくったので、すぐに逮捕され、終身刑を言い渡された(その後5年間の懲役刑に減刑)。

スリランカに戻ってすぐ、イタリア人の妻は息子を連れて、イタリアに帰り、結局ハイジャック犯は目的を達成せずに収監されることになった。

それから30年あまり経ち、和田さんはふと、ハイジャック犯が健在なことを知る。刑期が終わった後は、再婚して人生をやり直しているようだ。そんなことを知るうちに、和田さんはハイジャック犯と連絡を取ろうと試みる。

つてをたどって、すぐに本人の連絡先が入手でき、本人に連絡して何度かスリランカに会いに行って、直接本人から話を聞いている。

この本は和田さん自身のハイジャックにあった経験、犯人の生い立ちから、ハイジャックで収監された後再婚して、娘と息子はヨーロッパの大学を出て働いていること、そして日本にはあまり知られていないスリランカという国の政治・社会について詳しく紹介している。



スリランカは、仏教徒のシンハラ人が約75%、ヒンドゥー教徒のタミル人が約15%、イスラム教徒のムスリムが10%という人口構成だ。

シンハラ語で、スリは「美しい」、ランカは「島」という意味だ。

しかし、スリランカは、その「美しい島」という国名にはそぐわない、民族、宗教間の対立が根深く残っており、自爆テロや爆弾テロ、要人の暗殺、それに対する政府軍の報復の空爆や攻撃など、血で血を洗う抗争が続いていた。さらに、社会にはカースト制の残滓が色濃く残っている。

隣国のインドでも、ネルー首相の子孫のガンジー一族は爆弾テロで暗殺されており、テロはスリランカのみの問題ではないが、それにしてもテロなどの脅威からほぼ無縁と思っている日本人には、強烈な印象を与える。

インドでの出来事も含め「第3章 スリランカのたどった道」で、和田さんはスリランカの複雑な政治・社会情勢をわかりやすく紹介している。

著者自らが人質となったハイジャック犯と再会するという珍しいノンフィクション作品であり、なおかつ、あまり知られていないスリランカやインドの民族問題がわかる。

巻末の「関連年表」も、すごい。スリランカでは、ほとんど毎年、政変やテロ・暴動・報復などが起きている。

現在の日本は、政府の新型コロナウイルス対策の失敗で、医療崩壊に陥っているが、それをのぞけば日本は平和そのもので、ほとんどの人がテロなどの脅威を感じないで過ごせる「安全安心」な国だ。そんなことをあらためて考えさせられる本である。


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Posted by yaori at 21:36Comments(0) ノンフィクション | 歴史

2021年05月03日

原油暴落の謎を解く 元三井物産オイルトレーダーの分析

原油暴落の謎を解く (文春新書)
岩瀬昇
文藝春秋
2016-07-01


石油関係の本を何冊も書いている元三井物産オイルトレーダーの岩瀬さんの本。岩瀬さんは、エネルギー問題の専門家として新潮社の雑誌「Foresight」で、岩瀬昇のエネルギー通信というコラムを連載している。

岩瀬さんは最初の著書の「石油の『埋蔵量』は誰が決めるのか?」を2014年に出版した後、2015年からの原油価格暴落に際して、編集者よりの依頼で、この本を書いたと、あとがきに書いている。

まずは基礎知識として、1990年からのWTI(米国の基準原油のWest Texas Intermediate)の原油先物の長期チャートを見てみよう。出典にリンクを載せているストックブレーンという会社が運営している商品市況サイトでは、自由にチャートを組み立てることができるので、試していただきたい。

原油価格先物市況














出典:原油価格(WTI原油先物) リアルタイムチャート

過去30年以上の長期トレンドを見ると、原油先物価格はリーマンショック前に1バレル150ドル近くまで上昇した後、リーマンショックで下落した後は100ドルを目指して徐々に上昇していたが、2014年後半からまた急激な下落が始まり、2016年2月に30ドル弱の直近の底値を記録した。

そのあとは、若干の上下動を繰り返しながら、現在は60ドル前後で推移している。

最近の動きを知るために、2017年から2021年までのWTI先物価格のチャートを見てみよう。

原油価格2017-2021年


















出典:原油価格(WTI原油先物) リアルタイムチャート

このチャートで特筆すべきことは、2020年4月20日にWTI原油先物価格が、マイナス価格になっていることだ。

4月20日の時間ごとの市況変動チャートは次の通りだ。

2020年4月のCMEWTI5月渡先物市況

























出典:ベストカーWebの「原油のマイナス価格によってガソリン価格は安くなる?」記事

原油先物価格の終値がマイナス価格(マイナス37.63ドル)になったのは前代未聞のできごとで、これは4月20日から21日にかけて出現し、翌日にはプラス価格に戻している。

この日に世界中の原油相場がマイナス価格になったわけではなく、これにはWTIという米国内向け原油の取引の特性によるものだ。WTI先物は現物とひもついているので、5月渡しの先物原油を買ったら、米国オクラホマ州のクッシングで受け取らなければならない。

いわゆる「ホットポテト」で、転売できるうちはいいが、最後にババをつかんだ者は、原油を引き取らなければならない。そのためには、原油タンクを手配する必要があるが、原油タンクがキャパ一杯で手当てできないと、たとえマイナス価格でも買った原油先物を手放さなければならない。

こんなからくりが原油先物がマイナス価格となった理由だ。

この本の出版は2016年6月20日なので、「原油価格がなぜマイナス価格になったのか?」という前代未聞のマイナス価格の謎には答えていないが、2014年に始まった原油価格下落が続く相場下で、岩瀬さんは1〜3年くらいで、原油のリバランスがすすんでくれば価格は上昇に転ずると予測している。

岩瀬さんは「結論を言おう」として、次の様に予測している。

「OPECが減産をきめなければ、また、産油国・地帯における地政学上のリスクが暴発しなければ、原油価格は2017年までは大幅には上がらないだろう。だが、2015年以降の国際石油会社による資本投資削減の影響が、何年後かには増加した需要をまかなうだけの供給量が足りなくなるという形で出てくるため、リバランスが視野に入ってくると、価格は上昇する。」

「そうなった場合、アメリカのシェールオイルの新規増産の生産コストが当面の「シーリング」になる可能性が高いだろう」と予測している。

2020年4月の暴落を除けば、2017年以降のWTI原油先物相場は大体60ドルで推移している。シェールオイルの生産コストを60ドル前後とすると、岩瀬さんの予測通りに原油相場は推移していることになる。

さすがに石油の専門家だけあって、この本では、参考になる情報が満載だ。

たとえば、米国ペンシルベニア州西部のタイタスビルで1859年に石油の商業生産を始めたエドウィン・ドレークは、「大佐」ではなかったが、彼を送り込んだ投資家が、地元の人たちの信用を得られるようにわざと「大佐」という宛名で手紙を送ったのだという。

筆者は米国ピッツバーグに駐在していたので、タイタスビルにも何度か行ったことがある。ピッツバーグから車で北に2時間くらい行ったところだ。カーネギーが創業したサイクロプスという小さな特殊鋼メーカーがあったが、今はたぶん閉鎖されているのだろう。

たしか、タイタスビルの付近には、地図に「ゴーストタウン」と注書きされた場所もあって、不気味に感じたものだ。

OPEC諸国の代表に、原油生産量のコントロールの必要性を力説した、先日亡くなったサウジアラビアのヤマニ元石油相の慧眼や、シェールガス・オイルの掘削法などの話も面白い。

特に参考になったのは、世界中で米国とカナダだけが、鉱業権を国有化せず、地下資源は土地の所有者に所属し、どこで生成されたのかは問わないという「捕獲の原則」を採用しているという点だ。

思わず子供の時に見ていた「じゃじゃ馬億万長者」という番組の冒頭のシーンを思い出した。次のビデオの最初の30秒の部分だ。



米国の石油産業には百数十年の歴史があり、この百数十年の間の地質調査で、くまなく、いたるところまで相当程度のデータが集積されているのだと。基本的なデータなら、比較的容易に、安価に地質データのサービス会社などから入手することができる。

その意味で、米国でのシェール層の石油開発は、地下に石油や天然ガスがあるかどうかを調べる「探鉱」段階は終了していると考えられ、作業は次の「開発」段階から始まることを前提としているのだと。

だから技術開発が進み、シェールガス・オイルの掘削が可能となったら、米国では、すぐに大規模なガス、石油生産が始まったのだ。

逆に言うと、シェールガス・オイルは、ロシア、中国、アルゼンチン、アルジェリアの埋蔵量が多いと米国EIAが発表しているが、これらの国ではまず「探鉱」から始めなければならないので、米国の様にすぐには開発は始まらないだろう。

「住友商事の誤算」という岩瀬さんの分析も参考になる。ちなみに住友商事は、シェールガス・オイル開発から撤退することを、最近発表している。

これからはEV普及が進み、世界の石油依存度は、どんどん低下していくと見込まれる。重要な化石燃料であることは間違いないが、日本の商社による新規石油資源開発は、もう無くなるのかもしれない。昨今のSDGsの動きを見ても、石油の時代は終わりつつある様に感じる。

そんなことを考えさせられる本である。岩瀬さんの書いた他の本も読んでみようと思う。


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Posted by yaori at 00:39Comments(0) 経済 | 資源問題

2021年01月10日

コロナウイルス対策 東大児玉龍彦名誉教授の緊急提言

コロナウイルス対策で、筆者がこれまで注目してきた東大先端研の児玉龍彦名誉教授が、1月8日の政府の緊急事態宣言が、何の根本的対策も含んでいないことを指摘し、出口が見えるコロナウイルス対策をデモクラシータイムスで発表している。



このブログで紹介した通り、児玉龍彦名誉教授は、2020年7月16日に休会中の国会の参議院予算委員会で、東京でコロナウイルスの震源地(エピセンター)が発生しており、今すぐに対策を打たないと、東京はミラノやニューヨークと同じことになり、来月には目を覆う様な惨状になると声を震わせて訴えていた。

そして新宿区を対象に20万人規模のPCR検査を、大学や研究機関も巻き込んで、すぐに実施して、現在の最大の問題である無症状の感染者を洗い出すことを予算見積もりも添付して、参議院予算委員会で提案した。



しかし、野党の参考人として発言したせいか、児玉教授の提言は無視され、エピセンターを抑え込まないと、日本が感染爆発を起こすと児玉名誉教授が予測した通り、「目を覆う」様な現状となっている。

児玉教授の今回の緊急提言は次の通りだ。

児玉龍彦教授提言0110

















やるべきことは、最初から変わっていない。

2020年7月の時点では新宿区のみだったエピセンターが、渋谷区、港区、中央区、さらに目黒区に拡大している。

これらエピセンターの希望者全員のPCR検査、それにより無症状の感染者(スーパースプレッダー)を発見、10日間隔離して、そして結果として実行再生産数を1.0以下に抑えて、感染爆発を防止するのだ。

政府の手ぬるい対策を見て失望していたが、今回の児玉教授のビデオを見て、やるべきことがはっきり見えてきた。

PCR検査は今や2,900円で、すぐに受けられる。筆者の友人も1月6日に検査を受けている。完全予約制なので、待ちはなく、すぐに結果もわかったと。

PCR検査センター






















出典:1月6日にPCR検査を受けた友人のブログ

飲食を8時までに制限する程度の対策で、感染が抑え込めるはずがない。

10兆円の予備費を使って、すぐに「無症状・無自覚のスーパースプレッダー」対策を実施する。それが本当の緊急事態対策となる。

これまでデモクラシータイムスの児玉教授の対談ビデオはほとんど見てきたが、今回の児玉教授のビデオは、特に参考になり、筆者も希望が持ててきた。

コロナ感染が心配になったら、2,900円のPCR検査を自費で受ける。そして、陽性になったら、すぐにアビガン投与を求める。重症化する前に抑え込めば、抗体ができて多分、2度罹ることはない。

ビデオ視聴して、ご自分でも判断して頂きたい。


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Posted by yaori at 13:16Comments(0) 趣味・生活に役立つ情報 | 医療

福島第一原発事故 何が起こったのか真実を知ろう

メルトダウン 連鎖の真相
NHKスペシャル『メルトダウン』取材班
講談社
2013-06-15


2011年3月11日の東日本大震災で起きた津波による全電源喪失のため、福島第一原発の1号機から3号機までの原子炉で起きた炉心損壊(メルトダウン)、そして1号機、3号機、加えて点検中だった4号炉で起きた水素爆発。

あの時テレビにくぎ付けとなって日本全国が注視していた東京電力福島第一原子力発電所の重大事故、チェルノブイリ原発事故を上回る人類史上最悪の原子力発電所事故を、NHKスペシャル「メルトダウン」取材班がテレビドキュメンタリーとして制作した調査結果をまとめた本。

「メルトダウン」機複横娃隠映12月放送)は今でもNHKオンデマンドで見られる。福島原発の1・2号機の中央制御室を忠実に再現したセットを使った再現ドラマは実にリアルだ。月間1,000円かかるが、ぜひ見てみることをおすすめする。

さて、あなたは、いつ最初のメルトダウンが起こったかご存知だろうか?

地震は3月11日の14:46分に起こった。津波が福島に到達して、全電源を喪失(SBO=ステーション・ブラック・アウト)したのは、地震から1時間弱後だ。

地震直後、自動的に立ち上がっていた1号機の非常用冷却装置、通称イソコンは、順調に原子炉を冷却しており、原子炉の温度は津波によるSBOが起こるまでは順調に下がっていた。しかし、イソコンはSBOで自動停止した後、作業員が空焚きを恐れて停止させのだ。

そして、地震からわずか5時間後、冷却水がなくなり空焚きとなった1号機は、12日の0時過ぎには、燃料棒が溶け落ち、厚さ15センチから30センチもある鋼鉄の圧力容器の底を破って、格納容器の底に溜まり、格納容器のコンクリートを溶かし始めた。

メルトダウンは全電源喪失から数時間後に始まっていたのだ。

これをわかりやすくした表がNHKスペシャル「メルトダウン」File5に示されている。

NHKスペシャルメルトダウン1−3号機






















出典:NHKスペシャル「メルトダウン」File 5(2014年12月21日放送)NHKオンデマンドで公開中

当時は民主党政権で、総理大臣は菅直人さんだった。当時の枝野官房長官が、原発では問題は発生していないという説明をしていたことを覚えている人も多いと思う。

NHKは官邸の発表と実際の原発の状況を表にまとめている。

NHKスペシャルメルトダウン一号機 (2)





















出典:NHKスペシャル「メルトダウン」(2011年12月18日放送)NHKオンデマンドで公開中

東京電力からの報告を受けて枝野さんが発表したので、枝野さんがウソをついたわけではないと思うが、当時は外部の専門家も含めて、メルトダウンは起きていないという説明ばかりだった。

そして、東京電力がメルトダウンを公式に認めたのは、事故から2ヶ月以上たった2011年5月15日であり、実際にメルトダウンを起こした3基の原子炉を冷温停止できたのは、なんと事故から9カ月以上経った2011年12月16日だ。

フェイクニュースどころではない、「大本営発表」並みの原発事故情報(原発安全情報?)が流されていたのかがわかる。

菅直人さんは、津波に襲われて全電源を喪失した福島第一原発の状況を憂慮して、地震が起きた翌日の3月12日7時前に福島第一原発をヘリコプターで訪れ、出迎えた東京電力の原発担当トップの武藤副社長を「なぜベントできないんだ?」と、えらい剣幕で怒鳴りつけたという。

福島第一原発の吉田昌郎所長が図面を使って、どこのバルブを開ける等の詳しい説明をしたのち、「決死隊をつくってやります」と答えたので、菅総理はやっと落ち着きを取り戻して、8時に原発を後にした。

この時同行した班目原子力安全委員会長が、菅総理の「爆発はないか」との質問に対して、爆発はないと答えた直後に1号機の水素爆発が起こり、菅総理の班目委員長に対する信頼が失墜した。

今年に入っての新型コロナパンデミックもあり、今や人々の忘却されつつある福島原発事故だが、何が起きたのか、そしてこれから何をやらなければならないのかを理解するために一連のNHKスペシャル「メルトダウン」番組をNHKオンデマンドで見て、本も読んでみた。

最初に出たのが冒頭の2013年6月に出された本。それから2年おきに、「メルトダウン」の新たな真実を報道するテレビ番組と本が出されている。

2015年に出された2番目の本。
福島第一原発事故 7つの謎 (講談社現代新書)
NHKスペシャル『メルトダウン』取材班
講談社
2015-02-19



そして2017年に3番目の本が出版されている。
福島第一原発 1号機冷却「失敗の本質」 (講談社現代新書)
NHKスペシャル『メルトダウン』取材班
講談社
2017-09-20


2017年に出された本は、事故発生直後から苦労して続けられた消防車による1号機への注水が、実は途中の弁の逆流を防ぐモーターが停電で停止していたため、別系統に漏れ、結局原子炉には全く届いていなかった。それに気が付くのは12日後に計器が回復して、1号機の原子炉温度が400度を超えていることがわかり、急遽給水ルートを変更して、原子炉の温度が下がり始めてからだったという衝撃の新事実を伝えている。

1号機は3月11日の20時頃に圧力容器のメルトスルーが起こり、3月11日22時頃には格納容器もメルトスルーして、約70トンのウラン燃料全量が原子炉建屋のコンクリートと混ざって推定280トンにも上る燃料デブリとなっていた。

そして、燃料デブリが元々原子炉を満たしていた水と反応して水素が発生し、それが3月12日14過ぎに1号機の水素爆発を引き起こした。

だから、たとえ消防車による給水がなされたとしても、結果は変わらなかっただろう。結局この燃料デブリとコンクリート夾雑物は3月23日に給水ルートが変更されるまでくすぶり続け、ルートが変わって給水が始まって、やっと温度が低下した。

NHKによる原子炉に届いた給水ゼロという今回の発見は、原発の安全対策で考慮すべき重要なポイントではあるが、福島第一原発事故の場合は。給水開始前にメルトスルーしてしまっていたことから、1号機の水素爆発という今回の事故が重大化した最大の要因は防げなかっただろう。

水による冷却はそれ以来ずっと続けられている。

この冷却水が地下水と混ざって、高濃度の放射性物質を含む排水が、ALPSと呼ばれる多核種除去設備を通って放射性物質が除去されて、今や1000基を超す排水タンクにどんどん貯められている。ほとんどの放射性物質は除去できているが、三重水素のトリチウムだけは除去できないためだ。

このトリチウム水の発生量は、凍土壁や地表モルタル舗装、屋根敷設等の地下水・雨水対策で、当初の1/5に抑えられてはいるが、それでも毎日100トン程度発生している。

トリチウム水は希釈して、結局海に流さざるを得ないと思われるが、福島沖の漁業補償の問題が当然出てくる。

そして最大の問題は放射性デブリの処分だ。

これから40年かけて廃炉作業が続けられるが、1号機から3号機それぞれ数百トンものデブリを、高い放射線によりロボットも制御不能となるような現場で、どうやって取り出すか、難題が待ち構えている。

チェルノブイリ原発事故の様に「石棺」という手段を取らざるを得なくなる可能性もあるが、今なお避難している双葉町などの住民を含めた、福島県民、国民感情が許さないだろう。

福島の原発事故の後処理は、オリンピック招致合戦の最後に、安倍元首相が言っていた様に「アンダー・コントロール」ではない。「アンダーゴーイング・プロブレム」(進行中の問題)なのだ。

NHKスペシャル取材班も指摘しているが、安全管理指標も見直す必要がある。

日本では福島の事故時までは法定の被爆限度は100ミリシーベルトだったが、原発事故から3日後に急遽臨時措置として250ミリシーベルトに引き上げた。

アメリカやヨーロッパの多くの国では、原発の緊急時の被爆限度は500〜1000ミリシーベルトというICRPの指標を原則としたうえで、人命救助に関わる場合は、かなりの柔軟性を認めている。

事故後にアメリカの原子力発電運転協会が福島第一原発事故にから得られた教訓に関する調査報告書を発表し、事故対応にあたった運転員や幹部には「プロ意識、勇気と熱意及び一人一人の責任感に最大限の敬意を払う」と最大限の賛辞を贈りながらも、「被ばく線量の限度が、事故対応における柔軟性を認めていなかった」ことを問題視している。

吉田所長は菅総理に「決死隊をつくってやります」と約束したが、その決死隊が100ミリシーベルトの壁に跳ね返され、途中で戻ってきたのだ。1号機のベントのために2つの弁を開ける作業は、事故後の吉田所長のヒアリングでも、ベントが成功したのかわからないということだったが、放出された放射線量から考えて、3月12日14時の時点で、1号機のベントは成功していた。

しかし、想定されていたサブミッションチャンバーの水を通してベントすると放射線量は千分の1になるというのは、水温が低い状態で不活性ガスが含まれていない場合のケースで、実際には放射線量が高いままで放出された。

次が原発近くのモニタリングポストで記録された放射線量の推移だ。
NHKスペシャルメルトダウン放射性物質放出量推移


















出典:NHKスペシャル「メルトダウン」File 5(2014年12月21日放送)NHKオンデマンドで公開中

3月15日の午前8時に2号機の原子炉建屋から白い湯気が出ていることが確認された。格納容器が高温の圧力に耐えきれず、配管のつなぎ目や蓋の部分から放射性物質が漏れたのだった。

2号機は一番長くRCICと呼ばれる冷却装置が動いていたが、そのあと水がはいらず、メルトダウンを起こし、このままではチャイナシンドローム、そして東日本壊滅に至るところだったが、なんとか格納容器は決定的には壊れず、東日本を壊滅されるほどには壊れなかった。

チャイナ・シンドローム [Blu-ray]
ジャック・レモン
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
2013-06-26



3号機も消防車から水が投入されたが、停電のため途中のポンプのモーターが動かず、水の抜け道ができて、「死角」となって、復水タンクに大量に水がたまる結果となった。

冷温停止は2011年12月までかかった。

事故の総括として、事故から2年経った2013年3月に東京電力は「人智を尽くした事前の備えによって防ぐべき事故を防げなかった」と総括し、「防げた事故だった」と人災的側面があったことをはっきり認めた。

日本に原発は不要という議論もあるが、筆者は原発は必要だと考えている。

あの巨大な黒部第4ダムの最大出力が、33.5万KWだ。一方福島第1原発では、一番小さい1号炉が46万KW、2号機以降は78〜110万KWで、原発の発電効率の良さ、CO2を排出しないことなど、メリットは大きい。

日本で最高の原子炉技術を持っていると言われていた東京電力。日本では原子炉の重大事故は起こらないとされていた「安全神話」。SBOは起こりえないから、考慮不要としていた国の原子力行政。

それらがもろくも崩れた現在、福島原発の事故を教訓に、これからは安全に関する多重的な措置を講じ、事故が起こる場合を想定したドリルを定期的に実施して、1000年に一度の災害が起きても、大丈夫な安全操業を達成すべきだろう。

今年の3月11日で震災、原発事故から10年になる。結局何もできていないのではないかという気がするが、少なくとも原発事故に関する正しい理解はもつべきだ。

そんなニーズにぴったりの本とNHKオンデマンドで見られるNHKスペシャル「メルトダウン」だ。本は写真や図が一杯で、非常に参考になるが、NHKオンデマンドを契約すれば、原発事故のみならず、東日本大震災のあの生々しい津波の映像も見られる。

震災後10年の区切りに、見返す価値のあるドキュメンタリーである。

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Posted by yaori at 01:06Comments(0) 自然科学 | 原発問題

2020年12月25日

2020年6月30日にまたここで会おう 瀧本哲史さんの東大講義録

2020年12月25日再掲:

エンジェル投資家瀧本さんのことが日経新聞の「インベスターズ」というシリーズで取り上げられている。瀧本さんのマッキンゼーでの後輩で秋田県沖の洋上風力発電入札で、最有力候補にあげられているレノバの社長も登場する。

レノバは直近で株価が3倍に高騰したという。

瀧本さんの「2020年6月30日にまたここで会おう」のサイドストーリーとして紹介しておく。


2020年6月30日初掲:



これのブログで、「戦略がすべて」「僕は君たちに武器を配りたい」「武器としての決断思考」のあらすじを紹介してきた瀧本哲史さんの、2012年6月30日に東大の伊藤謝恩ホールで行われた講義録。

タイトルとなっている「2020年6月30日にまたここで会おう」は、2012年の講義の最後で瀧本さんが約束した言葉だ。残念なことに瀧本さん自身は2019年8月に病没している。まさか、自分がそれまで生きられないとは、瀧本さんは予想もしていなかっただろう。

瀧本さんのお父さん(心理学者で獨協大学名誉教授)が、この本の発刊に寄せて「瀧本哲史の業績と生涯」という一文を瀧本さんが共同で立ち上げた企業法務革新基盤株式会社のウェブサイトに載せている。

若手評論家の古市憲寿さんも、クイズ東大王で有名な鈴木光さんとの対談で、鈴木光さんのゼミの教官で、古市さんの友人だった瀧本さんについて語っている。

出版社の星海社新書の初代編集長が、瀧本さんの言葉通りに、同じ場所(伊藤謝恩ホール)で2012年の講義に参加した300人と、10代、20代の若者も集めてイベントを開催したいと「あとがきにかえて」に書いている。しかし、星海社のウェブサイトを見ても、伊藤謝恩ホールのカレンダーでも、何もアナウンスがないので、たぶんコロナウイルスの関係でイベントは開催できなかったのだろう。

その代わりに、というわけではないが、2020年6月30日にこの本のあらすじをアップする。

瀧本さんは、東大助手ーマッキンゼーーエンジェル投資家/京都大学客員准教授というキャリアを歩んだ。エンジェル投資家はあまり表に出ないほうがいいと思っていたが、考えを変えて、本をだしたり、メディアにも出るようになった。

一番の理由は、日本への危機感だという。

この国は構造的に衰退に向かっているのではないか、中央政府とかエスタブリッシュメントと言われている人たちが、機能していないんじゃないか。だから、裏方に逃げず、より積極的にひとを支援していかないとマズいと思ったのだ。

一度、日本を捨てて海外脱出するオプションも検討したが、「残存者利益がある」と思ってやめた。中国に抜かれたとはいえ、今もGDP3位だし、中国の統計も細かく見ると疑わしい、過去の伝統もあるし、基盤もあるから、むしろチャンスがあるのではないか。

それで、日本に残って、「武器モデル」を広めていくことで、日本を良くしていくことにした。

ワイマール前夜の様に、カリスマリーダーの出現に期待せず、みんなが自分で考え、自分で決めていく世界をつくっていくのが、国家の本来の姿だとして、仏教の「自燈明」を紹介している。仏陀が死ぬとき、弟子たちに「これからは自分で考えて自分で決めろ」、自ら明かりを燈せと言った。それが大事なのだと。

ハンガリー出身で、イングランド銀行をつぶした男といわれる天才投資家のジョージ・ソロスは、東欧の民主化を支援するためにいろいろなことをやったが、一番有効だったのは、コピー機をばらまくことだったという。共産圏ではコピー機や印刷機は全部国家管理だったが、ソロスのまいたコピー機を使って、活動家が自分のビラをばらまくようになって、民主化運動が盛り上がっていった。

瀧本さんは、ソロスの話から、若い人に「武器」を配って、支援するような活動をしたほうが、世の中を変えられる可能性は高いのではないかと考えた。それが「武器としての決断思考」や、「武器としての交渉思考」だ。

武器としての決断思考 (星海社新書)
瀧本 哲史
講談社
2011-09-22



武器としての交渉思考 (星海社新書)
瀧本 哲史
講談社
2012-06-26



残酷な高度資本主義社会の中でサバイブするために必要な思考と知識を詰め込んだ本が、「僕は君たちに武器を配りたい」だ。




今回の講義も、10代、20代(29歳までに制限)の人を300人全国から集めて、大アジテーション大会を開きたいのだと。

瀧本さんはアラン・ブルームという哲学者の言葉を引用して、「教養の役割とは、他の見方、考え方があり得ることを示すことである」と教養の大切さを説明している。学問や学びは、答えを知ることではなく、先人たちの思考や研究を通して、「新しい視点」を手に入れることだ。

「どこかに絶対的に正しい答えがあるんじゃないか」と考えること自体をやめること。バイブルとカリスマの否定が瀧本さんの基本的な世界観だ。

京大での「起業論」の講義は、東大での指導教官だった内田貴名誉教授の「ケースメソッド」を取り入れ、事例の選択から、資料収集、分析、調査、発表までを学生が主体となって行い、教官と学生が討議しながら進めていくやり方だ。

教養としてまず学ぶのは「レトリック」(言葉をいかに魅力的に伝えるか)と「ロジック」(誰もが納得できる理路を言葉にすること)だ。

自分の主張の正しさを的確に伝える行動がディベートで、それにはロジックが不可欠だ。

そして、「言葉の力」で動かすのがレトリックだ。明治維新は、人々が言葉の力で国を動かしたわかりやすい例だと。言葉によって相手の行動を変えていくのだ。

日本のデモグラフィックと、高齢者の選挙参加率の高さから言って、選挙では高齢者対若者が2:1で若者の意見が通らない。しかし、瀧本さんは、一人の若者が旧世代の人を一人説得すれば、1:2になると説く。

2020年の人口動態


















出典:GD Freak.com

だから、自分や家族の収入を上げて、将来に備えようと考えるよりも、今の不公平な社会保障制度を変えていく方が、労力的にもコスト的にもはるかに現実的なんだと語る。具体的に政策を実現するには、既存政党には頼れないので、霞が関の官僚に対抗できる「霞が関の競合」チームを若者でつくり、民間のシンクタンクをたくさんつくるのだと。

日本を変えていけるのは、若者しかいない。明治維新を推進した薩摩の大久保利通は35歳、長州の木戸孝允は32歳。幕府側の榎本武揚は29歳だった。日本も、若い人が政治や政策立案に積極的に関わって、30代のうちに国政の中心を担うようにならないといけない。元英国首相のキャメロンが党首になったのは、39歳だった。フランスのマクロン大統領も就任したのは39歳だった。

この本で紹介した李明博元大統領の逸話も紹介している。

天動説から地動説に変わったのも、旧世代が死んで、世代交代が起こったからなのだ。パラダイムシフトは、実のところ世代交代なのだ。

東大法学部でも同じことが起こったという。

刑法では、「行為無価値説」と「結果無価値説」が対立していた。行為無価値説は、犯罪を犯したとき、悪い動機があれば刑罰を重くすべきだという考え方で、結果無価値説は、動機とかは全く関係なく、悪いことをした結果のみで判断すべきだという考え方だ。

行為無価値説の代表が、後に最高裁判事になった団藤重光先生で、これに対し平野龍一先生は、結果無価値説で対立していた。しかし、団藤先生の後を継いだ藤木英雄先生が45歳で早死してしまったので、学説的には結果無価値説が勝利したのだと。団藤先生は筆者が大学入学した年に定年退官したので、筆者は3人の先生の講義を聞いた唯一の世代だが、こんな結末になっていたとは知らなかった。

交渉に関する講義では、それまで365日24時間出入りOKだった学生会館を、関西の某大学が平日の8時までしか使えなくしたという事例を題材にして、交渉の際の情報分析の重要性を説明している。

交渉の際の気を付けなければいけないテクニックとして、アンカリングを紹介している。この事例では大学側が8時でなく、10時までと譲歩してきたとき、2時間ゲットしたからOKと喜んではいけない。

もともと365日24時間使えていたのだから、8時から10時に妥協したと見せかけても、妥協でもなんでもなく、論点をずらしたアンカリングに騙されるなということだ。

実例では、大学側が土日も開けると譲歩を見せて決着したという。大学側のアンカリングの勝利だ。

大学側の戦略に乗らず、交渉していくには、まず大学側がなぜ8時閉館としたいのかを調査し、その理由を論理的につぶしていくことだと。講義の中で冗談交じりで「武器としての決断思考」の紹介や、隣の席の人と向き合って、何でもいいから自分の持ち物を売り込むという実験もしている。

福武ホールを寄付した某大手教育関連会社は、生徒募集のDMを打つタイミングを、テストの1週間前と、テストの結果がわかった時に決めているという。相手のニーズから逆算して考えているのだと。

グループウェアの「サイボウズ」が広く使われているは、ボタンがでかくて、ボタンに「印刷」など全部機能が書いてあって、使い慣れていない人でも一発で使い方がわかるから、システム部門の人間が問合せに煩わされなくて済むからだと。

交渉とは、「自分の都合」ではなく、「相手の都合」を分析する。そのためには、「話す」のではなく、「聞く」。そして、非合理な相手は「サル」だと思って、研究する(笑)だと。

瀧本さんは、「なぜ日本にはリーダーが育たないのか?」はカリスマリーダーを前提としている議論で、質問自体が間違っているという。「どうすれば日本に『小さなリーダー』たちが育っていくか?」を考えていくべきだと。

だから、ショボい場所から(クリントンは全米最貧州の知事、オバマはシカゴの市民運動家だった)、失敗を恐れず(「ベンチャーは3勝97敗」くらいだと)、仲間は必ずいるので、伊藤博文(44歳で総理大臣に就任)の記録を抜こう!と。

途中で質問の時間を取っている。質問を促す話術も感心する。

質問を促すクイズとして、「横軸に偏差値のような『賢さ具合』をとって、縦軸に『質問の数』をとるグラフがあるとしたら、それはどういう線を描くでしょう?」というものだ。

この会場も手を挙げにくいけど、質問してもリスクはない理由は、二つあると説明する。

一つは、「さっき言ったじゃん」という顔をしていても、他の人も本心では「じつは俺もよくわかっていなかった。グッジョブ!」と思っているものだと。

もう一つは、瀧本さんは討論系の授業をたくさんやっているので、テクニックがある。それは、どんなにヘボい質問がでても、何事もなかったように、その質問を善意に解釈して、「グッド・クエスチョンですね」みたいな感じに答えるというものだ。だから安心して質問してくれと。

これで20人くらいが手を挙げて、活発な質疑が繰り広げられた。

瀧本さんは、来世がある宗教を信じていないのだと。科学的に来世があることは証明されていないので、「来世がない」ことを前提に自分の時間を使った方が良いと思っている。

自分の時間とリソースを最大限活用するには、すごく困っているところが大逆転して一番よくなるようにすることが効果最大だ。だから、「日本はダメだ」みたいな本が出回っている現状、日本を良くしたいと思って活動しているのだと。

最後のスライドは「Do your homework」だ。

自分たちで考えて、行動に移せ。それが「homework」だ。

そして、2020年までには日本の将来はある程度見えていると思うので、8年後の2020年6月30日の火曜日にまたここに再び集まって、みんなで「homework」の答え合わせをしたいと、この本のタイトルになっている約束をする。

無茶なことでもやってみろと。

映画「七人の侍」制作での黒澤明監督のことを紹介している。



七人の侍 [DVD]
山形勲
東宝
2002-10-25


「七人の侍」は日本の時代劇のさきがけとなる映画で、それ以前は歌舞伎的なチャンバラ劇を映画にするものしかなかった。だから、映画会社の人に、今度こういうエキストラを何千人も使って、リアルな戦いシーンがある映画を作りますといっても、ピンとこなかったので、当初は予算も少ししかつかなかった。

そこで、黒澤明監督は、もらった予算を使って、クライマックスの前までつくって、そのフィルムを映画会社の重役たちに見せた。とてつもない迫力で重役たちは盛り上がったところで、「はい、終わり」。

「実は、予算がたりないので、ここまでしかつくりませんでした」、「追加のお金を出さないと全部ぽしゃりますけど、どうしますか?」と脅したのだと。

こんな映画が当たるなんて映画会社の人は理解できなかったので、であれば、とりあえずやってしまえということで行動に移して、歴史に残る名画が誕生したのだ。ちなみに、「七人の侍」が公開されたとき、黒澤明監督は44歳だった。

この講義の最後は「Bon voyage」(ボン・ヴォワージュ)でしめている。これは船長同士の挨拶で、自分でリスクを取っている人間同士、自立した人間同士の挨拶なのだと。

このあらすじは2020年6月30日0時0分にアップするように設定してある。瀧本さん亡き後、コロナ対策もあり、集会は行われないと思うが、集会が重要なのではない。行動を起こすことが重要なのだ。

世の中をよくするために、自分で何ができるのか。考えてみるきっかけとなる瀧本さんの「遺言・檄文」である。


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Posted by yaori at 21:59Comments(0) 瀧本哲史 | 人生設計