2005年01月13日

自省録ー歴史法廷の被告として 中曽根康弘著


自省録

出だしが奮っている。小泉首相が選挙不出馬を勧告に来た時に、ほとんどなにも言わず、『中曽根先生は、国内的にも国際的にも、どういう地位になっても、その発言や行動には皆さんが注目し、影響力があります。今後もそういう形でご活躍願いたい。』と言うと、後はおし黙ったままだったという。

この『政治テロ』への憤慨が本書を書いたエネルギーの様だ。

中曽根氏は日本ではじめての大統領型の首相として、最初の訪米で『浮沈空母』発言をして、それまで鈴木善幸内閣で悪化していた日米関係を一挙に改善した。またロンーヤス関係をつくり、日米関係を蜜月関係にまで持って行った功績は大きい。

内政面でも国鉄民営化とか外交でもリーダーシップをふるうなど、小泉軽量首相に率いられる今日の日本とはだいぶ異なる。

旧軍人でありながら、胡耀邦など親しい首脳が中国国内から突き上げを食らう事を鑑み、自らの靖国神社参拝をやめる決断をするなども今日の範となるだろう。

憲法改正、教育基本法改正、財政10ヶ年計画策定など国家の大綱を策定してから、道路公団や郵政民営化の個別問題を考えるべきという主張は説得力ある。

戦死したやくざの部下の話など人情味あるエピソードも紹介され面白く読める。

Posted by yaori at 00:10│Comments(1)TrackBack(0) 自叙伝・人物伝 

この記事へのトラックバックURL

この記事へのコメント
後半部分はややダレる感じがした。昔の中曽根氏はもっと切れものだったと思うが。
Posted by PitMac at 2005年01月14日 23:16