2005年03月19日

考える技術 大前研一の「考えさせられる」本

多作の大前研一の最新作。

この本の肝は「人の2倍考える人は10倍の収入を得ることができる」ということ。

前作の『質問する力』で何故と思う習慣を付けることを説き、これがその続編として思考回路をつけることを説く。

新しい経済は方程式のように簡単に答えのでるものではなく、複雑系であらゆるものに正解のない時代だから、日頃から思考力を鍛錬し、論理的思考という武器を手にする必要があるのだと。

リンゴが木から落ちたら軌道は計算できるが、葉っぱが木から落ちてもどこに落ちるか予想できない。正解のない問題に答えは幾通りもある。

前提をおき、論理的思考から答えを導き出すのだ。

MITの博士試験に「月の上に架空の原子炉をつくり、地球上と同じ仕掛けのカドミウムの制御棒を突っ込むと、停止までに炉心の温度は何度上がるか。これは安全か」という問題が出て、大前一人が正解の2.8度と回答したのだが、不合格にされたという。

教授の回答は「数字は合っているだけで思考のプロセスがはっきりしていない。これはエンジニアとして最も危険だ」というものだったと。

これで一から勉強をやり直さなければならないと痛感したのだと。

新しい複雑系の経済には4つの空間がある。実態経済、ボーダーレス経済、サイバー経済そしてマルチプル経済なりと。

この新しい世界では旧世界におけるマクロ経済学は全く役に立たないし、これまでのビジネスの手法はもはや通用しないのだ。

ライブドアの動きを見ているとまさにこの指摘が現実化していると感じる。

考える技術
質問する力
いつも通りなるほどという面白いアイデアが多く提供されているが、今回は練習問題と回答という形になっており、考えさせられる。

たとえば:

1.小泉首相に国民、生活者、納税者の立場に立って質問して下さい?

これの回答例では小泉破れ太鼓は30年前と同じ事をいっているにすぎない、とばっさり。

道路公団でも郵政公社でも民営化というのは数ある解決策のひとつなのに、民営化がはじめから答えとなり、本来であれば時限立法でつぶすべき道路公団も民営化のおかげで、生きながらえることとなったと。

小泉流議事運営手法は一種のファッショであると、中曽根さんの言っていたことを思い出す。

2.あなたが新聞記者なら、自衛隊の多国籍軍参加に関してどんな質問をしますか?

これの答えのなかには自衛隊員に万が一のことがあったら政権を揺るがしかねないので、実は宿営地から一歩も出ていないことを白状するハメとなる。

そうなると一日一人10万円近くかかっている危険手当にみあった仕事をしていないのではないか、早く帰ってくるべきではないかという当然の議論につながると。

本当にこれが正しいのかどうかわからないが、そういった面での目立つ報道は確かに皆無だ。

ジャーナリストももっと勉強せよと。

3.急に明日からタンザニアに出張することになった。持って行けるのはリュックサックひとつ。あなたはリュックになにを入れますか?

これはマッキンゼー時代の採用試験のひとつなりと。

4.携帯電話が5年度どうなっているのか予測して下さい?

等々知的に怠惰な人は生き残れない。

頭もトレーニングして常に考える習慣を付けるのだ。
Posted by yaori at 09:53│Comments(0)TrackBack(3) ビジネス | 大前研一

この記事へのトラックバックURL

http://trackback.blogsys.jp/livedoor/yaori/16704001
この記事へのトラックバック
------------------------------------------------------「考える技術」大前研一、講談社(2004/11)¥1,680(評価:★★★☆☆)もっと詳しく●この本の題名は「考える技術」ですが、本来は「考える努力」とする べきでしょう。なぜなら、大前研一氏は驚異的な努力を実践...
★★★「考える技術」大前研一、講談社(2004/11)¥1,680【一日一冊:人生の智恵】at 2005年03月31日 11:09
 郵政民営化の問題に関して、大前研一氏が著書「考える技術」において述べている意見がとても的を得たものであると思うので、紹介します。 要約すると、〕甲・簡易保険は廃止し、⇒絞悗倭換颪韮韻弔稜枌8団として生まれ変わるのがベストであるという意見です。〕甲
郵政民営化【∞最前線通信】at 2005年04月02日 20:09
著者: 大前 研一 タイトル: 質問する力 <<天才大前研一の落とし穴>> 大前研一さん、というのはビジネスマンにとってはある種の理想像であり、ものごとの現実の構造を見極め、分析し、それをより良くする天才だと思います。 とりわけ、『企業参
『質問する力』大前研一著【物語三昧】at 2005年06月04日 11:54