2005年10月26日

クレジットカード これだけ知れば怖くない 岩田昭男氏のタイムリーな好著

クレジットカードこれだけ知れば怖くない 爆発する「カード&ネット」のしくみと防犯術


(10月25日に著者の岩田昭男さんと岩田さんが主催するICカードとカード教育を考える会の定例会でお会いしたので、内容一部補足しました。)

消費生活評論家岩田昭男氏がクレジットカードやキャッシュカードのセキュリティについてわかりやすくまとめた好著。

筆者は岩田氏の著作をほとんど読んでいるが、いつもながら豊富な取材で集めた様々な情報を、わかりやすく頭にスット入る形で説明している岩田氏の力量には敬服する。

2005年6月にマスターカードとビザが、アメリカの大手データ処理受託会社カードシステムソリューションズから最大で4,000万件の顧客情報が流出した可能性があると発表した。

何者かがカードシステムソリューションズに進入、トロイの木馬型ウィルスをしかけて、200件に1件の割合で外部に送り出していた。すべてが流出したわけではなく、少しずつ流出したために把握しづらく、判明するのに半年掛かった。

カードシステムソリューションズが本来なら破棄すべきだったカード情報を長く保有していた点や、該当情報を暗号化していなかったことが、この事件がこれだけの規模となった原因である。

米国でのカード情報流出だったが、日本人でも2004年8月から2005年5月の10ヶ月間にアメリカに旅行してカードを使うか、あるいは米国のネットショップでカードで支払った人はカード情報が流出した可能性があり、日本じゅうが騒然となった。

これには伏線がある。

今年初めに柳田邦男氏の『キャッシュカードがあぶない』がベストセラーとなり、キャッシュカードのスキミング(データのみ抜き取る)による不正利用が一躍注目された。

当初銀行は本人の責任として、補填を拒否していたこともあり、「キャッシュカードはあぶない、ましてやクレジットカードはもっとあぶない」と多くの国民が誤解していたのだ。

たしかにクレジットカードは券面にカード番号と有効期限が記載されており、ネットショッピングなどはカード番号と有効期限があれば支払いができるので、岩田氏はカードは『むき出しの現金』と同じと言っているほどだ。

しかしクレジットカードには保険があり、不正利用されても全額補填され、不完全だが安全なので、キャッシュカードとクレジットカードでは全く異なる。

筆者が直接岩田氏にお聞きしたことだが、カード情報流出事件が起こった当時、岩田氏にはマスコミから出演依頼が殺到していたが、テレビなどで説明してもなかなかこの誤解を解くことが難しいとして、出演依頼を断り、情報を正確にまとめたこの本を書くことを決断した由。


取材に時間をかけているだけあって、参考になる情報も多い。

磁気カードの情報量は72文字のみだが、ICカードは8,000文字以上と情報量が全然異なる。偽造しようとするとデータが破壊されるタイプもあり、ICカードの偽造対策はほぼ100%安全だ。

しかし問題はICカード対応のカード端末が普及していないこと。

日本全国で110万台あるカード端末は、まだ10万台しかICカード対応していない。

2007年度には40万台を目標にしているが、スーパーなどのPOSレジ約100万台はICカード対応の予定がなく、日本全国で合計210万台あるカード端末のICカード対応化の道のりは長いと言わざるを得ない。


ネットショッピングでのカード利用では、今年7月に楽天の一つの加盟店から36,000件もの顧客情報が流出した事件をきっかけに、シッピングモールの個人情報管理の弱点が浮き彫りとなった。

すぐさま楽天は自社でカード決済を行い、加盟店にはカード情報を出さないしくみに切り替えたので、騒ぎは収まっている様だ。

ネットショッピングのカード決済の安全性確保にはビザ、マスター、JCBが採用する3Dセキュア技術があり、だんだん普及してきているので、ライブドアやANAはこの認証サービスを導入している。

3Dセキュアを使い、カード番号、有効期限に加えてパスワードを入力することで、偽造カードによる不正利用が撲滅できる。


もっと簡便な方法としては、カード裏面に記載してある19桁のカード番号の最後の3桁のセキュリティコードを使う方法がある。

磁気ストライプにはこの数字は入っていないため、カードをスキミングしても、この数字がわからないので、カード犯罪を防止する効果がある。

米国のネットショッピングではセキュリティコードが広く使われているが、カード本体が盗難にあった場合には効果がないとして、日本では普及していない。

しかし岩田氏も指摘している様に、セキュリティコードの利用は簡単で、カード犯罪の大多数を占めるスキミング犯は防止できるので、もっと普及しても良い。今後はリアル店舗で活用が広まる動きもあるようだ。


米国のカード情報流出事件は、FBIと国際ブランドはわざと犯人を泳がせて、犯罪組織を一網打尽にしようとしていたが、手違いで突然の発表となり、すべて狂ってしまったと。

ウクライナ、グルジアなど旧ソ連の組織が主犯格で、入手した多数のカード情報をネットで販売しており、これを別の犯罪組織が買って日本で偽造カードをつくり、不正利用の被害が多発した。

そのうちの9割が、新幹線の回数券か家電製品の購入だという。


最後に岩田氏は岩田流防犯術を説明する。

不要なカードはリストラ、ICカードに転換、暗証番号も簡単に推測できないようなものにする、明細を確認することなどだ。

不正利用のおそれは常にあるので、ビザカードのVpassやJCBのMyJCBなどのネットサービスとMoneyMapなどの金融口座一括管理サービスを利用して、請求金額を頻繁にチェックすることが、自衛のために有効だろう。

以上、ほんの一部しか紹介できなかったが、手軽に読める情報満載の役立つ本である。


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2005年10月25日

売上2億円の会社を10億円にする方法 船井総研トップコンサルタントのイソズミマジック

売上2億円の会社を10億円にする方法 業績アップの「設計図」、教えます。


イソズミマジック

船井総研では名誉会長の船井幸雄さんと社長の小山政彦さんが数々の著書を出していて有名である。

このブログでも小山さんの著書は紹介したが、この本は船井総研のトップコンサルタントで、短期間で企業業績を向上させる『イソズミマジック』で知られる執行役員の五十棲剛史さんの著書である。


売上3億円の壁

中小企業には売上高3億円の壁があり、この壁を突破するためには今までと全く違うアプローチが必要である。それは社長が自ら現場に出ないことだと。

もう現場には出ないと決断した瞬間から社長の仕事が変わり、会社のあり方そのものが変わる。社長自ら戦闘している状態を変えない限り、成長の余地は限られる。

売上2億円までは超優秀な個人事業主にすぎず、社長の人脈以上には広がりがない。
自分で何でもできるゆえに、自分以外の社員が活躍する舞台をつくることに手つかずでいるし、社員を育成し、教育することもままならない。

2億円企業には優秀な営業マンが一人しかいない。社長だけだ。


社員の能力は社長の30%! でもOK!

平均的な社員は社長の30%程度の能力しかないが、それでもOKなのだ。30%も仕事ができたら十分。その社員に今社長がしている仕事をやって貰う。

10億円企業は自分の30%の能力しか持たない人材を前提に組み立てなければならない。仕事を分解して、複数の担当者で処理するやりかた。つまり分業である。

10億円企業はビジネスモデルという設計図を持っており、そのビジネスモデルをつくるのが社長の仕事である。

社長がいなくても売上が上がり続ける体制に移行できるかどうか。それが10億円企業へ脱皮する鍵だ。


社員教育で売れるしくみをつくる

営業設計では個々の営業マンのセールスパワーアップでなく、もともとスキルの低い営業マンでも売れる為の仕組みをつくる。

社長の必殺トークをアプローチブックとして外出しする。暗黙知だった社長のノウハウを誰もが使えるようにして、社員全員でそのノウハウを共通の武器とすることだ。

3ヶ月で1人前になるプログラムをつくり、導入すること。3ヶ月で自社の理念を語れる様にする。社長がしゃべった話を録音して、社員に配る方法も有効であると。

またクレームにも社長が出ていってはならない。社員で解決できるようでないと会社としての成長がないのだ。


スタープレーヤーをつくる

社員の中からスタープレイヤーをつくる。

船井総研も創業以来25年間は1億円プレーヤーは船井名誉会長、小山社長、佐藤芳直常務の3人に限られていた。しかし五十棲さんが1億円を超えたら、他にも1億円プレイヤーが続出した。

あの人ができるならと闘志を燃やす人も出てくる。できるぞという気持ちが社内を伝わる。

全体の底上げを図るよりもスタープレイヤーをしっかりサポートした方が、会社全体で社員が成長するのだと。スタープレーヤーが育つ環境があれば他の人間も育つのだ。


採用は成功の鍵

10億円企業になろうと思ったら、社長の時間の半分は採用活動に当ててもよいくらいだと。

総務担当と採用担当はわけ、直:間比率は70:30から75:25を目安とすることも、五十棲さんはすすめている。


社長が大黒柱であることは変わりがない

現場から離れてもやっぱり社長が大黒柱だ。

売上高2億円までは一人芝居。10億円企業は劇団。社長は演出家兼劇作家であると。
社長が設計し、社員を動かすのだ。

船井総研社長の小山さんは:
『商品』=『本体的価値』 x 『価格』 x 『サービス』 x 『ブランド』 x 『情報』 x 『理念』
という方程式を使っている。

社長の仕事はその6要素の一つ一つを設計して、『商品』=その会社の『売り』を構築することだ。

筆者も長年商社でトレーダーとして働いてきたので、つい自分で現場に出てしまう。しかし、これでは組織として伸びない。ビジネスモデルで稼ぐのが10億円超企業であり、伸びる企業なのである。

このブログでもベンチャーの社長を中心に紹介してきたが、古くは京セラのアメーバ経営にはじまり、楽天のプロデューサー制度とか、藤田晋氏のサイバーエージェント野尻佳孝氏のテイクアンドギブニーズなど、すべてしくみをうまく構築し、急成長している好例だ。

反省するところしきりである。この本の表紙には『持出禁止』とか書いてあるが、目から鱗の、非常に参考になる本であった。


印象に残る逸話

世界最高のサービスで知られるリッツカールトンホテルは、従業員に2、000ドルまでの決裁権が認められている。現場のその場での素早い対応を制度としてサポートしているのだと。

最高のサービスとは何かを考えた上で、この様な即応のしくみを導入しているのだ。なるほどと思う。


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2005年10月16日

人を動かす人になれ! 日本電産永守さんの人の動かし方 100箇条


「人を動かす人」になれ!―すぐやる、必ずやる、出来るまでやる

小型モーターの世界的企業の日本電産社長の永守重信さんの人の動かし方。

日本電産という会社名を知らない人もいるかもしれないが、モーターで積極的に海外にも事業展開する他、80年代からM&Aでコパルなど約20社を買収、急速に規模を拡大し、最近の業績は次のグラフの通り急拡大している。

日本電産業績


筆者のアルゼンチン時代の友人が銀行から日本電産に転職しているので、そのこともあり読んでみた。

どういったきっかけで永守さんがこの本を書いたのかよくわからないが、永守さんの人の動かし方や日本電産の人の使い方が100項目にわたって2ページづつ見開きで簡略に書かれており、参考になる。

とても100項目全部を紹介するわけにはいかないので、章のタイトルを紹介する。

序章  「一番以外はビリと同じ」と考えろ!
1章  「人を動かすのがうまい人」のこのやり方
2章  指示の出し方 ー 何をどう話すか
3章  叱り方、褒め方  次/佑鯑阿すこのノウハウ
4章  可能性を秘めた人間を見抜く、育てる
5章  女性、中途採用 ー 相手によって手法を変えろ!
6章  叱り方、褒め方◆ 次”下を動かすこのルール
7章  理屈で人は動かない! だから
8章  リーダーの敵は、妥協である
9章  組織を動かす人が絶対知らなければならない「考え方」
10章 1回でダメなら、20回続けよ

いろいろな人の動かし方を書いているが、ポイントをまとめると次のようなところだろう:

1.トップは365日フル稼働。人を動かす人間に土日も盆も正月もない。
2.仕事ほど楽しいことはないと言えるか?
3.すべてはバランス。叱ることと誉めることをバランスよく使う。
4.仕事も人材もベストを求めず、ベターを追求せよ。

永守さんは365日フル稼働。年間30回の海外出張に加え、国内のユーザーまわり、事業所、関連会社訪問で、ウィークデーで本社に出られるのは週に1日か2日。その日も来客や取材などがびっしり詰まっているので、必然的にまとまった仕事ができるのは日曜になる。

日曜の午前中に国内、海外からの100通にものぼるファックスでの報告書を読み、午後から指示が必要なものについてはファックスで返送するのが日課であると。

たった1日の休みもなく働いている。すごい経営者である。誰もが永守さんを尊敬するだろう。だから多少エキセントリックなことがあっても人がついてくるのだろう。


経営者の心構え

永守さんがアメリカ出張時に体調を崩して現地のドクターに調子を聞かれて"Not fine"と言ったとき、ドクターから「経営者がそんな弱気では会社は危ない。いつも"fine"と答えなさい」とアドバイスを受けたというエピソードを紹介する。

経営者や管理者はどんな状況にあっても必ず"I am fine."と言わなければならない。

人を動かす立場にある人間が、たとえわずかでも後ろ向きの考え方をしたり、消極的な態度を見せたときに、下の者はそれを敏感に感じ取り、動かなくなってしまうのだと。


早飯試験

マスコミの人が書評を書いたらエキセントリックなところばかり取り上げるのではないかと思われる部分も多い。

たとえば日本電産は早飯試験、大声試験、便所掃除試験などの入社試験を実施し、このうち一番成功したのが20年前に実施した早飯試験だったと

採用の基準を3大精神、『情熱・熱意・執念』、『知的ハードワーキング』、『すぐやる、必ずやる、できるまでやる』の真の意味を理解し、実践できるかどうかに置いており、100点の学生より60点の学生を採用し、ベストを求めず、ベターを追求する。

これは会社は1人の天才よりも、100人の協調できるガンバリズムを持った凡才によって会社は支えられなければならないという考えに基づくものである。

早飯試験は飯を早く食べる人間は何をやらせても早いに違いない。しかも好き嫌いなく何でも食べられるのは健康な証拠であるという仮説に基づいた試験であり、20年前に実施したが、この時の採用者が現在会社の中軸になっていると。

また日本電産では新入社員は便所掃除を1年間やる。モップ、ブラシなどは一切使わずに素手で便器を掃除するのだ。これこそが品質管理の原点であると。


永守さんの経歴

永守さんは昭和19年に京都の片田舎の農家の6人兄弟の末っ子として生まれた。家が貧しかったので、小さい時から父親に中学を出たら電気屋に丁稚に行けと言われて育つ。

小学校4年の時につくったモーターがクラスで1番良く回ったので、担任の先生がえらくほめてくれた。それが長じてモーターで日本電産を創業する原体験となった。

中学卒業後、京都洛陽工業高校電気科、そして職業訓練大学校(現・職業能力開発大学校)に進む。高校時代は近所の小中学生を集めて塾を開き、かなりお金を貯め株式投資していた。学生時代からバランスシートが読め、会社経営にも役に立ったと。

職業訓練大学校を大学が始まって以来という優秀な成績で卒業し、数年のサラリーマン生活の後、28歳で小型モーターの日本電産を創業した。当初は自宅で設計し、工場は30坪ほどのスペースに旋盤、ボール盤、プレス機を1台ずついれて仲間3名と事業を始めた。

「重さは従来の半分、パワーは倍、消費電力は半分というモーターを作ってくれ」と言われ、死にものぐるいで取り組み、なんとかつくると「たいしたもんだ、まさか、ここまでやってもらえるとは」と感謝される。ここで蓄積した技術力がアメリカ売り込みに役だった。


求められる人材

最後に永守さんが経営人生25年間の集大成と言っている日本電産の「求められる人材」を紹介しておこう。

1.野心のある努力家
2.プライドのある情熱家
3.やり抜くネアカ
4.負けず嫌いの耐心家
5.経営感性を持つ細心家


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2005年10月12日

東洋経済の『IT・ネット業界地図』 楽天とTBSどっちが大きい?全体像を知るには最適のハンドブック

[最新版] IT・ネット業界地図


動きが激しいインターネット、IT・コンピューター、通信・ブロードバンド、エレクトロニクス、コンテンツ業界など国内の25業界、海外の10業界を図説したハンドブック。

楽天のTBSとの経営統合提案

10月13日に楽天がTBSとの経営統合を申し入れたが、楽天とTBS、どっちが時価総額で大きいのか?売上高ではどうか?利益はどうか?TBSの業界での地位は?フジテレビとTBSの比較は?ケーブルテレビのJ-COMとTBSはどっちが大きいのか?等々このハンドブックを見れば一発でわかる。

時価総額だとTBSは楽天の1兆円に対し6,000億円しかない。フジテレビは8,100億円、J-COMは6,320億円。TBSは時価総額ではJ-COMより少ないのだ。(もっとも10月13日一日で1,000億円時価総額が増えたので、TBSは7、000億円となった)

売上高あるいは取扱高と利益では次の通りだ(最新の数字):

       売上高        純利益     経常利益
フジテレビ  4,800億円    228億円   445億円
TBS      2,630億円     91億円   190億円
J-COM    1,600億円    108億円   226億円(営業利益) 
楽天       455億円   ▲143億円   155億円

TBSは長年フジテレビ、日本テレビに次ぐ民放3位の地位を保っていたが、視聴率低迷が続き、昨年テレビ朝日に抜かれてしまい、民放4位で定着しそうな状態だった。

加えてハードディスクレコーダー普及によりCMカットが広まり、マス・マーケティングは死んだと言われる今、ケーブルテレビと異なり、視聴者から直接収入が得られず、広告収入しか頼る道がない民放の経営は実は非常に厳しいものがある。

ひところインターネットは恐竜を絶滅させたと言われる巨大隕石にたとえられたが、下手をすると民放業界が恐竜の様になってしまう恐れもあるのだ。

売上高を見るとまさに小が大を飲み込むという感じがするが、これが成長率を反映した現在の株価をベースにした時価総額の実体なのだろう。


AOLとタイムワーナーの前例

それ以外にも様々な情報がこのハンドブック一冊からわかり、今回の楽天ーTBSのケースを理解するのに本当に役に立つ。

たとえば今回の統合話ですぐに頭に浮かぶのが、筆者がアメリカに駐在していた時の2000年1月に起こったAOLのタイムワーナー合併だ。

当時はダイアルアップ全盛の時代で、AOLは日本のNIFTYとBiglobeを合わせた様な存在で、たぶん全米のインターネットプロバイダーの3〜4割程度のシェアーを持っていたのではないか。

当時筆者はピッツバーグに住んでいたが、AOLの会員ならインスタントメッセンジャーでチャットができるので、オンライン中にサンフランシスコの知人から急にチャットでメッセージが来て、驚いた記憶がある。

AOLを使っていないとなにか仲間はずれな様な気がしたものだ。

その新興勢力のAOLが、ワーナーを吸収合併して間がないタイムを合併したのだ。たしか合併比率も60:40くらいでAOLが大きく、AOLの会長のスティーブ・ケースが30歳台(?)、タイムワーナーのレビン会長が60歳台という、いかにも旧勢力が新勢力に飲まれたという構図だった。

このハンドブックにはタイムワーナーが取り上げられているので、その辺の歴史も書いてある。

その後AOLはブロードバンド化に出遅れ、ケーブルテレビインターネットにシェアーを奪われ、2003年には社名からAOLが消えた。

それでもAOLは会員2千万人の世界最大のISPなので、GoogleがAOLを買収する動きがある。インターネット第二世代の勝者、AOLの名前が消えるのも時間の問題の様だ。

話がそれたが、今回の楽天のTBSとの経営統合提案もAOLのタイムワーナー買収のストーリーを予見させる様な動きだ。

ハンドブックの内容

このハンドブックでは日本のインターネット業界について、eコマース、ネット広告、ネット金融、音楽配信、ポータル(検索サイト)の5業種で、各社の売上高、営業利益が類似業界の主要企業の業績や資本関係と比較して説明してあり、非常にわかりやすい。

たとえば日本のeコマースではYahoo!、楽天の両巨頭の他、ディー・エヌ・エー(ビッダーズ)、ライブドア、専門サイトでGDO、ケンコーコム、情報系でカカクコム、ネット通販のネットプライス、アマゾン(但し全世界)、ケータイのインデックス、ドワンゴ、サイバード、フォーサイド、さらに通販の千趣会、アスクル、ニッセンが1枚の業界地図にまとめられている。

多くの業界で業界全体のグラフも示されており、参考になる。

IT・コンピューター業界はパソコン、コンピューター、ITコンサルティング、ITサービス、半導体の5業種。

通信・ブロードバンド業界は移動体通信、固定電話、ブロードバンド、ブロードバンド映像配信、携帯電話端末の5業種。

エレクトロニクス業界は薄型テレビ1,薄型テレビ2,デジタルカメラ、DVDレコーダー、プリンタ、複写機の5業種。

コンテンツ業界は映画、音楽、放送、アニメ、ゲームの5業種。

海外はeコマース、ポータル、コンピューター、ソフトウェア、通信、携帯電話端末、デジタルオーディオプレイヤー、プリンタ・複写機、映画、メディアコングロマリットの10業種。

音楽業界で日本のオーディオレコードの生産金額は1998年がピークで6、000億円だったが、毎年減少し2004年では3,800億円まで減少している。

減少の主因は若者人口の減少であるとされていると。

音楽配信マーケットが注目されるわけだ。


コラムも秀逸

ところどころはさんであるコラムも面白い。

ライブドアに明日はあるか?

ネットは新聞を飲み込むのか?

シリコンバレーは復活したのか?

本当にICタグは役に立つのか?

革命は繰り返されるのか?(ソフトバンクの携帯電話参入)

インターネット電話の破壊力

次世代DVD規格バトルの行方

地上波デジタル化の光と影

それぞれ鋭い切り口で参考になる。

簡単に読め、それぞれの業界について数字等の引用が必要な場合には大変役立つ。

おすすめハンドブックである。

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2005年10月11日

好き嫌いで人事 松井道夫氏の新たな宣戦布告!

好き嫌いで人事

おやんなさいよでもつまんないよ


今回のあらすじは長いです。

松井証券社長の松井道夫氏の近著。

松井さんの本のネーミングには本当に感心する。前著の『おやんなさいよでもつまんないよ』も秀逸だったが、この本もタイトルから連想される様なワンマン会社の人事の本ではない。

これから飛躍的に拡大する個人の株投資市場で圧倒的なシェアーを取りに行こうという松井道夫氏の宣戦布告本である。

また松井証券の良いところもちゃんと宣伝している。ホリエモンはライブドアの最強のPRマンだが、松井氏も松井証券の最強のPRマンである。自分では凡人だと謙遜するが、着想が良く実行力が抜群で凄い人である。

松井証券は85年間住み慣れた兜町から昨年半蔵門に引っ越したことから話は始まる。官僚主義の兆しが見えたので、大企業病を払拭させるために移転したのだ。

ビジネスの世界はIT革命により集団から個へのパラダイム転換期にある。お客に自社を選んで貰うため、『会社にとっていちばん損する方法』、つまり『顧客がいちばん得する方法』を考えられなければダメなのだ。

顧客に支持されるビジネスの仕組みを提案する会社を目指し、それ以外の社員はいらない。今は2フロアーだが、徹底的に規模を縮小しいずれはワンフロアーにすると。既に松井氏が社長になってから大半の社員は入れ替わり、今は野村、大和、日興、山一などの出身者が多くなっている。

また移転を機会に管理職も30名を15名に減らし、プロジェクトごとに担当部長をもうけるという形にして、アメーバ型組織としている。役員も担当はローテーションで変わる。

そんな社員に向かって松井氏は『給料を貰って働く人間は要らない。働いて給料を貰う人間しか要らない。』と言い続けている。新入社員から全員年俸制とし、ボーナスをなくした。

退職金は奴隷制度だと排し、月給に上乗せ。証券マンなら自分で財を築けと年金制度もない。

社員教育もない。大人を洗脳もできないし、人は囲い込めるものではないからだ。それでも社員が150名なのに14名の証券アナリストがいる。資格を持つ社員の比率は業界でもトップクラスだ。

松井証券の従業員一人あたりの経常利益は1億5千万円で業界でダントツに高いが、これを5億円にすることを目標にしている。


松井証券の躍進

松井氏が日本郵船を辞め、義父が経営している松井証券に入社した18年前の株式取り扱い金額は年間で1,000億円だった。今は1日1,000億円と約300倍である。松井証券は証券ビッグバンの流れに乗り、IT革命の流れに乗り、万年ブービーからはい上がった。

以前のドブ板式、販売員中心の手間の掛かる個人営業から、営業いらずのインターネットに変え、『頑張らなくても良い仕組み』を考えたからこそこれだけの飛躍ができたのである。

1996年 株式保護預かり料の無料化
1997年 店頭株式の手数料半額化
1998年 日本初のインターネット取引ネットストック開始
1999年 新手数料ボックスレートの開始


ボックスレートの導入

世界で初めてボックスレート(定額取引手数料)を開始したが、他社は手数料を値下げして追いつき、今や松井証券の手数料は割高となっている。

あるオンライン証券会社(eトレード証券?)は松井証券の手数料の1/3の水準まで下げ、松井の後追いでサービス入れデイトレーダーを引きつけ、取引量も松井の倍くらいになっている。

利益は松井の半分以下だが、油断していると差を広げられるおそれがあるので、今度は特許を押さえたサービスで対抗すると。オンライン証券で生き残るのは松井とeトレードとあと1社か2社だろうと。


無期限信用取引

2003年に開始した無期限信用取引は、現物取引感覚で信用取引ができるクリーンヒットだった。

それまでは6ヶ月と期間が決められており、6ヶ月で必ず現金決済しなければならなかった。

松井の社員が『一般信用取引』として制度として存在していることに気づき、他社より先に導入した。


拡大する個人の株式投資の構図

証券業界では口座数で規模が比較されるが、ネット証券の数十倍の口座数を持つ大手証券が実際の個人株式取引扱いではネット証券の遙か後塵を拝している。

IT革命により顧客は一人でいくつも口座を持ち、一番都合が良いところを使い回しているのだ。もはや自己中心で『顧客を重視』するのでなく『顧客中心』で世界は回っているのだ。

松井証券は対面とネット取引の両方をそれなりの規模で経験した唯一の会社だ。二万人の顧客を分析してわかったことは、年一回しか売買しなかった人が、ネットの出現により年10回売買するようになったのだ。

当時このことがわかっていたのは松井証券だけで、このデータを元に戦略を考えたのだ。

当時バカにしていた大手証券会社も、最近ボックスレートを松井証券と同じに設定して、無期限信用取引もマネしてきたと。「良いものは取り入れる」と言っているらしいが、返り討ちにしてやると。

ストックで言うと個人投資家の80兆円のうち、オンライン証券会社が預かっているのは5兆円に過ぎない。

しかしその5兆円が平均20回転するので、100兆円のフローを生んでいる。拡大余地はまだまだある。

筆者も同感である。団塊世代が一斉に退職する2007年には100兆円の退職金資産ができるという。この人たちはネットも使い慣れているので、対面式の大手証券会社よりは、オンライン証券に親近感を感じるだろう。

この100兆円の何割かが流れ込んで、1年間に何回転もするだろうゆえ、日本の株式市場はヒートアップ間違いないだろう。以前Great Boom Aheadというアメリカのベビーブーマーの本を紹介したが、日本でもGreat Boom Aheadだと思う。


松井証券の人事=『実力主義』

松井証券は『実力主義』であると。

「実力とは、人間トータルの力量である。個としての従業員が給料をいくらもらっているのか、給料水準に比較して仕事のさばき方はどうか、優しいか厳しいか、暖かいか冷たいか、理論的か感情的か、一緒に仕事をしていると啓発されるか…等々の総和である。」

トータルな人間として接したとき、当然、好悪の情が生まれてくる。この感情が人の実力を図る目安になると。

それが『好き嫌いで決める』と言う根拠であると。

実際には松井証券の評価は社員を3レイヤーにわけて、自己申告、部下からの評価、管理職相互の360度評価、2回の評価面接から構成されている。

これを年二回実施して人事評価が決まる。年俸も実力評価の要素ゆえ、年俸上位30名の年俸は公表している。

年俸は必ず、上がるか下がるかで、同じということはない。

本のタイトルは『好き嫌い』だが、ここまで整備された360度評価を『好き嫌い』とは到底呼べないと思う。


松井証券の役員の待遇

松井証券では社員の役職定年は39歳だ。これを過ぎるといくら長く勤めても役職は上がらない。

自然な新陳代謝で退職するか、役員になるしかないのだ。社員の年俸は300万円から最高が2000万円だが、役員報酬は青天井である。

松井証券の8名の役員の平均年齢は44歳で、松井氏(52歳)と同年齢の一人が平均年齢を引き上げているが、新しく役員に就任するのは30代後半になるケースが多くなる。

役員の任期は1年で、プレッシャーもあるが報酬は世間並みは全く考慮していない。ニッサンのカルロスゴーン方式だ。

筆者は丹羽さんの謙虚さに恐れ入ったが、、松井さんは伊藤忠の丹羽さんが、カローラに乗っているという話は「社長がカローラ(いい車だが…)に乗っていることを誇る『風土』はいったい何なのだろうか?」と語っている。

役員年俸たとえば一億円とかだと、横並びを強く意識する日本の大企業ではありえない。その意味では太く短くか細く長くかどっちもありだな、という気がする。


新たな宣戦布告=IPO引受販売手数料無料宣言!

『頑張らなくても良い方法』を頑張って考えるのが松井証券のやり方だ。顧客が待ってましたと飛びついてくる仕組みである。それを新規公開株(IPO)引受販売手数料の無料化でやると、この本で発表している。

IPOは上場審査を行う主幹事証券会社と、引受販売する幹事証券会社の2種類がある。上場審査は主幹事証券会社に任せ、松井証券は引受手数料無料で、引受販売幹事証券会社のシェアーを狙うのだ。

これには理由がある。

個人向け取引の80%はオンライン証券が握り、大手証券会社のシェアーは20%程度しかない。

大手証券会社は資産家がターゲットで、大多数の一般大衆、個人投資家はターゲットではないのだ。

ところがIPO株の引受シェアーは、大手証券会社に握られ、オンライン証券会社は2〜3%しかない。

IPO株の買い手の大半は個人投資家だが、主幹事の大手証券会社が大半のIPO株を握っているので、オンライン証券会社にIPO株に申し込んでも、抽選で当たる可能性は宝くじに当たる様なものだ。

このボトルネックを解消するためには、オンライン証券会社が少しでも多くのIPO株を引き受ける必要がある。

IPO株の販売手数料は無料で引き受けるので、企業からの手数料収入はないが、投資家はいずれにせよ松井証券で株を売買するので、そこでの商売が広がれば良いという考えである。

初値が売り出し値の数倍が当たり前という現状のIPO株人気は、個人投資家のIPO熱が異常に高まっているのが原因である。

松井証券が多数の個人投資家を引きつけ、IPO株の事前人気が上がれば、企業も安心して株式公開に踏み切れる一方、松井証券も活発な個人投資家を引きつけられるので、非常に良いポイントをついていると思う。


社長として何が一番大事か?

最後に社長として何が一番大事かという質問には「思いこみと開き直り」だと答えることにしている。社長の決断は開き直って決断するしかないと。

時代とのギャップを埋められるのは社長しかいない。その意味で社長の頭の中が最大のコストなのであると。創造的破壊、捨てる決断、いずれも社長の決断でしかできないものだ。

サラリーマン時代は不満は一杯あったが、不安はなかった。社長となって不満はなくなったが不安だらけとなった。

社長と副社長の距離は社長と新入社員の距離よりも遠い。松井氏は『不安との同棲生活』を満喫していると語る。

「面白い時代になったものである。」と。凄い経営者である。


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2005年10月10日

1億稼ぐ!メールマガジン 私の方法 メルマガ長者石田健さんの読者愛!

1億稼ぐ! メールマガジン私の方法 銀行口座380円が2億円になった理由


情報起業―あらゆるビジネスに応用発展可能な「小資本起業ノウハウ」


メルマガビジネスについては、ベストセラーとなった藤井孝一さんの『情報起業』が有名で、この本は読んだ本しか買わないというポリシーの筆者が、昨年買った数少ない本のうちの1冊で大変参考になった。

それにも勝るとも劣らず参考になり、手取り足取りの親切な内容で、やる気を奮い立たせるのがこの石田さんの本だ。筆者が今年買った3冊目の本である。

この本は前半は石田氏のメルマガ成功物語。後半はメルマガ成功のいくつかのノウハウの紹介、最後の付録としてまぐまぐでのメルマガ発行の手引きがついている。

本のタイトルはいかにも売らんかなのキャッチーなものなので、内容が薄い本を実は予想していたのだが、非常に内容の濃い本である。

このあらすじを書くのに2度読み直したが、読み直すたびに石田さんの読者愛というのか、『魂を込めた』メッセージが感じられた

さすが10万人の読者を持つお化けメルマガの発行者だけある。

石田さんの運営しているアカデミアジャパンで、メルマガやアフィリエイトで成功した人たちのノウハウがe-bookの形で販売されている。

石田さんの勧めるものならと、e-bookもセミナーなどのアフィリエイト販売も成功を収めるのもうなずける。


インターネットビジネスの『稼ぎの構造』

石田さんは『ナマケモノの戦略』あるいは『稼ぎの構造』と呼んでいるが、インターネットビジネスではしくみをつくれば自動的に儲かるビジネスができる。それこそ目指す姿なのだ。

必要なツールはパソコン1台のみ。

石田さんは『稼ぎの構造』と呼ぶが、川から水路をいくつも引く様にいろいろな収入源を設けるのだ。

石田さんは翻訳もやっていることから、昨年度の収入は翻訳1億円、e-bookの販売が3,000万円、アフィリエイト収入と広告が3,000万円、家庭教師の紹介、コンサルで4,000万円で、合計2億円だったと。


石田健さんの経歴

著者の石田さんは新潟の有力企業の3代めとして生まれ、早稲田大学を卒業後、アメリカにMBA留学する。しかし帰国すると家業の会社が傾いており、経営職どころかトラック運転手として働かされる。

アメリカ留学でインターネットに親しんでいたこともあり、翻訳と家庭教師紹介のサイトを立ち上げ、独立する前までに毎月20万円から50万円くらいの収入を得る。
2000年に独立したが、その時父親の借金1億円が発覚、石田家は財産をすべて失うことになる。

そんな崖っぷちで考え出したのが、英語新聞を読もうという『毎日1分!英字新聞』というメルマガだ。2000年9月にまぐまぐで発刊した。当時はまぐまぐがすごい勢いで伸びており、まぐまぐの新作ランキングで1位になったことから、配信数は加速度的に増えていった。

メルマガ発刊1年で部数は1万部を超えたが、収入はなかった。そんな時に出てきたのがアフィリエイトだ。英会話教材をメルマガで紹介し、『不労所得』を得た。すばらしい4文字であると。

メルマガの配信部数を伸ばすには次の3通りしかない:
(1)質の良いコンテンツを配信し、口コミで増やす
(2)他のメルマガと相互紹介する
(3)広告料を払って他のメルマガ、媒体で宣伝して貰う

石田氏は試行錯誤の結果、コンテンツで差別化する決心をする。必ず編集後記を書き、相互紹介は1通につき1件だけと決める。

メルマガの配信数増加にともないヘッダー広告等の収入も増え、10万部となった今は広告が60万円、アフィリエイト収入が40万円と合計100万円/月を越える。


金持ちメルマガ、貧乏メルマガ

この本では副業で年収7倍。私が31歳でセミリタイアした方法の畑岡宏光さん、ネットで収入と自由な時間を手に入れる方法田渕隆茂さんとの対談を載せている。

メルマガには貧乏メルマガと金持ちメルマガがあると。配信部数だけの勝負ではない。配信部数が少なくても、魂のこもったメルマガは顧客動員力が違う。その良い例がこのふたりのメルマガ成功者であると。

このふたりのメルマガ成功者も紹介も貰った原稿でなく、すべて自分で書く。だから人が動くのである。単に貰った原稿を載せ、お仕着せ広告ばかりのメルマガは読者の心をつかむことはできない。著者の心が人を動かすのだ。

PCのスクリーンの向こうには数万人の生きたお客様がいて、その人達のオーラ、視線を意識して仕事しなければならないのだ。


メルマガビジネスのススメというより鼓舞(こぶ)

至れり尽くせりの内容で、自分でもメルマガを書いてみようかという気になる。また石田さんのノウハウの集大成という『ザクザク稼ぐメールマガジン』のe-bookは当初1万円で売り出し、今は約3万円するが、興味をそそられる。

「心の中にある成功への扉を開けるか、開けないか。たったそれだけの違いだ」と。

成功するには魂のコアな部分を伝えるメルマガを作ることだと。誰でも心の中は絶えず『振動』しているのだと。金持ちメルマガは自分の中の振動を読者に伝えるのだと。

「理想とする自分を演じろ」と

筆者の場合さしずめ「本好きのただのオッサン」ではなく、「新進気鋭のビジネスブック・レビューアー」となるのだと。

成功するには強い思いが必要だ。生半可な決心では起業はできない。しかしこの本を読むと、なにはともあれ一度メルマガをやってみようかという気になる。

「後は行動あるのみだ」と。そそられる本である。
  
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2005年10月08日

東欧チャンス 大前研一が今度は東欧を推薦! 

東欧チャンス


大前研一の最新作。

『チャイナ・インパクト』で中国は地域国家の集合体として考えるべきとか、中国お客様論、大連での日本語コールセンターとか中国における様々なビジネスアイデアを紹介した大前研一が、今度は東欧を紹介する。

日本ではなじみの薄い地域だが、筆者は仕事の関係で旧ユーゴスラビア(行ったことがあるのは現在のクロアチア、マケドニア)、アルバニア、スロバキア、ロシアを何回か訪問したことがあるので、親しみがある。

それぞれ特色ある国だが、約10年前にスロバキアに初めて出張して、3人で鹿肉料理をメインディッシュに夕食をとり、ワインも飲んで全部で30ドルだったのには驚いた。思わず一人分の料金かとおもったくらい物価が安い。

ポーランド国境のオラバ地方の工場を訪問したのだが、ロシアは公害だらけなのに、スロバキアでは環境対策はしっかりしていた。生活レベルもロシアの田舎より数段上と感じた。

ホテルでは英語はダメだが、ドイツ語はできるとか、ドルはダメだがドイツマルクはOKとか、ドイツの経済圏であるということを痛感した旅だった。


まずは中国の現状分析

中国の反日デモは学生運動のようなもので心配ないが、問題は小泉首相である。中国と仲の良い田中角栄に始まる橋本派を、抵抗勢力と目の敵にして、つぶしていった。また解決困難な領土問題などは、棚上げという手もあるのに白黒つけようとする態度が摩擦を引き起こしている。

中国は将来米国、EUと対抗できる3強となるだろう。日本は中国・韓国と一つの経済圏としてまとまって、米国、EUとわたりあっていくことを考える必要があるとして、故・天谷直弘氏(通産審議官)の『町人国家論』も紹介している。

しかしそうはいっても中国一辺倒で良いのかという見方もあり、本書では昨年5月にEUに加盟したポーランド、チェコ、スロバキア、ハンガリー、スロベニア、エストニア、ラトビアなどの東欧諸国でのビジネスチャンスを説く。


東欧のビジネスメリット

EUなので関税がゼロなこと。安い労働力があること。工場労働者では中国にかなわないが、ホワイトカラー、技術者は能力が高く、定着率も良く、賃金も割安である。

語学力が高く、ドイツ語、あるいは英語の会話が可能な人材が国民の2〜3割いるので、ドイツ語圏等のバックオフィス業務を移転するBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)が盛んである。

さらに国民のほとんどがロシア語ができるので、将来のロシアとの取引の拡大の可能性がある。

人、モノ、サービス、資本の移動の自由が適用されるので、通関が不要で、東欧からポルトガルあるいはイギリスまで国境検問なしでほぼ1日で輸送ができることは大変なメリットである。

25カ国となった拡張EUは人口4億5千万人、GDP合計は米国を上回る12兆ドル。(日本は4.6兆ドル)生活水準、教育水準、購買力も高く、魅力ある市場である。

東欧諸国のウィークポイントは人口が少ないこと。チェコやハンガリーは1、000万人、最大のポーランドでも3,800万人。ポーランドは失業率が20%と高く、まだまだ労働力の供給余力はあるが、それでも東欧からさらに安い労働力を求めてルーマニア、ブルガリア、さらにウクライナなどに移る流れがある。

たとえば労働集約的な自動車用ワイヤーハーネス(電気配線)を製造する矢崎総業は時系列的にスロバキア→チェコ→リトアニア→ルーマニア→ウクライナと次々に工場を建設している。

頭脳集約的な業務はホワイトカラーの質が高い東欧に。安い労働力が必要な製造業はさらに南東欧かCISなどの周辺国を利用するか、半製品を中国から輸入して、付加価値をつけてEUに無税で輸出する。このような戦略を取れるのが東欧の大きな魅力である。

Building Wealth: The New Rules for Individuals, Companies, and Nations in a Knowledge-Based Economy


レスター・サローの"Building Wealth"を思い出す。宇宙から見た場合、地球上で文化が発達し、裕福で教育水準が高い人が多く住んでいる最も魅力的な場所。それがEUだ。


バルト3国

まずはバルト3国から。筆者は今まで50程度の国を訪問したことがあるが、同じように見える3国が、これだけ違うとは知らなかった。

エストニアはフィンランド、ラトビアはスウェーデン、リトアニアはデンマークとのつながりが深い。それぞれ人種も歴史も異なるのだ。


チェコ

チェコは伝統的に機械産業、特に自動車に強い。

余談となるが筆者の友人の祖父が戦前三菱商事(?)に勤めており、チェコから機関銃を輸入した時、いくつかの機関銃の部品をバラバラにして混ぜ、再度組み立てるとすべてぴったり合ったと。

当時の日本の機関銃は部品の精度が悪く、他の銃の部品とまぜるとちゃんと合わない銃が続出したそうで、やすりで削ってなんとか一丁の銃にしていた由。チェコの機械産業のレベルに驚いたという話だった。

チェコの自動車メーカーシュコダは1839年創業。兵器製造を手がけ、戦前は戦車も作っていた。2000年にフォルクスワーゲンの100%子会社となったが、国内向けブランドは依然シュコダを使っている。シュコダとはギター侍ではないが『残念』という意味だそうだ。

東欧でのBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)の代表例が会計・コンサルグループのアクセンチュアのバックオフィスだ。東欧人は言語能力に優れ、教育レベルが高いので、EU向けのBPOには最適なのだ。

全世界で間接部門の人間を1万5千人かかえ、プラハには900人いるが、これを2,500人まで増やす予定だ

チェコへの外国投資では日本はドイツについで2番目である。

日本からの投資促進に大きな貢献をしているのが、チェコインベストという投資誘致機関である。日本には横浜にオフィスがある。チェコインベストはワンストップサービスを提供でき、すべての政府の手続きの窓口になったり、地元企業を紹介してくれる。

チェコにはボヘミアングラスとか観光資源とか優秀な工業力の他にも外貨を獲得できる手段に恵まれている。筆者はスロバキアには数回行ったが、チェコにはまだ行ったことがない。是非観光で行きたいものだ。

松下電器はイギリスがユーロに加盟しないため、為替の乱高下が経営を圧迫したので、ウェールズのカーディフにあったテレビ工場を、チェコに移し成功している。チェコの輸出大手10社には松下が入っているほどだ。

日本からは1991年に進出した旭硝子を皮切りに、松下電器、三菱電機、京セラ、シマノなど141社が進出。

トヨタもPSA(プジョー・シトロエン)と合弁で30万台規模の工場を建設し、2005年から生産を開始する。

これを機にデンソー、アイシン精機、豊田工機なども進出した。

トヨタのヨーロッパ進出は1964年のポルトガル工場の後は長年動きがなく、ヨーロッパでは他社の後塵を拝していたが、1992年の英国、1994年のトルコ、続いてフランス、ポーランド、チェコと矢継ぎ早に工場を建設しており、2007年のロシア工場でとりあえず完結する。

日本企業にとってもチェコは活動しやすい国の様である。


スロバキア

チェコが工業国であるのに対して、スロバキアは農業国であるが、製鉄所や軍需産業もある。US Steelが買収したコジッチェ製鉄所は見事立ち直り、米国からの民間ベースの経済支援の好例とジャック・ウェルチが近著『ウィニング』の中でほめている。

このコジッチェ製鉄所は筆者の新日鐵の友人がドイツ駐在時代に訪問し、鋼板の平坦度に驚いたという話をしていた事を思い出す。薄い鉄板を全く波打たないように圧延するのは難しいのだ。以前から技術は非常に高いものを持っていた。

スロバキアにはフォルクスワーゲンが進出し、30万台のポロ、ゴルフを組み立てている。プジョー、起亜産業も進出し工場を建設中だ。

日本企業では矢崎総業、ソニー、松下電器、住友電装など19社が進出している。


ハンガリー

ハンガリーは今までに13名のノーベル賞受賞者を出しており、人口が1,000万人しかいないことを考えると人口比世界一だ。理数系教育レベルの高さは定評があり、大学・研究機関も充実している。外国投資のNo. 1はアメリカで、GE、アルコア、IBM等が進出している。

ハンガリー出身の有名人というと、インテルのアンディ・グローブ、投資家のジョージ・ソロスなどがいる。

ハンガリーはエレクトロニクス工業が発達していることから、テレビでサムスン、TCL、海信など、携帯電話のノキアが進出している。

EMS(受託生産)では元国営企業のVIDEOTONが部品から外枠まで製品を一貫生産しており、製造業ではダントツの大手だ。

この本ではGRAFISOFTというCAD(コンピューターを使ってのデザイン)ソフトの会社を紹介している。創業者でCEOのガレロ氏は東京工業大学に留学した経歴の持ち主。他にも日本語が話せるスタッフが多い。製品のアーキCADは日本で9万4千円で売っているが、もっと高く売るべきだと大前氏はすすめる。

ハンガリーにはチェコに次ぐ87社の日本企業が進出しており、筆頭が1991年に進出したマジャール・スズキ、他にソニー、三洋電機、TDKなどがある。

マジャール・スズキはスロバキア国境に近いロケーションで、年産9万台の車を生産している。

主力のスイフトはハンガリーでは1万1千ユーロ(160万円前後)で普通のハンガリー人でも十分手の届く価格だ。従業員の2割は賃金の安いスロバキア人だ。

三洋電機はノキアの携帯電話向けのバッテリーを生産するためにリチウムイオン電池などを生産している。

ちなみにハンガリー人とルーマニア人は仲が良くないということはこの本で初めて知った。行ってみなければわからないものだ。


ポーランド

ポーランドは鉱工業が中心だったが、造船などの古い産業は北、自動車やエレクトロニクスなどはチェコ国境に近い南部と分かれている。フォルクスワーゲン、フィアット、トヨタ、オペル、大宇が進出している。

フィアット本体は赤字でリストラ中だが、ポーランドのフィアットは好調だ。デルファイ、バレオ、マネットマレリなどの自動車関連メーカーの誘致にも成功している

伝統的にフランス、移民の関係からアメリカと親密であり、外国からの投資もフランス、オランダ、アメリカという順番となっている。

隣国ドイツは4番目にとどまっている。

ポーランドには74社、トヨタ、いすゞ、ブリジストン、デンソー、住友電工、日本精工などの日本企業が進出している。

トヨタはロシアのプーチン大統領の出身地サンクトペテルブルグにも年産5万台規模の工場を建設しており、東欧の部品が多く使われる事になるだろう。

大前氏のおすすめは加工食品業だ。

ポーランドの豚肉は競争力が高く、加工食品はすでに輸出品の2位になっており、ポーリッシュハム・ソーセージなどが有名だ。

アメリカのスミスフィールド社が買収したANIMEX社と住友商事が代理店契約を交わし、鶏肉などを日本に輸入している。ANIMEX社はアメリカでも人気のある高級ハムブランドの『クラカス・ハム』のメーカーだ。

ANIMEX社はダウンと馬肉も日本に輸出しており、日本の羽毛の多くはポーランドのダウンが使われており、輸入馬刺の6割はポーランド産だ。


ブルガリア・ルーマニア

ブルガリアはヨーグルトで有名だが、ダノン、ネッスルなどの国際食品企業が進出してきている。

ブルガリア出身の琴欧州が大関を狙って頑張っているが、筆者の先輩の福井宏一郎氏が今年銀行出身者として約50年ぶりに大使になったことでも有名である。

南東欧ではNATOには加盟したブルガリアとルーマニアが労働力も安く、農業も盛んで工業力もあり注目株だ。2007年1月には両国ともEUに加盟する予定だ。

ルーマニアには自動車関連の矢崎総業、住友電工・住友電装、光洋精工などが進出している。

一人あたりGDPで見るとチェコ、ハンガリーが1万ドルでギリシャ、ポルトガルと同水準。スロバキアが7千ドル、ポーランドが6千ドルとメキシコと同水準である。ルーマニア、ブルガリアは4千から3千ドルで、アルゼンチン、ブラジルなどと同水準である。


以上東欧を各国ごとに見てみたが、矢崎総業、住友電工のワイヤーハーネスメーカー2社の進出がめざましいことを初めて知った。パイオニア精神を持った企業だと思う。

たしかに東欧はEUの玄関口としてチャンスだと思う。


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2005年10月07日

エキスペリエンツ7 堺屋太一の団塊世代定年後ストーリー

エキスペリエンツ7 団塊の7人

団塊の世代


『団塊の世代』から30年、団塊という言葉をつくった堺屋太一の最新作。

団塊の世代が60歳を迎え、ごっそり退職する2007年問題が世間の注目を集めるようになってきているが、この小説はその団塊世代の7人が退職後、英知を結集して、意義のある仕事に取り組むというストーリー。

元銀行員、建築家、元広告代理店のイベントのプロ、流通業に強い元商社マン、NPO代表、そばやの女将さん、元銀行お抱え運転手の1946年から1949年(昭和21年から24年)生まれの7人がひょんなことから、共通の目的のため力を合わせることになる。

小説なので、あらすじを紹介してしまうと面白みがなくなるので控えるが、500ページ超の大作ながら、スラスラと読める。

元通産省の堺屋太一氏だけあって、経産省が非常に力を入れている駅前商店街の再生プロジェクトを題材にあげている。

実際様々な補助金が商店街にはあるのだが、それでも到底追いつかない様な状況の商店街が多い中で、このストーリーの様に再生できれば地域の活性化に役立つだろう、

この本の中で、高齢化には3種類あると。

第1は若者が出てしまって高齢者だけが残された残留型高齢化。地方の農村に多い

第2は多摩や千里のニュータウンの様に短期間に開発入居が行われたため、居住者の年齢の幅が狭い一斉高齢化

第3は長い期間に日本社会全体と同じ様なテンポで進む混合型高齢化

日本では第1と第2のタイプが先行したため、高齢化といえば農村型かニュータウン型を思い浮かべがちだが、第3のタイプは高齢化のテンポが全く異なると。

この理由から地域の再開発を商店街の再生と結びつけて推進しようとする。

それにしても感じるのはサラリーマンなど会社人は、会社をやめればただの人で良いのだろうかという点。

たしかにHappy Retirementという言葉もあり、会社をやめてからは、あくせく働きたくないという気持ちも分からないではない。

だからといって多くが無職か年収100万円程度の隠居仕事的なことをやっていて社会として本当に良いのだろうかという疑問がわく。

今の50代、60代は昔の40代、50代と同じくらいエネルギッシュである。パソコンも使えるし、インターネットにも親しんでいる人が多い。

日本社会の高齢化が進むなかで、今まで社会の中軸で活躍してきた人たちが60歳になったからといって、それから何十年も非生産階級になって良いのだろうか?

50代になっても、60代になっても自分のスキルアップを心がけ、様々な可能性に挑戦し、自分の能力開発を怠らない人たちこそ、日本社会に必要なのではないだろうか。

そんなことを感じさせる本である。

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