2006年04月29日

道をひらく 松下幸之助バイブル 毎日1ページ読む本

道をひらく


松下幸之助の1968年発行の累計400万部を越える超ベストセラー。

松下幸之助の言葉を紹介した江口克彦さんの『成功の法則』に刺激を受け、松下幸之助の代表作を読んでみた。

カーネギーの『道は開ける』は英語のオーディオブックで読んだ(聞いた)が、同じ様なタイトルで日本ではカーネギーの本以上に売れている松下幸之助の本があるとは知らなかった。

自分の不勉強を反省している。


道は開ける 新装版


この本は図書館で借りて読んだが、結論から言うと借りて読む本ではない。

松下幸之助が雑誌PHPの裏表紙に連載してきた短文のなかから、121編を選んでまとめたものなので、見開き2ページで一つの話となっている。

借りた本は1988年発行の第1版63刷だが、ポケット聖書の様な装丁だ。

手許に置いて毎日一つの話を読むというための装丁だ。

121編にものぼる短文集なので、いちいちあらすじを紹介できないが、印象に残った2つを紹介しておこう。

尚、以下はあらすじではない。一部省略してコンパクトにしたが、原文のままである。


働き方のくふう

額に汗して働く姿は尊い。だがいつまでも額に汗して働くのは知恵のない話である。

人より1時間、よけいに働くことは尊い。努力である。勤勉である。だが、今までよりも1時間少なく働いて、今まで以上の成果を上げることも、また尊い。

そこに人間の働き方の進歩があるのではなかろうか。

それは創意がなくてはできない。くふうがなくてはできない。怠けろというのではない。楽をするくふうをしろというのである。

楽々と働いて、なおすばらしい成果があげられる働き方を、おたがいにもっとくふうしたいというのである。そこから社会の繁栄も生まれてくるだろう。


手を合わす

うどんの値段は同じであっても、客を大事にしてくれる店、まごころこもった親切な店には、人は自然に寄りついてくる。その反対に、客をぞんざいにし、礼儀もなければ作法もない。そんな店には、人の足は自然と遠ざかる。

客が食べ終わって出ていく後ろ姿に、しんそこ、ありがたく手を合わせて拝むような心持ち、そんな心持ちのうどん屋さんは、必ず成功するのである。

親切で、うまくて、早くて、そして客の後ろ姿に手を合わす ー この心がけの大切さは、何もうどん屋さんだけに限らないであろう。お互いによく考えたい。


シンプルだが、商売あるいは経営に携わる者にとって忘れてはならないことである。
筆者も早速アマゾンで注文した。自分のデスクに置き、毎日一話ずつ読んでいこうと思う。


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2006年04月28日

ザ・プロフェッショナル 大前研一の予言 日本でもプロフェッショナルクラスが台頭する

ザ・プロフェッショナル


大前研一は好きな著者の一人なので、このブログでも多く紹介してきたが、今回の本では大前さんは、プロフェッショナルクラスが日本でも台頭してくると予言する。

次回紹介する松下幸之助の400万部超のベストセラー『道をひらく』によると、「プロとは、その道をわが職業としている専門家のことである。職業専門家とは、つまりその道において、一人前にメシが食える、ということである」と定義しているが、これは40年前、1968年の定義であり、大前さんは、いわば『プロ中のプロ』という意味でプロフェッショナルを定義する。

プロフェッショナルは専門性の高い知識とスキル、高い倫理観はもとより、例外なき顧客第一主義、あくなき好奇心と向上心、そして厳格な規律、これらをもれなく兼ね備えた人材だと。

『顧客の顧客』に目を配っている人、己の技量を一生かけて磨き続けてしまう人、日本人大リーガーであればイチローと松井秀喜がプロフェッショナルだと大前さんは語る。


プロフェッショナルに必要な力

プロフェッショナルの必要な力は次の通りであると;

1.先見する力

2.構想する力

3.議論する力

4.矛盾に適応する力

それぞれ具体例を紹介し、大前さんは説明しているが、上記表題だけ読んでも大体想像ができると思う。


松下幸之助の影響

以前紹介した松下幸之助の言葉を集めた『成功の法則』を読むまで気が付かなかったが、大前さんもかなり松下幸之助に影響を受けている。

いままで多くの大前さんの著作を読んできたが、松下幸之助の逸話はあまり印象に残っていない。たぶん単に筆者が読みすごしていただけだろう。

前回紹介した柳田邦男氏の『もう一度読みたかった本』再読のすすめにならって、大前さんの代表作も再度読み直してみようと思う。

この本でもソニーの盛田さん、オムロンの立石一真さんとともに、松下幸之助のエピソードがいくつか紹介されている。

松下幸之助は質問の上手な経営者だったと。難しい意志決定に直面した時は、必ず3人以上の社員を呼んで、「それはなぜか」と質問を繰り返し、問題の本質を見極め、自分の判断に最も近い考えをする社員に権限を持たせた。

松下幸之助はいい加減な妥協はしないことの重要性を説いた。得心がいかない時は、仕事を進めず、時機を得て、完璧を期すのだと。アメリカ企業からの技術導入でもこれを貫いた。納得できなければ合意しなかったのだ。

この話は誰かの本で以前読んだことがある。たしかオーティスエレベーターとの合弁会社設立の話だったと思う。

また松下幸之助は経営が内包する矛盾をよく理解し、見事な決断をする経営者だった。

ホームビデオ開発のVHSが良い例だ。松下はフィリップスと一緒にV2000を開発していたが、子会社のビクターはVHSを開発。松下幸之助は700名くらいの技術者の意見に耳を傾け、V2000を断念してVHSに社運をかけるという意志決定をした。

既に数百億円投じたV2000をドブに捨て、自己のエゴを捨て、ソニーに勝つという信念のもと、みずから築いた家電王国をまもるベストの選択をした。

どんなにすばらしいビジネスプランでも、「必ず成功する」という強い信念がなければ、ビジネスは成就しないと大前さんは説く。まさに松下幸之助のダム理論の通り、それに影響された稲盛和夫さんの教え通りである。

かつての日本の経営者には強い信念と覚悟があったが、最近の経営者には欠けていると大前さんは言う。カルロス・ゴーンやマツダのジェームズ・ミラーはかつて世界が賞賛した日本の経営者の『忘れ形見』であるとまで言っている。

筆者ももっと松下幸之助を研究してみようと思う。


面白いストーリーが紹介されているので、一度手にとってみて頂きたいが、印象に残った話をいくつか紹介する。


リクルートのカンニバリゼーション

リクルートはライバル事業を社内に興して成長している。

リクナビは圧倒的な強さを見せているが、かつて就職情報は紙媒体が主だった時、リクルートの創始者の江副さんは「どうせ淘汰されるなら、リクルートの人間に淘汰してもらいたい」と紙媒体からインターネットへの転換を語っていたと。

自分で自分を否定するところからリクルートの成功は始まったのだ。


マルチプル経済

この本はまだライブドアの粉飾決算が公になる前の2005年9月に出版されている。

ライブドアとフジテレビについて大前さんは、経営を知らないホリエモンが、フジテレビのスーパー・ゼネラリストとして誉れの高かった日枝久会長を、赤子の手をひねるように土下座させたと表現している。

経営を知っている人よりも、知らない人のほうが経済に大きなインパクトを与える。これがマルチプル経済であると。

実体の収益力よりも市場の成長性、会社の将来性で、会社の評価は収益力の何十倍にもなっているのだ。このようなマルチプル経済下では、通常ありえないことが起こる時代である。


松下幸之助の偉大さを改めて感じた大前さんの近作だった。


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2006年04月23日

もう一度読みたかった本 柳田邦男の再読のすすめ 

もう一度読みたかった本


今回紹介する柳田邦男の『もう一度読みたかった本』は柳田邦男氏の個人的なセレクションの解説とあらすじ集なので、そのまたあらすじを紹介することはしないが、筆者には意外な感じのセレクションだった。

平凡社の『月刊百科』という雑誌に、柳田邦男氏が毎月『もう一度読みたかった本』という題で紹介した24冊の名作にまつわる柳田邦男氏自身の思い出、エピソードと、あらすじを集めた本だ。

柳田邦男氏は古希(70歳)になったということだが、この本も団塊世代前後の人が、かつて青春時代に読んだ本を『もう一度読みたい本』として挙げると思われる、いわゆる『青春時代の必読書』を予想していたのだ。

しかし筆者が必読書と思っていた本はあまり含まれておらず、同じ作家の違う本がセレクションに加えられているケースばかりだった。

青春時代の必読書』とか漠然と言っても、人ごとにセレクションは異なるだろうし、また年代毎に異なるとは思うが、それにしても柳田さんの年代なら、この作家のこれははずせないだろうという本が含まれていない。

なぜだかよくわからないが、柳田さんはあえて、その作家の有名になりすぎた不朽の名作はあえて避けたのか、あるいは本当に個人的に思いこみがある作品を集めたのか、どちらかなのだろう。

その人ごとに『もう一度読みたかった本』が、これほど異なるとは新しい発見だった。

たとえば最初の井上靖の『あすなろ物語』だ。


あすなろ物語


『蒼き狼』とか、『天平の甍』とか、『敦煌』『楼蘭』の西域もの、あるいは繰り返しドラマ化されている『氷壁』などが、筆者なら必ず挙げる井上靖セレクションだが、柳田さんのセレクションは異なる。


蒼き狼



天平の甍



敦煌


もともと柳田さんが個人的に思い入れが強い本の選集なので、一般的ではないのが当たり前なのだろうが、やや違和感を感じた。

同様にヘルマン・ヘッセは『車輪の下』ではなく、その前身・姉妹編とも言える『ペーター・カーメンチント』。


車輪の下


トーマス・マンは代表作の『魔の山』ではなく初期の作品の『トニオ・クレエゲル』。


魔の山〈上〉


太宰治は超有名な代表作『人間失格』ではなく初期の『ダス・ゲマイネ』という風だ。


人間失格


今回柳田さんが挙げている24冊のうち、筆者が読んだことがあるのは4冊しかなかった。

筆者は井上靖なら『蒼き狼』か『天平の甍』をもう一度読みたい。

この本に紹介されているからといって『あすなろ物語』を初めて読む気にはあまりならない。

筆者は中学・高校時代はあまり本を読まなかったものだから、大学時代は1日1冊をいわばノルマとして、4年間で1,000冊以上の本を読み、社会人となってからも読書を続けているので、幅広いジャンルの本をかなり読んだつもりになっていた。

しかし、この本を読んで4勝20敗という結果を突きつけられると、いかに自分の読書が偏った分野で、まだまだ読んでいない名作がたくさんあることを思い知らされた。

いずれリタイアした後は図書館にでも通って、いままで読んだことがなかった名作の読書三昧で過ごそうと漠然と考えている人も多いと思うが、そんな時にはたぶん柳田さんのセレクションが役立つだろう。

筆者の様にこのセレクションが心に響かなかった人もいれば、柳田さんのセレクションがピーンとくる人もいるだろう。

いずれにせよ、それぞれが『もう一度読みたかった本』を読んではどうか、というのが柳田さんの提案なのだと思う。

ある意味刺激を受けた本だった。ご興味のある方、特に団塊前後の世代の方は一度手にとって、セレクションに目を通されることをおすすめする。


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2006年04月15日

成功の法則 初めて読んだ松下幸之助の純金の言葉 感動で眠れませんでした

成功の法則―松下幸之助はなぜ成功したのか


(今回のあらすじは長いです)

ブログの更新に間があいてしまったが、実は長年貯めたユナイテッドのマイレージを24万マイル使って、家族4人で春休みを利用してサンフランシスコに旅行していた。

今回の帰りのフライトの中では3冊の本が読めたが、その内の一冊が松下幸之助の言葉を集めた『成功の法則』だ。

筆者は長年ビジネス書を中心に読んできたが、松下幸之助の本は読んだ事がなかった。

この本は松下幸之助自身が書いた本ではないが、松下幸之助の晩年22年間にわたり、ほとんど毎日朝から晩まで一緒に仕事をしてきたPHP研究所社長の江口克彦さんが、松下幸之助の教えを厳選して構成し、どうすれば成功できるのかという問いに答えようとするものだ。

帰りの飛行機の中で、この本を読んでいて感動で涙がにじんでくるとともに、全く眠れなかった。

今までカーネギーやスティーブン・コビーなどアメリカのビジネス書、稲盛和夫、大前研一、堺屋太一、野口悠紀夫などの数々のビジネス書を読破してきたと思いこんでいた自分が、『モグリ』であることがわかり、恥ずかしくなった。

松下幸之助は1989年に亡くなっているので死後17年たつが、全世界で何十万人もの人を雇用する松下グループの経営のみならず、PHP研究所を通しての文化活動、私財70億円を投じて始めた松下政経塾が前原前民主党代表や自民党の逢坂、伊藤副大臣はじめ、国会議員を多く輩出し、日本をより良い国へと変える原動力となりつつある。

松下幸之助は人類のよりよき未来の為にと語っているが、その残した功績は『永遠に不滅』といえるほど偉大である。

この本が最高なのは、松下幸之助のやわらかい和歌山弁のいいまわしをそのまま使って、松下幸之助自身が読者に直接語りかけてる様に構成してあることだ。

頭にスッと入ることといい、日本を代表する名経営者の発言をかいつまんで、わかりやすく構成していることといい、本当に絶妙である。


成功への道は一つ

江口さんは、まず成功の定義から入る。

たとえ金持ちにもならず、有名にならなかったとしても、持って生まれた人間的能力を100%発揮したとすれば、その人は成功したと言えるのではないかと。

松下幸之助はよく次のように話していた。

「きみなあ、成功の道というものは、いろいろの行き方があるけどね。でも結局のところ、おおむね同じじゃないかと思う。多少の違いはあっても、成功の道すじ、軌道というのは、だいたいにおいて決まっている。いわば共通性があるということや」

「だからその軌道から離れたら、みな失敗の道になっていく。個性によって多少違いはあるけれども、成功への道は一つだという感じがするな」

その成功法則を江口さんは次の6つの構成要素に分けて説明している。

1.熱意を持てば成功する
2.感動を与えられれば成功する
3.些細(ささい)を積み重ねれば成功する
4.育てる心を持てば成功する
5.責任を自覚すれば成功する
6.人間観を正しく持てば成功する

印象に残ったストーリーを紹介しよう。


熱意を持てば成功する

最初に出てくるのが熱意だ。

松下幸之助の有名な『ダム経営』というのは、川にダムをつくり水をためる様に、企業も余裕のある経営をしようという松下幸之助の持論だ。

ある講演会で、聴衆からどうすればダムができるのかを聞かれ、松下幸之助は「やはりまず大切なのは、ダム経営をやろうと思うことですな」と答えた。

会場からはなんだそんな事かと失笑が起こったが、聴衆の一人だった京セラの稲盛和夫さんは衝撃を受けた。

「何か簡単な方法を教えてくれというような生半可な考えでは経営はできない。まず『そうありたい、自分は経営をこうしよう』という強い願望を持つことが大切なのだ。そのことを松下さんが言っておられるのだと感じたとき非常に感動した」のだと。

正しい熱意のあるところ、必ず成功の道が開けてくる。自分の仕事を心底、好きになる事も必須である。

シンプルではあるが、真実を捉え、奥深い言葉だ。

筆者は『必ずできると思わないと100%失敗する』といつも言っているが、熱意と心の持ちよう、実際に信じ込むことが成功の不可欠要素であることは間違いないと思う。

松下さんのシンプルな言葉に稲盛さん同様、深い感動を覚えた。


感動を与えられれば成功する

松下さんの晩年22年間ほとんど毎日、朝から晩まで仕えた江口さんは、松下さんの「きみの声を聞きたかったんや」という一言で、この人の為ならどんなことでもなし遂げようと思った。

人に感動を与えることができれば、人はあなたのために動いてくれる様になる。人を感動させることができれば、成功への道は限りなく近くなるのだと。

江口さんがコロリときた言葉に次がある。

「きみ、身体に十分、気いつけや。わしはな、160歳まで生きるつもりや。それまで仕事をきみに手伝ってほしいんや。そうしてもらわんと、できへんのや。きみに手伝ってもらわんとあかんのに、わしより早く逝ったらあかんで」

一日の疲れは、大変な感動とともに、この言葉でいっぺんに吹き飛んでしまったものだと。


弱さからの出発

松下幸之助は小学校4年中退である。もともと素封家(そほうか)の家に生まれたが、父親が米相場に手を出して失敗し、いっぺんに貧困に陥り、家族みんなで大阪に働きに出ねばならず、帰る故郷もなくなった。さらに松下幸之助が28歳までに、親兄弟10人全員結核で死んでしまう。

松下幸之助自身も20歳の時に、肺結核の初期症状の肺尖カタルにかかり、結核にはならなかったものの、40歳過ぎくらいまでは寝たり起きたりの状態で、ずっと体に気を付けながらの94歳の生涯だった。

「衆知を集めて経営をしたのも、わしが学校出てなかったからやな。幸いにして、学校へ行っていないから、人に尋ねる以外ないことになり、それで経営も商売も、人に尋ねながらやってきた。それがうまくいったんやな」

「そう考えると、今日の、商売におけるわしの成功は、わし自身が凡人だったからと言えるやろな」

江口さんは、成功をめざす者は自分の弱さを認識し、平凡なことを誠実に熱意を持って積み重ねることによって、本当の強さを生み出していこうとすべきであるとまとめている。


部下の話を聞く

「ところで、きみ、部下の話に耳を傾けるということは大切やで。部下の話をきくと、えらい得をするよ」

部下に尋ねる、耳を傾けてほめる。内容よりも、来てくれた誠意をまずほめる。

「部下の話を聞くときに、心がけないといかんことは、部下の話の内容を評価して良いとか悪いとか言ったらあかん、ということやな。部下が責任者と話をする。提案を持ってきてくれる、その誠意と努力と勇気をほめんといかん」

「いい意見やな」

「きみの話は面白いな」

「そうすると部下はそれからなお勉強して、どんどん責任者のところへ話とか情報とか提案とか、そういう知恵を持ってきてくれるようになるんや。なんでもいいから部下に知恵を持ってきてもらう。それが大事やね」

江口さんは松下幸之助の言葉はメッキではなく、純金だったと。きわめて平凡なことばを使いながらも、相手の心を打つ。本当に思うことを、本当のことばで話していた。だからこそ多くの人が感動したのだろうと。

またたとえ他人から批判されても、大切な意見として聞けばその時批判は助言に変わるのだ。

「いい意見が聞けた。ありがたかったな。あの人の言うとおりや」と松下幸之助に言われると、批判していた人も「やっぱり松下さんは偉いねえ」と考えも変わってしまうのだった。


努力か運命か 反省と自責

「努力か運命か?運命が90パーセント、しかし残りの10%がその船の舵(かじ)となる」

「運命が90パーセントだから努力しなくていいということにはならんね。けれども、努力したから必ず成功すると考えてもあかんよ。しかし成功するには必ず努力が必要なんや」

「つまり、舵となる10パーセントでの人事の尽し方いかんによって、90パーセントの運命の現れ方が異なってくる」

松下幸之助は、物事がうまく運んだときは、「これは、運がよかったのだ」と考え、うまくいかなかったときは「その原因は自分にある」と考えるようにしてきたと。

「誰でもそうやけど、反省する人はきっと成功するな。ほんとうに正しく反省する。そうすると次になにをすべきか、なにをしたらいかんか、ということがきちんとわかるからな。それで成長していくわけや。人間として」。

松下幸之助は1日の終わり、寝る前の1時間をその日の反省に当てよとよく言っていたと。


些細(ささい)を積み重ねれば成功する

「きみ、電気ストーブのスイッチ、切れや」江口さんは松下幸之助から初めて注意された時に驚いたと。松下グループの総帥ともあろう人が、ストーブのスイッチを切るようなことにも一々指示を出す。

京都東山山麓の私邸『真々庵』でのもてなし前の細かい気配り、『人間を考える』という本を作ったときの100回を超える校正。細かい気配りは枚挙にいとまがない。

松下幸之助が最もよく受ける質問は、成功の秘訣についてというものだった。

理想を掲げることと、一歩一歩些細を積み重ねていくことが松下幸之助の成功の秘訣の車輪の両輪であった。

「正直なところ、私はそう遠い計画性を持ってやっておらなかったと思います。まあ、その日その日を大事に仕事をしてきたということが、私をして今日を成さしめたように思うのであります。」

と講演でも松下幸之助は語っていた。

一歩一歩を積み上げてというのは、あまりにも平凡ではあるが、その平凡なことを何十年も続け、些細を積み重ねるならば非凡な結果に変わるということだ。

私たちはついこの当たり前のことを忘れがちになるが、些細の積み重ねにこそ、成功の近道があるのだと江口さんは語る。


成功の秘訣は天地自然の理による

成功の秘訣は、「天地自然の理によるんですわ」、「雨が降れば、傘をさす、ということですわ」とも松下幸之助は答えていたと。

「経営はもともと成功するようになっておる。それが成功しないのは、経営者が自然の理法に則って仕事を進めておらんからや。やるべきことをやる。なすべからざることはやらない。そうしたことをキチッとやっておれば、経営は一面簡単なものや」

松下幸之助は素直な心になることであるという。

江口さんの体験に基づいた話がある。

有名な仏師の松久宗琳師は、テレビの取材に対して「自分は仏を彫っていない」と語ったと。

怪訝そうなインタビューアーに対して松久師は次に様に語ったと。

「木の中に、仏さまが見えるのです。だから私は、もともと木の中にいらっしゃる仏さまの、その周りの埃(ほこり)を取り払っているだけで、彫っているのではないのです」

松下幸之助の言う『素直な心』も同じ境地だ。

稲盛和夫さんは「私心なかりしや」と自問していたと表現していたが、同じことだろう。だから反省が大事なのだ。


経営の第一ボタン

「人間は偉大な存在である。いわばこの宇宙においては王者だ。ええか、きみ、経営をしておっても、どの人も王者だ、という考え方を根底に持っておらんとあかん。そこが大事やで」

「社員の誰に対しても、ああ、この人はすばらしい存在なんや、偉大な力を持った人なんやと考えないといかんね」

「それを、これはたいした人間ではないとか、何も知らない新入社員やとか、力のないつまらない人やとか、そんな考えで、社員と話をしたらだめやな。むしろ、部下が偉く見える、という気分にならんとな」

「経営者にとっていちばん大事なのは、この人間観やな。この人間観は経営における第一ボタンやな。早い話、掛け違えるときちんと服がきれんと同じやがな」

経営の第一ボタン』という表現も秀逸で、まさに金言である。経営者のみならず、社会で生きるものは決して忘れてはいけない松下幸之助の遺言だと思う。


部下を育てられない上司は失格

「昔話で桃太郎というのがあるやろ。猿とキジと犬。みんな違うわね。違うから、それぞれの役割が生まれ、違うから鬼退治ができたわけやね」

個性豊かな社員をどう活用していくか、これが経営者の腕のみせどころである。

部下を育てられない人に責任者たる資格はない。

部下を育てるポイントは、”下にものをたずねる、∧針を明確に示す、8限を委譲する、ご尭阿気擦襪裡瓦弔任△襪函

特に重要なのは、方針を明確に示すことだ。


方針を明確に示す

方針を松下幸之助は3つにわけていた。基本理念、具体的目標、理想だ。

「わしはいままで長いあいだ経営というものに携わってきたけれど、方針というものをいつも明確にしてきたな。こういう考え方で経営をやるんだ、こういう具体的な目標を持って経営を進めるんだ、こういう夢をもっていこうやないか、と常に従業員たちに話し続けてきたんや」

松下幸之助は方針の土台となる基本理念から外れることを決して許さなかった。

江口さんが、方針に沿って成功したときは、大変ほめられた。

「きみは、わし以上の経営者や」

家に帰るとまた電話が掛かってきて。

「ようやった。大成功やったな」

方針に沿って失敗したときには慰めてくれた。

「きみ、心配せんでいいで」「あとはわしが引き受ける」

方針に沿わずして要領よく成功したときは、全くの無視。

方針に沿わずして失敗したときは、最悪。立たされたまま3時間を超える叱責だったと。

方針がはっきりせず、ただ細かい注意だけをする人が上司であれば、部下はやる気を失い、その部門が停滞してしまうことは必定であろうと江口さんは語る。

方針がはっきりしていればこそ、部下は力強く自由な活動ができるのである。まさに金言、筆者も肝に銘じます。


使命感

「経営者の心がまえとして、要求されるものはいろいろあると思うけれども、いちばん肝心なものというならば、経営についての使命感というものやな」

「基本となる使命感を、どの程度に持てるか、どの程度に自覚するかによって、経営のいっさいに変化が生じてくるからな」

「商売をするものの使命感は貧をなくすこと、貧をなくして人々を救うことや。この世から貧をなくすことがわしらの使命なんや。そこで悟ったんやな。わしなりに」

「そしてこれがわしの経営を進める基本の考えになった。そういうことがあって、わしは自分の事業を一段と力強く進めることができるようになったんや」


人間を考える―新しい人間観の提唱・真の人間道を求めて


松下幸之助が完成したら死んでもいいと言って書いた本は『商売を考える』でもなく、『経営を考える』でもなく、『人間を考える』だった。松下幸之助が常に考えていたのは、人類の幸せだった。

この考えからつくったのが、PHP研究所であり、松下政経塾だ。

偉大な経営者であり、人道主義者でもある松下幸之助。その松下幸之助が直接語りかけてくれる教えが、この『成功の法則』だ。これが文庫なら540円で手に入る。

これほど安い自己投資はない。

是非是非一読をおすすめする。


追記:

あらすじが長くなりすぎるので、江口さんが好んで引用される「ハーマン・カーンて人知っているか」を3日続けて質問されたエピソードは続きを読むに記載した。松下幸之助の部下を育てる愛情がよくわかるので、ご興味あればご覧頂きたい。

また最後まで読んで頂いた方に、文庫版では見あたらない稲盛和夫さんの推薦の言葉を引用する。

「著者の江口克彦氏は、20数年にわたり松下幸之助さんの側近くで仕え、薫陶(くんとう)を受けてこられた。晩年の松下さんが、自分の遺志を託そうとした人物であることは、本書に収められたエピソードの行間から、自然と感じ取れる」

「私も生前、松下さんとは何回もお目にかかり、さまざまな教えを受けてきたが、その深い思索を実用的にまとめた本書は、成功への手引き書であるとともに、人生の手引き書としても、読者の参考になるだろう」

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