2006年06月27日

グーグルを越える日 ネットにアットホームなコミュニティをつくるオーケイウェイブ

グーグルを超える日 オーケイウェブの挑戦


2006年6月27日追記: 

オーケイウェイブが先週名古屋セントレックス市場で株式公開した。初日は売り出し値より高く、初値がついたが、その後初値を割っている。OK Web(オーケイウェブ)からOK Wave(オーケイウェイブ)とサービス名を変え、やっと上場したが、収益力が疑問だと見られているようだ。

上場を記念(?)して、昨年紹介したオーケイウェイブの兼元社長の本の紹介を再掲する。尚、社名・サービス名が変わったので、文中のOK WebはOK Waveと変更した。


前回OK Waveの『教えてください!!』を紹介したので、同時期に発売されたOKWave社長の兼元(かねもと)さんの本を紹介する。

兼元謙任さんについてはこのブログのヒルズな人たちで簡単に紹介したが、ネットに人間味を吹き込んだ信念の人である。

この本のタイトルの『グーグルを越える』も、普段から誰彼となく言っているそうだが、兼元氏の志の高さがわかる。

OK Waveは現在従業員55人の会社。OK Waveのミッションと信条は次の通りである:


OK Waveのミッション

1.Q&Aインフォメディアリ(情報仲介者)のNo. 1となり世界知識資産を構築する

2.世界一大きな助け合いの場を創造している

3.世界一早い回答を提供できる窓口を構築している

4.世界一多くのQ&Aをつくり出している

5.世界一多くの人々、企業にQ&Aサービスを提供している


OK Waveの信条

1.私達は『世界知識資産』を創造させていただきます

2.私達は質問と回答を中心とした情報仲介の分野においてNo. 1を目指します

3.私達は上記1,2においてお客様、ご利用者に十分喜んでいただけるサービス、
ツールを提供させていただきます

4.私達は喜びをもって、一つ一つの仕事を完遂させていただきます

5.私達はお客様が対価に応じて通常望む、二倍以上の成果を提供するよう努めさせていただきます


兼元さんの経歴

愛知県で在日韓国人として生まれ、後に日本国籍を取得した。在日と意識したのは小学校の頃、区役所で指紋捺印をさせられた時だと。

孫さんと同様、生い立ちからくる『なにくそ』という反骨心、さらに小さい頃から体が弱かったので弱い者いじめにもあい、これに対する負けん気がエンジンだ。

大学は愛知県立芸術大学デザイン学部に進学。デザインは本来みんなの意見をどう取り入れるかというもので、自分の作りたいものをつくる芸術とは違うという考えから、仲間とグローバルブレインという組織をつくり、愛知県の環境デザインなどいろいろな賞を受賞する。

三菱自動車への就職が内定していたが、単位が足りず留年。翌年京都のデザイン研究所に就職。名古屋の建設会社に転職し、結婚、子供も産まれる。

その後独立し、25歳ころから体調が良くなったが、グローバルブレインの仲間割れなどがあり精神的にも追いつめられ、このころ奥さんから離婚届けを突きつけられる。

東京で一旗揚げるためにソフマップの社長を頼って上京。

お金がないので、表参道の児童公園、麻布に近い児童公園で野宿し、宿代を節約しながら必死でデザインの仕事をこなした。

このころQ&Aというスタイルを思いついたが、実際に当時の電子掲示板に投稿してみると、『こんな事も知らないのか』と、つまはじきされるという体験をする。

気軽にわからないことを教えあい困っている人を助けるコミュニケーションシステムを誕生させることが自分の使命であると考え、1999年にOK Waveを設立。資金集めを始めた。

しかし儲かるビジネスモデルを考えないとダメということで、見事にベンチャーキャピタルからはすべて断られる。

しかたなく、自分で月2万円のレンタルサーバーを借りる。資金もなくプログラム作成に困っていたところ、たまたま友人に紹介された外人プログラマーが無償で二週間でプロトタイプまでつくってくれ、2000年1月にOK Waveとして無償Q&Aサービスをスタート。

起業家支援に熱心な会計事務所の向ヶ丘遊園の無料共同オフィスで仕事をスタート。住所不定ではまずいので、名古屋から妻子を呼び寄せ、町田に家を借りて引っ越した。(蛇足ながら筆者も町田に住んでいるので親近感を感じる)


OK Waveの目的

社会起業家―社会責任ビジネスの新しい潮流


OK Waveの目的について説明するために、兼元さんは『社会起業家』という言葉を使っている。

『社会起業家』とは(1)『働くという行為』を単に金を稼ぐ手段としてでなく、自己実現の場だと考えている、(2)『何のために生きているか』の答えとして事業を興している企業家である。

兼元さんは人を助けたいという思いからQ&Aコミュニティを始め、究極的には誰もがあらゆるポータルから困ったときに質問して回答をもらえる『世界知識資産』の開設を目指している。

あらゆる人のあらゆる疑問を解決し、あらゆる望みをかなえられる機会を提供することを使命に、インターネットによって社会の発展に寄与したいと。Q&Aは情報のコンビニだとも言っている。

ビジネスを通じて社会を変えていきたい。インターネットで世の中を良くしたい。それが『社会起業家』の兼元氏の考えである。


OK Waveの特徴

OK Waveは2005年5月で会員37万人。月間300万人以上が訪れ、ページビューは1億/月。

350のカテゴリーに分かれており、質問を投稿するとそのカテゴリーに登録してる会員にメールで質問が連絡が行き、あるいはサイトでその質問を見た会員が回答を寄せるという簡単な仕組みである。

筆者自身も自分で会員になって驚いたのだが、何の報酬もなくとも、単に人を助けられた、小さな親切をしたという満足感で回答する人が集まっており、苦品質の役に立つ回答を効率的に得られる優れた仕組みである。

『グーグルを越える』と言っているのは検索とQ&Aの違いからである。

検索はあくまでマニュアル化された情報で『形式知』だけだが、Q&Aなら『暗黙知』が伝えられる。

グーグルもグーグルアンサーズを始めているが、有料で専門の調査員に聞くという形で、まだ試行錯誤状態の様だ。

いずれ検索エンジンは限界が来て、インターネットでつながった人間のパワーを使って解決に導く仕組みが必ず求められるはずである。それが『グーグルを越える』という目標に込められた思いである。

OK Waveは特許も出願しており、これは質問をデータベース化してインデックスをつける技術の様だ。


兼元さんの人脈

筆者も愛読している評論家の田坂広志氏は『OK Waveは知識のイーベイだ』と語っているそうだ。

製造業向けネット市場のNCネットワーク社長も支援者の一人だ。

楽天の三木谷さんも投資家として登場する。

三木谷さんは『面白そうだからあしたそっちの会社に行く』ということで来社した。

『僕らも創業のころはこんなところでやっていたんだよ。いいねえ。将来的にはどうするの?』

『これを世界に広めていきたいと思っています』

『うん、わかった』という具合で、3分で立ち去り、同日投資すると回答があった。

楽天の4000万円を筆頭に他に、サイバーの藤田晋さんが2000万円、インプレスの塚本社長他も投資し、1億円強の資金を調達し、システム売りでなく、ASP事業としてサポートセンターの人件費一人分程度という価格設定で事業を拡大した。


OK Waveの発展

当初のヘルプデスクの機能はユーザーの質問を全社員が見られ、気が付いた者から回答を入れるというものだったが、引き合いは多いのに、全く売れなかった。

そこで『FAQを充実させて取い合わせを減らすツール』ということで発想を変えると、爆発的に売れ、ニッサン、ヤマハ、ソニー、日本航空、東京ガスなど大手150社に導入された。

ナレッジマネージメントの社内ツールとしても住友生命に『スミセイ 教えて!答えて!ドットコム』を販売、社内情報共有ツールとして一躍注目を浴びた。


兼元さんの信条

兼元さんが経営者として注目しているのはワタミの渡邉美樹社長であると。ワタミは『地球人類の人間性向上のためのよりよい環境をつくり、よりよいきっかけを提供する』ことを会社のミッションとして掲げている。

『やられた』と思ったと。

ライブドアのホリエモンは『はっきりいってつまらない』と。

このブログでも紹介したが『稼ぐが勝ち』の『人の心はお金で買える。中略。人を動かすのはお金です』発言が兼元さんと相容れないのだ。

兼元さんはジョン・レノンのイマジンに強く影響されているそうだ。イマジンの歌詞のようにdreamer(夢想家)だがBut I am not the only oneだ。

これからも広がって欲しい、また必ず広がるはずのサービスである。


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2006年06月26日

人は見た目が9割 本はタイトルが9割かも

人は見た目が9割


次回に紹介する『国家の品格』など、最近立て続けにヒットを出している新潮新書のベストセラー。

さいふうめい』というペンネームでマンガの原作を書いている竹内一郎氏の本だ。竹内氏は舞台演出家でもある。

トリビアの泉ではないが、『へぇー』っというネタがいくつかあるが、タイトルに惹かれて読むと、結局何の本だったかよくわからないという印象を持つ。

人は見た目が9割という根拠は、アメリカの心理学者アルバート・マレービアン博士が他人から受け取る情報の割合について次のような実験結果を発表しているからだ:

顔の表情 : 55%
声の質、大きさ、テンポ : 38%
話す言葉の内容 : 7%

これがこの本のタイトルの『人は見た目が9割』の根拠になっている。

この9割という数字には、あまり納得性があるとは思えないが、いずれにせよノン・バーバルコミュニケーション(言葉以外の伝達)が重要だという竹内さんの主張には同感である。

アメリカの大統領選挙の公開討論では「まばたきの多い方が世論調査で負ける」とか、なぜか百姓は東北弁(水戸黄門がどこに旅しても百姓は「ごぜえますだ」だ)とか、女がウソをついた時は相手をじっと見つめて取り繕うとするとか、「そういわれてみればそうか」と思う点があり、読んでいて面白い。

最初が本のタイトルになっている「人は見た目が9割」に関する話で、それ以外の部分はマンガについての話が多い。


いくつか印象に残った点を紹介しておく。

竹内さんは本よりマンガの方がよく売れていることも文字と絵の組み合わせの方が、受け手に理解されやすく、伝達力が高いからだと語る。

マンガはなぜモノクロかの理由は、水墨画の持つ「省略の美」がマンガ読者の「読むリズム」をつくりやすいからだと竹内さんは推測している。

筆者も米国に駐在していたが、たしかに日本の少年マガジンや少年ジャンプ、あるいはコロコロコミックの様な分厚い漫画本は見たことがない。コストが安いモノクロで多くの作品やページを載せるというのが、日本の読者に受けており、読むペースにあっているのだろう。

背景を変えることや、吹き出しの文字の大きさを変えること、アングルや絵の傾きを変えることなど、マンガの表現力や強い印象を与えるやり方を様々な例を使いながら説明しており、なるほどと面白い。

第7章の「良い間、悪い間、抜けている間」では、話しかけるタイミングの悪い人が増えたのは、ネット社会の影響だろうと竹内さんはコメントしている。演劇やマンガに於ける『間』について説明している。

また第8章の「トイレの距離、恋愛の距離」では距離で人間関係を説明している。

アメリカの文化人類学者エドワード・ホールによると、次の種類の距離があると。

密接距離(45センチ以下)夫婦や恋人の距離

個体距離(45センチ以上120センチ以下)親しい間柄

社会距離(120センチから360センチ)仕事上のつきあいの距離

公衆距離(360センチ以上)

これらの距離を人とのつきあい方で応用するのだ。

たとえば若い人が恋を成就させたいのなら、あまり離れてはいけないし、近づきすぎてもいけないのだと。


本のタイトルの「人は見た目が9割」に関するところは最初の部分だけだが、全体として面白い読み物に仕上がっている。ベストセラーとなるゆえんだろう。

まずは立ち読みをおすすめする。


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2006年06月24日

歌舞伎はエンターテインメントだ!(あたりまえか?)

2006年6月23日追記:

今年も『親子で楽しむ歌舞伎教室』が国立劇場で7月中旬に開催される。一流の歌舞伎役者が出演するにもかかわらず、大人2,000円、子供1,000円と格安だ。

筆者も予約したが、本物の歌舞伎を見る良い機会なので、昨年の投稿を再掲して、ご興味のある方におすすめする。



歌舞伎教室

筆者はいままで歌舞伎を見たことがなかった。

長年商社で働いているので、外国の取引先の人が来日したときに、歌舞伎のチケットを取ってあげたことはあるが、自分では見たことがなかった。

家内は大学の時には歌舞伎愛好会(?)の様なものに参加していたので、ちょくちょく見ていた様だが、結婚してから一緒に行くことはなかった。

というより筆者があまり関心がなかったので、歌舞伎を見に行こうという話にならなかったのが実際のところだ。

7月に国立劇場で歌舞伎鑑賞教室というのが開かれたので、家内がチケットを予約して、家族全員で歌舞伎を鑑賞した。

歌舞伎を見たことがない小学生・中学生も含めた初心者向けのプログラムで、歌舞伎俳優が舞台や音楽、応援のやりかたまで至れり尽くせりの内容だった。

解説の市川笑三郎がヒロシの芸の出だしは歌舞伎の出だしと同じとして、ヒロシのテーマ曲を紹介したのには笑ってしまったが、『開かれた歌舞伎』をめざし、子供のファンを増やす努力をしている姿には頭が下がる。

今回の出し物の義経千本桜は早変わりあり、花吹雪の中をケーブルでつり上げられての空中退場ありで、エンターテイメントとしても一級品。

日本語のわからない外国の取引先の人が好んで歌舞伎を訪れていたことも、なるほどと思える。

7月24日で今回の歌舞伎鑑賞教室は終了してしまったのが残念だが、また別の出し物で同様の企画が出てくると思うので、ご興味のある方は国立劇場のサイトを時々チェックされることをおすすめする。

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2006年06月19日

愚直に実行せよ! 中谷巌のリーダーシップ論

愚直に実行せよ! 人と組織を動かすリーダー論


多摩大学学長で、三菱UFJリサーチ&コンサルティング理事長などを兼任する中谷巌さんの近著。

中谷さんは一橋大学教授の時にソニーの取締役に招聘されたが、当時は公務員の兼業が認められていなかったので、一橋大学を辞任してソニーの取締役に就任したことで有名だ。

新たに刊行されたPHPビジネス新書のトップコンサルタント揃い踏みの一冊だ。

もともと『21世紀のリーダーシップ論』として『PHPビジネスレビュー』に連載したものをまとめたもの。

中谷さんが語るリーダーの基本は次の4つだ。

1.高い「志」があること

2.明確なビジョンや戦略を持ち、それを明確に説明する力があること

3.変革実現に向けて愚直に実行する粘りがあること

4.リーダーが理想実現のために身をもって示すこと

リーダーは自分でリーダーになろうと思ってそうなるのではなく、身をもって示しているうちにいつの間にか他人によってリーダーにさせられてしまう、そういう存在であると。

そういう状況が生まれてくると、それがさらにリーダーにエネルギーを与え、身をもって示す行動に拍車がかかり、ますます支持者が増えていく。

リーダーと支持者がだんだんと一体化し、互いにより大きな行動へと輪が広がっていく。こういうリーダーと支持者の一体化こそ変革を成功させる最終的な条件となると中谷さんは語る。

中谷さんは多摩大学で『四十代CEO育成講座』を立ち上げ、塾頭としてグローバルに通用するビジネス・リーダーの育成に情熱を傾けてきた。この本のかなりの部分は、その講座で出逢った塾生、講師、同志との知的格闘によるものである。


1.「志」がある
リーダーに求められる第一の資質は「志」があることである。大きな「志」がなく、私利私欲だけで動く人間はすぐ見透かされてしまい、人はついてこない。

「志」の背後にある考え方は、おそらく「自分の存在は他人によって支えられている」、「自分が今日あるのは自分だけの力ではない、周りの人たちが自分を支え、そのおかげでここまでこれたのだ」という感謝の念ではないだろうかと中谷さんは語る。

立派な「志」を持つには世界観、人間観がしっかりしていなくてはならない。

人間とはいかなる存在か、人間は何のために生きているのか、人間社会のあるべき姿はどういうものか、など自分なりの世界観、人間観がしっかりしていないと、なにが問題なのかという肝心のものが見えてこないし、問題意識も出てこない。

その意味では、「志」を持つためには経営戦略論とかマーケティングなどのスキル系の知識だけでは不十分で、むしろ大切なのは人間そのものに深い愛情と好奇心を持っていることであり、そのためには、教養を磨かなければならない。

高等教育は受けていなくても教養のある人はたくさんいると松下幸之助を例にだしているが、中谷さんも松下幸之助の影響を強く受けている様だ。


2.ビジョンと説明能力がある
ビジョンは「志」を具体的な行動に落としこむために必要になる。明確なシナリオを描き、その中身をしっかりとしたロジックに基づいて他人に共感を呼ぶ形で説明できること。これがビジョンと説明能力である。

目的地は誰にでもわかる簡潔明瞭なものでなければならないと。

なぜその目的地に着くことが重要なのか、その目的地に着くための最も有効な方策は何か。リーダーは誰もが納得する方法でこういったことを簡潔明瞭に説明できなければならない。どんなすばらしい思いを持っていても、人々が共鳴できる説明能力がリーダーになければ人に理解されず、改革は失敗に終わる。

3.愚直な実行力がある
リーダーは必ずしもカリスマ性がある必要はない。

カリスマ性はないが、現場によく足を運び、自分の成し遂げようとしていることが現場レベルでしっかりと実行に移されているかどうか、とことんこだわる人。

派手さはないが、目標にこだわり、あくまで愚直にそれを実行する人。

こういうリーダーこそ、実はリーダーとして尊敬され、人々の信望を集めているというケースは少なくない。

逆に構想力やビジョンを描く能力に秀でていても、そのことを発表し、命令してしまえばあとは部下の仕事だとばかりに、現場にもろくに出向かないし、自分のビジョンが予定通り着実に実行されているかを数字だけでチェックすればよいと考えているリーダーは、多くの場合、長期的な意味では失敗している。

特に日本型リーダーは現場にしょっちゅう足を運び、現場の人々に我々のリーダーは本気で自分たちと一緒にやろうとしていると現場の人々に感じされることが重要である。

日本の様に組織の末端で仕事をしている人ですら、組織全体のパフォーマンスに関心を持ち、自分たちの力で問題を克服しなければと感じる当事者意識の高い文化風土のなかでは、リーダーが現場に関心を持ち、常に現場と接触を保つ行為は非常に重要である。

4.身をもって示す姿勢がある
リーダーになるための第四の条件は、コミットメント(決意)である。「このリーダーは口先で言っているのではない、本気でやるつもりだ」と思わせることが必要だ。

命令だけして、自分は遊んでいるリーダーに、誰が命を投げ出してくれるだろうか。本気だと思わせる明確な行動が必要なのである。

リーダーのコミットメントという話でよく引き合いに出されるのがウィリアム征服王であると。

ウィリアム征服王はたった12,000人の兵士で遠征し、軍がイギリス海峡を渡り終えたあと、船をすべて焼き払うように命令した。

リーダーの決意が本物であることを知った兵士は、パワー全開し、150万人を擁するアングロ・サクソンを征服したのだ。


リーダーには人間観、人間愛、世界観が重要だという考えに基づき、様々な具体例が紹介されている。

カルロス・ゴーンのニッサンでの文化適合型行動。ゴーン改革は従業員に当事者意識を持たせ、V字回復で、成果を早く出して様子見派を味方につけ、手柄を独り占めにしなかったことで成功した。

リーダーたるもの、教養を身につけよと中谷さんは語る。

たとえばワインの知識、歴代の日本の首相のフランス訪問のワインから、日本の首相のランキングがわかりますかと。

日本の歴史に関する深い知識、パレスチナ問題、日本文化等々。

身をもって示す例では歌舞伎の『菅原伝授手習鑑』の4段目寺子屋の菅原道真の子供を救うために、自らの息子を身代わりに差し出す究極の自己犠牲を挙げている。

子を持つ親として、聞きたいストーリーではないが、歌舞伎を一回しか見たことがない筆者にとって、勉強になった。機会があれば是非鑑賞したいものだ。

リーダーシップについて学べ、なおかつ教養がつく得難い本であった。


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2006年06月17日

即戦力の磨き方 大前研一の最近の著作のダイジェスト

即戦力の磨き方


堀紘一さんの著書でもふれたが、トップコンサルタント揃い踏みで、最近刊行されたPHPビジネス新書の新刊である。

PHPの本はアマゾンでなかみ検索ができるので、一度目次などを見て頂きたい。

大前研一氏の著作でいつも感心するのは、ほとんどネタの使い回しがないことだ。

このブログでもこの1年半で大前氏の著書を10冊以上紹介しているが、常にネタは新鮮で、あくなき探求心に頭が下がる。

その大前氏のここ1−2年の著作で紹介したネタを一冊にまとめたのがこの本だ。

大前さんは即戦力を磨くには次の力をつけろと語る。

1.語学力
2.財務力
3.問題解決力

たしか別の著作では3番目にIT活用力を挙げていたが、今回は問題解決力としている。

この3つ以外にこの本では勉強法とマッキンゼー式会話術を紹介している。

『ザ・プロフェッショナル』という本を以前紹介したので、できればご参照願いたいが、21世紀の新しい大陸で生き残れるのは真のプロフェッショナルだけであると。

大前さんの勉強術では60歳より先の人生を考えて勉強せよと説く。

毎年テーマを決めて集中的に勉強し、その分野の専門家をしのぐ本が書ける様になるというのが大前さんの勉強法だ。

2002年から続けて『チャイナ・インパクト』とか『中国シフト』、『中華連邦』という中国3部作を出版したが、これも大前さんの勉強の成果であると。

最近は『東欧チャンス』、今はトルコを研究していると。

当ブログでは大前さんの多くの本のあらすじを紹介済みなので、この本の詳しいあらすじは紹介しないが、手軽に読め、大前さんの最近のネタがまとめて紹介されているので便利だ。

大前さんの最近の考えを1冊で知りたいという人には是非おすすめできる本だ。


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2006年06月15日

突破力! 日本を代表する経営コンサルタント堀紘一さんの悩み相談室

突破力! 仕事の「壁」は、こうして破れ


ボストンコンサルティンググループ(BCG)の日本支社長時代、マッキンゼーの大前研一氏と並び立つトップコンサルタントとして活躍していた堀紘一さんの近著。

大前研一、中谷巌、御立尚資氏などの本を一挙に出版したPHPビジネス新書の新刊だ。

BCG社退職後ベンチャービジネス支援のドリームインキュベーターを設立、昨年東証一部上場を果たし、最近社長を退いた。

一時は大前さんと並ぶ多作だった。最近は著書の数は減っているが、筆者の好きな著者の一人だ。

この本は雑誌『THE21』に連載されている堀さんの「堀紘一のビジネスマンに喝!」という主に20代、30代の読者の悩み相談をまとめたものだ。

いろいろな質問をつぎの4カテゴリーにまとめている。

1.仕事に対する突破力
2.人間関係に対する突破力
3.キャリアに対する突破力
4.人生に対する突破力

それぞれにつき、印象に残った部分を紹介する。

1.仕事に対する突破力
  仕事の壁を突破する大原則はつねに「原因は自分にある」と考えてみることだ。人のせい、会社のせい、時代のせいにしていては能力は絶対に高まらないと。

  20代、30代のうちは、何か問題があったとき、その原因の矢印を自分に向ける癖をつけておいてほしい。最初のうちは苦痛に感じるかもしれないが、かえってそのほうが悩み少なき人生を送れることを、堀さんは約束するとまで言っている。  

まさに松下幸之助の「反省する人は成長する」の通りである。

  世の中には『自責』と『他責』の人がいるが、『自責』の人になるべきであると自分の反省も含めて筆者も思う。

2.人間関係に対する突破力
  ビジネスパーソンが成功するかどうかは、能力以上に人間的な魅力で決まってくる、とくに、「可愛げ」のないヤツは、絶対に成功しないと断言しても良いと。上司に可愛がられ、取引先に可愛がられ、部下や後輩たちにも「厳しいけど、何となく憎めない」と思われるようになることが必要だと堀さんは語る。

  松下幸之助も「運と愛嬌」が成功する人の条件だと言っていると。田原総一郎のインタビューで「いくら能力があっても、愛嬌のない人間はあきませんわ。愛嬌、人をひきつける、明るい魅力ですな。それがない人間はあきまへんわ。」と語っている。

  また部下を教育する上でもっとも重要なことは、部下を「説得」することではなく、部下に「納得」してもらうことであると。

  ただしそれには、時間も根気もいるというのがポイントだ。そうしたリーダーとしての責務をまっとうしていく気持ちがあれば、やがて後輩もあなたの意をくんで成長し、職場の雰囲気もよくなっていくだろうと堀さんはアドバイスする。

3.キャリアに対する突破力
  堀さんがおすすめしたいのは、60歳からの逆算法だと。まず、自分が60歳になったときに、どんな人間になっていたいかをイメージしてみる。そこから逆算していくと、50代のときはこうなっていなければならない。40代にはこうなっていなければならない。そうすると20代、30代のときに何をすべきかはっきりしてくると。

  「本は初めから読むけれど、経営は終わりからやるのだ」というのはユニクロの柳井正さんが推薦する本の最も印象に残った部分だ。たしか米国の国際電話企業ITTの会長を務めたハワード・ジュニンさんという人の本だったと思う。

4.人生に対する突破力
  人生なんて、どうせ間違いの連続だ。しかし、その間違いから人は学んで賢くなる。20代、30代は「失敗のしどき」なのだと。

  仕事でも恋愛でも「たくさん失敗しなければ、大した人生は送れない」と肝に銘じて、つねに前を向いていって欲しいと。

  毎日の仕事が面白くないのは、その人自身が工夫を怠っているからにほかならないというのが堀さんの持論である。お茶くみだろうがなんだろうが、つねに新しい課題を自分で見つけて挑戦していけば、仕事はますます面白いものになっていく。

  そうした努力もせずに、仕事に飽きたからというのはあまりに考えが安易であると。


サッと読めるし、読み物として面白い。日本を代表するトップコンサルタントの堀さんの日頃の考え方がよくわかるおすすめの本である。


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2006年06月12日

ザ・サーチ ウェブ進化論で話題のグーグルの歴史

ザ・サーチ グーグルが世界を変えた


ベストセラーになっている梅田望夫さんの『ウェブ進化論』にもしばしば引用されているグーグルの歴史を詳しく説明した本。

グーグルのビジョンは「世界中の情報を組織化し、それをあまねく誰からでもアクセスできるようにすること」だと梅田さんは紹介しており、世界で最も注目されている企業の一つだ。

著者のジョン・バッテル氏はアメリカのインターネット業界紙Wiredの共同創刊者であり、グーグルと検索業界の歴史を400ページにもわたって詳述している。

バッテル氏は、エピローグで「検索ボックスに自分の名前を打ち込み、不安げにその結果を待ったことがあるあなたへ」と呼びかけ、古代アッシリア文明のギルガメシュ叙事詩に関連して次のように書いている。

「粘土に刻まれて不滅となることは、ビットとなりウェブに移されて不滅になることは、果たしてなにを意味するのだろうか…。検索も、同じ不滅の痕跡…。かつて先人たちが石に物語を刻んだように、現代のわたしたちは、グーグルなどのインデックスに、永遠に生き続けるのではないか」

このブログでも亡き友の名前で検索して、訪問される人が時々おられる。サーチワードで亡き友の名前を見るたびに、筆者も『不滅の痕跡』を感じている。


グーグル前

インターネットの検索はクローラー、インデックス、クレリープロセッサの3つから成り立っている。クローラーが取得したウェブ上の情報を、インデックスをつけて蓄積し、クエリープロセッサでユーザーが入力した検索ワードを順番をつけてアウトプットするという基本構造だ。

インターネット検索は1990年のカナダの学生が開発したアーチーが最初で、ネバダ大学の学生が開発したベロニカ、MITのワンダラーと続き、後にコンパックに買収されるDECのアルタビスタと続く。

アルタビスタ検索はDECが自社製高性能64ビットコンピューターアルファサーバーの使い道として開発した用途だった。実は筆者の会社の初代のシステムはこのアルファサーバーを使って構築されており、その意味でも感慨を感じる。

Yahoo!の検索エンジンは、1990年代後半はアルタビスタ、次にインクトゥミ、グーグルと変わっていく。

Yahoo!はジェリー・ヤンとデビッド・ファイロの二人が1994年に"Akebono"という相撲の曙から名前を取ったホームページをスタートさせ、これが1995年に名前を変えてYahoo!となる。


グーグル誕生

スタンフォード大学院博士課程のコンピューターサイエンスに在籍していたラリー・ペイジとセルゲイ・プリンが逆リンクに基づいた検索技術とページのランキングシステムを開発し、1996年8月にGoogle Version 1.0がスタンフォードのウェブサイトでスタートした。

GoogleはGoogol(10の100乗、天文学的数字)にちなんで名付けられた。

検索エンジンには多大なコンピューターのリソースが必要だが、彼らは新しいコンピューターを買う金がなかったので、余った部品と機材で作り上げたコンピューターを使ってサービスをスタートした。

このDIY精神でつちかった独自OSと、しくみが、数万台の巨大システムを使った分散型コンピューティングを可能としたのだ。

1998年9月にペイジがCEO、ブリンが社長となってグーグル株式会社がスタートした。

1999年には2大ベンチャーキャピタルのクライナーとセコイアからの投資を含め1億ドルの資金を得て、クライナーのパートナーでシリコンバレーを代表するベンチャーキャピタリストジョン・ドアー(John Doerr)とセコイアのパートナーマイケル・モリッツが役員として加わった。

検索で儲けるにはバナー広告が一番簡単だが、それをやると恐ろしくページの負荷と画像処理時間が増えるという理由で、グーグルのホームページには広告が一切ない。モリッツの表現を借りればこの『広告アレルギー』に立ってグーグルはビジネスモデルを捜すことになった。


オーバーチュアの誕生とグーグルの台頭

検索連動型広告でグーグルと競合するオーバーチュアは、アイデアラボというネットベンチャー育成会社を持つビル・グロスが1998年に設立したGOTO.COMが母体だ。

初期の検索エンジンはスパムに弱く、何を検索してもアダルトが出てくるという状態だったので、スパムを消す必要コストを広告主に負担して貰おうという発想で検索連動型広告は始まった。

当初、キーワードを1セントから上限2ドルと設定したところ、広告主は急増した。

自社サイトのみならず、他社に検索連動型広告をシンジケーションする手法を進め、2000年にAOLのトラフィックを独り占めできる契約を結んでからは一挙に黒字化した。

しかしGOTO.COMとシンジケーションサイトとの競合問題が起こり、2001年9月にGOTO.COMは自社サイトを閉鎖し、オーバーチュアと社名を変え裏方のシンジケーションビジネスに特化する。

一方グーグルはアドワーズ広告を始め、オーバーチュアとは逆に検索専用サイトとして急速にトラフィックを集める様になる。

オーバーチュアはグーグルを特許侵害で訴えるが、勢いは完全にグーグルに移る。オーバーチュアはその後Yahoo!に買収された。


グーグルの成長

2000年6月にYahoo!が検索エンジンをインクトゥミからグーグルに変えたことで、グーグルは急成長した。

2001年のグーグルの収入は8,500万ドルに対し、オーバーチュアは2億9千万ドルと大きな差があったが、グーグルはアドワーズ広告に人気という概念を導入し、単にコストだけで決まるオーバーチュアと差別化に成功する。

検索連動型広告アドワーズは2000年10月にスタートした。クレジットカードさえあれば5分で広告をスタートできるというのが売り物で、一挙に爆発的に伸びる。

パテントを取得した独自のOS、部品、空調、組み立ての分散型コンピューティングが急成長を支えたのだ。

2001年7月にはノベルCEOのエリック・シュミットをCEOに迎え、ページ、ブリンの三頭体制となり、従業員も200名となった。

2002年5月にAOLとの契約でオーバーチュアに勝利してからは、急成長し2002年末には従業員1,000人以上、コンピューターインフラは10,000台以上となり、収入も4億4千万ドルと前年の5倍となった。

人間は検索エンジンを使ってものを探すようになったのだ。

少人数のエンジニアがプロジェクトチームを組織して、ブリンとペイジ他が優れたプロジェクトを選び、開発費と人材を投入するというコンペ方式開発の経営手法を導入したのもこのころだ。

2003年3月にはアドセンスを導入、個人ブログがチャリンチャリンとトラフィックを現金化できる広告ビジネスを新しいビジネスモデルとして開始した。


グーグル上場

グーグルは2004年8月に二重構造をもつ特異な株式会社としてナスダックに上場した。

株の売り出しについてはオークション方式。ページとブリンが30%の株式を保有するが、公開する株の10倍の発言権を持ち、会社の決定には全面的な支配権をふるえる。これはダウジョーンズとかワシントンポストなどメディア企業でも例があるやり方であると。

株価は85ドルで上場したが、その後急上昇し、現在は400ドル弱となっている。


検索とプライバシー 完全な検索をめざして

グーグルは"Don't be evil"を社是としているが、グーグルのGメールはメールの内容を判断して適切な広告を載せる、またグーグルのGDS(デスクトップサーチ)はパソコンのハードディスクのコンテンツをインデックス化できる。

グーグルは個人のプライベートなデータを収集できるしくみを持っているのだ。

米国には愛国者法があり、政府が容疑者と判断すれば、プライベートなデータ通信を傍受できる権限が与えられている。

政府の圧力で、グーグルがため込んだ個人プライバシー情報が政府にわたないとも限らないのだ。

グーグルは中国に進出するにあたって、禁止されたサイトが表示されないようにした。中国で権力に屈したグーグルが、アメリカでも権力に屈する可能性もあるのだ。

そうなるとまさにターミネーターのスカイネットの世界である。

豊富な資金を使って、新しいサービスを導入し、『完全な検索』をめざしているグーグル。プライバシー侵害や、クリック詐欺などの懸念はあるが、人間生活を変えるだけのパワーがある最も生きのいい会社であることは間違いない。

400ページもの対策で、根を詰めて読む必要があるが、グーグルについて相当くわしくなれる良い本だった。


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2006年06月05日

中国は日本を併合する センセーショナルなタイトルだが内容は真剣だ

中国は日本を併合する


扇情的なタイトルが目を引く。防衛庁防衛研究所に20年間勤務し、その後杏林大学教授を務めた平松茂雄氏が著者だ。

正直言って本のタイトルがけしからんので、頭に来て読んだというのがホンネだが、本の内容は真剣だ。

『併合』という言葉を使うと、領土として組み入れられるという印象があるが、中国が世界、少なくともアジアの中心となり、日本は手も足もでない状態に追い込まれつつあると平松さんは指摘する。

本の帯に「櫻井よしこ氏推薦」、「数十年にわたって中国情報を収集、分析した本書は私たちに衝撃の事実を突きつける。中華大帝国の再現と日本併合を最終目的とする中国の企みの実態、全国民必読の書である」とある。

たしかにこの本を読んで、中国の最近の一連の動きを全体として見ると、中国は戦わずして、日本を政治・経済圏に取り込むべく着々と準備をしていると考えるのが適当かもしれない。

一連の行動とは;
東シナ海での海上ガス・石油田開発
海洋調査船の日本近辺調査
中国原子力潜水艦の日本領海侵犯
南シナ海でのミスチーフ環礁の領土化
台湾との関係
宇宙開発を通してのロケット制御技術=核ミサイル技術向上
等である。


『長征精神』遠大な中国の核戦略

平松さんは中国の戦略は、すべて遠大なビジョンをベースとする『長征精神』に基づいてのものであると指摘する。

『国家意思』のあり過ぎる中国、なさ過ぎる日本なのだと。

長征とは国民党の蒋介石から圧迫されて、中国共産党軍が1934年から1年掛けて本拠を陜西省の延安に移すまで移動した大移動だが、中国では新しい困難な課題に取り組むときは必ず、この『長征精神』が強調される。

中国は長期的な国家戦略を元に動いており、1958年の台湾との金門島砲撃事件のあと、1959年にソ連が中国に対する核技術供与をやめたときに、毛沢東は「1万年掛かっても原爆をつくる」と語ったほどだ。

フルシチョフは毛沢東の「原爆で中国の半分の3億人が死んでも、残り3億人が生き残り、何年か経てば6億人となり、もっと多くなる」という発言に驚き、非人間的な野獣の考えであると激しく非難したと言われる。

毛沢東は1950年に朝鮮戦争に参戦し300万人の軍隊を送ったほか、1958年に金門島を砲撃する等、多くの犠牲者を出す熱い戦争をしており、毛沢東の中国が原爆を持ったら、世界大戦がはじまっていたかもしれない。

毛沢東は「他人の侮り(あなどり)を受けない」ことをモットーにソ連の核の傘の下に入ることを拒否した。

結局中国は核兵器を自力で開発し、1980年代までに大陸間弾道ミサイル、複数弾頭ミサイル、潜水艦からの弾道ミサイル水中発射、静止衛星打ち上げのすべてに成功した。

その間に米ロの核兵器は小型・移動式、命中精度向上、多弾頭化など、中国の核兵器よりさらに進歩したが、1990年代以降はむしろ核兵器廃棄に進んでおり、今や中国は米ロの2大大国と張り合える核戦力を保有すると言える。


中国の東シナ海資源戦略

日本と中国の間の国境・経済問題は尖閣列島の領有権と東シナ海のガス田開発の二つだ。

1968年に国連アジア極東経済委員会が実施した東シナ海の海底調査で、東シナ海付近には中東に匹敵する豊富な石油資源の可能性があると発表されている。

日本政府はその後30年以上、日本の石油企業からの日本側大陸棚での鉱区を設定しての資源調査を許可しなかったのに、中国側の海洋調査、次いでガス油井設置は黙認したのだ。

中国の東シナ海でのガス、石油開発は春暁、天外天、断橋、残雪の4箇所の海上採掘施設を建設し、処理設備と中国大陸へのガスパイプラインも建設中で、2008年の北京オリンピックまでには完成すると見られている。

これらのガス田は日中中間線の中国側に位置しているが、日本政府は今頃になって中国側から日本側の資源をストローで吸い取ろうとしているとか騒いで、やっと日本企業の資源開発を認めた。

日本と中国に圧倒的な経済格差があった30年間に日本側の開発を認めなかったのは、日本政府の怠慢と言われても仕方がないだろう。

中国は東シナ海だけでなく、南シナ海では南沙諸島(スプラトリー諸島)やミスチーフ環礁に恒久施設を建設し、ベトナム、フィリピンなどの反対を無視して自国の領土化している。

いずれも石油やガス資源があると見られている地域であり、地下資源の開発が目的の行動だ。

尖閣列島は日本の固有の領土にもかかわらず、中国が領有権を主張し、中国民衆が時々騒いでいる。


台湾の軍事統一が中国の究極の目的

台湾は中国にとって地政学的に非常に重要である。もし台湾を中心として大規模な戦略的封鎖が実施されると、中国の海軍と海運は封じ込められてしまう。

逆に中国が台湾を統一できれば、台湾海峡バシー海峡という日本のシーレーンを抑え、日本の資源輸送ルートを抑えることができるのだ。

中国の戦略は台湾を軍事統一することを狙っており、有事には米国の空母機動艦隊の台湾近海への進展を阻むために、中国の潜水艦を使って機雷を設置することを画策している。

中国の海洋調査はそのための海底地形図つくりをしているのだ。

日本の対潜水艦戦闘能力が傑出していることは、『その時自衛隊は戦えるか』で紹介したが、
中国に対抗するために、台湾と連携して対潜水艦対策を進める必要があるのだと平松さんは語っている。

平松さんは、台湾問題は日本にとって他人事と済ませられる問題ではないと語る。

中国は台湾は中国の内政問題であるとして、世界や日本の世論にゆさぶりをかけ、もし台湾を中国が軍事統一するようなことがあると、もはや日本の将来は決まったようなものだ。

その中国に対して、日本は1979年から2004年までに3兆3千億円、民間援助もあわせると6兆円の援助を供与してきた。

日本はODAによって中国の経済成長をささえ、実質世界一の外貨準備高を保有するまで支援し、軍事国家として成長する中国の国家戦略を支援してきたのである。

その間、日本から平均2,000億円の援助を受けながら、中国は毎年600億円の援助をベトナム、カンボジア、パキスタン、アフガニスタンなどに与え、さらにアフリカ諸国などにも積極的に経済援助をしている。

日本政府は国家安全保障の脅威をもたらしている国に対して、友好や人道の名の下に莫大な援助を続け、中国の軍事力の強化を助け、自国の安全を危険にさらすという愚行を犯してきたと平松さんは断じる。

中国はドイツの国連常任理事国入りには賛成するが、日本の常任理事国入りには反対している。対中ODAは政治的にも意義がなかった。


台湾独立と国連加盟

台湾は未だに中華民国と名乗り、中国の正統政府が台湾に逃れただけという立場なので、国連でも北京政府が台湾政府を追い出し、その後がまに座っている。

台湾は独立国ではないから、たとえ中国が台湾に侵攻してきても、国連はなにも手出しできない。

だから台湾が独立国になって国連に加盟することは、東アジア地域の安全保障の上で重要な意味がある。そのため中国は強硬に反対し、またアメリカも中国を刺激しないために、台湾の独立には反対している、

台湾は国民投票を2008年に実施すると見られるが、台湾独立を宣言して、それを日米が軍事力も含めて支援する形となれば、それによって中国とのパワーバランスが保たれるだろうと平松さんは語る。

最後に、もし中国が台湾を軍事的に統一したら、次は朝鮮半島、日本と飲み込んでいくだろう。その時日本はどうするのかと平松さんは警告する。

けしからんタイトルだが、『併合』を『手も足も出なくなる』と読み替えれば、納得できる本だった。


参考になれば次クリックと右のアンケートお願いします。


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2006年06月02日

ドコモが銀行を追い抜く日 ケータイクレジットの潜在力

ドコモが銀行を追い抜く日


消費生活評論家の岩田昭男氏の最新作。PHPの1、000円ペーパーバックスの第2弾だ。

最近のおサイフケータイを中心に、電子マネー、ケータイクレジット、金融業界の動きがわかりやすくまとめられており、クレジットカード業界の内情や儲けのしくみなどが紹介されているので興味深い。

2006年11月からケータイのナンバーポータビリティ制度が始まると、ドコモはAUや、インターネットや固定電話も入れた総合的な料金でなぐり込みを仕掛けると見られているソフトバンクにシェアーを浸食されるおそれがある。

そのドコモがユーザーを引き留める方策として打ち出しているのが、おサイフケータイで財布の中のものをすべてケータイに取り込み、ドコモのケータイをなくてはならないものにする戦略だ。

日本の個人消費は年間300兆円といわれており、そのうち60兆円が鉄道、コンビニ、スーパー、ファミレスなどをふくむ少額決済市場と言われている。

クレジットカード市場は27兆円といわれており、個人消費市場の9%を占めるだけだが、これが2010年までには欧米並みの20数パーセントに近づくと予想されており、その増加分だけでも45兆円の巨大市場がある。

ドコモのねらいは60兆円の少額決済市場と2010年には70兆円を超えると予想されているクレジット市場の両方である。


通信業者はVISAの最大のライバル

岩田氏は1993年にVISA INTERNATIONALのCEOにインタビューしたことがあるそうだが、その時にVISA CEOは「最大のライバルはMaster Cardではなく、通信事業者だ」と語っていたそうだ。

まさにその時のVISA CEOの危惧が、ドコモのクレジットカード参入で現実化したのだ。

ドコモは元々電話料金を直接あるいは間接で利用者から徴収しており、ユーザーの数は延べ5,000万人にものぼる。日本最大の金融機関の郵便貯金並みの口座数があるのと同じだ。

のべ5,000万人の利用者に与信枠を設定しているので、i-Mode利用料金と同じ感覚で、クレジット利用金額を携帯電話料金と一緒に引き落とすのは現在のサービスの延長線であり、すぐにできることである。

この本の出版後の事実だが、4月末にはじめたDCMX Miniという中学生以上であれば月1万円までケータイをクレジットカードとして使えるサービスは、開始1ヶ月でなんと15万人のユーザーを集め、クレジットカード業界に衝撃を与えている。

必要に応じてVISAのプラスティックカードが発行できるDCMXは5月末から募集が開始されるが、これはまさにケータイ電話機が本体で、クレジットカードが付属品である。


ドコモのケータイクレジット進出の理由

ドコモがおサイフケータイに乗り出したきっかけは、Felicaを組み込めばケータイをかざすだけで決済ができる様になると、2001年にJR東日本のモバイルスイカ推進責任者の椎橋Suica部長から呼びかけがあったためだ。

ドコモのおサイフケータイ推進者で、名付け親はiモードで有名な、夏野剛マルチメディアサービス部長で、夏野氏はこのJRの呼びかけに応じ、数年掛けてJAVAを使ったモバイル端末を開発し、2004年におサイフケータイとしてサービスを開始した。

今やドコモのおサイフケータイは1,000万台を越え、数年内にはドコモの5,000万台のケータイすべてがおサイフケータイとなる予定だ。


ドコモのケータイクレジットの収益構造

おサイフケータイのプラットフォームを提供するだけでは収益が上がらないため、ドコモはクレジットカード事業に力ずくで進出する道を選んだ。

三井住友カードに980億円出資し、34%のシェアーを取得する他、金額は少ないが10億円で、UCカードの18%の株も取得している。さらにローソンには90億円出資して、来年4月までにローソン全店舗にiDの読み取り端末を設置させる。

岩田氏によると、クレジットカードの収益は2.5−3%だが、発行者(イシュアー)が2/3、加盟店開拓者(アクワイアラー)が1/3、VISAやMasterなどのブランドが0.2%の取り分となる。

ブランドになってもうまみはないので、ドコモは発行者となる一方、加盟店開拓は三井住友カードの力を借りることにしたのだ。

ドコモがクレジット事業に進出したので、ライバルのAUは三菱UFJ銀行と合弁で新銀行を設立すると新聞がスクープした。

銀行に進出するといっても融資をやらないとうまみはないので、単にクレジット決済とか、決済代行では収益はしれているが、ドコモに対抗する姿勢を示すことが重要なのかもしれない。

ケータイ電話でスピーディにコンビニなどの支払いができるという便利さが浸透するようだと、少額決済の分野はケータイ電話と相性がよいので、かなり広まるかもしれない。

少額決済市場とクレジットカード市場の両方にくさびを打ち込んだドコモ。どれだけ伸びるのか、はたしてナンバーポータビリティ開始後、他社に流れる客を引き留めることができるのか注目したい。


電子マネーの乱立

電子マネーはドコモも出資しているEdy、JR東日本のSuica、そして新顔はドコモのiD、JCBのQuicpay、UFJニコスのSmartplusといろいろ出ており、加盟店獲得合戦を繰り広げている。

それぞれの携帯電話決済サービスの特徴はBCNランキングというサイトに比較表があるので、参照願いたい。

このままで行くと互換性のない読み取り端末が多数、店頭に並びそうだが、三井住友カードのインフラを利用したドコモのiDが、読み取り端末数としては圧倒する勢いだ。

他社の加盟店数がせいぜい数千にとどまるに対して、ドコモのiDは現時点で既に2万5千。Edyが4年掛けて築き上げた加盟店数をわずか半年で抜きさる勢いで、2007年度末には10万店を越える見込みだ。

使えるところが増えれば、当然ユーザーも増えてくるはずで、ドコモの金に糸目を付けない戦略がまずは勝利する可能性が強い。

そうなればまさにこの本のタイトルのように「ドコモが銀行を追い抜く」ことが現実となる。


余談 電子マネーは本当に普及するか 筆者の意見

岩田昭男さんは電子マネーあるいはケータイクレジットの勝者予想については明言は避けているが、筆者は結局ユーザーがどれだけ魅力と感じるかがカギだと思っている。

いくらケータイで支払えるから便利といっても、財布を持ち歩かないで外出する人はまずいないので、決め手はクレジットカードあるいは電子マネー自体の魅力ではないか。

EdyがAmPmなどで人気があるのは、ケータイで決済できるという利便性もあるが、Edyチャージするとポイントがつくので、現金よりお得という点も大きい。

Edy客の方が単価が3割高く、来店頻度が2割高いといっても、それが、Edy発行主体のビットワレット社の収益には直接結びつかない様だ。

Edyはマーケティング重視のツールではあるが、それが機能するためには、Edyをつかうことにより、割引になるとかのメリットを出す必要があるだろう。

仙台にあるスーパーアサノはお客ランク方式を発案して、月1万円のEdy使用なら翌月1%引き、5万円なら5%引きという形で、販売促進につなげている。

導入に手間とコストが掛かる自社ポイントの代わりにEdyを導入して、レジの効率化と売上促進につなげていることは注目に値する。

トヨタのQuicpay導入も注目だ。トヨタグループを挙げてJCBのQuicpayの加盟店拡大営業をしているので、ガソリンスタンドなどでQuicpayが使える日も近いかもしれない。

ただしQuicpayは1回の利用上限が2万円なので、上限はカードと同じのiDやSmartplusとは差があり、少額決済向け専用だ。

いろいろな種類が乱立してくるが、読み取り端末がドコモ中心にある程度統一化される可能性もある。そうなるとなおさら、どの電子マネーあるいはケータイクレジットが有利なのかで消費者の選択は決まってくるだろう。


クレジットカード業界も3大金融グループに再編

VISAインターナショナルが、日本だけのローカル規格のFelicaを認め、UFJニコスのSmartplusをVISAの認定規格としてサポートすることを発表した。

日本のVISAのフランチャイズの盟主が三井住友銀行グループから三菱UFJグループに代わったことを如実に示す出来事だ。

銀行グループではみずほは、UCカードとクレディセゾンの提携を進め、コスト競争力をつける一方、電子マネーはSuica, おサイフケータイはドコモのiD、さらにQuicpayにも参加しており、等距離外交という感じだ。

クレジット業界の順位も従来の1位 JCB、2位 三井住友、3位 クレディセゾン、4位ニコスから、三菱UFJの誕生、セゾン・UCの統合により1位 UFJニコス、2位 クレディセゾン、3位 三井住友、 4位 JCBという順位になると岩田氏は予想する。

おサイフケータイ、クレジットカード、電子マネーというトピックを通して三大銀行グループに再編された日本の金融業界の事情がわかる。


わかりやすく参考になる本である。一読をおすすめする。


参考になれば次クリックとできればコメントをお願いします。


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