2006年08月27日

イノベーションのジレンマ 名著を再度読もう

イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)
著者:クレイトン・クリステンセン
販売元:翔泳社
発売日:2001-07
おすすめ度:4.5
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数週間前の東洋経済に夏休みに読みたい本特集があり、会社トップのすすめる本の中にこの名著があった。

本書の原書は1997年に出版され、米国でビジネス書のベストセラーとなり、訳書は日本でもベストセラーになった。

筆者も何年か前に読んだことがあるが、再度読んでみた。

日本の失敗学では畑村教授が有名だが、この本の著者のクレイトン・クリステンセンハーバード大学教授も『破壊的技術(disruptive technology)』というコンセプトで、「偉大な企業はすべてを正しく行うが故に失敗する」という困難な問題を指摘している。

失敗学のすすめ (講談社文庫)失敗学のすすめ (講談社文庫)
著者:畑村 洋太郎
販売元:講談社
発売日:2005-04
おすすめ度:4.5
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この本ではハードディスク業界や油圧式掘削機業界、パソコン業界、HPに於けるインクジェットプリンターとレーザープリンター、電気自動車などを取り上げている。

特にハードディスク業界は変化がはやいので、産業界でショウジョウバエに一番近い存在だとして、大きく取り上げられている。

筆者は高校の生物で、実際にショウジョウバエを使っての実験をやったことがある。ショウジョウバエとは果物などにたかる小さなハエで、実験ではセピア(目の色がセピア)、カール(羽がカールしている)など、遺伝的特徴が次世代に引き継がれるかという実験だった。

それぞれの班がセピアとかカールとかの種類を何代も育てて、突然変異とか、遺伝とかを研究するというものだった。

生物の先生はカメというあだ名だったが、実験重視の先生で、県立高校で本当の生物(いきもの)を使って、あれだけの専門的な実験を生徒に体験させる学校も、あまりなかったのではないかと思う。

こんな経験があるので、産業界のショウジョウバエというとなるほどと思う。

ハードディスク業界は技術革新が激しく、14インチ→8インチ→5.25インチ→3.5インチ→2.5インチ→1.8インチと進化した。

それぞれのサイズのハードディスクのNo. 1メーカーが、必ずしも次世代のサイズのNo. 1となっていない。それどころか、多くのNo. 1企業は没落してしまった。

シーゲートテクノロジーはまだハードディスクの有力メーカーとして生き残っているが、IBMが日立にハードディスク部門を売却したり、大きな変化がある業界である。

破壊的技術の展開は次のようなサイクルをたどる。

破壊的技術はまず実績ある企業で開発されるが、主要顧客は従来のものとあまりに違うものには興味を示さない。

たとえば2MBが主流だったコンピューター業界に2倍の4MBのハードディスクは容易に受け入れられるが、100倍の200MBのハードディスクは用途がないとして受け入れられないという様な例だ。

そのうち持続的技術(sustaining technology)が旧来の製品の性能を上げるので、経営陣は破壊的技術に力を入れない。

不満を抱いた破壊的技術の開発者は新しい会社をつくり、新しい顧客を獲得しようとし、徐々に成功する。やがて実績ある企業も遅蒔きながら参入し、破壊的技術が主流となる。

つまり優秀な企業は顧客の声をちゃんと聞いて製品の能力を持続的に向上させるがゆえに、破壊的技術の導入に遅れるのだ。

コンピューター業界の破壊的技術に乗り遅れた例として挙げられているDECは筆者にとっては懐かしい名前だ。

DECはコンパックと合併し、いまはHPとなっているが、筆者はDECのノートパソコンを使っていたことがある。1990年代の中頃だったと思う。

トラックボールと呼ばれるボール状のマウスポインターを備えたノートパソコンで、トラックボールの使い勝手の良さは最高だった。

そのDECはミニコンではIBMのメインフレームに対する破壊的技術だったが、ミニコン市場はデスクトップパソコンという破壊的技術に見舞われた。

DECはパソコン市場には4回参入し、4回撤退するという結果となった。会社そのものが超高速の64ビットアルファプロセッサーとか、高収益のハイエンド商品に力を入れて、儲からないパソコンには経営資源を振り向けなかったからだ。

ミニコン市場でIBMのメインフレームの脅威となったDEC、WANG、データ・ゼネラルなどのメーカーは現在全部存在していない。

イノベーションの怖いところだ。

クリステンセン教授は、HPがレーザープリンターとインクジェットプリンターを完全に独立した組織として分離し、互いに競争させ成功させる道を選んだことを指摘する。

レーザープリンター部門にインクジェットも手がけさせていたら、とっくに競争相手にやられていただろうと。

最後にクリステンセン教授は電気自動車についてふれている。当時は電気自動車が破壊的技術であるとされていたが、当時も今も全然普及していない。

この本の出た10年前はハイブリッド車はなかったが、現在はトヨタを筆頭とするハイブリッド車が、過渡的技術とはいえ非常に勢いを得ている。

こんな現状を見てクリステンセン教授はなんと言うだろうか?

そんなことを考えさせられた。

最後にこの本の解説者でハーバードビジネススクールでの教え子の玉田氏は、クリステンセン教授が、授業の最後にこう言っていたとまとめている。

「私のボストンコンサルティンググループ時代の友人は、大きなヨットを持っていて、土日となればクルージングに出かけている。ところが彼は、やれ係留の費用が高いだの、メインテナンスを頼んでいたのにちゃんと終わっていないだのといつも不平ばかり言っていて少しも幸せそうでない。

一方、私は毎週日曜は欠かさず教会に行き、困っている人の相談に乗って、アドバイスをしたりしている。毎週日曜日が取られるのは大変だが、自分が人や地域のために役立っていることから得られる満足感でいつも満たされている。

諸君もこれから社会に出て、ビジネスの場で活躍するのだろうが、本当の幸福はお金ではなく、家族やコミュニティから得られるということを覚えておいてほしい」

好感の持てる学者の優れた分析に基づく失敗論である。最初に本がでたのは10年前だが、今再読してもその価値は変わらない。

まだ読んでいない方には、是非一読をおすすめする。


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2006年08月19日

ハリアーハイブリッド 最近の燃費は9KM/L

筆者はハリアーハイブリッドのオーナーだ。

購入してから約1年3ヶ月経つが、最近4ヶ月間の燃費をご紹介しよう。

ハリアー燃費

2,500キロ弱で、9KM/Lが燃費計の実測値だ。

2,500キロのうち、高速走行はたぶん500キロにも満たないと思う。ほとんどがアップダウンのある市街地の走行だ。

カーエアコンを使うという意味では同じだと思うが、暖房を使う冬よりも冷房を使う夏の方が燃費は良くなる様だ。

以前の旧型ハリアーが7キロ弱だったので、ハイブリッドはエンジンが大きくて(2.2L→3.3L)、燃費も30−40%程度良いという結果だ。

カタログ値の17.8KM/Lとはえらい差だが、平坦な市街地中心で、高速走行が半分という様な条件であれば、たぶん平均10−12キロ程度にはなるだろう。

(1)レギュラーガソリンでもOKで(2)悪くても9KM/Lの実燃費、(3)補助金があり、(4)自動車税が半額というメリットがある。

最近のレオナルド・デカブリオを使ってのトヨタのハイブリッドのコマーシャルにもあるように、同じ車に乗るのでも、ハイブリッド車を選択することによって、地球に良いことをやっているという満足感もある。

同じハリアーの上級車を買うのであれば、ハリアーハイブリッドを選択することを是非おすすめしたい。


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2006年08月13日

うつうつひでお日記 吾妻ひでおのマンガ日記

うつうつひでお日記


吾妻ひでおのマンガ日記。

ほとんどのページに、吾妻ひでおのホームページにも載っている独特の『萌え』キャラがワンポイントとして載っており、結構シリアスな日記を楽しく読める様に書かれている。


吾妻ひでおHP







吾妻ひでおの失踪日記については以前紹介したが、高校時代好きだったマンガ家が30年以上経って復活したので、昔の作品が復刻されるのを楽しみにしていた。



失踪日記

失踪日記








この『うつうつひでお日記』は、『失踪日記』(原題は『街を歩く』、『夜を歩く』、『アル中病病棟』の3部作)を執筆したが、出版してくれる会社が見つからず、自費出版と2ちゃんねるぷらすなどの雑誌への連載を細々と続けていた2004年7月から、『失踪日記』出版直前の2005年2月までの日記。

吾妻ひでおは売れっ子マンガ家だったが、中学生の頃からうつ病の自覚症状があり、30歳ころに、はっきりうつ病と意識し、そのためアルコールに依存するようになる。

ついには仕事から逃避して、ある日ふと事務所に行くのと反対方面の電車に乗りホームレスになる。

ホームレスから土木作業員となり、体が丈夫になって仕事に戻り、またホームレスになるという生活を数回繰り返した後、アルコール依存症を治すために、アルコール中毒者病棟に入院した経験を持つ。

このあたりは前作の『失踪日記』に詳しい。

最近7年間は断酒し、地域(西武池袋線沿線に住んでいる)の断酒会の会合にも出席するかたわら、月一回は精神科に通院し、うつ病の治療を続けている。

うつ病のため仕事もなかなかはかどらず、安定剤や睡眠薬を飲んでは寝て、三度の食事はちゃんとして、ちょっと仕事して、外出しては本屋、レンタルビデオ店、図書館にほぼ毎日通うという日々だ。

「何もしてません。事件なし、波乱なし、仕事なし」と本の帯に書いてあるが、まさに病と戦いながら、細々と、しかし懸命に仕事を続けている毎日をつづった日記だ。

ほとんど毎日図書館に行っているので、このブログの『図書館に行こう!』カテゴリーにも入れている。

マンガから小説、ミステリー、ハイデッガーまで様々な種類の本をほとんど毎日読んでいることには驚かされる。

それにしても昔好きだったマニアックなマンガ家、たとえば『どおくまん』などは、どうしたのだろうと思う。

作風は『ナニワ金融道』に引き継がれている様に思えるが、どおくまん自身は最近は作品を出していない様だ。

マンガ業界も結構浮き沈みが激しいことがわかる

嗚呼 花の応援団 1 (1)


この『うつうつひでお日記』は、うつ病の症状が現れるとどんな具合に妄想・幻覚が現れてくるのか、睡眠薬を飲んでも夜眠れない苦しみなどが描かれている。

マンガなのでコミカルに書かれてはいるが、夜眠れないのは大変な苦しみなのだろうと思う。

不眠症になった友人がいるが、彼の苦しみがわかるような気がした。

うつ病の症状が出て、不眠症に苦しみ、安定剤のドグマーチル、痛み止めのバッファリン、ロキソニン、ノリトレインとか睡眠薬のベンザリンといろいろな名前の薬を毎日飲んでいる話が続いている。

シリアスな内容にちょっとたじろいだが、そのまま読んでいくと、これといった出来事がないながらも日記に引き込まれ、キャラの愛くるしさもあり、一気に読めてしまう。

「昔の俺の絵の方が、今の時代に合っているかも」と日記の中でも語っているが、吾妻ひでおの『萌え』キャラなら、絶対ウケると思う。

これを書いている今、アマゾンで『うつうつひでお日記』が282位、『失踪日記』が1,800位ということで、どうやら吾妻ひでおは復活出来たようだ。

青春時代の好きだったマンガ家の病気に苦しみながらの復活、心から祝福したい。『ふたりと5人』の復刻も待っています!


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2006年08月11日

スッキリ! 100万部を売ったキッパリの続編

スッキリ!―たった5分間で余分なものをそぎ落とす方法


ミリオンセラーとなった前著『キッパリ』の続編。著者は上大岡トメさんだ。現在は山口県宇部市に住んでいる。


キッパリ!―たった5分間で自分を変える方法


『キッパリ』のあらすじも以前紹介しているので、ご参照頂きたい。

『キッパリ』はポジティブシンキングのすすめだったが、『スッキリ』は生活の様々な局面での余分・余計なものを整理することのおすすめだ。

次の5つの部分に分けて60項目のテーマを載せている。印象に残ったテーマだけ紹介するが、内容が推測できると思う。

1.身の回りからスッキリ
  着ない服、はかない靴は整理する
  写真や思い出の物を整理する
  物を捨てる時は、「ありがとう」、「ごめんなさい」と言う
  靴をみがく
  

2.頭の中からスッキリ
  考えてもしょうがないことは、ポジティブに祈る
  優先順位を、ハッキリさせる
  出かける準備は、前の夜にする
  いつもやっているいことの順番を変える

  夢を目標に変える。夢と目標の大きな違いは「期限を切る」かどうかだ。「いつか、〜したい」のいつかはやってきたためしがない。ところが何月何日と決めると急に実現するのだ。

3.心の中から、スッキリ
  アドバイスには、素直に「はい、やってみます」と言ってみる
  人に期待しない
  起きたことは、すべて必然、と思う
  どうしてもやる気が出ない時は、誰かに一本電話する
  「大の字」で、寝転んでみる

4.カラダからスッキリ
  とにかく、歩いてみる
  便秘は解消する 朝食シリアルをすすめている別ブログもご覧ください
  腹筋を毎日やってみる

5.コミュニケーションからスッキリ
  人から借りっぱなしの本を返す
  去るものは、追わない
  気になることは、思い切って聞いてみる
  電話はカラ元気でも、元気よく出る

  コドモとの関係は、基本に戻る 
子供が生まれる前は、誰でも五体満足に生まれてくれればよいとしか思わないが、だんだん成長してくると成績が良くなって欲しいとか、欲求がエスカレートしてくる。ともかく元気であることが、ありがたいと基本に戻ろうと。

1時間ほどで読める。『キッパリ』よりもインパクトは弱いが、楽しいイラスト満載で面白く読める本だ。

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2006年08月08日

トリニダッド・トバゴってどこ?

8月7日追記:

日本代表がトリニダッド・トバゴと対戦するので、トリニダッドについての記事を再掲します。



今回はワールドカップ開催中なので、出場国に関係する筆者の体験談というより失敗談をご披露する。

ワールドカップ初出場で強豪スウェーデンと引き分けたカリブの小国トリニダッド・アンド・トバゴ。

グーグルマップや地図でみるとこんな具合になっている。


Trinidad & Tobago


誰でも中央の大きな島が『トリニダッド・アンド・トバゴ島』だと思うはずだ。

しかし実際には大きな島が『トリニダット島』で、名前が書いてない上の小さな島が『トバゴ島』なのだ。

だからあたりまえだが、空港もトリニダッド島とトバゴ島の両方にある。

ちなみに下の海岸線はベネズエラで、南米大陸からほんのちょっと離れているだけという立地なのだ。

実はトリニダッドはベネズエラと並び、世界でも有数の天然ガスを使った直接還元製鉄所が集中している島なのだ。

筆者は鉄鋼の国際会議が開かれたときに、トリニダッドを訪問したことがあるが、その時の失敗談を今回はご披露する。


プエルトリコって東海岸と時差があったんだ!

筆者は米国に合計9年以上駐在していたのだが、プエルトリコ(米国領)と米国東海岸とは1時間時差があることを知らなかったので、プエルトリコのサンファン空港で飛行機に乗り遅れてしまったのだ。

これが第1の失敗だ。

単に乗り継ぎなので、東海岸時間で出発時間の30分前にゲートに行ってみたら飛行機は既に出ており、狐につままれたような気持ちだった。

プエルトリコから『トバゴ』行きの飛行機は1日一便なので、やむなくサンファンの空港の近くのホテルで一泊し、翌日の便に乗った。


トリニダッドとトバゴは別の島だったんだ!

翌日夕方トバゴに着いて、空港でタクシーに乗り、会場のヒルトンホテルと言ったら、「現在建設中だが、工事現場に行くのか?」と運転手が言う。

またもや狐につままれたような気持ちで、一時は運転手に騙されているのではないかと思ってしまった(本当に人の良い運転手さんでした。ごめんなさい)。

話しているうちに、トリニダッドとトバゴは別の島で、ヒルトンがあるのはトリニダッド島だということがわかった。

運転手が空港の知人に連絡を取ってくれ、その日の最終便がまだあることがわかり、急遽空港に逆戻りし、なんとか間に合って無事トリニダッドのポートオブスペイン空港に到着した。

これが第2の失敗だ。

トリニダッド島の空港は『ポートオブスペイン空港』で、『トリニダッド空港』というのはない。しかし『トバゴ空港』というのは別の島なので当然ある。

筆者は旅行を企画するときに、最初に『トリニダッド』行の飛行機を調べたが、見あたらないので、『トバゴ』行きの飛行機を予約したのだ。

予約した時に地図で調べたら、上記のグーグルアースのように大きな島にトリニダッド・アンド・トバゴと書いてあったので、てっきりこの大きな島が『トリニダッド・アンド・トバゴ島』だと思いこんでしまったのだ。

なんとか国際会議の2日目に間に合って、製鉄所ツアーも参加できたので、事なきを得たが、それにしてもグーグルアースも、何で大きな島にトリニダッド・アンド・トバゴと記載し、ちいさなトバゴ島に名前をちゃんと記載しないのかわからない。

また筆者と同じ様な間違いを起こす人がいないとも限らないので、ワールドカップで思い出したトリニダッドにまつわる筆者の失敗談を、恥をしのんでご紹介しておきました。


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2006年08月07日

見える化 ベストセラー『現場力を鍛える』の著者遠藤功さんの近著

見える化-強い企業をつくる「見える」仕組み


このブログでもあらすじを紹介したベストセラー『現場力を鍛える』の著者、コンサルタント会社ローランド・ベルガー会長の遠藤功さんの近著。


現場力を鍛える 「強い現場」をつくる7つの条件


見える化ではトヨタが有名だが、前作の『現場力を鍛える』と同様、強い現場で有名なトヨタとかキャノンの事例に加えて、様々な会社の例が取り上げられているので参考になる。

見える化の5つのカテゴリー

見える化には次の5つのカテゴリーがある:

1.問題の見える化

2.状況の見える化

3.顧客の見える化

4.知恵の見える化

5.経営の見える化

トヨタの見える化に対する執念は有名だが、トヨタの渡辺捷昭(かつあき)社長はトヨタの課題を問われて、次のように語っている。

「成長している時は問題点が潜在化して見えなくなる。開発や調達、生産、販売など各部門が抱えている兆候を『見える化』し、何が足りず何を補強すべきなのか明確にする」

見えていること、それが競争力の源泉なのであると。

最近のトヨタのリコール問題でも、この渡辺社長の懸念がまさに現実化している。トヨタほどの企業でも完璧ではないのだ。

見える化を抽象的に論じても、なかなか頭に入ってこないので、この本は半分以上を事例説明にあてている。


見える化の事例

いくつか事例をピックアップすると:

不良在庫を工場の敷地に山積みにする。物理的な見える化だ。

ワタミの気絶のアンケート(気絶するほど重く受け止めなければならないという自戒の意味)

トヨタの原価の見える化(機密情報だった部品原価を開発担当者まですべてオープンにした)

エプソンの部品コードを統一して調達先を絞り込んだ見える化

シマノのキャラバン隊の全米6,000店の小売店を3年かけて回った見える化

ホンダクリオ神奈川の家に帰ってから書いて貰うアンケート 3段階評価で普通=クレーム

デルのお客にとっての見える化 オーダーした製品が今どの段階かわかる

松下電工のベテラン修理マンの質問と回答の流れを見える化

大手設備機器メーカーの失注理由の見える化

JR東日本の三河島事故、余部事故、信楽高原鉄道事故、日比谷線事故などの事故の歴史展示館

菱食の部門毎の業績を数値化し、ものさしを明確にした経営の見える化


見える化と人事評価は別

最後に遠藤さんは、見える化を犯人探しにしないために、重要なのは見える化と人の評価を直結させないことだと結ぶ。

見える化は人をつくるためであり、人を評価するためのものではないと。

トヨタや花王といった現場力の強い企業に共通するのは、人づくりという基本思想にもとづく「人にやさしく、業務に厳しい」という考え方である。

ちょっとしたことで、見える化ができる。そんな気づきを与えてくれる本だ。


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2006年08月05日

万世一系のひみつ 動物行動学の竹内久美子さんの近著

遺伝子が解く!万世一系のひみつ


『浮気人類進化論』、『そんなバカな!』や『小さな悪魔の背中の窪み』などベストセラーを連発している動物行動エッセイストの竹内久美子さんの近著。

週間文春の連載をまとめたもので、それぞれ一つのテーマで4−5ページの読み物になっており、簡単に面白く読める。

最初から『腰のくびれはなぜステキ』という軽いテーマで始まる。ヒップに対するウェスト率(Waist-to-Hip Ratio=WHR)が低い女性ほど受胎しやすいというオランダの研究結果がある。

また男のヒゲは、皮脂腺から分泌される大量の皮脂を蓄え、においをばらまくのが第一の働きで、そのにおいは女性に排卵をうながす効果がある。

週末だけ彼女に会う灯台守の男性のヒゲの伸びを調べてみたら、普通の日より金曜日、土曜日のヒゲの伸びが大きい。ホント、男はわかりやすい!とは竹内さんのコメント。たしかにそうだ。

生理は霊長類の一部のメスにしかないが、経血が大量なのは人間の女だけ。この理由は全くわかっていない由。

マーギー・プロフィットという学者は、女性はSEXによって精子と一緒に運ばれてくるバクテリアやウィルスに感染するので、子宮内膜がはがれ大量の血液によってバクテリアやウィルスを一掃できるという学説を唱えている。

なるほど。しかしこれだと人間よりSEXの頻度が高いチンパンジーでは経血は少ないことの説明がつかないということで、いまだに結論は出ていないのだ。

印象に残ったテーマをいくつか紹介しよう。


『あなたと私の共通のご先祖様は』

『利己的な遺伝子』で有名なリチャード・ドーキンスがオックスフォードの授業で、田舎出身の学生にこの質問をしている。


利己的な遺伝子 <増補新装版>


その時は約200年ということだったが、日本でも大体江戸時代、戦国時代、室町時代までさかのぼれば確実だろうと。

ちなみに『利己的な遺伝子』(Selfish gene:セルフィッシュ・ジーン)とは生物は遺伝子が時間の旅をする単なる乗り物で、主人は遺伝子だという驚くべき、しかし納得性の高い説である。


『出生率向上作戦』

婚外子率が高いほど出生率も高い傾向があると、竹内さんは指摘する。

婚外子率は北欧では半分以上、イギリス、フランスでは4割になっている。これは正式な結婚をしなくても、税金や相続について結婚者と変わらない扱いになるように法律が改正されたからだと。

数字で見ると確かにそうである。

国名      婚外子率     出生率
アイスランド  65%      2.08%
スウェーデン  55%      1.54%
ノルウェー   50%      1.85%
フランス    42%      1.77%
イギリス    40%      1.64%
イタリア     9%      1.23%
日本       2%      1.29%

「子供はすっごく欲しい。でも、結婚となると…。」というきちんと結婚しなくてもいいなら、子供を産むという女性のホンネ、日本もそろそろ法律を改めては?

考えさせられる竹内さんの提言だ。


『女帝論争、ここに決着』

日本の皇室は1,500年余り、同じY染色体が繋がっているという世界にも例のない伝統であると竹内さんは指摘する。

人間の染色体は女でXX、男でXYとなっている。

女のXXは生殖細胞をつくる減数分裂の時に、それぞれの遺伝子が互いに一部を交換して(交差という)卵子ができるが、男のXYは交差することなく精子ができる。

染色体が交差しないのは、すべての染色体のうちY染色体のみであると。

女帝が誕生するのも良いが、基本は皇室のY染色体が引き継がれる様な相手と結婚して伝統を守って欲しいと竹内さんは語る。

反論も出てくるかもしれないが、注目すべき科学的論点である。


周期ゼミはうまい

筆者が個人的に特に印象に残ったのはセミの話。『17年ゼミのひみつ』という周期ゼミの話だ。

周期ゼミとは普通なら1年で一生を終えるところ、17年間も地中に居て周期的に発生する北米にいる2−3CMの小さなセミだ。

17年も地中に居る理由は捕食者対策で、一時期に大量に発生すれば捕食者も捕らえきれないので、生き延びる可能性が高いからだ。

しかしあまりに大量に発生するため、いっそのことセミを食べてしまえとセミ食いを始めると、周期ゼミはおいしいことがわかり、人間も鳥もリスも犬もむさぼり食ったと。

うまいので捕食者がふえてしまったので周期的な発生することになった?

なぜこの話が印象に残ったのかというと、実は筆者はセミの幼虫を食べたことがあるのだ。

げてもの食いの様に聞こえるかもしれないが、中国の山東省の済南に出張して耐火煉瓦のメーカーと会食したときに大皿にずらっと並べられたセミの幼虫がでてきたのだ。

こちらは主賓なので、まず筆者が食べないと始まらないため、しかたなく数匹取って食べたが、どんな味だったのか覚えていない。

見ていると中国人でも食べる人と食べない人がいて、なにか騙された様な気がしたが、あとで聞くと今の時期(冬だった)のセミは冷凍なので新鮮ではないとか言っていた。

それほどひどい味ではなかった事だけは覚えているが、セミは二度と食べたくないと思っていたところに、この周期ゼミはうまいという話だ。

ひょっとして自分はセミを見て身構えてしまい、ちゃんと味わっていなかったのかもしれないと一瞬思った。(中国人も食べていなかったので、たぶんそんなことはないのだろうが)


その他クモはなぜ自分の糸にひっかからないのか、本当にペットは飼い主に似るとかいった雑学的な話題もある。

竹内さんの本らしく、大人が楽しく読めるおすすめできる本である。


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2006年08月02日

想い レックス・ホールディング西山社長の自伝 牛角を応援したくなる本 

想いー三茶の焼肉、世界をめざす


牛角、am/pm、成城石井を傘下に持つレックス・ホールディング社長の西山和義氏の自伝。

サイバーエージェントの出版部門アメーバブックスが出しているサイバーエージェントの藤田晋社長テイクアンドギブニーズの野尻佳孝社長フルキャストの平野岳史社長に次ぐ成功したベンチャー企業社長の自伝シリーズだ。

「『泣けた!』自信を持ってお薦めします」 とのサイバーエージェント藤田晋社長のすすめの言葉が表紙を飾る。

最初に奥さんが脳腫瘍の手術を受けた時の話から始まる。「必ず生きて帰ってきてくれ」。

「きれいに直してあげる」と言っていた横浜国立医療センターの脳外科の名医藤津和彦医師を選び、12時間にもおよんだ手術は見事成功した。

実は筆者は5歳の時に骨髄炎で左腕を手術した。今でも手術跡が残っているのだが、その手術はまさに横浜国立医療センター、昔の横浜国立病院でやってもらったものだ。

50年近く前の、まるで学校の校舎の様な板張りの廊下が思い出される。筆者の一番古い記憶の一つがこれである。なにか因縁を感じさせるような出だしだ。

西山氏は1966年生まれ、お父さんは不動産会社を経営していたが、宅建売買の仲介業はアップダウンが激しく、羽振りの良い時もあったが、結局倒産してしまう。

西山氏は東京生まれだが、高校は土浦日大高校で寄宿舎生活をし、バスケットボール部でしごかれる。

日本大学に進学し、在学中にイベント会社を起業する。

若くして独立でき、成功する為に起業するなら不動産業がいいだろうと考え、不動産業界で勉強するために大学を中退し、小さな不動産賃貸管理会社に入社した。

徹底的にマークした先輩は、圧倒的にクライアント数が多く、業者と一緒に食事したり飲みに行ったりして電話をもらえるような状態をつくり、まめに働いていた。「出来る人はやっている」。

セオリーを真似て仕事を覚え、トップセールスマンとなり、1年で独立し賃貸物件の管理会社を設立した。1987年のことだ。

ところがうまくいかない。

21歳で独立した西山さんにはチームワークの強みがわかっていなかったと。一人雇えば一人辞めてしまう状態が続き、しかたなく賃貸物件の仲介業に乗り出す。

集まった営業マンは完全歩合制の一匹狼ばかりで、傍若無人に振る舞う営業マンを見て見ぬ振りをしているしかなかった時に、600万円の会社資金が盗まれる事件が起こる。

結局職人の様な営業マンを使って仕事をしているから伸びないのだと考え、社長でありながら、マクドナルドのシステムを学ぶためマクドナルドでのアルバイトを始める。

アルバイト中心ながら、みんな楽しく仕事をしている秘訣はマクドナルドは顧客の満足を追求しており、それが従業員満足にもつながるということだとわかる。

マクドナルドにはアルバイトの評価制度があり、結果は公表されている。休憩室ではノウハウを習得するためのビデオが常に流れていた。誰もが自分のステップアップのために学び続けていた。

西山さんは自分の会社にはビジョンや夢がなく、社員が勉強したくなるようなシステムをつくっていなかったことに気が付いた。

マクドナルドのノウハウを不動産業に活かしたい。仲介業から撤退し、賃貸物件管理を強化し、小中学校の同級生と内装工事の新事業を立ち上げた。

綱渡りの資金繰りを乗り切り、年商3億円、利益2千万円程度の会社になったとき、ベンチャー企業の経営者が集まる座談会に出席し、司会者の差別化という質問に他の出席者が的確に答えているのに、自らは答えられないことにショックを受ける。

差別化を図りたい。不動産業では差別化は難しいので、飲食業で安くておいしい料理を提供して差別化をすることを思いつく。焼肉屋に進出したきっかけは、なにげなく出かけた近所の焼肉屋だった。

安くて繁盛しているが、サービスは最低。

もっと安くて、おいしくて、サービスが良くて、雰囲気の良い焼肉屋をやれば成功するんじゃないか。閃光のようなひらめきだったと西山さんは語る。

職人不在でアルバイト主体の店をつくり、単価3,000円で提供する。安い労働力で良いサービスを提供すれば、その分を原価にまわして良い肉を提供できる。カルビで一皿490円で提供する。

マクドナルドで学んだことを利用して、こんなビジネスモデルでスタートした。

初めは『焼肉店』という本で勉強した。


焼肉店 第7集 (7)


しろうとの熱心さで肉屋をまわり、なんとか安くておいしい肉を出してくれるところが見つかり、1996年1月に三軒茶屋の駅からあるいて12分のところに焼肉市場七輪をオープン。

ところが客が来すぎて対応できず失敗、客は怒って帰る。

しかしオープンの失敗をお客の意見を聞くことでサービスを改善。悪口を言って300円割引ということを始めた。同じ悪口が5回続いたら即改善だ。

「喜んで!」牛角でおなじみのかけ声を始めたのもこの頃だ。

某総合商社の生い立ちの頃、熱心なしろうとは怠情なくろうとにまさるという気概で、戦後すぐスタートしたことを思い出させるストーリーだ。

同年に2号店を出店、フランチャイズ化を目的に日本エル・シー・エーというベンチャーリンクの関連会社にコンサルを受ける。

29兆円の外食産業のうち5,700億円が焼肉市場。店は17,200店。という風に分析的に考え、統計上最も頻繁に飲食店を利用するのは20代から30代前半の若年層というのがわかり、単価3,000円でその年代をターゲットとして、ベンチャーリンクとの業務提携でフランチャイズ展開を始めた。

社名をレインズ・インターナショナルにしたのは1998年だ。REINSとはRetail, Entertainment, Inspire, New, Surpiseの頭文字を取ったものだ。

アルバイトの呼び名もパートナーと変えた。

パートナーには『理益』という理念を説明している。つまり感動創造という会社の理念に基づいた利益を得る、お客様に喜んで頂いた結果として利益を得る。そして働く喜びを味わい、社員は給料を受け取るという具合だ。

1号店開店から4年弱で50店舗を有するチェーンとなったが、マネージメントのレベルが悪いとベンチャーリンクより指摘される。

社内組織風土診断を受けると、西山社長のワンマン会社という結果が出た。

自らも反省し、いっそう双方向のコミュニケーションに努めることを決意する。

現場にも理念を徹底指導した。

「安くて、おいしくて、サービスがよくて、雰囲気がいい店をつくるのが、牛角の商売の大前提で、お客様に喜んでもらって、リピートしていただき、売上が上がって、利益が出るという順番以外なにもないのだ」

成長の踊り場を越え、2000年5月には100店を越え、2000年12月にはJASDAQに店頭売買銘柄として株式公開した。西山社長は不動産屋時代からの社員の大内社長など、同志にも恵まれている。

株式公開後、日本ベンチャー協議会に参加し、会長のフルキャストの平野社長や、宇野社長、三木谷社長、光通信の重田社長、藤田晋社長、野尻佳孝社長、GMOの熊谷社長などと公私にわたってのつきあいが深まった。

人と出会うことで成長につながり、自身が成長することによってまた新たに多くの方々と出あることができ、その喜びははかりしれないと西山氏は語る。


大切なのは情熱と科学

パッションとサイエンス。西山社長がパートナーたちによく言う言葉だ。想いと仕組みとも呼ぶ。

レックスホールディングではパートナーズ甲子園ならぬパートナーズフォーラムを毎年開催して、パートナーたちの経営参画プロジェクトを支援し、研鑽の場所を提供している。

なるほどと思う。

マクドナルドもよくできた仕組みがあるのだろうが、牛角もパートナーの意識アップという意味では負けていないと思う。

レックスホールディングは米国に上陸し、ハワイやロスアンジェルス、ニューヨークに店舗を展開。

買収ではレッドロブスター・ジャパン、am/pm、成城石井を買収。

変化する時代背景をつかみ、新しい便利を、付加価値を、感動をお客様に提供していきたいと西山社長は語る。それが10年後の小売業を支えているはずであると。

「お客様に喜んでいただきたい」という想いは必ず届くのだと。

先週末たまたま家族で牛角で食事をしたが、この本を読んでさらに牛角、成城石井を応援したくなった。

是非感動を与えてくれる小売業、外食産業となって欲しいものだ。

読みやすく良い本だった。西山社長にがんばれとエールを送りたい気持ちになった。


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Posted by yaori at 13:10Comments(1)TrackBack(0)