2007年04月29日

編集者という病 幻冬舎社長見城徹さんの魂のデスマッチ

編集者という病い
編集者という病い


今、出版業界で最も勢いがある幻冬舎社長の見城徹さんのエッセーを集めたもの。

見城さんといえば、石原慎太郎のポン友で知られるが、この本を読むと多くの作家やミュージシャンと、ただならぬつきあいをしていることがわかる。

筆者も一度だけ見城さんと会ったことがある。4年ほど前に関東では最大手の本屋チェーン文教堂の新年会に行ったら、上場直前で投資者説明会(ロードショー)の最中だった見城さんが来賓挨拶をしたのだ。

幻冬舎が6人でスタートしたばかりの頃、近くの文教堂に行って、いずれは自分たちが出した本が文教堂の売り場で平置きにされることを夢見て仕事していたと。厳しいスタートアップの時代を思い出して、見城さんが言葉に詰まっていたことが印象的だった。

その見城さんが現役編集者としての総決算として、親友の高瀬さんの太田出版から出した本がこれだ。


伝説の編集者

見城さんの仕事の実績はすごい。

まずは新卒として入社した廣済堂出版で、たまたま公文式と出会い、「公文式算数の秘密」でいきなり30万部のベストセラーを出し、公文式を全世界に広めるきっかけとなった。

次に太田出版高瀬社長の紹介で、角川にアルバイトで入り、頭角を現す。

角川春樹社長が「この人は爆発的に売れる作家になるから」と、森村誠一氏を担当させてくれ、400万部のベストセラーとなった「人間の証明」やその映画化など、角川春樹社長の部下として角川書店を飛躍的に拡大させた。

見城さんが入社したときは角川はブランドではなかった。角川とは仕事しないという作家だけと仕事をしようと考え、五木寛之、石原慎太郎、水上勉、有吉佐和子など、多くの作家から見城さんが初めて仕事を取ってきた。


見城さんの交友録

次が見城さんの交友リストだ。見城さん自身がそれぞれの人とのエピソードを紹介してる。

それぞれ面白いエピソードばかりだが、一部だけ紹介しておこう。

1.尾崎豊
  尾崎豊は「誰かのクラクション」、「普通の愛」、「白紙の散乱」、「黄昏ゆく街」で、「堕天使達のレクイエム」という5冊の単行本を出している。すべて見城さんの角川時代のものだ。

堕天使達のレクイエム (角川文庫)
堕天使達のレクイエム (角川文庫)


尾崎豊とは一瞬も気をつけないつきあいだったと。

誰も信じられない、常に「あなたは尾崎豊ひとりだけを愛してくれますか?」と踏み絵を他人に求める。生きていく限り救いはなかったのではないか。

見城さん、音楽プロデューサー、アートディレクターの恩有る3人の最後の砦と決別した尾崎豊は、破滅に向かい、泥酔して死んだ。小心者なのに、ヒリついていた。

音楽プロデューサーが尾崎が死んだという知らせを見城さんによこしたとき、「見城さん、悲しいけどなんかホッとしましたね」と言ったという。それは非難されることではなく、全身全霊を尾崎豊に捧げてきた見城さんと彼にとっては実感なのだと。

2.石原慎太郎

ポン友の石原慎太郎には、「弟」、「老いてこそ人生」という本を幻冬舎で書いて貰ったが、本当は「老残」という小説を書いて貰いたいと。「太陽の季節」でデビューした作家が、老残を書くのだと。

3.安井かずみ
4.山際淳司

スローカーブを、もう一球 (角川文庫 (5962))
スローカーブを、もう一球 (角川文庫 (5962))


スポーツノンフィクションなどで有名な故山際淳司さんとも、深いつきあいだった。

5.鈴木いずみ
6.中上健次
7.坂本龍一
8.松任谷由実
松任谷由実に「ルージュの伝言」を書いて貰ったら、直前に出版をとりやめたいと言ってきた。

「自らの人生や、自らがつくった歌の背景、自らのスピリットを語り尽くせば、私の音楽事態が死ぬ」と。

なんとか説得し、最後はOKをもらって出版にこぎ着けたのだと。

9.村上龍
10.浜田省吾
11.五木寛之
12.夏樹静子
13.内田康夫
14.重松清
15.大江千里
16.銀色夏生
17.林真理子
18.さだまさし


編集者という病 魂のデスマッチ

これらの人と、魂と魂のぶつかりあいの様な関係を持って、とことんつきあうという信条のもと、朝まで飲んでは2−3時間休んで会社に行くという生活を過ごしたという。

結婚はしたが、36歳で離婚し、子供もいないので、自宅では愛犬エド(昔のテレビドラマのしゃべる馬エドにちなんでつけた名前)と過ごしているという。

ここまでのめり込んで、編集者魂で全力投球していると24時間、365日仕事で、休まることがない。到底家族を保つことができなかったのだろう。

尾崎豊だけでなく、100人ほどの作家と365日精神のデスマッチを続け、筋金入りの不眠症で発狂寸前だったという。


編集者の仕事

この本は月刊誌Free & Easyなどに見城さんが書いているエッセーを集めたもので、序章のみ書き下ろしだ。

Free & Easy (フリーアンドイージー) 2007年 06月号 [雑誌]
Free & Easy (フリーアンドイージー) 2007年 06月号 [雑誌]



編集者は作者とギリギリの勝負を挑むが、創作しているのは作者である。

見城さんは日本一の偽物になろうと決めたという。

何百人という本物の表現者を相手に、偽物としての栄光を手にしようと誓ったのだと。編集者は自分が感動できて、それを世にしらしめたいと思うからやっていけると。

見城さんが編集した作品は朱がやたらと入っていたという。

「こういうせりふを言う人は、こういうセックスはしません」とか、「赤く染めたカーリーヘアーの女が一服するときに吸うたばこはセブンスターじゃなくて、ハイライトじゃないでしょうか」とかいった具合だ。

なんだか違いがよくわからないが、これを村松友視さんはデスマッチと呼んだという。


ボディビルとラグビー

見城さんは会社に入って27歳から37歳までボディビルに凝って、1週間に1回休むだけで毎日ウェイトトレーニングをしていた。

ベンチプレスでは120KGを目標にしていたそうだ。

ヘミングウェイにあこがれて肉体をつくったのだと。

体がきちっとしていなければ、意志もきちっとしないと常に思っていたという。「勝者にはなにもやるな」とつぶやきながらトレーニングを続けたという。

見城さんは結局自殺すると思うと語る。

ヘミングウェイはライフル自殺した。彼が自殺した時の気持ちが知りたいと。

死ぬのは怖いが、死の瞬間に必ず笑いたい。自殺しない限りその瞬間に笑うことはできないのではないかと思っていると。

見城さんは清水南高校で、ラグビーをやっていた。

幻冬舎を立ち上げたとき、後輩の重松清がラグビーボールを送ってくれたという。6人が車座になってラグビーボールをパスしたのだという。

この本を出して、見城さんは20年近く休止していたウェイトトレーニングを再開する決心がついたという。


幻冬舎スタート

角川春樹社長がコカインで逮捕され、角川書店を解任されたとき、見城さんも解任決議に賛成し、そして見城さん自身も角川をやめた。

角川春樹社長と見城さんで角川を作ってきたという自負があったので、「角川の見城」ではあったが、角川を辞めたときも自分が努力をすれば、大丈夫だという自信はあったという。

幻冬舎がスタートしたとき、朝日新聞に6,000万円だして全面広告をだした。そしてはじめに出した6冊はすべてベストセラーとなった。

広告代理店の副社長が見城に賭けたということで、もし幻冬舎が払えなければ自分が払うから広告を打たせてくれと支援してくれたという。

幻冬舎という社名は五木寛之氏がつけた。

創立3年目には62冊の文庫を出した。

郷ひろみの「ダディ」ははじめから初版で50万部と賭に出た。

「本が売れない。活字離れが理由だ」と出版業界の人が言っているが、見城さんは違うと言う。

売れない原因は出版社側の責任であり、書き手に対してきっちり体重をかけていないから、読者をつかめる本をつくれないのだと。

営業と編集は矛盾はしないと。幻冬舎がまさにその典型である。

薄氷は自分で薄くして踏む。

顰蹙(ひんしゅく)は金を出してでも買え。

新しく出て行く者が無謀をやらなくて一体何が変わるのだろう。

幻冬舎のコピーだ。これからも目の離せない出版社である。


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2007年04月25日

闇権力の執行人 鈴木宗男の告発本

闇権力の執行人


官房副長官として権力の中枢にいたが、その後あっせん収賄の容疑により、437日も勾留されていた鈴木宗男議員の告発本。「疑惑の総合商社」と、当時の社民党の辻元清美議員に糾弾されたことが記憶に新しい。

鈴木議員は第一審で斡旋収賄罪で有罪判決を受け、現在控訴中だが、2005年に新党大地から立候補し、復権を果たした。

タイトルが闇権力というから、政治家を動かす圧力団体あるいは資金源のことかと思ったら、外務省官僚と外交関係に関わる民間人(例として安全保障問題研究会(安保研)関係者などが挙げられている)のつくる隠然たる勢力のことだ。

外務省の利権や官僚の利益を確保し、それを侵す勢力は組織を挙げて排除するのだと。

鈴木宗男氏は闇権力を黙認し、支援していたが、あまりに深く知りすぎたために、田中眞紀子氏と対決させられ、田中眞紀子氏が失脚すると、用済みになった鈴木氏は、収賄容疑により国策捜査の対象とされた。

鈴木宗男氏と佐藤優氏の対談集の「北方領土特命交渉」でも外務省の幹部が顔写真入りで紹介されていたが、この本でも顔写真入りで紹介されている。


外交官の品性

この本の場合には、もし虚偽であれば名誉毀損にもなりうるスキャンダルなども暴露されているので、書かれている人にとっては、たまったものではないだろう。

鈴木氏によると外務省で日本の外交方針を決定しているのは課長クラスだ。実質的な人事権を握っており、外交機密費や交際費の決裁も課長が行う。

特にロシア課と中国課の課長は絶大な権力を持つので、その意味でも、相手国の秘密機関につけ込まれる様なスキを見せず、様々な批判に耐えうるように襟を正さなければならないということを鈴木さんは言いたいのだろう。

それにしても暴露されている内容は、個人攻撃的なものもあり、週刊誌的なネタが多いのには辟易する。

たとえば某課長は酔うと「ボクちゃん、寂しいでちゅ」とかいう幼児プレーや、不倫、ロシアのナイトクラブでの無警戒なロシア人女性の連れ出しなど、資質の問題があると。

このような品性の人間が外交上の重要案件に関われば、国益を損なうリスクは極端に大きくなると鈴木氏は語る。

他にも困ると丸まってアルマジロになる局長とか。獅子奮迅の働きのノンキャリの「アフガンの高橋(現駐ウズベキスタン公使)」をねたむキャリアとかの話が紹介されている。

その後名誉毀損で鈴木さんが訴えられているという話も聞かないので、外務省は無視しているのだろう。


不正蓄財組織ルーブル委員会

旧ソ連時代の1989年まで何十年も、モスクワ大使館には外交官特権で輸入した高級車をルーブルで売って、不正に私腹を肥やすルーブル委員会と呼ばれる裏組織があったと鈴木さんは告発する。

元最高裁判事の下田武三さんが、ソ連大使に在任していた時は活動を停止していたが、それ以外の時期はせっせと蓄財をしており、外務省の対ロシア政策の責任者で代々のモスクワ大使館駐在経験者はすべて、不正蓄財に関わっていると鈴木さんは指摘する。

鈴木さんが問題としているのは、そのルーブルがKGBが流していた闇ルーブルで、KGBは闇ルーブルが日本大使館に流れていることを知っており、いわば日本の代々のロシア外交の責任者は、KGBに尻尾を捕まれていたということだと語る。

筆者の感覚では、闇為替レートがある国では、この「ルーブル委員会」の様な為替管理は当たり前で、外交官特権で輸入した車を高く売るというのも、外交官のフリンジベネフィットとして他国でもよくあることだと思うので、ことさら問題にすることもない様な気がする。

筆者が昔アルゼンチンに駐在した時代を思い出す。当時は自動車完成車は輸入禁止だったが、ブエノスアイレスの町にはベンツがたくさん走っていた。

各国の外交官が外交官特権でベンツを輸入して、中古車として売りさばいて、大きな利益を得ていたのだ。

筆者の同僚が大使館勤務の人に、外交官はうらやましいと言ったら、「でも外交官になるのは(外交官試験を合格しなければならず)、大変なんですよ」と言われたという。


鈴木宗男対応マニュアル

外務省では、鈴木さんが衆議院議員として復権したので、鈴木さん対応マニュアルをつくって省内に配り、趣旨徹底をはかっている。

そのマニュアルでは、「当省と同議員の関係が社会的、政治的に大きな問題として取り上げられたこと等を十分ふまえる必要がある。ついては、今後は下記の方針に従い対応することを原則とし、判断が困難な場合には、官房総務課に相談することとする。」と規定している。

昨日の友が今日の敵に変わり、外務省の天敵となった鈴木氏に省を挙げて、警戒していることがわかる。

これには後日談があり、事務次官から別の政治家を通して、「不快な思いをされているのではないか」というメッセージが来たという。

役所では事務次官といえど、一旦できあがったものをストップさせることはできないので、このようなことになったのだと。これが官僚の掟なのだと。


鈴木宗男さんの質問主意書

鈴木さんは今や新党大地唯一の国会議員なので、自民党の中枢にいた頃とは違い、できることは限られている。

そんな環境で、自らの主張を国政に反映させられる手段として使っているのが、質問主意書だ。質問主意書は国会調査権の一つで、大臣答弁と同じ意味を持つ。

今までは共産党などの野党が使っていた手段だ。

鈴木さんの提出した質問主意書は2005年10月だけで28通ある。これは衆議院のホームページに掲載されているが、鈴木さんの質問ばかりだ。主なもののタイトルだけ紹介すると:

1.アイヌ民族の先住権
2.外務省在外職員の住居手当にかかる非課税問題
3.在モスクワ日本国大使館における裏金問題
10.外務省在外職員の飲酒対人交通事故
13.田中・ブレジネフ会談
14.南樺太・千島列島の国際法的地位
17.外務省在外職員の配偶者手当
25.イラン大統領によるイスラエル抹消発言
26.外務省におけるワインの購入

鈴木さんは外務官僚がつくりあげた「闇権力」の解体を、やり遂げることが自分の使命だと語っている。そのためにこういった戦術で、戦うのだと。


プーチン大統領の依頼

鈴木さんが2000年に森首相の特使としてクレムリンを訪問した時に、プーチン大統領と面談した。そのときにプーチン大統領から意外な依頼を受けたことを明らかにしている。

それは日本を訪問するロシア正教の最高責任者アレクシー二世総主教が、天皇に謁見できる様に取りはからって貰えないかというものだ。

「アレクシー二世のロシアにおける存在は、とても大きいのです。天皇陛下がアレクシー二世と謁見して頂けるなら、ロシアの国民感情からも、日ソ関係に大きな意義があるはずです。」とプーチン大統領は語ったという。

ロシアのキリスト教指導者の影響力が、ここまであるとは知らなかった。
なんとなく創価学会の池田大作氏の、外国の大物との面談を思い起こさせるエピソードだ。

同志社大学神学部卒業で、鈴木宗男氏の同志の佐藤優氏が、ロシアで確固たる人脈を築いていた理由もわかる様な気がする。


鈴木宗男氏への疑惑

この本の残りの大半は、鈴木さんが「疑惑の総合商社」と当時の社民党の辻元清美議員に国会で追及された種々の疑惑に対する説明だ。

鈴木氏が一部のNGOをアフガン復興支援会議に参加させるなと圧力を変えた問題とか(田中眞紀子外相が事実を誤解して国会で答弁し、鈴木さんや外務省幹部と対立するきっかけとなる)、ムネオハウス問題、ロシア支援委員会資金流用、外務省職員殴打事件、三井物産ディーゼル発電施設建設疑惑、プレハブ診療所設置問題、ケニアのソンデゥ・ミリウ発電所ODA問題、ムルワカ秘書問題などだ。

それぞれに詳しく書いてあるので、これを読むと鈴木さんの主張は、筋が通っているという印象を受ける。


国策捜査の真相

鈴木さんが逮捕される二ヶ月前に、大阪高検の現役公安部長三井氏が大阪地検特捜部に逮捕されるという事件があった。

嫌疑はマンションの登録税47万円を浮かすために、住民登録を偽ったというものだ。

三井さんは検察内部の裏金つくりの実態を告発するためにテレビに登場し、国会にも出頭しようとしていた矢先に逮捕された。

典型的な別件逮捕に思える。

そういった検察内部の裏金疑惑から国民の目をそらさせるために、検察はムネオ疑惑も含め、全国で矢継ぎ早に目立つ事件を摘発したのではないかと鈴木さんは疑っている。

それが国策捜査の真相だとしたら、お寒い限りだ。


その他参考になる点を紹介しておこう。

イランのアザデガン油田がらみのODAは即刻やめるべきだと鈴木さんは主張する。イランは危険なテロ支援のイスラム原理主義国家なのだと。

外務省には学閥はなく、語学スクールがあるという話を佐藤優さんは「国家の罠」で書いていたが、これの例外は「如水会」(一橋大学卒業生)と創価大学(創価学会も含む)だと。

一橋大学の卒業生の結束の強さは有名なので、外務省でも目立っている様だ。


週刊誌的な暴露ネタが多すぎだが、鈴木さんは文章もうまく、読みやすい。話半分に読むべき本だと思う。


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2007年04月20日

サービスで小さな奇跡を起こす方法 リッツカールトンシリーズの林田さんの本

伝説ホテルマンだけが知っている!サービスで小さな奇跡を起こす方法―0


「リッツ・カールトンシリーズで学んだ仕事で一番大事なこと」がベストセラーとなったホテルマン林田さんが紹介する、優れたホテルマンやコンシェルジェなどのサービスの奥義。

サービス業に携わる人には非常に参考になると思う。

以前紹介したレストランカシータの話が出てくる。サービスのプロの林田さんが、愛と感動のレストランとして高く評価している。


伝説ホテルマンとして登場するのは:

帝国ホテル 宴会予約支配人の宮井宏和さん

元リッツ・カールトンホテルのコンシェルジェで、今は東京ベイコート倶楽部の宿泊部支配人の前田佳子さん

かつて浦安ブライトンホテルに勤務し、現在はチームラボサービスコンサルティング社長の江澤博巳さん

元リッツ・カールトンホテルのサービスマンで、現在はマンダリンオリエンタルホテルのバンケットマネージャーである石原進一さん

ホテルニューオータニ大阪の料飲部総括支配人である阪口正彦さん

目次は次の通りだ:

序章  伝説ホテルマンを感動させたサービス

第1章 伝説ホテルマンだけが実践する「気配り&心配り」の話術

第2章 サービスで”小さな奇跡”を起こす舞台裏の演出法

第3章 CSの達人・林田流「感動サービスの6ステップ」

第4章 クレーマーをもファンにしてしまう伝説のサービス

第5章 CSフィロソフィーで”小さな奇跡”を起こすチームづくり

第6章 お客様をロイヤルカスタマーに変える感性を磨く

いくつか印象に残った話を紹介しよう。

断定形でなく、質問形で話す

マンダリンオリエンタルホテルの石原さんは、必ずお客様にお伺いをたてるようにしていると。

たとえばワインリストを見せて欲しいというケースは、「かしこまりました、少々お待ちください」とは言わず、「かしこまりました。少々お待ちいただいて、よろしいでしょうか?」と言う。

結局は、お客様の”YES”を一番大切にしているのだ。お客様が”YES”と言わない限り、こちらの都合を押しつけるわけにはいかないのだ。

徹底的にお客様第一で考えるという思想がすばらしく、これは”NO”と言わないサービスに通じるところがあると林田さんは評価する。

感動を与えるストーリーが満載され、サービスを提供している人の言葉で語られており、考え方がわかる。


林田流感動サービスの6ステップは次の通りだ:

1.事前対応サービス ー 電話の第1印象に配慮する

2.当日のお出迎えサービス ー スタッフ一同を巻き込む

3.滞在時のサービス ー 予期せぬ事を演出する

4.お見送りサービス ー 「二重のお見送り」がなぜ大切か

5.24時間以内のフォローサービス ー 電話で感触を探る

6.一生のおつきあいをするためのフォローサービス ー ひと筆だけでも手書きで添える


林田さんはホテルマンやレストランの従業員に聞く。「あなたの仕事は何ですか?」

マンダリンオリエンタルホテルの総支配人も同じ事を聞く。「あなたの仕事は何ですか?」

期待される答えは「サービスです」だ。「お客様だけでなく、総支配人にも、自分のスタッフにも、自分の家族にもサービスする。それが仕事だと思っています」と。

サービスとはお客様の心に向かって仕事をすることであり、「自分の周りはすべてお客様」との心が社内の人間関係を変えるのだと。

林田さんは組織は逆ピラミッドであるべきだと考えていると語る。一番上にお客様、次に現場のスタッフ、チームリーダー、管理職、そして一番舌にいるのが社長だ。

社長が管理職を支え、管理職がチームリーダーを支え、チームリーダーが現場のスタッフを支えるという体制ができているからこそ、お客様のことを第1に考えることができるのだ。

リーダーは時間を3分割して使えと林田さんは説く。1は自分の仕事、2は部下の教育、そして3は1年先、3年先、5年先のことを考えることだ。

CSフィロソフィーをつくるには、30−40代前半のスタッフで、3−4割は女性のスタッフを入れたチームをつくるべきであると。サービスには女性の感性が不可欠だからだ。そして半年から10ヶ月掛けてCSフィロソフィーをつくるのだ。

伝説のコンシェルジェ、前田さんの話も参考になる。困っているお客は雰囲気でわかるので、「何か、お困りのことはございませんか?」と声を掛けるのだ。

また女性と男性では質問を変える。前田さんは立ち位置にもこだわる。お客様の斜め45度くらいの位置に立つのだ。さらにお客の瞳孔まで確認していると。人間の瞳孔は緊張していると小さくなり、リラックスしていると開くのだと。

ホテルでサービスに携わる達人自身の言葉が紹介されていて参考になる。リッツ・カールトンシリーズと比べて、内容はより実践的、実用的となっている。

日本の気配りがわかる良い本である。おすすめする。


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2007年04月11日

I am a man. 奇跡のレストラン カシータの作り方 是非行きたい!

I am a man.―チームワークと顧客第一主義がポイント!奇跡のレストラン「カシータ」の作り方



リッツ・カールトンシリーズで有名な林田さん
が、絶賛する東京青山のレストランカシータのオーナー高橋さんの本。

リッツ・カールトンで学んだ仕事でいちばん大事なこと


写真も載っており、なかなかダンディである。昔はがりがりにやせていたが、7年間死にものぐるいでトレーニングを続けて、身体がゴリラになったと。

高橋さんは元々町田でオートバイの輸入をやっているが、究極のリゾート、アマンプリ、アマンプロなどのアマンリゾートに魅せられ、自らレストランカシータを開いた。

この本では高橋さんが絶賛するアマンリゾートや、フォーシーズンズ、リッツ・カールトンでの体験を通しての、優れたサービスを語っている。


アマンリゾート

アマンプリはタイ、プーケットにあり、アマンプロはフィリピンの小島にある。その他ホテルボラボラというタヒチでの有名なホテルもアマンリゾートの傘下だ。

空港との送迎や、ホテルのレセプション、従業員がゲストの名前を知っていること、プールからあがると必ずタオルと水を持った従業員が待っているなど、至れり尽くせりのサービスだ。

料金は1,000ドル/泊と高いが、リゾートホテルならそんなものかもしれない。


二つのAMと一つのAN

高橋さんの絶賛するのは、2つのAM、アマンリゾートとAmerican Express(Amex)、それとANA全日空だ。

宇宙人がつくった3つの会社であると。

Amexのカスタマーサービスの質は定評があり、客の様々なリクエストに応えてくれる。カードをなくした時の即日発行などは有名だ。

また全日空は、悲願の国際線参入だったので、サービスの質は他のエアラインよりも良い。

高橋さんの経験では、全日空のファーストクラスに乗った時に、一人のパーサーに文句を言ったら、それをコンプレインとして上げてくれと頼まれた。高橋さんはそれを断ったが、帰りのフライトで違うパーサーから、「貴重なご意見を頂きまして」と応対してきたと。

さらに成田に戻ると、地上のスタッフが待っていて「先日は、大変申し訳ありませんでした…」と謝られたという。

素晴らしい連携プレイ、コミュニケーションに高橋さんは驚かされたという。

全日空では、どんな小さな情報でも、ギャレーに戻った時点で全員に共有される。たとえば、コーヒーにミルクと砂糖を断ると、次からは違うスタッフでも、何も言わなくともブラックでサーブされると。


JALとANA

JALとANAは似たようなテイストだが、いくつか違うと高橋さんは語る。

一つは機材で、JALは路線が多すぎて、機材は統一されていない。

特にアジアなどの機材は古いものがあると高橋さんは語る。

これに対してANAは機材が統一され、どの路線でも同じファーストクラス、同じビジネスクラスのサービスを受けられるのだと。

次にチーフパーサーの問題である。JALもANAも、どちらも優秀なクルーがいるが、JALのチーフパーサーはおおむね40−50代の男性で、高橋さんの嫌いなお客より威張った雰囲気のスタッフがいると。

これに対してANAは30代の女性で、パーサーから昇格して張り切ったスタッフが多い。

筆者も以前はよく海外出張に出かけていたので、JALのビジネスクラスに乗ったら、一度チーフパーサーが酔ったお客とケンカしていたのを見たことがある。

雰囲気を悪くする以外のなにものでもなかった。

もっとも、筆者の経験は10年以上前のことだし、この本は2003年に書かれたものなので、今はJALのサービスは変わっていると思う。

筆者の妻が以前JALに勤めていたこともあり、新婚旅行はEFという無料旅行でハワイに行ったり、JALには大変お世話になった。

だから以前はJALのマイレージを貯めていたが、一旦全日空に乗ると、次は全日空に、という気分となった。

筆者が最初に米国に駐在していた1980年代後半は、全日空が国際線に初進出して、ワシントンに直行便をスタートさせた頃で(日米航空交渉で、全日空はニューヨークのゲートを割り当てて貰えなかった)、クルーも気合いが入っていて非常に好感を持ったものだ。

当時は飛行機で喫煙もできたので、筆者の先輩が全日空で日本に出張した時に、スチュワーデスが座席の肘掛けの灰皿からピンセットで吸い殻を一本一本取り除いていたことにえらく感動したと言っていた。

それ以外にも国際線ビジネスクラスのワインは、フランスボルドーのシャトー・デュアール・ミロン・ロートシルトとか、シャトーワインを置いていたことには、筆者も感動した覚えがある。


サービス業はハードでなく、ハートだ

サービス業はハードでなく、ハートだと高橋さんは語る。

最後の第三章は、高橋さんからカシータのスタッフへの朝礼メールを集めている。印象に残った例をいくつか紹介すると:

ちゃんとしたレストランで働きたいとスタッフが辞めていった時に、高橋さんは、ちゃんとしたレストランって何でしょう?というメールをスタッフに送った。

レストランはサービス業だ。カジュアルにせよ、フォーマルにせよ、どういう態度でゲストに接していくかが問題なのだと。

他のレストランなんか見るな。ホンダベルノにカタログをもらいに行ったり、アメックスを申し込んだり、MKタクシーに乗ったり、話題のホテルに泊まったり、自分の金を払って欲しいと。そうすると見えてくることがたくさんあるはずだと。

予知能力を考えて欲しいとか、格好良いは格好悪いとか(見えないところで人知れず努力をしているはずだ)、色気のない男のスタッフに「いい女を口説ける男になれ」、とかショートストーリーとしても面白い。


自らお金を払って、アマンリゾートとか、ANAのファーストクラスなど、最上のサービスを知り、スタッフを育て、自分のレストランのサービスに最上のものにしようとする高橋さんの積極姿勢には頭が下がる。

こんな人のやっているレストランなら是非行きたいと思わせる本である。


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2007年04月08日

ゴーン・テキスト ゴーンさんの講演が英語で読め、かつ聴ける

ゴーンテキスト ビジネスの教科書


日産再建の立役者、世界でも再生人として有名なカルロス・ゴーンさんの講演などを集めたもの。

片側から読むと日本語で、反対側から読むと英語になっている。

CDが付いており、ゴーンさんの有名な日産リバイバルプランの発表(一番重要な部分は、ゴーンさんは日本語で演説している)や、いろいろな場所での講演が集められていて面白い。

いかにも教科書的に、女性の採用拡大や多様化したチームの重要性、学生へのキャリアデザインのアドバイスなどのテーマをピックアップしている。

有名なくだりは次の通りだ:

「日産リバイバルプラン」を成功させるためには、どれだけ多くの努力や痛み、犠牲が必要となるか、私にも痛いほどわかっています。でも信じてください。他に選択肢はありません。そして、この計画は挑戦するに十分な価値があるのです……。

これをゴーンさんは、日本語でそのまま読み上げた。

フランス語なまりなので、「ち」が「し」になったりする部分はあるが、強い感動を与える演説である。

この本の目次は次の通りだ(CD印は、CDに収録されていることを示す):

第1章 
1999年、私が来日したとき (CD)
規範に挑戦せよ!
「ザ・コストカッター」と呼ばれて(CD)
「日産リバイバルプラン」発表(CD)
優れた商品さえあれば、解決できない問題はない(CD)
奇跡の復活 ー そこから何を学ぶか(CD)
"運命共同体"として(CD)

第2章
リーダーの条件(CD)
無能な経営陣への処方箋
レイオフ
大切なのは「人とつながる力」を持つこと

第3章
初めて日産に出社した日の出来事
「多様性」が豊かさをもたらす
グローバルにいけ!
トップ営業マンは74歳(CD)

第4章
「多様性」は強力な武器となる(CD)
「多様性」を育む(CD)
企業は女性を求めている(CD)

第5章
キャリアデザインの方法
仕事と家庭
失敗の中にこそ成功の芽がある

第6章
汝の敵は汝自身なり(CD)
アメリカの自動車産業(CD)

第7章
日産ウェイ(CD)ー 15人の経営会議メンバーが箱根の研修所に集まり1日議論して日産ウェイを改訂


ビジネスの教科書、英語の教科書として使われることを念頭に置いており、クラスメートや同僚との討論の材料となるような本となって欲しいという意味も含めて、ゴーン・テキストである。

簡単に読め(聞け)、参考になる。


コストカッター

フランス語で"Le Cost Killer"というのが、正式呼称だ。なぜこれが、日本語でコストカッターになったのかよくわからないが、ゴーンさんの昔のあだながコストカッターである。

ゴーンさんが来日して、資材購買を見直し、鋼板の購入先を高炉メーカー5社から、3社に絞ると発表したとき、大きなショックが日本の鉄鋼業界を痛撃した。

鋼材価格はゴーンショックでたしか2−3万円/トン下がり、川崎製鉄と日本鋼管が合併する業界再編の引き金になった。

ゴーンショックにより、新日鐵はじめ各メーカーは人員整理を行い、血を流したことも事実であるが、日本の鉄鋼価格は大幅に下がったので、世界でも最も安い市場となった。

韓国や中国、台湾、ブラジル、ロシア等からの安値輸入は止まり、むしろ日本の鋼材は世界での競争力を取り戻す結果となった。

そんなつらい時期を経て、現在の日本の鉄鋼メーカーの過去最高の決算があるのだ。

同時にケイレツもほとんど整理された。日産が投資していた1394社のうち、関係が継続されたのは4社のみ。他の株は売却された。


リーダーの条件

最良のリーダーは次の3つの特性があると、ゴーンさんは語る。

1.モチベーションを高める力
2.人から信頼されること
3.結果を出していること

カーネギーによると、成功したビジネスパーソンのうち、知識や技術的スキルが成功要因である例は15%にすぎず、残りの85%は社員に対する接し方や処し方が成功要因だったという。

人とつながる能力、capacity to connectが重要である。


無能な経営陣への処方箋

ゴーンさんは、良いマネジメントとは、その会社を見ればすぐわかると語る。

社員が魅力を感じ、信頼していて、会社の上から下までモチベーションが高まっている。そうなれば、良いマネジメントが行われている証拠だ。

一方、何もかもわかりにくくて、社員がよく理解できていない。そんな場合には良いマネジメントが行われていない。

悪いマネジメントを避ける方法は、一つしかないと。それは、コミットメントを掲げることで、コミットメントとは結果に対する責任をともなう目標である。

「やり遂げよ。さもなくば、いさぎよく去れ」というコミットメント文化をつくり上げることだと。

単純明快なルールである。筆者も反省すべき点が多い。


大切なのは「人とつながる力」を持つこと

ゴーンさんが、アイセック・ジャパンで講演している。

アイセックとは国際的な商学経済学生のNPOで、筆者の学生時代、友人が日本支部長を務めていたこともある。

優れたリーダーに共通して備わっている能力の一つは、Capacity to connect、人とつながる能力である。

話を聞きたい、何かを学びたいと思わせる上司が人を引きつけるとゴーンさんは語る。

また、勝利にこだわり、勝ちたいと思っている人も、リーダーの資質を備えている。

生まれつきのリーダーはいない。リーダーは作られるもの、経験から作られるものであると。だからこの2つの能力をつちかい、高め、実践に生かすことが重要であるとゴーンさんは語る。

優れたリーダーに必要なのは、一にも二にも経験である。たとえ失敗したとしても、その機会を生かし、打ち勝つことができれば、自信になり、困難を乗り越えるたびに自信がつくことで、信頼される より有能なリーダーになっていくのだと、ゴーンさんは学生たちに呼びかける。

ちなみにゴーンさんは、アイセックの学生たちに、自分も学生時代はなにをやりたいか決まっていなかったが、漠然とブラジルで仕事をしたかったので、ミシュランを選んだと語っている。

学生の時に明確なビジョンがなくても、焦る必要はないと。



日産の経営会議


最後に日産の経営会議メンバーが2005年末に箱根で研修し、1999年策定の日産マネジメントウェイを一新した会議の抜粋が紹介されている。CDにも収録されている。

メンバーは日産のゴーンさん、志賀COO,他トップマネジメントと、マイケル・ヨシノ ハーバードビジネススクール教授、浅川 慶應ビジネススクール教授を入れた15名だ。

この会議で決まった日産マネジメントウェイは2つの柱、マインドセットとアクションから成っている。

そしてマインドセットとアクションそれぞれに、5つのキーワードが入っている。そのキーワードを決める会議がこれだ。

結局マインドセットには、クロス・ファンクショナル/カルチュラル、エンパシー(共感、その後トランスペアレントに変更)、フルーガル(最小資源で最大効果)、ラーナー(学習)、コンペティティブの5つのキーワード。

アクションには、モチベート、コミットメント&ターゲット、メジャー、チャレンジ、デリバー(その後パフォームに変更)のキーワードが選ばれ、現在の日産ウェイが策定された。

一流企業の経営会議の模様が収録されたCDというのも珍しい。面白い聞き物となっている。


この本の最大の目玉はゴーンさん自身の演説が収録されているCDだ。CDだともちろん立ち読み(聴き)はできないので、是非最寄りの図書館で借りて、一度お聴き頂きたい。

聴いてみる価値はあると思う。


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Posted by yaori at 01:28Comments(0)TrackBack(0)

2007年04月06日

ダーリンの頭ン中 Vの発音はくちびるを噛まない!?

ダーリンの頭ン中


ベストセラーになった「ダーリンは外国人」で有名になった漫画家の小栗左多里(さおり)さんと、夫のトニー・ラズロさんの本。

ダーリンは外国人―外国人の彼と結婚したら、どーなるの?ルポ。


トニーさんは、自他共に認める語学オタクということで、話もおもしろいし、漫画も楽しい。

筆者もアルゼンチンと米国に海外駐在した経験から、英語とスペイン語ができ、ポルトガル語も少々、他のラテン語系のイタリア語、フランス語も書いたものなら、結構わかるという語学オタクもどきなので、興味深く読めた。

本の帯に「"V"の発音はくちびる噛まなくてもいいらしい・・・」とか、母音の前の"THE"は「ジ」なのか、「ザ」なのか、とかおもしろい話題が紹介されている。

"The"の真実

トニーは苦悩していたという漫画が楽しい。

なにげない会話で、母音の前の"The"は「ジ」と読むとさおりさんが言った一言で、「え?ホントに?」と悩んでしまったのだと。

普段"The"のことを意識していないからだ。

スピーチするときは、「ジ」というが、普通の会話では「ザ」と、意識しないが変わる。

日本語でも普段は暖かいを「あったかい」と言ってても、改まった席では「あたたかい」と言う様な感じだという。

ネイティブは母音の前の"The"を「ジ」とは教わらないが、たとえば詩を書く人や、コーラスなどを習っている人は、「ジ」と言う方が美しいと指導されているそうだ。

必ずしも一律ではなく、国や地域、環境などによって異なるのだと。


"V"の発音はくちびるを噛まなくてもいいらしい

ある日さおりさんはテレビを見ていて、外人が"V"の発音でくちびるを全く噛んでいないことに気が付く。それでトニーさんに聞いてみると、くちびるは噛まないとの答え。

愕然とするさおりさんの絵が面白い。

英語の"V"の発音では、学校で教わった様にくちびるを噛むというのは、やや大げさで、上の歯をくちびるにつける程度なのかもしれない。

ヨーロッパ系の言語でも、スペイン語にはそもそも"V"の発音がなく、すべて"B"と同じ発音だ。

その意味で、スペイン系の外国人だと"V"の発音が苦手の人もいるので、日本流かもしれないが、学校で教えられた人のくちびるを噛む"V"の発音は、悪くないと思う。


漢字ってすばらしい

トニーさんは漢字は効率が良く、すばらしいと語る。「列島」は英語ではarchipelagoとなるが、漢字の様に意味がわからない。

漢字が元々表意語だから、当然といえば当然だが、次のような例ではトニーさんは特にそれを感じると。

congenital bilary atresia=先天性胆道閉鎖症

英語だと何がなんだかわからないが、漢字では初めて聞いても大体わかる。


それぞれ異なる「はん」の発音

トニーさんは、次の言葉の「はん」の発音はそれぞれ異なると指摘する。

はんのう
はんぱ
はんこ
はんを
はん

これまたさおりさんは愕然とする。

英語の発音記号が出せないので、アルファベットで書くと次の通りだ:

hanno:
hampa
hangko
han.o
haN

たしかに言われてみると、それぞれ微妙に発音が異なる。今まで全く気が付いていなかった。


#と♯

ナンバーサインと音楽のシャープとは同じものだと思っていたが、違うものだということが、この本を読んでわかった。

ナンバーサインは#、音楽のシャープは♯、傾きが違うのだ。


日本語には受け身表現が多い

日本語には受け身表現が多く、トニーさんは翻訳がやりにくいと語る。

「思います」でなく「思われます」というと、自分の責任ではない感じになる。

「あるとされる」
「言われている」

とかも、主語がなんなのか、翻訳者が創作しなければいけない部分が出てくると。

あいまい表現は、英語でも"like"とか"stuff"とかという単語を前後につけて、最近使われていると。

トニーさんは、ビジネスとか会議とかはともかく、あいまいの方がストレスが貯まらず、健康に良いのではないかと。

ところで医者が患者に挨拶するときは、"How are we today?"と言うそうだが、距離を縮めるための"We"も、相手との間をあいまいにする表現の一つだ。


近くて近い韓国

トニーさんが語るには、日本語で「チ」または「ツ」で終わる言葉は、昔の中国で"T"の発音だったのを、日本人は「チ」または「ツ」で表したものだと。

それが、韓国ではほとんど例外なく"L"で終わっていると。

たとえば一(いち)はイル、実(じつ)はシルなどだ。

韓国語の「サ」は日本語の「シ」または「ジ」にあたることが多い。

たとえば事故(じこ)は韓国語では「さご」だと。

スペイン語とポルトガル語でも、同じような例がある。スペイン語の"L"は、ポルトガル語では"R"となる例が多いことだ。

たとえば:

            スペイン語      ポルトガル語
喜び           placer         prazer
浜辺           playa         praia
広場           plaza         praca
白            blanco         branco
恩            obligar        obrigar

"L"と"R"の発音が苦手の日本人にはなんとなくほっとする法則である。

韓国語では"F"の音が言い表せないので、"P"の音になる。ファッションは、ペション、ゴルフはゴルプ、フランスはプランスなどだ。


このような法則を覚えておくと、韓国語が身近に思えて、楽しくなる。


具体例もあるので、わかりやすく、面白い実用英語の本だ。

漫画なので、楽しく読める。一度手にとってみられることをおすすめする。



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Posted by yaori at 23:48Comments(0)TrackBack(1)