2008年04月30日

変人力 ダイエー前社長のチェンジリーダー奮闘記

変人力―人と組織を動かす次世代型リーダーの条件


日本HP社長からダイエー社長にヘッドハンティングされ、1年半の苦闘の後、退任した樋口泰行 現マイクロソフトCOOのダイエー再建奮闘記。

樋口さんは1957年生まれ。大阪大学工学部を卒業して松下電器に入社、ハーバードMBAを取得した後、ボストンコンサルティング、アップルジャパン、コンパックを経て、2003年に日本HP社長となった。

2005年にヘッドハンターから「ダイエー社長に是非」との誘いが来る。周りからは火中の栗を拾うことはないと言われ、一旦は断ったものの、出身地がダイエー本社のある神戸だったことと、自分を必要としてくれるなら身を投じて再建に携わりたいとの思いから、たびかさなる就任要請を受けた。

このブログでも樋口さんと深く関わった人たちの本を紹介している。

一人は樋口さんの上司でダイエーの会長だった林文子さん、林さんは最近東京日産販売の社長にリクルートされた。そして樋口さんを雇った産業再生機構代表だった冨山和彦さんだ

ダイエーは中内功さんが1957年に創業、「価格破壊」を旗印に日本全国に展開、1972年には小売業日本一となり、一時はイトーヨーカ堂、ジャスコを蹴ってダイエーに入社する人も多かったという流通業で就職人気トップだった。

そんな優秀な人材を集めたダイエーだったが、用地を賃貸でなく買収して店舗を建設するという不動産の含み益を期待した「ダイエー不動産」と言われたやり方で急拡大したので、不動産バブルがはじけて一転して苦境に陥る。

ローソンを全国展開し、リクルートを買収、野球の南海ホークスを買収し、福岡にホテルと球場やショッピングセンターが一緒になったホークスタウンをつくり、一時中内ファミリーは栄華を極めたが、バブル崩壊で銀行管理会社となり、中内ファミリーは退任し、中内さんは自宅も売却し、全財産をダイエーの債務返済に提供した残念な晩年だった。

余談となるが、この不動産の含み益を使って成長するというやり方は、日本ではバブルに巻き込まれて失敗したが、筆者は時と場合によっては必ずしも不正解ではないと思う。

どこかで読んだ話だが、例えばマクドナルドの実質創業者のレイ・クロックは大学院生との飲み会で、「私のビジネスはなんだと思う?」と質問し、勇気ある学生が「あなたがハンバーガービジネスをしていることは、誰でも知っています」と答えると、「そう言うと思ったよ」と笑い、「みなさん、私のビジネスは不動産ビジネスです」と語ったという。

マクドナルドも世界の一等地に店を構えている。以前のダイエーと同じ考えだ。

結局2004年にダイエーは産業再生機構の支援を受けることが決定し、再生パートナーとして名乗りを上げたのがアドバンテッジパートナーズと丸紅だった。

樋口さんはこのアドバンテッジパートナーズと丸紅から社長として送り込まれた。

当時新聞ではダイエーの社長に誰がなるかの下馬評がいくつも出され、一時は林文子さんが社長候補としてあげられていたが、結局林さんは会長となり、社長は樋口さんに決まったことを筆者も記憶している。

ダメになった会社はすべてが悪い方向に悪い方向に行ってしまう。樋口さんがダイエーで働き始めると、いくつもおかしな点が見えてくる。

たとえば本部長会議なのに、20人の本部長一人一人が担当者を連れてきて全部で40ー50人の会議になる。社内コミュニケーションが不在で、他部門のことには口を出さないのが暗黙の了解となっており、本部長同士さえしゃべらないといった具合だ。

ダイエーにはバイヤー万能、サプライヤーを「業者」と見下す風潮があり、樋口さん自身もアップル時代にダイエーのバイヤーにいじめられた経験があり、絶対にダイエーでは買い物しないと誓ったことがあるほどだ。

ダイエーには長らくカリスマ経営者中内さんが君臨していたので、社員がトップの指示待ち人間になって、自発的に考えて行動する社員が育たなかった。バブル崩壊以降、負け癖が付いて、できない理由を探す文化となっていたのだ。

ダイエーの体質が変わらなかった理由を、樋口さんは面白い表現をしている。

いわく「ヤンキー先生」がいなかったからではないかと。つまり現場の社員と腹を割って真剣なコミュニケーションができるリーダーがいなかったからだ。

そのため樋口さんは社長直轄のプロジェクトとして野菜の鮮度向上プロジェクト、デリカプロジェクト、コスト削減プロジェクトなど10のプロジェクトを立ち上げた。

改革の特徴は、負の遺産を解消する構造改革と、正のスパイラルをつくる営業力強化がセットとなっている。樋口さんが実行した構造改革は次の通りだ:

1.店舗閉鎖 263店舗のうち、54店舗を閉鎖した
2.人員削減 1,200人の希望退職と800人の出向
3.不採算カテゴリーからの撤退 玩具、大型家具など
4.ノンコア事業からの撤退 フォルクス、神戸らんぷ亭、ドリームパークなど売却

コーポレートロゴも変え、スローガンも「ごはんがおいしくなるスーパー」として、野菜新鮮宣言を出し、2005年年末にはテレビCMを打って、薄利多売の小売業ではありえない5,000円以上の買い物に500円(最高10%の割引)のお買い物券を出し、思い切った策で集客を拡大した。

積極策に出る一方で、樋口さんは一人で閉鎖店舗にも足を運び、誠意を示して説明した。泥沼の苦闘のなかで、悟ったことが、この本に書かれているリーダーに必要な3つの力だ。

1.現場力

組織は現場こそがすべてだと樋口さんは語る。「現場100回」つまり、問題の答えは現場にあるというものだ。樋口さんは200人以上の店長に直接電話を掛け、店長と「ノミニケーション」を図り、2週間に1度電話で店長会議を行い、店長からのダイエー改革をめざした。

ダイエーには売上目標はあったが、利益目標はなかったのを、収益面でのコミットメントを店長に植え付けた。

基本動作ができていなかったのもダイエーの人気がなかった理由だ。店員はお客に挨拶をせず、品切れが出ていても補充しない。社員に基本動作を徹底させるために、口酸っぱく説明し、林会長が中心となってハンディな「新生ダイエーミッションBOOK」をつくって全員に配布したりした。

現場の社員が基本動作の意味をどれだけ腹落ちできるか、それが組織のDNAとなって刻み込まれているかが決め手だと樋口さんは語る。

樋口さんは本部と店舗から20人を選び、野菜改革に乗り出した。社長みずから会議にも積極参加し、メンバーの発言や提案を促した。まさに日産のゴーンさんの「クロスファンクショナルチーム」と同じだ。

野菜は店頭入り口に陳列されているので、いわばその店の顔で、お客は野菜を見て、その店を判断する。

だから野菜はロス・リーダーと呼ばれ、採算を度外視した値段ででもお客を引きつけ、他の物も買ってもらいトータルで収益を上げるという考え方だ。だから野菜が重要なのだ。

新鮮な野菜を安く、収穫から1日で店頭に並べるために、セントラルバイイングの比率を80%から50%に落とした。

店舗での仕入れを50%に上げ、仕入れ要員を増員し、仕入れネットワークをつくった。頻繁に野菜を補充するため売り場の人員も20%増やし、専門の巡回員も配置し、しくみをつくった上で、マスコミを呼んで林会長と一緒にオレンジのハッピ姿で、ダイエーの野菜新鮮宣言を行った。


2.戦略力

成果を上げるには、戦略を構築する力が必要となる。MECEとかロジック・ツリーのようなアカデミックな戦略論も状況分析や問題解決の手だてを探る上で役立つが、リーダー自身が現実のビジネスにどれだけ真剣に向き合って格闘してきたかが戦略にすごみを加えると樋口さんは語る。

樋口さん自身、ハーバードMBA留学時代は、毎日2−3時間(!)の睡眠時間以外はテキストを読みふけり、500以上のケースを学び、フレームワークや思考法を身につけ、頭にたくさんの引き出しを持っているが、それを生かすのが経験である。

経験を通してより広い視野で全体像が把握でき、変化を察知する力、問題の本質を見極める力が鍛えられていくのだ。


GMSの「目の前の危機」

小売業が厳しい環境に置かれている理由は、人口減少、過当競争、固定比率の高さの3点だ。これらの要因によりGMSの再編は想定内の流れであり、2007年3月ダイエーはイオンと資本・業務提携することで合意した。ダイエー・マルエツ両方ともイオングループに入ったのだ。

筆者がよく引用する人口動態調査のグラフを示しておく。日本の国としての急激な変化が読み取れるグラフである。

人口動態調査








樋口さんはマクロ戦略こそ企業の生命線だと語る。

技術の進歩、グローバル経済の動向、人口動態、景気動向、規制緩和、消費者トレンド、競合他社動向など、必要なマクロの情報はいろいろあるが、樋口さんが最も重視しているのは、現場の社員から生の情報を得ることだという。
 
全体像、ビッグピクチャーを描くために、マッキンゼーの創始者のマービン・バウアーの言う"Force at Work FAW"を見つけ(大前研一氏の「ビジネス力の磨き方」参照)、事象がなぜそれが発生したのかを突き止め、将来にわたる競争環境や経済環境を分析する。

それとともに、できるだけ多くの関係者の意見に耳を傾け、ビッグピクチャーを描くのだ。そして出てきた問題点を自分一人で因数分解し、マッピングして優先順位をつける。

戦略をいかに伝えるかも重要だ。人を動かすために熱意を持って説明するリーダーの人間力が問われる。つまり戦略を現場に効果的に落とし込む力である。

戦略力はその人がどれだけの経験を積んだかによって決まると樋口さんは語る。米国で「バンドウィッズ」=帯域幅と言われるそうだが、その人がどれくらい幅広い経験や知識を備えているかを示す言葉である。

米国人では意識的に変化をつけたキャリアを歩んでいる人が多い。たとえば大学で医学部を出て、MBAを取り、コンサルティング会社に勤めてから実業界に転身するというようなハイブリッドな人材で、ヘッドハンターもこういった人材を高く評価する傾向が強いという。

戦略力を磨くためには、こういった多面的な経験が一番の鍵になる。いくつもの視点から仮説を構築・検証できるようになるからだ。異質の人とつきあうのも役に立つ。

樋口さんは同業の経営者を訪ねまわったそうだが、或る経営者から次のように言われたという。

「一番効くのは、競合店との比較を価格とか商品などで毎日毎日徹底的にやることです。結局お客さまは比較競争力があれば買いに来て頂ける。お店に定着してくださる。これがすべてです。10年掛かってやっとわかったことなんですよ」

簡単ではあるが、まさに金言だと思う。


3.変人力

周囲がなんと言おうと自分の信念を貫き通す力、変革をやり遂げる力、それが変人力だという。この本のタイトルである。

多数から見れば変人と思える人が、実はまともとで、多数が変だったことも歴史上多々ある。樋口さんは江戸時代の麻田剛立という豊後杵築藩出身の天文学者のことを挙げている。世間が天動説だったのを地動説を唱えたからだ。

樋口さんがダイエーに着任したときにも、社員の考え方や行動に違和感を覚える事ばかりだったという。しかも自分たちがズレていることに問題意識を感じ、行動に移す社員はいなかった。

樋口さんのいう変人力の資質は「ぶれない軸を持つ」ことと、「異様なほどの実行力を持つ」の2点だ。GEのジャック・ウェルチ、日産のカルロス・ゴーン、IBMのルイス・ガースナー、松下電器の中村会長もそうだ。

行動力の例は郵政民営化を成し遂げた小泉純一郎元首相であると。そして樋口さんはチェンジ・リーダー(変革期のリーダー)は変人たれと檄を飛ばす。

変人力の原点は多様性で、多様な経験が客観性を生む。

樋口さんは"T"型人間を目指せと語る。特定領域に深堀しながらも、幅広い領域にも目を向けているという意味だ。

孤独な変人で終わらないために、真摯なコミュニケーションを繰り返し、サポーターをつくれという。小泉首相は小泉チルドレンをつくり、松下の中村会長は海外で経験を積んだ幹部を呼び寄せて周りを固めた。

樋口さんはダイエーにいるときは、社員の集まりにはできるだけ顔を出し、1日に5カ所忘年会のはしごをしたこともあるという。


エピローグ

丸紅が産業再生機構の持つダイエー株をすべて購入し44%の持ち株になったときに、樋口さんは社長退任を決意した。

社長1年目の2006年度の決算は40億円の黒字という予算を達成できず、62億円の営業損失となったが、退任した後ではあるが2年目は黒字化を達成できた。

樋口さんがダイエーの経営を引き受けたとき、経営の諸先輩からは「樋口さん、とにかく数字は気にするな。社員を大切にして、現場に軸足を置いて、判断・実行すれば、数字は必ず後からついてくるから」と言われ、その通りに実行してきたという。

ダイエー再生の経験そのものも貴重だが、プライドをズタズタにされながら、それでも会社のために自己変革をしてくれたダイエー社員たちと出会えたことが一番の財産になっていると樋口さんは語る。

構成もわかりやすく、現場で人を動かすぎりぎりの戦いをしてきた人のみが持つ言葉の重みがある。MBAそしてコンサル経験で「フレームワーク」という基本をきっちり押さえ、そして現場で社員を動かすべく「変人」と思われながらも悪戦苦闘した成果だろう。

大変参考になる本であり、コミュニケーション力が経営者の最も重要な資質であるということが、樋口さん自身の言葉で言うと「腹落ち」する形でよくわかる。

是非一読をおすすめする。


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2008年04月27日

筋肉博士石井直方の筋肉まるわかり大事典 トレーニングについての100のQ&A

“筋肉博士”石井直方の筋肉まるわかり大事典―筋肉のヒミツ、トレーニングの極意、栄養&食事法まで (B.B.MOOK―スポーツシリーズ (420))


4月15日のNHKの「爆笑問題のニッポンの教養」に出演した石井直方東大教授のトレーニング全般についてのQ&A100題。

筆者は35年以上ウェイトトレーニングを行ってきているので、自分ではトレーニングのプロと思っているが、この本を読んで基本的なことでも知らなかった事が多くあり、大変参考になった。

「加圧トレーニングの理論と実践」のあらすじでも書いたが、この本を読んで一番参考になったのは、前腕(握力)のトレーニング法だ。

以前は上腕と前腕をセットにしてトレーニングしていたが、上腕と前腕を別々に加圧トレーニングしたところ、効果が全然違った。

前腕はリストカールと30Kgのハンドグリップを3セット行ったが、これなら「加圧トレーニングの理論と実践」のあらすじでも紹介したK−1ファイターの例の様に握力向上も期待できると思う。

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さらに以前は加圧トレーニングと水泳は別の日に行っていたが、加圧トレーニングは大量に成長ホルモンを分泌するため、直後に水泳などの有酸素運動することも有効とわかったので、プールに行く前に加圧トレーニングを行った。

加圧トレーニングで腕を限界まで鍛えているので、当然腕に疲労が蓄積していると思っていたが、疲労の蓄積の自覚はなく、1.5Kmクロールで泳いでも、むしろいつもより調子が良い様に思えた。

加圧トレーニングは軽い負荷・短時間のトレーニングなので、いわば「疑似高地トレーニングで筋肉をだます」様なものと聞いていたが、それを実感した。

この本で参考になったQ&Aをいくつか紹介しておく。


トレーニング法について

20.筋肥大に最も適した負荷は?
ウェイトトレーニングのスタンダードとなっている80%1RM(Repetition Maximum=1回でできる最大負荷)で10回前後というのが筋肥大に最も適したトレーニングだ。

28.瞬発力もスタミナもある筋肉をつくるには?
「ホリスティック法」というトレーニング法がある。筋力をつける80%1RMのスタンダードトレーニングの後、50%1RMくらいの軽い負荷で30ー50回くらい、できなくなるまで続ける1セットを付け加えるやり方だ。

38.腹筋を効率よく鍛えるには?
深く息を吐きながら腹筋をする。これにより腹直筋と腹横筋の両方が鍛えられる。

40.肩の筋肉を目立たせるには?
肩はなまじっかのトレーニングでは効果が現れにくいので、地道なトレーニングを続けていくしかない。プレス+サイドレイズ+ベントオーバーサイドレイズのように肩の部位を変えてトレーニングし、量をこなす必要がある。

41.首の筋肉は鍛えにくい?
アメフットの選手の例もある通り、むしろ刺激に対する反応が高く、トレーニング効果が現れやすい部位である。

51.加圧トレーニングって何?
タレントの水道橋博士や、K−1の武蔵とかソフトバンクの杉内投手などが取り入れている。静脈を押さえるのがポイントで、乳酸や水素イオンなどの代謝物が筋肉から出て行かずに一時的に溜まるので、即発性の筋肉痛が来て、あっという間に筋肉が激しい運動をした後のような状態になる。それが強い刺激となって、成長ホルモンが大量に分泌される。

52.してはいけないトレーニングは?
ウサギ跳びが典型だと。ひざに負担が掛かる運動で腰を深く下ろすのがいけない。

59.スロートレーニングとは?
アメリカで「スーパースロー」という商標登録をしたそうだが、負荷を4秒で下ろし、10秒で上げるのが基本。脱力するフェーズをつくらず、ゆっくり継続して動し続けるのがポイント。

65,腰痛を改善させるエクササイズはある?
症状が出ているときはエクササイズはやらない方が良いが、慢性的な腰痛であれば、痛くない方向で運動するのが基本だ。たとえば前に曲げると痛いが、後ろは痛くないという場合は、バックエクステンションなどの後方に反る運動をやると良い。

いずれにせよ前面と背面の筋肉をしっかり強化することで、腰痛はかなり軽減される。

70.一度つけた筋力を維持するには?
筋力をつけるに要した期間が、運動をやめて元に戻る期間とほぼ同じである。だから3ヶ月で付けた筋力は、運動をやめると3ヶ月で元に戻る。しかし、最低週1回それなりの負荷でしっかりと筋力を付けるトレーニングをやれば、一度つけた筋力の維持は可能である。

91.試合で最大限の筋力を引き出すためには?
試合の三日ほど前になったら、過度のトレーニングを控え、やり慣れないトレーニングはやらないこと。試合直前はエネルギーになる炭水化物中心の食事にする。

持久力が必要な競技の場合のカーボローディングという一旦炭水化物を減らし、試合の直前に増やす手法も紹介されている。

92.日本人は「押す力」が「引く力」より強い?また男性は「押す力」が強く、女性は「引く力」が強い?
日本人が押す力が強いというのは、パワーリフティングでは通説になっている。ベンチプレスの世界記録は日本人が多く保有しており、現在のベンチプレスの世界記録の320Kgも日本人のものだ。

99.筋トレはアンチエイジングに効果的?
加齢で衰える腹筋、背筋、大腿筋、大臀筋などを鍛え、循環器系の若さを保つという意味で、トレーニングにはアンチエイジング効果がある。


ダイエットについて

43.有酸素運動を始めて20分以上立たないと脂肪は燃えない?
はっきり言ってウソ。皮下脂肪は15−20分くらいでエネルギーとして使われ始めるが、その前に筋肉中の脂肪が使われているので、皮下脂肪でそれの補充が行われる。

47.ウェストを締めたり、おなかを引っ込めるのに効果的なエクササイズは?
大腰筋がポイント。大腰筋をしっかり鍛えるとそれだけでウェストが10Cm以上細くなる人もいる。大腰筋を鍛えるには階段の1段飛ばしが一番だが、キツければももを高く上げてその場脚踏みとか、シャキシャキと歩く歩き方に変えることなどが有効だ。


栄養法について

73.筋肉にいちばん大切な栄養素は?
筋肉の栄養を摂るのにいちばん簡単な方法は、筋肉を食べることなりと。BCAA(blanched chain amino acids=分岐鎖アミノ酸)が重要。植物系タンパクでも良いがBCAAが少ないので、BCAAを補給する必要がある。

74.カラダづくりに効果的な食事法を教えて
完璧な結論は出ていないが、血糖値が下がるとカラダは脂肪を蓄えようとするので、血糖値を一定にするためにボディビルダーなどは一日六回食事を取る。食事を抜くより、軽い食事を多くの回数に分けて取る方がベター。

76.プロティン以外の効果的なサプリメントを教えて
筋肉の疲労回復を早めるはっきりとした効果が検証されているものは、(1)アミノ酸(BCAAなど)、(2)クレアチン(アミノ酸の一種)、(3)抗酸化物質(ビタミンC,E、ポリフェノールなど)


すべてのページにマンガチックなイラストがあり、簡単に読め、かつ為になる。

是非手にとって見て頂きたいハンドブックである。


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2008年04月24日

不動産は値下がりする リクルート創始者江副さんの警鐘

不動産は値下がりする!―「見極める目」が求められる時代 (中公新書ラクレ 252)


リクルート創始者江副浩正さんの近著。前回紹介した「リクルートのDNA}なら江副さんにまさに書いて欲しい本だが、この本は不動産価格の見通しについての本であり、なぜ江副さんがこの本を今書いたのか、本を読むまでよくわからなかった。

リクルートは以前リクルートコスモス(現コスモスイニシア)という不動産開発会社を持っていて、首都圏のマンションや岩手県の安比高原スキー場などのリゾート開発の実績もあり、江副さんはリクルートコスモスの会長だった。

しかしリクルート事件でリクルートの社長を退任し、最近は江副育英会や東京オペラシティのサポーターなどの活動がメインで、不動産ビジネスからも引退しているのだと思っていた。

江副さんは72歳になっているはずだが、この本を読むと東京や全国の不動産開発についても最新の動きをつかんでいることがわかり、依然として現役投資家と言って良いと思う。

現在の不動産の需給状況を冷静に分析して、日本全体が少子高齢化に向かっているにもかかわらず、首都圏を中心に不動産の供給はさらに増えるので、金利が今後上昇していくと不動産の価格は下がると警鐘を鳴らしていて参考になる。

最後に「書くことは私自身の勉強になる」と記されているのは実感で、この本を書いた理由だろうが、いわば元バブル紳士の江副さんの「同じ間違いは繰り返すな」という遺言の様に思える。



不動産供給の増える理由

現在は都心の不動産価格は上昇している。

日本の国土は狭く、土地は限りある資産で、不動産を持っていた方がインフレに強いという発想(信仰)があるが、土地は埋め立て、法改正などで生産、再生産されており、規制緩和による容積率拡大により首都圏や近畿圏を中心に膨大な土地、床が供給されるのだと江副さんは語る。

だから首都圏を中心に不動産の供給が増えるので、バブルは崩壊すると江副さんは予想する。


1.規制緩和による容積率や建坪率の増加

都心部では30階を超える高層オフィスビル、50階を超えるタワーマンションが増加し、住宅地では敷地一杯に広がったマンションが増えた。南軽井沢では規制緩和で、引退した団塊世代が買えるこぶりの別荘が建てられるようになった。

規制緩和による土地供給増加はバカにならないものがある。


2.地方自治体が埋め立て地を造成

江副さんは神戸市出身だが、神戸市は六甲山を削って海を埋め立て、ポートアイランド、六甲アイランドなどを造成した。

東京臨海部でも有明、青海など臨海副都心を抱える江東区は50年間で面積が1.8倍、品川区、大田区も1.4倍に増えている。千葉県浦安市は面積で約4倍、人口は約9倍になった。

すべてが埋め立て地の幕張新都心を抱える千葉市だけで、32平方キロメートルも増えている。これは中央区の面積の3倍以上の土地の増加だ。

横浜のみなとみらい21でも、三菱重工横浜造船所の跡地と埋め立て地で土地が増えている。

品川地区のJR操車場跡は、興和不動産の佐藤悟一氏が「異常な高値」で落札したと言われたが、現在の地価は興和が落札した時の2倍以上になっているという。


3.オフィスの建て替えと新規開発

オフィスの建て替えや新規開発は丸の内、六本木、汐留、品川、大崎、霞ヶ関など目白押しで、さらに日比谷地区の古いビルが再開発予備軍として控えている。

姉歯元建築士による耐震偽装事件で建築基準法が改正され、昭和56年度までに建てられた旧耐震構造のビルは、建て替えるか耐震改修が義務づけられている。一方、国と地方自治体が13.2%を補助するので、いわばアメとムチによる立て替え促進である。

東京23区のビルの4割以上は旧耐震構造なので、銀座地区などでは立て替えブームが起こっており、立て替えられれば倍以上のオフィス床面積が供給されることになろう。

都心回帰をうまくつかんだ中央区
この都心回帰の流れをうまくつかんだのが中央区だ。中央区の面積は10平方キロメートルと東京23区のなかでは台東区に次いで狭い。

人口も昭和30年(1955年)の17万人から、平成7年(1995年)には6万4千人まで減ったが、「都心居住」のまちづくりで、銀座、日本橋〜築地、月島・勝どき・晴海と3つのゾーニングを設定し、容積率を1100%まで拡大し、平成18年には念願の10万人を超えた。

現在6期めの区長の矢田美英氏は中央区生まれの共同通信社出身で、従来の慣行に捕らわれない自由な発想の持ち主だったことが中央区の画期的な改革を可能としたのだろうと江副さんは語る。

築地市場跡地の再開発も計画されている。


4.大学の持っている土地の有効利用

中央大学は駿河台地区から東京の八王子に移転した。他にも郊外に移転した大学・学部もあるなかで、東洋大学などはむしろ都心回帰してきた。学生の都心指向は強い様だ。

東大の小宮山総長は大胆な東大改革を行おうとしている。

仮に駒場からすべて本郷の農学部や柏キャンパスなどに移転し、駒場のキャンパス10万坪を再開発すると六本木ヒルズ地区の2倍の面積の再開発が行えることになると江副さんは語る。

これによる地価は3,000億円と推定され、毎年200億円程度の収入が得られる可能性があると試算する。

さらに東大は小石川植物園周辺、千葉の検見川運動場、中野の附属中学・高校、田無の実験林なども持っており、資産の有効利用で国からの助成金の減少分を賄うこともできる可能性がある。

旧帝大系はみんな広大な土地を持っており、首都圏の千葉大学、埼玉大学、横浜国立大学なども同様だ。これらの土地を有効利用すると、将来は地価下落の要因になる。


5.生産緑地法の改正による農地の宅地化

首都圏で農地の宅地化が最も進んだ地区は、埼京線の戸田公園から大宮にかけてだ。平成3年(1991年)に改正された生産緑地法により、農家が申請すれば宅地に転用して売却も可能となったので、一挙に農地から宅地への転換が進んだ。

東京都だけでも昭和40年(1965年)には28%だった農地比率が、平成7年(1995年)には10%を切っている。それまで練馬大根や江戸川区の小松菜などを生産していた農地が宅地に転換されたのだ。

農地の固定資産税・都市計画税は(固都税)は宅地の100分の1で、相続税も営農の意思表示さえすれば納税しなくてよかった。このため千葉、東京、埼玉、神奈川の首都圏の市街化区域内農地とされる農地は平成7年の時点で205平方キロもあった。

ところがバブルによる地価高騰対策として、市街化地域内農地に対する宅地並み課税の声が高まり、「宅地化すべき農地」と「生産緑地(保全すべき農地)」とに区分されることになった。

首都圏の205平方キロの内、「宅地化すべき農地」は66%とされ、これが宅地や商業地として供給されたのだ。

バブル時代に大前研一氏が「平成維新の会」をつくり、農地の宅地並み課税により土地供給の増加を訴えていたことを思い出す。これが政策として実現していることがわかる。

また首都圏には工業専用地区が201平方キロあり、これも工場の移転や閉鎖とともに、時間を掛けて宅地や商業地に転換されてくる。

これらの土地供給圧力は膨大なものがある。

江副さんは私見として、バブルの時に導入され、バブル崩壊後凍結されたままの地価税を復活せよと語る。料率は路線価の1000分の3程度であり企業の負担は軽微だろうと。


江副さんの結論:金利の上昇は地価の下落に直結する

次が日本の人口動態調査だ。

人口動態調査







江副さんは、少子高齢化により平成17年度から日本の人口がほとんど増えていないこと、晩婚化・非婚化が進んでいることより不動産の需要は増えず、エリアによる格差が拡大すると予想している。

また住宅ローン金利も近く上昇し、不動産価格は下落すると予想し、これを結論としている。


バブル時代は一世を風靡した江副さんだが、今回はバブル崩壊再来というダメージが日本経済に起こらないために、この本を出版して警鐘を鳴らしている。

首都圏の不動産供給のマクロの動向がわかり、大変参考になる。不動産購入を考えている人に限らず、是非一度手にとって眼を通して頂きたい本である。


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2008年04月20日

IBMのジェノグラフィック・プロジェクト 人間は本当にみな兄弟


IBMは様々な文化的プロジェクトを協賛していて、そのフィランソロピーのマインドには感心する。

その一つがNational Geographicと共同で推進しているジェノグラフィック・プロジェクトだ。

すでに20万人以上の様々な人種と国籍の人のDNAを採取して、DNAを分析したデータを蓄積している。

その研究の一端がIBMのサイトで公開されている。

IBMプロジェクト






ニューヨークのグランドセントラル駅に居合わせた人種も出身も異なる白人、アメリカインディアン、フィリピン、ラテン系の4人のDNAを最終して分析してみたのだ。

IBMのサイトでは、画面は小さいが動画で公開されている。

National Geographicのサイトでも公開されている。

National Geographic






DNA分析の結果、4人すべての祖先はアフリカから来たことがわかった。

数万年という年月で、白人やアジア人、アメリカインディアンと人種は異なるが、まさに人類みな兄弟という言葉を実証する結果となった。


IBMのサイトでは、ゴルフの科学や、リアルタイム犯罪センター、鳥インフルエンザ問題など、他のプロジェクトも取り上げられている。

さすがIBM。是非一度IBMのサイトもご覧戴きたい。  
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すべては夜明け前から始まる CEO型大統領 李明博氏の伝記

2008年4月19日追記:

本日韓国大統領李明博氏が来日された。これからメディアでいろいろ李さんの生い立ちや、現代建設での仕事ぶり、業績、人となり、考え方などが報道されることになるだろうが、このあらすじが気に入ったら、李さんの本も是非本屋で手にとって見て頂きたい。


2008年4月18日初掲:

すべては夜明け前から始まる―大韓民国CEO実用主義の大統領李明博の心の軌跡


2008年2月に就任したばかりの李明博韓国大統領の伝記。このブログでは李明博さんの清渓川(チョンゲチョン)再生プロジェクトを紹介している。

高麗大学の同窓の韓国ペンクラブ会長の李和馥(イファボク)さんが書いたものだが、1人称で記述しているので、まるで本人が書いたような印象を受ける。


韓国版コンピューター付きブルドーザー

それにしても貧しい生い立ちから出世して大統領まで上りつめた人は、昔はリンカーンとかが居たが、最近ではあまり例を見ない。

日本の首相でいえば田中角栄氏が貧しい生い立ちから建設業で成功し、首相まで上りつめた。田中角栄氏もコンピューター付きブルドーザーと呼ばれたが、田中角栄氏は自分で会社をつくったオーナー経営者だった。

島耕作も最近、社長になったそうだが、李明博氏はまさに韓国版島耕作で、建設会社のサラリーマンから社長・会長となり、それから大統領になった韓国版コンピューター付きブルドーザーだ。

専務島耕作 4 (4) (モーニングKC)


この本では李明博氏の信じられない貧しい生い立ち、行商をして苦学しながら高校夜間部、高麗大学を卒業したこと、反政府主義者と見なされたが、現代建設の会長に気に入られ、現代建設に入社し、サラリーマンとして頭角を現し、社長に上り詰め、国会議員、ソウル市長を経て、大統領にまでなった半生が描かれている。


ホームレス中学生以上の赤貧生活

李明博氏の一家の貧しさと苦労は、近々紹介する「ホームレス中学生」の比ではない。

ホームレス中学生


「ホームレス中学生」の田村裕氏は、夏休みの間約1ヶ月公園で暮らして雑草から段ボールまで食べたそうだが、李明博氏は物心付いてから現代建設に入るまでずっと貧しく喰うものも喰わずだった。

しかも幼少の頃から働きづめに働いたのだ。

小さい頃から母親の大判焼き屋台を手伝ったり、自分でポンティギ(せんべいの様な菓子)の行商をしたり、ソウルに出てきてタコ部屋に住んで建設労働者として働いたりして金を稼いで高麗大学を出た本当の苦学生だ。

しかし暮らしは貧しくとも、「貧しさは人生を苦しくするが、物乞いの根性を持ってはいけない」と言っていたお父さん、暇さえあれば聖書を読むお母さんの教導を得て、誰の世話にもならず、誰からも施しを受けず、自分の力で絶対に高校、そして大学を卒業するんだという志を曲げなかった。

この本で驚くのは、秀才の二番目のお兄さん(李相得氏、現韓国国会副議長)に大学を卒業させるために、一家全員が努力し、李明博さんもお母さんから中学を出たら働いて一家を助けるように言われていたことだ。

家族みんなで働いてお兄さんの学資を稼ぐという犠牲的精神は、いまだに儒教精神が残り家族の絆の強い韓国ならではだろう。


李さんの生い立ち

李明博氏、日本名 月山明博氏は1941年大阪生まれ。戦争直後韓国に一家で帰国する途中で船が転覆し、九死に一生を得たが家財一切を失う。

韓国に戻っても頼りにしていた親戚から援助してもらえず、お父さんがなんとか見つけた牧場の管理人の仕事も、朝鮮戦争で失ってしまう。

そしてこの本の冒頭に出てくるショッキングな場面が語られる。

朝鮮戦争で李さんのお姉さんと弟が爆弾で負傷し、お母さんが山で薬草を見つけて手当するが、二人ともほどなく亡くなってしまうのだ。

朝鮮戦争というと、共産軍により釜山付近まで追いつめられていた韓国軍は、マッカーサーの国連軍の仁川上陸作戦により、一気に勢いを盛り返し、逆に北まで攻め上がったことが記憶に残るが、朝鮮半島を上から下まで戦火に巻き込んだ戦争では民間人の犠牲者も当然多く出ていたのだ。

李さんの一家は、浦項(ポハン)の日本人が建てた廃寺の木張り長屋の一部屋に重なりあうように住んでいたという。韓国の冬は本当に寒い。木張りの家の寒さは創造を絶するところだ。

そのころお父さんは古物を見つけてきては町で売り歩き、お母さんと李明博さんは大判焼きの屋台で商売して、爪に火をともす様にして稼いだ金をソウルに居る二番目のお兄さんの学資として送った。

自分たちは喰う者も喰わず、一日一食でも我慢した。食べるものがなくなって、お母さんがどこからか酒粕を貰ってきて、一日二回は酒粕を煮て食べていたので、中学の担任の先生に子供が昼間から赤い顔をしていると目を付けられた。


働きながら高校夜間部に

しかし真相がわかると、担任の先生は李さんの家に家庭訪問にきて、成績優秀の李さんに高校を受験させて欲しいとお母さんに頼んだ。

お母さんはお兄さんの学資を稼ぐために、李さんには中学を卒業したら働いて貰おうと思っていたので、高校進学を拒否するが、担任の先生は三度足を運び、最後には高校の夜間部に主席で入れば入学金が免除になるからと、お母さんを説得した。

ポンティギの行商をしながら高校の夜間部に通ううちに、どうしても大学に行きたいという気持ちが目覚める。

お兄さんも「あきらめるな!」と応援してくれたので、ソウルに行き、タコ部屋で生活し、建設労働者として働きながら高麗大学を受験し、見事合格する。

このときに清渓川(チョンゲチョン)の古本屋で受験用の参考書を買ったのが、李さんと清渓川とのつきあいのはじまりだ。清渓川再生プロジェクトについては以前のあらすじを見て頂きたい。


市場のみんなのカンパで高麗大学に入学

お母さんに高麗大学に合格したことを告げると、お母さんは「どうしてそんなことしたんだい。一体どういうつもりだい」と言ったという。入学金が工面できないのだ。

お母さんの言葉に李さんはいきなり冷や水をあびせられた様に、「大学に通うというのではなく、ただ試験を一度受けてみただけです」と答えたという。

当時李さんのお母さんはソウルの市場で、魚の行商を細々とやっていたが、市場が終わってから毎晩市場の汚れているところをすすんで掃除していた。

そのことを見ていた市場の人たちが、李さんが大学に受かったが入学金がないと聞くと、みんなでカンパして李さんの入学金をつくってくれたのだ。


学生会長から投獄へ

李さんは苦学しながら高麗大学で勉強し、学生会長になる。

1963年に当時の日韓交渉で、朴正煕大統領の韓国政府が日本に譲りすぎているという非難の学生運動が起こり、李さんはリーダーとして警察に捕まり、六ヶ月間投獄され1964年に最高裁で懲役三年、執行猶予五年の判決を受ける。

その時面会にきたお母さんが言った言葉が李さんの心を打った。

お母さんは李さんを非難することなく、「お前の考えていることは正しいと思う。心に決めた通りにやってみなさい。自分を信じて頑張りなさい。」と言ったという。

その後しばらくして李さんのお母さんは病気で亡くなる。


現代建設入社

逮捕歴があるので、李さんは就職に苦労するが、当時の朴正煕大統領に手紙を書き、「ある人が自分の力で世の中を生きていこうとしているのに、国家がその道を遮るならば、この国は一人の個人に永遠に負債を負うことになります」と訴えた。

これにより李さんの就職を妨げていた障害が取り除かれ、現代建設の海外要員の公開応募によって現代建設に入社する。

現代グループの創始者鄭周永と李さんはコンビを組んで、世界中でプロジェクトを受注し、現代グループを世界でも有数のグループに育て上げる。

現代建設の入社面接で、鄭周永会長から問われたことは、「君は建設を何だと思う?」というものだった。

李さんは「無から有を創るから創造だと思います」と答えたという。

李さんのソウル市長時代の業績として清渓川再生プロジェクト、ソウルの新交通システムが挙げられる。

どちらも数千回にも上る住民や利害関係者との折衝のたまものであり、信念を持って接すれば理解は得られるのだと李さんは語る。


なぜ大統領にならなければならないのか?

この質問に対しては、李さんは「今は経済的な危機、社会的な危機の時代なので、経済を立て直すことができるリーダー、社会の葛藤を統合することができるリーダーシップが最優先されなければならないでしょう」と答える。

アマチュア式のアプローチでは問題は解決できない。長期戦略に立ったプロの登場が必要なのだと。

近々榊原英資さんの「日本は没落する」のあらすじを紹介するが、榊原さんが言っているのも、まさにこの点だ。長期戦略に基づいた国造りが、韓国のみならず、今の日本にも絶対に必要なのだ。

日本は没落する


韓国の政治は後進性があると李さんは語る。

日本の永田町にあたる汝矣島(ヨイド)の感覚で理解しようとしたり、盧武鉉(ノムヒョン)大統領が非難されたコード政治(血縁、地縁・学閥政治)が問題なのであると。


コンピューター付きブルドーザー

李さんの辣腕ぶりを物語るエピソードも紹介されている。ソウルの地下鉄の労働組合がストを決行したときに、李さんは消防隊員と市役所幹部に地下鉄を運転させ、結局ストは八日で終わったという。

ビジョンとは見える1%から、見えない99%を探し出す力だという。

韓国に登場したサラリーマンCEO、島耕作型大統領 李明博氏。大いに期待できそうな、ともに日韓新時代を築いていきたいパートナーだ。


この本ではジーンとくる場面がいくつもあった。「ホームレス中学生」も良かったが、こちらも是非おすすめしたい一冊である。


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2008年04月16日

ドラゴン桜 No-nonsenseな東大受験指南書

ドラゴン桜 (3) (モーニングKC (948))


長男の東大の入学式に行ってきた。

東大入学式














残るは次男なので、東大に入る勉強法を紹介したマンガ「ドラゴン桜」を読んでみた。

以前阿部寛主演のテレビドラマでやっていたので、数回は見たことがある。当時はマンガだからとバカにしていたが、一度読んでみようと思いたったのだ。

たまたま図書館で借りたのは、「ドラゴン桜 3」だったが、このマンガは役に立つと思う。


数学勉強法

筆者も受験勉強をくぐり抜けてきたが、やはり最も差が付くのは数学だ。

そして受験数学の力を付けるには、問題を多くこなしてパターンを覚え込むしかない。

ドラゴン桜では、「柳式問題解答同時プリント」を紹介している。

数学問題と答えの両方のプリントを用意して、3分以内に頭の中で「解き初め」をイメージし、3分後に答えを見て、「解き初め」が合っていれば次の問題へ。ダメなら答えを読む。

計算など解くのに時間が掛かる部分はすっ飛ばしてどんどん問題の数をこなすのだ。

文章題では何を「X」と置くかが重要で、図形の問題では補助線を引くだけで答えに大きく近づく。

こういった「解き初め」=スタートイメージを覚え込む。滝に打たれるように大量の問題を浴びろという。

筆者が受験した約三十数年前の試験では、タンジェントα=Xと置いて解く面積の問題が出た。こんなタンジェントα=Xと置くなどという発想は、問題の数をこなさないと絶対に出てこない。

問題のシャワーを1時間。そして計算力と解答の書き方を覚えるために、計算問題を30分、解答を書く練習を1時間、毎日やるのだという。

筆者自身は、高校1年生の時に「数学1000題(?)」という様なタイトルの問題集を買ってコツコツ解いていったが、基本的に同じ考えだ。しかも筆者のやり方より効率はドラゴン桜の方が上ではないかと思う。


英語勉強法

マンガではビートルズを歌いながら、エアロビクスで英語をリズムで覚えるやり方や、いちいち辞書を引かずに、推断する手法などが紹介されている。

ボキャブラリーは毎日10語単語を覚えるのではなく、毎日70語アバウトで良いから覚えろと言う。

そしてその日覚えた新しい単語を10個使って英語で日記を書くのだと。

この新しい単語を使って作文する練習も大変語学力をつけるのに役立つ。

筆者は会社に入って3年目にアルゼンチンに語学研修生として2年間行っており、仕事をする傍らスペイン語を勉強した。

賄い付きの下宿に住み、同宿人はアルゼンチン人ばかり3人という理想的な環境で、最初の1年はベルリッツスクールに2時間毎日行っていた。ここまでは普通の研修生と同じだ。

普通は半年でかなりスペイン語ができるようになり、1年も経つとほぼ完璧にできるようになるので勉強をやめてしまう研修生が多いのだが、筆者は2年目はブエノスアイレスのカトリック系大学の講師を先生として個人教授をみっちり受けた。

このときの勉強法が毎回予習としてノーベル賞作家ガルシア・マルケスなどの短編小説を読んで、そのあらすじをスペイン語で書き、新しく覚えた単語を使って作文してくるというものだった。

悪い時 他9篇


この勉強法のおかげでスペイン語能力は飛躍的に伸び、帰国後の社内検定試験で1級という最高ランクを獲得できた。

ちなみにこのあらすじブログで「頭にスッと入りわかりやすい」あらすじにこだわるのも、このスペイン語のトレーニングの影響によるものだ。

ドラゴン桜は英語で日記を書くという方法だが、新しい単語を使って作文するトレーニングは英語力を向上させること間違いないと思う。


東大新聞の「受験生特集号」

東大新聞の「受験生特集号」には東大入試についての様々な役に立つ情報や、出題者の意図、先輩の体験談などが紹介されており、参考になると紹介している。

ここまでくると単にマンガという表現手段を使っているだけで、立派な東大受験指南書である。


今回読んだのは「ドラゴン桜3」だけだが、たぶん他の巻でも役に立つ東大受験法が紹介されているのだと思う。

東大入学者の出身高校の数は、多分日本で最も多い方だと思う。日本全国のちょっとした高校なら東大入学者を毎年、あるいは数年に一回出している。

この実績が示すとおり、誰でも努力すれば東大に入れるというのは正しいと思う。

当初の筆者のリアクションの様にマンガとバカにせず、マジで東大受験を目指す人にすすめたい本である。


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2008年04月14日

加圧トレーニングの理論と実践 加圧トレーニングをもっと知ろう!

2008年4月14日追記:

明日(4月15日)夜11:00からのNHKの「爆笑問題のニッポンの教養」に石井東大教授が出演する

今回紹介している「加圧トレーニング」を含めてトレーニングにまつわるいろいろな話が紹介されるので、是非ご覧頂きたい。

加圧トレーニングの理論と実践


加圧トレーニングを様々な角度から研究した論文集。

加圧トレーニングの発明者の佐藤さんと、筆者の後輩の東大の石井直方教授の他に、日本加圧トレーニング学会と、佐藤さんの加圧トレーニング本部関係者が主体となって、研究論文を寄せている。

このブログでも紹介したとおり、タレントの水道橋博士が加圧トレーニングを多くの芸能人などに勧めており、急速に愛好者が広まっている

英語でもKAATSUと呼ばれており、ウィキペディア英語版に簡単な記述がある様に海外でも広がりつつある。

専門的な論文ばかりなので、内容をフルに理解できるわけではないが、加圧トレーニングの最大の特徴である成長ホルモンが大量に分泌されることが、心臓・循環器や整形外科、うつ・認知症にいたるまで様々なプラスの効果を生んでいることがわかる。

筆者が加圧トレーニングについて石井教授から聞いたのは1995年だが、当時は半信半疑だった。

現在は筆者もここ5年くらい加圧トレーニングを週1〜2回、腕立てと腹筋を週1回、1〜2キロの水泳を週1回、2−3キロのジョッギングを週1回行っている。

加圧トレーニングをすると成長ホルモンが大量に分泌されるので若さを保つ効果もあるということなので、年齢にしては白髪が少ないと言われるのはトレーニングのせいかもしれないと感じている最近である。


加圧トレーニングの基本

加圧トレーニングの発明者の佐藤義昭さんが、トレーニングの基本を説明している。それによると:

1.負荷 : 1回できる最大重量(1RM=Repetition Maximum)の30%程度

2.回数 : 1セット目 25〜30回、2セット目 10回、3セット目 4〜5回、4セット目 限界

3.セット数: 3〜4セット

4.セット間のインターバル: 脚は30秒、腕は15秒

5.トレーニング頻度: 週1〜3回


前腕(握力)のトレーニング
 
この本を読んで参考になったのは、K−1 HEROSファイターの大山峻護選手の例で、週1〜2回、40分ほどのトレーニングを3ヶ月続けて、上腕囲が2センチ前後、前腕囲も1〜2センチアップしたという。

最も注目すべきは握力が30〜40%アップしたことだ。

格闘家にしては握力が弱かったので、握力強化も加圧トレーニングの目的だったそうだが、ハンドグリップによるトレーニングで3ヶ月で握力が30〜40%も向上するとは驚きだ。

近々紹介するが、石井直方東大教授の「筋肉まるわかり大事典」に、前腕は持久性が高い筋肉なので、リストカールなら30〜40回やらなければならないと書いてある。

“筋肉博士”石井直方の筋肉まるわかり大事典―筋肉のヒミツ、トレーニングの極意、栄養&食事法まで (B.B.MOOK―スポーツシリーズ (420))


筆者も加圧してリストカールをやっているが、あまり効果が見られないのは回数が不足していたためかもしれない。

また筆者は上腕と前腕をセットにしたサーキットトレーニングをしているが、どうやらハンドグリップとリストカールで前腕だけのトレーニングに変更した方がよさそうだ。

握力はゴルフでもテニスでも運動の基本なので、筆者は50KGのハンドグリップを使っており、実は自宅に握力計も持っている。今後1セットの反復回数を増やして握力を鍛えようと思う。

握力計







日本製 元祖!!エバニュー・ハンドグリップ強度約50kg日本製 元祖!!エバニュー・ハンドグリップ強度約50kg



成長ホルモンの効果

加圧トレーニングの効果として、大量の成長ホルモンの分泌が指摘されているが、この本では次の分野で効果が報告されている。

1.骨強度向上

2.心臓リハビリテーション

3.メタボリリックシンドローム (加圧トレーニング+ジョッギング等の有酸素運動)

4.慢性心不全

5.閉塞性動脈硬化症

6.整形外科的疾患(骨折、ヘルニアなど)

7.免疫疾患(リウマチ、がん)

8.うつ・認知症 「脳内革命」で一世を風靡した春山茂雄氏が論文を書いている。

脳内革命〈2〉―この実践方法が脳と体を生き生きさせる


9.寝たきり

10.健康・体力づくり

11.宇宙への応用


国際宇宙ステーションに滞在する宇宙飛行士は、無重力空間のなかで体力を維持するために週6日、1日2時間半トレッドミルや抵抗運動器などでトレーニングをするという。

この運動時間を加圧で短縮できれば、宇宙飛行士の生産性も上がり、経費も削減できるということで加圧トレーニングの採用が検討されている。


このように広い分野に効果が認められる加圧トレーニングだが、やはり負荷が軽く筋肉を痛めることがないという点が、アスリートのみならず高齢者から病人まで適用できることにつながっているのだと思う。

加圧トレーニングを体験したことがない人は、是非体験されることをおすすめする。

方法は2つある。

自分でトレーニングスケジュールを組み立てられる上級者には、フェニックス社の加圧専用トレーニングウェアのカーツを購入することをおすすめする。

最初に自分に合った最適な圧力を専門家に測定して貰う必要があるので、フェニックスのウェアを販売している専門店やデパート、ゴルフショップを訪問して欲しい。

トレーニング初心者の人には、佐藤さんの加圧トレーニング本部のホームページに全国のトレーニングができる施設が紹介されているので、こちらで体験されることをおすすめする。


加圧トレーニングは筋肉の高地トレーニングの様なものだ。

水道橋博士自分の著書2冊で加圧トレーニングの驚くべき効果を報告しているので、是非ためして頂きたい。


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2008年04月10日

スタバではグランデを買え! 身近な経済学 

スタバではグランデを買え! ―価格と生活の経済学


キャッチーなタイトルでベストセラーとなっているので読んでみた。アマゾンの売上ランキングでは依然として500位前後に入っている。

このブログでも紹介している山田真哉さんのさおだけ屋はなぜつぶれないのか」や「食い逃げされてもバイトは雇うな」の路線をねらった日常生活で目にする様々な価格設定をわかりやすく解説した本だ。

著者の吉本佳生(よしお)さんは、南山大学や、名古屋市立大学で講座を持っている経済学者だ。

目次は次の通りだ(アマゾンのなか見検索でも目次が見られる):

第1章 ペットボトルのお茶はコンビニとスーパーのどちらで買うべきか?

第2章 テレビやデジカメの価格がだんだん安くなるのはなぜか?

第3章 大ヒット映画のDVD価格がどんどん下がるのはなぜか?

第4章 携帯電話の料金はなぜ、やたらに複雑なのか?

第5章 スターバックスではどのサイズのコーヒーを買うべきか?

第6章 100円ショップの安さの秘密は何か?

第7章 経済格差が、現実にはなかなか是正できないのはなぜか?(所得より資産格差のほうが問題)

第8章 子供の医療費の無料化は、本当に子育て支援になるか?

終章  身近な話題のケース・スタディ
(1) 日本の石油製品輸出が増えているのはなぜか?
(2) 牛肉をステーキ屋と焼き肉屋のどちらで食べるか?
(3) 家具の組み立てと運送は、どちらを先にすべきか?
(4) 子供を持つ親が喜ぶサービスとは?
(5) 携帯電話料金の話Part2
(6) アジア製の安いCDは、日本の音楽文化の敵だったのか?

種明かししてしまうと興ざめなので、詳しくは説明しないが、山田真哉さんの本にある「さおだけ屋」とか、「食い逃げ」とかいった意外性を含んだインパクトはない。

そのかわりに経済学者らしく、手間や人件費を含めた「取引コスト」とか、「裁定(=アービトラージ=さや取り)」、「物流コスト」、「規模の経済」、「価格差別」、「限界コスト」などを実例を使って説明している。

情報として役立った部分をいくつか紹介しておく。

ダイソーはアルバイトにレジまでやらせるが、商品の棚卸を定期的にやって1%以上のロスが出れば、アルバイトを解雇できるという厳しい契約を結んでいる(もともとは週刊東洋経済2006年1月21日号)。

100円ショップの供給元として、中国の浙江省の義烏市が日用雑貨の世界的な供給拠点となっている(吉本さんは現地を訪問したので、現地レポートも面白い)。

携帯電話は、本来はSIMカードを入れ替えればどこのキャリアの携帯電話でも使えるはずのものが、日本ではSIMロックのために他社の携帯電話として使えない(あるいは周知の事実かもしれないが、筆者は知らなかった)。


スタバではグランデを買えというのは、スタバではショート(240CC)とグランデ(480CC)の価格差はどれでも100円なので、グランデの方が割安だ。

一方、増量分の原材料費はしれているので、店もグランデを売った方が儲かるというものだ。

もっとも筆者はショートでも量は十分と思っており、量が多ければしまいにはさめてしまうので、この本を読んでグランデを買おうという気にはならなかったが、人によってはグランデに変える人もいるだろう。

図も使われているが、どちらかというと「ことば地図(コンビニの角を右に曲がって、2本目の道を左に曲がって…のたぐい)」の様に、文章で数ページにわたって説明されているので、山田真哉さんの本の様にテンポ良く頭に入ってこないのが難点といえば難点だ。

簡単に読めるので、上記の目次の項目に興味を惹かれた人は一読をおすすめする。


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2008年04月06日

ビジネス力の磨き方 大前研一が説く21世紀に必要な5つのスキル

+++今回のあらすじは長いです+++

ビジネス力の磨き方 (PHPビジネス新書 27)


大前研一氏が説く21世紀の日本のビジネスマンに必要なスキル。

大前さんは「サラリーマンサバイバル」とか、このブログでも紹介している「ザ・プロフェッショナル」、最近では「即戦力の磨き方」など、日本のビジネスマンの能力アップのために多くの著書を出しており、これもその一つだ。

サラリーマン・サバイバル (小学館文庫)


ザ・プロフェッショナル


即戦力の磨き方 (PHPビジネス新書)


大前研一氏は、筆者の好きな著者の一人なので、このブログでも「大前研一」のカテゴリーで15冊以上紹介している。

この本は2007年3月に出版された本で、21世紀に必要となるビジネススキルについて雑誌"THE 21"読者から寄せられた質問に対する解答をまとめたものだ。


5つのビジネス力

この本で大前さんが21世紀のビジネススキルとして身につけるべき力として挙げているのは次の5つだ。

1.先見力
2.突破力
3.影響力
4.仕事力
5.人間力

前記の3冊などを含め様々な本で21世紀に必須のスキルとして、語学(英語)力、論理思考、コミュニケーション、IT力などについて取り上げてきているので、この本では今まであまり取り上げてこなかったスキルについて説明している。


1.先見力を磨け

大前さんは1995年に文藝春秋に「不動産はまだ下がる」と記事を書いたが、事実不動産は下がり続け、2002年にはバブル前の水準まで下がってしまった。

ホリエモンや村上ファンドが坂本龍馬と同じ運命をたどったことなど、その他にも大前氏の予測通りになったことがいくつもあるという。

これは大前氏に先を読む特殊な力が備わっているわけではなく、先見力とは訓練すれば誰でも身につけられるスキルだからだと。

大前氏の先見力は、現在起こっている事柄をこまめに調べて、そこから変化の兆しを見つけ、その兆しが今後どのようなトレンドになるかをしつこく考えた結果なのだ。

そこで重要なのがFAW(Force at Work)である。これはマッキンゼーの創始者の一人のマービン・バウアーの考え出した概念であり、「そこで働いている力」とでもいうもので、ある傾向を伴った事象があれば、そこには必ずその事象を発生させるだけの力(FAW)が働いているはずだから、それを分析し発見するのだという。

FAWがわかったら早送り(FF)して5年後、10年後の変化が見えてくる。

つまり先見力とは、(1)観察、(2)兆しの発見、(3)FAW、そして(4)FFが正しくできる能力なのだと。

このFAWを使って、都心の地価、熱海/軽井沢の地価、高齢化先進国のアメリカ/ヨーロッパ、ソニーの将来などのケースを説明しており、興味深い。

ソニーや日立など日本の総合電器メーカーとGEとの差は、経営力の差であると。

日本の場合、日立にしてもソニーにしても、社長になるのはその時一番儲かっている事業部のトップである。大前さんにいわせれば、中小企業で功成り名を遂げた社長をいきなり大企業の社長に任命してしまうのとなんら変わりないから、うまくいくはずがないのだと手厳しい。

安倍前首相の「美しい国日本」の取り組みも的を得ていない。大前さんは21世紀に活躍できる「考える力」を育成するために、高校教育にも乗り出している。船橋学園東葉高校という広域通信制の高校がそれで、2007年に開校している。


第2章 突破力を磨け

目の前の壁がどんなに手強そうにみえても、絶対に自分から弱音を吐かないのが突破力の基本である。突破する勇気を養うには、先達の偉業にふれ、それから勇気を貰うのが良い。

ケネディのアポロ計画が良い例だ。到底できそうになかった月への宇宙旅行を期限を切って実現してしまった。

壁を突破した本人に会うことを大前さんは勧めている。エベレストの最高年齢登山にいどむスキーの三浦雄一郎氏、60歳から絵を始めた加山雄三氏などを例に挙げている。

大前さんが20年以上言い続けている道州制をやっと政府も検討し始めたが、全国知事会や地元マスコミなど既得権を持つ抵抗勢力が強い。道州制になったら大半の知事は失業し、県庁所在地にある地元マスコミも淘汰されるからだ。

また北方領土については、四島一括返還は日本の悲願といいながら、実現すると防衛線を千島にあげる費用がかかり、実際に四島に住みたい人はほとんどいないというのが現実で、メリットはほとんどない。

だからこだわりを捨てて、ロシアの二島返還を受け入れ、後は継続協議として、日ロ平和条約を締結し、千島列島だけといわず極東ロシア全体の開発を日ロ共同でやることを提案している。

さらに経済面だけでなく、防衛面でも助け合える関係作りをしておけば、北朝鮮の脅威は低減し、有事の場合にはロシア兵を日当一万円くらいで傭兵として自衛隊に組み入れれば良いと大前さんは提案する。

どの首相でも四島一括返還という思いこみを突破できたら、歴史に残る名宰相として名を残すことになろうと。

今後の日米関係、中国やインドの巨大化、日本の経済進出の余地などを考えると、たしかにロシアと早急に平和条約を締結して、シベリア開発に日ロで取り組むことは、日本の国家戦略として大変意義があると筆者も思う。

今や売れっ子の佐藤優氏が外務省に在任していた時に、橋本首相、小渕首相を動かして日ロ平和条約を実現しようとしていたことは、「北方領土特命交渉」に詳しい。

北方領土特命交渉 (講談社+アルファ文庫 G 158-2)


日本も米国ばかり見ずに、世界を見回して日本の10年20年後を考えるべきだろうと筆者も思う。


第三章 影響力を磨け

自分の影響の及ぶ範囲が広ければ広いほど、その人の価値は高い。

小澤征爾氏、安藤忠雄氏、イチロー、松井など芸術やスポーツの世界では、世界に名を知られている日本人はいるが、ビジネスマンで世界に影響を与えられる一流の日本人はほとんどいない。

日本のビジネスマンの頭の中が、20世紀の加工貿易のままだからだと大前氏は語る。

加工貿易の頃は、教えられた答えを丸暗記し、マニュアルをつつがなく遂行できることがなにより重要な能力だった。今そういう人たちが集まった企業は危機に瀕している。

今必要なのは答えを自分で出すことができる人だ。

マレーシアのマハティール前首相のアドバイザー、中国遼寧省、天津市の経済顧問、ナイキ等のボードメンバー、いろいろな大学のアドバイザリーボードメンバー等々、大前さんは、自分では口幅ったいいい方だが、世界的に影響力がある日本人ナンバーワンだと思うと語る。

この本では大前さんがいかにして世界に影響を与える人間になったのかが述べられている。

マッキンゼーでの仕事の実績もあるが、著書の影響が大きい。

「企業参謀」、ボーダレス・ワールド (新潮文庫)、「新・資本論」など大前さんの本は、世界で何冊もベストセラーになっているという。

企業参謀 (講談社文庫)


大前研一「新・資本論」―見えない経済大陸へ挑む


またウォールストリートジャーナル、ニューヨーク・タイムズ、ハーバード・ビジネスレビューなどに継続的に記事や論文を発表してきたことも知名度アップに役立った。

しかし物を言うのは知名度ではなく、書いた内容だと大前さんは語る。

要するに、そこにある問題を発見し、解決策を発見できる人間であれば、人種や国籍に関係なく、世界中どこに行っても影響力を発揮できるのだと。

「影響力を強めるには型を持て」と大前さんは語る。

大前さんの場合、「ボーダレス経済と地域国家論」が型であると。

大前さんがジャック・ウェルチに中国は6つの地域国家の集合体だと言うと、さっそく6つの地域にわけてGEの戦略を議論したという。

影響力をつけるために、権威にすりよるのでは意味がない。影響力をつけるためには、まずは思考の型を身につけろと大前さんは説く。

大前さん自身もマッキンゼーでピラミッドストラクチャーや、MECE(Mutually Exclusive Collectively Exhausive、それぞれ重複なく、かつ全体として網羅されていること)というロジカルシンキングの手法を自分の型になるまで徹底的に仕込まれたという。

これがあるから大前さんはどんな事象でも論理的に分析することができるのだと。

このマッキンゼー式のロジカルシンキングについては、大前さんと同じくマッキンゼー出身の勝間和代さんも紹介している。マッキンゼーの新入社員は徹底的に仕込まれるのだそうだ。ちなみに勝間和代さんが推薦するロジカルシンキングの本は次の本だ。

ロジカル・シンキング―論理的な思考と構成のスキル (Best solution)


型を自分のものにするには、ケーススタディを無限回繰り返すのが効果的だ。

自分が○○だったらというケーススタディを続ければ、頭は大いに開発される。BBT大学院大学では、「あなたがリチャード・ワゴナーだったら、どうGMを立て直すか」といった課題が毎週出るという。

二年間で100本の課題をこなすことが卒業の条件で、2007年3月に第一期の卒業生が誕生した。

友人とディスカッションすることもMECEを鍛える上で有効だ。

ケーススタディも友人とのディスカッションも時間が掛かるので、自分の時間の使い方を考えよと大前さんは語る。

日本のビジネスマンは、テレビや新聞、雑誌、インターネットに費やす時間の比重が大きすぎるから、それを最小限に減らせば良いと。

ケーススタディとして世界で最も影響力がある国はアメリカかどうか分析している。結論として斜陽の大国にすがるよりも、フィンランドとかデンマークの様に教育によって世界に通じる人材を生み出していく方が、よっぽど世界に影響力のある国家になれる。

フィンランドとデンマークでは学校に「教える」という概念はない。生徒に考えさせ、先生は考えを引き出すファシリテーターだ。また先生だけでなく、国中のおとなが教育に積極的に参加している。

たとえば野菜の生産、流通、価格決定、職業につき町の八百屋さんが学校にやってきて説明してくれるのだと。

大国のエゴより、小国の知恵。これが21世紀の国際関係を解く鍵なのであると大前氏は提唱する。


第四章 仕事力を磨け

仕事をスピードアップするポイントはダンドリにある。この本では大前さんのダンドリ術が披露されている。仕事をスピードアップする理由は、自分の思考トレーニングに充てるための空き時間をつくるためだ。

「あれ、どこにあったっけ?」が時間を食うので、大前さんは資料はとりあえずパソコンに取り込み、Google Desktopで検索。さらにGMailですべて自分宛に送っておく。メールの強力なメッセージ検索機能が使えるので、二重にリトリーブできるようにしておけば、より確実に目的の情報を見つけられるから安心であると。

大前さんのいう「21世紀の情報収集法」ではテレビCMがなくなるという。YouTubeと、ハードディスクレコーダーやTiVoが普及するからだ。

大前さんは朝の貴重な時間をNHKのニュースと日経新聞に費やす前世紀の習慣は、いまではほとんど時間の浪費にすぎないから、即刻辞めるべきだという。

新聞に書かれていることは、記者が集め、記者のフィルターを通したごく限られた情報だけで、しかも新聞社の都合で記事を構成している。読んでいる人は永遠に記者のレベルを超えられない。テレビも同様だと。

たしかに日本のメディアだけでは世界の情報が集まらない。筆者は25年あまり"Time"を読んでいたが、日本のビジネス誌や新聞と情報の質・量面での大きな差を感じていたものだ。(アメリカで契約したら"Time"は5年契約すると一冊50セント以下だった。もちろん日本に戻っても同じ契約が継続され、シンガポールからアジア版を送っていた)

大前さんは10年前に新聞の購読をやめ、ネットで新聞を読み、RSSリーダーで必要な情報を自動的に集めているのだと。

毎朝RSSリーダーが集めた500の記事に15分で目を通し、重要と思われるものはパソコンに保存し、スタッフに送付していると。週末の大前さんの番組で情報を分析したり、組み合わせて次の展開を予想する。これが大前さんのニュースの読み方だと。

筆者は日経新聞を毎朝KIOSKで買っていたが、ここ数週間この長年の習慣をやめて、RSSと日経ネットに切り替えている。家では朝日新聞を取っているし、新聞を完全にやめたわけではないが、最近日経本誌は、あまり読むところがないという気がしてならなかったので、購読を止めてみた。

大前さんの本を読んで日経をやめたわけではないが、奇しくも大前さんに背中を押されたような形となった。

当面RSSとネットの情報収集で、日経新聞以上の情報を効率的に集められるかどうかやってみようと思う。


第五章 人間力を磨け

仕事も人生も下地がなければ楽しめない。若い頃から意識して教養や、スポーツで体を鍛えたり、趣味をつくったりして下地をつくるのだ。

大前さんはオフの予定から先に入れ、残業より家族との会話を優先せよと語る。

始業ぎりぎりに会社に飛び込み、朝は二日酔い、夜は残業の後、職場の同僚と一杯というような20世紀の生活習慣は改善しなければならないと。

朝型にするのだ。大前さんは4時に起きて、5時からパソコンのチェック、RSSリーダーでニュースのチェック。メール処理で一仕事終えて家族と朝食を摂り、9時からオフィスに出社するのだという。

最後に大前さんは、優秀なリーダーがいることが国にとっても重要なことを強調する。

ノキアのヨルマ・オリラというたった一人のリーダーがノキアを復活させ、フィンランドを復活させた。オリラの前任者は倒産の瀬戸際に立たされ、自殺している。そんな企業を携帯電話に集中する戦略で数年で世界一とし、フィンランドに希望をもたらした。

GEのジャック・ウェルチも同様だ。21世紀の世界競争に勝つための指標は、ジャック・ウェルチを何人つくれるかだと大前氏は語る。

マッキンゼー、GE、この二社は誰もがほしがる人材の輩出企業だが、社内の選別も厳しい。

マッキンゼーをアメリカの会社だと思っている人間は社内にはいないという。社員の半分はハーバードビジネススクール(HBS)出身だが、一時は役員会のメンバーには二人しかHBS出身者はいなかった。

日本を21世紀に通用する国家にするためには、甘っちょろい格差論議をやめることだと大前さんはいう。

ハングリーな人間にこそチャンスがある。たとえば農業のプロフェッショナルになれと呼びかけている。


いつもながら具体例が満載で、刺激を受ける。是非手に取ってみて欲しい本である。


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2008年04月04日

スタディハック! ストレスフリーの勉強法

2008年4月4日追記:

ライフハッキングブログは小山龍介さんのブログではなかった。小山さんのブログはライフハッキングではなく、IDEA HACKS!公式ページだった。

ifehacking.jpのmehoriさんからメッセージを戴いたので、お詫びして訂正します。m(__)m

それにしてもLifehackingブログも内容が充実していたので、感心しました。


Lifehacking.jp の mehori です。

小山龍介さんのブログは Lifehacking.jp ではなくて、「Idea Hacks! 公式ページ」で検索したら出てくる方です。

でも、Lifehacking.jp もよろしくおねがいします。(´∀`)


STUDY HACKS!


○○○ハックシリーズを出している小山龍介さんの勉強法。

小山さんは大手広告代理店勤務を経てアメリカでMBAを取得、現在は松竹の事業開発室長として新規事業の立ち上げを担当している。アメリカのMBAはサンダーバードということなので、レバレッジシリーズの本田直之さんと同窓だ。

本田さんの「レバレッジ人脈術」に、ライフハッキングが紹介されていたので、この本を読んでみた。

正直小山さんについて、ほとんど知識がなかったので、「○○○ハック」というタイトルで何冊も本を出しているとは知らなかった。

ハッカーというとコンピューター用語の不正侵入とかが思い出されるが、ウィキペディアによると本来の意味のハッカーとは(技術)知識を利用して最小限の手間で最大の効果を上げる人だという。不正侵入者はクラッカーと呼ばれる。

小山さんの言うハックも最小限の努力で最大限の効果を上げることで、その意味では本田直之さんのレバレッジシリーズや、勝間和代さんの10倍シリーズと同じ方向性のハウツー本だ。

内容も近々紹介する勝間さんの「効率が10倍アップする新・知的生産術」と相当かぶっている。

この本の構成は次のようになっている。

第1章ツールハック
いろいろなツールを使っての勉強法が紹介されている。iPodを使っての「ラク耳勉強法」は満員電車などでもiPodを使って、講義のCDやポッドキャスティングでの大学の授業、オーディオブック等を聞いて勉強する方法だ。

CDやオーディオブックが手に入らないものは、自分でICレコーダーに吹き込んで覚えると言う方法も紹介している。

【当店ポイント5倍】サンヨー リニアPCM対応ICレコーダー(ステレオ)Xacti(ザクティ)【税込】 ICR-PS285RM-H [ICRPS285RMH](※「ポイント5倍」は4/3 9:59迄。エントリー要。ルール詳細は当店トップページをご参照ください)【当店ポイント5倍】サンヨー リニアPCM対応ICレコーダー(ステレオ)Xacti(ザクティ)【税込】 ICR-PS285RM-H [ICRPS285RMH](※「ポイント5倍」は4/3 9:59迄。エントリー要。ルール詳細は当店トップページをご参照ください)


このサンヨーの機種はUSBのコネクターが内蔵されているので簡単にPCにつなげ、そのままiTunesで取り込むことも可能で、電源は電池と充電及びUSB電源だという。

またノイズキャンセリング機能付きのヘッドフォンも勉強用の別荘を手に入れる様なものだという。

quiet comfort






筆者は、外でヘッドフォンを掛けて出歩くのは好きではないので、ノイズキャンセリング機能付きのヘッドフォンは持っていないが、自宅ではやはりBoseのTri-portというヘッドフォンを使っている。

超軽量で長時間装着していても耳が痛くならず、通気性がよいから耳がびっしょり汗をかくこともないので快適な上に、音が驚くほどよいので、電器屋で視聴して即購入した。

BOSE Bose around-ear headphones オーディオヘッドホン


その他Mind Managerというマインドマップのソフトが紹介されている。

【新発売・送料無料】Mindjet MindManager Lite7 Windows版(マインドマネージャー ライト 日本語版)マインドマップ・ソフトウェア【新発売・送料無料】Mindjet MindManager Lite7 Windows版(マインドマネージャー ライト 日本語版)マインドマップ・ソフトウェア


ちなみにマインドマップは最近iMind Mapという提唱者トニー・ブザン氏公認のソフトが発売されたようだ。

【当店ポイント5倍 4/3am9:59迄/エントリー要】パソコンソフト ALMA VISTA【税込】Buzans iMindMap日本語版スタンダード・エディション【当店ポイント5倍 4/3am9:59迄/エントリー要】パソコンソフト ALMA VISTA【税込】Buzans iMindMap日本語版スタンダード・エディション


なにやらアフィリエイトブログのようになってきたが、マインドマップにより全体像を意識しながら頭の中を整理でき、勉強内容を構造化できるのだという。

その他Google Documentsというウェブファイリングを利用したり、はてなRSSはてなブックマーク、Technoratiなどで単語を登録したり、RSSで情報をウォッチすることを勧めている。

第2章 環境ハック
環境ハックでは、勉強する環境として、喫茶店や自習室、勉強合宿、アロマテラピー、ハーブティーなど

第3章 時間ハック
時間ハックでは、すき間時間の活用、通勤に時間を掛ける、ながら勉強、早朝アウトプットなど

第4章 習慣ハック
習慣ハックでは、コーチをつけたり、勉強仲間をつくる、ブログやSNSで進捗を報告することなど

第5章 試験ハック
試験ハックでは、資格試験に短期間で合格する方法として、問題集を答えから先に読む「アウトプット勉強法」をすすめている。正解した問題は二度とやらないとか、3色ボールペン、そしてヤマを張ることなどもすすめている。

第6章 語学ハック
語学ハックでは、ペーパーバックを多読するとか、Nintendo DSで単語を暗記する、iTunes Uでバーチャル海外留学することをすすめている。

第7章 キャリアハック
最後のキャリアハックでは、キャリアのブルーオーシャン戦略ということで、他人には真似ることのできないユニークなキャリアをつけることをすすめている。

ブルー・オーシャン戦略 競争のない世界を創造する (Harvard business school press)


独自性があったり、驚く新しい情報があるわけではない。同じような本を何冊も出しているせいかwatered-downという感じの本である。


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2008年04月03日

李登輝訪日 日本国へのメッセージ

李登輝訪日日本国へのメッセージ 完全保存版―2007旅と講演の全記録


3月22日(土)の選挙で馬英九氏が当選し、台湾で8年ぶりに国民党が政権を奪還した。

馬英九氏のまえに2000年まで国民党党首で台湾総統だったのが李登輝氏だ。

李登輝氏は台湾生まれ。日本の京都大学に学び、22歳までは日本人だったと公言してはばからないほどの日本好きの指導者だ。

2000年に国民党を離脱してからは台湾団結連盟に加わり、台湾独立を訴えている。

今まで小林よしのりの「台湾論」での対談などで李登輝氏のことを知ってはいたが、さらに深く知るためにこの本を読んでみた。

新・ゴーマニズム宣言SPECIAL 台湾論


李登輝氏は2007年に日本を訪問し、長年の希望だった奥の細道の行程をたどるとともに、1945年にフィリピンで日本軍人として戦死した兄李登欽氏(日本名岩里武則命)が祀られている靖国神社に参拝した。

台湾総統を退いてからの李登輝氏の訪日は、毎回中国から政治問題化され、心臓病の診察のため岡山のみを訪問するとか(2001年)、名古屋、京都、金沢のみとか限定されてビザが発給されていた。

2005年から観光目的の台湾人の訪日にはビザが廃止されたこともあり、2007年の訪日は大きな政治問題とはならず、中国政府は靖国神社訪問を非難しただけだった。

2007年の訪日では11日間かけて、夫人と2人で次のようなスケジュールをこなした。とても84歳とは思えないエネルギッシュな行動だ。

来日直後に国際研究交流大学村訪問

台東区の芭蕉庵あとの芭蕉記念館

岩崎小弥太記念ホールで台湾にゆかりのある後藤新平賞の授賞式出席

新幹線にて仙台から松島に出て奥の細道めぐり

山形立石寺

平泉中尊寺

岩手県水沢の後藤新平記念館

田沢湖

角館で武家屋敷

象潟蚶満寺

秋田市の国際教養大学で特別講義

帰京して靖国神社訪問

拓殖大学

歓迎レセプション

日光東照宮

有楽町の外国特派員クラブで記者会見

これらは主なものだけを抜き出したもので、この他にも各地で行われた歓迎会や県知事、市長をはじめ地元の人との交流会などが多く開催された。

李登輝氏の人気の高さがわかる。

筆者も実は東北はほんの数回しか行ったことがない。それも出張とスキーのみなので、場所も八戸、仙台と蔵王だけだ。上記の名所旧跡も奥の細道などのWikipediaのリンクをクリックして、今更ながら勉強し直しているところだ。

新潟は出張でよく行ったが、今回は奥の細道の前半部分ということなので、李登輝氏は新潟は訪問していない。

この本には各地での歓迎風景や名所旧跡を訪問する李登輝氏の写真が多く載せられており、写真紀行といっても良いくらいだ。

紀行記の他に、日本李登輝友の会のメンバーの塩川正十郎氏や前拓殖大学学長の小田村四郎氏、国際教養大学学長の中嶋嶺雄氏、作家で李登輝氏の靖国神社訪問に同行した曽野綾子氏、評論家の櫻井よしこ氏らが寄稿している。

李登輝氏自身の序文や講演も収録されている。

1.今回の訪日で叶えられたこと

2.後藤新平と私

3.日本の教育と台湾

4.2007年とその後の世界情勢

5.日本外国特派員協会における記者会見

靖国神社宮司南部利昭氏の寄稿文も掲載されている。李登輝氏は靖国神社に祀られている兄の遺影にも対面し、「祭神之記」をしっかりと胸に抱かれていたという。

李登輝氏の父親は兄李登欽氏の戦死を信じなかったため、台湾には墓も位牌もない。

祭神之記には次が記載されているという。筆者も2人のおじさんが戦死している。たぶんおじさん達の祭神之記も靖国神社にあるのだと思う。

・英霊の御名前
・階級
・所属部隊
・死歿年月日
・死歿場所
・死歿時本籍
・死歿時御遺族
・靖国神社合祀年月日

外国特派員協会での記者会見では、李登輝氏は日本政府の弱腰外交を批判し、「中国や韓国などが自国の問題を処理できないため(国民の関心をそらすために)、靖国問題を作り上げた」、「国家のために命を落とした若者を慰霊するのに、なぜ外国に批判されなければならないのか」と語ると、記者団から期せずして拍手がわいたという。

拓殖大学は明治33年日清戦争によって割譲された台湾の開拓植民にあたる若い人材を育成するために、桂太郎公によって設立された台湾協会学校が母体で、後藤新平は第三代学長で、新渡戸稲造も学監を勤めたという。

後藤新平は1898年から7年間児玉源太郎台湾総督の民政長官として働き、疫病・匪賊の未開発地だった台湾を、美しい豊かな蓬莱の地と生まれ変わらせたとして、台湾開発の基礎をつくったといわれている。

また新渡戸稲造も二年間台湾の民政局で働いている。

李登輝氏の国際教養大学で行われた「日本の教育と台湾 ー 私が歩んだ道」という講演も面白い。

李登輝氏は22歳までは日本の教育を受けた。

日本は台湾統治を教育から始めたほど教育に力を入れ、台湾総督府ができた1895年に早くも国語学校を開校し、公学校(小学校)を各地に開設し、台北高校、台北帝国大学が設立された。

植民地でありながら、内地と変わらない教育を与えられたが故に、それまで匪賊と疫病の地だった台湾に、非常に近代化した文明社会が作られたのだという。

李登輝少年も禅に魅せられ、岩波文庫などを通じて東洋・西洋の文学や哲学に接することができたという。

李登輝氏は新渡戸稲造の「武士道」を解題して書き直した「「武士道」解題ノーブレス・オブリージュとは」という本も書いているほどで、武士道精神、日本人本来の精神的価値感、伝統を再評価しようと呼びかけている。

武士道 (岩波文庫)


「武士道」解題―ノーブレス・オブリージュとは (小学館文庫)


「天賦の才に恵まれた日本人がそう簡単に『武士道の精神』や『大和魂』といった貴重な遺産や伝統を捨て去るはずはない、と私は固く信じています」と李登輝氏は語る。

「武士道」も「大和魂」も今やほとんど死語となったように思える筆者には、考えさせられてしまう李登輝氏の言葉だ。

李登輝氏を評して台湾大学の教授は「日本の大正時代に生まれ、徹底的に日本教育の薫陶を受け、忍耐、自制、秩序を重んじ、公のために奮闘、努力する精神を身につけた人である」と言っているそうだ。

李登輝氏は、この表現は不十分で、日本教育の長所である「実践躬行(じっせんきゅうこう)」を付け加えなければならないと語る。

「私は、すべての原点を哲学に置き、すなわち『人間とは何ぞや』というところから出発したのです」 

「この日本的教育によって得られた結論は『私は誰だ』という問いについて、『私は私でない私』なのです。」

「この答えは、私に正しい人生の価値観への理解を促してくれました。いろいろな問題に直面するときにも「自我」の思想を徹底的に排除して、客観的立場での正しい解決の方法を考えました。これが日本の教育を通して私に与えられた人生の結論でしょう。」

英語で言うと"Who am I?" "I am not that I am"となる。

李登輝氏は日本語が一番得意で、次に台湾語、英語、最後に北京語だと言われている。

何ヶ国語かできる人の場合、頭の中は何語で考えているかという質問がなされることがよくあるが、筆者の推測では李登輝氏は日本語で考えているのではないかと思う。

つまり自我は日本人、しかし肉体は台湾人という状態を表現したのが、「私は私でない私」という言葉ではないかと思う。

筆者の理解が正しいかどうかわからないが、いずれにしても李登輝氏の講演はとても外国の指導者が書いたものとは思えない。まさに文人政治家だ。日本の政治家でも、これだけ中身の濃い講演はできないのではないだろうか。

最後の2007年の世界情勢分析も面白い。

ロシアは旧ソ連地域の覇権を目指しており、野心は旧ソ連地域にとどまらないとか、中国経済は不良債権がGDPの4−6割に達しており、すでに崩壊寸前で、国内外の関心を経済問題からそらせるために、宇宙開発、北京オリンピック、日本との歴史問題などを使っているのだと語っている。

台湾の新総統にも中国からの圧力や挑発が寄せられ、台湾の安全保障問題が2008年から数年間は最重要事項になると予想している。

日本李登輝友の会が、(有)まどか出版という小さな出版社から出した本だが、内容はすばらしい。

日本の京都大学で学び、米国コーネル大学で農業の博士号をとった哲人政治家の李登輝氏。日本語で話してくれる数少ない世界的指導者でもある。

本屋や図書館で見つけたら、是非手にとって見て欲しい本である。


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Posted by yaori at 08:51Comments(0)TrackBack(0)

2008年04月02日

レバレッジ・シンキング レバレッジシリーズのまとめ

2008年4月2日追記: 3月28日に記事をアップしたら、「ゆきんこ」さんから、レバレッジ・シリーズを全部読んだが、「レバレッジ・シンキング」が最も良いというコメントを頂いたので追記しておく。筆者も1冊だけ読むなら、この「レバレッジ・シンキング」だと思う。

レバレッジ・シンキング 無限大の成果を生み出す4つの自己投資術


今までこのブログで紹介してきたレバレッジシリーズのまとめの本。

このブログではレバレッジ・リーディングレバレッジ時間術レバレッジ人脈術の3つを紹介してきたが、それら3冊のいわば上位概念となる"Doing more with less(DMWL)"の考え方を説明している。

プロスポーツ選手に比べてビジネスパーソンは、トレーニング不足だと本田さんはまず指摘する。

プロの選手の場合、80%がトレーニング・練習、20%が試合が一般的だが、2001年の総務省統計局の社会生活基本調査によると30−50代のビジネスパーソンが一日のうちに「学習・研究」、「スポーツ」、「交際・つきあい」に費やす時間は40分足らず、「学習・研究」のみだと10分たらずという結果が出ているという。

逆に多くの人がトレーニング不足なので、少し練習すれば頭一つどころかかなり抜け出すことができる。

自分のパーソナルキャピタル(自己資産)は次の4つだと本田さんは整理する。

1.労力資産

2.時間資産

3.知識資産

4.人脈資産


これらに自己投資して、労力・時間投入量1に対して、無限大の効果を上げ、DMWLを実現するのがレバレッジ・シンキングの考え方だ。

4つのパーソナルキャピタルとマインドの両方を高め、ゴールと「しないこと」を定め、アクティブに行動するのだと。

この本では上記4つのパーソナルキャピタルそれぞれについて、レバレッジを効かす考え方が披露されているが、既にレバレッジ・リーディングレバレッジ時間術レバレッジ人脈術それぞれのあらすじで紹介したので、これらを参照頂きたい。

本を読む順番として、レバレッジシリーズでは最初にこの本を読んで概要をつかむべきだったかもしれない。

筆者の感想としては、レバレッジシリーズで一番印象に残ったのはレバレッジ・リーディングだった。

一冊だけ読むならレバレッジ・リーディングだろう。

アスリートを見習って、トレーニング(=学習、読書)にもっと時間を投資して、さらに大きなリターンを得よう!

他人と差を付けるのは案外簡単かもしれない。


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