2008年07月31日

もう一言の極意 前ダイエー会長の林文子さんの本

不思議なほど仕事がうまくいく「もう一言」の極意


このブログを訪問する人の検索キーワードトップは「スロトレ」だが、「失礼ながら、その売り方ではモノは売れません」で紹介した「林文子」さんも常に上位に来ている。

林文子さんは、前ダイエー会長で、最近東京日産販売の社長に就任されており、先日のNHKの「トップ・セールス」のモデルになった人だ。前著「失礼ながら、その売り方ではモノは売れません」でも紹介したが、林さんの本を読んで見ると、林さんがただものではないことがよく分かる。

一見すると普通のおばさんだが、毎日100件訪問をノルマにして、体をこわしたこともあるという下積み時代からの苦労と、トップセールスとしてお客を大事にする姿勢が身に付いていて、全く肩に力が入ったところがないのは風格を感じる。

林さんがこれまでやってこれたのは、「出会った方一人ひとりとのあいだを、できるだけいい関係に育てようとしてきたことに尽きる」と語っている。

林さんは「コミュニケーションの天才ですね」と言われることがあるそうだが、自分なりに努力してきたと語っており、この本でその苦労の一端を明かしている。

まわりを見回すと連絡はメールが主になり、上手に人とつきあえないで悩んでいる人も多いので、林さんの日頃心がけていること、経験を役立てたいとして書いたのがこの本だという。


目次で本の良さがわかる

この本の目次は次のようになっている。

第1章 「もう一言」の話しかけで人間関係は変わる(仕事の9割は、人間関係が決める)
第2章 人脈を広げる、ちょっとした習慣(「話しコミ」の積み重ねで毎日が変わる)
第3章 「ほめぐせ」「感謝ぐせ」をつける(「ほめ言葉」と「ありがとう」が人を動かす)
第4章 言いづらいことほど本気で伝える(感謝される「断る・叱る・詫びる」の伝え方)
第5章 口下手な人も、こうすればうまく話せる(じっくり聞く、ひたすら相手を受け入れる)
第6章 逃げずに真剣に相手と向き合う(深い人間関係を育てると、人生が豊かになる)

筆者は本の目次を見ると大体著者のレベルがわかると思っている。

良くできた目次は著者の頭の中が整理されており、目次に本の内容がサマライズされていて、それこそ頭にスッと入る。

反対にやっつけ仕事で書いたような本は、目次が練れておらず、トピックを並べただけ、自分の言いたいことを書いただけで、読者のことを全く考えていない。このような目次の本は読んでも失望したり、疲れることが多い。

この本の目次には、それぞれ5から13くらいのサブタイトルも紹介されており、目次だけでもこの本の内容が大体わかる非常に優れた目次である。

まずは本を読む前に、アマゾンのなか見検索で目次を是非見て頂きたいが、一例として次のような目次となっている。自分の持っているノウハウを惜しげもなく披露していることがわかると思う。

もう一言の極意





自分の経験からのアドバイスなので、それぞれ重みがあるが、単なる経験だけでなく、ちゃんと裏付けがある。

たとえば「とにかく一言、話しかける 次の一言は「共通項」を話題にする」では、まずは共通の友人とか、なんらかの共通項を探すことをすすめている。この共通項は心理学では、フランス語で「ラポール」("rapport")というのだと。

どんな人間関係もラポールが形成されると、あとはうまくいくものだ。ちなみに、この"rapport"は英語でも時々出てくるので、筆者は実は「ラポート」だと思っていた。勉強になりました。

参考になった点をいくつか紹介する。


「声かけ」がさかんな店はよく売れる

スーパーの店頭でも、お客さまが商品を手に取ると、「ありがとうございます。こちらもおすすめですよ」と一言、言えるか言えないかが結果を大きく変えるという。

そういえば筆者の知人が、学生時代にデパートの食品売り場の老舗のお菓子屋でアルバイトしていた時に、他の店としめし合わせて、それぞれの店で買ったお客に「あの店の○○もおいしいですよ」と一言すすめたら、両方の店の売り上げが上がったという話をしていたことを思い出した。


「口下手」は関係ない。慣れと経験がすべて

セールス業界に飛び込んだ林さんは営業の本に、「まず、一日、百軒回りなさい」と書いてあったのを素直に受け止め、本当に一日百軒、訪問セールスをしていた。

それで誰か出てきたら、すぐに相手の心を開かせるような一言を言うクセがついた。

「お花がきれいですね。毎日、お手入れされているのでしょう?」とか、「素敵なお住まいですね。新築されたばかりですか?」とかだ。

「私は口下手で」とか言っている人は、まだまだ苦労が足りないと。積極的に自分から話しかける経験を積んでいかなくては、話しかけひとつだって身に付かないという。

拒絶されても、めげずに話しかける。それを繰り返していくうちに、相手のストライクゾーンを突く話しかけができるのだと。


ネガティブなことはけっして言わない。どんなことにもプラス面を見つける

「どんなに親しい間柄でも、ネガティブなことはけっして口にしないと決めて下さい。」と林さんは語る。

意識して言い方を変えて、常にポジティブな言い方をするのだ。


三分間スピーチ

林さんが支店長をつとめていたBMWでは、スタッフ全員に毎週一回三分間スピーチをしていたという。仕事の話だけしているようでは、信頼関係は生まれないので、スタッフ同士が趣味や気づいたことを言い合った、

それで、うち解けて話をするようになり、チームの結束力が高まった。

それと林さんが心がけたことは、「話コミ」だという。「話とコミュニケーション」をつなげた言葉だが、ともかく機会を見つけて社員の話を聞いていたという。

組織内のコミュニケーションをよくする責任は、上司にあると考えていると。「ホウ・レン・ソウ(報告・連絡・相談)」は上司がする。これが林さんの持論だ。

上司の方から、「あの件どうなっている?」とか、「あの件の社内承認は、現在こういう段階にあるから」とか説明するのだ。


勇気を持って、相手の懐に飛び込む これだけで、人間関係の悩みの90%はなくなる

林さんは、可能な限り従業員食堂で食事をする。それも、どこでも空いている席に気軽に座って、「ここ、いいですか?」と言って話しかける。またいわゆる取り巻きをつくる様な、特定の人と食事には行くようにはしない。特に人の上に立ったら、組織内の人間関係を特別な形にしないように配慮することが絶対必要だと林さんは語る。

以前NHKのテレビのサラリーマンNEOでのキャノンの社員食堂の紹介で、会長の御手洗さんが空いている席に座って、社員と談笑していたので、あれはやらせだと思っていたが、案外そうでないのかもしれない。

できたトップの人もいるものだ。


「ランチタイム症候群」

職場の女性たちの間で、ある人は誘わないようにすると、その人は誰からも誘って貰えず、一人でランチを食べなければならない不安から、出社拒否につながってしまう場合もあるという。これが「ランチタイム症候群」だ。

なぜ自分から一歩、踏み出さないのだろう。

自分からあっさり、「私も一緒にいってもいいですか」と一言言えば、たいていの場合問題解決となる。


「商品説明」でモノは売れない お客様目線で「感動」を伝える

林さんは車のセールスをする場合でも、「これこれで、性能は抜群」といった説明はしたことはないと。そんなものはカタログに書いてある。

「私も試乗してみましたが、加速がなめらかで力強くて、とっても気分がいいんです」という様に、あくまで自分が使ってみてどう感じたか、使用感を話すことを心がけたという。

その方がお客の共感を得られやすいのだ。

また結局他社製品を買った客もほめるという。お客の心を次回につなぐのだ。


基本ができていると思う。


細やかな心遣いを感じるのは次のような場合だ。


ただ「頑張って!」では、むしろやる気は落ちる 「期待している」「信頼している」と伝える

よく、うつ状態の人に「頑張って!」と声を掛けてはいけないというが、それと同じことである。

たいていの場合、誰だってまじめに頑張っているが、結果が出ないので悩んでいるのに、「頑張れ」と言われると途方にくれてしまう。

だから林さんは、そんな当たり前のことは言わない。

「あなたには本当に期待しているんですよ」とか、「あなたのことは全然心配していません。必ず力を発揮できる人だから」という言葉の方が、相手の沈んだ心に火をつけて、やる気を燃え立たせるのだと。

「頑張る」という言葉は、自分に対して使うのだ。「私も頑張りますから、一緒にやりましょうね」とか、「私もさらに頑張りますから、あなたもお願いね」とかいった使い方だ。

コミュニケーションの基本は、感謝と共感であると。


カーネギー流のじっくり聞くという姿勢も、第5章で次のようなサブタイトルで説明している。


とにかく、相手の話をよく聞く 自分の話を聞いてくれる人を嫌いになる人はいない

自分20%、相手が80% これが、感じのよい会話のバランス

相手が言いたいことは先取りしない 言いにくいことはこちらから切り出す

言葉の最後まではっきり発音する 録音して聞き直すと、欠点がよくわかる


人間関係はごまかしがきかない

長くビジネスの世界で多くの人に接していると、人間関係ほどごまかしのきかないものはないと痛感させられるという。

どんなに言葉を飾っても、どんなにマナーに気を配っても、それらを超えて、あるいはそうしたもののさらに奥から、その人の人間性が隠しようもなく、伝わってくるのだと。

たとえば先日来社した人から、林さんの部屋に置いてある観葉植物を見て、「お手入れが行き届いていて、幸せなパキラですね」と言われたことがあるという。

その一言で、この人はなんといい方なのだろうと、挨拶を交わす前から好きになってしまったという。「幸せなパキラ」という言い方にその人のやさしさ、思いやりの深さを感じたという。

普段感性豊かな日々を送っていなければ、こんな言葉がとっさに出てこないからだ。


体をこわし、入院したこともある

林さんは、ホンダに10年余り在籍し、女性ではあまり例のない自動車セールス、それも入社の翌月には営業所トップの成績を挙げて、それ以降退社するまでトップの座を譲らなかった…。

この話を繰り返すのは、決して自慢したいからではないと。

実はがむしゃらに働きすぎた結果、体をこわし、入院し、つらい時期を体験しているのだ。しかし病気をした後は、それまで以上に人のことを思いやれるようになったという。

コミュニケーション上手と言われる林さんだが、正直に言えば、つらい思いもいままでかみしめてきた。しかしそれはいままで口に出さずにやってきた。

「辛さをじっと抱きしめる」それが「辛抱」なのだと気づいたからだ。

さすがだと思う。


林さんのおすすめ

林さんは落語の大ファンで、特に好きなのが円生志ん朝談志だという。落語の中に生き続ける人情の機微を大事にしたいのだと。

毎日出かける前に、一席談志のCDを聞くのが朝の楽しみだと。

林さんのトレードマークの、ともかくほめることをテーマにした落語なら、「子ほめ」だという。



林さんのお父さんが青果市場の仲買人で、小学校にあがるまえから歌舞伎や演芸に連れて行ってもらったので、芝居や落語が大好きだという。芸人の「間」は、なんともいえず巧みであると。

林さんは文学少女だったが、なかでも大正・昭和時代の小説が好きで、永井荷風の「墨東綺譚」が特に好きだと。

〓東(ぼくとう)綺譚 (岩波文庫)


筆者も実は「墨東綺譚」は全部読んだことがない。早速読んでみる。

本を読まなくなったことと、人付き合いが苦手な人が増えていることは、根っこでつながっているように思えてならないと林さんは語る。


目指すのは3K

3Kといっても、林さんの3Kは、「感謝・感動・感激」だ。


「人が好き。花が好き。仕事が好き。」

最後に林さんの好きな言葉が紹介されている。

「人が好き。花が好き。仕事が好き。」

これが色紙などによく書く言葉だという。

花は繊細で弱い生物。でも強靱さも秘めていて、少しぐらいの風ではびくともしないで、美しい花を咲かせている。

人間も同じで、ときには傷ついても、憎しみに出会っても、それらを乗り越えて笑顔でいる。そんな人に会うと自分もそうありたいと思うと。

そうした人になるには、仕事をすることが一番だと思っている。仕事を通して人は磨かれ、しだいに強く美しく、おだやかに、あたたかくなっていくのだ。

このブログで紹介した伊藤忠の丹羽さんの「人は仕事で磨かれる」も良い本だが、それと同じだ。


「人生とは何か?」そう聞かれたら、林さんは「人がすべて」と答えると。

すべての人に学び、育てられ、磨かれていく、それが人生、生きる喜びである。

「いまの私があるのは、これまでの人生で出会った、すべての人のおかげです。」

さすが林さんだ。

読んでみて感動を与える本である。林さんのファンになってしまう。

もっと林さんの本を読みたいと思わせる良い本である。



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2008年07月27日

アメリカの高校生が読んでいる経済の教科書

アメリカの高校生が読んでいる経済の教科書


最近出版されたアメリカの高校生が学んでいる経済の教科書の要点を解説した本。

同じような題では、2005年に出版された次の本がある。

アメリカの高校生が学ぶ経済学 原理から実践へ


実は後者は、アメリカの高校で教えている経済学の授業で使われている教科書をそのまま訳したもので、大和総研教育事業部が出した本だ。

今年大学の経済学部に入った息子にもこの本を読ませた。日本の大学の経済学の授業よりも実戦的で、役に立つと思う。

アマゾンで載っている出版社のコメントを引用すると:

「アメリカで高校の教科書として版を重ねている書です。
内容は、もくじをみるとオーソドクスにみえますが、中身はかなり、いやまったく違います。日本のそれとは。
何が違うのか?
大学で経済学を学ぶある学生はこう感想をもらしました。
「こわい」
そうなんです。リアルな経済学なんです。
キーワードは「意思決定」。
機会費用、トレード・オフ、クリティカルシンキング、知識よりは考え方が重視されていて、おそろしいほどよくわかります。
使われている概念は大学レベルですが、数式を使わず、経済的思考を身につけ、概念を使いこなせるまでを目的としています。
高校生、大学生はもちろんのこと、特にビジネスマンにはことにお勧めしたい書です。アメリカのビジネスのパワーはこんなところにあったのか!と目からウロコです。」


なにせ高校の1年間の教科書なので、翻訳でもボリュームがある。原著は1万円もするようだ。

Economics: Principles and Practice


別の本の紹介が長くなったが、なにが言いたかったのかというと、こちらの本は実は「アメリカの高校生が読んでいる経済学の教科書」ではないのだ。

正確に言うと、NCEE(アメリカ経済教育協議会)の高校生の経済学講義についての指導要領20項目に従って、日本の大学生など向けに解説した本である。

だから前者と後者は全く別物なのだ。

どちらが良いともいえないが、この本は翻訳ではなく、指導要領に沿った解説本なだけに、わかりやすい。

目次と20項目とは次の通りだ。

第1章 家計の経済学
 希少性
 インセンティブ
 効率的な選択
 取引とお金
 労働
 税金
 利息

第2章 企業の経済学
 起業家
 企業
 企業は競争する
 均衡価格の作り方 その1 市場価格
 均衡価格の作り方 その2 消費者の気持ち
 均衡価格の作り方 その3 売り手の気持ち
 賃金

第3章 金融の経済学
 家計と銀行
 企業と銀行
 金利
 パーソナルファイナンスで見る金利

第4章 政府の経済学
 パーソナルファイナンス国債編
 財政政策
 経済成長と生産性の向上
 市場の失敗

第5章 貿易の経済学
 貿易
 外国為替市場

それぞれにつき、簡単な解説と図が載っている。

いくつか印象に残った点を紹介しておく。


72のプリンシプル(預けたお金は何年で2倍になるか)

この本の「はじめに」で紹介されているが、預けたお金が何年で2倍になるかは、72を金利率(パーセント数)で割ればよい(複利計算)。

たとえば現在の低金利の1%であれば、資産を倍にするには72年掛かる。

これが5%だと14.5年。10%なら、7.2年で倍になるのだ。


学歴別のアメリカ人の平均年収

今週ワーキングプア特集であろうか、高校を中退して同棲している日本人のティーンエージェーの生活が紹介されていたテレビ番組を見たが、高校をやめて仕事を探すようになって、はじめて高校卒業という資格が大きく採用基準に影響していることを知ったと語っていた。

この本では次の表が紹介されている。

アメリカ人の平均年収

16歳で高校を中退した人     $18,876
高校を卒業した人         $26,208
大学卒業生            $42,796
大学院修了生           $54,600

出典:アメリカ労働省 2000年統計

上記はあくまで平均であって、ハーバードなどの一流MBAを卒業した人が、投資銀行やコンサルなどで働く場合の初任給は20万ドル前後だという。初任給が20万ドルということは、実力があれば100万ドル年俸などざらだ。


ちょっと横道にそれるが、実はアメリカは高校までが義務教育なのだ。

日本の様に国が「義務」として決めているわけではないと思うので、正確な意味では「義務教育」ではないのかもしれないが、K−12と言って、幼稚園年長から高校3年生までは公立学校ならば学費はほとんど無料だ。

その代わり住民が不動産に賦課されるSchool taxで教育費を負担する。このSchool taxが不動産価格の1%から3%とかになるのでバカにならない。筆者の場合は米国で20万ドルの家を持っていたので、年間6千ドルくらいSchool taxを払っていた。

筆者の住んでいた町はschool taxがピッツバーグでは最も高い町だった。

School taxが高いと、教育予算が大きく、教師の給料も高いので、質の高い教師が集まる。そうなると町の人気が上がって、不動産価格も上がる。不動産価格が上がれば、転売するときにも利益が出るので、School taxが多少高くても問題ないという循環なのだ。

普通であれば、高校は卒業できるのが当たり前で、アメリカでは高校中退する人は実際にはかなり少ないはずだ。

ところが日本の場合は、高校は義務教育ではないので、公立高校でも学費負担に耐えられずに中退してしまう人が多くいるということをテレビで言っていたので、驚かされた。

日本ではここまでの年収差はないかもしれないが、ちゃんと統計を調べて高校生に教える必要があると思う。

テレビで取り上げられていた高校中退カップルは、単に家計が苦しいし、高校に行く意義が見いだせなくて中退したそうだが、上記のような現実がわかれば、たとえ苦しくても高校を卒業する必要性がわかるのではないだろうか。


この本は2色刷りで、わかりやすくきれいなことは良いのだが、著者が早稲田大学の先生なので、赤字の部分が試験に出るので暗記しろと言っているように感じる。

内容もわかりやすく簡単で、内容としては高校生レベルだろう。

筆者としては、どちらかというと大和総研の本をおすすめするが、アメリカの高校生がどんなことを学んでいるのかを簡単に知るには、こちらの本も役立つと思う。


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2008年07月26日

慕情 香港を舞台にした名作映画

慕情


今週は図書館で名作映画「慕情」のビデオを借りてきた見た。1955年のウィリアム・ホールデンジェニファー・ジョーンズ主演の名作映画だ。

舞台は1949年の香港で、英国人と中国人の混血のハン・スーイン女医がアメリカ人特派員のマーク・エリオットと恋に落ちるというストーリーだ。

ハン・スーイン女医の夫は国民党の将校だったが、共産軍に殺された。マークは結婚しているが、シンガポールにいる奥さんとは6年間も別居を続けており、離婚交渉中という設定で、大人の恋物語だ。

そのうち朝鮮戦争が始まり、マークは従軍記者として韓国に飛ぶというストーリーだ。

香港も久しく行っていないので、だいぶ今は変わったのだろうが、映画では昔の香港の風景とビクトリアピークのあたりが出てくるので、なつかしく感じた。

YouTubeにも最初の場面が載っている。



名曲でもあるタイトルの"Love is a many-splendored thing"でYouTubeで検索すると、いくつかの場面が出てくる。

これは主人公のハン・スーイン女史の自伝を映画化したものだ。

やはり名画はいい。主題歌も最高!

大きな図書館ならビデオの貸し出しもやっていると思うので、是非近くの図書館をチェックしてみて欲しい。

本もいいが、名作映画もいい。

是非おすすめしたい。



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2008年07月23日

松下ウェイ 松下復活のブレイン マキナニー氏の内部からの報告

松下ウェイ―内側から見た改革の真実


現松下電器会長の中村邦夫さんの松下再建計画を支えた経営コンサルティング会社ノースリバー・ベンチャーズ社長のフランシス・マキナニーさんのレポート。

筆者自身が松下電器とは仕事でもつきあいがあり、2000年11月に「創生21」計画が発表された直後には、エアコン工場や冷蔵庫工場などでコスト削減の協力をしていただけに、興味深く読めた。

当時は昼休みになると工場の事務所のすべての照明が消されて、会議室の壁にはたしか”C30”だったか、コスト30%ダウンを目標とするポスターが貼られていた。

企業再生の例としては、GE,IBMなどがよく取り上げられるが、GEは20年、IBMは10年掛かったところを、松下は6年で達成したとマキナニー氏は語る。また従業員が35万人という規模からも、松下の再生は世界最大の企業再生だと語る。

この本を読んで松下電器の再建に、マキナニーさんというブレインが居たことを初めて知った。

マキナニーさんと松下電器中村会長とのつきあいは1993年にまでさかのぼるという。

マキナニーさんの著作日本の弱点―アメリカはそれを見逃さないでニューヨークの松下のショールームを批判したところ、出版されてすぐにショールームは閉鎖され、マキナニーさん達は米国松下の社長だった中村さんに招かれ、どうすれば米国事業を改善できるのかアドバイスを求められた。

中村さんとマキナニー氏はいくつかの共通点もあるという。数年の差でともに外国人として米国で働くこととなったこと、中村さんが英国駐在の時に住んでいたサニングデールはマキナニー氏の出身地で、ゴルフが趣味で、読書傾向も似通っているという様な点だ。


松下改革のリーダー中村邦夫会長

中村さんは名古屋での営業課長時代に、松下幸之助が考案した松下と販売店主が50:50で設立する販社システムの再編の必要性を痛感し、みずから名古屋地区の販社の再編に取り組むが、社内外からの批判にさらされる。

その後、1987年から米国松下で家電営業を担当し、1992年から93年までは英国松下、そして1993年に再度米国に戻り1997年まで米国松下のトップとして経営を担当する。

マキナニー氏が「日本の弱点」で提案した分権化、脱・自前主義、組織のフラット化、製品でなくサービスを売るの4つの戦略を読んで、中村さんは次の5つのSを取り入れた経営システムを導入していた。

Small
Simple
Speed
Strategies
Smile

そして前述のように1996年に中村さんはマキナニー氏の協力を求めてきた。マキナニーさんは、「平均的な米国企業は5年ごとに顧客の半分を失っており、離反顧客の60−80%は直前まで満足と回答している。顧客の離反は突然やってくる」と説明したという。

当時の松下は、事業領域もテレビ・ビデオなど成長が鈍化した分野が中心で、高成長の分野が弱かった。

グループ企業間で重複があり、たとえば携帯電話分野では欧米市場で販売能力を持たない松下通信工業が拒否権を持っており、手が打てなかった。

ブランドもパナソニック、ナショナル、安価家電のパルサー、オーディオのテクニクスと分かれていて、同じ松下でも松下電器と松下電工はそれぞれ本家を名乗っているが別会社で間違いやすいといった具合だ。

こんな状態の松下を再生させたのが、マキナニー氏の「サッカーボール理論」だという。


「サッカーボール理論」

「サッカーボール理論」と言われても、イメージがわかないが、以前は会社や事業部が分かれて、それぞれ独立採算、個別最適で動いていて、全体最適が達成できていなかった巨艦松下を、フラットな組織に作り変えたということだ。

ムーアの法則で情報コストが低下すると、市場での力関係が変化し、顧客が力を持ってくる。これに対応するために、企業はいわばサッカーボールのように顧客に接する薄い皮に経営資源を集中し、中空構造になってくるというものだ。

それによって顧客の要望に迅速に対応して商品開発が行える体制をつくるのだ。

指標は次の2つだ。

1.キャッシュ化速度(在庫日数+売掛金日数)が5日以下であること。
2.資本収益性速度(総資本対営業利益率)が20%を上回る。

マキナリー氏が松下のコンサルを始めた時、デルと比較すると現金化期間はデルのマイナス10日に対し、松下は70日だった。また粗利益では松下がデルを上回っているにもかかわらず、純利益ではデルが上だった。松下は販管費がふくれあがり、その他の優位性を相殺していたのだ。

2000年に就任した中村社長は、松下再生のために次の対策を打ち出した。

1.「V商品」の打ち出し。V商品とは、タフブック(現場用パソコン)、プラズマディスプレイ、デジタルカメラ、ななめドラム式選択乾燥機、カーエレクトロニクスなどだ。

2.海外で実績を上げた幹部「外人部隊」の日本への呼び戻し

3.2001年度から3年間「創生21」で破壊と創造を実施。

4.ブラックボックス技術を持つ。(半導体など)

5.在庫を劇的に減らす

連結利益率5%以上、資本コスト管理0%以上(在庫削減。キャッシュ化速度向上)、連結売上高9兆円が数値目標だった。

全国19,000のナショナルショップも、業績トップクラスを「スーパープロショップ」と名付けて、大規模小売店と同様の契約条件と、サポートも強化して、選別を進めた。

デルとの大きな差であるSCM(サプライチェーンマネージメント)強化にも力を注いだ。中村社長がモデルにしたのは、ノキアだったという。

筆者も覚えているが、松下でSCMを導入する前段階として、事業部で別々だったパーツの品番を全社で統一する作業を1年半掛けて地道に行っていた。30もの中核システム、1000以上のデータベースの再編を行ったという。

この結果薄型テレビでは調達時間が70%短縮され、発売までの時間も42%短縮、加工時間が75%短縮された。

セル生産方式も導入され、2001年10月には、国内では82%、世界全体では半分がセル生産方式となった。

プラズマディスプレイパネル(PDP)工場では、従業員一人当たりの生産台数は1.4倍から1.8倍となり、需要の変化にも機敏に対応できるようになった。

パナソニックとナショナルが混在していたブランドも、ブランドイメージ・タスクフォースを結成し、米国のブランドコンサルティング会社ランドーをマキナニーさんの推薦のもとに起用し、"Panasonic ideas for life"に統一した。この一環で、ユニバーサルデザインも導入された。

2005年にFF石油ファンヒーターの欠陥による死亡事故が起こると、松下が年末商戦の広告をすべてやめ、石油ファンヒーターの回収広告に入れ替えたことは記憶に新しい。

マキナニーさんは米国のタイレノールの例を松下の幹部に説明したという。タイレノールの親会社のJ&Jは毒物が薬瓶に混入されて数人が死亡するという事件が起きてすぐ、3100万本のタイレノールすべてを回収した。この措置のお陰で、2年後は以前より大きな規模の商品となったという。これに倣った思い切った対応だった。

筆者が一緒に仕事をしていた松下電器の工場の購買の人は、なんと6ヶ月間営業支援のために、量販店の店頭などに派遣されていた。

それもこれも松下は変わったという印象を強く焼き付ける事件だった。


マキナニーさんの言う「サッカーボール理論」があまりに世に知られていないので、「サッカーボール理論」が松下改革のバックボーンだったのかどうかは半信半疑である。

しかしなんと呼ぶかは別にして、松下はDellやNokiaの方向に近づいていることは間違いない。それはマキナニーさんのコンサルティングによるものなのだろう。

もう数冊松下改革についての本を読んで、別の角度からも検証してみる必要がありそうだ。


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2008年07月20日

キリマンジャロの雪 映画も最高!

キリマンジャロの雪


ヘミングウェイの名作の「キリマンジャロの雪」のビデオが図書館にあったので、借りて見た。

幻冬舎社長の見城さんはヘミングウェイにあこがれて体を鍛えたという

アル・ゴアの「不都合な真実」でも、キリマンジャロの雪は数年でなくなると予想されていた。

その有名なヘミングウェイの「キリマンジャロの雪」の映画が、今では500円でDVDが買える。

グレゴリー・ペックエヴァ・ガードナースーザン・ヘイワード主演。

名優ばかりだ。

監督は「慕情」で有名なヘンリー・キング。


キリマンジャロは高さ5,895メートルの雪におおわれた山で、アフリカの最高峰と言われている。

西側の頂上の近くに、ひからびて凍り付いたヒョウの死体が横たわっている。ヒョウが何を求めてこの高みにまで登ったかは謎である。」

これが映画の冒頭に出てくる。そして、この言葉がおじさんの遺言書に書いてあるという話が、全編を通して謎のテーマとなっている。

深みのある謎だ。もちろんフィクションなのだが、考え込ませる印象深い謎だ。

英語版だがYouTubeにその謎の場面が載っている。最初から1分45秒ほどのところだ。



YouTubeには全編載っている。

ヘミングウェイの分身の様な売れっ子小説家ハリー・ストリートが主人公だ。

グレゴリー・ペックの演技が素晴らしい。

エヴァ・ガードナーのシンシアもスーザン・ヘイワードのヘレンも素敵だ。

「キリマンジャロの雪」の原作の小説は1937年に書かれ、映画は1952年の作品だ。

パリ、キリマンジャロ、スペイン、リビエラと場所を移し、今では考えられない猛獣狩りの場面や、呪術師が病気を治そうとする様子など、見ていて楽しめる。

今やアフリカで猛獣狩りなんて当然許されないだろうが、少なくとも30年くらい前までは金持ちの道楽として、一部の人の間には猛獣狩りが盛んだった。

筆者もアメリカの取引先の事務所で剥製にした猛獣を見たことがある。取引先の社長の父親がアフリカで仕留めたものだと言っていた。

「ナポレオン・ソロ」で出てきたレオ・キャロルが、おじさん役で謎の遺言を残すのだが、レオ・キャロルも懐かしい。



原作もヘミングウェイの名作だし、小説も良いが、映画も良い。

名作は心が洗われるようだ。


是非見て欲しい映画である。



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2008年07月15日

サマージャンボ宝くじは有楽町で買うべきか?さおだけ屋完結編

2008年7月15日追記:

サマージャンボ宝くじが昨日(7月14日)より発売された。早速有楽町の西銀座デパート横の宝くじ売り場には長蛇の列ができている。

いらないお世話とは思うが、宝くじのあたる確率についてのクイズが載っている「『食い逃げされてもバイトは雇うな』なんて大間違い」のあらすじを再掲する。

「そんなの関係ない!」、「並んで買うプロセス、ワクワク感が楽しみなんだ!」という人もいるだろうと思うが、話のネタ、旬の話題なので再掲する。


2008年7月11日初掲:

「食い逃げされてもバイトは雇うな」なんて大間違い 禁じられた数字〈下〉 (光文社新書)


前作「食い逃げされてもバイトは雇うな」に次ぐ下巻がこの「『食い逃げされてもバイトは雇うな』なんて大間違い」だ。

上巻のタイトルを下巻で否定するというタイトルなので、ふざけていると感じるだろうが、読んでみれば納得する。

いずれも「禁じられた数字」というコンセプトで首尾一貫している。

上巻は1時間弱で読めたが、下巻は240ページと若干厚くなったこともあり、筆者でも1時間強掛かった。あとがきにある山田さんの見込み通りだ。それでも軽妙なタッチで書かれているので、読みやすく、内容も参考になる。

山田さんは、数字には「日常で使われる数字」と「会計で使われる数字」の2種類があるという。

「日常で使われる数字」では、いかに人の感情をゆさぶるかがポイントになる。たとえば前作でも例として出されていたリポビタンDの「タウリン1000ミリグラム」だ。1000ミリグラムというと多いように感じるが、実はたった1グラムだ。

一方、「会計で使われる数字」は、いかに数字に感情を入れないかがポイントとなる。

そして「会計で使われる数字」は、「使うべき数字」と「禁じられた数字」があるという。それがこの本の主張だ。

ところどころにドリルがあって、それぞれ面白い。例えば:

☆「宝くじは有楽町で買うべきか?「この売り場から1億円が12本でました」という有楽町の交差点の宝くじ売り場がある。宝くじのシーズンになるといつも長蛇の列だ。はたしてこの売り場で買うのが正解か?

→答えは続きを読む参照。


☆自分のコンビニ店のすぐ近くにライバル店があります。資金をふんだんに使えるならば、あなたはどうしますか?(但しライバル店の買収はできないものとします)

コンビニ1






→答えは続きを読む参照。


禁じられた数字

山田さんは「禁じられた数字」は次の4パターンがあるという。
 

1.作られた数字

たとえば次のようなアンケートがある。

次の都市のなかで、一番行きたいところはどこですか?

A.ロンドン
B.パリ
C.ローマ
D.ハワイ

結果はハワイがダントツだったが、だからといって今ハワイが人気があるということにはならない。都市3つのとリゾート1カ所から選択させるというアンケートの質問がおかしいからだ。

よく見る投資信託のコピーで、「当社の投資信託10本はすべて素晴らしい運用成績です」というのは、100本投資信託を作って、運用成績が悪い90本はやめてしまえば良いのだ。

またアマゾンで売れ行きNo.1というもの作られた数字だ。関係者にしめし合わせて、1時間に集中してオーダーすれば、アマゾンのランキングは1時間単位なので、トップになれるのだ。


2.関係のない数字

冒頭のクイズの1億円が12本というのも関係のない数字だ。1億円が12本過去出ていても、自分に当たるかどうかは全く関係ない。

映画などでよく見かける「構想7年」とかいうキャッチコピーも、制作7年なら超大作だが、アイデアを7年考えていたからといっても、なんの意味もない。単に、なんらかの事情で映画化されなかっただけかもしれない。

政治家がよく言う、「この空港をつくるために、すでに800億円も費やしており、利用者が少ないからといって、いまさら中止できない」という話だ。過去のコストは「埋没原価」(サンクコスト)なので、大事なのは、今後採算がとれるかどうかであり、工事を続行した場合、赤字が拡大するなら辞めた方が良いのだ。第2東名高速なども、この基準で見直したらどうなるだろう?

つまり800億円というインパクトの強い関係ない数字を、思考停止させる道具として使っているのだ。


3.根拠のない数字

たとえば新しく上場した会社などは次のような計画を発表する。

2006年 売上 10億円(実績)
2007年 売上 20億円(実績)
2008年 売上 40億円(予測)
2009年 売上 80億円(予測)

これまで倍増で来ているので、大丈夫だと社長は言うが、そもそも市場規模が200億円程度の場合、毎年倍増はありえない。

この単純な思考から生じた「予測」という根拠のない数字は、本当によくあるケースだという。

「○○の優勝で、経済効果1000億円!」というのも、分析者によって経済効果の対象に含める範囲が異なり、「優勝セールで買ったから、冬のバーゲンでは買わない」というマイナス効果は当然計算されていない。


4.机上の数字

☆クイズ あなたは次の広告を見てどう思いますか?

「時給 1000円。月30万円可。寮完備」

時給1000円で月30万円だと、月300時間働くことになる。つまり休みなしで、毎日10時間労働だ。だから寮があるのだ。


役所が出してくる数字にも「机上の数字」が多い。

例えば国税庁の「中小企業の7割が赤字」。そもそも中小企業は本当は黒字なのに、赤字決算をして税金を納めないというところも多いので、実態とは異なる。

平均値も良し悪しはわからない。

たとえばセブンアンドアイホールディングスの鈴木敏文さんは次のように語っている

「例えばコンビニエンスストアでも、過疎地区ながら、ご用聞きなどのサービスを積極的に行って1日の売上が50万円の店と、過密地区で競合もほとんどなく、環境に恵まれて1日売上50万円の店では、同じ50万円でも全く意味が違う。平均値は全部足してならしたもので、そんな平均値と比べて高いか低いか考えても意味がありません。」


「計画」「予算」で多い「禁じられた数字」

ビジネスでは計画と予算で「禁じられた数字」が生み出されやすいと、山田さんは指摘する。

証券アナリストは予算を着実に達成することを評価する。予算を上回ると予算の精度が落ちる会社と思われ、逆に予算を下回ったら散々だ。

だから経営者の中には、予算ぴったりに収めるという人もいるが、これが計画信仰を産むのだと。

営業マンにノルマがある場合は、最低でも予算はクリアしたいから、みんな下めの数字でノルマを決定する。だから多くがノルマを超えて達成することになり、結果的に予算や計画を上回る。

山田さんは、オダギリジョーの出ているライフカードのコマーシャルのように、計画よりも選択肢(カード)だという。



成功するグラビアアイドルたちは、グラビアに出ているうちに、話術がうまいとか、演技がうまいとか、ブログを毎日更新とか、グラビア以外のカードを揃えている。だからチャンスが来たらそのカードを切って成功するのだと。

それと同じように、期日を切った計画を立てず、この場合はこうやるという選択肢をあらかじめ考えておくことが実際的だと山田さんは語る。


山田さんがすすめる二分法

会計人が好んで使う「費用対効果」という言葉と並んで、山田さんがすすめるのが「二分法」という考え方だ。

二分法を使えば、論理的に見え、そしてものごとをわかりやすくすることができると。

たとえば書評を書く場合、山田さんは読んだビジネス書が面白かった場合、「共感できた」か「新しい発見があった」のどちらに当てはまるのかまず考えるという。

本は新しい発見がなくとも共感できればそれなりに満足するし、また共感できなくても新しい発見があれば損した気分にはならないのだと。

山田さんが会計士として経営者にアドバイスするときも、「売上を伸ばす」か「費用を減らす」かどちらにするかといった二分法から本題にはいるという。


「食い逃げされてもバイトは雇うな」なんて大間違い?

「食い逃げされてもバイトは雇うな」というのは、たとえ店番がいなくて食い逃げされても、食い逃げの損よりアルバイトを雇うコストの方が高いので、バイトを雇わない方が良いという会計学的発想だ。

しかし、これは机上の計算で、実際にバイトをやとえば、店番以外にもバイトにチラシ配りをやらせるとか、バイトを教育して2号店をオープンさせるとか発展的なアイデアもある。

二分法による2者択一ではなく、両方とも一挙に解決する「妙手」を考えるのが経営であると。


ここでまたクイズだ。

☆あなたは地方都市にある主に専門書を扱う書店のオーナーです。地方では大型店ですが、ネット書店の台頭とか、全国チェーンの書店の進出にさらされて、このままで行くと尻すぼみです。この状況を打開する妙手はどんなものが考えられますか?

答えで挙げてあるのは、ジュンク堂の取った戦略だという。

→答えは続きを読む参照。


ヘンリー・フォードの妙手

ヘンリー・フォードはT型フォードで成功したが、世間からはさらなる自動車の低価格化が要望されていた。一方工場では低賃金で働く労働者の高い離職率に悩まされており、低価格化と賃金の利害が対立していた。

そこでフォードは当時1日1〜2ドルの日当が普通だったのに、一挙に労働者の賃金を1日5ドルにアップして、自社の労働者が車を買えるようにして、自動車市場を拡大させ、売上を伸ばして高賃金でも継続できる効率的な生産方式を編み出したのだという。


最後に山田さんは、「会計がわかればビジネスがわかる」的な過大な評価に対するアンチテーゼとしてこの本を書いたという。元々はもっとどぎつかったのだが、内容を何度も書き直してマイルドにしたのだと。

計画や効率化で「禁じられた数字」を生み出す風潮に違和感を覚えていたのだと。

この本で数字のセンスをつけて、複数の視点を持ち、妙手はないかと考える力を鍛えるのが、この下巻の使命だと。


たしかに面白く考えさせられる本だ。またもやベストセラーになるだろう。簡単に読めるので、是非一読をおすすめする。


参考になれば次クリックお願いします。


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2008年07月10日

マディソン郡の橋 本も良いがオーディオブックも良い

2008年7月10日追記:

今はYouTubeという便利なものもあるので、せっかくだから「マディソン郡の橋」の映画の場面も追加した。


2008年7月9日初掲:

1993年の年間ベストセラーNo.1の「マディソン郡の橋」。

マディソン郡の橋 (文春文庫)


当時会社の先輩が社内誌に「最近読んで感動した本」ということで紹介していたので、読んでみたのだが本当に良かった。

大人のおとぎ話の様な小説だが、本当に魅せられた。

あれから15年経ち、図書館でカセットがあったので、借りて聞いた。

マディソン郡の橋






ニッポン放送制作のラジオドラマで主演吉永小百合、風間杜夫というキャストだ。

吉永小百合のフランチェスカが良い!最高!

風間杜夫のキンケードも決まっている。

残念ながら廃盤で、アマゾンでは載っていないし、ネットで検索するとYahoo!オークションに出品されている(上記の写真)だけで、他では売っていないようだ。

本では息子と娘がフランチェスカの過去を知るというストーリーだったが、ラジオドラマではジャズマンの回想から始まっている。

このドラマに出てくるRoseman Bridgeとは次の写真の橋だ。残念なことに2002年に焼失したようだ。

Roseman Bridge






出典:Wikipedia

クリント・イーストウッドとメリル・ストリープ主演で映画にもなった。



YouTubeで"madison county"で検索すると、いくつも表示されるので、気に入った場面を見て頂きたい。

本や映画も良いが、吉永小百合主演のオーディオブックも良い。

大きな図書館だったら置いていると思うので、是非もよりの図書館でカセットかCDが置いていないかチェックして欲しい。

昔読んだ人は、あの感動をもう一度!まだ読んだことがない人には、絶対おすすめする。



参考になれば次クリックお願いします。





  
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2008年07月06日

シッダールタ 仏教に影響されたヘッセの小説

シッダールタ


ブッダと同名のシッダールタを主人公としたヘッセの仏教小説。

世界で1,000万部を超えるベストセラーとなっており、日本でも数種類の訳本が出ている。

最近は新訳ばやりだが、この草思社の新訳も難解な内容がわかりやすく訳されているので読みやすい。

出版社の草思社は結構良い本を出しているが、今年1月民事再生法の適用を申請したことと、負債総額が22億円と大きかったので驚いた記憶がある。

ホームページを見ると、どうやら再建計画が裁判所の承認を得られたようで、出版不況とはいえ、是非頑張ってほしい出版社だ。

ヘッセというと、ドイツ文学者の高橋健二さんの翻訳がいわば定本なので、こちらを読んでも良いかもしれない。

シッダールタ (新潮文庫)


筆者のポリシーとして小説のあらすじは詳しく紹介しないが、この本は真理を追求して苦行者になり、ゴータマ・ブッダ(仏陀)の教えを学びにいったバラモン(インドのカーストの最高位の僧侶階級)の息子シッダールタが、美女カマラーと出会い、宗教生活から一旦離れて、快楽を追求し蓄財を追及するが、突如思い立って川の渡し守のヴァースデーヴァの仲間となって、川を見つめながら、完全なもの「オーム」(完成を意味する神聖な言葉)を追求する生涯を描いている。

フィクションではあるが、ゴータマ・ブッダと同時代という設定で、ブッダの教えを請いにブッダを訪問する場面も描いており、実在感がある。

単なる求道者の生活だけでは、小説として面白みがないが、美女カマラーと出会ってカマラーとの愛欲生活に入り、カマラーとの生活のために実業家カーマスワーミーに出会い実業家の片腕として蓄財に励むところが、どんでん返しで面白い。

カマラーとの間の息子も登場する

「車輪の下」、「デミアン」、「ペーター・カーメンチント」など、ヘッセの作品は学生時代に何冊も読んだ愛読書だが、読み返してみると味わい深いものがある。

やはり名作はいい。是非ヘッセの作品も手にとって見ていただきたい。



参考になれば次クリックお願いします。






  
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2008年07月01日

ウェブ時代 5つの定理 梅田望夫氏の選んだ名言集

ウェブ時代 5つの定理 この言葉が未来を切り開く!


「ウェブ進化論」で一躍有名になったシリコンバレー在住の梅田望夫氏の最新作。

梅田さんは毎日4時とか5時に起きて毎日3−4時間も読書しながら、今まで1万冊もの本を集め、シリコンバレーを中心としたアメリカのビジョナリーピープルの言葉を研究し、変化の予兆を捉えようとしてきた。

そしてその金言を著作の中に、隠し味のようにして織り込むことで勉強してきたという。

いわば砂漠での砂金探しのように、膨大な量を読んだり聞いたりしても金言は本当に少ないが、いざ見つかると、だれもが生きるヒントを得られ、仕事に生かせる。未来を切り開く言葉だという。

そんな梅田さんが推奨する金言をこの本では紹介している。

最初のアントレプレナーシップ(起業家精神)では、梅田さんがメンターと仰ぐゴードン・ベル(DECの初期コンピューターPDPシリーズを設計したコンピュータ産業の先駆者の一人)の言葉(プログラム言語)を紹介している。

驚いたことにGordon Bellはすべての自分の著作、プレゼンテーション、論文などを自分のウェブで公開している様だ。

以下は彼のサイトに掲載されている"High-Tech Ventures"の梅田さんがピックアップした一節だ。

Start a high-information-technology company

if frustration is greater than reward

and greed is greater than fear of failure

and a new technology/product is possible then begin

exit (job);

get (tools to write business plan); write (business plan);

get (venture capital);

start (new company);

もしフラストレーションが報酬よりも大きかったら、そして失敗の恐れよりも欲の方が大きかったら、そして、新しい技術や製品がつくれるのなら、始めよ。
(仕事を)辞めよ
そして(ビジネスプランを書くツールを)揃え
(ビジネスプラン)を書き、
(ベンチャーキャピタルから)資金を集め、
(新しい会社を)始めるのだ。


この言葉はゴードン・ベルの"High-tech Ventures"の最初のページにプログラム形式で書いてある。


このような至言をシリコンバレーで活躍する人を中心に34人ピックアップしている。

それぞれ別のシチュエーションで発言したものを集めて、5つのカテゴリーに分類しtているので、次のようなマトリクス表をつくって整理してみた。

Visionary matrix





5つのカテゴリーとは:
1.アントレプレナーシップ
2.チーム力
3.技術者の眼
4.グーグリネス
5.大人の流儀だ。

スティーブン・ジョッブスは、4.のグーグリネスを除いてすべてのカテゴリーに登場している。梅田さん好みの起業家、ビジョナリーだということがわかる。

他にはグーグルのエリック・シュミット、ラリー・ペイジ、冒頭に登場した梅田さんの隣人だというゴードン・ベル、インテルのアンディ・グローブ、アマゾンのジェフ・ベゾスなどの言葉が上位に出てくる。

それぞれどの分野で発言が取り上げられているかを見ると、傾向がわかると思う。

グーグルのところでは「グーグルカルチャー」とか、「グーグル10ヶ条」とか発言者のわからない言葉も取り上げられており、全体では120以上の名言が紹介されている。

最後の部分では、先日紹介したスティーブン・ジョッブスの伝説のスタンフォード大学の卒業式でのスピーチで締めくくっている。

印象に残ったいくつかを紹介しておこう。


1.アントレプレナーシップ

☆パラノイアだけが生き残る。 アンディ・グローブ(インテル創設者)
 Only the Paranoid survive


インテル戦略転換


梅田さんの専門はIT企業の経営だが、考え方の核となったのはアンディ・グローブの考えであり、経営について指針となる本を一冊選べと言われたら、迷わずこの本を挙げるという。

筆者は英語の本は大体オーディオブックで聞いているが、この"Only the Paranoid survive"のオーディオブックを探したが、出ていないので、次のカセットでアンディ・グローブの話を聞いた。

アンディ・グローブがみずからの生い立ち、インテルでの汎用メモリーからマイクロプロセッサーに絞る戦略転換を語っていて、内容はほぼこの"Only the Paranod survive"と重なる。

このオーディオブックでは他にフェデックスのCEOとか伝説のマジェラン・ファンドのファンドマネージャー ピーター・リンチとかがインタビューされていて、参考になる。

Forbes: Great Minds of Business


☆「全く見ず知らずの人間でも信頼できる」ということを、eベイは1億2千万人ものひとたちに分からせたのだ。

eベイの創業者のピエール・オミディアの言葉だ。売り手の信用度をみんなで評価するシステムなどの歯止めはあるものの、この言葉通りネットの世界では性善説で行動でき、トラブルは思いの外少ない。

☆シリコンバレーの存在理由は、「世界を変える」こと。「世界を良い方向に変える」ことだ。そしてそれをやり遂げれば、経済的にも信じられないほどの成功を手に出来る。

アップルのスティーブン・ジョッブスの有名な言葉だ。シリコンバレー特有の世界観と、アントレプレナーシップの真髄を現していると梅田さんは語る。


2.チーム力

☆間違った人を雇ってしまうくらいなら、50人面接しても誰も雇わないほうがいい。会社の文化は計画してつくられるものではなく、初期の社員から始まって、徐々に発展していくものだ。

アマゾン創業者のジェフ・ベソスの言葉だ。一人では何もできない。ケミストリー(相性)があう同僚と働くことで、会社の成長は加速する。グーグルでは当初、5,000人くらいの規模までは、一緒に働く全エンジニアが個別に面接して、一人でもノーと言ったら採用しないというシステムを採っていたという。


☆人がなぜチームスポーツを好むのか、チームの一員となることを好むのか。リナックスを見ればよくわかるよ。

リナックスの発明者リーナス・トーバルスの言葉だ。

ネットでは顔も知らない見ず知らずの他人と共同することで、複雑なOSまでもが作られてしまうのだ。


3.技術者の眼

梅田さんが「ウェブ進化論」で冒頭に引用したのが、インテル創始者ゴードン・ムーアのムーアの法則だ。元々半導体性能は1年半で2倍になるというものが、現在ではより広く、「あらゆるIT関係製品のコストは、年率30%から40%下落する」という意味でも使われている。

これが基本中の基本であると。


☆私はただ「ムーアの法則」を追っかけ、その成り行きについてちょっと推測しただけだ。

シリコンバレーのベンチャー・キャピタリストの重鎮、ドン・バレンタインが語った言葉だ。ドン・バレンタインはアップル、ヤフー、シスコ、グーグルすべてに投資しているセコイアキャピタルの創始者だ。

「ムーアの法則」がインターネット業界で生きていることが分かる言葉だ。


4.グーグリネス

☆私たちは、グーグルを「世界をより良い場所にするための機関」にしたいと切望している。

グーグル創始者のラリー・ページの言葉だ。本当にそれを信念にしてやっているのが、グーグルのすごいところだ。


☆採用候補者は、技術的能力だけでなく、その「グーグリネス」によっても判断される。「グーグリネス」とは、人と協力することを楽しむ性格、上下関係を意識しない態度、親しみやすさなどからなる。

これは「ファイナンシャルタイムズ」に載っていた言葉だという。


☆会社は答えによってではなく、質問によって運営している。(中略)ずばりその通りの答えを提示するのではなく、質問をすることによって会話が刺激される。会話からイノベーションが生まれる。イノベーションというものは、ある日朝起きて「私はイノベートしたい」と行って生まれるようなものじゃない。質問として問うことで、よりイノベーティブなカルチャーが生まれるのだ。

グーグルCEOのエリック・シュミットの言葉だ。

大前研一さんの「質問する力」を以前紹介したが、質問によって会社を運営するという考え方が、グーグルの経営を貫く考えだ。

「一からすべて命令してほしいなら、海兵隊へ行けばいい」、「私たちは混沌を保ちながら経営していると思う」というのも、同じエリック・シュミットの言葉だ。

海兵隊のように命令に一糸乱れず従う組織ではなく、質問することによって、みんなが考え、それから会話が生まれ、ある意味活気ある混沌の中でイノベーションが生まれるという考えだ。

5.大人の流儀

シリコンバレーには、「2ちゃんねる」に代表されるような日本のネット社会特有の匿名文化とは異なる成熟した大人の流儀があるという。

☆私たちはフェースブックをオンラインコミュニティとして認識していない。実際に存在するコミュニティを強化する名簿として提供している。フェースブックに存在するのは、リアルライフに存在するもののミラーイメージだ。

ハーバードの学生名簿から始まったフェースブックの創業者マーク・ザッカーバーグの言葉だ。まじめに何か書き込む時は、実名を使うという文化である。

そしてパブリックという意識が最も顕著に表れているのが、ウィキペディアだろう。

☆ボランティアの人たちと働くことは、伝統的な意味でのマネジメントとは全く異なる。私は何かをしろと誰かに言うことはできない。私にできるのは、励まし、動機づけ、ガイドすることだけ。マネジメントなんか必要ないとも言える。ボランティアたちはじつに頭が良く、モチベーションが高く、自分自身をマネジメントできる人たちだから。

今や250言語に対応しているウィキペディア創始者ジミー・ウェルズの言葉だ。

梅田さんは「学習の高速道路」という言葉を「ウェブ進化論」でも羽生さんとの対談で仕入れた言葉として使っていたが、英語圏のウィキペディアの情報がどんどん蓄積されるのに対して、日本語のウィキペディアの情報は薄いということが、今後大きな差になってくるのではないかと語る。

「私たち一人一人がネット空間を知的に豊穣なものにしていこうという、決意を持つかどうかにかかってくる」と語る。

筆者はまだウィキペディアには投稿したことがないが、たしかに日本語のネット文化を作り上げると言う意味では、積極投稿も考えるべきだと感じた。


☆自分がやらない限り世に起こらないことを私はやる。

これはサンの共同創業者のビル・ジョイの言葉だ。サンはSPARCと呼ばれるチップ、JAVAプログラム言語を生みだし、ネットの世界を変えた。

最後に梅田さんはアップルのスティーブン・ジョッブスのスタンフォード大学での2005年の卒業式スピーチを引用している。

☆偉大な仕事をする唯一の方法は、あなたがすることを愛することだ。まだ見つかっていないなら、探し続けろ。落ち着いちゃいけない。まさに恋愛と同じで、見つかればすぐにそれとわかる。そして素晴らしい人間関係と同じで、年を重ねるごとにもっと良くなる。だから見つかるまで探し続けろ。探すのをやめてはいけない。

このスピーチの字幕入りビデオは以前紹介しているので、参照して欲しい。


カリフォルニア、シリコンバレーというと、筆者などは昔のママス・アンド・パパスの「カリフォルニア・ドリーミング」を思い出す。



筆者はシリコンバレーで仕事はしたことがないが、世界を動かす仕事の多くはシリコンバレーで生まれている。

梅田さんがシリコンバレーに惚れ込んだ理由がわかる。テンポ良く簡単に読めるので頭にスッと入る名言集である。


参考になれば次クリックお願いします。




  
Posted by yaori at 00:30Comments(0)TrackBack(0)