2008年12月31日

暗闘 スターリンとトルーマンの日本降伏を巡っての競争

暗闘―スターリン、トルーマンと日本降伏暗闘―スターリン、トルーマンと日本降伏
著者:長谷川 毅
販売元:中央公論新社
発売日:2006-02
おすすめ度:5.0
クチコミを見る


在米のロシア史研究家、長谷川毅カリフォルニア大学サンタバーバラ校教授の終戦史再考。

大前研一の「ロシア・ショック」で取り上げられていたので読んでみた。

ロシア・ショックロシア・ショック
著者:大前 研一
販売元:講談社
発売日:2008-11-11
おすすめ度:4.5
クチコミを見る


この本を読んで筆者の日本史の知識の欠如を実感させられた。

終戦秘話といえば、大宅壮一(実際のライターは当時文芸春秋社社員だった半藤一利氏)の「日本のいちばん長い日」や、終戦当時の内大臣の「木戸幸一日記」、終戦当時の内閣書記官長の迫水(さこみず)久常の「機関銃下の首相官邸」などが有名だが、いずれも読んだことがない。

「日本のいちばん長い日」は映画にもなっているので、さまざまな本や映画などで漠然と知っていたが、この本を読んで知識をリフレッシュできた。

決定版 日本のいちばん長い日 (文春文庫)決定版 日本のいちばん長い日 (文春文庫)
著者:半藤 一利
販売元:文藝春秋
発売日:2006-07
おすすめ度:5.0
クチコミを見る


木戸幸一日記 上巻 (1)木戸幸一日記 上巻 (1)
著者:木戸 幸一
販売元:東京大学出版会
発売日:1966-01
クチコミを見る


新版 機関銃下の首相官邸―2・26事件から終戦まで
著者:迫水 久常
販売元:恒文社
発売日:1986-02
クチコミを見る


今まで終戦史は、日本の資料かアメリカの資料をベースに何冊もの本が書かれてきたが、この本は米国在住の日本人ロシア史専門家が、友人のロシア人歴史学者の協力も得て完成させており、日本、米国、ロシアの歴史的資料をすべて網羅しているという意味で画期的な歴史書だ。

この本の原著は"Racing the enemy"という題で、2005年に出版されている。日本版は著者自身の和訳で、著者の私見や、新しい資料、新しい解釈も加えてほとんど書き下ろしになっているという。

Racing the Enemy: Stalin, Truman, And the Surrender of JapanRacing the Enemy: Stalin, Truman, And the Surrender of Japan
著者:Tsuyoshi Hasegawa
販売元:Belknap Pr
発売日:2006-09-15
クチコミを見る


約50ページの注を入れると全部で600ページもの大作だが、日本の無条件降伏に至る太平洋戦争末期の世界の政治情勢がわかって面白い。

この本では、3つの切り口から日本がポツダム宣言を受諾した事情を描いている。


1.トルーマンとスターリンの競争

一つは日本を敗戦に追い込むための、トルーマンスターリンの競争である。

1945年2月のヤルタ密約で、ソ連が対日戦に参戦することは決まっていたが、戦後の権益確保もあり、トルーマンとスターリンはどちらが早く日本を敗北に追い込む決定打を打つかで競争していた。

ヤルタ密約は、ドイツ降伏後2−3ヶ月の内に、ソ連が対日戦争に参戦する。その条件は、1.外蒙古の現状維持、2.日露戦争で失った南樺太、大連の優先権と旅順の租借権の回復、南満州鉄道のソ連の権益の回復、3.千島列島はソ連に引き渡されるというものだ。

元々ルーズベルトとスターリンの間の密約で、それにチャーチルが割って入ったが、他のイギリス政府の閣僚には秘密にされていたという。

ルーズベルトが1945年4月に死んで、副大統領のトルーマンが大統領となった。トルーマンといえば、"The buck stops here"(自分が最終責任を持つ)のモットーで有名だ。

Truman_pass-the-buck







出典:Wikipedia

トルーマンは真珠湾の報復と、沖縄戦で1万人あまりの米兵が戦死したことを重く見て、これ以上米兵の損失を拡大しないために、原爆を使用することに全く躊躇せず、むしろ原爆の完成を心待ちにしていた。

1発では日本を降伏させるには不十分と考え、7月16日に完成したばかりの2発の原爆を広島と長崎に落とした。

原爆の当初のターゲットは、京都、新潟、広島、小倉、長崎の5ヶ所だった。

原爆を開発したマンハッタン計画の責任者のグローヴス少将は最後まで京都をターゲットに入れていたが、グローヴスの上司であるスティムソン陸軍長官は京都を破滅させたら日本人を未来永劫敵に回すことになると力説して、ターゲットからはずさせた。

2.日ソ関係

2つめは、日ソ関係だ。

日ソ中立条約を頼りにソ連に終戦の仲介をさせようとする日本の必死のアプローチをスターリンは手玉にとって、密かに対日参戦の準備をすすめていた。

1941年4月にモスクワを訪問していた松岡外務大臣を「あなたはアジア人である。私もアジア人である」とキスまでして持ち上げたスターリンは本当の役者である。

ポツダム宣言

ポツダム会議は1945年の7月にベルリン郊外のポツダムに英米ソの3首脳が集まり、第2次世界大戦後の処理と対日戦争の終結について話し合われた。

会議は7月17日から8月2日まで開催されたが、途中で英国の総選挙が行われ、選挙に敗北したチャーチルに代わり、アトリーが参加した。

ポツダム会議はスターリンが主催したが、ポツダム宣言にはスターリンは署名しなかった。

トルーマンとチャーチルは、スターリンの裏をかいて、スターリンがホストであるポツダムの名前を宣言につけているにもかかわらずスターリンの署名なしにポツダム宣言として発表するという侮辱的な行動を取ったのである。

トルーマンは原爆についてポツダムでスターリンに初めて明かしたので、スターリンにはポツダム宣言にサインできなかったこととダブルのショックだった。

これによりスターリンはソ連の参戦の前にアメリカが戦争を終わらせようとしている意図がはっきりしたと悟り、対日参戦の時期を繰り上げて、8月8日に日ソ中立条約の破棄を日本に宣言する。

ソ連の斡旋を頼みの綱にしてた日本は簡単に裏切られた。もっともソ連は1945年4月に日ソ中立条約は更新しないと通告してきていた。

7月26日の段階で、ソ連軍は150万の兵隊、5,400機の飛行機、3,400台の戦車を国境に配備しており、ソ連の参戦は予想されたことだった。

ソ連は終戦直前に参戦することで日本を降伏に追い込み、戦争を終結させた功労者として戦後の大きな分け前にありつこうとしたのだ。

日本は1945年8月14日にポツダム宣言を受諾したが、スターリンは樺太、満州への侵攻をゆるめず、ポツダム宣言受諾後に千島、北海道侵攻を命令した。

スターリンの望みは、千島列島の領有とソ連も加わっての日本分割統治だったが、これはアメリカが阻止した。


3.日本政府内の和平派と継戦派の争い

第3のストーリーは日本政府内での和平派と継戦派の争いだ。

この本では、和平派と継戦派の争点は「国体の護持」だったという見解を出しているが、連合国側から国体護持の確約がなかったことが降伏を遅らせた。

アメリカ政府では元駐日大使のグルーなどの知日派が中心となって、立憲君主制を維持するという条件を認めて、早く戦争を終わらせようという動きがあったが、ルーズベルトに代わりトルーマンが大統領となってからは、グルーはトルーマンの信頼を勝ちとれなかった。

開戦直後から日本の暗号はアメリカ軍の海軍諜報局が開発したパープル暗号解読器によって解読されていた。この解読情報は「マジック」と呼ばれ、限定された関係者のみに配布されていた。

ところでパープル解読器のWikipediaの記事は、すごい詳細な内容で、暗号に関するプロが書いた記事だと思われる。是非見ていただきたい。

日本の外務省と在外公館との通信はすべて傍受されて、日本の動きは一挙手一投足までアメリカにつつ抜けだった。

広島に8月6日、長崎に8月9日に原爆が投下された。ソ連は8月8日に日ソ中立条約の破棄を通告し、8月9日には大軍が満州に攻め込んだ。関東軍はもはや抵抗する能力を失っていた。

こうして8月14日御前会議で、ポツダム宣言受諾の聖断が下りた。

Gozen-kaigi_14_August_1945





出典:Wikipedia

最後まで戦うべきだと主張する阿南惟幾(これちか)陸軍大臣を中心とする陸軍の抵抗を、原爆やソ連参戦という事態が起きたこともあり高木惣吉ら海軍中心の和平派が押し切った。

天皇の玉音放送が流れた8月15日に阿南陸相は自刃し、象徴的な幕切れとなった。

ちなみにWikipediaの玉音放送の記事の中で、玉音放送自体の音声も公開されているので、興味がある人は聞いてほしい。

8月15日には天皇の声を録音した玉音盤を奪おうと陸軍のクーデターが起こるが、玉音盤は確保され、放送は予定通り流された。

しかし千島列島では戦争は続いた。最も有名なのは、カムチャッカ半島に一番近い占守島の激戦で、8月21日になって休戦が成立した。

スターリンはマッカーサーと並ぶ連合国最高司令官にソ連人を送り込もうとしたが、これはアメリカに拒否され、結局北海道の領有はできなかった。


歴史にIFはないというが…

長谷川さんはいくつかのIFを仮説として検証している。

1.もしトルーマンが日本に立憲君主制を認める条項を承認したならば?

2.もしトルーマンが、立憲君主制を約束しないポツダム宣言に、スターリンの署名を求めたならば?

3.もしトルーマンがスターリンの署名を求め、ポツダム宣言に立憲君主制を約束していたならば?

4.もしバーンズ回答が日本の立憲君主制を認めるとする明確な項目を含んでいたら?

5.原爆が投下されず、またソ連が参戦しなかったならば、日本はオリンピック作戦が開始される予定になっていた11月1日までに降伏したであろうか?

6.日本は原爆の投下がなく、ソ連の参戦のみで、11月1日までに降伏したであろうか?

7.原爆の投下のみで、ソ連の参戦がなくても、日本は11月1日までに降伏したであろうか?


歴史にIFはないというが、それぞれの仮説が長谷川さんにより検証されていて面白い。


日、米、ソの3カ国の一級の資料を集めて書き上げた力作だ。500ページ余りと長いがダイナミックにストーリーが展開するので楽しめるおすすめの終戦史である。


参考になれば投票ボタンをクリックしてください。


  
Posted by yaori at 01:09Comments(0)TrackBack(0)

2008年12月25日

サラリーマン再起動マニュアル 自分を差別化する「再起動」

サラリーマン「再起動」マニュアルサラリーマン「再起動」マニュアル
著者:大前 研一
小学館(2008-09-29)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

大前研一氏の自分を差別化する「再起動」のすすめ。

週刊ポストでの連載コラムを集めたものだが、次の目次のテーマに編集されており、ばらばらのコラムを集めたという印象はない。

イントロダクション 志のあるサラリーマンは、きつい仕事を厭わない

第1章 {現状認識}なぜ今「再起動」が必要か?

第2章 {基礎編} 「再起動」のための準備運動

第3章 {実践編} 「中年総合力」をつける

第4章{事業分析編}”新大陸エクセレントカンパニー”の条件

第5章 {メディア編} 「ウェブ2.0」時代のシー・チェンジ

エピローグ     新大陸の”メシの種”はここにある


最初に2008年春の日本電産永守社長の「休みたいならやめればいい」という物議をかもした発言が紹介されている。

「日本電産では創業から35年一度も人員整理はない」と雇用の維持が優先される考えを示した上で、「うちはまだ三,四合目。ワークライフバランスでゆっくりしたい人は他の会社へ行ったらいい」という発言だ。

「連合」などがこの発言に噛み付いたというが、大前さんはなぜこの発言が非難されるのかさっぱりわからないと語る。

永守さんの「人を動かす人になれ!」は、このブログでも紹介しているが、サラリーマン経営者にはないバイタリティある経営者だ。大前さんも講演をしばしばお願いしており、アンケートを取ると常に「もう一度話を聞きたい経営者」の上位にいるという。

永守さんは多くの会社を買収して、経営再建を実現しているが、永守流経営を導入することで最初はどこの会社も仕事は厳しくなるが、結果的に利益が上がり、それを社員に還元して給料を上げることで社員みんなから感謝されているという。

しかし仕事がきついところが、連合とかマスコミの非難を浴びている。

これが現代の風潮である。

今の日本の社会の中核である日本の30代ー40代の人口は男女あわせて3,500万人くらいいる。しかし大前さんはトラクション(駆動力)を感じないと語る。現状に危機感を抱いて戦闘意欲を持っている人は、15万人程度ではないかと。

「トラクション」という言葉を使う人は初めてだが、まさに適切な言葉だと思う。

バブル崩壊後日本はぬるま湯につかっていたせいで政府・企業・個人もたるんでおり、「フリーズ」状態だ。だから志あるサラリーマンにはチャンスであり、「再起動」してグローバルに通用する人材になれば世界中の企業で活躍できるのだと。

21世紀は見えない新大陸、バーチャルな世界での新しい経済が出現した。企業も個人もこの新大陸で生き残れなければ明日はない。そのための戦闘準備として、大前さんは様々な提案をしている。

特に印象に残ったものをいくつか紹介しておく。


できる人の共通点は「ハングリーでリスクテイカー」

マッキンゼー風採用は、面接官全員「○」でも不採用で、誰か一人でも「◎」(絶対に採用すべし)をつけていれば、他が全員「×」でも採用になるという。

大前さん自身が受けた採用面接でも一人だけ「◎」で、他は「×」や判定不能だったという。

大前さん自身が「◎」をつけて採用した人はディー・エヌ・エー南場智子社長など、マッキンゼーを卒業して成功している人が多い。

このブログでも紹介しているIBMのルイス・ガースナー元会長もそうだが、彼らはみなハングリーでリスクテイカーだという。

彼らは安住の地を見つけることよりも、死ぬまで自分の可能性をためすタイプであり、たとえ失敗しても「面白かった」といえる人生を求めている。

こういったタイプの人に安藤忠雄さん、デルのマイケル・デル会長などがいる。

これからの日本企業に必要な人は、構想力があり、将来の絵をはっきり描いて実行できる人である。事業構想が必要なのは5年後のライフスタイル像を考えて仕事をするためだ。

大前さんはブルーレイディスクには5年後の姿は見えないと語る。シネコンは生き残るが、家庭ではホームサーバーが5年後は主流となるだろうと。

構想力の話をするときに、大前さんはウォルトディズニーがフロリダのEPCOTセンター構想を説明するビデオを見せるという。そのビデオがYouTubeで見られるので、紹介しておく。

24分強と長いが、ウォルト・ディズニーが楽しそうに構想を説明している。

筆者が子どもの頃は、ウォルト・ディズニーは存命で、毎週金曜8時のディズニーアワーの初めと終わりにウォルト・ディズニー自身が登場して、ストーリーを紹介していたことを思い出す。




「再起動」のための準備運動

「再起動」のためには、新大陸で生き残る3つのスキルのFT(財務力),IT,LT(語学力)をつける必要がある。

時間のリストラをして「再起動」のための時間をつくり、30−40代が弱い英語力をTOEIC860点以上にするためのアイデアを紹介している。

海外旅行は「脳の筋トレ」なので、インターネットで事前調査を十分行ってから訪問することをすすめている。ただし先入観を持たずに現地を見ることが重要で、これにより見えなかったものも見えてくるのだ。

住居費、教育費、マイカーの三種のコストを削減する方法も提案している。


マッキンゼーの人材育成グリッド

マッキンゼーでは人材育成用に、横軸に勤続年数、縦軸に要求されるスキルを書いて年毎に育成していく人材育成グリッドを書いて管理するという。

たとえば縦軸にはコミュニケーション能力、プレゼンテーション能力、交渉力、チームをマネージする能力、部下を育てる能力などだ。

そして入社時に5年後にも在籍する可能性は20%であることを告げられるという。毎年20%の人員がカットされるのだ。


「中年総合力」をつける

この本の中心テーマである「再起動」のために、大前さんは「中年総合力」をつけろと提案する。

「インプット力」ではGoogleの時価総額が17兆円になったことを紹介し、インプット力の重要性を語る。

大前さんの3つのインプット術は1.ネットに掲載されている新聞記事のRSSによる収集、2.BBT大学院大学のクラスディスカッションなどを通じての様々な人からのインプット、3.自分の足で歩き回るインプット、MBWA(=Management By Walking Around)である。

できる人になるためには、アンテナを全方位に張っておいて、頭の中にワインセラーのような情報の整理だなを構築するのだ。これが出来る人は、「おぬし、やるのう」という感じだと。

頭の中のワインセラーとは面白い表現で、言いえて妙である。

「中年総合力」とはゼネラリスト能力であり、大前さんはT型人間、あるいはΠ(パイ)型人間となれと語る。つまり一本あるいは二本深い専門分野と、広いゼネラリストとしての知識の総合力だ。

世の中の森羅万象に興味を持って常に勉強する努力が重要だ。

そして自分の前後15歳の年代を研究する。プラス15歳はなりたくないモデル、マイナス15歳は新大陸時代の若者とつきあい、いかに戦力化していくかを考えるためだ。


発想力向上には右脳を刺激せよ

大前さんはいつも進行方向に向かって左側の窓際の席に座って、窓の外の光が左目に入って右脳を刺激して、良いアイデアが浮かぶのだと。

今までこんなことを意識したことがなかったが、これからは左目で見ることを意識してやってみようと思う。


新大陸エクセレントカンパニー

新大陸エクセレントカンパニーとして、多くの会社の例が紹介されている。

IBMのパソコン事業のレノボへの売却は象徴的だという。

コモディティ化したビジネスにはうまみはない。既存のものを"do more better"(改善)するのでなく、現状を否定してブレークスルーを見つける能力が求められているのだと。

1.デル 
  デルを訪問して大前さんは驚いたという。会社のためにシステムがあるのではなく、システムの上に会社がある。それらはCRMSCMERPだ。カスタマーサービスオペレーターが苦情受付のみならず、注文受付そして発注まで行うすべての贅肉をそぎ落としたシステムである。

2.シスコ
  シスコ製品の故障は7−8割がソフトウェアなので、オンラインで自動診断して、ネット経由で修理してしまうシステムをつくっている。これによりサービス要員は最小限に抑えられている。

他も贅肉をそぎ落としており、14,000人の従業員に対し、総務部は数人で、経費精算などもアメックスにアウトソーシングしているという。

3.スペインのZARAブランドのインディテックス
  本社の隣の工場と倉庫で、世界2,000店向けに注文を受け付けたら48時間以内に出荷する体制をとっているので、店の在庫は持たなくて良い。

新製品は2週間で店まで届けるので、その時点で流行しそうな商品、流行している商品をつくればよいので、流行を予測する必要がないという。

  アパレル界のデルと大前さんは呼ぶ。これに比べれば中国での大量生産が主体のユニクロはまだWeb 1.0企業だと。

4.中堅スーパーのヤオコー、イズミ、ヨークベニマルなど
  経営者の現場感覚がすぐれており、消費者の金の使い道をするどくキャッチし、それに応じて地域別、店舗別に商品をクリエートする「生活提案力」をつけ、高収益を達成している。

  世界の流通業では、ウォルマートとカルフールが電子調達に熱心で、世界各地から直接仕入れている。

電子調達を駆使すれば製品の仕入れコストは半額以下になることもあるが、見えない相手から買うことは信用情報やパフォーマンスで相当のノウハウを持っていないとできない。

5.iPodもWiiも独占製造する台湾の「鴻海=ホンハイ」
  世界最大のEMS「鴻海」はiPod、Wii、iPhone、パソコンから携帯電話まで話題の商品をみんなつくっている。

鴻海は金型技術に優れ、金型製造設備と技術者を大量に社内に保有して24時間体制で運用している。自社で設計から製造まで手がけ、客先がコンセプトを持ち込めば、普通なら数ヶ月掛かる試作品を1週間で仕上げてくるという。

台湾企業は日本、台湾、韓国、中国を知り尽くし、日本語、英語、そして中国語ができるので電機業界では世界最強だ。情報家電では日本が材料の2/3、製造設備の1/2、基幹部品も1/3抑えているので、日本企業を知る必要があり、まだまだ中国企業は台湾企業には追いつけないという。

6.パナソニックは2007年4月から3万人が在宅勤務
  方向性としては良いが、情報セキュリティ・個人情報保護の問題が指摘されている。この金融危機後は、在宅勤務がどうなるか注目されるところである。

7.ヨーロッパのライアンエアー
  ヨーロッパのライアンエアーは予約はネットのみ、着陸料の高い空港は避ける、預ける荷物は15キロまで、超過分は1キロ当たり8ユーロといった徹底的なコスト削減により、最安値は税金・諸費用除いて片道1ポンド(地下鉄よりも安い)を実現しているという。


ウェブ2.0時代のシー・チェンジ

140px-Tokyo_Sky_Tree_-_Silhouette_%26_Cross_section
シー・チェンジとはホーン岬を抜けて、荒れた大西洋から静かな太平洋に出たマゼランが叫んだ言葉ではないかと大前さんは言う。同じ海だが、全く異なる。これをシー・チェンジと呼ぶ。

ウェブ2.0も使っている機器は同じだが、利用法・ボリュームが異なる。

大前さんはデジタル化でテレビ局は死を急いだと語る。民放の広告費依存ビジネスが崩壊する可能性が高いからだ。

米国ではTiVoが普及し、2割以上の家庭が使っているという。CMスキップ機能があり、HDDに録画するので、月額13ドル弱でいつでも見たいときに見られるのだ。

デジタル時代にテレビが生き残る形はGyaoのような広告モデルか、オンデマンドの有料モデルだが、無料のYouTubeに放送直後から紅白歌合戦のビデオがアップされる時代なので、デジタル時代に有料化で大きく儲けることは難しい。

NHKオンデマンドも放送翌日から最大10日間配信するというが、放送直後からYouTubeに載るので、まったく意味がない。

日本のデジタル化投資の1兆円、総工費500億円の東京スカイツリーもYouTubeの前に無用の長物、バベルの塔となるだろうと大前さんは予測している

56社が参加し、300億円を掛ける日の丸検索エンジン(情報大航海プロジェクトは笑止千万であると。56社もいると身動きがとれないし、「B29を竹やりで落とす」ようなものであると酷評している。だいたい官民相乗りプロジェクトは死屍累々なのだと。


あらゆる企業は広告宣伝戦略を変えよ

テレビ、ラジオ、新聞など既存媒体広告の費用対効果は悪い。

ネット広告も検索上位に打つ検索連動型広告や成果報酬型ならともかく、バナー広告などのクリック率は落ちてきているという。

このブログでもサイバーエージェントの藤田晋さんの本を紹介しているが、大前さんはこのままでは、伝統的な広告代理店の業務をネット化しただけのネット広告代理店の将来はないだろうと予測する。

ウェブ2.0時代では、すべての会社が自分でネットの世界からSEO等でお客さんを見つけてくる努力をしなければならない。

売上げを伸ばすには、過去に自分の会社を利用したお客さんをデータベース化して、属性を分析し、対象を絞り込んでナローキャスティング、ポイント・キャスティングすればよいのだと。

グーグルはダブルクリック買収などから見ても広告ビジネスを独占することを狙っていると思われ、ショッピングもグーグルチェックアウトを利用してAPIを公開して拡大する戦略のようだ。

検索サイトがショッピングサイトになることを目指しているのだ。これに対抗してアマゾンが総合サイト化を目指しているが、その狙いはグーグル対策だ。

米国では楽天のようなモールはなく、個別マーチャントのサイトが巨大化している。アマゾンも様々な商品のポータルを作って、巨大化することでモール化しようとしている。


新大陸のメシの種

新大陸のメシの種として、健康な高齢者向けのビジネス、一人暮らしの孤独(3割が独身)を癒すビジネス、死にまつわる産業などが伸びることを予測している。

クルマも高級ブランドにも興味のない「物欲喪失世代」にモノを売るのは至難の業なので、健康な高齢者がターゲットとなってくるのだ。


アイデアの使いまわしがなく、新鮮なアイデアがとめどなく出てくるには感心する。簡単に読めるので、まずは手にとってページをめくって欲しい。


参考になれば投票ボタンをクリックしてください。





  
Posted by yaori at 01:28Comments(0)TrackBack(0)

2008年12月23日

アルゼンチンを知るための54章 親日国アルゼンチンの現状

アルゼンチンを知るための54章 (エリア・スタディーズ)アルゼンチンを知るための54章 (エリア・スタディーズ)
著者:アルベルト 松本
販売元:明石書店
発売日:2005-09
クチコミを見る

先週、著者のアルベルト松本さんと鶴見にある「ラ・エスタンシア」というアルゼンチンレストランでお会いした。

La estancia






アルベルト松本さんは,アルゼンチン生まれの日系二世で、アルゼンチンの大学卒業後日本に留学で来られ、現在は翻訳会社を経営されている。

この本はアルゼンチンの政治・歴史から市民生活や文化まで紹介した入門書で、1978年から1980年までアルゼンチンに駐在し、最後にアルゼンチンに行ったのが1998年という筆者が記憶をリフレッシュし、最近の事情を知るには最適な本だった。

2005年9月の発行だが、直近の政治・経済情勢は、在アルゼンチン日本大使館のホームページに月報が掲載されている。

世界金融危機の影響を受けてトリプル安(株安、国債安、ペソ安)が起きているようだが、2008年のGDP成長率は7%で失業率は7.4%と、ひところよりはだいぶ改善している。

ところで「ラ・エスタンシア」には、筆者のアルゼンチン駐在時代の留学生・トレーニー仲間数人と初めて行った。

「ラ・エスタンシア」の料理はアルゼンチンの肉料理を思わせる本格派で、塩だけの味付けのビーフステーキやソーセージ、モルジージャと呼ばれるブラッドソーセージなども大変おいしい。

400グラムのビーフステーキコースも1,800円と値段も格安だ。

ステーキには目玉焼きがついていて、アルゼンチンの"bife al caballo"(英語で言うと"beef on the horse"、つまり「馬に乗った牛」)になっているのも良い。

ワインも3,000円前後のアルゼンチンワインを取り揃えていて安くておいしい。

何より良いのはアットホームな雰囲気で、お客同士の交流があること。ひさしぶりにスペイン語を使った。

この本の著者のアルベルト松本さんのほかに、アルゼンチン大使館の領事部の人やNHKラジオのスペイン語講座の講師のビビアナさんなどが来られていた。

アルゼンチン大使も3回ほど来られたそうだ。

ビビアナさんは、アルゼンチンの商品を売るj-linksという会社のサイトで、ビビアナのおすすめ商品というページも持っている。

viviana shop






ビビアナさんは、ビビアナ・マルビーナ・ソサという名前で、マルビーナとは1982年のフォークランド紛争で一躍有名になったフォークランド諸島のアルゼンチン名だ。

「ラ・エスタンシア」でインカというブランドのピノノワール種のワインを飲んだが、安くて大変おいしかった。アルゼンチンはマルベック種のぶどうがメインだが、アルゼンチンでも安くておいしいピノワインがあることを初めて知った。

このワイナリーはアルゼンチンワインの最大の産地のメンドサ州ではなく、北部のサルタ州にあり、フライングワインコンサルタントとして有名なミッシェル・ローラン氏夫妻が持っているブドウ畑の隣にあるという。

安旨ワイン請負人の肩書きで世界中でワインコンサルタントを引き受けるヒュー・ライマン氏が全面監修!インカ バルベーラ・メルロ Inca / Barbera Merlot 750ml
安旨ワイン請負人の肩書きで世界中でワインコンサルタントを引き受けるヒュー・ライマン氏が全面監修!インカ バルベーラ・メルロ Inca / Barbera Merlot 750ml

アルゼンチンに興味がある人に一般知識としておすすめの本である。


参考になれば投票ボタンをクリックしてください。


  
Posted by yaori at 00:08Comments(0)TrackBack(0)

2008年12月21日

ミシュランガイド東京 2009 縁遠さは相変わらず

ミシュランガイド東京2009 日本語版ミシュランガイド東京2009 日本語版
販売元:日本ミシュランタイヤ株式会社
発売日:2008-11-21
おすすめ度:3.5
クチコミを見る


発売前に図書館で予約して、予約順位1位で手に入れたミシュランガイド東京2009年版。

昨年出た2008年初版と比較して厚くなり、ホテルも大幅に増えている。

星付レストランの数は173店となった。

3つ星 8 → 9
2つ星 24 → 36
1つ星 118 → 128

Yahoo!グルメでミシュランガイド東京2009特集という特集ページがあり、星がついたすべてのレストランをYahoo!グルメのページへのリンク付で紹介している。

3つ星のレストランは「石かわ」という日本料理が1軒増えて、8店となっている。

アメックスのブラックカードやプラチナカードなどのコンシェルジェサービスは、普通では予約の取れない店の予約を取ってくれるサービスで有名だが、ミシュランガイドを見ていると現金払いしか受け付けない店が案外多いのに気がつく。

クレジットカードを使えない店では、さすがのアメックスの年会費37万円のブラックカードでも神通力はないだろう。

昨年に続けての3つ星となったすしの「すきや橋次郎」も現金払いのみだ。

NHKの「プロフェッショナル仕事の流儀」で今年の初めに紹介されていたので、プロの寿司職人の技の極みの好例だと思っていたが、Yahoo!グルメのクチコミでは散々の様だ。

NHKの番組もあり期待が大きいせいか、昼でも夜でもおまかせで3万円という値段や、常連を特別扱いし一見客には愛想のない接客態度に失望したというコメントが多いようだ。

Yahoo!グルメのクチコミはネットの匿名性を反映していて悪口が多いので、割り引いて考える必要があるが、「すきや橋次郎」のクチコミを読んでいて自分向きのすし屋ではないと感じた。

世の中にはいいすし屋はそれこそ星の数ほどある。

ミシュランガイド2008年版のあらすじでも書いたが、東京で筆者の好きなのは築地の魚河岸横丁の大和寿司(だいわずし)だが、営業時間が朝5時半から午後1時半だし、予約はできず1時間程度は並んで待たなければならないことから、観光客向けではない。

次回紹介する「サラリーマン再起動マニュアル」で書いてあったが、大前研一さんの行きつけも築地の大和寿司と神田江戸っ子寿司だという。

サラリーマン「再起動」マニュアルサラリーマン「再起動」マニュアル
著者:大前 研一
販売元:小学館
発売日:2008-09-29
おすすめ度:3.5
クチコミを見る


edokkosusi






筆者が昔から好きなのは沼津の魚河岸にある双葉寿司だ。

futabazusi






双葉寿司は、筆者が学生時代の昭和40年代、今のビルが出来る前の魚河岸の中の売店の一つだったときから通っている。

お金をいくらでも掛けて寿司を食べるのはあまり能がないと思う。

たとえば東京の小田急線沿線の人には知られている梅が丘の美登利寿司。たまたま梅が丘で仕事があり、昼食に850円(!)のコースを食べたが、いわゆる1.5人前でサラダ、汁、茶碗蒸しとデザートまで付いており、人気があるわけがわかった。

midorizusi






大和も双葉もおまかせ、あるいは特上の1人前ならどちらも3,000円程度で食べられる。

コストパフォーマンス重視の筆者のような人間には、いよいよ縁遠いようなミシュランガイドだが、唯一歓迎なのは「うかいグループ」のレストランが増えたことだ。

筆者は家族の誕生日などのイベントでは、うかいグループの多摩地区や神奈川県にあるレストランをよく利用するが、コストパフォーマンスも良く満足度は高い。

うかいグループの宣伝をするわけではないが、2008年版ミシュランガイドではとうふ屋うかい銀座うかい亭が星一つで載ったが、今回は表参道うかい亭も登場している。

郊外にあるうかいリゾート横浜うかい亭などは、雰囲気といい、料理の質と価格のバランスといい都内のうかい亭を上回るレベルの店ばかりだ。

ukai resort






ukai yokohama






特に高尾山にあるうかい鳥山は外国人を連れて行っても大変喜ばれる。

ukai toriyama






ミシュランガイドから脱線したが、ミシュランガイドに載っていなくても良いレストランは東京にごまんとある。

Yahoo!グルメのクチコミなどを見ると、むしろミシュランガイドに載った事から、予約が殺到しサービスが低下してしまった店が多い様に思える。

ミシュランガイドは当然のことながら、フランス語でも英語でも出版されている。その意味で、あくまで東京を訪問する外国人ツーリスト向けの情報としてみるべきであり、それゆえ都心の店しか紹介されていない。

Michelin Guide 2009 Tokyo (Michelin Guides)Michelin Guide 2009 Tokyo (Michelin Guides)
販売元:Michelin Travel Pubns
発売日:2009-03-15
クチコミを見る


「すきや橋次郎」も日本人の一見客には冷淡の様だが、外国人の一見客には案外愛想が良いのかもしれない。

日本人ならミシュランガイドを参考にして、ネットで検索してクチコミで評判の良い店を探して行くという使い方をすべきだと思う。

ともあれ2008年版に続き、見ていて楽しい本だ。おすすめできるが、ミシュランガイドが万能ではない。むしろミシュランに載ってしまった店は、サービス低下など逆効果もありうる。

そのことをわかった上で、レストランの利用をおすすめする。


参考になれば次クリック投票して頂きたい。








  
Posted by yaori at 20:25Comments(0)TrackBack(0)

2008年12月19日

わが友、恐慌 金鉱山オーナー松藤民輔さんの近著

わが友、恐慌──これから日本と日本人の時代が訪れる8つの理由わが友、恐慌──これから日本と日本人の時代が訪れる8つの理由
著者:松藤 民輔
販売元:講談社
発売日:2008-07-31
おすすめ度:3.0
クチコミを見る


このブログでも「無法バブルマネー終わりの始まり」と「マネーの未来、あるいは恐慌という錬金術」を紹介しているアメリカで金鉱山を保有している松藤民輔さんの近著。

2008年7月30日に発刊されている。

松藤さんはブログ「松藤民輔の部屋」や、メルマガの牛之宮ウィークリーを公開しており、それらの記事を題材ごとにまとめたものの様だ。

目次は次の通り:

第1章   僕たちが生きる世界
第2章   バベルの塔とマーク・アリムラ
第3章   ブラックマンデーと天才エリック・スプロット
第4章   悲劇と革命
第5章   紀伊国屋文左衛門とタミーの賭け
第6章   凡人と天才
第7章   日本の錬金術
第8章   都市鉱山とリサイクルジャパン
エピローグ 常識では考えられない物語

松藤さんは、1955年福岡に生まれ、明治大学卒業後、1980年に日興証券に入り、久留米支店に勤務、1982年にメリルリンチの試験を受けて合格し、1986年からはソロモン・ブラザースでトレーダーとして活躍、億の収入を得ていたが、1993年に株式会社牛之宮を設立、金投資に専念する。

アメリカネバダ州に金鉱山を所有している。

船井総研の船井幸雄さんのホームページに松藤さんのことが紹介されている。

この本では当時のナンバーワントレーダー シュガー明神さんはじめ、ソロモン・ブラザースのトレーダーはランボルギーニやフェラーリ、ジャガーなど何台も持っていて年収数億円稼いでいた話なども紹介されている。

金融危機以降、今はこういったトレーダーたちがどうなったのかよくわからない。

都内でフェラーリやポルシェなどを時々見かけるのでIT企業の社長などが乗っているのかと思っていたが、あるいは外資系証券会社のトレーダーもいるのかもしれない。

LTCMをつくって倒産させたジョン・メリウェザーなどはソロモン時代は年収100億円、ゴルフはハーフ30台、40歳でソロモン・ブラザースの副社長というスーパーとレーダーで、彼のチームメンバーは20才台で10億円貰っていたという。

マネックス証券の松本大CEOも松藤さんのソロモン時代の同僚だ。

ブログやメルマガの記事をまとめたものなので、一つのテーマを深く掘り下げる記事はないが、簡単に読めて参考になる。

たとえばソロモンがオプション取引を発明したのは、文化のゆがみに注目したのだという。

日本の銀行融資はいつでも返せるというのが日本の慣行だったが、これを組み替え、期限前に返済する権利をオプションとして販売したら成功したのだという。

ソロモン時代は、松藤さんは3−4人の顧客とのビジネスで億の年収があったという。塩野義製薬の塩野社長、阪和興業の北茂さん、摂津板紙の西川常務などだという。

「歴史を知らない人間は人ではない。豚にすぎない」というイギリスの格言があるという。歴史を研究すると、いくつか相場の定石があるという。たとえば:

*銅が暴落すると革命が起こる。松藤さんは中国で革命が起こるのではないかと思っているという。

中国では2年間で3,500万人が株式投資したというが、バブルが崩壊し、だれが責任を取るのだろうと。

*金/銀比率が100に向かっているときは恐慌が起こるという。

田中貴金属のホームページによると、最近の金/銀比率は70を超えている。

松藤さんは金投資家なので、蒔絵や、都市鉱山などの話題が面白い。蒔絵は金を含んでいるが、将来世界で注目される芸術品になるだろうと松藤さんは予測する。

金鉱石1トンに含まれる金はせいぜい50グラムだが、携帯電話1万台を集めると金200〜300グラムが回収できるという。これが都市鉱山である。

世界中で廃棄された製品をかき集めると金6,800トン、銀6万トンが回収でき、これは世界の埋蔵量のそれぞれ16%、22%だという。液晶に使われるインジウムなどは、埋蔵量の61%になるという。

日本は都市鉱山をうまく利用することで、どこの産出国よりも多い資源を回収できるという。

松藤さんはここ15年間恐慌を待っていたという。この瞬間になすべきは、金への投資又は金鉱山への投資だという。金がさらに高騰するチャンスがやってきたとワクワクしていると。

是非バスに乗って欲しいという。

以前も書いたが、筆者は1979年から1980年の1年強という短期間に金に投資し、1オンス=200ドル台で買ったメキシコ金貨を1オンス=650ドル換算で売って儲かった経験がある。

しかし金相場はその後20年以上鳴かず飛ばずだった。1980年に売っていなければ、結局その後20年間は売るタイミングがなかったということだ。

gold price







現在は800ドル程度に上がっているが、1980年前のときの様にまた300ドル前後に下落する可能性もあるのではないかと感じている。

しかしこれは筆者の直感であり、理論的に金相場を分析したわけではない。


金相場投資に興味ある人には参考になると思う。

簡単に読め、参考になる部分も多い本である。


参考になれば次クリック投票お願いします。


  
Posted by yaori at 12:38Comments(0)TrackBack(0)

2008年12月16日

強い円は日本の国益 ミスター円榊原さんの円高政策提言

強い円は日本の国益強い円は日本の国益
著者:榊原 英資
東洋経済新報社(2008-09-04)
販売元:Amazon.co.jp

1995年から4年間大蔵省財務官をつとめ、ミスター円と呼ばれた榊原英資さんの円高政策提言。

榊原さんは最近「政権交代」「日本は没落する」など、一連の著書を出し積極的に情報発信している。

ピッツバーグ大学に留学経験もあり、ピッツバーグ駐在だった筆者の先輩でもある。

没落からの逆転―グローバル時代の差別化戦略没落からの逆転―グローバル時代の差別化戦略
著者:榊原 英資
販売元:中央公論新社
発売日:2008-06
クチコミを見る


「没落からの逆転」は榊原さんの歴史観をもとに日本の今後を議論するもので、司馬遼太郎の明治賛美を否定するなど、多くが歴史論に費やされており、榊原早大教授の授業を受けているような内容だ。

前作にはやや違和感を感じたが、この「強い円は日本の国益」はまさにミスター円と言われた榊原さんの本領発揮という感じだ。

ただし榊原さんが大蔵省財務官時代にミスター円と呼ばれた1995年から4年間は、円高是正のために協調介入で応じたものだが、今は円高を国家として目指すべきだと論陣を張る。


この本の目次

この本の目次が良くできているので、紹介しておく。

序章  どうして、今、円高政策なのか
    戦後日本の転機は安保騒動とプラザ合意
    情報化、資源の稀少化の時代へ
    工業大国から環境・農業重視へ

第1章 21世紀の世界経済
    同時に進む先進国の成熟と新興国の産業化
    ポスト近代化へと脱皮できない日本
    農業・エネルギー産業育成には政府の力が必要
    インフレ、所得格差の拡大、そのなかで日本は

第2章 1ドル360円から79円へ
    ドッジが一人で決めた1ドル360円
    ドル安容認か、ドル防衛か、揺れるアメリカ政府
    ルーブル合意後もドルは続落
    為替を通商政策に使った第一期クリントン政権
    超円高反転への積極介入

第3章 日本の製造業の成熟
    内部化された労働・金融市場
    メインバンク・システムの変貌
    プラザ合意後の混乱と調整
    日本経済再設計の十年

第4章 ドルとユーロ ー ドル安は続くのか
    戦争の歴史を超えて実現したヨーロッパ統合
    壮大な夢だったユーロ誕生
    ドル対ユーロは安定しても、ドル下落は続く

第5章 円安バブルの形成と崩壊
    政策がもたらした円安バブル
    長すぎたゼロ金利
    前代未聞の巨額・ドル買い介入
    「価格革命」下での金融政策とは

第6章 アジアの世紀は来るのか
    中国・インドの台頭で資源問題が顕在化
    アジア諸国間で資源獲得争いも
    資源・食糧問題で日本ができること
    日本の農業政策の長所をアジアで活かす

第7章 構造改革と円高政策
    売るシステムから買うシステムへ
    オール・ジャパン体制で資源確保を急げ
    強い円が日本を甦らせる
    円高による産業構造転換
    低金利・円安バブルの是正は日銀の責任
    強い円は日本の国益


安保騒動とプラザ合意

榊原さんは戦後日本のターニングポイントとして、1960年の日米安保騒動と1985年のプラザ合意を、故宮澤喜一首相が挙げていたことを引用している。

1973年1月からの円ードル相場の推移を見るとプラザ合意がその後の日本経済の道を決めたという宮澤さんの言葉は、うなずけるものがある(日本銀行のデータに基づいて筆者が作成)。

yen-dollar





戦後の円相場は1944年のプレトンウッズ協定下の1ドル=360円からスタートし、1971年のニクソンショック直後のスミソニアン協定で308円となり、1973年から変動相場制に移行した。

この本ではそれぞれのレート決定の舞台裏が描かれていて興味深い。

それから円は1978年に170円台まで上昇した後は200円前後で変動した。

余談ながら筆者の最初の海外駐在はアルゼンチンで1978年7月から1980年7月までだったが、赴任したときは1ドル=190円前後だったのが、帰任したときは220円程度だった。途中で車を買うために日本から送金したが、このレートが170円台だったので、為替では得をした記憶がある。

一番利益が出たのは金投資だった。

アルゼンチンではインフレが150%とかだったので、ペソで貰った給料はすぐに金に換えていたが、ちょうど時期が良かったので1オンス=200ドル台で10枚ほど買ったメキシコ金貨が、当時のピークに近い1オンス=650ドルで売れて大変儲かった。

1978年のアルゼンチン駐在時代の最初の給与が1,000ドル以下(住宅費は別)だったことを思うと、当時の給料は本当に安かった。

1985年9月のプラザ合意前には240円前後だった円相場は、1985年末には200円まで上昇、プラザ合意後1年間で半分の120円台となり、1995年の79円まで10年間で対ドルレートは1/3になるという長期的円高トレンドとなった。


円高の流れを変えたミスター円

この長期円高の流れを変えたのが榊原さんだ。

1995年以降円高が是正されたのは、榊原さんがミスター円として陣頭指揮した介入による円安誘導と、このブログでも回顧録を紹介しているルービン財務長官が「強いドルは国益にかなう(A strong dollar is in our interest)」と言い続けたからだ。

それから円は120円を中心に上下20円前後のボックスレンジで最近まで推移していた。


強い円は日本の国益にかなう

榊原さんはこれから天然資源はますます稀少化し、工業製品との価値が逆転する。だから今までの輸出優先の円安メンタリティでなく、円高政策に転換しなければ日本は生き残れないと力説する。

この本の出版(2008年8月)以降、世界金融危機を機会に円相場は90円台に上昇し、そして12月11日には13年ぶりに80円台をつけた。

対ドルだけでなく、ユーロなどの他通貨に対しても円は強くなっているので、まさに榊原さんがこの本で提唱している「強い円」の局面に変わってきた。ここ10年間の円とユーロ、英ポンド、豪ドルとの相場推移は次の通りだ。

euroyenpoundyenaudyen

出典:Yahoo! Finance

日本の一人当たりGDPが2006年に世界18位に落ちたのも、円ベースのGDPが横ばいなこともあるが、円がほとんどの通貨に対して弱くなったことが原因の一つだ。

GDP3








榊原さんの介入手法

榊原さんが財務官に就任した1995年以前の為替相場介入は、いわゆるスムージングと呼ばれる急速な変動をゆるやかにするものだったが、榊原さんは1ドル=79円まで進んだ急激な円高を円安に戻す「秩序ある反転」を実現した。

その手法はサプライズ介入だった。

まず前提条件として「日本版ビックバン」を行い、日本の外貨規制をほとんど撤廃して市場を自由化して環境をつくっておいた後、日米のみならず日米独協調介入を市場の予測に反して行うことで市場に恐怖心を抱かせ、それ以降は「口先介入」で市場をコントロールした。


日本再構築の10年

ボストンコンサルティンググループ初代日本代表で経済評論家のジェームズ・アベグレンは「新・日本の経営」で、1995年から2004年までの10年間を「失われた10年」や「停滞の10年」と呼ぶのは間違いであり、その間に日本の再構築が行われた「再構築の10年」と呼ぶべきだと語っているという。

新・日本の経営新・日本の経営
著者:ジェームス・C・アベグレン
販売元:日本経済新聞社
発売日:2004-12-11
おすすめ度:4.5
クチコミを見る


この10年の間で、日本の企業は1970年代のオイルショックのときよりも大きく変わり、19あった都市銀行は4グループに再編、石油業界は14社から4社、セメントは7社から3グループ、鉄鋼大手は5社から4社になった。

最近発表された新日石とジャパンエナジーの経営統合など、まだ統合は続いている。

日本企業は財務や事業規模では劇的な転換を遂げるが、終身雇用面では基本は変わっていないとアベグレンは指摘する。その意味では日本企業は成熟期に入ったのではないかと榊原さんは語る。

現在世界は巨大な転換期に入っているので、先行きはまだ見えないが、少なくとも世界規模になった日本企業の競争力は強化されていることは間違いないだろう。

榊原さんの本にはまだ書かれていないが、今回の世界金融危機で日本企業のダメージは小さかった。日本再構築の10年を経て、これからは日本企業が攻勢に出るチャンスだと思う。


壮大な夢だったユーロ誕生

ヨーロッパ共同体構想は、フランスのジャン・モネが提唱した1951年の石炭鉄鋼共同体からはじまり、ヨーロッパ原子力共同体、そして1958年のEEC(ヨーロッパ経済共同体)に進み、1992年のマーストリヒト条約、1999年のユーロ誕生とつながる。

榊原さんはユーロの誕生を高く評価しており、この部分も面白い読み物となっている。


「円安バブル」をつくりだした小泉政権

この本が書かれた2008年9月の時点でロンドンの地下鉄の初乗りは4ポンド=800円であり、榊原さんはいかに円安で日本人の購買力が落ちているかを指摘し、これを「円安バブル」と呼ぶ。

(もっともこのロンドンの地下鉄の初乗り800円というのは裏があることは別ブログのポイントマニアのブログで説明したので、参照して欲しい。要はICカードを使わせるために現金価格をICカード価格の3倍弱に政策的に設定しているのだ。現在のポンド=135円をベースにするとICカードでの初乗り1.5ポンド=200円で、今は日本とあまり変わりなくなっている)

この円安バブルを作り出した原因は、小泉政権時代の2002年から2007年までのゼロ金利政策と2002年から2004年までの巨額のドル買い介入だと榊原さんは指摘する。つまり政策円安バブルなのだと。

ゼロ金利政策は巨額の円キャリートレードを生み、世界中の投資資金源となり株式や商品市況上昇の要因となった。

筆者は気がつかなかったが、日本の財務省は2003年5月から2004年3月までの1年弱で35兆円もの巨額のドル買い介入を行っている。これは榊原さんがミスター円といわれた1995年の介入額6兆円を大きく上回る史上最大の介入だった。

結局グリーンスパン議長が2004年3月2日に日本は介入をやめるべきだと語り、3月16日以来ずっと日本の介入は行われていないという。

この介入の意味は何だったのだろうと思わせるストーリーだ。


21世紀は天然資源争奪の時代

最後に榊原さんは、21世紀は中国・インドが台頭し、天然資源奪い合いの時代となると予想する。この時代に人口で劣る日本が生き抜くためには円高を利用して「売るシステム」から「買うシステム」への転換を図るべきだと語る。

東南アジアへの製造移転による産業構造転換を推し進め、日本国内は高付加価値の製品生産、高効率のエネルギー利用と再生エネルギー利用に転換する。

稀少価値の増す資源を確保するためにオールジャパン体制で臨み、農業の生産性を上げ、高度化農業を実現すべきであると。

参考までに、主要な天然資源の可採鉱量がたしか松藤民輔さんの本に書いてあったので、次にまとめておく。

勿論これから稀少性が高まり価格が上がると、経済的に開発できる鉱量が増えたり、新しい資源が発見されたりするので、今後増える可能性もある。またあまりに資源が少なくなると、逆に代替が進み使われなくなってしまう天然資源もあるかもしれない。

いずれにせよ可採鉱量は案外少なく、数十年などすぐに経ってしまうのでメタンハイドレートなどの新エネルギーや、代替エネルギー開発が急務であることが理解できると思う。

石油   41年
天然ガス 63年
石炭  147年
錫    22年
亜鉛   22年
銅    30年
ニッケル 41年
鉄鉱石  95年


購買力がなくては日本は世界で生き残れない。今や多くの日本の製造業は輸入と輸出をバランスさせ、為替ニュートラルを達成している。欧州諸国がユーロ高でも業績好調なのは、域内取引が7割程度を占め、為替ニュートラルとなっているからだ。

アジアでは中国とインドが台頭してくるのは間違いない。しかし通貨高(円高)と資源安を活用すれば、再び日本がアジア経済の中心となり、日本円がアジア経済圏での機軸通貨を目指すことも可能だろう。


今回の世界金融危機は日本にとって大きなチャンスだ。今何をすべきか示唆を与えてくれるおすすめの本である。


参考になれば次クリック投票お願いします。


  
Posted by yaori at 00:29Comments(0)TrackBack(0)

2008年12月13日

一生太らない体のつくり方 看板に偽りなし

一生太らない体のつくり方 東大石井教授の新著 看板に偽りなし


一生太らない体のつくり方一生太らない体のつくり方
著者:石井 直方
エクスナレッジ(2008-01-17)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

スロトレでテレビにしばしば登場する東大石井直方教授の新著。この本は「生活習慣病予防のための運動指導」というテーマで、各地で講演した内容をとりまとめたものだ。

スロトレは20万部以上のベストセラーとなっており、アマゾンの人気ランキングでも上位に入っている。

スロトレスロトレ
著者:石井 直方
販売元:高橋書店
発売日:2004-06
おすすめ度:4.5
クチコミを見る


筆者も試してみたが、看板に偽りのない太らない体つくりの理論と実践がわかる有益な本だ。筆者が読んでから買った今年5冊目の本である。

実は筆者は9月にヨーロッパに出張して、2ー3キロ体重が増えたので減量を心がけていた。

朝食をバナナとシリアルをかけたヨーグルトにしたり、仕事で忙しい時は週に何日かは昼食を思い切って抜いたりして、なんとか落とそうと思ってトライしていたが、効果が上がらず、どうもおかしいと感じていた。

ウェストは変わらず、なかなか体重が減らないのに、脚のももや太ももが細くなってきた様な感じで、ズボンの脚の部分がゆったりしてきた様な気がするのだ。

筆者は学生の時は1年後輩の石井教授と全日本パワーリフティング大会で一緒に表彰台に昇ったこともあり、スクワットは最高220キロを挙げていた。

当時の太ももの太さは64センチくらいで、既製服は太ももが入らず着られなかった。

会社に入ってラグビーを始めたが、あまり重いバーベルを持たなくなったので、徐々に太ももが細くなり、10年くらい前からは既製服が着られるようになった。

経済的で良かったと思っていたのだが、最近太ももがさらに細くなったような気がして測ってみたら57センチになっていた。

まだ普通の人よりは相当太いが、昔の64センチに比べると、もはや普通の人に近いと言った方が良いと思う。

週1回の1.5キロくらいの水泳は欠かさずやっているが、筋力トレーニングは最近やっていなかったので、急激な食事制限ダイエットで筋肉が落ち、体重が減らない体になっていたことが、この本を読んでわかった。

この本で石井教授は食事制限だけのダイエットは筋肉を減らしてしまうので、リバウンドが起きやすく、たとえ元の体重でも筋肉量は減って基礎代謝は落ちているので、「痩せにくい体」をわざわざつくり出していると説く。

むしろ何もしなかった方が良かったのだと。

30歳を過ぎると、年に1%くらい筋肉量が落ち、それによって基礎代謝が落ち、体に溜め込まれる脂肪が増える。

それに加えて、食事制限ダイエットで血糖値が下がると、糖質を補給しようとして、コルチゾールというホルモンが副腎から分泌され、肝臓と筋肉から糖質を補給する。筋肉のタンパク質が分解されて、エネルギーを補給するのだ。

最もエネルギー消費の多い筋肉を減らすことによって、体が消費エネルギーを節約しようとしている。体にとっては合理的だが、ダイエットという意味では省エネの太りやすい体質に変わっている。

筆者の2−3週間の昼飯抜きダイエットは、どうやらこの筋肉を分解して糖質を補給するというサイクルをスタートさせてしまったようだ。

これで脚が細くなってきた理由がわかった。しかしそれほど急に筋肉は落ちるのか不思議に思ったが、健康な人でも2日寝たきりで過ごすと、それだけで1%筋肉が落ちてしまうという。

筆者の場合、平日は毎朝最寄り駅まで30分弱歩いているが、ちょうど食事制限ダイエットをやっていた時は、バスに乗ることが多く、週に1日程度しか歩いていなかったことも、脚の筋肉が落ちてきた理由だと思う。

水泳でも脚は使うが、筋力トレーニングではないので、脚の筋肉はつかない。やはり筋力トレーニングで、太ももの筋肉中心に筋肉量をアップさせるのだ。

この本を読んで、食事制限ダイエットはやめ、毎日駅まで30分歩き、週1−2回の加圧式トレーニング+スロトレを再開したら、いっぺんに効果が出て体重は2キロ減った。

スロトレの良い点は、10分程度の短時間で効果が上がるトレーニングができることだ。

加圧バンドを太ももに巻いてスクワットをスロトレでやると、10回で相当効く。休憩しないと続けられないくらい筋肉を使う。

この本には付録としてスロトレの標準コースとシニアコースが図解入りで紹介されている。

理論を正しく学んで、筋力トレーニングで、筋肉量をアップして基礎代謝を上げれば、成長ホルモンとアドレナリンが分泌され、脂肪を燃焼しやすい体がつくれ、ダイエットの効果が上がる。

筋力トレーニング以外でも、ちょっとしたことを変えるだけで生活運動量はアップする。たとえば、1,エスカレーター・エレベーターを階段に変える、2.昼休みに10分散歩する、3.一つ手前の駅で降り歩く距離を長くする、といった例だ。

筋力トレーニングも1回10分程度であれば、十分週2−3回できると思う。

筋トレは肩こり、腰痛、ストレスにも効果的で、筋肉がつくと骨盤や背骨が矯正され、腰痛が緩和できる。また筋肉の血行が良くなると、冷え性、肩こりにも効果的で、便秘にも効く。


まさに看板に偽りなし。トレーニングのプロの筆者も実行して納得した。是非一読と実践をおすすめする。


参考になれば次クリック投票お願いします。



  
Posted by yaori at 13:06Comments(3)TrackBack(0)

2008年12月08日

夢をかなえるゾウ 新しい形の自己啓発本

夢をかなえるゾウ夢をかなえるゾウ
著者:水野敬也
販売元:飛鳥新社
発売日:2007-08-11
おすすめ度:4.5
クチコミを見る

以前このブログで、「ウケる技術」を紹介した水野敬也さんの近著。

2007年8月の発売だが、筆者が手にした本は2008年11月5日付の39刷だ。

表紙のインドの神ガネーシャのイラストが面白く、ガネーシャがどぎつい大阪弁でしゃべりまくるという荒唐無稽な筋書きながら、自己啓発のために役に立つ内容を含んでいるので良く売れている様だ。

ガネーシャはヒンドゥー教のゾウの姿をした手が4本ある神で、障害を取り除き、富をもたらすと言われている。

300x400










この本では、突然現れたガネーシャが、「僕」のアパートの押入に住みついて、1日1善ならぬ、1日1回「ガネーシャの課題」として教えをたれるというストーリーだ。

教えは全部で29あり、毎日実践するものだが、主なものを紹介すると次のようなものだ。

*靴をみがく

*コンビニでお釣りを募金する

*トイレ掃除をする

*その日頑張れた自分をホメる

*1日何かをやめてみる

*毎朝、全身鏡を見て身なりを整える

*自分が一番得意なことを人に聞く

*自分の苦手なことを人に聞く

*運が良いと口に出して言う

*身近にいる一番大事な人を喜ばせる

*誰か一人のいいところを見つけてホメる

*人の長所を盗む

*人気店に入り、人気の理由を観察する

*やらずに後悔していることを今日から始める

*毎日、感謝する


このように書くとベタに見えるが、ニュートン、ロックフェラー、松下幸之助、本田宗一郎など、多くの偉人の言葉をガネーシャの教えということで、関西弁で語らせており、わかりやすい。

前作「ウケる技術」同様、筆者には今ひとつ波長が合わない感じだが、この様なくだけたプレゼンテーションもアリかもしれない。

それがよく売れている理由なのだろう。

簡単に読め、そこそこ参考になる。

まずは立ち読みをおすすめする。


参考になれば次クリック投票お願いします。




  
Posted by yaori at 23:58Comments(0)TrackBack(0)

2008年12月05日

ロシア・ショック 大前研一氏の新著 日本にとって極めて重要な国ロシア

ロシア・ショックロシア・ショック
著者:大前 研一
販売元:講談社
発売日:2008-11-11
おすすめ度:4.5
クチコミを見る

日本人よ、今こそロシアとの新しい関係を構築せよ!と呼びかける大前研一氏の最新作。

グラフ等も多く資料としてもすぐれており、世界金融危機発生後の10月頃に書き終えた本なので内容も最新だ。

読んだ本しか買わない筆者が買った今年6冊目の本だ。

前回紹介したように発刊前に図書館で予約したので、2008年11月11日の発売の本を11月16日に手に入れ、先週読み終えた。

いま日本が最も注目すべき国はどこかと聞かれれば、大前氏は悩むことなくロシアと答えるという。これからの世界の潮流のなかで、最もインパクトを持って台頭してくるのがロシアであり、そして実は日本と最も相性が良く、関係を大事にしていかなければならない国がロシアなのだと。


大前さんのロシア原体験

ロシアは日本の面積の45倍、時差は11時間ある。人口は日本よりやや多い1億4千万人だが減少しつつある。

大前さんはMITの学生生活の最後の年、1970年にソ連時代のロシアを訪問して、それ以来40年間ロシアの変貌を見てきたという。

大前さんの最初の訪問では、ビザを持っていたにもかかわらず、シェレメチェボ国際空港の係員に空港から外にでることを禁じられ、まるで収容所のようなターミナルに閉じこめられたという。

空手のふりを見せ、係員と交渉してJALのチケットをアエロフロートのチケットに代えることで(これで係員はドルが入る)、モスクワの町に行くことができ、リムジンに案内係付きでモスクワを観光したという。

暗殺されたアンナ・ポリトコフスカヤの「ロシアン・ダイアリー」のあらすじで書いたが、筆者も1993−4年にロシアを訪問したので、シェレメチェボ国際空港はよく覚えている。

今はさすがに変わっているのではないかと思うが、そのころはシェレメチェボ国際空港をはじめ、ほとんどのロシアの空港は右ウィングと左ウィングに分かれていた。

片方が外国人とCIS国民向け、もう片方がインド(?)、キューバやアフリカなどの同盟国からの出稼ぎ労働者向けだったと思う。どちらも人でごった返していたが、出稼ぎ労働者ウィングはターミナルで寝起きしている人も多く、まるで家畜小屋だと言われていた。

そして中央部が「代議員ホール」と呼ばれる特権階級しか利用できないところで、日本企業の駐在員・出張者はそこを利用できていた。

当時は飛行機はターミナルには直づけはせず、ターミナルから飛行機までバスか歩きで行ったので、こんな風にターミナルが分けれていたのだ。

大前さんはたぶん出稼ぎウィングに押し込められたのだと思う。


ロシアは日本の最良のパートナー

ソ連が崩壊して、ロシア国民はどん底を経験したが、プーチン政権での最近の劇的な経済の復活、社会の変化には目を見張るばかりだ。

ロシアは生産量・埋蔵量ともに世界第1位の天然ガスと、世界2位の生産量の石油があり、外貨準備は潤沢で経済成長が著しい。なにより教育水準がBRICsのなかではずば抜けて高く、ITや先端技術の人材も豊富である。

エネルギー資源がなく、人材も不足している日本にとってロシアは最良のパートナーである。

柔道家のプーチンの日本好きは有名だが、一般のロシア人でも無条件に日本のことが好きだという。日本の製品があれば最優先で買い、オタク文化まで愛してくれるという。これほど無条件に日本の事を好きなのは、世界の中でロシアとインド、そしてトルコぐらいのものだと大前氏は語る。

ロシアは日本にとって極めて重要な国なのだ。


プーチンのロシア

ゴルバチョフのソ連時代からエリツィンのロシア時代まで経済成長率はずっとマイナスで、エリツィン大統領初年度の1992年には最悪のマイナス15%を記録した。

ところがプーチンが大統領代行になった1999年からプラス成長に転じ、大体6%前後の成長を続けてきた。

一つの要因は、それまで12〜30%の累進課税で年収5,000ドル以上は30%の税率だったため脱税や地下経済が盛んだったが、税率をすべて13%のフラットタックスにすることで、アングラマネーが表に出てきた。2001年、2002年には個人所得はそれぞれ約25%増加し、国家財政は好転した。

1999年に1バレル10ドル程度に下落していた原油価格が、2000年代を通じて上昇したことも大きい。原油高が経済を押し上げ、ロシアは債務国から債権国に転じ、外貨準備は急増し2008年7月末で中国、日本に次ぐ世界第3位の約6,000億ドルになっている。

プーチンは2期目になると年金改革を行い、年金額を徐々に上げたので高齢者の人気も高まり、2007年には支持率は92%という驚異的なものとなった。プーチンの後を継いだメドベージェフもプーチン人気を受け継ぎ、今年5月に政権が誕生したときの支持率は70%強だった。

支持率が高い最大の要因は、プーチンが強いロシアを復活させたからだ。

プーチンは自分でジェット戦闘機を操縦して地方に行き、柔道では5段の猛者だ。YouTubeにプーチンが山下泰裕氏と一緒に撮った柔道のプロモーションビデオが載っているので紹介しておく。



2007年グアテマラで開かれたIOC総会で、プーチンは冬季オリンピック開催をソチに招致するために流ちょうな英語とフランス語で演説を行い、冬ソナで有名な平昌(ピョンチャン)を押すライバルの韓国のノムヒョン大統領の演説とは雲泥の差だったという。

YouTubeにも収録されているが、説得力ある英語の演説はたいしたものだ。



プーチンはまだ56歳と若いので、側近のメドベージェフに4年間大統領をつとめさせた後に、再度大統領として登場し2012年から2020年まで大統領となると大前さんは予測している。


高学歴人材が最大の資産

ソ連の残した最大の遺産が人材だ。ロシアの大学以上の進学率は72%で、ブラジルや中国の20%台とは圧倒的な差がある。

人口はインドの1/8だが、ロシアはインドと同じ毎年20万人の大卒IT技術者を輩出している。

道徳教育の質も高い。松下幸之助の「道をひらく」には、ソ連の「生徒守則」に「年上のものを尊敬せよ。親のいうことをきき、手助けをし、弟妹のめんどうをみよ」と書かれていることを紹介している。

道をひらく道をひらく
著者:松下 幸之助
販売元:PHP研究所
発売日:1968-05
おすすめ度:5.0
クチコミを見る


こういった一般国民に対する道徳教育の面では他のBRICs諸国とは比較にならないほど、ロシアがすぐれているのではないかと思う。

モスクワで1,500人の宇宙工学のエンジニアを雇用するボーイングや、ロシア各地で3,000人のエンジニアを雇用するインテルの話を紹介している。

インテルについては面白い話を紹介している。インド人のプログラマーは、「まず、スペックを見せてくれ」という。ロシア人のプログラマーは、「どこが問題なのか?何を解決してもらいたいのか?」と聞くという。彼らは元々プログラマーではない。科学者なのだ。

この本ではロシア地場のレクソフトルクソフト(Luxoft)とか、データアート、ベラルーシのIBAなどのロシアIT企業を紹介している。

勿論アメリカと競った宇宙技術や軍事技術は世界トップクラスであり、他のBRICs諸国とは比較にならない。だからボーイングも進出してきたのだ。


ロシア型格差社会

ロシアの一人当たりGDPは2007年で9,000ドル程度だが、地域格差が大きく、自然条件は厳しいが油田のあるネネツは52,000ドルと高い。上位は油田やガス田地帯だが、資源のない地方は平均以下だ。

所得格差も大きく、2006年で人口の93%が年収1,200ドル以下。一方年収約15億ドルを超える人が60人いて、かれらだけで国全体のGDPの16%を占めている。

ロシアの資産家はフォーブスのビリオネアランキングに87人ランキング入りしており、アメリカに次ぐ数だという。

アルミ世界最大手のUCルサールのデリバスカ氏、イギリスのサッカーチームチェルシーのオーナーの石油王アブラモビッチ氏、鉄鋼王セベルスターリのモルダショフ氏、金融・小売コングロマリットのアルファグループのフリードマン氏などが有名だ。

ロシアで格差が広がったのは、国営企業民営化で12歳以上の全国民に1万ルーブル相当の国営企業の株券バウチャーが配布されたが、ほとんどの人は意味がわからずバウチャーを売り払った。それを大量に買い集めた人がオリガルヒと呼ばれる大富豪になったのだ。

ロシア人の平均寿命は59歳と短いこともあり、お金があれば貯蓄でなく消費にまわす傾向が強く、消費ブームが起こっている。嗜好もかわりつつあり、いまやアル中を生み出すウォッカではなく、ビールが人気なのだという。


無条件に日本が好きなロシア人

ロシアでは寿司が評判になり、モスクワでは市内に600軒もの日本料理屋があるという。プーチンも週に1回は寿司屋に行くという。

意識調査によるとロシア人の74%は日本が好きと答えており、日本人の82%のロシアに親しみを感じないと答えているのと好対照だ。

反日感情の強い中国の21%は別にしても、他のBRICsのブラジルの68%、インドの60%に比べても高い。

ロシアのPR会社の社長は、「現在のロシア社会で、日本ほど魅力的なブランドの国はない」と言い切る。「日本はまだこのことに気が付いていない」と。

ユニクロが最近モスクワ進出を発表したが、このことにユニクロの柳井さんは気が付いたのだろう。

ソ連時代からアメリカ嫌いが染みついているロシア人は、日本製品がアメリカ市場を席巻したり、アメリカの企業を買収したりしているのをみて、日本はスゴイと敬意を持つようになっているという。


日本企業のロシア進出

日本のロシアに対する直接投資は2007年末でわずか3億ドルに過ぎないが、電化製品など売れて売れてしょうがない状態で、各社ものすごく儲かっているという。

ロシアで一番大きなビジネスをしているのはJTで、ロシアのタバコ市場の34%のシェアを持ち、大きな利益を上げているという。

自動車メーカーもロシア市場向けの販売を伸ばしており、三菱自動車はセクシーカーという評判で、ロシア市場で人気が高い。トヨタとニッサンはサンクトペテルブルグの周辺で工場を稼働中だ。

トヨタのサンクトペテルブルグ進出は同市出身のプーチンの肝いりと言われているが、トヨタ元会長の奥田碩さんはたしか柔道六段で、山下泰裕氏と対談本を出しているほどなので柔道がとりもった仲かもしれない。

武士道とともに生きる武士道とともに生きる
著者:奥田 碩
販売元:角川書店
発売日:2005-04-25
おすすめ度:3.0
クチコミを見る


日本のロシアに対する最大の投資はサハリンIサハリンIIの石油・天然ガスプロジェクトだが、日本ではロシア政府の横やりで権益を奪われたというマスコミ報道だった。

ところが大前さんが話を聞いた当事者の一社の三菱商事の担当者は冷静で、「とんでもないことをやられている」と思われるだろうが、事業会社の株式譲渡はノーマルでフェアなビジネスだと語っている。

もともとホストカントリーの事情変更で、ガスプロムが入ってくることは予想していた。ガスプロムが過半数の51%を握ったが、その評価を下すのはまだ早いと語っている。

たしかに株を売った三菱商事や三井物産からの、恨みつらみというのは筆者が記憶するかぎりなかったと思う。

日本側としては株を適正価格で売却し、プロジェクトのリスクを取り除き、ガスの引き取り権は失わずにすんだ「うまい話」の範疇に入るのだと大前さんは説明している。


ロシア進出の十大心得

この本で大前さんは、インシアード大学のスタニスラフ・ジェクシューニア教授が、外資30社のトップにインタビューした結果のロシア版「十戒」を紹介している。

1.ロシア人とともに、ロシアのために働く(ロシアはアジアでもヨーロッパでもない)
2.ロシアのルールを尊重しつつも、自分の流儀を忘れない
3.政府や各種行政機関との関係を構築し、人脈作りに励む
4.核心に対しては断固たる態度で、枝葉末節には柔軟に対応する
5.窮地に活路を見出す術を学べ
6.腐敗は生活の一部。うまく対処する術を身につけよ
7.権威主義ではなく、本物のリーダーシップを発揮すべき
8.権限委譲は難しいが重要。それゆえ段階的に実施すべし
9.海外企業の個性が強調されたワンカンパニーを確立すべし
10.早期警戒管理体制を敷く

大前さんは、中国は全体主義、共産主義の国であり、これからは矛盾があちこちに出てくるリスクがあるが、ロシアは資本主義国であり、一度地獄を味わっているので逆に強いと評価している。

経済面では中国は地方分権だが、ロシアは依然として中央集権で官僚制度が温存され許認可など昔のままという問題がある。また原油価格がピークの1/3になったこともあり、一本調子でロシア経済が伸びていくかどうかはわからないが、共産中国対資本主義ロシアというのが21世紀の構図である。


21世紀のパラダイム変換

中国とロシアは永年ウスリー川の国境問題をかかえ、一時は流血の衝突があったが、2008年7月に4,300キロにおよぶ国境を確定している。

ロシアは欧州ロシア、中央部のシベリア、極東の3地区に大きく分けられるが、極東は開発が遅れ、人口も660万人しかいない。隣の中国の東北3省だけで人口は1億人いるので、潜在的に中国に対して恐怖心を持っているという。

そんな状況なので、日本もここで北方四島をめぐるトゲを抜いて、メドベージェフ大統領に点を稼がせ、資源国ロシアと工業国日本の互恵関係をつくることを大前さんは提案する。

旧ソ連諸国や東欧諸国は、様々な事情でロシア離れをしており、EUやNATOに接近をしている。大前さんは、この流れがさらに進み、プーチンの第二期政権?の終わる2020年にはロシアもEUに加盟しているのではないかと予想する。

ジェトロのEUでの意識調査によると、EUの人たちの65%はEUに入るのはロシアがトルコより先と考えているという。

通貨ユーロが強くなっているが、ユーロ導入にあたっては厳しい規律があり、財政赤字はGDPの3%以下、政府債務残高はGDPの」60%以下。物価上昇率と金利変動も一定以下が求められている。輪転機を回せば済むドルや円とは規律が違うからユーロは強くなるのだという。


日ロ関係の未来図

最後に「日ロ関係の未来図」として、大前さんは長谷川毅氏の「暗闘」という第二次世界大戦で日本が降伏に至るまでの過程を描いた作品を紹介し、トルーマンとスターリンの駆け引きで、北海道を南北に分割せよとのスターリンの要求を退ける案としてアメリカが北方領土の領有を認めたという説を紹介している。

暗闘―スターリン、トルーマンと日本降伏暗闘―スターリン、トルーマンと日本降伏
著者:長谷川 毅
販売元:中央公論新社
発売日:2006-02
おすすめ度:5.0
クチコミを見る


この本には興味を持ったので、近々読んであらすじを紹介する。

北方領土は日本固有の領土と言っても、戦後処理でソ連領となったわけでもあり、いまさら間宮林蔵を持ち出しても話は進まない。

実はロシアにとってみれば北方領土四島はそれほど重要ではない。しかし返すためにはインセンティブが必要なので、ロシア国民を納得させる理屈を考えて、物事を進めるべきだと提案する。

1997年の橋本龍太郎・エリツィン会談では、ロシア側は二島先行返還、二島継続協議という案を示したが、これはまさに佐藤優ラスプーチンの外交成果だった。

ロシアは外貨準備が積み上がり、ロシアのSWF(政府系ファンド)である「安定化基金」は世界最大規模のアブダビを抜いて百兆円以上にもならんとしている。もはや少し金を出せば手放すといった「鈴木宗男的発想」はまったく通用しなくなっている。

むしろロシアのあり余る金を使って、日本がアジア諸国と一緒に経済開発を技術的に手伝う、ロシアの原子力発電所建設やシベリア鉄道高速化などで手助けすることが感謝されると大前さんは語る。

大前さんは以前からロシア沿海州と日本の日本海側で地域経済圏をつくれとか、斬新な提案をしているが、この本では日ロ賢人会議で検討するとか、怒る人がいることを承知で、国連信託統治領のような方法を考える手もあるのではないかと語る。

旧島民の気持ちも理解できるが、北方領土が返ってきても、利権の巣窟となり、不要な護岸工事や道路工事が相次いで、納税者の立場からいえば返ってこなかった方が良かったという事態にもなりかねないと大前さんは危惧する。

大前さんが提案するのは、日ロが平和協定を結び、極東やシベリアを共同で開発することだ。サハリンの天然ガス以外でも森林・地下資源・観光資源を開発する。たとえばカムチャッカは最高の釣りレジャー地区となるだろうという。

これからの十数年で世界が体験する「ロシア・ショック」は極めて大きく、日本にとって最大のチャンスにもピンチにもなりうる。

今のロシアは日本人が抱いている冷戦時代のイメージから大きく変化している。いずれロシアとEUが一体となり、世界の極となろうとしている。こうした時代に日本だけが、北方領土問題にこだわり続けていいはずがないと大前さんは語る。


データも最新で大変参考になる。冒頭に書いたとおり筆者が今年読んでから買った6冊目の本だ。是非一読をおすすめする。


参考になれば次クリック投票お願いします。



  
Posted by yaori at 00:03Comments(0)TrackBack(0)

2008年12月03日

図書館に行こう!その7 新刊書が発売直後に読める!

筆者は新刊書でも基本的に図書館で予約して読む。そして読んでから手元に置いておきたい本だけ買う。

以前実験で紹介したとおり、たとえ新刊書でも図書館で予約すればせいぜい1ヶ月程度で読めるからだ。

今回はもっと早く読める方法を試してみた。

本の発売前に予約するのだ。

本の発売前だと図書館のデータベースに入っていないのでインターネットでは予約できないため、紙に書いて予約する必要があるが、うまくすれば予約順位第1位で、図書館に本が入荷したらすぐに借りられる。

こうして借りたのが、次回紹介する大前研一氏の「ロシアショック」だ。

ロシア・ショックロシア・ショック
著者:大前 研一
販売元:講談社
発売日:2008-11-11
おすすめ度:4.5
クチコミを見る


2008年11月11日発刊の本だが、予約順位1番だったので11月16日に入手して、もう読み終えた。

昨年に続いてミシュランガイド2009も予約したが、これも発売日前に予約を入れたので、予約順位1位だった。

ミシュランガイド東京2009 日本語版ミシュランガイド東京2009 日本語版
販売元:日本ミシュランタイヤ株式会社
発売日:2008-11-21
おすすめ度:3.5
クチコミを見る


図書館に本が入荷すれば最初に借りられる。11月20日発売なので、たぶんここ1−2週間の内には入手できると思う。

インターネットの予約も便利だが、データベースに載っていない本は予約ができないので、誰よりも早く読みたいのなら、発刊前に紙で予約するのが一番だ。

このブログで図書館の活用法をシリーズで書いているので、それを参考にして是非もよりの図書館でインターネット予約と紙での予約を試してみて欲しい。

ちなみにこのブログでは新刊書を中心に年間100−150冊程度紹介しており、今年はこれまで123件紹介した。

筆者は大体週に5冊程度本を読んでいるので、1年に読む本は250冊前後で、その半分程度のあらすじをブログに紹介しているが、今年筆者が買った本は10冊に満たない。手元に置いておきたい本は、実はあまりないのだ。

本は読んで内容を頭にたたき込めばそれで良いので、本(媒体)を保有する必要はないと思う。

このあらすじブログが筆者の本棚だ。このバーチャル本棚なら内容を検索できるし、一目で本の内容を思い出せる。

どこからでもアクセスできるし、携帯電話からも書き込めるので、ユビキタスコンピューティングのメリットを最大限生かせる。

筆者のコンセプトは「時短読書」だ。あらすじを知った上で本を読む方が、理解度が深まり効率が上がる。

このブログを読んだら是非実際にその本を読んで欲しい。このブログは本を読むためのブログなのだ。

そしてその際には図書館をうまく利用して欲しい。いわばあなたの住民税で買った本なのである。利用しなければ「もったいない」。


参考になれば次クリック投票お願いします。



  
Posted by yaori at 23:03Comments(0)TrackBack(0)

2008年12月02日

1984年の篠塚一太君の遭難事故

2008年12月2日再掲:

あるところに、篠塚君の遭難事故について書いたので、この記事を再度掲載する。いつ思い出しても、篠塚君のあの人なつこい笑顔が浮かぶ。

本当にいい奴だった。20代の若さで亡くなってしまったことが残念でならない。



2008年10月25日初掲:

1984年8月5日にバングラディッシュのチッタゴン空港で、ビーマン航空の飛行機が墜落して、住友商事の社員が2名なくなった。そのうちの一人が筆者の後輩の篠塚一太君だ。

住友商事の長い歴史の中で、飛行機事故で社員が亡くなったのは後にも先にもこのお二人だけだ。飛行機事故のリスクはそれほど小さい。そんな飛行機事故で、お二人が亡くなられたのは本当に残念なことだ。

28歳の若さで亡くなった篠塚君の冥福を祈って、友人が出版した本がある。

itta1






篠塚君の学生時代の友人や会社の友人が集まって、講談社で本を作ったのだ。

その最初のページに在りし日の篠塚君の姿がある。

itta2






ちょうどホンダのオデッセイのコマーシャルが、テレビでガンガン流されているが、あの音楽は昔の映画"Saturday Night Fever"のテーマ曲、ビージーズの"stayin' alive"だ。



その"Saturday Night Fever"の主演ジョン・トラボルタの有名な場面を真似たのがこの篠塚君の写真だ。

もうあれから25年近く経って、インターネットで「篠塚一太」で検索すると、筆者のブログしか出てこない。また「ビマン航空 事故」で検索しても、情報は限られている。

1984年といえばインターネットなど影も形もなかったときで、当時はまだテレックスの時代だった。だから当時の情報がネットには載っていないこともやむをえないかもしれない。

しかし、それではさびしすぎるので篠塚君の思い出を記録するために、当時の駐バングラ日本大使の小林俊二大使が、この事故について「日本・バングラデシュ交流メールマガジン」(第 10号・2004/06/24)に寄稿されているのを見つけたので紹介する。

【4】駐バングラデシュ歴代大使の証言・第5回(第5代大使:小林俊二氏)

「ダッカ電話網整備計画とビマン航空機の遭難」

バングラデシュの8月は雨期の最中であり、乾期には顔を出している国土の何割かが水中に没します。1984年8月5日の午後、チッタゴン発ダッカ行のビマン航空ターボ・プロップ機がダッカ空港着陸寸前に沼に突っ込んで水没し、乗客乗員約50名全員が死亡する事件がありました。朝方からの豪雨は上がっていましたが、滑走路を含む空港一体が水浸しであったため、滑走路の位置を見誤って手前の沼に着水したのが事故の原因でした。乗客には住友商事の職員2名が含まれていました。1名は東京本社から出張した邦人職員、他の1名はロンドン支店から派遣された英人職員という説明を受けたように記憶しています。

この事故と日本の資金援助によるダッカ電話網改善事業との間に少なからぬ関わり合いがあったことを承知している人はほとんどいないのではないかと思います。犠牲となった住友商事の職員のためにもその事情を書き残しておきたいと考えたのはこのためです。

パキスタンの電話設備は東パキスタン(バングラデシュ)の分離独立前から西独シーメンス社の独壇場でした。このためバングラデシュの電話設備への進出を企図したわが国の電気通信業界はダッカ電話網改良計画を作成し、バングラデシュ政府に提案することを企画しました。83年12月、ダッカのホテルに担当閣僚であるカーン通信相(海軍参謀長兼戒厳副司令官)その他の関係者を招き日本側購送についての説明会が開催されました。次いで翌84年2月には業界団体派遣の調査団がダッカを来訪して所要の調査に従事しました。

この動きに警戒の念を深めたシーメンス社は急遽西独政府を動かして電気通信担当相をダッカに派遣し、カーン通信相との間でひざ詰め談判を行わせました。その結果両閣僚間にバングラデシュにおける電話交換機は引き続きシーメンス社製品を使用するという趣旨の覚え書きが取り交わされたと伝えられ、日本側は計画の推進が容易でないことを覚悟せざるを得ませんでした。

しかし6月初旬、突然カーン通信相が更迭され、オバイドゥラ・カーン農業相と交代しました。オバイドゥラ・カーン氏は詩人でもある文化人であり、私が接触したバングラデシュ側指導層の中でも特に親日的な印象の強い人物でした。

通信相の交代がシーメンス社の工作と関係があったのかどうか定かではありませんが、この交代は悪い報せではないように思えました。6月14日、私は調査団の報告書提出のため来訪した業界団体の幹部を伴って新通信相を往訪し、ダッカ電話網改良計画調査報告書を手交して検討を求めました。通信相は積極的な関心を示し、至急検討すべき旨を約しました。

その後私は通信省当局と次官レベルで接触を維持し、前向きの結論を促し続けましたが、シーメンス側も前通信相を巻き込んで種々画策していた模様であり、事態は円滑には前進しませんでした。7月末、事務当局の結論は交換機を除く部分についてのみ日本の提案を受け入れるという結論に傾き、電気通信担当次官はその趣旨の書簡を発出するという意向を私に表明しました。

その矢先に発生したのが冒頭のビマン航空機水没事故でした。犠牲者の救出ないし遺体の回収のため海軍のフロッグマンが多数投入され、徹夜の作業が行われました。カーン前通信相(農相)は海軍参謀長として現場に駆けつけ、夜を徹して陣頭指揮に当たりました。ところが徹夜作業の疲労が祟ったのでしょう、同参謀長は翌朝、心臓発作を起こして急死してしまったのでした。

8月8日にはダッカの仏教寺院で邦人犠牲者のための法要が行われ、続いてヒンズー教徒用の火葬場で遺体が荼毘に付されました。火葬場といっても露天の河原に鉄の枠組みを設けただけの設備であり、この殺風景な設備での荼毘は余りに生々しく、遺族の参列を差し控えてもらっていましたが、私も途中でいたたまれなくなって大使館に逃げ帰りました。翌9日には遺族数名が住友商事の支店長に伴われて大使館を訪れました。

母親という婦人は私から何をお話しても目を見開いたままにこりともせず、凍りついたような表情を変えなかったのを忘れることができません。その表情はわが子の死を断じて諦めきれないと訴えているかのごとくであり、母にとって息子という存在のかけがえのなさを今更の様に思い知らされたのでした。年末には住友商事の伊藤社長が殉職した職員の慰霊のためダッカを来訪されました。

事故の後、バングラデシュ当局による日本提案の処理はオバイドゥラ・カーン通信相の支持を得て順調な進展を見せ、9月初旬には経済企画庁に付託されたとの説明を受けましたが、同月中旬、同氏が駐米大使に任命され、通信相の任を解かれたことで問題は再び複雑化する気配となりました。しかし翌年1月20日には私自身が帰朝のため離任することになり、新任のスルタン・アーメド通信相(海軍参謀長)に日本側提案の採択を重ねて慫慂した上で後事を後任の田中大使に委ねなくてはならなくなりました。

この問題をめぐるその後の推移は東京で風の便りに耳にするだけでした。しかし田中大使の努力もあったのでしょう、ダッカ電話網改善計画はやがて日本側提案が全面的に採用され、交換機を含めNEC製品を中心とする包括的改善工事が円借款により実施されただけではなく、引き続き追加円借款により拡大計画も実現を見たと承知しています。

施工契約の担当商社は住友商事でした。殉職した住友商事の職員はこの計画のためにバングラデシュに出張したわけではなかったのでしょうが、事故から派生したカーン前通信相の急死が日本側提案の全面的採用を促進する結果になったことには疑問の余地がありません。

ダッカの電話施設に日本製品が中心的な役割を果たすようになった事実の陰に住友商事職員の遭難という犠牲があったことをダッカ在留邦人その他関係者の皆さんが記憶に留めて下さる事を願って筆を置く次第です。

(小林俊二大使は1983年9月から1985年1月まで当地在勤)


同じ飛行機事故でなくなったもう一人は英国住商の社員ホームズさんだ。ホームズさんはたしかオックスフォード出身で、日本の貿易大学で教鞭をとり、帰国して英国住友商事の社員になった。

ホームズさんの死後、奥さんのホームズ・恵子さんが「入鹿(イルカ)ボーイズ」について日経新聞の最後のページの文化欄に何度か書かれていたので、ご記憶の人もいるかもしれない。

入鹿(イルカ)ボーイズとは、戦時中和歌山県の入鹿の捕虜収容所に入れられていた英国人を中心とする連合国側捕虜の話だ。戦後来日して地元の人と交流ができている。

恵子さんはこのことをまとめて"A little Britain"という本を出されている。


この文を捧げて、篠塚君そしてホームズさんのご冥福をあらためてお祈りする。


合掌



  
Posted by yaori at 00:36Comments(1)TrackBack(0)