2009年03月29日

脳と仮想 茂木健一郎さんの”代表作” 不思議な本だ

脳と仮想 (新潮文庫)脳と仮想 (新潮文庫)
著者:茂木 健一郎
販売元:新潮社
発売日:2007-03
おすすめ度:4.0
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売れっ子脳科学者茂木健一郎さんが自身の代表作と語る本。2004年の発刊だ。

「脳を活かす仕事術」に紹介されていたので読んでみた。

哲学書の雰囲気を持つ本で、読んでいるとインスピレーションがわいてくる不思議な本だ。

筆者が茂木さんが出演するテレビ番組を見たのは、NHKのプロフェッショナル仕事の流儀と、日テレの”世界一受けたい授業”だったと思うが、そのときはたしか”ノーベル賞に一番近い脳科学者”という紹介文句だった。

その紹介が正しいのかどうかわからないが、この本は茂木さんの”代表作”といっても、脳科学書ではない。

普通、ビジネス本を読む時には、著者の意見に同感できるか、新しい知識を得られないと良い本とは思わない。

しかし、この本はそのどちらでもない。しいて言えば読者を仮想に誘って(いざなって)くれる本である。

その意味で文学書に近い。

本の帯に”島田雅彦氏、絶賛「文学的、あまりに文学的な脳科学者!彼に倣い、自分の脳を仮想で満たせば、退屈死しなくて済む。ありがたい。」という推薦の言葉が書いてあるが、まさにこの本の本質を衝いていると思う。

茂木さんの”脳を活かす”シリーズでは、目次が大変充実していて、目次だけをたどっても、大体本の内容が推測できるほどだが、この本の目次はわずかに次の通りだ。

序章 サンタクロースは存在するか

第1章 小林秀雄と心脳問題

第2章 仮想の切実さ

第3章 生きること、仮想すること

第4章 安全基地としての現実

第5章 新たな仮想の世界を探求すること

第6章 他者という仮想

第7章 思い出せない記憶

第8章 仮想の系譜

第9章 魂の問題


これでは目次を見ても何のことか、内容がわからないと思う。


筆者は茂木さんの本の愛読者だが、茂木さんの最大の問題点はテーマとしている”クオリア”という言葉を、しろうとが理解できるレベルまで説明しきれていないことだと思う。

たぶん茂木さんは”クオリア”という言葉が日常化するように、意識して繰り返し使っているのだと思うが、この本を読んでも、いまだに筆者は”クオリア”というものをちゃんと理解できたかどうか自信がない。

”人間の経験のうち、計量できないものを”クオリア”(感覚質)と呼ぶ”、”数量化できない微妙な物質の質感”

…よくわからない。

”赤い色の感覚、水の冷たさの感じ、そこはかとない不安。たおやかな予感。私たちの心の中には、数量化することのできない、微妙で切実なクオリアが満ちている。私たちの経験が様々なクオリアにみちたものとしてあるということは、この世界に関するもっとも明白な事実である”

…さらにわからなくなる。

”感覚質”というのが適切な訳なのかわからないが、こちらの方がまだイメージがわくような気がする。


”クオリア”の理解はあまり進まなかったが、仮想にいざなってくれるという意味で楽しめる本だ。



この本で取り上げられているテーマ

この本では次のようなテーマが取り上げられている。

・サンタクロースは存在するか?

・死んだ人が蛍になって戻ってくる。

・小林秀雄の講演「信ずることと考えること」

・夏目漱石の「三四郎」に出てくる広田先生の”日本より脳の中の方が広い”発言

・ワグナーの「ローエングリン」、「ニーベルングの指環」、「トリスタンとイゾル
デ」などの楽劇

・夏目漱石の「それから」の最後の代助が”門野さん、僕はちょっと職業を探して来る”と言って出て、世の中が真赤になって回転する情景。

・芸術作品による心の傷

・柳田国男の自伝に出てくる「ツバイ・キンダー・システム」(どの家も男女一人ずつの子供しかいない)の深い意味(飢餓予防のための間引き?)

・漱石が好んだという「父母未生以前の本来の面目は何か」という禅宗の公案(「門」で宗助が鎌倉の禅寺に修行に入ったときに投げかけられる公案)

門 (新潮文庫)門 (新潮文庫)
著者:夏目 漱石
販売元:新潮社
発売日:1948-11
おすすめ度:4.0
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・言葉を使うということ自体が、過去の膨大な人類の体験の総体に思いをはせる行為である

・脱出マジックのイリュージョン

・デカルトの”われ思う。ゆえにわれあり”という真理。

・小津安二郎の「東京物語」

・アポロ11号のアームストロング船長の月面散歩


茂木さんが繰り返し見る夢

茂木さんが子供の頃から繰り返し見る夢があるという。

”私は、大地に立ち、上に広がる星空を見上げている。星空は普通より遙かに大きい星がきらめいて、流れと渦や、歯車もある。そんな中を巨大な汽車が銀河の横を走っていく。その全てが、心の中でものすごいリアリティで迫ってきて、私はその夢を見るといつも「うわ−っ」と叫びたくなる。”(筆者編集。原文は続きを読むに掲載)。

この文を読んでピーンと来た。実は筆者は小学校低学年まで「夜恐症」だったことを思い出した。

小学校高学年になると直ったが、寝ていると時々、視界全部に水玉模様の様なものが現れ、水玉がどんどん大きくなって真っ暗闇になり何にも見えなくなり、思わず泣き叫んでしまうということが時々あった。

気がついてみると、まわりに人が集まって、大人に抱かれていた。

そんな完全に忘れていた幼い頃の記憶までよみがえってきた。

脳科学書でも、哲学書でも、文学書でもないが、何かを感じさせる本である。

茂木さんが自分の”代表作”と呼ぶのもわかるような気がする。


是非一度読んで、不思議な読後感を味わってみることをおすすめする。


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2009年03月26日

竹中式マトリクス勉強法 No frills(実質本位)な勉強法

竹中式マトリクス勉強法竹中式マトリクス勉強法
著者:竹中 平蔵
販売元:幻冬舎
発売日:2008-10
おすすめ度:3.5
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最近ではテレビの日経新聞のコマーシャルにも白衣で登場している竹中平蔵元金融担当大臣の勉強法。

ヒットを次々飛ばしている幻冬舎の本だ。

最後のクレジットの部分で、竹中さんが幻冬舎の編集者鈴木恵美さんの名前を謝辞に挙げている。筆者も一度鈴木さんと仕事でお会いしたことがあるが、幻冬舎の美人辣腕編集者だ。

實は筆者はこの本を読むのはあまり気が進まなかった。会社の友人が昨年末に読んだと言っていたので、あまり期待しないで図書館でリクエストして読んでみた。

気が進まなかった理由は、竹中氏が小泉元首相のブレーンとして小泉改革を推し進め、よくわからない理由でUFJ銀行を目の敵にして東京三菱銀行と強引に合併させたりしたので、元UFJ銀行に友人がいる筆者としては疑問と反感を持っていた。

そもそも郵政民営化は当初から優先度が低いと思っていたが、これは今でも変わらない考えだ。

しかしこの本を読んで竹中さんに対する認識が変わった。

高級マンションに住んでいる竹中さんの愛車はサニーの11年物というのはできすぎだが、価値観は同じではないかと感じた。また勉強の方法論も重なる部分が多い。

アマゾンではこの本の評価が分かれているようだが、その理由もわかるような気がする。

ひとことで言うと、いわゆる"No frills"(フリル(飾り)のない=実質本位な本だ。

ベストセラーを連発している勝間さんとかレバレッジ勉強法の本田直之さんなどの勉強法の本とは異なり、奇抜な話はない。

この本を読んで、目からウロコとか、新しい勉強法を学んだという人は少ないだろう。だからアマゾンでも低評価の人がいるが、この本で書かれている勉強法を実践している人にとっては、なるほどと同感できる部分が多いと思う。


この本の目次

目次になんと12ページも費やしている。目次だけを見てもこの本の内容が推測できる優れた目次だ。この点でも筆者は好感を持ったが、目次を全部紹介すると長くなりすぎるので、章題と項目だけ紹介しておく。

それぞれの項目が2−4くらいのサブタイトルから構成されており、面白いサブタイトルが並んでいるので、サンプル的に第2章の3.だけ紹介しておく。

第1章 マトリクス勉強法とは
 1. あなたは何を勉強したいのか
 2. 成績表とは関係ない「頭の良さ」がある
 3.「勉強したいこと」が見つかれば、成功したも同然
 4. 努力できることが才能である

第2章 竹中式勉強法9つの極意
 1. 目標は常に2つ持て
 2. 目標から締め切りを逆算しろ
 3. 何事も基本がすべて
   ・阪神が巨人に勝てなかった理由
   ・小泉元総理のワンフレーズはなぜ強い
   ・複式簿記が分かれば、日本経済が分かる
   ・銀行員になってから簿記3級に挑戦

 4. 身近によきライバルを持て
 5. メモを持ち歩け
 6. 時間は自分でつくるもの
 7. バカは何人寄ってもバカである(人と群れるな)
 8. 自分のためにおおいに金を使おう
 9. 健康でなければ勉強はできない(よく寝よ)

第3章 竹中式記憶勉強法5つの極意
 1. 飽きるほど暗記と基礎を繰り返せ
 2. 人より早く始めた者が必ず勝つ
 3. 資格試験は実によくできている
 4. 日本は楽な国だと思う
 5. 人任せにせず、必ず自分でまとめよ

第4章 竹中式英語勉強法7つの極意
 1. 完璧な英語を話すのは、そもそも無理
 2. 暗唱で英語を頭に詰め込む
 3. 分からない単語は必ず辞書を引け
 4. 「英語のうまい日本人」の英語を真似る
 5. 進んで試験を受けよ
 6. 一番前の席で聞いて、一番最初に話せ
 7. 質問しまくる子どもに学べ

第5章 竹中式経済勉強法9つの極意
 1. 生きることは経済、間口は広い
 2. 先は読めない、天井は高いぞ
 3. 耳学問と読み書き、一挙両得の方法
 4. 東京についての記事を読み漁る
 5. 逆転の発想で考えよう
 6. 庭師の発想で考える
 7. 経済は連立方程式で予測する
 8. 情報源は本家本元をたどれ
 9. 自分のこだわりポイントを持とう

第6章 世界に通じる勉強5つの極意
 1. 聞き上手、ほめ上手になりなさい
 2. いつでもどこでも「頭の体操」
 3. できない経験は進んでしよう!
 4. 「誰と働くか」にこだわろう
 5. 誰とでも仲良くする必要はない


竹中さんの経歴

竹中さんは和歌山県出身。商店街でお店を持っている平凡な家庭の次男だという。公立の中学、高校と進学し、高校の先生から”竹中、世の中をよくしたいと思うなら、経済学を勉強しろ”と言われたことがきっかけで、一橋大学経済学部に進学する。

筆者も記憶があるが、当時は近経(近代経済学)の一橋、マル経(マルクス経済学)の東大と言われた時代で、日本の近代経済学は都留重人教授がいた一橋がトップだった。

卒業後は日本開発銀行に入行し、富山支店の総務などの経験もある。ハーバードなどに留学し、大蔵省財政金融研究所、大阪大学経済学部助教授、ハーバード大学客員準教授、慶應大学教授を歴任し、小泉政権では経済財政対策担当大臣、金融担当大臣、郵政民営化担当大臣を歴任した。

現在は慶應大学グルーバルセキュリティ研究所長、日本経済研究センター特別顧問、アカデミーヒルズ理事長などを兼務している。


マトリクス勉強法

竹中さんがいうマトリクス勉強法とは、次の図に示されている通りで、縦軸に武器としての勉強と、人と人を結ぶ勉強、横軸は天井がある・なしで区分する。

竹中式勉強マトリクス



ちなみにこの本にならってつくった筆者のマトリクスは次のようなものになる。

筆者のケース



このマトリクスで整理して、勉強の優先順位をつけて中・長期勉強計画を立てるのだという。


努力できることが、才能である

「努力できることが、才能である」とは、松井秀喜選手がお父さんから教わった座右の銘だそうだが、まさに松井とかイチローの日々の努力を長年にわたってやりとげられる非凡な力が伺える言葉だ。

日本語では”頑張れ”とよく言うが、英語では"You can do it!"だという。竹中さんは瀬古選手がボストンマラソンで優勝したときに、沿道の観客が瀬古選手の応援にこう言っていたことを聞き、初めて頑張れが"You can do it!"だと知ったという。


目標から締め切りを逆算する

竹中さんは目標からスタートして、いつまでに何をやるという"To do list"をつくって、仕事をしろと語る。

竹中さんは働きながら100日かけて最初の本を書いたそうだが、単行本は原稿用紙で300枚前後なので、1日3枚書けば、100日で1冊になると逆算し、毎日3ページづつ書いて「研究開発と設備投資の経済学」を書いたという。

研究開発と設備投資の経済学―経済活力を支えるメカニズム
著者:竹中 平蔵
販売元:東洋経済新報社
発売日:1984-07
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「本を読む時は、初めから終わりへと読む。ビジネスの経営はそれとは逆だ。終わりから始めて、そこへ到達するためにできる限りのことをするのだ。」という言葉は、ユニクロの柳井さんが「私の最高の教科書」と呼ぶハロルド・ジェニーンさんの言葉だが、竹中さんの言うこともまさに同じだ。

プロフェッショナルマネジャープロフェッショナルマネジャー
著者:ハロルド・ジェニーン
販売元:プレジデント社
発売日:2004-05-15
おすすめ度:4.0
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スケジュールは月間手帳で管理するとか、簿記3級を取ったとか、常にメモを持ち歩く、本も資料もどんどん「捨てる」ことなど、筆者も同感な事ばかりだ。

特に工程表をつくって、いろいろな仕事、登場人物をコーディネイトするスケジューリング能力は、自分の最も弱い部分だと自覚しているので、筆者は重要なプロジェクトの場合は、専用ソフトのマイクロソフト・プロジェクトを自費で買ってスケジュール管理している。

このソフトは普通だと約9万円と高いので、今は大学生になった息子に数年前にアカデミック版を買わせたものだ。

Microsoft Office Project Standard 2007 アカデミックMicrosoft Office Project Standard 2007 アカデミック
販売元:マイクロソフト
発売日:2007-01-30
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Project Standard 2003Project Standard 2003
販売元:マイクロソフト
発売日:2003-10-24
おすすめ度:4.0
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アメリカではスケジュール管理というと、このマイクロソフト・プロジェクトを使うビジネスマンが多い。その影響もあって、筆者も使っているものだ。


竹中式記憶勉強法

竹中さんは数学だって暗記科目だという。問題集を暗記してしまうのだと。筆者も同感だ。

筆者は高校1年になった時に、「数学1,000題」という様な参考書を買い、ほぼ毎日1題づつやっていった。

問題を暗記というよりは、解き方のパターンを憶えるという感じだが、おかげで大学入試の面積の難問をタンジェントアルファ=Xと置く方程式で完答した。

「数学1,000題」をやっていたおかげで、タンジェントアルファ=Xと置くという解き方がひらめいたものだ。

二度と同じ問題は解けないが、数学力のピークを高校3年生に持ってこれたことは幸いだった。

竹中さんは人より早く始めた者が必ず勝つと語る。スタートダッシュで差をつけろと。これも同感だ。

筆者は高校受験の時に内申書が良くなかったため苦労したので、高校1年の秋から四谷の駿台の夜間講座で数学と国語などを受講していた。誰にも言わなかったが、高校1年のクラスで予備校など通っていたのは筆者だけだったと思う。

サッカー部だったので、週五日のクラブ活動が終わったあと週1回小田急で新宿まで行き、四谷の駿台で名物講師の一番遅い時間の授業を2コマほど受けていた。

竹中さんは中学3年の時に英語や数学は高校3年分の勉強を終わらせていたという。筆者の場合、そこまではいかないが、いずれにせよスタートダッシュが重要だという考えに同感だ。


日本は「学歴社会」ではなく「入試歴社会」

竹中さんは日本は学歴社会ではなく、入試歴社会だという。どの大学でどういった教育を受けたか、成績はどうだったかは問わず、もっぱらどの入試に受かったかを重視する。

企業はOJT(on the job training)を重視していたので、素直な体育会系学生が好まれていたのだ。


耳学問と読み書きして学んだことの違い

政治家には耳学問の人が多いが、耳学問の知識は、ちょっと突っ込まれるとしどろもどろになってしまう。やはり問題解決の具体案などは、自分で書いてまとめて理解するしかないのだと痛烈に政治家を皮肉っている。

マスコミにも評論家にもこのタイプの人は多いと。

政治家や評論家はよく「たとえ話」をするが、真の知識人は「たとえ話」に頼らない。

「たとえ話」は煎じ詰めると、まるでロジックが通らないデタラメがほとんどだと。

ちゃんと自分で理解ができていないから、たとえ話に逃げるのだ。


竹中式英語勉強法 日本人は「喋れないけど、書ける」は大ウソ

竹中さんに言わせれば、日本人には一般的に書く力も読む力もないのだと。英語を読む量が圧倒的に不足しているからだ。

竹中さんはケネディ大統領やキング牧師の演説を暗記して、英語脳を鍛えたという。音読も良い。竹中さんはいまだに飛行機の中ではブツブツ音読しているのだと。

これについても全く同感だ。筆者はTOEIC945点だが、25年間くらいタイム誌を毎週読んでいたことが英語力をつけるのに大いに役だった。

最近は読むのが面倒なので、もっぱらオーディオブックで読んで(聞いて)いるが、グリーンスパン氏の本など、あまりに英語が格調高すぎて、オーディオブックで聞いていても分からない本はオーディオブックだけでなく、本も読んでいる。

The Age of Turbulence: Adventures in a New WorldThe Age of Turbulence: Adventures in a New World
著者:Alan Greenspan
販売元:Penguin USA (P)
発売日:2008-09-09
おすすめ度:5.0
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竹中さんは、わからない単語は必ず辞書を引けと言っているが、ボキャブラリーを増やすには英語をたくさん読み、新しい単語を一々覚えるしかない。

筆者も25年間タイム誌を毎週読んでいたが、辞書を引かないで1ページ全部読めたことは結局なかった。筆者のやり方は、分からない単語はアンダーラインを引いて、あとで辞書を引くという方式だが、辞書を引くたびにタイム誌の適切な単語選択に感心したものだ。

竹中さんが推薦するのは「英語のうまい日本人」の英語を真似ることだ。竹中さんがハーバードに留学していたときは、当時ハーバードの客員教授だった小和田恒(ひさし)さん(現国連大使。雅子妃の父君)、の英語を参考にしていたという。

外交とは何か外交とは何か
著者:小和田 恒
販売元:日本放送出版協会
発売日:1996-07
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竹中式経済勉強法 「庭師と植物学者は違う」

「庭師と植物学者は違う」というのはポール・クルーグマン教授の言葉だそうだが、優れた経済学者が優れた政策ができる保証はどこにもない。経済学者は政策実行に関わったことがない人たちが政策の議論をしているからだ。

竹中バッシングの時に、批判的な議論の中にも参考になる意見があると思って、耳を傾けたが、あるのは具体的代案のない批判ばかりで役立つ議論はほとんど皆無だったという。

竹中さんは長年批判され続けた結果、批判には3タイプあるという結論にたどり着いたという。そのいずれも対案のない批判のための批判であると。

一つは「コントラリアン型」で人とは常に反対の意見を言う人。次は「永遠の真理型」で、「長期的な視野に立て」とか言うが、”だからどうする”がない人、最後は「ラベルを貼る」型で、決めつけタイプ、「竹中は市場原理主義者だ」とかいったものだ。レッテルを貼って、問答無用とする。


竹中さんの情報ソース

竹中さんが進める情報ソースの一つがNational Bureau of Economic Research(NBER)の報告書だ。精鋭の経済学者による世界最新の経済レポートで、現在はインターネットでダウンロードできるという。

ハーバード大学、スタンフォード大学などの講義も参考になるという。

iTunesのPodcastで"Standord University"で検索すると150くらいの講義が表示されるので、一度試して欲しい。

Podcast Standford University






竹中式世界に通じる勉強

聞き上手になれと竹中氏は言う。小泉元総理の聞く技術は印象的だったという。小泉さんは大事な話は相づちも打たずに押し黙り、目をつむって聞くクセがあったという。

それだけ神経を集中させて聞いていたのだと。

最後まで聞いて、「それはつまり、こういう意味ですか」と念を押して、「ありがとうございました」と言って引き下がり、一人になって考えて最後は必ず一人で決断するという。

このステップがあったから熟慮の上の判断ができたのだと。


最後に竹中さんは、友人である元アリスの谷村新司さんの「鳥は向かい風の中、飛び立つ」という言葉と、「結局最後は志で決まる」ということを語っている。


「闘う経済学者」というイメージの"sharp-tongued"な部分もあるが、勉強法としてはオーソドックスで、誰でも実行できるものだ。

筆者も実践している勉強法が多く含まれているので、敬遠せずに一読をおすすめする。


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2009年03月25日

カーネル・サンダース 65歳で起業したKFCの創業者 何歳でも起業はできる

カーネル・サンダースカーネル・サンダース―65歳から世界的企業を興した伝説の男
著者:藤本 隆一
販売元:産能大学出版部
発売日:1998-09
おすすめ度:5.0
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道頓堀でカーネル像が25年ぶりに引き上げられたからではないが、何年か前に読んだケンタッキー・フライド・チキンの創始者カーネル・サンダースの伝記を読み返してみた。

カーネル・サンダースはインディアナ州に生まれ、6歳の時に父親が病死。母は再婚するが、カーネルは義父と折り合いが会わず14歳で家をでる。

それから農場の手伝いや鉄道関係の仕事など転職を繰り返す。

学歴は小学校卒だが、その後も通信教育などで勉強し、アーカンソー州のリトルロックで弁護士として働いたこともある。

しかし納得のいかない判決に怒り、州議会に提訴して判決を覆すが、その後依頼が来なくなり弁護士を辞めてインディアナ州に戻り、鉄道で再度働く。

カーネルは人一倍働き者だったが、妥協できず、すぐかっとする性格から仕事を頻繁に変えている。

22歳の時にインディアナ州のジェファソンビルという町でフェリーボートの経営に参加し、ロータリークラブに入会する。

そのときのロータリークラブの”4段階テスト”がカーネルのその後の仕事の指針となる。

1.そのビジネスに嘘偽りはないか
2.そのビジネスは関係するすべての人に公平なものか
3.そのビジネスは良好な人間関係を作っていくものか
4.そのビジネスは関係するすべての人にとって有益なものか

その後もいろいろな仕事を転々とし、30歳になる前の1920年代の終わりにケンタッキー州のニコラスビルでガソリンスタンドを始める。

カーネルは自分で”ケンタッキーで自動車の窓をサービスとして洗った最初の人間だ”と自慢しているそうだが、サービス精神旺盛でガソリンスタンドは繁盛した。

ところが大恐慌で売り上げは急減、1930年にニコラスビルのガソリンスタンドを手放し、シェルオイルの紹介で同じケンタッキー州のコービンという町でガソリンスタンド経営を始める。

そしてガソリンスタンドに隣接した物置で、テーブル一つといす6席のサンダース・カフェを始める。

カーネルの”人が喜ぶ料理を真心をこめて作る”という姿勢からサンダース・カフェはおいしい料理を出すということで有名になり、規模も拡大して24時間営業を始めた。その後、カーネルはガソリンスタンドを手放してサンダース・カフェの経営に専念するようになる。

45歳になった1935年にはケンタッキー州からカーネルという名誉称号を与えられている。

サンダース・カフェに隣接してモーテルのサンダース・コートを開き、順調に拡張していたが、1939年にカフェとモーテルは火事で全焼したので、1941年に142席という大レストランをコービンに再建する。

カーネルは料理の味とともに、Q=quality、S=service、C=cleanlinessにこだわり、現在のファーストフードチェーンの基本コンセプトをつくったのだ。

ケンタッキーフライドチキンの原型はカーネルが11種類のスパイスを配合し、母親ゆずりの調理法の圧力鍋で調理するやり方を考え出したことで誕生した。

当初はフライパンに鉄のふたで調理していたので調理時間が30分以上かかっていたが、圧力鍋で調理することによって7分に短縮でき、現在の「オリジナル・レシピ・イレブンスパイス・フラインドチキン」が誕生した。

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出典:日本ケンタッキーフライドチキンホームページ

普通のフライは肉が固くなってしまうが、カーネルの方式で調理したチキンは肉が柔らかでジューシーなので、またたく間に評判になっていった。

順調に推移していたサンダース・カフェだが、1950年代のハイウェー建設ブームでハイウェイ75号がコービンの町を迂回して建設されてからは、カフェの売り上げは激減した。

カーネルは60歳を超えていたことでもあり、カフェビジネスを人に売って、引退しようと考えるが、受け取る年金額が月に105ドルしかもらえないことを知り愕然とする。

カーネル自身は”もしハイウェイが建設されなかったら、おそらく私はケンタッキー・フライド・チキンを始めなかっただろう”と語っている。

カーネルは自分の秘伝のフライドチキンの作り方をレストランに教えるビジネスを思いつき、まずは以前からの友人だったソルトレークシティのピート・ハーマンの自宅を訪れ、ピートの家族に食べてもらう。

"Finger lickin' good"(指をしゃぶるほどおいしい)の始まりだ。ピートが”ケンタッキー・フライド・チキン”と命名する。米国南部のいわゆるサザンホスピタリティを思い起こさせるネーミングだからだ。

カーネルは”60歳を過ぎてからの自分の人生を、大きく変えた出来事が2つあった。一つはハイウェイの建設で、もう一つはピート・ハーマンと出会ったことだ”と語り、ピートへの感謝を自伝に書いている。

1956年、サンダース・カフェをオークションで売却し、カーネルはケンタッキー・フライド・チキン”のレシピ販売に専念することになる。サンダース・カフェはハイウェイから離れていることもあり、一時の評価額の16万ドルを大きく下回り、7万5千ドルでしか売れなかった。

カーネルはそれから自分の車にスパイスと圧力釜を乗せて、レストランの訪問販売を始め、車の中で寝ては、知らない土地のレストランを訪問するという生活を続けた。

カーネルを支援したのはピートだった。ソルトレークシティに120もの看板を出してケンタッキー・フライド・チキンを宣伝し、ラジオコマーシャルも流した。

カーネルはピートのレストランをモデルレストランにして、どんどんフランチャイズ契約を拡大していった。カーネルの白い上下のスーツにひもネクタイというスタイルはこのころ始まった。

ピート自身もその後西海岸で200店舗以上を経営し、ケンタッキー・フライド・チキンの最大のフランチャイジーとなった。

1年目で7件の契約を獲得し、カーネルは移動に便利なケンタッキー最大のルイビルに移る。

カーネルの秘伝のスパイスは当初はカーネル自身が自宅の工場で調合し、フランチャイジーに送っていた。今でも秘伝のスパイス調合法はケンタッキー・フライド・チキン本社の金庫に厳重に保管されているという。

1960年にはアメリカで200店、カナダで6店、1963年には600店、イギリスでも1店舗と一挙に拡大していった。

フランチャイジーのトレーニング用に400ページものマニュアルが社内用に作られ、フランチャイジーにはそのうち40ページほどを渡して、同じサービス、同じ品質を保つ様にした。

カーネルは70歳を超え、後継者がいなかったので1964年1月ジョン・ブラウン・ジュニア(にその後ケンタッキー州知事となる)とジャック・マーシーに、ピート・ハーマンのテリトリーや娘のテリトリーフロリダ、カナダなどを除いたケンタッキー・フライド・チキンの経営権を売った。

起業してから8年後のことだ。

売った金額は200万ドルと生涯にわたっての年間4万ドルの給料、これからもビジネスの発展に関わる仕事に携わるという条件だった。

それから5年後の1969年、フランチャイジーは3500店を超え、ケンタッキー・フライド・チキンはニューヨーク株式市場に上場し、最初の100株がカーネルにプレゼントされた。

そしてケンタッキー・フライド・チキンは、1971年に2億7千万ドルでペプシコに売却されている。

三菱商事が1970年に始めた日本ケンタッキー・フライド・チキンは、カーネルが、”自分の思想を最も忠実に受け継いでくれる日本のケンタッキー・フライド・チキンを一番気に入っている”と言っていたほどだ。

神奈川県座間市のケンタッキー・フライド・チキン第1号店である相武台店では、カーネルの3度目で最後の来日の1980年に記念植樹されたポプラの木があるという。

当時の日本ケンタッキー・フライド・チキンの大河原社長は、カーネルが"The easy way becomes harder and the hard way becomes easier"とよく言っていたことを思い出すという。

カーネルは1980年に90歳の生涯を終えている。この年フランチャイジーは全世界48カ国、6,000店に広がっていた。

カーネルは65歳で起業し、フランチャイズビジネスのさきがけとなった。ビジネスを始めるには何歳でも遅いということはない。元気づけられる伝記である。

古い本なので、普通の書店では置いていないと思うので、是非図書館かアマゾンのマーケットプレースで探してみて欲しい。


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2009年03月20日

オバマ大統領の国民に呼びかけるビデオメッセージ

合衆国再生―大いなる希望を抱いて合衆国再生―大いなる希望を抱いて
著者:バラク・オバマ
販売元:ダイヤモンド社
発売日:2007-12-14
おすすめ度:4.5
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マイ・ドリーム―バラク・オバマ自伝マイ・ドリーム―バラク・オバマ自伝
著者:バラク・オバマ
販売元:ダイヤモンド社
発売日:2007-12-14
おすすめ度:4.5
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このブログでもオバマ大統領の「合衆国再生」「マイ・ドリーム」のあらすじを紹介しているが、以下は後輩の情報通”ジーニアス”大橋君(ジーニアスとは筆者が勝手に名付けた)の情報です。


オバマ大統領(側近)は、Facebook・MySpace・YouTube・Linkedin・iTunes・Flickr・Digg等の主要なインタラクティブメディアを巧みに使って露出を図り、プレゼンス・親近感を高め、「Obama Everywhere」状態です。

Facebookで590万人、MySpaceで140万人のfriendsがいます。

YouTubeにも特設コーナーを持っています。

(経済政策は、必ずしも巧くいっていませんが、人気度は健在。)

演説の巧さも然ることながら、このようなメディア戦略が同氏のポピュラリティの一つの源泉になっているのではないでしょうか。



単純に比較してはいけませんが、麻生首相(側近)の場合、メディア戦略が?ですね。

さすが情報通の大橋君です。参考になりました。


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2009年03月19日

レジェンド 白洲次郎 ファンにはこたえられない本

レジェンド 伝説の男 白洲次郎レジェンド 伝説の男 白洲次郎
著者:北 康利
販売元:朝日新聞出版
発売日:2009-01-09
おすすめ度:4.0
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このブログで紹介した北康利さんの「白洲次郎 占領を背負った男」の続編だ。

「もっと白洲次郎を知りたい」という読者の声に応えたものだという。

NHKドラマ「白洲次郎」の元本となった「白洲次郎 占領を背負った男」で描かれていなかった数々の逸話が紹介されていて、白洲次郎像がより鮮明になってくる。

NHKドラマ「白洲次郎」のホームページには様々な白洲次郎関連の情報が載せられており、掲示板まである。既に600件以上書き込みが寄せられている。NHKドラマのホームページに掲示板があるのを初めて見たが、NHKにしては珍しいと思う。

ドラマの第3回の放映が今年8月になるのは、役者の一人の病気が原因と書かれている。吉田茂役の原田芳雄が昨年末に病気になったことを指している。原田芳雄さんの吉田茂は本当に雰囲気がぴったりで、ドラマに欠かすことのできない俳優なので、致し方ないところだろう。

白洲次郎





NHKのドラマ「白洲次郎」で登場したいくつかの場面も描かれている。たとえば大阪弁の賛美歌だ。

”イエスさんわて好いてはる わてのイエスさん”という感じだ。

この話は白洲夫妻の長女で結婚後も近くに住み、晩年は夫妻の世話をした牧山桂子さんの「次郎と正子」に記されているという。

次郎と正子―娘が語る素顔の白洲家次郎と正子―娘が語る素顔の白洲家
著者:牧山 桂子
販売元:新潮社
発売日:2007-04
おすすめ度:4.0
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次郎のケンブリッジ留学時代の話のなかで、英国の貴族階級の話が出てくる。

上級の貴族の下にジェントリがあり、ジェントリはバロネットとナイト(この2つはサーがつく)、エスクワイアとジェントルマン(この2つはミスター)に分かれているのだと。

次郎はジャーディン・マセソン商会のオーナーのことを「あんなのは本物の貴族じゃねえからな」と言っていたそうだが、それは貿易を通じて国家への貢献大の人に送られるサーの称号を指しているのだ。(ビートルズなども同じだ)

英国の貴族制については全然知識がなかったので、勉強になった。

この本で取り上げられている逸話のいくつかを紹介しておく。


●戦争中の次郎

開戦前後に、次郎が日本水産の取締役だったころの話だ。次郎はスキー部の部長をつとめていたが、社内報に「白洲さんは君が代のほかには何も歌えない」と書かれていたという。

社内報に書かれるほどの音痴だったという。

次郎は戦時中帝国水産の理事になるが、不満を社長の有馬頼寧(よりやす)にぶつけており、有馬の日記にこれが記されているのでおもしろい。有馬頼寧はその後日本中央競馬会の理事長になり、有馬記念で名を残す。

昭和19年9月26日「相変らず白洲君に話し込まれる。どうして比人は日本の敗ける事を前提としてのみ話をするのであらう」

19年12月に次郎は有馬の「いやならやめろ」という忠告に従って帝国水産を退社したという。


●GHQの親切の押し売り

次郎は1954年の文藝春秋にGHQの担当者を評して:

「無経験で若気の至りとでも言う様な、幼稚な理想論を丸呑みにして実行に移していった。

憲法にしろ色々の法規は、米国でさえ成立不可能な様なものをどしどし成立させ益々得意を増していった。

一寸夢遊病者の様なもので正気かどうかも見当もつかなかったし、善意か悪意かの判断なんてもっての外で、ただはじめて化学の実験をした子供が、試験管に色々の薬品を入れて面白がっていたと思えばまあ大した間違いはなかろう」。

と語っていることが紹介されている。

GHQ民政局のケーディスは十字軍の様な使命感で日本の民主化を主導しようとしていたという。


●バー・モウ事件

バー・モウは日本軍政下におけるビルマの首相で、終戦後日本に亡命し、新潟県の六日町で隠れていたが、GHQに出頭し、口から出任せで”日本には反連合国活動をしている巨大な地下組織が存在している”と告げる。

Greater_East_Asia_Conference




昭和18年11月の大東亜会議に出席した各国首脳の写真。一番左がバー・モウ、一番右がチャンドラ・ボース。

出展:Wikipedia


GHQ側も、”あれほど勇猛だった日本軍がまったく抵抗しないのはおかしい”と思っていたので、やはりレジスタンス組織があったのかと大騒ぎになったが、これを次郎が”現地に人を派遣して調べさせれば良い”ととりなし、騒ぎは収まる。

このことで次郎を軽く見ていた日本政府の官僚たちの評価が一変したという。

実は次郎は民政局の掲示板のメモで気がついていたのだが、GHQもそれに気づき、以後次郎は立ち入り禁止になったという。


●日本国憲法制定

NHKのドラマでも終戦後、マッカーサーが近衛文麿に新憲法作成を依頼する場面が出てきたが、米国のジャーナリズムに批判されるとマッカーサーは手のひらを返すように近衛を切り捨てる。

憲法についても元々幣原内閣の時に、日本側の案を松本蒸治に作らせていたが、これをマッカーサーが受け入れなかった。

マッカーサーはソ連も入った連合国各国代表による極東委員会が乗り出してくる前にかたをつけようとして、昭和21年2月に9日間でGHQ民政局の25名のスタッフに草案をつくらせ、ハーグ協定に違反しないようにGHQ案としてではなく、日本政府に3月6日に「憲法改正草案要綱」として発表させた。

外務省に「白洲手記」という文書があり、そこに”「今に見てゐろ」ト云フ気持抑ヘ切レズ。ヒソカニ涙ス”と書かれているという。


●安倍晋太郎は次郎番の記者だった

次郎と特に親しかった新聞記者は毎日新聞の安倍晋太郎と、読売新聞の三品鼎だったという。安倍晋太郎はもちろん安倍晋三元総理の父君だ。三品さんは”あの頃の白洲さん”という文を小説新潮の2008年2月号に書いている。

安倍晋太郎は山口弁で「やれんのう」(やっとれんなあ)とよく言っていたそうだが、次郎がそれを聞いてスキー小屋に「ヤレン荘」と命名したという。

次郎は読売グループの中興の祖の正力松太郎に日参され、日本のテレビ放送に正力の押すアメリカ方式を採用させようと動く。

NHKは日本独自技術の高柳方式でテレビ放送を開始すべく、吉田学校の優等生の佐藤栄作郵政・電気通信大臣の支援を得ていたが、最終的に吉田茂は次郎の推すアメリカ方式採用を決断する。

これは筆者の意見だが、もし日本が独自方式を採用していたら、携帯電話で起こったようなドコモ方式によるガラパゴス化が起こったかもしれない。そうなると日本の電機メーカーがその後テレビの輸出で儲けて大きくなれたかどうかわからないところだ。

ハイビジョン方式・デジタルハイビジョン方式も同じだ。NHKは世界規格化を目指したが、結局欧米は独自規格を採用した。

その意味ではアメリカ方式の採用はその後の日本の電機業界にはプラスだったのではないかと思う。

次郎の交友関係では帝国ホテルの社長だった犬丸一郎氏、デザイナーの三宅一生氏、大洋漁業(現マルハ)の中部謙吉氏(次郎は大洋漁業の相談役を務めたことがあり、これが縁で大洋ホエールズの応援にもよく行ったという)、西武の堤清二氏の話などが紹介されている。

銀座にあった寿司屋「きよ田」(平成12年閉店。現在の「きよ田」とは別)、「室町砂場」のそば、帝国ホテルのローストビーフ、軽井沢ゴルフ倶楽部の話などが紹介されている。

「白洲次郎 占領を背負った男」の帯に推薦文を書いた城山三郎さんは、軽井沢ゴルフ倶楽部では次郎に何度かひどいめに会わされて、いい感情を持っていなかったようだが、推薦文を書いてもらって申し訳ないと北さんは語る。

次郎の愛用品は洋服はHenry Poole、ネクタイはTurnbull & Asser、カバンはルイ・ヴィトンだったという。

この本の最後に載っている三宅一生デザインの服を着て、モデルの北村みどりさんと写真に収まっている次郎はデレデレしてしまりがないが、いかにも人間くさい写真で好感が持てる。

最期は「相撲も千秋楽、パパも千秋楽」と言って、看護婦にも「右利きです。でも夜は左(左利きは飲んべえの意味)」とかジョークを飛ばしていたという。

遺言状も「一.葬式無用 一.戒名不用」とだけ書き残している。かっこいいじいさんがいたものである。


白洲次郎ファンには、こたえられない本だろう。是非一度手に取ってみることをおすすめする。


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2009年03月17日

深海の使者 吉村昭氏の最後の戦史小説

深海の使者 (文春文庫)深海の使者 (文春文庫)
著者:吉村 昭
販売元:文芸春秋
発売日:1976-01
おすすめ度:5.0
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「日本は原子爆弾をつくれるのか」に戦争末期にウラン鉱石を積んで日本向けに出航したドイツU−234潜水艦のことが紹介されていたので読んでみた。

この本は第2次世界大戦中の日本とドイツの軍事交易を描いており、潜水艦による交易と超長距離飛行機の試みを描いている。

潜水艦と飛行機以外にも関榮次さんの"Mrs. Ferguson's Tea-set"で紹介されていたように貨物船に偽装したドイツ軍艦でも日独交易は行われている。

潜水艦による交易は、昭和17年6月の伊ー30号に始まる。伊ー30号は数々の苦難を乗り越え、アフリカ喜望峰沖のローリングフォーティーズ(”吠える40度”= 南緯40度から50度の風浪の激しい海域)に到着した。

世界屈指の難所では常に40メートルを超える突風が吹き、波浪はすさまじく途中で故障が起こったが、なんとか2週間掛けて切り抜けた。

ドイツには雲母や生ゴム、航空母艦の設計図、航空魚雷の設計図などを送り、帰路にはドイツのレーダーと4連装機銃、エニグマ暗号通信機、工業用ダイヤモンドなどを持ち帰った。

伊ー30号は50日掛けて昭和17年の10月にマレーシアのペナンに帰還するが、ペナン港でイギリス軍の機雷にふれて沈没する。レーダーは壊れていたが、海軍は潜水夫を使ってなんとかレーダーの設計図と工業用ダイヤを回収した。

潜水艦以外でも昭和17年7月にイタリアの長距離飛行機SM−75クリミア半島、内蒙古の包頭経由で東京に到着した。SM−75は帰路も同じルートでイタリアに無事到着した。

昭和18年にはアフリカ沖の潜水艦同士のランデブーも行われ、ドイツで英国からのインド独立運動を指導していたチャンドラ・ボースを日本に招聘した。

日本の潜水艦伊ー29号には欧州大使館の活動資金として大量の金塊が積まれ、無酸素魚雷などがドイツに供与された。ドイツのU−180には、チャンドラ・ボースが乗り込むとともに、小型潜水艦の設計図、対戦車砲の特殊砲弾などが積み込まれた。

昭和18年4月にマダガスカル沖400海里で2隻の潜水艦がランデブーし、互いの積み荷を交換し要人を輸送した。

伊ー29号はチャンドラ・ボースをスマトラのサバン島に送り届けた。ボースは空路で日本に向かい、昭和18年6月には東京で東条英機首相と面談し、世界に向けてインド独立運動を呼びかけ、自由インド仮政府樹立を宣言した。

ドイツ行き第2弾は昭和18年6月の伊ー8号で、ヒットラーからの贈り物のUボートを回航するための乗務員50名と、キニーネ、錫、生ゴムを積み、途中でUボートと落ち合って、ドイツの最新式レーダーを装備し、66日でフランスのブレスト軍港に到着した。

800px-I-8



伊ー8号の帰路は、魚雷艇用のダイムラーベンツ社製エンジン、レーダー、電波探知機、4連機銃などを持ち帰った。航海途中の昭和18年9月にイタリアが無条件降伏し、とらえられていたムッソリーニがドイツの手で救出されるという事件もあった。

伊ー8号は苦難を乗り越え、約60日でシンガポールに帰還した。

ヒットラーの贈り物は2隻のUボートで、一隻のU−511は昭和18年7月に69日間の航海を終えてペナンに到着しており、呂ー500と改名された。ドイツの潜水艦無償譲渡の目的は、日本で同型艦を生産してほしいというものだったが、すでに資材が不足して日本には潜水艦の生産能力はなくなっていた。

日本側乗組員の乗るのはU−1224で呂ー501号と改名して、昭和19年3月に日本に向け出航した。ドイツの潜水艦技術やジェットエンジン技術を勉強した技術者も同船していたが、昭和19年5月に連合軍の最新式のソナーと対潜水艦兵器ヘッジホッグによる攻撃を受け大西洋で沈没した。

Hedgehog_anti-submarine_mortar





ヘッジホッグ

出展:Wikipedia

第3弾の伊ー34号は、錫、タングステン、生ゴムなどを積み、日本の潜水艦技術者も乗船してドイツに向かったが、ペナン沖で英国潜水艦に撃沈された。生存者はわずかに13名だった。

第4弾は伊ー29号で昭和18年12月にキニーネ、生ゴム、錫、タングステンなどを積んでドイツに向かった。伊ー29号も途中でドイツ潜水艦とランデブーして、最新式のレーダーを装置し、86日の航海を経てキール軍港に入港する。

その間昭和18年7月には朝日新聞社超長距離飛行機キー77がドイツに向け無着陸飛行に飛び立つが、インド洋上で消息を絶つ。キー77は名古屋空港・航空宇宙館に模型がある。

キー77






出展:名古屋空港・航空宇宙館ホームページ

伊ー29号は昭和19年4月ドイツからレーダー、魚雷艇エンジン、Me262ジェット戦闘機、Me163ロケット戦闘機の設計図とドイツで学んだ日本人技術者を乗せて帰国の途につき、3ヶ月後シンガポールに到着した。しかし日本に戻る途中で、フィリピン沖で3隻のアメリカ潜水艦の待ち伏せ攻撃を受け、沈没する。

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Me262

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Me163

しかし機密兵器の図面はシンガポールから飛行機で輸送されたので、これを元にして秋水橘花と特攻機桜花が製造された。しかし秋水と橘花は試験飛行で大破し、わずかに桜花のみが実戦に使用された。

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秋水

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橘花

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桜花

出展:写真はすべてWikipedia

最後の第5弾は伊ー52号で、昭和19年4月に金塊2トンと、シンガポールで錫、タングステン、生ゴムを積んで出航した。ドイツの電波兵器技術の導入が目的だった。昭和19年6月6日には連合軍のノルマンディー上陸作戦が行われ、ドイツの配色が濃くなった中での出発だった。

伊ー52号はフランス入港まであと1日というところで撃沈された。昭和19年7月20日はヒットラー暗殺未遂事件が起こる。

最後の日独潜水艦便は昭和20年3月にキール軍港を出港したU−234だ。この潜水艦にウラン鉱石500Kgとジェットエンジンの設計図や、分解したMe262が積まれ、ヒットラー暗殺事件に加担したケスラー大将、ドイツで学んでいた潜水艦建造技術の専門家友永技術中佐と、ジェットエンジンの専門家庄司技術中佐が乗船した。

ちなみに吉村さんの本にはウラン鉱石の話はない。

U−234は最新のシュノーケルを装備していたので連続して15日間潜行を続けた。カナダのニューファウンドランド島東900キロに到着した時点で、昭和20年5月7日ドイツが無条件降伏したので投降せよとの緊急指令を受信する。

艦長は迷ったあげく、アメリカに投降を決意し、日本人技術者2人は睡眠薬を飲んで自殺した。

その後日本は無条件降伏した。終戦後アメリカ軍は日本が開発した高速潜水艦伊ー201号と超大型潜水艦伊ー400号をアメリカへ回航し、研究した後爆破処分した。

これによって日本海軍の潜水艦は佐世保で桟橋代わりに使われていた呂ー57号のみが残ったという。


この小説は吉村昭氏が書いた最後の戦史小説となった。

吉村氏は約200名の人に取材して昭和47年から「文藝春秋」に連載を始め、2年後に単行本として出版した。その時に挨拶状を送ったら24名の遺族から亡くなったと連絡があり、もう満足に資料を集めることはできないと感じて戦史小説を書くのをやめたという。

本作品は史実に基づいており、史実を知っても小説のおもしろさは変わらないと考え、史実部分のあらすじを紹介した。

小説なのでフィクションもあるのだろうが、広範囲で綿密な取材に基づくストーリーにはつい引き込まれる。

昭和48年(1973年)発刊の作品だが、大変おもしろい。是非一読をおすすめする。


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2009年03月14日

日本に足りない軍事力 本当に有効な戦力とは何かを考えさせられる

日本に足りない軍事力 (青春新書INTELLIGENCE)日本に足りない軍事力 (青春新書INTELLIGENCE)
著者:江畑 謙介
販売元:青春出版社
発売日:2008-09-02
おすすめ度:3.5
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テレビにもよく登場する軍事評論家江畑謙介さんの本。

来週北朝鮮が人工衛星打ち上げロケット(テポドン?)を発射すると発表しているが、テポドンが発射されたらミサイルで迎撃する可能性もあるので読んでみた。

この本では最新の軍事技術や武器の多くが写真入りで紹介されていて参考になる。

様々な角度から日本の軍事力を分析すると、軍事費の面では世界第3位かもしれないが、戦闘機や戦車、イージス艦など正面装備は世界トップクラスのものを装備していても、本当の戦闘能力、国としての脅威に対処する戦略という意味で日本には大きな問題があることがわかる。

国家の安全保障上の義務は、予想される脅威に備えることだが、日本は予想される脅威に準備をしていない点が多い。

たとえば北朝鮮の脅威は弾道ミサイルだが、日本は1993年のノドン発射自体も米軍から教えてもらって初めてわかったありさまで、1998年のテポドン発射まで日本の体制に大きな変わりはない。

米国からパトリオットミサイルと軍艦から発射するスタンダードSM−3ミサイルを整備して、今度は北朝鮮の弾道ミサイルは迎撃できると言っているが、はたしてそれができるのか。

弾道ミサイルの発射を監視し、早期発見する軍事衛星網はすべて米国に頼っている。2008年に宇宙基本法が成立したので、日本も早期警戒衛星を持つ道が開けたが、江畑さんは衛星でなくともたとえば無人飛行船でも早期警戒はできると語る。

巡航ミサイル防衛もできていない。

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トマホーク巡航ミサイル

出展:Wikipedia

北朝鮮がウクライナから巡航ミサイルを買って、核攻撃能力を備えたというのが、手嶋龍一さんの「ウルトラダラー」のストーリーだが、日本は超低空で飛行する巡航ミサイルの迎撃体制はない。

ウルトラ・ダラー (新潮文庫)ウルトラ・ダラー (新潮文庫)
著者:手嶋 龍一
販売元:新潮社
発売日:2007-11
おすすめ度:3.5
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防衛庁は巡航ミサイル探知能力に優れるF−22導入を進めたい考えだが、巡航ミサイルを探知するために超高価でしかも米国が販売を許可しないF−22導入を考えるのは誤りだと江畑さんは指摘する。

F-22






出展:Wikipedia

早期警戒機や、早期探知気球など安価なソリューションが他にある。

日本には長距離地上攻撃能力も対地精密攻撃能力もない。北朝鮮の基地を叩こうといっても、どだい無理な相談なのである。

総合作戦能力もない。帝国陸軍、帝国海軍の連携の悪さを引きずり、陸上自衛隊のヘリコプターを船内に収納できる護衛艦はない。

専守防衛に反するとして、パワープロジェクション能力(短時間に兵員を投入できる能力)を整備していない。だから国際的な人道活動や平和維持軍などにも迅速に対応できない。

サイバー戦の準備も後手だ。2008年3月に自衛隊に「指揮通信システム隊」を発足させ、サイバー戦の準備を始めたが、中国などのサイバー攻撃に十分な防御ができるのかは疑問だ。

このような日本の軍事力の問題点がわかりやすく指摘されている。


最新の軍事技術

江畑さんが解説する最新の軍事技術で特筆すべきものを紹介しておく。

●飛躍的に上がった爆弾必中率

爆弾のCEP(半数必中率)はレーザー誘導と衛星誘導(GPS)の導入により飛躍的に向上している。たとえば1999年のユーゴ空爆ではGPS誘導爆弾のJDAMのCEPは実質3−4メートルになっているという。

これだけ必中率が上がると大型の爆弾を使用する必要はなく、小型の爆弾で良い。


●無人兵器の発達

ラスベガスの基地から誘導されてアフガニスタンやイラクで活躍しているプレデターは、トム・フリードマンの「フラット化する世界」でも紹介されていたが、これの改良型がリーバースカイ・ウォリアーだ。プレデターはヘルファイアーミサイルを搭載しており、リーバースカイ・ウォリアーは大型化され、ミサイルと爆弾まで搭載できる。

800px-080709-F-2511J-105






プレデター

出展:Wikipedia

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リーパー(死に神の意味)

出展:Wikipedia

短距離空対地ミサイルの代表がヘルファイアーで、誘導装置も初期のレーザー誘導型から、ミサイル先端部分の誘導装置を交換すれば赤外線誘導型、ミリ波レーダーを使った画像認識誘導型にもできる。

Hellfire_AGM-114A_missile





ヘルファイアーミサイル

出展: Wikipedia

ヘルファイアーはイギリスで改良され、プリムストーンミサイルになった。射程が7キロから12キロに伸び、弾頭はタンデム型(2段型)で、爆発反応装甲(ERA)に対する破壊力が増大している。次の写真の戦車に煉瓦のように積まれているものがERAだ。

先端の弾頭で戦車のERAを爆発させ、防御能力を減衰させてから2段目の弾頭ば戦車の装甲を貫通して爆発するのだ。

ERA






爆発反応装甲(ERA)

出展: Wikipedia

ブリムストーンミサイルは目標の自動発見、捕捉、攻撃能力を持つので、ファイア・アンド・フォゲットの攻撃が可能で、敵のフレア(赤外線妨害弾)やチャフ(レーダー妨害材)がある環境でも的確に目標を捉え、攻撃できる能力が増している。

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ブリムストーンミサイル

出展: Wikipedia

複数の目標にも1発ずつ個別に攻撃できるような誘導装置のアルゴリズムが開発され、一つの目標に複数のミサイルが命中するという無駄がなくなった。同志討ち防止や、家のような動かない目標は攻撃しないとか、水面上の船のような大きい目標のみ狙うとかといった設定もできる。

このような自律誘導型のミサイルを多数発射されると、地上部隊はよほど遠方から攻撃機を察知しないと、一方的にやられるままになるおそれがある。


●低コストで戦力アップーロケット弾のミサイル化

第2次世界大戦から使われてきたロケット弾も弾頭部にフィン付きのレーザー誘導装置やGSP誘導装置を取り付けると安価な精密誘導型ロケット弾になる。

自衛隊も持っているMLRS(多連装ロケット弾システム)の先端の弾頭を取り替えるだけで、小型精密ミサイルになり、射程が70キロと長いので”70キロ狙撃銃”に変身できるのだ。

Hydra_70_01






ハイドラ・ロケット弾

出展: Wikipedia


このように手持ちのロケット弾を精密ミサイルに安価に転換する武器が開発され、米軍が大量発注している。


●対レーダー兵器・無人兵器のない日本

日本の自衛隊ではARM(対レーダー攻撃ミサイル)ももっておらず、敵のレーダーを攻撃する兵器を持っていない。これでは危なくて航空機は戦場には近づけない。

これを見ても自衛隊は戦闘機や戦車、ミサイルなどの正面装備の調達には積極的だが、本当に有効な武器の調達には積極的でないと言わざるを得ない。

プレデターなどの無人兵器を展開するには、米国の様な陸軍・海軍・空軍が一体となった統合防御システムを構築する必要があり、これには多額の費用がかかることは間違いない。

しかし米国のソフトをライセンス導入するにしても、これらは日本企業で構築可能であり、今のような不況時にはF−22などに一機数百億円使うよりは、無人機による偵察・防衛システムを構築する方が景気対策にもなり、コスト的にも実効性の高い防御システムではないかと思う。

遠隔操作で操縦する操縦士の育成も必要だが、無人機の操縦士はジェットパイロットの様に身体も頑強である必要はないので、育成のコストも全然違うと思う。(もっとも無人機のパイロットは長時間勤務でメンタル面では結構つらいらしい


●サイバー戦争も現実化

1999年のユーゴ空爆では、実際には存在しないNATO軍機が到来するような偽の情報を米空軍はユーゴの防空システムに送り込み、別の方向から航空部隊を進入させたという。

この種のサイバー攻撃は、2007年のイスラエル軍がシリアの北朝鮮型黒鉛原子炉を爆撃する作戦でも、シリアの防空システムを無力化する手段の一つとして利用されたという。

2007年4月にはエストニアがサイバー攻撃にさらされ、約3週間政府機能や、銀行、携帯電話などのインフラが停止した。エストニアはE-stoninaと名乗るほど、国家としてIT化を進め、電子政府化でペーパーレスになっており、国政選挙にもネット投票が導入されているほど先進的だが、そのネットワークの脆弱部分が攻撃されてしまったという。


最新の軍事技術が写真入りで紹介されており、軍事予算が削減されている環境下で、各国とも低コストで有効な軍事力を備えるため、開発にしのぎを削っていることがよくわかる。

日本の自衛隊も安価で実効性の高い軍備を保有する必要があるのではないか。

日本の軍事力について考えさせられる本である。是非一度手にとってページをめくってみることをおすすめする。


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2009年03月10日

脳を活かす仕事術 売れっ子脳科学者茂木さんのベストセラー第2弾

脳を活かす仕事術脳を活かす仕事術
著者:茂木 健一郎
販売元:PHP研究所
発売日:2008-09-10
おすすめ度:3.5
クチコミを見る


前回紹介した「脳を活かす勉強法」の続編。超売れっ子脳科学者茂木健一郎さんの本だ。

最初に茂木さんが就職で苦労した話から始まる。東大で博士号をとったが、卒業前に就職が決まっておらず、いわゆるオーバードクターになるところだった。

自分の将来が決まらず不安だったが、ちょうど理化学研究所で脳科学研究センターを立ち上げるという話があり、タイミング良く就職が決まった。

研究論文がなかなか書けず悩んでいたところ、先輩の”一本目の論文を書いたら、世界が変わってくる”というアドバイスをもらって気持ちが楽になったという。

このような「わかっちゃいるけど、できない時、どうすればよいのか」がわかってきたという。それは脳の「感覚系学習の回路」と「運動系学習の回路」に秘密が隠されていたのだ。


この本の目次

脳を活かす仕事術は、アマゾンのなか見検索に対応しているので、目次をチェックして頂きたい。大体の内容が推測できると思う。

はじめに 卒業前に就職先が決まっていなかった大学院時代

第1章 脳の入力と出力のサイクルを回す

第2章 茂木式「脳の情報整理術」

第3章 身体を使って、脳を動かす

第4章 創造性は「経験×意欲+準備」で生まれる

第5章 出会いが、アイデアを具現化する

第6章 脳は「楽観主義」でちょうどいい

第7章 ダイナミックレンジが人生の幅を広げる

第8章 道なき場所に道を作るのが仕事である

おわりに 脳は何度でもやり直しがきく


いくつか参考になる点を紹介しておく。


●わかっているのにうまく表現できない理由

わかっているのにうまく表現できない理由は、脳の感覚系の学習回路と運動系の学習回路のバランスがとれていないからだと茂木さんは説明する。

Appleのスティーブン・ジョッブスは"Real artitists ship"と言ったが、これは本当の芸術家は製品を生み出す(出荷する)という意味だ。

仕事は「ああでもない、こうでもない」と悩んでいるだけでは、いつまでたっても形にならない。自分で考え込まずに早めに作品としてリリースすることが大切だ。

どんな名人でも脳の中の情報は一度出力してみないと善し悪しを判断できない。茂木さんがインタビューした宮崎駿監督も同じで、イメージボードに何度も何度も出力して、時には数ヶ月かけて映画の場面のイメージボードを完成させるのだ。

運動系と感覚系は脳の中で直接つながっていない。誰かにしゃべっているうちに自分の考えがまとまることがよくある。これをイギリスでは"talk through"と呼んでいる。

このように脳にインプットされた情報を書いたり、話したりして出力する。その結果、その情報が自分のものとなる。これが茂木さんの仕事の極意、”脳の入力と出力のサイクルを回す”ことだ。


●余談ながらプロクラステネーションについて

ところで、この「ああでもない、こうでもない」と悩むことを英語では"procrastination"(プロクラスティネーション)と呼ぶ。筆者が好きなブラアイン・トレーシーの一番の教えが、どうやったら"Procrastination"をなくせるかだ。

筆者が通勤途上に好んで聞いているAudibleのブライアン・トレーシーの"Sucess Matery Academy"では、仕事の生産性を上げるやり方をいくつも紹介しているが、その一つが朝一で自分のやるべきことをまずメモに書き出して、自分の頭の中身をアウトプットしてから仕事に取りかかることだ。

success mastery academy






デール・カーネギーだったか、20世紀初頭、鉄鋼王アンドリュー・カーネギーに育てられ鉄鋼メーカーの社長として成功したチャールズ・シュワブは、ある人から毎朝その日やることを5つメモに書いて、仕事に取りかかるというやり方を提案され、その人に報酬として25万ドルの小切手を送ったという。

簡単だが、すぐに試せる高率アップ策だ。


●仕事のクオリティを上げる「高性能の鏡」

単にアウトプットするだけではダメで、常に自分の作品、仕事を客観的に観察し、他人の作品を見るように良い点と悪い点を厳しく分析することが重要だと茂木さんは語る。他でも出てくる”メタ認知”だ。

ハダカの王様になってはいけない。「高性能の鏡」を持つのだと。

ミシュラン3つ星の「すきやばし次郎」の小野二郎さんも、たとえ高値で買い入れたマグロでも自分で味を確かめてお客さんに出せるレベルのものしか出さないという。

常に自分の仕事をモニタリング続けるのだ。

同様に茂木さんは、自分の代表作と考えている「脳と仮想」を他の人の作品と比べて自分にプレゼンテーションするという。

脳と仮想 (新潮文庫)脳と仮想 (新潮文庫)
著者:茂木 健一郎
販売元:新潮社
発売日:2007-03
おすすめ度:4.0
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今、「脳と仮想」を読んでいるので、いずれあらすじを掲載する。


●1時間脳セットアップ法

脳のコントロールの為には話したり、書いたりして身体を動かすことが一番良い。さらに茂木さんは時間を決めて脳にタイムプレッシャーをかける仕事術を実践している。

たとえばこの仕事は1時間で終わらせると決めて、取りかかるのだ。

茂木さんは5分で原稿用紙1ページくらい書けるようにトレーニングしてるので、原稿用紙5枚程度の週刊誌のコラムだと20分で書くことにする。

すきま時間には、瞬間集中法が有効で、仕事を始めたら1秒後には仕事に集中するということを繰り返していけば、脳の集中回路が確実に鍛えられる。

頭が煮詰まったら、簡単な動作で頭を切り換えるのだと。


●脳の「引き込み現象」

脳は思いがけない新鮮な話や、相手が本気で言っていることなどには、興味・関心を持ち、いったん相手の話に引き込まれると、その状態が続いている限り集中力が持続し、さらに引き込まれるという。

たとえばソニーの出井さんは、スピーチをするときに原稿を用意することはないという。その場で「思い」をはき出すのだと。当意即妙のスピーチだから聴衆は引き込まれるのだ。

だから挨拶はそこそこにして、いきなり本題に入る方が効果的だという。

これを茂木さんは「タイガー・ジェット・シン仕事術」を呼んでいる。

プロレスラーのタイガー・ジェット・シンは、サーベルを持っていきなり場外乱闘からプロレスの試合が始まる。選手紹介も何もなしでいきなり試合が始まるのだ。


●自分の「生命の輝き」を放つための5つの行動

茂木さんは自分の「生命の輝き」*を放つためには次の5つの行動が重要だと語り、それぞれにつき1章を割り当てて説明している。

*注:筆者は初めてこの表現を聞いた。生き甲斐とか生きる価値とかいう意味だと思うが、非常にいい言葉だと思う。

・クリエイティビティ(創造性)を持っていること

・セレンディピティ(偶然の幸福と出会う力)があること

・オプティミスト(楽天家)であること

・ダイナミックレンジ(情報の受信範囲)が広いこと

・イノベーション(改革・革新)を忘れないこと


●ノイズが脳にもたらす良い効果

茂木さんが留学していたケンブリッジのパーティでは自分の研究について語ってはいけないという不文律があったという。

当初は茂木さんはこれが不満だったが、途中から研究に全く関係のない話をしていると突然インスピレーションがわいたり、新しい情報をインプットができることがわかり、納得したという。

脳は不確実性やノイズを大切にしているのだ。ずっと集中するのではなく、時にはノイズを入れて、メリハリをつけることが創造性を発揮する。


●根拠なき自信の効果

スガシカオさんは、29歳まで普通のサラリーマンをしていたが、突然プロの音楽家を目指して辞表を提出した。デビューの見通しもなかったが、「根拠のない自信があった。そうとしかいえない」と言っていたという。

茂木さんは人間が輝きを放つためには、この「根拠のない自信」が絶対に欠かせないと語る。

これを茂木さんは楽観主義と呼ぶ。人は未来を楽観的に見ることによって、前進しようとする。脳科学からいうと、ポジティブなイメージをすると扁桃体が活発化して、ドーパミンが分泌される。笑いながら仕事をすることも効果がある。


●メタ認知を活かす

自分を客観的に見られる力をメタ認知と呼ぶ。メタ認知は前頭葉のもっとも大切な働きの一つだという。

組織の中で、何か新しいビジネスを起こそうとする時に、あれやこれやネガティブな理由を挙げて、出来ないことの言い訳としていないか?

それでは前頭葉=仕事脳を鍛えることはできないので、自分でルールを変える、自分でルールをつくってしまう意気込みで取り組むべきだと。

茂木さんはマルチ人間ではないと語る。マルチとは並列したものがたくさん有る状態だが、茂木さんは専門的なことから常識的なことまで、広く知っている総合的な人間力を作りたいという。それが茂木さんの言う”ダイナミックレンジ”が広い人だ。

一芸に秀でるためには総合力が必要なのだ。


●ちゃぶ台返しと水成論・火成論

人間いろいろしがらみがあるが、しがらみに負けていてはプリンシプルが保てないので、どこかで「ちゃぶ台返し」をすることが大事だという。

巨人の星」の星一徹の「ちゃぶ台返し」だという。ちゃぶ台返しはいわば火山の爆発で、これによって地形ができたというのが火成論で、水の浸食や堆積で地形が出来たというのが水成論だ。

人生を豊かにするには、火山が爆発するような火成論的な動きと、自分の人格や世界観を培う水成論的な両方が欠かせないと茂木さんは語る。

茂木さんの名刺の裏側には、噴火する火山と、海で泳ぐ鯨のイラストが印刷してあるという。


●脳はアウェー戦で鍛えられる

アウェー戦を戦い終えたあとに感じる喜びは、大量のドーパミンが分泌されるからだ。NHKの「プロフェッショナル仕事の流儀」でも、茂木さんはゲスト出演者と事前に会うことは絶対にしないという。真剣勝負を重ねていくのだ。

これからも茂木さんはアウェーの闘いを続けていくつもりであると。

茂木さんは英語圏で勝負できる人間になりたいという。

小さい頃からずっと日本社会にとけ込めない自分を感じていたという。困難を乗り越えて、パッション(情熱と受難)をもっていろいろなことに挑戦したいと語る。

最後にオスカー・ワイルドの言葉をあげている。

"We are all in the gutter, but some of us are looking at stars"(われわれは皆、どぶにいるのだが、何人かは星を見上げている)

人間としてのより高い状態を目指すこと。そのために学習し続け、行動し続ける。それこそが「なりたい自分」になる唯一の方法なのだ。

茂木さんは学生達には、「自分の正体を簡単に決めつけるな」と言っているという。人間の脳は可塑性があり、新しい機能を獲得できるのだ。

理想に向かって実際の行動に移してみること。そのためにもがいてみることが何より大切だ。そして、そのプロセスこそが人生の中で、「生命の輝き」を放つことだと結んでいる。


軽妙なテンポながらも茂木さんの思いがこもった力作である。「脳を活かす勉強法」よりはやや長いので、2時間弱くらいは掛かるが、一気に読み通せる。

是非一度手にとって見ることをおすすめする。


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2009年03月08日

女女格差 タイトルに惹かれて読んでみた

女女格差女女格差
著者:橘木 俊詔
販売元:東洋経済新報社
発売日:2008-06-13
おすすめ度:3.0
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タイトルに惹かれて読んでみた。

著者は元京都大学教授で、現在は同志社大学教授の橘木俊詔(たちばなき としあき)さんだ。

ちょっと長くなるが、内容が大体推測できると思うので、この本の目次を紹介しておく。

第1章 男女格差
 1. 人口学からみた男女格差
 2. 労働の男女格差
 3. 生活状況の男女格差
 4. 教育水準の男女格差

第2章 女性の階層
 1. 女性の階層はどう決まるか
 2. 出身階層が女性の人生におよぼす影響力
 3. 女性の階層
 4. 出身階層は結婚に影響するのか

第3章 教育格差
 1. 教育の需要と供給
 2. 女性の教育を需要と供給から評価する
 3. 女性の教育格差拡大の影響 ー 三極化の意味(超高学歴層、高学歴層、低学歴層)

第4章 結婚と離婚
 1. 人が結婚に至るプロセス
 2. 結婚しない理由
 3. 結婚のマッチング
 4. 結婚・家族に関する妻の意識
 5. 離婚率の上昇とその要因
 6. 離婚にまつわる「女女格差」

第5章 子どもをもつか、もたないか
 1. 出生率の細かい検証
 2. 人は子どもをなぜほしがるのか
 3. 子どもをもつことの負担感
 4. 子どもをもつことで変わる女性の人生
 5. 少子化を防ぐための議論を呼ぶ試案

第6章 専業主婦と勤労女性
 1. 専業主婦は女性の夢だった
 2. 専業主婦からの脱出
 3. 女性の就業を決定する要因とその実態

第7章 総合職か一般職か、そして昇進は
 1. 総合職と一般職の違い
 2. コース別人事管理制度の導入理由と歴史的変遷
 3. 「女女格差」からみた総合職と一般職
 4. 昇進への道

第8章 正規労働か、非正規労働か
 1. 就業形態の実態
 2. 就業形態による処遇の格差
 3. 非正規労働者が多く存在する理由
 4. 正規と非正規にまつわる「女女格差」

第9章 美人と不美人
 1. 美人・不美人はすぐれて主観による
 2. 平均への回帰
 3. 美人は得か
 4. 美人が得なのは不公平か
 5. まとめ

第10章 おわりに


いくつか参考になった点を紹介しておく。

●合計特殊出生率(いわゆる出生率)は1.3を切るまで低下しているが、夫婦一組あたりの子どもの数は2でずっと変わりがない。

合計特殊出生率





完結出生児数





この本の多くの統計は国立社会保障・人口問題研究所が発表している資料だ。

国立社会保障・人口問題研究所





この研究所は少子化情報ホームページで役に立つ情報をとりまとめている。

shoushika






●女性も男性も30歳を過ぎると「ある年齢までには結婚する」という人が少なくなり、「理想の相手を待つ」という人が大幅に増える。女性の場合は30歳未満はほぼ50:50で、むしろ「ある年齢までには結婚する」の方が多いが、30歳を超えると1:2と「理想の相手を待つ」が急増する。

男性の場合はここまで極端ではない。


この本では多くの統計をもとに、橘木さんが分析・コメントするという形式で、学会発表のような内容だ。

目新しい発見はないが、いままでおおざっぱに理解していた少子化の原因(要は男女ともに未婚化、結婚年齢上昇であることがわかり、橘木さんは、非嫡出子と嫡出子の権利の差をなくして、たとえばフランスの様な結婚によらない子どもが増えるようにすべきだと主張している。

また、この本のタイトルになっている「女女格差」は学歴と結婚相手、そして就労形態に関連があることがわかる。

少子化問題に興味がある人は、国立社会保障・人口問題研究所の少子化情報ホームページとともに役立つと思う。


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2009年03月06日

世界認識のための情報術 外務省のラスプーチン佐藤優氏のエッセー集

世界認識のための情報術世界認識のための情報術
著者:佐藤 優
販売元:金曜日
発売日:2008-07
おすすめ度:4.0
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このブログでも「国家の罠」など数冊を紹介している別名「外務省のラスプーチン」こと佐藤優さんの「週刊金曜日」の「飛耳長目」(ひじちょうもく)というコラムを集めた本。

飛耳長目とは「物事の観察に鋭敏で、見聞が広く精通していること。観察力や情報の収集力があり、物事に通じていることの形容」だそうで(goo辞書)、佐藤さんはインテリジェンスと同じ意味だという。

「週刊金曜日」とはスポンサーに頼らないマスコミを目指して、佐藤優氏や本多勝一、佐高信、落合恵子、石坂啓などが寄稿する政治・経済・社会問題を扱う硬派雑誌で、社長は辛口評論家の佐高信さんだ。

週刊金曜日






佐藤さんは「右派で国家主義者」と自分を称しているが、言っていることはそれほど偏向しているとは思わない。

この本では31のコラムをまとめている。参考になったものをいくつか紹介しておこう。


●佐藤さんが外交官になったきっかけ

佐藤さんは同志社大学神学部大学院出身。大学ではチェコのヨセフ・フロマートカの神学を研究したので、プラハ大学に留学してチェコ語を勉強しようと外務省にノンキャリとして入省した。

なぜ私は生きているか―J・L・フロマートカ自伝
著者:J.L. フロマートカ
販売元:新教出版社
発売日:2007-07
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実際にはロシア語ということになり、一瞬外務省を辞めようと思ったが、ロシア語の場合、最初の1年はロンドンなので、英語を覚えて、その後モスクワからチェコには旅行で行けば良いと思い直して、ロシア語研修を受けたという。

外交官を起訴休職中の今は、執筆活動に精を出す傍ら「フォーラム神保町」というメディア関係者のための勉強会にも参加しているという。

forum jinboucho






●外務省の病巣

佐藤氏の上司に元欧亜局長で外交のサラブレッド東郷和彦テンプル大学ジャパン教授がいる。

東郷氏は外務省が鈴木宗男を田中真紀子追い落としに使った後に、鈴木宗男を切ろうとしたとき、一連の不祥事の責任をとって辞任しろと当時の飯村官房長に言われて断る。

飯村氏は「東郷さん、あなたは切腹でなく、打ち首を望んでいるんだね」と東郷氏に言い、そのとき東郷さんの中でなにかが崩れていったという。

佐藤さんが靖国問題等で日本になにかと注文をつける中国に対して、日米同盟を基本にロシア・カードをうまく使って中国を牽制すべきだと言うと、東郷さんは、「日本が中国に対して51%譲る気構えをもつことだ」と語ったという。

東郷さんは外務省のサラブレッドだが、「東郷茂徳は、豊臣秀吉の朝鮮侵攻時に連行された朝鮮人の末裔だ。茂徳の先代までは朴と名乗っていた。もちろん差別も蔑視もあった。それでも外務大臣になった。茂徳にも僕にも日本人になっていくというのは終わりのない問題なのだ。日本の国のために捨て石になりたい。」と語ったという。

「佐藤君には沖縄の血が入っているよね。日本人(大和人)になっていくということで、佐藤君と僕には他の外務省員とは違う何かがあったんだと思うんだよ。」と語ったという。

この発言は佐藤さんの国家主義的言説の奥にある闇を見事に衝いてきたと。

なかなかおもしろい話だ。


●北朝鮮の「弱者の恫喝」

北朝鮮は2006年11月に核実験を行い、核爆弾を保有していると発表した。北朝鮮からイランやアフガニスタンなどのテロ組織に核技術やミサイルが流れる可能性が出てきた。

6カ国会議における北朝鮮は、ミュンヘン会議におけるナチスに似ていると佐藤氏は語る。ナチスとの違いは北朝鮮は領土拡張要求はないことと、核兵器という大量破壊兵器を持っている可能性があることの2点だ。

北朝鮮の原子炉は兵器用プルトニウムをつくりやすい黒鉛型なので、北朝鮮が原子炉を爆破でもすると、近隣の中国・ロシア・韓国・日本は死の灰に汚染されるおそれがある。

これが「弱者の恫喝」だ。


●プーチンのロシア

ロシアでは選挙改革が行われ、2007年12月のロシアの下院選挙から1人区が廃止され、全国区の政党を選ぶ選挙のみとなった。同時に少数党乱立を防ぐということで、投票率7%以下の政党には議席が与えられなくなった(それまでは5%)。

実際に選挙が行われるとプーチンの統一ロシアが64%、次にロシア連邦共産党12%、三位はジリノフスキーのロシア自民党で8%、第4位は公正なロシアで8%弱。それ以外は7%を切っていた。

プーチンはジリノフスキーの自民党を金で手なずけているという。

佐藤さんは当初メドベージェフの4年間をはさんで、前後8年ずつ合計20年のプーチン王朝が続くと見ていた。しかしプーチンは早くからメドベージェフを後継者として帝王学を学ばせていたことを考えると、2012年の再登板はないと思えてきたという。

ロシア首相の主な役割は内政で、首相として経済を担当し利権を握り、ロシア経済を立て直す。そしてロシアの「国体」を強化しロシア中興の祖として歴史に名を残せるならば、2012年に再出馬する必要はないと考えているのではないかと。

イデオロギー的にプーチン・メドベージェフは一体なので、2016年まではプーチン・メドベージェフ体制が続き、2016年の選挙までには、後継者を捜すだろう。そして後継者候補としては、アルカジー・ドブロコビッチ大統領補佐官などを想定していると佐藤さんは語る。

コラムの寄せ集めなので、それほど新しい情報はないが、普通本では書かないような東郷さんや佐藤さんの出自や佐藤さんが外務省職員に応募した理由などもわかり、佐藤さんの考え方を理解するために参考となる本である。


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2009年03月04日

脳を活かす勉強法 売れっ子脳科学者 茂木健一郎さんの勉強法

脳を活かす勉強法脳を活かす勉強法
著者:茂木 健一郎
販売元:PHP研究所
発売日:2007-12-04
おすすめ度:3.5
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テレビに頻繁に出演し、NHKでは「プロフェッショナル 仕事の流儀」というレギュラー番組まで持っている超売れっ子脳科学者茂木健一郎さんの勉強法。

この本は2007年12月に発売され、2008年の総合10位、ビジネスジャンルの1位になったベストセラーだ。2008年末の段階で76万部売れたというから、今年中には100万部を突破すると思う。

アマゾンでもいまだに301位にランクされている。

この本を読んだのは昨年の夏だが、あらすじを書きそびれている間に時間が経ってしまった。内容をだんだん忘れてきたので、今回あらすじを書いて自分の頭にもしっかりたたき込むことにする。

ベストセラーになるだけあって、大変おもしろいし、1時間程度で読めてしまうのも良い。中学生の息子にも読ませている。これを読んで発憤して勉強してくれれば良いのだが…。

茂木さんは東大出身だが、中学でも高校でも最初はトップクラスではなかったにもかかわらず、3年の時には学年トップになっていたという。

それは”勉強のしかた”がわかったからで、新しい知識を得ることがなによりの喜びと感じるようになったので、自分から進んで勉強したからだという。


この本の目次

脳を活かす勉強法はアマゾンのなか見検索に対応しているので、是非目次をチェックしてほしいが、この本の構成は次のようになっている。

はじめに 入学当初の僕は「できない子」だった

第1講 脳は「ドーパミン」と「強化学習」が好き

第2講 「タイムプレッシャー」が脳の持続力を鍛える

第3講 「瞬間集中法」で勉強を習慣化させる

第4講 茂木健一郎流「記憶術」

第5講 茂木健一郎の「読書のススメ」

第6講 脳のコンディションを把握しよう

第7講 自分を変える「一回性」に巡り会うには

第8講 偶有性がさらなる脳の発達を促す

おわりに 知の「オープンエンド」時代がやってきた


茂木さんの勉強法

最初の第1講から3講までで、茂木さんの勉強法の特徴を脳科学の見地から説明している。

問題に正解するたびに、脳には快楽を生み出す脳内物質のドーパミンが分泌される。難しい問題・課題に取り組み、それを解決することによって、問題を解く(勉強すること)が快楽となり、これを繰り返すことにより強化学習ができる。さらに自分で制限時間を決めて、脳にさらにタイムプレッシャーを与えることによって、脳の持続力を鍛える。

そして最後は茂木さんの「鶴の恩返し」勉強法だ。

勉強のスピードを上げながら、すこしづつ分量を増やし、他人が何を言っても聞こえないような没頭して勉強に集中する状態をつくり、瞬時にこの状態に入れるように訓練する。そうすると細切れの時間でも勉強できるようになる。一心不乱に機を織る鶴の姿から「鶴の恩返し」勉強法と名付けたのだという。


茂木流記憶術

茂木さんは高校(東京学芸大附属高校)時代、試験の前には教科書を全文暗記していたという。記憶は脳の大脳皮質にある側頭葉の側頭連合野に蓄えられるが、ここは五感などを司るところなので、耳で聞き、目で見て、声に出して読み、手で書き、様々なモデリティ(五感、第六感)を使って記憶に定着させるのだと。

記憶には短期記憶と長期記憶があり、長期記憶にとどめるためには、海馬(かいば)も活性化させる必要がある。

そのためには見ながら書き写してはダメで、一度原文を見て記憶してから、それを書き写し、これを何度も何度も繰り返すのだと。これが脳の記憶回路を利用して書くということだ。

横道にそれるが、このブログも茂木さんの言われる「モデリティ記憶」で書いているようなものだ。

ブログに書くと、本の内容を記憶に刻み込むことができ、他人にもすらすら説明できる。この他人に説明することが重要で、これによってさらに深く記憶に刻み込めるので、本を「読破」したことになる。

備忘録としてのブログの活用法は「ウェブ進化論」にも書かれていたので、実践している人も多いと思うが、読んだ本のまとめ・要点をブログに書いて覚えれば、理解度が飛躍的に高まること請け合いだ。

勉強する時間帯も重要で、一夜漬けではあまり効果は上がらないので、脳のゴールデンタイムである朝にすることを茂木さんは勧める。

一日の記憶の整理は「レム睡眠」(Rapid Eye Movementの略)中に行われるので、勉強したことをしっかり記憶するためには、しっかり睡眠をとる必要がある。

茂木さんは起きてからの朝の三時間が貴重な仕事の時間だと語っている。


茂木流読書のススメ

文章能力と国語力は勉強や仕事の基本で、これらを鍛えるには読書が良い。茂木さん自身、小学校3年生からSFものや探偵ものを中心に年間100〜200冊読んでいたという。

読書は脳をクールダウンさせる貴重な時間ともなる。

インターネットの普及とともに、大学が独占していた知の情報は、インターネットで公開されるようになってきている。これからは大学に行かなくともインターネットの情報収集でノーベル賞を取る人がいずれ出てくるだろうと。

日本でもインターネットやポッドキャストで、講義を公開している大学もあるが、アメリカの大学、特にインターネットビジネスのメッカ、Stanford大学の授業公開はすごい。

Podcastの検索画面で、"Stanford University"と打ち込んで検索すると、150の講義が表示され、ほとんどが無料で視聴できる。

Podcast Standford University





その気があれば、大学に行かなくとも相当高度な授業を受けられる時代なのだ。

ただし独学で自己満足していては意味がないので、本居宣長と賀茂真淵の「松坂の一夜」というエピソードを紹介している。独学で古事記を研究していた本居宣長が、賀茂真淵に出会ったことで、一生の研究の方向性を決めたという。これが「松坂の一夜」だ。

人とのかかわりを大切にしつつ、重要な情報の取捨選択を行える人がこれからの時代に輝く人だ。

茂木さんは東大理学部と法学部両方を卒業しているが、アメリカでは理系の大学を出たエンジニアでも文系の大学院や弁護士資格を目指す。日本では大学の四年間の勉強だけで、文系理系と人を区分するが、これはナンセンスな話だと茂木さんは語る。


脳のコンディションを把握

茂木さんは当初現代国語が苦手だったという。

現代国語では自分なりの解釈を展開していたが、現代国語の問題が求めていることは、オリジナルで奇抜な発想でなく、文章に即してあっさりと無機的に答えを返すことが求められているのだと気がついてからは得意科目になったという。

正しい勉強法とは実にシンプルだ。自分の欠点、弱点、ミスを直視でき、その原因を自分自身で論理的に突き止め修正できるかどうかが勝負なのだ。

茂木さんが話を聞いた完全無農薬のアイガモ農法を開発した古野隆雄さんも、アイガモを思いつくまで何度も失敗を繰り返しているという。逆境の時に何をやるか、失敗した経験を次に生かせるかで決まってくる。


自分を変える一回性に出会うには

「一回性」とはその後の人生を変えてしまう出来事を経験することだ。茂木さんはケンブリッジのトリニティカレッジに留学していた時に、貴重な経験をしたという。

トリニティカレッジでは様々な分野の教授が食事の時に集まっては活発に議論しているという。全く違った分野の教授達が自由に議論をしてくる環境をみて、こういう環境があるからノーベル賞受賞者を31人も出せるのだと悟った。

ここには「変人であることの自由」=自分の好きなことをとことん追求することが許される自由があるのだ。

たとえばアップルのスティーブン・ジョッブスも、マイクロソフトのビル・ゲイツもいわゆる変人であることで知られているという。日本では変人を平均人にしてしまおうとする周りの圧力があるが、トリニティカレッジでは正反対だったという。

ちなみに茂木さんの高校には、卒業文集に「ラテン民族における栄光の概念について」というエッセーを書いた同級生がいたと。

トリニティカレッジのような環境に身を置くことが必要なのは、人間にはミラーニューロンという1996年に発見された共感回路が備わっているからだという。

他人がある行動をしていると、自分もそのことをしていると思いこむ様な活動のことで、テレビでグルメ番組を見ていると、おなかが空いてくることもその例で、相手の感情や心を推測する力の源泉となっている。

競走馬も同じようなことが起こり、10年連続最多勝を記録している競馬のJRAの調教師藤澤和雄さんに話を聞いた時も、強い馬と弱い馬を一緒に走らせるというそれまでの競馬界のセオリーに反した調教で成功したという。弱い馬は強い馬に追いつこうとし、強い馬は燃え尽き症候群がなくなった。

藤澤さんのモットーは「一勝よりも一生、一つ勝つよりも一生続ける」というものだ。

人間も馬も良い環境に自分を置くことが重要なのだ。


偶有性がさらなる脳の発達を促す

偶有性(contingency)とは、予想できることと予想できないことが混在している状態だという。

予想できることと予想できないことが混ざっているから脳は楽しいと受け取る。

できるかできないかわからない難しいことに成功すると、喜びもひとしおとなる。たとえば難しい入学試験に受かるようなことだ。


知の「オープンエンド」の時代

茂木さんは学問の本質は、「知のオープンエンド性の楽しみを知ることだ」と考えているという。

学問はどんなに学んでも必ず次がある。終わりがない、これがオープンエンドだ。

プラントンは弟子に「オリンピック競技の勝者には賞品が与えられるのに、哲学者には賞品が与えられないのはなぜか」と聞かれ、「賞品とは、その人の業績に比較して、より価値のあるものでないと意味がない。しかし、知識を得る以上に価値があるものなど、この世には存在しない。だから、知恵を得た人には、あげるべきものがないのだ」と答えたという。

江戸時代に本居宣長の元に集まった近江商人たちが、「学問ほどの快楽はないということがよくわかりました」と語ったという話を小林秀雄さんが紹介している。

学習は脳を喜ばせるための最大の快楽なのだと。脳が思うままに教科学習の回路を暴走させろと茂木さんは結んでいる。


わかりやすく、脳科学者だけあって、記憶に残る話が満載だ。ベストセラーを続けている理由がわかる。是非一度手にとってみることをおすすめする。


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2009年03月03日

アフガンの男 ひさしぶりにフォーサイスを読んでみた

アフガンの男 上アフガンの男 上
著者:フレデリック・フォーサイス
販売元:角川グループパブリッシング
発売日:2008-05-31
おすすめ度:2.5
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先日「アフリカレポート」でフォーサイスがビアフラ紛争の時の実話を元に「戦争の犬たち」を書いたことを知り、ひさしぶりにフォーサイスを読んでみた。

前に読んだのは、「イコン」と「神の拳」だ。いずれも大変おもしろかった。

イコン〈上〉 (角川文庫)イコン〈上〉 (角川文庫)
著者:フレデリック フォーサイス
販売元:角川書店
発売日:1998-09
おすすめ度:4.0
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神の拳〈上〉 (角川文庫)神の拳〈上〉 (角川文庫)
著者:フレデリック フォーサイス
販売元:角川書店
発売日:1996-11
おすすめ度:3.5
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小説のあらすじは詳しく紹介しない主義だが、この作品はインド人の母を持ち、中東で育った英国人軍人が、アフガン戦争でともに戦ったムジャヒディンになりすましてアルカイダに潜入を図るストーリーだ。

いつもながら兵器やエレクトロニクス機器などの細部にも気を遣い、息もつかせぬ展開だ。上下巻500ページ以上の作品だが、一気に読める。

娯楽としての読書にはおすすめの作品である。



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2009年03月01日

超・格差社会 アメリカの真実 アメリカ在住26年小林由美さんのレポート

2009年3月1日追記:

本日の朝日新聞の書評欄に小林由美さんの「超・格差社会アメリカの真実」が文庫になって発売されたことが書かれていたので、あらためてあらすじを掲載する。

超・格差社会アメリカの真実 (文春文庫)超・格差社会アメリカの真実 (文春文庫)
著者:小林 由美
販売元:文藝春秋
発売日:2009-02
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米国駐在合計9年間の筆者も知らない、アメリカの”あちら側”の事情がよくわかる。

文庫になって買い求めやすくなったので、是非一読をおすすめする。


2007年2月21日初掲:

超・格差社会アメリカの真実超・格差社会アメリカの真実
著者:小林 由美
販売元:日経BP社
発売日:2006-09-21
おすすめ度:4.5
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筆者はアメリカに駐在し、ニューヨークに2ヶ月、あとは2回に分けて合計9年間ピッツバーグに住んでいた。

アメリカに9年住み、出張や旅行で全米50州のうち38州(+プエルトリコ)に行ったことのある筆者だが、それでも在米歴26年という小林由美さんのこの本を読むと、梅田望夫さんの「ウェブ進化論」ではないが、「あちら」と「こちら」という感じを受ける。

なにが言いたいのかというと、在米歴10年弱の筆者にとっても、著者の小林さんのアメリカ理解度は、「こちら」つまり日本人のレベルではなく、「あちら」の人、つまりアメリカ人と同じ、あるいはそれ以上という印象を受ける


著者の小林由美さん

小林由美さんは、東大卒業後日本長期信用銀行に入行し、スタンフォード留学を経て、ウォール街で就職し、シリコンバレーで経営コンサルティング会社やベンチャーキャピタルなどを歴任、現在はシリコンバレー在住のコンサルタント/アナリストである。

日本長期信用銀行に入社した当時は、一般職は男性のみで、女性には道が閉ざされており、高卒五年目のエコノミストとして入社できたのは、幸運だったと語る。たしかにそういう時代もありました。

謝辞に挙げているが、小林由美さんが学んだのは東大を代表する近代経済学者の小宮隆太郎教授のゼミだ。

大阪府知事の太田房江さんも、同じゼミの出身だ。

小林さんは1975年(昭和50年卒)だが、当時はマル経の東大、近経の一橋と言われていた時代で、宇野弘蔵教授の直系の大内力教授のマルクス経済学も人気だった。

筆者は学んだことがないが、当時マルクス経済学を学んだ東大生はじめ学生は多かった。はたしてマルクス経済学という学問は今はどうなったのかと思う。


26年間在米の優れた洞察

この本で小林さんが指摘する事実、たとえばアメリカは金持ちになればなるほど有利な超・格差社会だとか、所得により住むところが違う実質的な差別社会だとかは、アメリカに住んだことがある人は誰しも感じたことだと思う。

またそういった面がありながらも、それでもアメリカに住むことは心地よく、アメリカは魅力的だと多くの日本人が感じると思う。

その意味ではこの本が指摘する事実は、米国在住経験者の大半が感じていることではあるが、小林さんの様に歴史的な考察も加えて、論理的かつ系統だって説明したものは、筆者の記憶する限りない。

アメリカには多くの日本人が暮らしたり、旅行で訪れているので、作者の著名、無名を問わず、アメリカ生活の実際という様な本は数多く出版されているが、小林さんが冒頭で指摘するように、多くは一面的なアメリカ像しか語られていない。

小林さんはアメリカ人と結婚され、残念ながら死別された様だが、たぶんアメリカ人と結婚された点で、他の日本人の生活とは異なる世界が開けたのだと思う。


「あちら」と「こちら」

冒頭で「あちら」と「こちら」という話をしたが、この本では小林由美さんの「あちら」の生活のことが語られていないので、筆者の身近な人で「あちら」の人の例を説明する。

筆者のピッツバーグ時代に仕事上でもプライベートでもお世話になった方で、メーカーの駐在員だが、アメリカ在住20年以上で、ご子息もアメリカの大学で学び、ご自身もアメリカ人として生きていくことを選択された人がおられた。

その人は小林さんの本でも紹介されている全米高額所得コミュニティの97位に出てくるフォックス・チャペル地区に住んでおられたが、(住民一人あたりの平均所得が8万ドル=ほぼ1,000万円!1世帯あたりの所得ではない!)、ある時上院議員を招いての自宅パーティに招待されたことがある。

自宅にストリングスを呼んで、庭で生演奏をし、ゲストは勝手気ままに入っては、出ていくというビュッフェ形式のパーティだったが、会社とは関係なく、すべて自費でパーティを開いているということだった。

奥様は大変面倒見の良い方で、ボランティアでフォックス・チャペル高校で日本語の教師をされておられ、その縁でピッツバーグの日本語補習校はフォックス・チャペル高校の校舎を日曜日に借りて開校していた。

住んでおられるところも、ピッツバーグの最高級住宅地であり、友人や隣人を呼んで上院議員を招いてのパーティを開催するなど、アメリカ人になるため、コミュニティにとけ込むために、大変な努力をされていることを知り、全く別世界の様な気がしたものだ。

小林さんも、たぶん筆者の様な駐在員には計り知れない、アメリカ人となるための努力をされているはずで、その成果がこの本なのだと思う。


この本の構成

この本は次の八章からなっている:

第一章 超・格差社会アメリカの現実
第二章 アメリカの富の偏在はなぜ起きたのか
第三章 レーガン、クリントン、ブッシュジュニア政権下の富の移動
第四章 アメリカンドリームと金権体質の歴史
第五章 アメリカの教育が抱える問題
第六章 アメリカの政策目標作成のメカニズムとグローバリゼーションの関係
第七章 それでもなぜアメリカ社会は「心地よい」のか?
第八章 アメリカ社会の本質とその行方

アメリカの超・格差社会の現状と、なぜそれが形成されたのかを分析し、下流社会、格差社会が叫ばれている日本の、目指すべきでない道への示唆を与えるものである。

全編を通して、アメリカ、特にブッシュ共和党政権が、石油や軍事産業に結びついた特権階級によって動かされていることがよくわかる。選挙資金の大きな出所は特権階級であり、政治力もあるのだ。

たとえばレーガン大統領から始まる大減税では、所得税率が28%と15%の2本立てになり、筆者の記憶ではたしか年収約10万ドル以上だと税率は28%だったと思う。累進課税がなくなり、高所得者ほど有利な税制となった。

その後も社会保険料アップやガソリン税アップで、確実に中間層の生活を直撃する一方、金持ちのメインの収入である資本取引は税率は低く抑えられ、富めるものはさらに富める結果となった。

こういった政策の結果が、超・格差社会であると小林さんは語る。


アメリカの超・格差社会

小林さんはアメリカ社会は次の四層社会だと指摘する:

1.特権階級

特権階級は資産10億ドル以上で、アメリカに400世帯程度居ると思われるビリオネアと5,000世帯と推測される資産1億ドル以上の金持ちで、アメリカ社会の頂点に立つ彼らの影響力は計り知れない。

2.プロフェッショナル階級

その下に位置するのが、35万世帯程度と推定される資産1,000万ドル以上の富裕層と、資産200万ドル以上で、かつ年間所得20万ドル以上のアッパーミドルからなる、プロフェッショナル階級である。

専門スキルを持ち合わせている人材の集団だ。

このプロフェッショナル階級が約500万世帯前後で、1.の特権階級、2.のプロフェッショナル階級をあわせた全体の5%に全米の60%の富が集中している。

3.貧困層

アメリカの豊かさのシンボルで、全体の60−70%を占めると言われた中産階級は、専門スキルを持っている人はプロフェッショナル階級に、それ以外は貧困層へと二分化していると。

この層は年収20万ドルから2万3千ドルまでの間となるので、一般的にはさらに中間層と貧困層の二つに分かれるのだろうが、小林さんは、それらをまとめて貧困層と呼んでいる。

全米で最も住みやすい町に選ばれたこともある中都市ピッツバーグに住んでいた筆者にとっては、年収10万ドルは高給取りというイメージがある。

そのため、年収10万ドル以上でも貧困というと、やや違和感を感じるが、米国では資産が資産を産む高利回り社会で、資産規模から言うと、自宅と若干の投資資産程度しか持たない中産階級は、貧困層にあたるという分け方なのだろう。


4.落ちこぼれ

最下層が4人家族で年収2万3千ドルの貧困ライン以下の落ちこぼれ層である。人口全体の25−30%を占めると言われている。

アメリカには政府健康保険はないので、この層のほとんどが無保険で、健康を害するとすぐに生活に窮することになる。治安の悪化の原因でもある。


小林さんの論点は、アメリカの格差問題は資産の問題で、日本風の金持ち=高収入というフロー重視に対して、金持ち=資産家というストック重視の考え方だ。

それぞれの階層について、具体的なファミリー例を紹介しているので、富めるものは益々富み、貧しいものは益々貧しくなるというアメリカ社会の現実がよくわかる。


その他参考になる点をいくつか紹介しておこう。

エヴァンジェリカルの伝統と教育に対する意識

アメリカの開拓時代に普及したエヴァンジェリカル(福音主義)の伝統が、教育や知識より信仰が大切であるというアメリカ人の価値観につながっていると小林さんは指摘する。

だから大統領選挙になると、候補者は大統領にふさわりいキャラクターを強調し、決して学歴を宣伝しないと。

教育に対する社会的尊敬の念が乏しく、教師の収入も低いので、アメリカの基礎教育は悲惨な状態にある。

公立学校の教師の収入は、その町の税収によるので、高級住宅地の学校ほど教育のレベルが高くなる。

筆者の記憶では、ピッツバーグ地区で筆者の住んでいた(一応)高級住宅地の教師の収入は4ー5万ドル程度で、他地区の教師の収入は2ー3万ドル程度だった。

教職を天職と考え、あえて貧民街の教師になる人もいるので、収入だけが要素ではないが、一般的に、これだけの差があれば、教師間の競争も起こり、誰でも高級住宅地の教師になりたがる。

結果として所得水準によって住むところが決まり、良い住宅地は教育の質も高いので、親の収入格差で子供の階級が固定されるということになる。

だから教育に熱心なプロフェッショナル層は高級住宅地に住み、その中の優秀な公立学校に子供を通わせるのだ。


アメリカの政策をつくるシンクタンクとプライベートクラブ

アメリカの政策の元になっている論文や、閣僚のバックグラウンドをみると、大学と並んでシンクタンクやプライベートクラブ、そしてそれらの資金源の財団が浮上してくる。

シンクタンクはブルッキングス研究所、スタンフォード大学のフーバー研究所(ライス国務長官やシュルツ元国務長官もフェローになっていた)などがあり、フーバー研究所は共和党系のシンクタンクとしてホワイトハウスに多くのスタッフを供給し、政策提言で大きな影響力を及ぼしてきた。

ミラーマン」として有名になった(?)植草一秀氏はフーバー研究所のフェローになった唯一の日本人であると。

外交に最大の影響力を持つプライベートクラブとしては、閣僚や政府高官になるためのエスカレーターとしてCFR(Council on Foreign Relations)がある。この機関誌が"Foreign Affairs"だ。

大統領、閣僚経験者が引退後行くのが、巨額の資金を運用するプライベートエクイティファンドだ。

特にカーライルはブッシュ・シニア元大統領、カールッチ元国防長官、ベイカー元国務長官、ダーマン元補佐官、ラモス元フィリピン大統領、メージャー元英国首相などが経営陣、アドバイザーを占め、軍事産業に集中的に投資し、高いリターンを生み出している。

カーライルについての本のあらすじも参照願いたい。

戦争で儲ける人たち―ブッシュを支えるカーライル・グループ戦争で儲ける人たち―ブッシュを支えるカーライル・グループ
著者:ダン ブリオディ
販売元:幻冬舎
発売日:2004-01
おすすめ度:4.5
クチコミを見る



随所にあるグラフやデータも興味深い。いろいろな情報とストーリーがてんこ盛りの感があるが、筆者をはじめ在米経験者が感じていたことを、代わって論理的に説明してくれている。是非一読をおすすめする。


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Posted by yaori at 22:35Comments(1)TrackBack(1)

経済は感情で動く クイズ感覚の行動経済学

経済は感情で動く―― はじめての行動経済学経済は感情で動く―― はじめての行動経済学
著者:マッテオ モッテルリーニ
販売元:紀伊國屋書店
発売日:2008-04-17
おすすめ度:4.0
クチコミを見る


はじめての行動経済学という副題がついているが、クイズ集のような読み物になっている。原著はイタリア語で書かれているが、翻訳は非常に軽妙で読みやすく、翻訳とは思えないできばえで、わかりやすいように日本の事例も多く盛り込まれている。

こんな経済学の授業なら是非受講したいものだ。

いくつか参考になる例を紹介する。


●お金の価値は一定というのは幻想。ギャンブルで稼いだ金はパッと使うが、汗水垂らして稼いだ生活費はケチる。

●選択で目が行きやすいのは肯定面より否定面。政治家が汚職やスキャンダルを嫌うのはそのため。

●3つあると真ん中を選ぶ。

●選好の逆転

・第一問 あなたはどちらを選びますか? 
 A.賞金は7,000円だが、当たる確率は80%
 B.賞金は70,000円だが、当たる確率は10%

 67%がA.を選んでいる。

・第2問 上記A./B.をお金に換算するとどちらが高いですか?
 
 71%がB.を選んでいる。

これが「選好の逆転」という現象で、ラスベガスのカジノでの実験で明らかになったという。選ぶのは確率が高い方だが、価値は賞金の額で判断する。

●保有効果

・コーネル大で大学のロゴが入っているマグカップを使って2種類の競売を行った。
 A.カップを持っているグループには、いくらならカップを手放すか
 B.カップを持っていないグループには、いくらなら買うか

 A.の平均は5.25ドルで、B.の平均は2.75ドルだった。たいしたものではなくても、自分のものの価値は人が考える価値より2倍にもなる。これが保有効果だ。

●コンコルドの誤謬
 別名サンクコストの過大視といえばわかる人も多いと思う。コンコルド開発の途中で、完成しても採算がとれないことが予想されたが、既に巨費をつぎ込んでいたので、そのまま突っ走り完成したが、巨額の赤字を垂れ流すことになった。

 第2東名とか、これになりそうなプロジェクトも多い。


●勝者の呪い
 もっとも高い価格でスポーツ選手や資源の採掘権などを手に入れた勝者が、高コストで結局損をしてしまう。これが勝者の呪いだ。

●アンカリング効果
 一番典型的なのは値札だ。10,000円の元値が5,000円になっている商品と、正札が5,000円の商品では、あなたはどちらを買うだろうか?

 ある人の意見を聞いた後で、自分も同じことを考えていた気がするというのもアンカリング効果だ。

●ヒューリスティクス(目の子算)のバイアス
 経済に心理学を導入したことで、2002年にノーベル賞を受賞したダニエル・カーネマンが名付けた現象。

 直感で見積もる時、バイアス(偏り)がでることがある。たとえば次の様な場合だ。

・リンダは大学で人権や社会正義のためデモにも参加していた。次のどれが当てはまる可能性が高いか?
 A.リンダはグローバル化反対の活動家である。
 B.リンダは銀行員である。
 C.リンダは銀行員で、グローバル化反対の活動家である。

 80%の人はA>C>Bと判断する。しかしBとCは論理的には常にB>Cである。これが連語錯誤と呼ばれる現象だ。

 首都大学東京 都市教養学部経営学系長瀬ゼミナールのwikiサイトというのがあり、行動意思決定論の用語を解説しているので、紹介しておく。この本に出てくるいくつかの用語も解説している。

●少数の法則 

 少ないサンプルでも大きな数の法則が当てはまると考えること。たとえば3割バッターが3打席ノーヒットだと、次の打席はヒットを打つ確率が高いと考える。ヒットを打つ確率は毎打席3割だ。

 野球評論家の「後知恵」的説明は話半分に聞いておくと良いと。結果を知っていれば誰でも評論家になれる。

●フレーミング効果
 質問のされ方によって選択が異なる現象。

・撤退ルートにより兵士の生存率が異なる場合。
 1.A.を選べば200名が助かり。B.を選べば1/3の確率で全員が助かり、2/3の確率で全員が死亡する。

 2.A.を選べば400名が犠牲になる。B.を選べば1/3の確率で全員が助かり、2/3の確率で全員が死亡する。

 70%以上の人が1.ではA.を選び、2.ではB.を選ぶ。助かる人命を説明に入れると、なるべく多くの兵士を助けようとするから慎重になるが、失われる人命を説明に入れると、一人も失いたくないので、かえって危険を冒してしまう。

 投資の場合に当てはめると、確実に得をする可能性の高い時は慎重になり、確実に損をする場合には余計にリスクを負ってしまう。ギャンブラーによく見られる現象であると。

・ガン手術の場合に外科手術か放射線治療かを選ぶというケースの場合
 1.外科手術を受けた100人の患者のうち90人が手術に成功し、1年後の生存者数は68人、5年後の生存者数は34人だった。放射線治療を受けた100人の患者のうち、100人が無事に治療を終え、1年後の生存者数は77人、5年後の生存者数は22人だった。

 2.外科手術を受けた100人の患者のうち10人が手術中に死亡し、1年後には32人が死亡し、5年後には66人が死亡していた。放射線治療を受けた患者で治療中に死んだ患者はなく、1年後の死亡者数は23人、5年後の死亡者数は78人だった。

 1.も2.も同じ質問だが、1.の様に生存者で質問されると82%が外科手術を選んだが、死亡者数が表示されると外科手術を選んだ人は56%にまで下がった。

おもしろい問題もある。

●雨の日のマンハッタンでどうしてタクシーがつかまらないのか

 普通に考えれば、売り上げの上がる日によく働き、売り上げの少ない日にはさっさと切り上げるべきなのだが、運転手たちは短時間で儲かる日には労働時間を短くしていることがわかったという。

 運転手たちは、売り上げ目標に達しないとそれを損失と考え、もっと長く働こうとし、短時間で目標額に達してしまえば得した気分となり、さらに長く働こうとは思わず、帰って一杯やろうとする。だから雨の日にはいつまでもタクシーが見つからないのだと。

 これは「損失回避の原則」と呼ばれ、ダニエル・カーネマンらがプロスペクト理論として実証したものだという。同じ1万円でも、1万円得する満足よりも、1万円損する苦痛の方がはるかに大きいのだ。

 株の場合は、投資家は手元に置いておくべき株を売り急ぎ、売るべき株を売り遅れる傾向があるという。

●してしまったことを後悔するか、しなかったことを後悔するか

 人は短い期間では失敗した行為に強い後悔を覚えるが、長期的にはやらなかったことを悔やんで心を痛めるという。マーク・トウェインは「20年経てば、したことよりもしなかったことを嘆くようになる」と言ったという。

お金についての錯覚については多くの例が紹介されている。

●実収入か額面か

・インフレゼロでの2%の賃下げと、インフレ4%での2%の賃上げではどちらが好ましいか?

・クレジットカードを使うと2%高くなるという張り紙と、現金で買うと2%割引になる張り紙ではどちらが好ましいか?

・寒い日には150円で売るが、暑い日には10円値上げするというコカコーラと、暑い日には160円で売るが、寒い日には10円値引きするというペプシコーラではどちらが好ましいか?

たぶんあなたの感じたのと同じことを他の多くの人も感じている。


裁判員制度がいよいよ5月から実施されるが、裁判員の心証が言い方によって操作される場合があるので注意しなければならない。たとえば次のような場合だ。

 A.毎年そのガンで死ぬ人は100人につき平均24人である。
 B.毎年そのガンで死ぬ人は1万人につき平均1,285人である。

どっちのガンが危険度が高いか?

ある研究によると75%の人がB.の方が危険だと考えるという。1,285人という数字に引かれるからだ。

 A.X氏のような患者を釈放すると、半年以内の犯罪発生率は20%である。
 B.X氏のような患者を釈放すると、100人のうち20人が半年以内に犯罪を犯す。

 A.の場合は21%の専門家が釈放に反対、B.のケースでは41%の専門家が反対したという。人数を言われた方が犯罪を犯す場面を想像しやすいからだ。

教訓として、マスコミの報道を見るときに各種の統計数字については、母体数がどれだけかを確認し、%表示であれば実数で、実数表示であれば%に置き換える頭を持とうと呼びかけている。

そうすれば最初に受けた印象と異なり、騒ぐようなことではないとわかるかもしれないと。

筆者が通勤途上によく聞いているAudibleでダウンロードしたブライアン・トレーシーのオーディオブックの"Success Mastery Academy"で言っていたが、テレビドラマや映画に登場する悪人の84%は白人ホワイトカラービジネスマンで、女性の悪人も結構いる。

しかし犯罪統計によると白人ホワイトカラービジネスマンの犯罪は全体の1%以下で、そのうち女性の犯罪はきわめて少ないと。

audible






success mastery academy






アメリカでポリティカリーコレクト(人種問題を起こさない)ドラマをつくろうとすると、白人ホワイトカラー犯罪しか制作できないのだという。


●知ってるつもり 自信過剰がはめる罠

運転能力の問題はよく出されるが、(あなたは自分の運転がうまいと思っていますか?)、この本ではあなたが正解である確率を自己評価してみろという。問題は次のようなものだ:

1.日本のカルデラ湖で一番大きいのはどれでしょう? (自己申告正解度   %)

3.国会議員に立候補できるのは何歳からですか?(自己申告正解度   %)

6.太陽と地球までの距離を100メートルとすると、地球と月の距離はつぎのうちどれですか? 。横汽瓠璽肇襦↓■押ィ汽瓠璽肇襦↓25センチ、ぃ押ィ汽札鵐繊 兵己申告正解度   %)

7.日本で35歳以下の第一の死因は何ですか? (自己申告正解度   %)


正解を問うのではなく、自己申告正解度を聞いているのがミソだ。ちなみに筆者はすべて誤答だった。(正解は続きを読むに記載)

人は過信しがちで、成功すると自分のため、失敗すると人のせいにしたがる。これでは将来も同じ失敗を繰り返す。自分の誤りを認めることが前進のカギとなると語っている。

●ピーク・エンドの法則
 1999年にダニエル・カーネマンが発表したもので、快・苦の記憶はピーク時と終了時の快・苦の度合いで決まるというもの。ことわざの「終わりよければすべてよし」である。

 だから別れ際の一言、最後の一言が大切なのだ。「本日はお時間を取っていただき、ありがとうございました」の一言が言えるかどうかで印象はがらりと変わるという。


最近では「神経経済学」という行動経済学の一部で、人間がある行動をとるときに脳のどの部分が働いているかで、合理的判断か感情かをMRIなどで判定しようという試みがあるそうだ。またどんなホルモンがでていればどのような行動になるのかを調べているという。


「はじめての行動経済学」という副題がついているが、経済学の本というよりはクイズ集のようである。おもしろく読め、また参考になる。

ベストセラーゆえ本屋に平積みになっているのではないかと思うので、是非一度手にとってみることをおすすめする。



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Posted by yaori at 11:28Comments(0)TrackBack(0)