2009年04月29日

「パル判決書」の真実 渡部昇一氏のパル判決のまとめ

『パル判決書』の真実『パル判決書』の真実
著者:渡部 昇一
販売元:PHP研究所
発売日:2008-08-23
おすすめ度:4.0
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専門の英文法以外にも様々な分野の著書を書いている渡部昇一上智大学名誉教授の「パル判決書」の解説書。

渡部氏は昨年「日本は侵略国家であったのか」という田母神前航空幕僚長の論文を「真の近現代史観」懸賞論文で最優秀賞に選んだ審査委員長をつとめた。

日本は「侵略国家」ではない!日本は「侵略国家」ではない!
著者:渡部 昇一
販売元:海竜社
発売日:2008-12
おすすめ度:3.0
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渡部さんが「石破防衛大臣の国賊行為を叱る」という論文を発表して、石破氏と論戦になったことを石破氏がブログで紹介している

東京裁判の時に、判事中で唯一の国際法学者だったインド人のラダ・ビノッド・パル判事の出した被告全員無罪の判決の歴史観を見直している。

705px-Radha_Binod_Pal_Yasukuni_112135010_24372cdf47_o







出展:Wikipedia

東京裁判を命じたマッカーサー自身が、解任された後の米国上院公聴会で、次のように語った。

"Their purpose, therefore, in going to war was largely dictated by security"

つまり、「日本人が戦争に入った主な理由は自衛上やむにやまれぬものであった」と証言したのだ。

復讐の色が濃いニュルンベルグ裁判は東京裁判より半年前の1945年11月に始まり、1946年10月に結審した。そのニュルンベルグ裁判を日本にも持ち込もうというもので、東京裁判は1946年5月から審理が始まり1948年11月に判決が言い渡された。

渡部さんは、「日本は侵略国家であり、悪い国だ」という東京裁判の決めつけが戦後日本を悩ませてきたが、日本を悪い国だと断罪したものは東京裁判以外にはないと語る。

しかし東京裁判を命じたマッカーサーの「極東国際軍事裁判所条例」は、当のマッカーサー自身が解任されて帰国後、日本はやむにやまれず戦争を始めたと証言していることから、その寄り立つ基盤を失っている。

渡部さんは、「趣旨としては東條英機の宣誓供述書と同じようなことをマッカーサーは述べたのである」と語っている。

このブログで以前紹介した小林よしのりの「いわゆるA級戦犯」という本でも、東京裁判の欺瞞性を指摘しているが、渡部さんも東京裁判では少数意見だったパル判決書のみが法学的に意味あるものだと指摘する。

いわゆるA級戦犯―ゴー宣SPECIALいわゆるA級戦犯―ゴー宣SPECIAL
著者:小林 よしのり
販売元:幻冬舎
発売日:2006-06
おすすめ度:4.5
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日本はナチスと同様に歴代内閣が共同謀議してアジアを侵略し、人道に反する罪を犯したというのが東京裁判の検事の立件理由で、その証拠として昭和2年の「田中義一内閣の田中上奏文」が挙げられた。

ところが、この「田中上奏文」は中国語や英語で書かれた偽物で、当時広く配布されていた。東京裁判でも結局証拠には採用されなかった。渡部さんによると、今日ではコミンテルンのつくった偽文書だとわかっているとのことだ。(コミンテルンの仕業ということまで本当にわかっているのかは筆者には疑問に思える)

TanakaMemorial





出展: Wikipedia

パル判決の中で最も有名な部分は次のところだ。

「今次戦争についていえば、真珠湾攻撃の直前に米国国務省が日本政府に送ったものとおなじような通牒を受け取った場合、モナコ王国やルクセンブルグ大公国でさえも合衆国にたいして矛を取って起ちあがったであろう」

そして次に続くのが次の文だ。

「ルーズベルト大統領とハル国務長官は右の覚書にふくまれた提案を日本側が受諾しないものと思いこんでいたので、日本側の回答を待つことなく、右の文書が日本側代表に手交されたその翌日、米国の前哨地帯の諸指揮官にたいして戦争の警告を発することを認可したのであった」

当時はもちろん知る由もないが、アメリカは日本の外交暗号を解読して、その情報を「マジック」と呼んでいたことがわかっている。

近々紹介する多賀敏行さんの「”エコノミック・アニマル”は褒め言葉だった」のなかで、「暗号電報誤読の悲劇」として「マジック」に意図的とも思える誤訳・曲訳があったことが紹介されている。

いずれにせよ、ルーズベルトらは、日本が追いつめられて戦争に突入することを予想していたことは間違いない。

「エコノミック・アニマル」は褒め言葉だった―誤解と誤訳の近現代史 (新潮新書)「エコノミック・アニマル」は褒め言葉だった―誤解と誤訳の近現代史 (新潮新書)
著者:多賀 敏行
販売元:新潮社
発売日:2004-09
おすすめ度:4.5
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東京裁判の欺瞞性を非難しても、いまさら歴史が変わるわけではないが、筆者などの年代がかつて教わった歴史が、その後の暗号解読や歴史的文書の公開により、かなり見方が変わっているのも事実だ。

石破さんとの論争などを見ると、渡部さんがパル裁判を客観的に語るのに適当な人物かどうかは、やや疑問もあるが、難解とされるパル判決を読みやすく整理しているので、パル判決の入門書としては良いと思う。

マンガ入りでわかりやすく理解したいなら、小林よしのりの「パール真論」か「いわゆるA級戦犯」、もっと詳しく理解したいときの入門書には渡部さんのこの本が良いと思う。

ゴーマニズム宣言SPECIAL パール真論ゴーマニズム宣言SPECIAL パール真論
著者:小林 よしのり
販売元:小学館
発売日:2008-06-23
おすすめ度:4.5
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もちろん原文翻訳を読みたいという人には、上下2巻の翻訳がある。

共同研究 パル判決書 (上) (講談社学術文庫 (623))共同研究 パル判決書 (上) (講談社学術文庫 (623))
著者:東京裁判研究会
販売元:講談社
発売日:1984-01
おすすめ度:4.0
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東京裁判に関しては多くの本が出されている。

常識として一度手にとって見ることをおすすめする。


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2009年04月27日

オーディオブックで日本の古典を聞く 平家物語

今までオーディオブックでは日本の小説とか、英語のビジネス書やノンフィクションなどの朗読を聞いていたが、最近は日本の古典に挑戦している。

図書館に平家物語のCDがあったので、これをiPodに入れて聞いている。

古文の朗読なので、理解度はせいぜい50%といったところだが、段々聞いていくうちに耳が慣れてくる。

現在聞いている新潮社の「平家物語」、CD全29巻はアマゾンでは売っていないようなので、紹介しておく。

平家物語






アマゾンで売っている平幹二朗の朗読は、アマゾンのサイトで視聴ができるので、是非最初の「祇園精舎の鐘の声」のところを聞いて欲しい。

平家物語~祇園精舎平家物語~祇園精舎
アーティスト:平幹二朗
販売元:キングレコード
発売日:2005-01-13
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「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。

沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす。

驕れる者久しからず、ただ春の夜の夢の如し。

猛き人もついに滅びぬ、ひとへに風の前の塵に同じ。」

この平家物語の有名な出だしについては「平家物語のはじまり」というサイトで、「祇園精舎」や「沙羅双樹」などの語句の意味が、写真入りで解説されているので、参照して欲しい。

平家物語は名文で知られるので、せめて最初のこの部分だけは暗記しようとして繰り返し聞いている。

それで気づいたのだが、平幹二朗の朗読と、新潮社の歌舞伎俳優 嵐 圭史の朗読では若干読み方が異なる。

たとえば「盛者必衰」は平幹二朗では「じょうしゃひっすい」となっており、嵐圭史の朗読では「せいじゃひっすい」となっている。

筆者は「せいじゃひっすい」とかすかに憶えていたのだが、別の読み方があることを平幹二朗のCDの視聴サンプルを聞いてはじめてわかった。

もちろんCDを何回聞いても、解説書などを読まないと理解が深まる訳ではないが、それでもまずは「門前の小僧(オッサン)習わぬ経を読む」ということで、耳を慣らすことから始めている。

高校時代の「古文」以来、日本の古典はあまり読む機会がないし、筆者も現代版の吉川英治の「新・平家物語」ならともかく、今から平家物語の原文を読むまでのエネルギーはないが、オーディオブックなら構えずに始められるところが良い。

新・平家物語〈1〉 (吉川英治歴史時代文庫)新・平家物語〈1〉 (吉川英治歴史時代文庫)
著者:吉川 英治
販売元:講談社
発売日:1989-04
おすすめ度:5.0
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「平家物語」など、重い題材でもオーディオブックならすぐに始められる。

「タイムイズマネー」。オーディオブックの活用を是非研究して欲しい。



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2009年04月24日

春琴抄 谷崎潤一郎の名作をオーディオブックで聴く

春琴抄 (新潮文庫)春琴抄 (新潮文庫)
著者:谷崎 潤一郎
販売元:新潮社
発売日:1951-01
おすすめ度:4.5
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春琴抄 (新潮CD)
著者:谷崎 潤一郎
販売元:新潮社
発売日:2003-01
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筆者は二宮金次郎ばりに(?)「歩きながら本を読む」ことをモットーにしており、毎朝駅まで30分ほど散歩がてら歩いていく間と、満員電車で本が読めない時、最寄り駅から会社まで歩いていく間にiPodで小説などの朗読を聴いている。

450px-Statue_of_Ninomiya_Sontoku










報徳二宮神社(神奈川県二宮市)の二宮尊徳像  出典:Wikipedia

英語のオーディオブックも聴いているが、最近は日本の作品に凝っている。

最近聴いたのが谷崎潤一郎の名作の一つ「春琴抄」だ。

耽美主義と呼ばれる谷崎潤一郎の、純愛というよりは、異常なラブストーリーだが楽しめる。

山口百恵、三浦友和主演で何度目かの映画にもなっている。

春琴抄 [DVD]春琴抄 [DVD]
出演:山口百恵
販売元:EMIミュージック・ジャパン
発売日:2000-10-25
おすすめ度:4.0
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小説のあらすじは詳しく紹介しないのが、筆者のポリシーだが、この小説の中で特に興味を惹かれたのが、江戸時代末期から明治にかけて町人の間にはやったという小鳥道楽だ。

盲目の美人三味線師匠春琴は、小鳥道楽でうぐいす、ひばりを特に愛したという。

春琴のうぐいす道楽についての原文は次の通りだ。

もっとも今日と昔とでは啼きごえの聴き分け方や翫賞法(がんしょうほう)が幾分異なるらしいけれども、先ず今日の例を以て話せば、ケッキョ、ケッキョ、ケッキョケッキョと啼くいわゆる谷渡りの声、ホーキーベカコンと啼くいわゆる高音(こうね)、ホーホケキョウの地声の外にこの二種類の啼き方をするのが値打ちなのである。

これは薮鶯(やぶうぐいす)では啼かない。たまたま啼いてもホーキーベカコンと啼かずにホーキーベチャと啼くから汚い。ベカコンと、コンという金属性の美しい余韻を曳くようにするには、ある人為的な手段を以て養成する。それは藪鶯の雛(ひな)を、まだ尾の生えぬ時に生け捕って来て、別な師匠の鶯に附けて稽古させるのである。

「鳥・鳥・鳥そのエッセイと」から引用。

こうして読むとあまり頭にスッと入らないかもしれないが、これを朗読で聴くと、なんともいわれぬ不思議な話に聞こえる。

筆者は毎朝鶴見川沿いに駅まで歩いているので、時々うぐいすの鳴き声を聞くことがあるが、うぐいすが「ホーキーベカコン」とも「ホーキーベチャ」とも鳴くのを聞いたことがない。

思わず図書館で「日本の野鳥」というCDを借りて聞いてみたが、「ケッキョ、ケッキョ」と「ホーホケキョウ」という声は入っていても「ホーキーベカコン」という声は入っていない。

なんとも不思議な話だが、谷崎潤一郎もいろいろ調べて書いているのだろうから、たぶん観賞用に育てられたうぐいすは、そのように鳴くのだと思う。

YouTubeにもうぐいすの鳴く声が収録されているが、これは谷崎の言う薮鶯(やぶうぐいす)なので、ホーホケキョウと鳴いている。




本だとなかなか日本の小説の名作を読もうという気にならないが、オーディオブックなら気軽に聞けて楽しめる。

春琴抄はもちろん結構シリアスな話だが、「ホーキーベカコン」の話は楽しめた。

日本の小説でオーディオブックになっているものも結構あるので、是非オーディオブックを聞いてみることをおすすめする。


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2009年04月23日

ウェブ進化論再読 クラウドコンピューティングとは「ネットのあちら側」

最近クラウドコンピューティングが注目されている。

筆者は以前インターネット企業に出向していたが、数億円掛けた自前のサーバー群を毎月数百万円もハウジングコストが掛かるデータセンターに置いて、ハードやソフトの償却と保守料、システム監視コストなどを入れると毎月多大なコストがかかったものだ。

しかもサーバーのCPUはすぐに旧式になり、何千万円も掛けてXEONベースのブレードサーバーに入れ替えても、最新のパソコンのQuad-Coreなどがより高性能になってきて、旧式になってしまう。

もし自前のシステムを持たずに、クラウドコンピューティングでシステムを構築できれば、システムコストは大幅にコストダウンできると思う。

クラウドコンピューティングのことは、2006年の「ウェブ進化論」で梅田望夫さんが、「あちら側」と呼んで説明しているので、再度「ウェブ進化論」のあらすじを掲載する。

今読んでも決して陳腐化していない。是非「ウェブ進化論」の再読をおすすめする。

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)
著者:梅田 望夫
販売元:筑摩書房
発売日:2006-02-07
おすすめ度:4.5
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atamanisutto前書き: 著者の梅田望夫(うめだもちお)さんはブログを『究極の知的生産の道具』と呼んでいるが、筆者も同感である。

このブログは筆者の備忘録も兼ねて作成しているが、この本についてはあまりに参考になることが多すぎて、備忘録が長くなりすぎてしまった。

以下のあらすじは元々非公開版としていたものだ。元のあらすじの1.5倍くらいのボリュームがある。

あらすじを公開、非公開と2種類つくったのは、はじめてだ。それほど参考になるということである。

間違いなく、ベストセラーになるだけのことはある中身の濃い本である。もし読んでいない方がいたら、新書の定価の740円以上の価値があること、筆者が請け合います。



以下は2006年3月の初掲載当時の記述。

昔の仕事仲間、日本最大の間接資材のネットショップMonotaROモノタロウ瀬戸社長に最近読んだ本で一番良いとすすめられて読んだ。

今世界のインターネット業界でなにが起こっているのか、どんな構造変化が起こっているのかよくわかる。

著者の梅田さんのブログによると発売して4週間で15万部売れているそうだ。筆者の近くの書店でも売り切れだったので、アマゾンで買った。まさに爆発的な売れ行きである。

筆者は米国駐在時代の1999年にインターネットの威力と将来性に驚き、会社・上司の了解を得て、それまで鉄鋼原料のトレーダーのキャリアから、インターネット関連業界に移った。

モノタロウの瀬戸社長は米国駐在からダートマスのMBAを取った異色の存在で、元々は鋼材トレーダーだが、鉄鋼原料を経て、インターネット関連業界に移った仲間だ。

筆者がインターネット関連業界に移った理由は、まさにPCスクリーンのあちら側に『未来』が見える様な気がしたからだった。

当時、ソニーの出井さんは『インターネットは(恐竜を死滅させたと言われる)巨大隕石だ』と表現していた。

日本に帰国してそれから5年余りたち、出張もせず東京で過ごしていると、アメリカや世界の情勢にどうしてもうとくなるが、インターネットで、いわば第2の隕石が落ちた様な変化が起きていることを思い知らされたのがこの本だ。

著者の梅田望夫さんは、シリコンバレー在住のコンサルティング会社ミューズ・アソシエイツ代表。梅田さんご自身のブログMy Life Between Silicon Valley and Japanもある。

梅田さんが常時寄稿しているCNETや、asahi.comITPROなどが梅田さんとのインタビューを載せているのでこれも参考になる。


現状分析がわかりやすく、かつ鋭い

まずは現状分析だ。現在のウェブ社会を次の3大潮流で説明している。

1.インターネット 
リアル世界に対するバーチャル世界・経済の出現。文章、映像、動画等、知的財産をなんでもネットに置き、不特定多数が見られ、何百万件でも検索して網羅できる。

国境等の物理的限界はなく、コミュニケーションも瞬時に行える。全世界の『不特定多数無限大』の人がはじめて経済ベースで捉えられるようになった。

2.チープ革命 
ムーアの法則は半導体の集積度が18ヶ月で倍増するというものから、IT製品のコストは年率30−40%下落すると広義に解釈されている。

3.オープンソース 
世界中の200万人の開発者がネット上でバーチャルな組織をつくり、イノベーションの連鎖で、最先端ソフトウェアをつくっていく世にも不思議な開発手法。


ネット界の3大法則

上記3大潮流が相乗効果を起こし、次の3大法則を生み出した:

1.神の視点からの世界理解 
Yahoo!などのネットサービスは1,000万人もの人にサービスを提供し、しかも一人一人の行動を確実に把握できる。膨大なミクロの情報を全体として俯瞰(ふかん)でき、今なにが起こっているのかがわかるのだ。

まさにお釈迦様、神のみぞ知るということが実現している。

2.ネット上につくった人間の分身がカネを稼いでくれる新しい経済圏ネット上に自分の分身(ブログやウェブサイト)をつくると、分身がネットでチャリンチャリンと稼いでくれる世界が生まれた。

自分は寝ていても儲かるしくみができる。奥さんもサイトを持っていれば、ダブルインカムならぬ、クアドラプルインカムも可能なのだ。

3.無限大 x ほぼゼロ = なにがしか(Something)
『不特定多数無限大』の人とつながりを持つためのコストはほぼゼロとなった。

不特定多数無限大の人々から1円貰って1億円稼ぐことが可能となったのだ。


これら3大潮流と3大法則が引き起こす地殻変動で、想像もできなかった応用が現実のものとなった。その本質がGoogleである。


バーチャル世界政府のシステム開発部門Google

梅田氏のGoogleに勤める友人は『世界政府というものが仮にあるとして、そこで開発しなければならないはずのシステムは全部Googleでつくろう。それがGoogle開発陣のミッションなんだよね。』と真顔で語っていると。

梅田氏はグーグルはシリコンバレーの頂点を極めるとてつもない会社だと確信しているそうで、Googleのすごさを次の観点から説明している:

1.世界中の情報を整理し尽くす

グーグルは自らのミッションを『世界中の情報を組織化し、それをあまねく誰からでもアクセスできるようにすること』と定義している。

全世界のウェブサイトの情報を集めるグーグル検索、全世界のニュースを優先順位を付けるグーグル・ニュース、過去出版されたすべての本をデータベース化するとブチ上げ、著作権者ともめているグーグル・ブックサーチ。

個人のメール内容を判断して最適な広告を載せるGメール。グーグル・マップグーグル・アース等々。

グーグルのサービスすべてを通して言えるのが、情報を人手を使わずコンピューターによって自動的に分析して組織化するという基本思想だ。人が扱わないのだから個人のメール内容などもプライバシーの問題はないという理屈だ。


2.構想を実現するために情報発電所とも言うべき30万台から成る巨大コンピューターシステムを、ネットの『あちら』側に構築したこと

すべての言語におけるすべての言葉の組み合わせに対して、最も適した情報を対応させる。これがグーグル検索エンジンの仕事だ。

グーグルの判断基準は、ウェブサイト相互に張り巡らされるリンクで判断する『民主主義』である。

全世界を英語圏のシステム一本で運営するための自動翻訳機能も、最適の情報を対応させるための必要機能だ。

そのためにグーグルの30万台ものコンピューターが日々稼働し続けている。


3.巨大コンピューターシステムを圧倒的な低コスト構造で自製したこと
オープンソースを最大限に利用して、30万台ものリナックスサーバーを自社でつくり、運営している

この30万台というのはCPUを備えたマザーボードの推定数で、最近はブレードサーバーというマザーボード差し込み式の、昔のサーバーの何十台分もの機能があるものも出ているが、それにしても30万台というのは尋常な数ではない。

拡張性に優れるスケーラブル・ストラクチャーをつくり、処理能力を上げるためにはサーバー数を増やせば良い構造とし、一部が故障しても全体としては動くしくみを取り入れている。


4.検索連動型広告『アドワーズ』に加え、個人サイトに自動的に広告配信する『アドセンス』を実装し、個人にまで広告収入が入る『富の再配分』のメカニズムを実現したこと

筆者も一時『アドセンス』をこのブログに貼り付けていたが、たしかに個人サイトでもグーグルから自動配信される広告表示で、チャリンチャリンとお金が落ちる感覚を体験できた。

インターネット広告業界では、ネット専業代理店が力を持っており、電通・博報堂など大手広告代理店が相手にしない小さなクライアントまで広告の裾野を広げているが、それにしてもアドセンスで配信される情報起業の様な小企業などは到底カバーできない。

アドセンスは、英語圏の先進国の広告報酬設定なので、先進国では小遣い程度でも、途上国では生計が立てられる収入となりうる。


5.多くが博士号を持つベスト・アンド・ブライテスト社員5,000人が情報共有する特異な組織運営

グーグルは株式公開したとはいえ、創業者のセルゲイ・ブリンとラリー・ページが一般株主とは違う種類の株式を持つ特異な所有形態である。これはマイクロソフトによる敵対的買収や経営介入を防ぐためだという。

グーグルには経営委員会などの経営組織はなく、5,000人の社員全員が情報を共有し、情報が『自然淘汰』される。

博士号を持つ社員も多いが、それぞれ仕事の20%は自分のテーマで研究することを求められる。アイデアは社内で共有され、平均3人の小組織がアイデア実現のスピードを競争するのだ。


6.既に存在するネット企業のどことも似ていないこと。

強いて言えばYahoo!はメディア、グーグルはテクノロジーであると。

Yahoo!は人間が介在してサービスの質が上がるなら、人手を使うべきだという考えである。


それぞれの論点につき興味深い分析がなされており、もっと詳しく説明したいところだが、それだと『あらすじ』でなくなってしまうので、上記の通り切り口だけ紹介しておく。


いくつか印象に残った点を紹介しておこう。


『こちら側』と『あちら側』

パソコンは『こちら側』。機能を提供する企業のサーバーやネットワークは『あちら側』だ。どちらかというと日本のIT企業はこちら側に専念し、アメリカの企業はあちら側に注力している。

これを象徴する出来事が昨年起こった。売上高1兆円のIBMのパソコン部門がレノボに2、000億円以下で売却され、売上高3,000億円のグーグルの公開直後の時価総額は3兆円で、いまは10兆円だ。

グーグルの動きはすべてあちら側の動きだ。


『恐竜の首』と『ロングテール』

ロングテールについてはアマゾンでは専門書と古典的名著が売れる例で紹介したが、リアル店舗では返品の憂き目にあう『負け犬』商品がアマゾンでは売上の1/3を占める。

パレートの80:20の法則で、従来は20%の売れ筋商品=『恐竜の首』に注力すれば良かったのが、インターネットにより陳列・在庫・販売コストを気にしなくて良くなった今、残り80%の『負け犬』もちりも積もれば山となることが可能となった。

グーグルのアドセンスは個人でもクレジッドカード払いで広告出稿でき、無数にある個人サイトに広告を掲載することができる。

梅田さんの言葉で言うと『ロングテール』、筆者の言葉で言うと『バンカー・ツー・バンカー』が、巨大なビジネスとなっている。


Web 2.0

今までのインターネット企業や機能をWeb 1.0と呼び、開発者向けにプログラムしやすいデータ、機能(API=Application Program Interface)を公開するサービスをウェブサービスと呼ぶ。

グーグルの台頭にYahoo!が危機感を強め、自社の検索エンジンを導入することを決定したのが、2002年から2003年にかけてであり、ちょうどこのころインターネットの先駆者たちは、Web 2.0を研究しだした。

(筆者はこのWeb 2.0というのが、どうもよく理解できなかったが、筆者のたとえでいうと、いわばひもでつないでいた鵜飼いの鵜(個人サイト)を、ひもなしの不特定多数の漁船群(企業サイト)に変え、網元が一挙に魚を捕る量を拡大し始めたという感じではないか。)

アマゾンアソシエイトで一個一個の商品にリンクをつけて販売するのが、従来からのWeb 1.0。アマゾンの商品データベースへのアクセスを認め、アマゾンが卸売りのようになり、専門サイト、小売りがアマゾンの商品を販売するのを支援するのがWeb 2.0。

もちろんアマゾンの全世界単一システムに巨大な負荷が掛かるはずだが、それをこなすシステム増強をアマゾンは『あちら側』で行って、Web 2.0を可能とのだろう。

単にアマゾンが配信する次のようなダイナミックリンク広告ではなく、ECサイト全体をアマゾンのウェブサービス(商品データベース)を使って作り上げるやり方で、インターフェースを公開することにより、開発を不特定多数の外部開発者に依存する手法だ。

ウェブサービスにおけるアマゾンの利益率は15%なので、今やアマゾン本サイトよりもウェブサービスの方が利益率が良くなっており、自己増殖的に増えていると。




ブログと総表現社会

米国ではブログ数が2,000万を越え、日本でも500万を越えた。ブログの増殖の理由は

1.量が質に変化したこと
  いくら母集団が玉石混淆でも、母集団が大きくなるとキラリと光るブログが現れてくる。500万のたとえ0.1%でも5、000である。

いままでネットで情報発信していた人たちはマスコミやネット企業関係の圧倒的少数だったが、絶対多数の声なき声が表現する場を得たのだ。

2.ネット上の玉石混淆問題を解決する糸口が技術の進歩で見えつつある。それは検索エンジンの進歩であり、ブログの持つトラックバック、RSS(Really Simple Syndication)、更新情報送信等の機能だ。

まだまだコンテンツの玉石混交問題は解決されていないが、Yahoo!など検索エンジンがトップにランクするブログはやはりそれなりに支持されている。ここでも自然淘汰がおこっているのだ。


知的生産の道具としてのブログ

梅田さんはブログこそが究極の知的生産の道具ではないかと感じ始めているそうだ。
ブログの効用とは:

1.時系列にカジュアルに記載でき、容量に事実上限界がない
2.カテゴリー分類とキーワード検索ができる
3.てぶらで動いてもインターネットへのアクセスがあれば情報にたどり着けること
4.他者とその内容をシェアするのが容易であること
5.他者との間で知的生産の創発的発展が期待できること

筆者も同感である。ただブログは出典を明らかにして、リンクを貼るという著作権上の配慮は重要である。


マス・コラボレーション

オープンソース、マス・コラボレーションの例としてウィキペディアを挙げている。ウィキペディア・プロジェクトは2001年1月にスタートしたので、5年強の歴史だが、既にブリタニカの65,000項目に対して、英語では870,000項目にも及ぶ百科事典が既にできあがり、200にも及ぶ言語毎に百科事典がつくられ、日本語版でも16万項目以上に揃ってきた。

誰でも書き込み、修正できるが、それでいてかなりの水準に達している。


不特定多数無限大は衆愚か?

梅田さんはWisdom of Crowds、群衆の英知、日本語訳「『みんなの意見』は案外正しい」を紹介している。仮説ではあるが、ネット上で起こっているオープンソース、コラボレーション、バーチャル開発の質の高さを考えると、不特定多数無限大の人が参加する知的プロジェクトは成功すると言えるのではないかと思う。

「みんなの意見」は案外正しい「みんなの意見」は案外正しい
著者:ジェームズ・スロウィッキー
販売元:角川書店
発売日:2006-01-31
おすすめ度:4.0
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羽生善治名人の高速道路論

梅田さんは羽生名人と親しいそうだが、羽生名人はITがもたらした将棋界への影響として、「将棋が強くなるための高速道路が一気に敷かれたということです。でも高速道路を走り抜けた先では大渋滞が起きています」と語ったそうだ。

羽生名人の言葉によると奨励会の2段くらいまでは、一気に強くなるが、それから上は人間の能力の深淵にかかわる難問であり、これを抜けることが次のブレークスルーに繋がる。

羽生善治さんの「決断力」も参考になるので、こちらのあらすじも参照して欲しい。

決断力 (角川oneテーマ21)決断力 (角川oneテーマ21)
著者:羽生 善治
販売元:角川書店
発売日:2005-07
おすすめ度:4.5
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以上2006年に書いたあらすじを見直したが、あらためてこれを読み返しても梅田さんの書いておられることが全然新鮮味を失っていないことがよくわかる。

既に読んだ人も、まだ読んでいない人も、このあらすじを参考にして本を手にとって頂きたい。


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2009年04月21日

プリンス近衛殺人事件 おどろくべきロシア小説

プリンス近衛殺人事件プリンス近衛殺人事件
著者:V.A. アルハンゲリスキー
販売元:新潮社
発売日:2000-12
おすすめ度:4.0
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近衛文麿の長男で、プリンストン大学出身の英才ながら2等兵として入隊し、砲兵中尉になったところで終戦。ソ連に抑留され、ついに帰国することなく1956年に死亡した近衛文隆を中心にソ連のシベリア抑留を描いたノンフィクション小説。

ベビーフェイスの陸軍士官姿の写真が表紙に載っている。

近衛文隆といえば、白洲次郎が「カンパク」と呼ぶ近衛文麿に頼まれて家庭教師のように面倒を見ていたことが「白洲次郎 占領を背負った男」にも紹介されている。

近衛文隆がシベリア抑留され、1956年に亡くなった時に、次郎は「ソ連の野郎、絶対にゆるさねえ!」と叫んだという。


著者はロシア人ジャーナリスト

この本の著者はプラウダと並ぶロシアの2大新聞のイズペスチャの元副編集長で、ウズベキスタン国会議員やタシケント市長も兼任したアルハンゲリスキー氏だ。

著者自身の父親、兄弟が対独戦争で行方不明となったが、どこで戦死したのかも一切分からないため、ジャーナリストという地位を利用して各地の公文書館で調査を重ねたが、結局消息はわからなかった。

その際、近衛文隆をはじめとする日本人抑留者のKGBでの証言記録や強制収容所抑留記録が見つかったので、数万点もの資料を集め、本にまとめたものだ。

邦訳で300ページ余りの本だが、原著はこの数倍におよぶところを訳者が編集したという。


「おどろくべき本」

訳者もあとがきで評しているが、まさに「おどろくべき本」だ。

門外不出のKGB機密文書が紹介され、近衛文隆、そしてスターリンに粛正された元大臣や高官などの牢獄での様子なども紹介されている。

スターリンの側近や息子も収容所送りの例外ではない。

たとえばナンバー2のモロトフ外相の妻もスパイ容疑で収容所に送られた。一時近衛文隆が収容されていたKBG本部ルビヤンカの隣の部屋には元国家保安相でKGBの創始者アバクーモフが収容されていた。

KGB_House_Main




ルビヤンカ(旧KGB本部)出典:Wikipedia

スターリン死後に権力を握ったベリヤはほどなく処刑され、中将にまでなったスターリンの次男も収容所に送られ、シベリアのウラジミール監獄で近衛文隆と会ったという。

007の「リビング・デイライツ」で、しょっぱなのジブラルタルでの英国諜報部員のトレーニング中にエージェントがロープを切られて殺されるが、そこに出てきた紙切れに書いた”スパイに死を(スメルチ・シピオーナム)”という言葉が「赤軍諜報本部=KGB」の事を指すことが初めてわかった。



抑留者を強制労働

この本の著者はロシア人だが、戦争捕虜の権利を保障したハーグ条約があるにもかかわらず、ソ連だけが日本、ドイツなどの捕虜をシベリア抑留し、鉄道建設などの強制労働に使ったことが告発されている。

日本のシベリア抑留者の数は、一般的に言われている65万人という数字はデタラメで、実際には100万人以上が(300万人という説まである)抑留されていたこと、抑留者の死亡者は約37万人で、最初の1945年だけで夏服で掘っ立て小屋のラーゲリ(収容所)に収容された日本人が27万人も死亡したことなどがKGBや旧ソ連の政府資料などを中心に立証されている。

さらに抑留者のみでなくソ連の政府高官までも粛正され、一説には1,200万人のロシア人が”スターリン粛正”で処刑されたという。

スターリン他のソ連首脳の会話などは、一部は小説の形式を取っているが、大半の部分が著者が調べたKGBや当時の政府の秘密資料に基づいているノンフィクションである。

近衛文隆が亡くなったのは終戦後11年も経った1956年だ。

日本では近衛文隆返還運動まで起こり、鳩山一郎首相がソ連と交渉して、近日中の帰国が予想されていただけに、脳出血によるあっけない死にはたしかに疑問が残る。

著者のアルハンゲリスキー氏は、関東軍の高級将官の多くが、脳出血が理由で死亡している事実を指摘し、KGBは自分たちの意のままに操れない人物、反ソ連的思想がある人物を脳出血で葬ったのではないかと語る。

KGBは近衛文隆に共産主義への洗脳を試みたが、近衛がそれに応じないのを見て、このまま日本に返すと、やがては父の後を継いで政治家となり、反ソ連勢力となることを恐れた。

だから近衛文隆の帰国が時間の問題になってきたタイミングで、近衛を脳出血で殺したのではないかと。

死の直前に書いた日本への手紙数通が紹介されている。

日本から缶詰とか食料などの差し入れが可能となったので、最近は収容所生活で太ってきたとか、日本に帰ったらゴルフをやりたいとかと書かれている。

真実は今となっては永遠にわからないままだが、たしかに死の直前の奥さんや弟宛の手紙にコーヒーを送ってくれとかPSで書き添えているところを見ると、とてもすぐに病気で死亡するような状態とは思えない。

同じ収容所にいた元関東軍将軍も、近衛文隆が高熱が出て激しい頭痛を訴え、そのまま帰らぬ人になった様を報告している。

死亡診断書が残されているが、署名者からいってもそれは死亡直後のものでなく、近衛正子夫人がソ連を訪問して遺骨を引き取ることが決まってから急遽作成されたものに違いないという。

こんな話を読むと、今の北朝鮮が日本の拉致被害者に旧ソ連のKGBと同じことをしているように思われてならない。横田めぐみさんはじめ、他の拉致被害者も脳出血などの形で、北朝鮮に葬られたのでなければ良いのだが…。


著者アルハンゲリスキー氏の提言

最後に著者のアルハンゲリスキー氏は、シベリア抑留は旧ソ連の違法行為であり、日本政府は次の10ヶ条を要求すべきだと締めくくっている。

1.日本は自発的に武器をおいた。ロシア国会は関東軍を捕虜にした事実を公式謝罪する。

2.対日戦勝日(9月3日)を廃止する。あったのはソ連の対日侵略行為のみである。

3.「シベリア抑留白書」を刊行する。

4.暴力的にソ連国内に拉致された日本軍人、市民は強制抑留者であることを認める。

5.ソ連復興における日本人の勤労貢献に関する公式データを発表し、元抑留者や遺族に補償する。

6.すべての日本人墓地を整備し、死者の名前を入れた墓標を建立し、死亡者名簿を渡す。

7.おおむね日本人の手によって建設されたバイカル・アムール鉄道を日本幹線と改称する。

8.ハバロフスク裁判などの日本人に対する裁判は国際法上違法であり、全被告の名誉回復を行う。

9.近衛文隆関連の文書をすべて公開し、記念館を建て、KGB拷問室での近衛文隆の物語を刊行し、映画化する。近衛文隆を殺した犯人に対する国際裁判を開廷する。

10.しかるべき研究機関にシベリア抑留問題に関する文献を集めさせ、研究・発表させる。

日本の対ロシア平和条約は北方領土問題の根本的解決のみならず、シベリア抑留問題の解決がないとあり得ないことだと著者は語る。

今のロシア人の大半は、北方領土は太古よりロシア領であり、それが日露戦争で日本に武力で奪われたというウソの歴史を教え込まれ、信じ切っている。

日本側もこの誤解を解く努力をしていないので、100年くらいは北方領土問題は解決が難しいだろうと語る。

一方シベリア抑留問題は、国家秘密であったので多くのロシア人が問題の存在自体を知らなかった。

しかし事実が公表されれば、過去において自国政府が行った非人道的行為を理解するだろう。

収容所群島の犠牲者という意味では、今のロシア人も同じだと。


近衛文隆の話は決して忘れてはならないことだ。その意味で、劇団四季がミュージカル化したのは、すばらしいことだと思う。

このミュージカル「異国の丘」は、最近DVDも発売された。

劇団四季 ミュージカル 異国の丘 [DVD]劇団四季 ミュージカル 異国の丘 [DVD]
出演:劇団四季
販売元:NHKエンタープライズ
発売日:2009-01-23
クチコミを見る


この中では近衛文隆が作曲した”苦難に堪えて”という歌も歌われている。

筆者も一度見てみようと思う。

ロシア人が悪いのではない、旧ソ連という人非人国家があったのだ。多くのロシア人も同じような被害を被っている。

ノーベル賞受賞作家のソルジェーニツィンもシベリア送りになり、出所後「収容所群島」を書いているので、今度読んでみようと思う。

収容所群島(1) 1918-1956 文学的考察収容所群島(1) 1918-1956 文学的考察
著者:ソルジェニーツィン
販売元:ブッキング
発売日:2006-08-03
クチコミを見る


ロシア人も被害者であることがわかっただけでも読んだ意味があると思う。2000年出版の本で、絶版になっているようなので、是非一度図書館などで借りて読むことをおすすめする。


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2009年04月20日

一生太らない体のつくり方 スロトレ実践編 スロトレ実践するには最適の本

一生太らない体のつくり方-スロトレ実践編一生太らない体のつくり方-スロトレ実践編
著者:石井 直方
エクスナレッジ(2009-01-16)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

スロトレでテレビにも頻繁に登場する石井直方東大教授の本。

以前紹介した「一生太らない体のつくり方」「スロトレ」を組み合わせた実践編だ。


キツくなければトレーニングではない

筆者は以前「スロトレ」で紹介した”ブルガリアンスクワット”を毎日のように朝晩歯を磨く時に実施していたが、結構足に疲労が残った。



地下鉄大江戸線新宿駅の長いエスカレーターを歩いて登っていると、足に疲労が貯まって階段の登りがキツくなったのだ。

石井教授は「スロトレは、どこでも誰でも手軽にでき、比較的短時間で、しかも安全と、利点はたくさんありますが、楽ではないのです。楽にできるようでは筋トレにはならないのです」と語っている。

”ブルガリアンスクワット”をやっている時間はせいぜい3分程度だが、最後は足が伸ばせなくなるほどキツいので、やはり相当の効果があるようだ。だから疲労感を感じた後は週3回程度にしている。


トレーニングの基本

石井教授は誰がやっても成功を収めることのできる普遍的なトレーニング方法は、次の三つのポイントしかないと語る。

1.筋肉を維持し、できれば増やす。

2.有酸素運動で脂肪を燃やす。

3.余分なエネルギーを摂らないようにする。

基本はエネルギーの最大の消費者である筋肉を維持・増強して基礎代謝を上げ、三食きちんと摂って、摂取エネルギーと消費エネルギーの差で少しずつ体重を減らし、体質改善と体重減を実現させることだ。


スロトレの標準コース

この本ではスロトレの標準コースとシニアコースがイラスト入りで紹介されていて、わかりやすい。

ウォームアップから始めて、ステップ1のニートゥーチェストーステップ2スクワットーステップ3プッシュアップーステップ4アームレッグクロスレイズの4ステップで15分程度で完了するトレーニングコースが標準コースだ。

これを週2−3回行う。

YouTubeには「メタボ侍」というシリーズで、石井教授のスロトレのトレーニングコースが紹介されている。

最初のウォームアップのリズミカルニーアップ



ステップ1のニートゥーチェスト



ステップ2はスクワット



ステップ3プッシュアップ



ステップ4アームレッグクロスレイズ




Q&Aも参考になる

最後の第三章は”あなたの悩みと疑問にお答えします”というタイトルで、よくある疑問・質問に、トレーニング編、有酸素運動編、食事編、一般編にわけて石井教授が丁寧に回答していて参考になる。

いくつか例を紹介すると。

・筋肉をつけるためには下ろす動作を大切に

・腹筋と背筋は、毎日鍛えても効果的?

・大腰筋を鍛えると、腰痛は解消するか?

・割れた腹筋、カッコイイふくらはぎ

・速く歩くことで痩せる理由

・食事は三食きちんと摂ろう

・人気の低糖質ダイエット(アトキンスダイエット)よりも、脂質を減らす努力を

・不規則な生活は、太りやすい原因をつくる

・就寝前の運動は避けるべき

・筋肉は記憶する。とにかく3ヶ月やってみる

・スロトレは、毎日少しずつが理想的


スロトレは、器具もいらないし、どこでも誰でも思い立ったときにできる。まさに万人向けのトレーニング法だと思う。

是非この本を参考にして、一日15分、週数回のスロトレで体質改善を目指そう!


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2009年04月18日

図書館に行こう! その8 勤務先や学校のある町の図書館も利用できる

最近利用する図書館を増やした。

今までは住んでいる東京都町田市の中央図書館に週1回行っていたが、会社所在地の中央区と、所属している団体所在地の港区図書館にも行くようになった。

町田市の中央図書館はホテルと共有のビルの、広いフロアの3つの階を占め、蔵書数は他の小さな地域図書館を含めると百万冊を超える。

本のみならずCD,DVD,ビデオ、カセットのコレクションも膨大で、書架に展示されているものはほんの一部だ。インターネットで検索して、本のリクエストや予約ができるが、DVD,CDなどは予約はできない。

本は10冊まで2週間借りられる。CD・DVD・ビデオ・カセットなどは3点まで借りられる。オーディオ関係の資料は1週間が貸出期限だ。

毎週月曜日と第2木曜日が定休日で、休みが多い。

港区立みなと図書館は、規模は町田市中央図書館より小さいが、インターネットで本のみならず、DVD、CDも予約ができる。

RFIDを利用した最新の図書貸し出しシステムを入れており、本なら貸し出しのセルフチェックアウトができるハイテク図書館なのが最大の特徴だ。

本は10冊まで、CD3タイトル、ビデオ3タイトル、DVD2タイトルまで借りられ、貸出期限はどれも2週間だ。

次の予約が入ってなければインターネットで貸出期限を2週間だけ延長できる。

休みは月1回第3木曜日だ。

中央区図書館は蔵書数は少ないが、他の図書館と違って中央区に住んでいたり、勤務先・学校がなくても利用できる。

インターネットサイトはつくりがシンプルだが、中央区最大の月島図書館でも蔵書が15万冊と少ないのでやむを得ないところだろう。

本は10冊、CDは5タイトル、ビデオ・DVDは2タイトルまで借りることができ、貸出期限は2週間だ。

DVD、CDも予約できるので、EXILEのCDを予約してみた。予約順位14番目なので、半年くらい掛かると思うが、気長に待つつもりだ。

EXILE BALLAD BEST(DVD付)EXILE BALLAD BEST(DVD付)
アーティスト:EXILE
販売元:エイベックス・マーケティング
発売日:2008-12-03
おすすめ度:2.5
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休みは毎月第4木曜日。

その中央区の月島図書館の書架で見つけたものが、前回紹介した「消えた潜水艦イ52」と、次回紹介する「プリンス近衛殺人事件」だ。

消えた潜水艦イ52 (NHKスペシャル・セレクション)消えた潜水艦イ52 (NHKスペシャル・セレクション)
著者:新延 明
販売元:日本放送出版協会
発売日:1997-08
おすすめ度:5.0
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プリンス近衛殺人事件プリンス近衛殺人事件
著者:V.A. アルハンゲリスキー
販売元:新潮社
発売日:2000-12
おすすめ度:4.0
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小さい図書館だから、閲覧しやすい。面白そうなタイトルの本が目についたので、借りてみた。

大きい図書館でも小さい図書館でもそれなりの良さがある。

是非自宅あるいは勤務先・学校のある最寄りの図書館を利用してみることをおすすめする。


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2009年04月16日

2016 東京オリンピックを実現しよう!

2009年4月16日再掲:

東京タワーの近くに行ったので、東京オリンピック招致を応援するライトアップの写真を撮った。

2009041518340000

6時過ぎだったので、文字は"TOKYO"だけだったが、8時を過ぎると"2016"の数字も別のサイドに表示される。

みんなで東京オリンピック招致を応援しよう!


2009年4月14日初掲:

土曜日に神宮球場で東京六大学野球の早稲田対東大の試合を見た。

斉藤佑樹投手が先発して七回まで投げ、後続投手に引き継いで完封リレーだった。

イニングの間にバックスクリーンの電光掲示板で"2016 baseball again!"キャンペーンの広告を流していた。

2016 Baseball again






斉藤佑樹投手も出演して「オリンピックに出たい!」と言っていた。

そのCMはYouTubeにはまだ載っていないが、次が日本のオリンピック招致CMだ。最初が日本国内向け、次が外国向けのイメージ広告だ。





東京は競合する4都市(シカゴ、マドリッド、リオデジャネイロ)の中では現時点では一番評価が高いが、最大の問題は国民の支持が低いことだという。

オリンピック東京開催が実現すれば、大きな経済効果が見込める。筆者としては是非この機会に1964年の東京オリンピックの時に完成した首都高速を、片側4車線くくらいの一流国として恥ずかしくない高速道路に改造して欲しいと思っている。

現在の道路の上か下にもう一本道路を造って耐震構造を強化するとともに、諸外国でよく見るダブルデッカーにすれば、実現可能ではないかと思う。

インフラ整備以外にも、治安、衛生、環境、文化、観光誘致、対外国人friendlinessなど日本の国をあらゆる面で見直す良い機会となると思う。

もちろん野球とソフトボールがオリンピック競技として復活することは間違いない。

是非オリンピックの東京招致が成功するようみんなで応援しよう。!


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2009年04月12日

さらばアメリカ 大前研一氏のMixed feeling

さらばアメリカさらばアメリカ
著者:大前 研一
販売元:小学館
発売日:2009-02-07
おすすめ度:4.0
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ブッシュ前政権末期の秩序のない経済運営やモラルハザードを様々な角度で批判しながらも、ケネディ・クリントンをしのぐ演説のうまいバラク・オバマ大統領による「第2のアポロ計画」に期待する大前研一氏の複雑な心境(Mixed feeling)を書いた本。


四権分立のブッシュ政権末期

大前さんはブッシュ政権末期のポールソン財務長官時代のアメリカは、建国以来例のない「四権分立」となっていたと語る。

選挙で選ばれた訳でもないポールソン財務長官が、「金融安定化法」なる打ち出の小槌を編み出し、不良債権買い取りを目的としていた7,000億ドルもの資金を金融機関への資本注入に使った。

さらに個人的な好き嫌いで、ベア・スターンズを救済しながらも、長年のライバルのリーマンを破綻させ、以前の上司のルービン元財務長官のいるシティを助けるという超法規的措置を議会の承認もなく決めてしまった。

オバマ政権の経済運営にも大前さんの見方は悲観的だという。

ガイトナー新財務長官は、ポールソン前財務長官、バーナンキFRB議長とともに”経済失敗三銃士”と呼ばれていた人物で、このうち二人が経済運営の主役として残っている。

ガイトナー財務長官は1988年に日本の米国大使館に駐在していたことから「日本の轍は踏まない」が口癖だが、同じ穴のムジナが後釜にすわるという情実以外の何物でもない人事を見る限り、新政権の経済政策には大きな期待は持てないと大前さんは手厳しい。

シティの救済は損失の九割を国民負担というやり方だし、GMとフォードはダブルノックアウトになる恐れがあり、クレジットカード社会崩壊の危険もある。

さらに第二のサブプライム問題となりうるFHA(米連邦住宅局)保証ローンの焦げ付きという危険性も浮上しており、モラルハザードのオンパレードで、アメリカの”失われた10年”の始まりだと大前さんは語る。


寛容なアメリカは過去のこと

第二次世界大戦後のアメリカは正義と自由の味方の「善玉」で、外国人に寛容な国だった。

ところが9.11以降”ホームランド・セキュリティ”という名の下に石油と防衛産業に強いテキサスマフィアの意向で国が動いた。

彼らの利権を守るため産油国防衛には強い関心を示すが、日本や韓国・台湾の防衛の優先順位は低下しており、米軍の規模も除々に縮小されている。

アメリカジャーナリズムも9.11以来政治的に政府寄りに変質し、もはや世界の支持を失っているという。


それでもアメリカに期待する

アメリカの恐慌回避策として、大前さんはアメリカの大学の競争力に期待している。

大前さんはMITで原子力の研究で博士号を取っており、昔の寛大で親切なアメリカに世話になったという思いがあるという。

実際アメリカの高等教育の競争力は依然として世界トップで、大学の評価では世界のトップ100のうち60をアメリカの大学が占める。

アメリカの競争力の源泉は大学で、世界中から優れた人材を集め、かつ卒業後アメリカで雇用するという他の国にはない産学共同体制ができている。

もう一つの期待はアメリカのIT産業の競争力で、特にGoogleとGoogleが買収したYouTubeに注目しているという。

Googleは楽天などの出店料を取る”間接出会い系”ビジネスモデルでなく、出店料のない”直接出会い系”なのでありとあらゆる分野の買い手と売り手を結びつける可能性を持っているという。

そしてGoogleの検索とYouTubeの映像を組み合わせれば”サイバーコンシェルジュ”として”右脳型賞品”まで売れる様々なビジネスが展開できると予測している。

オバマ政権が打ち出すべき指標として次を上げている。

1.すべてのアメリカ人よ、今の2倍働け  
  オバマ政権は貧者優遇を実現するだろうが、働かざる者食うべからずの大原則を確認しないと、単に人気取りに終わってしまう。

2.「地球破壊者との戦争」こそ”新たな冷戦”  
  すでに”グリーン・ニューディール政策”などをぶち上げているが、ケネディ大統領のアポロ計画のように環境問題との戦いを本格的に推し進めていけば地球規模の連帯ともつながり、世界と共存できるアメリカへ転換できるだろう。

オバマ大統領には期待も込めて次を復活の条件としてアドバイスしたいと語る。

1.世界に対して謝る ー イラク侵攻と金融危機を謝る

2.世界の一員となる ー 国連に代わる新世界構想が必要

3.戦争と決別する ー アメリカ版憲法第九条を提唱する


日本の選択肢:「属国か独立か」

大前さんは日本の選択肢は2つしかないと語る。それはアメリカの属国になるかならないかだけだと。それ以外のオプションは次の三つだ。

1.中国との関係強化

2.EUとの協調

3.ASEANとの協調

アメリカは、これからEUとの「アトランティックの戦い」(ドルとユーロの世界の基準通貨をめぐっての戦い)を続けなければ、ドルを基準通貨としてきた今までの経済の基盤が崩れてしまう。だからEUとは基準通貨を巡って戦わなければならない。

その戦いにアメリカは疲れてくるだろうから、日本はEU,ASEAN,中国の順で関係を強化し10〜20年の長期戦略を進めていけば、20年後にはアメリカとの関係もイコールパートナーに近づいていくだろうと。

これが大前さんの日本「独立」のシナリオである。

本書のタイトルは「さらばアメリカ」だが、英語のサブタイトルは"So long America! until you come back to yourself"となっている。

オバマのアメリカにケネディのアポロ計画なみのリーダーシップを期待しながらも、ビッグ3救済や金融、雇用の問題に足を取られると地球規模の問題に着手すらできないことになる。

いつもの大前さんの鋭い切り口がない様な印象があるので、その意味でこのあらすじのタイトルは「大前研一氏のMixed feeling」としたが、複雑な思いを込めてのオバマ大統領への期待は誰しも持っているところだろう。

筆者もこのブログでオバマ氏の著作を紹介し、オバマ氏には大統領になる前から大きな期待を持っている。

是非ケネディの様な暗殺という悲劇が起こらずに、大きな仕事をやり遂げてほしいものだ。



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2009年04月11日

消えた潜水艦イ52 1997年のNHKスペシャル 恐るべきアメリカ軍の諜報力

2009年4月11日追記:

畑村さんの「失敗学のすすめ」を読み直してみたら、イ52を沈めた護衛空母ボーグが戦時中アメリカが大量生産したリバティ船を航空母艦に改造した船だということがわかった。

USS_Bogue_ACV-9





出展:Wikipedia

リバティ船とはそれまでのリベット接合に代えて鉄板を溶接して接合した急造の1万トン級の船で、全米18個所の造船所で戦争中に同じ形の船がなんと2,700隻も作られた。そのほかビクトリー船やT2タンカーなども合計1,000隻以上大量生産された。

WSA_Photo_4235






出展:Wikipedia

これらが大戦中の軍事物資の輸送に活躍し、アメリカを勝利に導いたのだ。リバティ船などの急造船のうち、なんと122隻がボーグの様な護衛空母に改造され、アメリカが戦時中につくった空母は151隻にも達した。

日本の全空母数の31隻に対して圧倒的な差である。

護衛空母のうち多くはイギリスにレンド・リース法により無償貸与され、イギリスの輸送船団護衛に威力を発揮した。

その後このリバティ船はなんと1,200隻の船体に何らかのダメージが生じ、230隻は沈没または使用不能となった。

冬の北大西洋で船体にダメージを受けるリバティ船が続出したので、理由を調査した結果、溶接鉄板の低温脆性のせいで沈没したことがわかった。これが畑村さんの「失敗学のすすめ」に書いてあったことだ。

それにしてもアメリカの圧倒的な生産能力に今更ながら感心する思いだ。

「消えた潜水艦イ52」で紹介されている武器の質の差とともに、これだけ圧倒的な物量の差があれば、とうてい日本には勝ち目はなかったことがわかる。


2009年4月8日初掲:

消えた潜水艦イ52 (NHKスペシャル・セレクション)消えた潜水艦イ52 (NHKスペシャル・セレクション)
著者:新延 明
販売元:日本放送出版協会
発売日:1997-08
おすすめ度:5.0
クチコミを見る


1997年3月2日に放送されたNHKスペシャル、消えた潜水艦イ52を本にまとめたもの。YouTubeにも収録されている。





日本が最高機密にしていた潜水艦のドイツ派遣が、アメリカの暗号解読によってアメリカに筒抜けになっていたという驚くべき事実が語られている。

アメリカ側は派遣時期から同乗している民間企業の技術者の名前や専門まですべて調べ上げていた。

そして潜水艦の動静を刻々と追って、ついに対潜水艦攻撃部隊の最新鋭兵器によってイ52は大西洋の底に葬られたのだ

まるで孫悟空がお釈迦様の手のひらで踊らされて、最後はひねりつぶされたような感じだ。米海軍の教育用テープにまとめられた沈没したときの音までインターネットで公開されている。遺族は複雑な心境だろう。

イ52は第2次世界大戦中の日独の軍事交易のために派遣された対独派遣潜水艦の5隻めで、最後の派遣鑑だ。

大戦中の日独の潜水艦による軍事交易については、吉村昭さんの「深海の使者」を紹介したが、吉村さんの小説は生存者や関係者など約200人への取材に基づくもので、1973年(昭和48年)の発刊だ。

日本からの潜水艦には2トンもの金を積んでドイツに向かったものもあった。そのうちの一隻がイ52だ。

「深海の使者」ではイ52は昭和19年7月にフランスに入港する直前に消息を絶ったと書かれているが、実はイ52はドイツ潜水艦とのランデブーを終わった直後、昭和19年6月下旬にアメリカの電撃機の最新式の音響探知(ホーミング)魚雷により撃沈されていた。

なぜイ52から到着間近という連絡があったと誤解したのか理由は不明だという。

吉村昭さんが取材していた当時は、アメリカ軍の秘密文書は公開されていなかったので、日本側の関係者はアメリカ側がイ52の動静をシンガポール出航から追っていたことは一切知らなかった。

しかしアメリカ軍は日本軍や外務省の暗号通信を解読していたので、ドイツ派遣潜水艦の派遣決定や、潜水艦の同行などをつぶさにつかんでいたのだ。

だから第3弾のイ34がシンガポールを出た直後英国潜水艦トーラスに待ち伏せされ撃沈された。

また第4弾のイ29はドイツからからレーダー、魚雷艇エンジン、Me262ジェット戦闘機、Me163ロケット戦闘機の設計図とドイツで学んだ日本人技術者を乗せてシンガポールまで帰着したが、日本に帰る途中のフィリピン沖で米国潜水艦3隻の待ち伏せ攻撃で撃沈されてしまう。

広い太平洋でタイミング良く3隻の潜水艦が一隻の潜水艦に出会って、一斉に攻撃するということなどありえない。待ち伏せされたのだ。

最後のイ52は昭和19年4月23日に金2トン、生ゴム、錫、タングステン、キニーネなどを積んでシンガポールを出航した直後、5月7日にはアメリカ側に出航を感知されている。

たぶんシンガポール近辺で日本軍艦の出入りを監視していたスパイの報告によるものと思われる。

イ52については、日本側にはほとんど資料は残っていない。しかし1990年頃に公開されたアメリカ軍のウルトラトップシークレットによると、アメリカ側はイ52の渡航目的、乗り込んだ日本側の技術者の専門と出身会社、積み荷、そして動静から沈没地点まですべてつかんでいたことがわかる。

NHKはアメリカ国立公文書館に残されたアメリカ軍の秘密文書を大量に入手し、その分析をすすめて、この番組を制作した。

もっともNHKがイ52に注目したのはアメリカのトレジャーハンター、ポール・ティドウェル氏の宝探しがきっけだ



ティドウェル氏は、公開されたアメリカ軍のウルトラトップシークレット情報約2000ページを読み込み、その資料をもとに、イ52が積んでいた金2トンを海底からサルベージしようとロシアの海洋調査船をやとって宝探しを続け、とうとう5,000メートルの深海に横たわるイ52の残骸を発見した

アメリカ軍はドイツ派遣命令が出た翌日の昭和19年1月25日の東京の海軍省からベルリン駐在の駐独海軍武官に宛てた電文を解読して、イ52がドイツに派遣される予定であることをすでにつかんでいた。

アメリカ軍は当時全世界に電波の傍受網をはりめぐらせて、複数の施設で傍受して発信元を特定し、傍受した暗号文はすべてハワイやワシントンの暗号解読施設に直ちに送られて解読された。

当初は暗号の解読に時間がかかっていたが、昭和19年にはほぼリアルタイムで暗号解読ができるようになり、通信が行われてから4−5日で英訳した報告書が作成されていたという。

日本の暗号は複数あったがほとんどが暗号書と乱数表を使ったもので、まず文章を暗号表をもとに数字に置き換え、それを今度は乱数表にかける。そして受け取った側に、どの乱数を使ったか、どの個所から乱数を使ったかを示す符号を巧妙に電文に隠すというやりかたを取っていた。

だから一旦解読できたら後は簡単に解読できたのだ。

潜水艦の訪独作戦に関する連絡は短波の無線通信によって交わされ、その情報は深夜に浮上するイ52にも伝えられた。

アメリカ側は無線を傍受してイ52を追跡し、6月23日にドイツ潜水艦U530と会合し、ドイツ側からレーダー逆探知機を受け取り装備することまで知っていた。

その直後イ52号を追跡していたアメリカ海軍の第22.2対潜部隊で、護衛空母ボーグを中心に、ジャンセンハバーフィールドなど5隻の駆逐艦で構成されたUボート攻撃のベテランチームがイ52を攻撃した。

このボーグを中心とするチームは、ドイツから寄贈され、日本に向かっていた2隻のUボートのうちの一隻のU−1224(ロー501と改名)を沈めたチームでもある。

アメリカ側は最新式レーダーと潜水艦の音を探知する音響探知機ソノブイを装備したアベンジャー雷撃機を発進させ、ランデブー直後のイ52をとらえ、スクリュー音を探知して自動追尾する最新式のマーク24魚雷で撃沈した。

ランデブー翌日24日の午前2時のことだ。



イ52号を撃沈したソノブイと音響追尾魚雷マーク24は実戦に投入されたばかりだったという。

NHKの放送ではイ52を撃沈したパイロットのゴードン中尉にインタビューし、イ52が魚雷攻撃で爆発して沈没する時の様子をソノブイがとらえた録音を番組で流している。

この録音テープはアメリカ海軍の対潜水艦飛行部隊の教材テープとして使われていたもので、潜水艦のスクリュー音、爆破音、飛行機のパイロットの会話、ブリキ缶を踏みつぶすような水圧で艦体がつぶれる音まで入っていて、最後に2度の爆発音で終わっている。

こんなテープが残っていることを知ったら遺族はどう思うだろう。圧倒的な技術力と生産力の差が招いた悲惨なイ52の最期だ。

このイ52の対独派遣については、非常に詳しいサイトがあるので興味のある人は参照してほしい。

以前読んだ柳田邦男氏の「零戦燃ゆ」にも、アメリカ軍のVT信管(信管に小型のレーダーを組み込み、電波が敵機に当たって反射すると爆発する仕組み)により飛躍的に対空射撃の命中精度を上げ、勝利に貢献したことが書いてあったが、それ以外にもレーダー、ソノブイ、ホーミング魚雷、ヘッジホッグといい、日本軍とアメリカ・イギリス軍の軍事技術の差は大きい。

零戦燃ゆ〈2〉 (文春文庫)零戦燃ゆ〈2〉 (文春文庫)
著者:柳田 邦男
販売元:文藝春秋
発売日:1993-06
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魚雷艇用高速回転エンジン

この本ではイ8が持ち帰ったベンツ製の魚雷艇用高速回転エンジンの話が取り上げられている。超高精度で加工された部品を見た三菱重工の技術者が、日本でのコピー生産は無理と断念した。

日本は外国の製品を輸入してコピー品をつくる「宝船」方式で兵器を生産してきたが、魚雷艇用のエンジンは大型鍛造クランクシャフトが日本で製造できないことと、1万分の1ミリの精度の加工精度は出さないことの2つで日本での製造は不可能だった。

大型船用のエンジンは製造できるが、100トン程度の小型船で70キロ以上の高速を出せるエンジンは軽量化と高速化回転が要求され、とても日本の技術では生産できなかったという。

日本とドイツの産業技術には大きな差があった。そしてそのドイツとアメリカ・イギリスのレーダーや音響兵器技術にも大きな差があった。

日本はレーダーや音響兵器の分野では世界のかやの外だった。

潜水艦で苦労してドイツに持ち込んだ日本自慢の酸素魚雷に、ドイツが見向きもしなかったことがよくわかる。

ドイツはアメリカと同様に音響魚雷を既に開発しており、イ52の積み荷の中には音響魚雷も入っていた。

もとから勝てる戦争ではなかったといえばそれまでだが、湾岸戦争でもイラクと米軍の圧倒的差が出たように、単に戦車とか軍艦とか潜水艦などのハードだけ作っても、搭載する武器の質や暗号解読などから得た情報を活用して戦略に活かすシステムの有無が大きな差になる。

現在の日本は世界トップレベルの加工技術を持っており、クランクシャフトなどはむしろGMなどビッグスリーはじめ全世界に輸出しているほどだが、戦前の日本の生産技術は欧米先進国とは大きな差があった。

昔筆者の友人から聞いた話だが、友人のおじいさんが三菱商事につとめており、戦前にチェコから機関銃を輸入して、バラバラに分解し、再度組み立てたら、すべてが元通り組み立てられたので驚いたという。

当時の日本の技術では加工精度が低かったので、部品をぴったり会わせるために、削って寸法を合わせていたのだ。

だからバラバラに分解して部品を混ぜてしまうと、それぞれちょっとずつ寸法が違ったので、元通りぴったり合わせることは不可能だったという。

NHKの番組では、イ52と運命をともにした三菱重工の蒲生さんというエンジニアにスポットを当てて、圧倒的な差があるにもかかわらず、なんとか欧米との差を縮めようと努力した当時の事情を紹介している。





この話はドラマとしてはおもしろいが、それにしてもアメリカ軍の徹底的な暗号活用と日米の軍事技術の差に驚かされる。

YouTubeに収録されているので、是非番組も見てほしい。"i-52"(アイ52)で検索すると数件表示されるはずだ。

たまたま図書館で見つけた本だが、大変おもしろかった。

是非図書館やアマゾンマーケットプレースで見つけて、一読されることをおすすめする。


参考になれば投票ボタンをクリックしてください。



  
Posted by yaori at 01:29Comments(0)TrackBack(0)

2009年04月01日

マネー力 大前研一氏の「株式・資産形成講座」

マネー力 (PHPビジネス新書)マネー力 (PHPビジネス新書)
著者:大前 研一
販売元:PHP研究所
発売日:2009-01-17
おすすめ度:3.5
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世界金融危機以降、世界は大変だが、日本はチャンス!と呼びかける大前研一氏の近著。

「いよいよ日本の出番」と、まるで長谷川慶太郎さんの本の様だ。

千載一遇の大チャンス千載一遇の大チャンス
著者:長谷川 慶太郎
販売元:講談社インターナショナル
発売日:2008-12-18
おすすめ度:4.0
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それでも、「平成恐慌」はありません。―これが、世界経済再生のシナリオ (WAC BUNKO)それでも、「平成恐慌」はありません。―これが、世界経済再生のシナリオ (WAC BUNKO)
著者:長谷川 慶太郎
販売元:ワック
発売日:2009-03
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筆者もグリーンテクノロジーなどの分野で、日本の出番だと思うが、サブプライムローン問題ではほぼ無傷の日本が、昨年11月以降製造業中心に、これほど大きなダメージを受けるとは予想していなかった。

最も裾野の広い自動車業界が最もダメージを受けている。

自動車の買い換えを1年くらいのばしても、今の日本車なら全く問題ない。”合成の誤謬”で、みんなが買い換え時期を延ばすと理論的には1年分の国内需要がなくなる。この消費者の買い換え意識の減退が、現在の急激な自動車生産の落ち込みの原因の一つだと思う。

それと日米での自動車リースの普及度の差が大きい。

アメリカでは法人はほぼ100%リース、個人でもリースが大半なので、3年前後のリースの期限がきたらほとんどが新車に乗り換える。そのためアメリカの自動車業界の方が需要の落ち込みが緩やかとなる。

(筆者は二度ピッツバーグに駐在したが、最初の駐在時は家内の車も含めてローンで2台購入したが、2度めの駐在では2台ともリースにした。リースなら頭金20万円程度で車が手に入るし、帰国するときはリースを解約すれば良いので、車を処分するのもラクだ。)

自動車業界のリース比率の差が、今回日米の自動車生産の落ち込みの厳しさの差となっていると思う。

中国の自動車業界は輸出が少なく内需中心なので、今でも生産量を増やしており、国としても中国は依然として6−7%の成長を維持している。先進国が軒並みマイナス成長になっているので、差が急速に縮まっており、3年後は中国の経済規模は日本を抜くと大前さんは予想している。

この本は、「大前流心理経済学」の続編のような内容で、資産運用力をつけるには今がチャンスと呼びかけている。

大前流心理経済学 貯めるな使え!大前流心理経済学 貯めるな使え!
著者:大前 研一
販売元:講談社
発売日:2007-11-09
おすすめ度:3.5
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いくつか参考になった点を紹介しておく。


世界のホームレスマネーは3,000兆円の規模

2008年の金融危機以降の株価下落、石油などコモディティ価格下落、不動産価格下落により、世界の余剰資金の規模は半分に減ったが、それでも約3,000兆円が行き場を求めてさまよっている。

マネー力を強化するためには、このホームレスマネーの動きを読めるようにすることが必要だと大前氏は語る。

日本にいては、ダイナミックなお金の流れはわからない。世界を足で歩けという。

ホームレスマネーは、先進国のファンド、オイルマネー、中国マネーの3種類あり、中国マネーのおかげで香港とマカオは未曾有の活況を呈していた。

中国の金持ちのスケール、中国のマーケットの大きさ(毎月携帯電話の新規契約者が5百万人ずつ増える!)はとてつもないものがある。

マネー力をつけるためには、中国マネーは体験しておく必要があると大前氏は語る。

中国の外にインドやロシアも見逃せない。大前氏は「ロシア・ショック」でも書いているが、オイルマネーとプーチンのフラット・タックス改革で、ロシアの時代は必ず来ると予想する。

日本だけ見ているとこれからはせいぜい1〜2%の成長がやっとだ。15%業績をのばすと宣言したGEのイメルト会長のように、15%の成長を遂げている国の事業を伸ばすのだ。

GEは向こう3年間でインドで現在の10倍の5万人体制を敷くと宣言している。

逆に大前さんはアメリカには関心がなくなったという。2007年には一度もアメリカを訪問しなかったが、こんな事は初めてだと。家も6軒所有していたが、すべて売却したという。

「ブッシュ前大統領がいかにアメリカを、自己中心的で世界と没交渉のつまらない国にしたかは後世の歴史家が証明してくれることだろう」と辛辣だ。


自分の資産は自分で守れ!

大前さんは日本の国は将棋で言えば”詰んでいる”という。年金とかで国になんとかしてもらおうとなどと、ゆめゆめ思わないことだと。

2055年の人口動態予測が載っている。

2055年人口動態日本の人口ピラミッドが年々変化していく様子国立社会保障・人口問題研究所がホームページのトップに公開しているので、紹介しておく。

ピラミッド型から逆ピラミッド型に変化していく様がスライドショーで紹介されている。


ドルからユーロへの基軸通貨シフト

アメリカはドルの衰退で、”ブラジル化”すると大前氏は予想する。ドルとユーロのアトランティックの戦いに敗れると、アメリカ人も自国通貨を売って、強い通貨に変えようとするだろう。これが大前さんが言う”ブラジル化”だ。

アメリカはこれには耐えられないので、ユーロとドルを統一させようとする。それが大前さんの予想する仮称”ユーラー”か”ドーロ”の誕生だ。

こうなると世界の通貨の85%は米欧統一通貨となる。円とかウォンとかの弱小通貨は生き延びられず、結局世界統一通貨の”グロボ”とかになるだろうと。

これは大前さんの仮説だが、こういうシナリオを持っていれば、たとえドルが大暴落してもパニックになることはないと語る。


マネー脳の鍛え方

マネー脳を鍛えるにはITと英語は不可欠だ。世界中の国が競って英語を勉強している。最近では特にドイツの英語力向上がめざましいという。

大前さんは韓国の2つの大学で名誉・客員教授をやっているが、韓国の大学では1997年の通貨危機以来、英語が話せる国際派人材の育成ということで、世界中から講師を招き、当たり前のように英語の授業をしているという。

2008年1月に教育再生会議の最終報告書が出されたが、”ニートやフリーダーをなんとかしよう”とか、”いじめをなくそう”とか、教育の本質とは関係ない事ばかりが書かれていて、肝心の世界で通用する人材をこうやって教育するという内容は見あたらなかったという。

ニートやフリーターを減らしても、日本の経済力は上がらない。

それよりも「世界中の人とコミュニケーションが可能で、どの国の人に対してもリーダーシップを発揮することができ、なおかつ余人をもって代え難いスキルをもつ人材の育成」をするべきだと大前氏は語る。

筆者も最近のマスコミは、弱者の味方となって企業の”派遣切り”を断罪しているが、そもそも派遣労働者を拡大してきたのは、政府の政策であったことが忘れられているのではないかと思う。

企業の競争力を高め、労働者も希望するなら勤務時間に拘束されず、自由に働けるしくみが派遣労働者だったはずだ。

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出展:「連合」資料

大前さんは”ストリート・スマート”だけが生き残ると語る。給料をもらったらすぐに強い通貨に変えるかつてのブラジルとか、ルーブルをドルやユーロに換えるロシアのタクシー運転手など、生活の中で学んで生きていくのだ。

筆者は1978年から1980年まで年間のインフレ率が100%を超えるアルゼンチンで研修生として働いていたが、給料を受け取ったらすぐにドルやドイツマルク、最後の1年間は金貨に換えていた。

ちょうどこのころ金が暴騰し、1オンス300ドル台から、一挙に800ドルを超え、筆者が帰国前に処分したときは300ドル以下で買った金貨が、640ドルまで上がっていた。

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出展:Wikipedia

金貨は8枚程度しか持っていなかったが、まさに”ストリート・スマート”を体験できた。

大前さんは日本人は国を信じる危険に目覚めよ、マネー脳は中国人に学べと説く。現在中国では資産を自由に海外に持ち出すことは法律上できないので、家族の一人に外国籍を取らせ、その人を通して海外投資するのだと。

その裏には外国居住の中国人を増やしてロビー活動に使おうという中国政府のしたたかな計算があるという。

日本円や日本政府に義理だてする必要などない。学ぶべきは中国人のしたたかさである。


大前健一の株式・資産形成講座

大前さんは2006年からビジネス・ブレークスルー大学院大学オープンカレッジで、「大前健一の株式・資産形成講座」という講座を開講している。自ら判断できる力を養うことが目的だ。

大前さんは日本人のマネー力は幼稚園児レベルだという。ほとんどの日本人が額に汗して働き、稼いだお金は銀行やゆうちょ銀行に預けておくだけだ。

”効率よくお金にお金を稼がせる”ことを考えていないと。

お金にお金を稼がせるるというのは、「アメリカの高校生が学ぶ経済学」でも高校生が学ぶことで、いまだにベストセラーとなっているロバート・キヨサキの「金持ち父さん、貧乏父さん」が主張するところでもある。

アメリカの高校生が学ぶ経済学 原理から実践へアメリカの高校生が学ぶ経済学 原理から実践へ
著者:ゲーリーE.クレイトン
販売元:WAVE出版
発売日:2005-09-15
おすすめ度:4.0
クチコミを見る


金持ち父さん貧乏父さん金持ち父さん貧乏父さん
著者:ロバート キヨサキ
販売元:筑摩書房
発売日:2000-11-09
おすすめ度:4.0
クチコミを見る


家を買うか借りるかもマネー力があれば迷わない、資産形成は長期運用、分散投資が基本、専門家に聞くのが一番、実際にやらなければ力は身に付かない、などとBBT事務局からの内容説明や、受講者の声も紹介している。

終章”いよいよ日本の出番”では、いつも通り大前さんがいくつか具体的提案をしているので、箇条書きで紹介しておく。

・このまま入ったら長期衰退

・オバマは環境戦争を始める 相手は地球環境破壊者だ 日本の環境技術の出番だ

・眠れる1500兆円を市場に誘い出す 相続税廃止で資産を老人から若者へ

 ちなみに現在相続税のない国は、スイス、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、スウェーデン、イタリア、マレーシアなどで、現在相続税廃止を検討中なのは、イギリス、フランス、ドイツなどだと。

 アメリカはかつて60%だった相続税率を2001年から段階的に下げており、2010年にはゼロとし、その後は上げていく予定だ。この2010年相続税ゼロという「ブッシュ・プラン」」がアメリカの救世主になるかもしれない。

 日本の相続税収は1兆5千億円程度で、この税収のために1,500兆円がフリーズしているのが現状なのであると。

・東京をマンハッタン化せよ 東京のフロア数は山手線の内側でも平均2.6階 電線地下埋設と高層化

・「戦略事業単位」としての道州制

・チャンスを生かすには意志がいる 若い人の国を変えようという意識高揚が必要

   
今回は大前さん自身のビジネスブレークスルー大学院大学講座の宣伝という色彩が強かったが、投資術初級編として参考になる内容である。

本屋で手にとってみることをおすすめする。


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Posted by yaori at 00:19Comments(0)TrackBack(0)