2010年04月24日

東大読書法 理III出身のカリスマ家庭教師の3部作 今度は読書法

東大家庭教師が教える 頭がよくなる読書法東大家庭教師が教える 頭がよくなる読書法
著者:吉永 賢一
販売元:中経出版
発売日:2009-07-31
おすすめ度:4.0
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最難関の東大理III(医学部進学コース)出身で、アルバイトで家庭教師や塾講師をやった後、アルバイトが本業となり、結局受験生を教えることを職業にしてしまった吉永賢一さんの本。吉永さんは偏差値93だったという。

このブログでも紹介した東大家庭教師3部作の読書法。他に「勉強法」「記憶法」がある。


「頭が良くなる読書法」として、選ぶ、読む、活かすの3ステップのノウハウを明かしている。ちなみに「頭が良い人」は、現実対処能力の高い人のことだと定義している。

吉永さんは「記憶法」でも小学校3-4年のときにトニー・ブザンの「頭が良くなる本」を読んだと書いているが、この「読書法」でも小学校3−4年のときにベン・スゥートランドの「信念をつらぬくー私はやる」と「自己を生かすー私はできる」を読んで大きな影響を受けたと書いている。ずいぶん早熟な人だ。

信念をつらぬく―私はやる (HD双書 (14))
著者:B.スイートランド
販売元:創元社
発売日:1971-12
おすすめ度:5.0
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自己を生かす―私はできる自己を生かす―私はできる
著者:B. スイートランド
販売元:創元社
発売日:2003-07
おすすめ度:4.5
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そしてその「自己を生かすー私はできる」の本の中の広告で、興味を惹かれて読んだのがデール・カーネギーの「人を動かす」だ。

人を動かす 新装版人を動かす 新装版
著者:デール カーネギー
販売元:創元社
発売日:1999-10-31
おすすめ度:5.0
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中学生のときに読んで、この本の各章の最後に書いてあるまとめ(ナットシェル)をすべて手帳に書いて何度も読み返して「メンタル・トレーニング」を実施していたという。

筆者も読書法については一家言があるが、この本では吉永さんのこだわりの読書法を紹介している。

あまり詳しく説明すると本を読んだときに興ざめなので、参考になったいくつかを紹介しておく。

1.頭が良くなる本の選び方
★吉永さんは本屋に行ったら、すべてのフロアに立ち寄って目に付いた本を手にとっているという。これは子供のときからの習慣だそうだが、ネット書店に対するリアル書店のメリットで、本屋の陳列の一覧性を生かしたやりかただ。

★立ち読みのコツは飛ばし読みでも最後まで目を通すことだと。本との相性がわかるという。

★吉永さんは本は買ったほうが頭が良くなると言う。自分で買えばいつでも読めて、書き込みができ、お金を払った分内容が頭に入りやすい。まとめ買いも勧めている。

筆者は「買った本は読まない」傾向があるので、「読んだ本しか買わない」図書館利用派だが、吉永さんのようなやり方もあると思う。

ちなみに筆者の図書館利用法はこのブログに多く紹介しているので、参照してほしい。

2.頭が良くなる読み方
★必須知識とアーカイブ知識(将来使うかもしれない知識)を切り分け、必須知識だけじっくり読み、アーカイブ的知識は軽く読む。

★面白い本は一気に読まない。面白かった本ほど記憶に残らないという。だから面白い本は盛り上がったところで一旦休み、それまでの内容を思い返して、それから読み続けるのだと。

★書き込みや付箋を活用する。この本では吉永さんの流儀の書き込み方や付箋の貼り方も紹介されていて、参考になる。

筆者は図書館派なので、本の書き込みは当然やらず、付箋愛好派だから吉永さんの付箋の貼り方は参考にあった。

その他、名著をコマ切れ時間を使って読むなど、目的別の頭が良くなる本の読み方が紹介されているのでアマゾンのなか見、検索を使って、この本の目次を参照してほしい。

3.頭が良くなる本の活かし方
★いつまでに何をやるという期限入りのTo doリストをつくる。吉永さんはGoogle Docsのスプレッドシートを使っているが、まずは手書きでTo doリストをつくることを勧めている。

★1000回音読する。吉永さんは本によっては1000回音読するという。たとえば斉藤一人さんの本や、ジョン・マクドナルドの「マスターの教え」などだという。

マスターの教えマスターの教え
著者:ジョン マクドナルド
販売元:飛鳥新社
発売日:2001-06-22
おすすめ度:4.5
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★読書ノートをつけたり、ブログに書いたり、他人に話したりというアウトプット法も紹介されている。


本を読んでよかったこと

エピローグに吉永さんは、本を読んで良かったこととして次を挙げている。

1.たましいが震える
2.窮地を救われる
3.この世界のことがわかる

表現はともかく筆者も全く同感である。本は知識の宝庫だと常々思っている。


(蛇足ながら)図書館派の弁明

最後に筆者は図書館派で、吉永さんの「本は買って読む」派とは異なるので、蛇足ながらその理由を一言書いておく。

それは残念ながら世の中には読んでがっかりする本が、10冊のうち5冊以上あるということだ。筆者は年間250冊くらい本を読むが、「読んでから買う主義」なので、買う本は年間20冊程度だ。つまり結構本を選んだつもりでも、読んでから手許に置いておきたいと思う本は1割以下というのが現実である。

吉永さんは著者として本を売る立場なので、図書館利用より本を買うことを当然勧めているし、読書術も本を買う前提で書いているが、「スカ」をつかんだ失望感とダメージは結構大きい。

大体その時々のベストセラーは「スカ」が多いという皮肉を言う人も多く、当たっているケースも結構あると思う。

はっきり言って書評はあまりあてにならない。このブログで紹介した「読んでない本について堂々と語る本」が言っているように、書評は本を読まなくても書けるからだ。(あらすじは読まないと書けない)

読んでいない本について堂々と語る方法読んでいない本について堂々と語る方法
著者:ピエール・バイヤール
販売元:筑摩書房
発売日:2008-11-27
おすすめ度:5.0
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筆者がなぜ図書館を利用するかというと筆者は積読(つんどく)派で、本を買うと安心してしまい「買った本は読まない」からなので、えらそうなことはいえないが、図書館の利用と本を買うのと、うまくバランス取って知識を吸収することをお勧めする。


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2010年04月21日

桑田真澄 野球を学問する 元巨人軍桑田さんと早稲田大学大学院担当教授の対談

野球を学問する野球を学問する
著者:桑田 真澄
販売元:新潮社
発売日:2010-03
おすすめ度:5.0
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元巨人軍の桑田真澄さんが2009年4月から1年間早稲田大学の社会人向けマスターコースで学び、「『野球道』の再定義による日本野球界のさらなる発展策に関する研究」という論文を書き、最優秀論文賞を受賞し、成績トップで卒業生総代にもなった話を担当教官との対話で振り返る。


担当教官の平田教授も異色のキャリア

桑田さんのがんばりや熱意もさることながら、早稲田大学大学院スポーツ科学研究科の担当教官平田竹男教授の異色のキャリアにも驚く。

平田さんは横浜国大を卒業して、1982年に通産省に入省、1988年にハーバード大学のケネディスクール(行政学)の修士号を取る一方、ケネディスクールのサッカー部の立ち上げにも尽力した。

その後1989年からは産業政策局サービス産業室室長補佐となり、Jリーグ設立、サッカーくじTOTOの創設、日韓ワールドカップ招致成功という成果を上げた。

1991年からは3年間一等書記官としてブラジルに駐在し、日本とブラジルのサッカー外交を促進。帰国後はエネルギー政策を担当し、アラブやカスピ海諸国との石油利権確保交渉で、サッカー談義を駆使した独特のスタイルで成果を上げたという。

2002年に資源エネルギー庁石油天然ガス課長を最後に経産省を退官し、日本サッカー協会専務理事となり、2006年に早稲田大学の教授に就任した。官僚という枠には収まらない人物だったようだ。

「サッカーという名の戦争」とか「トップスポーツビジネスの最前線」などの著書があるそうなので、今度読んでみる。

サッカーという名の戦争―日本代表、外交交渉の裏舞台サッカーという名の戦争―日本代表、外交交渉の裏舞台
著者:平田 竹男
販売元:新潮社
発売日:2009-03
おすすめ度:4.5
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トップスポーツビジネスの最前線〈2〉―早稲田大学講義録2004 (早稲田大学講義録 (2004))トップスポーツビジネスの最前線〈2〉―早稲田大学講義録2004 (早稲田大学講義録 (2004))
著者:平田 竹男
販売元:現代図書
発売日:2005-10
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この本では桑田さん自身の論文本体は紹介していないが、桑田さんの論文の背景、骨子や大学院での学習についての対話という形で紹介している。

そして日本の野球界で、今でも影響力を持っている飛田穂洲(とびたすいしゅう)の精神主義的野球を見直すことを主張している。

「一球入魂」に代表される飛田穂洲の精神主義は、戦前の軍国主義の風潮の中で、精神鍛錬に役立つとして(アメリカ発のスポーツである)野球を守ったという時代的意義があるが、それをそのまま現代まで持ってくるのは不適当であると。

そこで飛田穂洲の「野球道」を3つに集約して、それぞれ現代的な意義を与えて再定義した。

「野球道」 → スポーツマンシップ

1.練習量の重視 → 練習の質の重視(サイエンス)

2.精神の鍛錬 → 心の調和(バランス)

3.絶対服従 → 尊重(リスペクト)


本の帯に「担当教授との超刺激的会話」と書いてあるが、たしかに驚くことが多い。内容を詳しく紹介すると本を読んだときに興ざめなので、一部だけ紹介しておく。


★桑田さんは小学校のときからグラウンドに行って殴られない日はなかったという。

ちょっと信じられない話である。筆者は小学校では一時野球クラブに属し、高校時代はサッカーをやっていたが、コーチや監督あるいは上級生から体罰を受けたことは一度もない。たしかに誰かが失敗して、連帯責任ということで、同じ学年の選手が全員でグラウンド10周とかいう話は聞いたことがあるが、自分では経験ない。

後述のアンケートでは指導者から体罰を受けたことがあるかという質問には、中学で45%、高校で46%が体罰を受けており、先輩から体罰を受けたことがあるかという質問では中学で36%、高校で51%という回答だ。

体罰、しごきや意味のない長時間練習をなくすことがが桑田さんの論文の主旨である。

★桑田さんの早稲田の大学院入試面接では、研究のテーマを「野球界のさらなる発展策」だと説明したら、面接した教官に「1年では無理だね」といわれ、普通10分程度の面接が30分かかった。受かるとは思っていなかったので、巨人入団の時のいきさつもあり、「やはり早稲田はぼくのことが嫌いなんだ。絶対に入れたくないんだ。」と思っていたという。

★桑田さんのおばあさんは子守唄に早稲田の校歌を歌って、「真澄さんは早稲田に行くんですよ」と言っていたという。それで中学生のときにPL学園→早稲田大学→ジャイアンツという目標を立てたという。

★水を飲んだらバテるとか言われていた時代だったので、便器の水を3回流してすくって飲んだり、アンダーシャツを濡らしてアンダーシャツをチューチュー吸ったという。

★現役選手6球団270人、へのアンケート。11月末のシーズンオフの時を狙って1軍と2軍の選手にアンケートをとった。選手会長が協力してくれ、横浜の三浦大輔選手は自宅まで届けてくれたという。

このアンケート結果によると、中学での平日の平均練習時間は2.9時間、休日は5.8時間。高校だと平日は4.5時間、休日は7.3時間で、休日は9時間以上練習していたという人が70人もいたという。

★桑田さんは高校一年で全国優勝し、全日本チームに参加して帰ってきたときに中村順司監督に練習時間を3時間にしましょうと訴え、練習時間を変えたという。全体練習は3時間だけ。あとは自分で考えて必要なトレーニングをする形に変えたら、PLは練習時間は少ないのに、連続5回甲子園に出場し、2回優勝、2回準優勝、ベスト四1回と抜群の強さを発揮した。

★桑田さんは高校のときは変化球はカーブしか投げなかったという。高校野球でいろいろな球を使わないと抑えられないのではプロでは通用しないと思っていたからだという。

そのかわりバッターのくせや、傾向を観察して、逆算してバッターの狙いを推測していたという。高校時代は7−8割はバッターの狙いがわかったという。

筆者の別ブログで紹介しているが、桑田さんは現役最後のピッツバーグパイレーツ時代に筆者も関係していたピッツバーグ日本語補習校を訪問してくれている。補習校の児童が桑田選手がケガをしたときに、千羽鶴を送ったからだ。

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一流の野球選手は人格的にも優れた人が多いが、桑田さんは何事も真摯に取り組み、伝統とか慣習に流されることなく、不合理なものには対決して、考える野球を追及している。

平田教授は桑田さんに将来プロ野球のコミッショナーになれとハッパをかけているが、コミッショナーになるかどうか別にして、ちょうど相撲界の貴乃花親方のように桑田さんにはプロ野球の運営者になって改革をしてほしいものだ。

中学生ですでに190センチ近い身長で、PLに入学するやいなや高校1年生の4月にPLの4番になったという清原氏の昔の話も面白い。

野球選手が書いた本は多いが、この本はちょっと違う。桑田さんの今後の活動を応援したくなる本である。


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2010年04月20日

最強国家にッポンの設計図 大前研一の日本再建提案

最強国家ニッポンの設計図最強国家ニッポンの設計図
著者:大前 研一
販売元:小学館
発売日:2009-05-29
おすすめ度:4.0
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2009年6月、衆議院選挙の直前に出版された大前研一さんの日本再建のための提案。

隔週発行の「SAPIO」に同じタイトルで連載されていたシリーズをまとめただけでに、提案内容も奇抜でControversialな(異論の多い)ものが多い。

大前さんは今から20年以上前の平成元年頃に「平成維新」を掲げ、マッキンゼーをやめて東京都知事選挙に出たり、「平成維新の会」を立ち上げて与野党の政治家を評価して公認したり、政治的な活動を活発にやっていた。

平成維新平成維新
著者:大前 研一
販売元:講談社
発売日:1989-06
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しかし東京都知事戦で、自宅にこもって遊説を行わないにもかかわらず、タレント候補として知名度だけで支持を受けた青島幸男が勝利し、自らは惨敗した(たしか5位だったと思う)ことに衝撃を受け、「敗戦記」を書いて政治からは身を引いていた。

大前研一 敗戦記
著者:大前 研一
販売元:文藝春秋
発売日:1995-11
おすすめ度:4.5
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しかしこの20年間で、どんどん変わる世界の動きに対して、改革らしい改革がない日本が次第に遅れていくのを見て、再度「いい国作ろう!」との思いで、日本を繁栄に導くシナリオをこの本で提案するのだと大前さんは語る。

この「いい国作ろう!」という思いは、松下幸之助に通じるものがある。筆者が座右の書として、スキマ時間があるときに1−2章ずつ読んでいる松下幸之助の「道をひらく」の最後に「日本よい国」として次のように語っている。

「日本はよい国である。こんなよい国は、世界にもあまりない。だから。このよい国をさらによくして、みんなが仲よく、身も心もゆたかに暮らしたい。

よいものがあっても。そのよさを知らなければ、それは無きに等しい。

もう一度この国のよさを見直してみたい。そして、日本人としての誇りを、おたがいに持ち直してみたい。考え直してみたい。」


道をひらく道をひらく
著者:松下 幸之助
販売元:PHP研究所
発売日:1968-05
おすすめ度:4.5
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松下幸之助は、良い国日本作りを「松下政経塾」で後進育成という形で実現した。与野党に松下政経塾出身者は多い

大前さんはシンクタンク株式会社ザ・ブレイン・ジャパン(TBJ)を立ち上げて、改革運動を起こすべく準備をしている。TBJには年俸2,000万円で優秀な若い人材を50人集め、頭脳集団をつくるという。

brainjapan







まずはITを基盤とした国家戦略をつくり、国民の個人情報をデータベース化して、すべての行政サービスの基幹に置き、国のITインフラを合理化する。道州制、外交政策、新憲法試案をつくり、20年計画で活動するというものだ。

そして世界に雄飛する日本人をつくり、第4の黄金期(第1期は明治維新、第2期は日露戦争勝利から大東亜戦争に入るまで、第3は敗戦直後、松下やソニー、ホンダなど、気概のある経営者の時代)をつくるのだと。


各種の政策提言

大前さんの提言する各種の提言は次のようなものだ。

1.年金と税金改革
現在の年金は10年も持たずに破綻すると予想されるので、税金で基礎年金、2階建て部分は任意積み立てに変更する。2階部分の積立金は年金だからこその長期投資資金として資源国投資、日本型成長モデル輸出、通貨分散投資、好老リゾート開発に費やす。

★所得税は12%、法人税は25%、相続税ゼロの世界標準大減税を実施。世界各国は競って企業や資金を呼び込むために大減税競争をしている。これに日本も参戦する。

★究極は所得税・法人税全廃。資産税(市町村税)・付加価値税(道州税)導入。国は道州と市町村から上納金を集め、国家としてやらなければならない外交、防衛、通貨発行の予算とする、

★外貨準備から50兆円の国家ファンドをつくり、10%利回り運用を目指す。


2.経済復興と産業振興
中国市場の「規模感」は圧倒的だ。中国を「お客様」にして日本は生きていく。明治維新以来の140年間は日中の地位は逆転していたが、過去2、000年間は日本は中国の国力の10%程度だったという。

★近未来の4大国は中国、インド、米国、EUとなるだろう。正しい世界観を持って、世界を利用して繁栄するしたたかな戦略が日本に必要なのだ。

★格差是正のサッチャー前のイギリスは長期低迷に苦しみ、格差拡大のロシア・中国は発展した。格差拡大は必ずしも悪とはいえない。

★日本は「エネルギー大国ニッポン」となれる。原子力発電所を作れるのは世界で日本の3メーカーとフランスのアレバだけだ。大前さんは藻(=クロレラなども含む)をバイオ燃料にすることも提案する。

★ウクライナ、オーストラリア、カナダ、アメリカなど世界のそれぞれの穀物生産の最適地で農場を買収し、日本の農業従事者が行って農場を経営し、穀物を輸入する。


3.人材教育と雇用
日本は1500年前に渡来人を受け入れて礎を築いた国なので、移民を恐れず世界に冠たる多国籍国家となるのだと。

★21世紀の教育の目的は、どんなに新興国や途上国が追いかけてきても、日本がメシを食べられる人材、答がない世界で果敢にチャレンジして、世界のどこに放り出されても平気な人材を生み出すことだ。これは「フラット化する世界」でトム・フリードマンが描いた人間像と一致する。

★教えるのは英語、ファイナンス、ITの3種の神器とリーダーシップだ。

★ヨーロッパの就職試験では、「履歴書に書いてない特筆すべき経験がありますか?」と聞くのだという。リーダーシップの素養を聞くのだ。

★日本政府は教育再生会議などに提案を出させているが、「教育再生」ではなく、全く新しい教育をつくることが必要だと。


4.憲法改正と道州制で新しい国家のかたち
オールクリアして新しい国の形を考え、それを実現する憲法をつくるべき。

★今の憲法は、明治憲法、アメリカの独立宣言と憲法、フランスの人権宣言、それと起草スタッフの個人的な思い(たとえば夫婦平等)の3つで構成された「モンタージュ」憲法だと大前さんは語る。いろいろな人の顔の部分部分を継ぎ合わせて作るモンタージュ写真のようだからだ。


5.主要国との新しい外交関係

★日米関係は円熟夫婦であると。

★イスラム・テロをなくしてアラブ地域を安定させるのは、アラブユニオン(AU)をつくるべきだと。宗教色を排除し、純粋にエコノミックコミュニティにする。

★大前さんの領土問題解決シナリオは、現実的な実効支配を追認することだ。反対論は承知で竹島は現状維持、尖閣列島は実効支配を続け、北方領土は2島返還を優先すると説く。極東ロシアの経済開発を日本の経済振興に生かす議論はこのブログでも紹介した「ロシアショック」に詳しい。

ロシア・ショックロシア・ショック
著者:大前 研一
販売元:講談社
発売日:2008-11-11
おすすめ度:4.0
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★途上国の資源開発に投資し、カザフスタン、ナイジェリア、モンゴルなどに「投資部隊」として人材を送り込んで開発を支援し、生産された資源の大半を日本が買い取る。

★核、空母、憲法改正、国民皆兵制もタブー視しない新の国防論


元々月刊誌(月2回ではあるが)のコラムでの主張なので、本にすると過激で到底実現不能だったり、突拍子もないものが多いように感じる。

「いい国作ろう!」という主張には大賛成だが、方法論はいろいろ議論する必要がある。まずは議論を始めるためのたたき台としては役にたつスパイスの効いた政策提言だと思う。


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2010年04月16日

凄い時代 堺屋太一さんの予測する2011年勝負の年

凄い時代 勝負は二〇一一年凄い時代 勝負は二〇一一年
著者:堺屋 太一
販売元:講談社
発売日:2009-09-02
おすすめ度:3.5
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未来予測小説のパイオニアで、時代小説家、経済評論家でもある堺屋太一さんの近著。2009年9月の発売だ。

凄い時代

堺屋さんはこれからの3年間、特に不況の二番底から立ち上がる2011年頃までが凄い時代となるだろうと予測する。

この凄い時代の日本には次の2つのチャンスがあるという。

1.諸外国を上回る不況を利用して、明治維新的な改革を行う
起業、新産業の成長のチャンスである。

2.高齢化をチャンスに変える。高齢労働力を活用する
たとえばタクシー運転手は高齢化が激しい。現在は平均60歳で、定年退職者のドライバーが増えた。高齢者は低賃金でも勤労意欲が高く、結果的にタクシーの台数は増え、便利な乗り物になった。

世界に先駆けて高齢化が進んでいる日本こそ「好老文化」を拓くチャンスである。シルバー・ニューディールを真剣に考えようと呼びかける。


勝負の秋(とき)は2011年

2009年は各国政府が赤字財政にしてでも経済立て直し策を導入したので、世界不況から回復する年となった。しかしまだ二番底の可能性はある。そして勝負の秋(とき)は2011年だろうと堺屋さんは予測する。

2008年のサブプライムローン問題に端を発した経済危機は、本来サブプライムローンの影響が最も少ない日本を痛撃した。

この原因は製造業分野だけ自由化・規制緩和しておきながら、21世紀の成長分野である医療・介護・育児・教育・都市運営・農業などの分野を統制経済のままにおいた「偽りの改革」にあるという。

そしてこれに加えて、官製の記者クラブ情報が支配する「情報出島」でマスコミでは正しい情報が伝わらないことも原因だ。


日本の将来は三択

堺屋さんは日本の行く道は次の3つであると予測する。どの道を選択するのか、それは日本国民が選択権を持っている。

1.日本のアルゼンチン化 官僚任せでたいした改革をしないで、発展途上国へ逆戻り。

2.中国が文化でも経済でもアジアの中心となり、日本もそれに従わざるを得ない。

3.官僚依存とモノ造り依存を捨てる知価革命の道。


堺屋さんの提言:明治維新的改革

上記三択の中で、もちろん最良の選択は3.の知価革命の道だ。

堺屋さんは、今こそ明治維新的な改革を行うべきだと主張する。
具体的には次のような政策だ。

1.官僚主導から脱却する

2.地域主権型道州制を導入する

3.税財政制度の抜本改革

4.教育制度改革(教育自由化)

5.官僚の情報統制に頼らない国際化


元々通産官僚の堺屋さんではあるが、大阪万博や沖縄海洋博、サンシャイン計画(太陽光など自然エネルギーの活用)などスケールの大きな仕事を通産省でもやってきただけに、日本の官僚・政治家癒着政治を手厳しく批判している。

いくつか参考になる点を紹介しておく。

★水平分業論
堺屋さんが通産省に入省してすぐに先進国間で部品を輸出入する「水平分業」論を世界で初めて通商白書で打ち出した。現在のヨーロッパは「水平分業」がさらに進み「工程分業」が始まっているという。欧州は一つとなったので、各生産工程を最適国で行う分業である。ソビエトの計画経済がまさに工程分業だった。

筆者はロシアを二回訪問している。ロシア各地に超大型の工場が点在しており、現在のカザフスタンから持ってきたクロムを、ウラル山脈の近くのロシアの工場で合金鉄に加工し、ロシアやウクライナの特殊鋼工場に届けていた。武器やロケットなどに使われるのだ。

運送コストを考えると現在では経済合理性はないが、計画経済ではこのような分業が行われていた。

★中国は異形の大国 
北京オリンピックでは開会式の入場行進がアルファベット順ではなく、中国文字表示の漢字画数の少ない国順となっていた。このことに象徴されるように中国は西洋の常識とは異なる「異形の大国」である。

★明王朝と中華人民共和国
中華人民共和国の建国から60年経ったが、前半の毛沢東主導の30年は絶対平等志向。後半の30年は小平・江沢民主導による自由化成長路線だった。

これほど正反対の政策が同じ体制下で取られた例は過去にもあった。それが代の中国だという。創始者の太祖(洪武帝)の時代はいわば恐怖政治で、有力な政治家や文化人を処刑した。

しかし建国から30年、永楽帝の時代には北京に都を移し、道路・水路を整備し、永楽銭を鋳造して商業を振興し、鄭和(ていわ)に大艦隊でアラビアからアフリカ東岸まで遠征させた。歴史小説家でもある堺屋さんらしい観察だ。

★淀屋が残した教訓
世界最初に商品先物取引を始めたのは大阪商人で、その代表格が淀屋だ。米の先物取引で、米俵の標準や米の品質格付け制度をつくった。これが現代の商品相場の始まりだ。しかし淀屋はその財力に目を付けた幕府に闕所(けっしょ=財産没収)処分を受けた。

★ゼロ戦化現象
ゼロ戦は速度も出れば、航続距離も長く、なにより運動性能の高さは空中戦で抜群の性能を発揮したが、使いこなすには1,000時間以上の修練が必要で、長い航続距離を活かすには10時間の飛行に耐える体力と気力が必要で、「難しい飛行機」だったという。


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ゼロ戦

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スピットファイアー

これに比べてスピットファイアーメッサーシュミットなどは300時間、アメリカのグラマンF6Fは100時間でマニュアルを憶えれば十分だったという。プレステ3や携帯電話など、日本だけが高級品で世界に突出する、今で言う「ガラパゴス化」が既にゼロ戦でも起こっていたのだ。

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メッサーシュミット

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グラマンF6F

出典:Wikipedia

★アメリカの文化施設や社会事業に対する個人の寄付は年間20兆円、日本の約100倍だ。日本もアメリカ型の税制優遇や名誉表示を行えば、国の補助金成しでも事業ができるほど寄付が集まるだろうと堺屋さんは語る。

★小渕政権の成果
堺屋さんは自らが経済企画庁長官兼IT担当大臣として入閣した小渕内閣での実績を誇らしげに語る。

1998年7月に小渕内閣が成立、1997年のアジア経済危機を受けて、日本も金融危機が起こり、山一證券や北海道拓殖銀行が倒産。橋本内閣が参議院選の惨敗を受けて退陣した後の自民党を小渕内閣が立て直したのだ。

金融対策、会社法改革(持ち株会社を認める)、労働法規改革(派遣分野拡大)の三本柱を実施し、成果があったので株価は2万円台まで回復した。

しかし小渕氏の急死後、跡を継いだ森・小泉内閣が日本の国を立て直すどころか、官僚主導の政治を行ったので、日本はメタメタになり、世界金融危機で最もダメージをくらうことになった。


堺屋さんの今までの本、たとえばこのブログでも紹介した「団塊の世代 黄金の10年が始まる」などの主張と基本的に同じ路線の主張だ。

団塊の世代「黄金の十年」が始まる団塊の世代「黄金の十年」が始まる
著者:堺屋 太一
販売元:文藝春秋
発売日:2005-09-25
おすすめ度:4.5
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特に斬新さはないが、まさにこれからの日本のことを考えるきっかけとなる本だった。


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2010年04月12日

フリー 終わりから読んでもいい優れた構成の本

フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略
著者:クリス・アンダーソン
販売元:日本放送出版協会
発売日:2009-11-21
おすすめ度:4.0
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ユニクロの柳井正さんが「私の最高の教科書」と呼ぶ元ITT社長ハロルド・ジェニーンさんの有名な言葉がある。

本を読む時は、初めから終わりへと読む。
ビジネスの経営はそれとは逆だ。
終わりから始めて、そこへ到達するためにできる限りのことをするのだ。


普通はこの通りだが、この本については終わりから読んでも良いかもしれない。というのは、この本の終わりには付録として、次の3つの簡単な解説と日本語版解説がついているからだ。

先日の朝日新聞日曜版でも出版社のNHK出版の編集者の話が紹介されていたが、人目を惹く本のカバーといい、英語のオーディオブックを無料公開していることといい、斬新なマーケティング手法を自ら取り入れた本である。


10の無料のルール(10のフリーの法則)

1.デジタルのものは遅かれ早かれ無料になる
2.アトム(デジタルに対して)も無料になりたがるが、力強い足取りではない
3.フリーは止まらない
4.フリーからも金儲けはできる
5.市場を再評価する
6.ゼロにする
7.遅かれ早かれフリーと競いあうことになる
8.ムダを受け入れよう
9.フリーは別のものの価値を高める
10.稀少なものではなく、潤沢なものを管理しよう


フリーミアムの戦術

「フリーミアム」とは大多数の利用者は無料として、一部のユーザーだけ有料のプレミアム会員とするやりかたで、著者のクリス・アンダーソンの造語だ。

これがこの本の最大の論点である。このフリーミアムについては、日本語のFreemium.jpという公式解説サイトもある。

そのフリーミアムの様々な手法は次のようなものだ。

1.時間制限
  30日間無料というようなモデル。

2.機能制限
  このLivedoorブログが良い例だ。もっと機能が欲しいと思うと有料のプレミアム版にしなければならない。

3.人数制限
  一定人数の人は無料だが、それ以上は有料。  

4.顧客のタイプによる制限
  小規模で開業間もない企業は無料で、それ以外は有料。マイクロソフトのビズパークがその例だという。

5.適切な移行割は?
  一般的には5−10%の有料会員と言われているが、クラブ・ペンギン(子ども向けオンライン仮想世界)は25%、ハボ(アバターチャット)10%、パズル・パイレーツ(オンラインゲーム)は22%だという。
  
6.無料ユーザーの価値は何か?
  無料ユーザーでも最初の時期の無料ユーザーはサイトを有名にする効果があり、価値が高く、時間が経つに従って価値は下がる。


フリーを利用した50のビジネスモデル

無料ビジネスモデルは経済学では「内部相互補助」という。無料のように見えても結局誰かがコストを負担しているのだ。「この世にタダのランチはない」(There Ain't No Such Thing As A Free Lunch=TANSTAAFL)と言われ、ノーベル賞経済学者のミルトン・フリードマンが有名にした言葉だという。

無料のビジネスモデルには次の3つの類型がある。

1.フリータイプ1(直接的内部相互補助)
  一つ買うと、一つタダというモデル(BOGOF=Buy One Get One Free)や、ケータイ電話を無料でもらえるとか。結局料金設定の一つの形態なのだ。

2.フリータイプ2(三者間市場)
  広告で支えられているテレビ、ラジオ、無料タウン誌などがこれだ。

3.フリータイプ3(前記のフリーミアム)
  普通は無料だが、機能が向上したプレミアム版は有料というモデルだ。たとえばこのLivedoor Blogも筆者は月々300円弱払って、プレミアム版を使っている。強制的に表示される広告がうっとうしいからだ。

それと付録では省かれているが、4番目のモデルの本当の無料モデルとして次がある。

4.非貨幣市場
  ウィキペディアなど、対価を期待せずに人々が貢献するモデル。マズローの欲求段階説による最上位の自己実現欲や、コミュニティの一員としての意識、助け合い精神などの理由だ。


日本語版解説も参考になる

日本語版解説も参考になる。解説者兼監修者の小林弘人さんは日本版「ワイアード」誌編集長だった経歴を持ち、ITメディア分野で活躍している人とのことだが、この解説もさすがと思わせる内容だ。

単にこの本の内容を紹介するだけでなく、著者クリス・アンダーソンの前著「ロングテール」の紹介や、クリス・アンダーソンが編集長を務めるワイヤード誌の紹介、無料で電子版を公開するという前代未聞のこの本の販売方法が紹介されている。

ロングテール(アップデート版)―「売れない商品」を宝の山に変える新戦略 (ハヤカワ新書juice)ロングテール(アップデート版)―「売れない商品」を宝の山に変える新戦略 (ハヤカワ新書juice)
著者:クリス アンダーソン
販売元:早川書房
発売日:2009-07
おすすめ度:3.0
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フリーミアムの考え方は、この本の売り方にも取り入れられており、ハードカバーが発売された2009年7月に電子版をKindle向けに無料で配布したり、クリス・アンダーソン自身が朗読しているオーディオブックも無料でiTunesMusicStoreで配布されている。

Free Podcast







筆者も早速iTunesMusicStoreでダウンロードしてみた。16編+プロローグ、付録など21編に分かれており、章によってはダウンロードに時間が掛かるが、ダウンロードが集中しているのかもしれない。

全部聞くと8時間くらい掛かりそうだが、現在聞いている"The Snowball"(ウォーレン・バフェットの伝記。全部聞くのに30時間以上掛かる)が終わったら、聞き始めてみる。

The Snowball: Warren Buffett and the Business of LifeThe Snowball: Warren Buffett and the Business of Life
著者:Alice Schroeder
販売元:Bantam
発売日:2008-09-29
おすすめ度:4.5
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日本語訳もわかりやすい

構成も良くできていると思うが、訳もわかりやすい。頭にスッと入る訳である。

同じような時期に出た「ブラック・スワン」は長時間掛けて読んだにもかかわらず、結局何が言いたいのか理解できず、あらすじ掲載を断念したが、この本は非常にわかりやすい。

ブラック・スワン[上]―不確実性とリスクの本質ブラック・スワン[上]―不確実性とリスクの本質
著者:ナシーム・ニコラス・タレブ
販売元:ダイヤモンド社
発売日:2009-06-19
おすすめ度:3.5
クチコミを見る


いくつか参考になった事例を簡単に紹介しておく。

★モンティ・パイソンはYouTubeの違法映像に業を煮やし、公式高画質映像をYouTubeで無料公開したところ、アマゾンのDVD売り上げでベストセラーとなった。



★フリーの歴史1 ジェロ(Jell-O"、ゼリー)はジェロを使ったデザートレシピの本を無料で各家庭に配ることによって需要をつくりだした。1902年のことだ。

★フリーの歴史2 キング・ジレットは安全カミソリを無料で配った。そして替え刃を売って大きなビジネスとした。

★ペニーギャップ たとえ1セントでも有料とした途端に消費者の手は止まる。「心理的取引コスト」と呼ばれるが、1セントだと買おうかどうしようか考える必要があり、それがブレーキになる。マイクロペイメントのような簡単な支払い方法でも支持は得られないという。

★マイクロソフトは中国での不正コピーを見逃していた。1998年にビル・ゲイツはワシントン大学で、次のように言ったという。「中国では1年に300万台のコンピューターが売れているにもかかわらず、人々は私たちのソフトウェアにお金を払ってくれません。

でも、いつの日か払ってくれるようになるでしょう。だからどうせ盗むならば、わが社の製品を盗んで欲しい。彼らがわが社の製品に夢中になっていれば、次の10年で私たちはお金を集める方法を考え出せるはずです。」

★グーグルでは「これは儲かるか?」という平凡な質問から始めたりはしない。純粋なデジタル世界にいる企業にとっては、そのアプローチは筋が通っているという。

★グーグルはコロンビア川沿いの水力発電所の近くに巨大データセンターを建設し、再生可能エネルギーによるデータセンター運営を進めている。壊れるまでの累積電力料金の方がマザーボードの価格より高いのだと。

★クレイグズリストは13年間でアメリカの新聞社の株価を300億ドルも減らした張本人。

★プリンスは2007年のロンドン公演の前に、「プラネット・アース」という新作アルバムのCDを無料でロンドンの新聞の「デイリーメール」に付けて280万部配った。100万ドルという特別の著作権料でも新聞社は70万ドルの損をしたが、これにより新聞社はブランド力を高めたという。

Planet EarthPlanet Earth
アーティスト:Prince
販売元:Sony
発売日:2007-07-23
おすすめ度:4.0
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プリンスのロンドン公演は全21回分が売り切れで、プリンスは460万ドルの著作権料を諦めることで、2,340万ドルの公演収入を得たのだという。

★UCバークレーの物理学のミューラー教授の授業は、YouTubeのUCBerkeleyの専用チャンネルで公開されている。大学の物理学の講義だが、"Physics for future president"と題されているるだけあって、日常の出来事をわかりやすく解説している。

筆者の一番好きで、最も人気の高い授業は次だ。



最初の隕石が直撃するトヨタのコマーシャルには驚かされる。

これらの有名大学の授業料は年間数万ドルだが、講義内容をYouTubeに公開することによって、優秀な学生を惹きつけたいという考えのようだ。またミュラー教授の本もベストセラーになっている。

Physics for Future Presidents: The Science Behind the HeadlinesPhysics for Future Presidents: The Science Behind the Headlines
著者:Richard A. Muller
販売元:W W Norton & Co Inc
発売日:2009-09-21
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現在この本を読んでいるが、たとえば9.11の犯人がどうやって空港警備をくぐり抜けたかとか、燃料を満載した飛行機がどれだけの破壊力があるか、原子爆弾テロなど、興味を引く話題で物理をわかりやすく説明していて面白い。

★中国のミュージシャンは不正コピーをコストのかからないマーケティング手法と受け止めている。レコード会社にとっては大問題だが、アーティスト自身にとっては、ファンを拡大し、それによりメディアやCMに出演することで収入が得られ、コンサートツアーも成功するからだ。中国では不正コピーが95%を占めるという。

★ブラジルはオープンソースの利用で、世界の先頭にたっている。リナックスによるATMは世界最初で、政府・学校もオープンソースに切り替え中だ。「マイクロソフト・オフィスとウィンドウズのライセンスをひとつ取得するためには、ブラジルは60袋の大豆を輸出しなければならない」と政府の責任者は語ったという。


記憶に残る具体例も満載で、楽しく読める本だ。英語に自信のある人は。iTunesMusicStoreで著者自身が吹き込んでいる無料オーディオブック(Podcast)をダウンロードして聞くのも良いだろう。

大変参考になる本だった。


参考になれば投票ボタンをクリック願いたい。



  
Posted by yaori at 13:04Comments(0)TrackBack(0)

2010年04月01日

すべては宇宙の采配 奇跡のリンゴの木村秋則さんの超自然体験

すべては宇宙の采配すべては宇宙の采配
著者:木村 秋則
販売元:東邦出版
発売日:2009-07
おすすめ度:4.5
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このブログでも紹介した「奇跡のリンゴ」で取り上げられた青森県の無農薬リンゴ農家木村秋則さんの超自然体験の本。



東邦出版という小さな出版社が出した「奇跡のリンゴ」とならぶベストセラーだ。図書館で予約したら3ヶ月程度かかってやっと手に入れられた。

木村さんをNHK「プロフェッショナル仕事の流儀」で紹介した脳科学者茂木健一郎さんの「本書をより理解するために」と題する特別寄稿がある。

「この本に書かれている木村秋則さんの体験を、信じられないという人もいるかもしれない。…木村さんが体験したようなことが起こるはずがない、幻覚だったのではないかと思う人も多いと思う。

問題なのは、ある体験が正しいか、正しくないか、ということではない。その体験が、その人にとって、どれほどの真実を含んでいるかということである。

(中略)

大切なのは、すでに現実にあるものではなく、これからあうべきものを見る力。目に見えないものを見て、自らのヴィジョンを信じて突き進んでいる力。そのような力を、木村秋則さんは信じられないような体験から得て来たのだろう。

私は、これらの体験が木村さんにとって真実であったことを信じる。

あくまでも、手法や技術は合理を貫く。しかし、志は、他人には容易に信じてもらえないような体験の真実から生まれる。

常人の域を超えた精神的支柱があったからこそ、木村秋則さんは「奇跡のりんご」を作ることができたのである。」


この本では無農薬リンゴ栽培と無農薬農業の普及活動についても語られているが、それよりも超自然体験についての話が多い。

全身真っ黒で目だけが光っている子どもくらいの身長の宇宙人が畑で走り回ったり、その宇宙人に両側から抱えられて二階から連れ去られ、宇宙船に乗って、同じように連れられてきた白人の男女と会った体験が語られている。

その白人の女性は、後日テレビの「UFOは実在するか」という番組に出てきて、UFOに眼鏡を掛けた東洋人が乗っていたと証言したという。その女性の話は木村さんの体験とことごとく一致するという。

まさに「未知との遭遇」の世界である。

未知との遭遇(ファイナル・カット版) デラックス・コレクターズ・エディション(2枚組) [DVD]未知との遭遇(ファイナル・カット版) デラックス・コレクターズ・エディション(2枚組) [DVD]
出演:リチャード・ドレイファス
販売元:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
発売日:2009-11-04
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龍を見た体験。

この本に証拠写真も載っているが、曼荼羅が白い球のように出てきた体験。

シャボン玉に乗って死後の世界に迷い込み、三途の川を渡りそこねた臨死体験。

そのとき一緒にシャボン玉に乗って天に昇った女性が木村さんを訪ねてきて、「わたしは木村さんのあの世への案内人なんです」と言われた体験。

その女性はまるで1Q84(4月にPart3が出る)のようなパラレルワールドに、もう一人の自分が居るという。

1Q84 BOOK 31Q84 BOOK 3
著者:村上春樹
販売元:新潮社
発売日:2010-04-16
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木村さんの奥さんや家族も宇宙人やUFOは目撃しているという。

茂木さんも特別寄稿で書いているが、理屈ではあり得ない超自然体験談だが現実であって欲しいとも思う。

木村さんのキャラクターなのだろう。不思議な読後感の本である。


参考になれば投票ボタンをクリック願いたい。



  
Posted by yaori at 00:40Comments(0)TrackBack(0)