2011年07月22日

鍛える理由 スロトレの石井東大教授の自伝 筋肉は裏切らない

鍛える理由鍛える理由
著者:石井 直方
実業之日本社(2010-07-29)
販売元:Amazon.co.jp
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スロトレで有名な石井直方東大教授の自伝。

このブログでも紹介している通り石井教授は筆者の一年後輩なので、昔のことを想い出して、この本も楽しく読めた。

もっとも筆者と石井教授が一緒にトレーニングしていたのは大学の3年間だけなので、この本では筆者の知らない石井教授のトレーニング経歴や研究面の成果の話もあって大変興味深かった。

1975年10月の関東学生パワーリフティング大会で石井教授と1・2フィニッシュ:

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石井教授がテレビに出たり、ベストセラーになった「スロトレ」など様々な本を出版するようになった経緯が紹介されていて、こちらも興味深い。

スロトレスロトレ
著者:石井 直方
高橋書店(2004-06)
販売元:Amazon.co.jp
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石井教授は「筋肉は裏切らない」という言葉を書いている。

筆者もまさにこの言葉を実感している。

ここ5年ほど筆者は毎週クロールで泳いでおり、だんだん泳ぐ距離を延ばして昨年は1.5キロから2キロ泳ぐようにしていた。

水泳は全身運動で、なおかつ消費カロリーが他の運動に比べて格段に大きい。

しかしそれでも体重に変化はなかった。平日飲み会があるとだいたい1ー2キロくらい体重が増えて、それを減らすのに1週間は掛かるというパターンだった。

結局水泳は筋力を維持する効果はあったが、体重を減らす効果はなかった。

ところが、石井教授の「一生太らない体のつくりかた」を読んで、今年1月からウェイトトレーニング1.5時間+水泳1キロというコンビネーションに変えると、徐々に体重は減ってきた。

一生太らない体のつくり方一生太らない体のつくり方
著者:石井 直方
エクスナレッジ(2008-01-17)
販売元:Amazon.co.jp
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今年のはじめに比べてだいたい4キロほど体重は減った。

この本で石井教授が説明しているとおり、ウェイトトレーニングでアドレナリンと成長ホルモンが大量に分泌されるタイミングで(20分くらい間をあけるのがベストだという)水泳などの有酸素運動をすると、脂肪の燃焼が促進されるためだと思う。

学生の頃、ボディビルの新人戦(この本に載っている通り、石井教授が大学1年生で優勝した大会)に出るために、88キロ前後だった体重を78キロくらいに落としたことがある。

その時は週3−4回、3時間くらいトレーニングした後、4キロランニングして、なおかつ最後の方は牛乳とか豆腐しか摂らないという無理な減量で、3ヶ月程度で10キロ減量した。

結局このときはボディビル大会が終わったあと、普通の食生活に戻したらすぐに元の体重に戻った。

しかし今回はトレーニング+水泳でゆっくりだが、リバウンドなく減量に成功している。

特に今回力を入れているのが脚の運動だ。加圧ベルトを巻いて、レッグプレス、レッグエクステンション、レッグカール、レッグスプレッド?(脚の内側と外側の筋肉を鍛える運動)を3セットみっちり行っている。

脚の筋肉は体全体の4割と言われている。疲労回復も早く、すぐに次のセットに移れるので、集中的に筋肉を増やすのには最適な部位なのだ。

上記の関東学生パワーリフティング大会で石井教授と1・2フィニッシュをした時は、スクワットで215キロを挙げていた。

このときの筆者のスクワットの第1回目の試技(重量は200キロ)の写真だ。バーベルがしなっていることがわかるだろう。

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普通の人の倍以上の脚力があったので、昔は脚が太すぎて既製服は着られなかった。オーダーで作ったスーツも、すぐに太ももがすれて脚の付け根に穴が開いてしまった。今は既製服のズボンが全く問題なく着られるということは、それだけ脚が細くなったということだ。たぶんラグビーやアメフットなどの他のスポーツでバリバリに活躍していた人は、同じ様な経験をしていると思う。

今は週1回のトレーニングなので、昔のように既製服が着られなくなるということはないが、昔取った杵柄で筋力はアップしており、それが基礎代謝増加=体重減につなっているのだと思う。

このブログでも「一生太らない体のつくりかた」のあらすじを紹介しているので、是非この「鍛える理由」か「一生太らない体のつくりかた」を読んで、筆者のように無理のない減量を成功させて欲しい。


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2011年07月20日

おめでとう!なでしこジャパン あの感動をもう一度

なでしこジャパンが女子ワールドカップを制した。

休日の月曜日は朝までサッカー観戦をした人も多いと思う。

筆者は実は後半の30分でアメリカのフォワード・モーガン選手に見事なシュートを決められたところで、眠気に耐えきれず寝てしまった。

もうダメだと思って寝てしまったら、起きたらなでしこが優勝していた。

何度もリプレイをテレビで流していたが、コーナーキックを右足で方向を変えてゴールさせるとは澤選手の超・高度な技術だ。



FIFAが女子ワールドカップの特設サイトを開設している。

全試合の短縮版が見られるので、是非日本代表やアメリカ代表、ブラジル代表の試合を見て欲しい。

FIFAWomen's World Cup






あの感動をもう一度!


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2011年07月14日

1兆円を稼いだ男の仕事術 元ドコモ・夏野剛さんの仕事・人脈術

1兆円を稼いだ男の仕事術1兆円を稼いだ男の仕事術
著者:夏野 剛
講談社(2009-07-02)
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元ドコモのiモードやおサイフケータイ推進者。現在、慶應大学湘南特別招聘教授で、ドワンゴ、SBIホールディングス、ぴあなどの取締役を兼任する夏野剛(なつのたけし)さんの本。ぴあといえば、7月21日号で終了すると発表されたばかりだ

この本の題名は、ドコモ時代の夏野さんの上司で、iモードを広げた仕掛け人の榎啓一さん(現ドコモエンジニアリング社長)が、「夏野がドコモにもたらした利益は、1兆円をくだらない」という言葉から取ったという。

このブログでは夏野さんの「グーグルに依存し、アマゾンを真似るバカ企業」「ケータイの未来」を紹介している。

夏野さんのドコモでの事業取り組みとドコモ入社までの経歴は「ケータイの未来」で紹介したので、参照して欲しい。

ケータイの未来ケータイの未来
著者:夏野 剛
ダイヤモンド社(2006-11-17)
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先日夏野さんの講演を最前列で聞く機会があったが、なかなかカッコいい、おしゃれな人だ。ビッグサイトでの講演だったが、車で来ていると言っていた。

よく町中で、フェラーリなどに乗っているいかにもベンチャー企業経営者風の人を見かけるが、あるいは夏野さんもそんな高級車に乗っているのかもしれない。実際に夏野さんの車の車種が何か知らないが、そんな印象を受けた。

夏野さんの講演の要旨は、いままでは携帯電話業界の進化はキャリアや端末メーカーが主導してきたが、これからはネット業界=シリコンバレー主導になるというものだ。

これを象徴するのが、台湾のHTCの時価総額がノキアを上回ったとか、アップルのi-Phoneの端末販売数量がノキアを上回ったとかいう現象だ。

マスコミはアップルとグーグルはiPhone OSとアンドロイドOSで激しく競合しているようにあおっているが、両者は狙っている戦略が違うので、競合してないのだと。

アップルは"Customer Retention Max"で、一人のユーザーにアップルの様々な機器やサービスを購入してもらうのが戦略だ。これに対しグーグルは"Ad Revenue Max"で、世界のネット広告市場が大きくなれば、その分グーグルのビジネスも増えるというものだ。

その証拠に、日本のi-モードが世界を席巻していれば、Android端末などは開発する必要がなかったとグーグルの人に言われたことがあるという。

いわゆるガラケーとスマートフォンの差は、ケータイが進化したのがガラケーで、PCの延長がスマホだと。つまりPC技術でケータイが作れる時代になったのだ。

閑話休題。

この本では、夏野さんの仕事に対する考え方を、次の5章に整理している。

第1章 今できることだけを全部やりきる

第2章 「個人の信念」だけが商品価値を決める

第3章 ビジネスは「仁義と任侠」だけで進める

第4章 「仕事」x「情熱」=「社会の発展」を目指す

第5章 会社は目的達成のための「道具」である


それぞれの章の最後に、いわゆるナットシェル=まとめが付いている。

特に参考になった第4章「仕事」x「情熱」=「社会の発展」のナットシェルは次のようになっている。

・社会への貢献を目指せば、自ずと利益は生まれる

・最優先すべきは「快適な社会」の実現

・変化を恐れる保守的な思考の人間とは徹底的に戦う

・「最大のピンチ=最大のチャンス」のプラス思考を持つ

・「勝てるケンカ」=「社会貢献}+「信念」+「データ」


という具合だ。

この本を読むと、夏野さんがいかにキーパーソンを見つけ出して仕事をやり遂げてきたかがよくわかる。夏野さんの仕事術は人脈術と言っても良いと思う。それをあらわすのが第3章の「仁義と任侠」だ。

ビジネスは「義理と人情」ではダメだという。「仁義と任侠」なのだと。「義理と人情」は合理的ではないが、「仁義と任侠」は、合理的でないと成立しない。

「仁義と任侠」はいわば兄弟の契りみないなもので、「自分がこの人間と組むことは、この人間のためにもなるし、自分のためにもなる」というWIN−WINの関係だ。

一番の例がドコモのiモードだ。

当時のドコモの社長は大星公二さんで、携帯電話が急速に普及して業績絶好調のドコモで、唯一ピンチだと感じていた。携帯電話所有者はそのうち飽和するので、新しい価値を付加する必要を感じていたという。

大星さんが法人営業部長だった榎啓一さんに、法人営業部の内部プロジェクトとしてゲートウェイビジネス部を立ち上げさせた。

榎さんが元リクルートのトラバーユ編集長の松永真理さんを引っ張ってきた。

そして松永真理さんが、リクルートで学生アルバイトとして働いた経歴がある夏野さんを引っ張ってきた。

松永さんは夏野さんのことを「インフラオタク」と呼んでいたという。プラットフォームビジネスをつくり、社会に貢献するのが何よりも好きなのだ。


iモードトリオ対マッキンゼー

もともとiモードはマッキンゼーがドコモにデータ通信ビジネスを始めることを提案したものだ。それをドコモが採用した。だから当初はiモードビジネスの主導権を持っていたのはマッキンゼーだった。

マッキンゼーとiモードトリオ(榎・松永・夏野)は、利益の上げ方で衝突したという。マッキンゼーはコンテンツプロバイダーからカネを取るモデル。これならドコモにリスクはない。

iモードトリオは、コンテンツプロバイダーの料金回収代行で収益を上げるモデル。コンテンツプロバイダーとWIN−WINの関係を築くモデルだ。これだとコンテンツプロバイダーのリスクは小さくなり、新規参入がしやすくなる。

この論争を打破するために、夏野さんはハイパーネット時代の人脈を使って、当時の住友銀行の元日本橋支店長の国重さん(当時住友キャピタル証券副社長。現楽天証券会長)をくどく。

国重さんはiモードのビジネスモデルは筋がよいと評価し、母体の住友銀行がコンテンツプロバイダーの第一号になった。住友銀行がコンテンツプロバイダーとして参加したことで、他の銀行や企業が相次いでiモードに参加したのだ。

ちなみに当時のマッキンゼーのiモードチームの責任者が、最近夫の看病に専念するとしてDeNA社長を退任した南場智子さんだ

南場さんは「マッキンゼーがリアルビジネスを理解していなかった」という夏野さんの意見を「経営者になった今なら100%理解できる」と言っているという。

ドコモがクレジットカードビジネス参入を検討した時に、クレジットカード業界からは「村社会」の掟を乱すものとして相手にされなかった。「たとえドコモでも許さない。」と。そこで当時の三井住友ファイナンシャルグループ社長の西川善文さんにアプローチした。

西川さんは即決し、ドコモが三井住友カードの1/3の株を取得ることになったという。

人脈をつくるには、「リーダー」でなく、「チャンピオン=真の実力者」を探せと夏野さんは言う。

2004年に導入したおサイフケータイにソニーのFeliCaチップを導入したのは、このブログで「Suicaが世界を変える」を紹介しているJR東日本の椎橋章夫さんが熱心に勧めてくれたからだという。おサイフケータイで夏野さんは「もしかすると、ビル・ゲイツに勝てるかもしれない」と思ったという。

現在は冒頭に述べたようにPC業界にケータイ業界は蹂躙されている。グーグルがNFC技術を使おうとしているので、日本のおサイフケータイ、FeliCa技術もガラパゴス化する恐れも出てきている。ケータイの世界は変化が早い。

この本の中で、夏野さんが2008年6月にドコモを辞めた理由と思われることが書いてある。公式には「ドコモでやるべきことは、すべてやり尽くした」と感じたからだと。しかし、直接の原因となったことは、総務省からの「お達し」でドコモはそれまでのインセンティブ制度を見直し、携帯電話の急速な普及に貢献した端末料金無料などの販売戦略を見直さざるをえなかったことのようだ。

これにより携帯電話の買い換えサイクルは長期化し、携帯電話業界の活気が失われた。ゼロ円端末もなくなり、消費者のメリットも失われた。


「マグロ」と「タケナカ大臣」

夏野さんは「マグロ」と呼ばれていたという。マグロのように休むことなく働き続け、次々と新しいサービスを追い求めたからだ。

ドコモ在籍中は「タケナカ大臣」というニックネームを頂戴したという。竹中平蔵大臣のように思ったことを包み隠さずポンポン言う姿がだぶったからだと。

夏野さんのケンカする条件とは次の3つだ。

1.自分が成功を確信できていること

2.論理的に筋道、理屈が通っていること

3.社会・会社のためになること


夏野さんの考え方がわかる面白い本である。


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2011年07月13日

ヒロシです。華も嵐ものり超えて ヒロシ6年ぶりの新作

ヒロシです。 華も嵐ものり越えてヒロシです。 華も嵐ものり越えて
著者:ヒロシ
東邦出版(2011-05-19)
販売元:Amazon.co.jp
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筆者の好きな芸人・ヒロシが久方ぶりに復活した。

ヒロシの第一作はこのブログに紹介した当時で24万部のベストセラーとなっていたので、全体では30万部近く売れたのではないかと思う。

ヒロシです。ヒロシです。
著者:ヒロシ
扶桑社(2004-09-22)
販売元:Amazon.co.jp
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次のテーマ曲をラジカセから流しながらヒロシが登場し、ひと言ふた言自虐ギャグを飛ばすという芸だ。一頃はタモリの笑っていいともにもレギュラー出演し、売れっ子芸人だった。



たしか舞台に転身するということで芸風を変えていたが、うまくいかなかったようだ。

この本ではヒロシの自虐ギャグが150点収録されており、ヒロシの最近の写真や、ヒロシが書いた書や絵も紹介されている。この本の表紙の絵もヒロシ作だ。

こんなギャグが並ぶ:

★ヒロシです。とうとう消えた芸人ランキングからも消えました。

★ヒロシです。デカビタCを飲んだら風邪が治りました。

★ヒロシです。新人がタメ口です。

★ヒロシです。テレビ番組を作るには多くの電気代がかかります…。俺はテレビにでないことによってエコに貢献しているとです。

★ヒロシです。タオルを雑巾として使い始めるタイミングが分かりません。

★ヒロシです。あまり話したことないけどお互いがんばりましょう…。中学卒業の寄せ書きに女の人11人が書いてくれたコメントです。

★ヒロシです。好きなタイプが小梅太夫という女性からフラれました。



39才になったそうだが、写真では昔と変わらない。

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出典:本書113ページ

テレビでひさしぶりに見た時のギャグは面白かった。

★ヒロシです。ハトがどいてくれません!


同じ路線なので、またブレークするのは難しいかもしれないが、ひと言で笑わせることができる爆発力は持っている。是非活躍して欲しいものだ。


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2011年07月11日

原子炉時限爆弾 反原発論者 広瀬隆さんの福島問題が起こる前の予言書

原子炉時限爆弾原子炉時限爆弾
著者:広瀬 隆
ダイヤモンド社(2010-08-27)
販売元:Amazon.co.jp
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このブログでも紹介した反原子力発電論者・広瀬隆さんが2010年8月に出した原発事故「予言書」。

東電の福島第1原発事故が起こって、アマゾンでも売り切れが続いていた。そのものズバリのタイトルから、現在でもよく売れているようだ。

広瀬さんは福島原発の事故が起こってから、一躍有名になった。大手マスコミにはほとんど登場しないものの、朝日ニューススターなどのCSには出演しており、最近では原発反対を訴える社民党の福島瑞穂党首との対談がYouTubeにアップされている。



300ページ余りの本だが、論点は極めてシンプルだ。

広瀬さんの主張は、日本に原発が建設されだした当時は、大陸移動説(プレートテクトニクス理論)が定説として確立していなかった。だから現在の大半の原発の立地は大陸移動説を考慮しないで建設が決まった。

断片的な地質調査だけで、1968年に確立したプレートテクトニクス理論を考慮しないで「安全」という結論を出し、地球科学について集団的無知のまま全く進歩していないという。

日本列島は4方向から北米プレート、ユーラシアプレート、太平洋プレート、フィリピンプレートのぶつかる構造にあり、日本全国どこでも地震が起こる可能性がある。

特に最も危険なのは、3プレートが重なり合う静岡県だ。東海大地震が予想されている静岡県御前崎にある浜岡原発で大事故が起こる可能性はほぼ100%である。

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出典:本書31ページ

原子力発電所は、原子炉建屋とタービン建屋から成っており、温水・冷却水を循環させるパイプは全長何十キロメートルにもなる。この配管のどこか一部でも地盤隆起で断裂すると、原子炉の冷却は不能となる。

BoilingWaterReactor




沸騰水型原子炉(出典:Wikipedia)

PressurizedWaterReactor




加圧水型原子炉(出典:Wikipedia)

さらに今回福島原発で起こったようなステーション・ブラックアウト(原発内完全停電)でも冷却は不能となる。

実は2010年6月17日に地震が起こり、福島第一原発2号機で電源喪失事故が起こってあわやメルトダウンという事態となっていた。しかしちょうどサッカーのワールドカップの最中だったので、メディアはほとんど報道しなかったのだ。

津波が起これば、原子炉建屋の物理的なダメージの他に、引き波で原子炉の冷却用海水が失われる。また取水口からの水路もダメージを受けて冷却水が取り入れられないことが予想され、これでも原子炉の冷却は不可能になる。

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出典:本書91ページ

さらに原子炉はコンピューターで制御されているので、大地震でコンピューター自体がダメージを受けることもありうる。そうなると原子炉を緊急停止させる制御棒がコンピューター故障で、挿入できないおそれもある。

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出典:本書71ページ

広瀬さんは、日本で原発事故が起こると日本の国全体がほとんど再起不能なダメージを受けることを、すでに1960年4月から国はわかっていたと指摘する。

科学技術庁の依頼を受けて日本原子力産業会議が、1960年に「大型原子炉の事故の理論的可能性及び公衆損害額に関する試算」というレポートで予測していたのだ。

実はこの、「大型原子炉の事故の理論的可能性及び公衆損害額に関する試算」というレポートは既にネットで公開されている

この本では、レポートの被害予想図が紹介されている。

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出典:本書16ページ

このレポートの結論は、農業制限区域は日本全土、被害額は1兆円以上となっている。しかしこの1兆円は被災者保障が死亡85万円、立ち退き農家35万円という当時の金額をベースとしているので、今では100兆円を上回ることは間違いない。

しかもこのレポートは1966年に日本初の商業用原子炉として稼働し1998年に廃炉された小型(16.6MW)の東海村の1号機を対象にしており、いまや日本には54基のもっと大型の原発があるので、被害予想は数百兆円になるだろうと広瀬さんは予測する。

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日本の原発所在地(出典:本書152−153ページ)

他にも次のような危険性を指摘している。

★「高レベル放射能廃棄物は100万年監視しなければならない」

NUMO(原子力発電環境整備機構)の地層処分は子供だましの宣伝だ。

★青森県六ヶ所村再処理工場では日本全体を汚染する能力がある高レベル放射能廃液が貯まっている。

★六ヶ所村には大断層が走っている。

★”もんじゅ”の失敗は100%保証済み。

★プルサーマルが加速する原子炉の危険性
 ウラン燃料と比較したMOX燃料の放出放射能は非常に大きい。(対数目盛であり、1目盛りが一桁)

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出典:本書257ページ

★行き場を失った高レベル放射性廃棄物

さらに広瀬さんは、「あえて本書ではひと言も述べないが」と前置きして、「再処理・増殖炉・プルサーマルと、これほどまでにプルトニウムに固執する残る別の政治的な理由があるとすれば、読者ご賢察の通り、日本の核武装計画である。憲法を改正して日本が先制攻撃できるようにし、原爆を持ちたがる政治家が、国会に山のようにいることを忘れてはならない」と語る。

最後に広瀬さんは、次のように締めくくっている。

「天災は忘れた頃にやってくる」(寺田寅彦)

「日本人は、なぜ死に急ぐのか?」

「為せば成る 為さねばならぬ何事も 成らぬは人の為さぬなりけり」(上杉鷹山)

「救うのはあなただ!」


まさに「予言書」の感がある。広瀬さんは、ガチガチの反原発論者だと今まで思っていたが、理由のあるガチガチ論者である。

広瀬さんの議論は結局NIMBY(Not in my back yard)に過ぎないと思うが、広瀬さんの議論に論理的に反駁することは難しいと思う。

これに対抗するには、原子力は危険もあるが、原子力の平和利用こそ20世紀から持ち込まれた人類の課題であり、日本でも立地と万全の安全対策で原子力発電に取り組むことは可能だとというしかないと思う。

考えさせられる本であった。


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2011年07月10日

チャイナインパクト 在中国日本大使館経済部アタシェの現場レポート

チャイナ・インパクトチャイナ・インパクト
著者:柴田 聡
中央公論新社(2010-10)
販売元:Amazon.co.jp
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大前研一氏にも2002年発売の同タイトルの本があるが、こちらは財務省から北京の中国大使館に出向している柴田聡さんによる中国経済の分析レポート。柴田さんは1996年にはスタンフォードでMBAを取っており、2008年6月から北京に赴任している。

柴田さんのお母さんは1944年中国河北省生まれ。祖父がシベリアに抑留されたので、祖母が中国人に助けられて、生まれたばかりのお母さんを連れて命からがら日本に引き揚げたという。中国には縁のある一家だ。


GDPでは中国は世界第2位

2010年に中国はGDP総額では日本を抜き世界第2位となった。

日本と中国のGDPの比較がこの本に載っているので紹介しておく。中国の経済規模が日本の半分になったのは、わずか5年前のことだ。しかし日本がマイナス成長を繰り返している間に、中国は10%以上の成長を遂げ、遂に日本を追い抜いたのだ。

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出典:本書25ページ


4兆元(60兆円)の緊急経済対策

リーマンショック後、いち早くV字回復し、世界トップクラスの経済成長率を維持している中国経済の強みは「政経一体システム」にある。4兆元(60兆円)という内需拡大策のほとんどはインフラ投資だ。同時に個人消費拡大のための自動車取得税減税と農村への家電普及補助金を導入し、これらも大成功を収めた。

4兆元はGDPの13%に当たる金額で、日本や米国の緊急対策がGDPの1−2%に留まっていたことを考えると、規模の大きさは際だっていた。

この4兆元の経済対策は次の10項目だ。

1.低所得者向け住宅等の建設

2.農村インフラ建設 ー 全体の9%

3.重要インフラ(鉄道、道路、空港等)の整備 ー全体の45%

4.医療、教育等の民生事業の強化 ー全体の1%

5.環境対策の強化(汚水、ゴミ処理、省エネ、CO2排出量削減)

6.産業構造改革の加速(技術革新、リストラクチャリング)ー 全体の4%

7.四川省地震地区の災害復興の加速 ー 全体の25%

8.都市農村住民の収入向上(農産物最低買い上げ価格の引き上げ等)

9.減税措置(増加値税改革の全国実施等)

10.経済成長のための金融による下支え強化(商業銀行の与信貸出制限撤廃等)

これを発表したのが最強の経済官庁・「国家発展改革委員会」のトップの張平主任だ。

自動車は2003年の100世帯当たり1.4台から2009年には10.4台に急増。カラーテレビは農村部100世帯当たり、1990年の5台から、2009年には109台となり、一世帯に一台以上になってきた。それでもGDPに占める消費の比率は36%(日本は60%)に過ぎず、まだまだ伸びる余地がある。


中国政府は「巨大不動産デベロッパー」

中国政府が思い切った内需拡大策を実施出来る理由の一つは諸外国と比べて格段に低い債務比率である。さらに土地は国有だが、利用権を売買するという形で、地方政府自体が「巨大デベロッパー」として、日本でいう第三セクター方式(地方融資プラットフォーム)で土地利用権を使っての錬金術ができることだ。

内陸部への開発が進めば進むほど、地方政府は土地の使用料を高く売れ、それゆえ巨大開発を促進できるというエンジンとなっている。


中国経済のリスクは多い

中国経済のリスクは、不動産バブル、地方政府の債務償還能力の低さ、土地依存財政、労働コストの大幅上昇(北京市の最低賃金は2割引き上げられ、1万3千円/月となった)、大規模ストライキ、投機資金の流入などが生じている。


しかし、長年の課題となっていた不良債権問題は、主要金融機関に巨額の資本注入を行って、不良債権比率を2002年の26%から1%にまで低下させて解決した。日本のバブル後の不良債権比率が8.4%だったことを考えると26%は非常に高い数字だが、これを今や1%に抑え込んだ。

その結果4大銀行の中国政府持ち株比率は次の通りだ。

中国銀行   68%
中国工商銀行 35%
中国建設銀行 57%
中国農業銀行 50%

その上で外貨準備を使って2007年9月に2,000億ドルの中国版SWF(政府系投資ファンド)のCICを設立し、ブラックストーン、モルガンスタンレーに出資するとともに、金融機関への出資金を引き継いだ。

中国のSWFともいえる国家投資の関係図は次の通りだ。

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出典:本書229ページ

2007年にブラックストーンとモルガンスタンレーに投資しているが、これはリーマンショックで高値づかみとなり、2008年はマイナス2%と赤字だったが、2009年の投資利回りは11.7%と回復している。


日本のバブル処理を徹底研究

このように日本のバブル処理を研究した中国政府の経済運営手腕は見事なものがある。

「経済刺激策で最も避けるべきは、途中で投げ出すことであり、元日本銀行総裁の速水優氏のように落とし穴に陥ることである」と経済誌は解説し、日本のバブル崩壊後の経済政策を研究しつくして、歴史の教訓としていたという。

「日本はアメリカの圧力を受けて大幅な円高を受け入れた結果バブルがはじけて経済がダメになった」と、中国の経済学者からよく聞かされるという。

しかしこれは途中の金融緩和による過剰流動性がバブルを起こし、その後の不良債権の大量発生につながったというプロセスが省略されている。

中国の輸出がGDPに占める比率は33%と極めて高く、日本の倍だ。人民元を切り上げれば、輸出競争力にモロに影響する。従って人民元問題は国際問題であるとともに、雇用・社会安定に直結する国内問題なのだ。


消費エンジン拡大が今後の成長のカギ

2010年は輸出主導の規模拡大路線の限界に来ており、消費を成長エンジンに転換する時期だと柴田さんは語る。中国の個人消費のGDP比率は2009年で36%で、アメリカの7割超はもとより、ブラジルの60%、インドの54%と比べても低い。

まだまだ消費を伸ばす余地はあるのだ。その一つがサービス業の発展である。北京や上海等の一部大都市を除けば、近代的な流通業は普及しておらず、コンビニもスーパーマーケットもない都市がまだまだ多い。


中国の問題点

グローバルに通用する一流企業がほとんどない。中国移動通信、中国石油など、資産規模や株価総額で世界トップクラスの企業はあるが、華為(ファーウェイ)を除くとほとんどグローバル企業がない。

他にも地域経済格差、農村部の貧困と高齢化、裁判官の独立性がないなどの問題点は多い。

中国はGDPの総額では世界NO.2となったが、ひとりあたりGDPでは100位にも入っていない。中国はその意味ではまだまだ発展途上国なのである。


日本の生きる道

2010年に中国に抜かれた日本経済の先行きを悲観する人もいるが、柴田さんはむしろ日本のすぐ近くにある中国という巨大市場を利用して、中国の台頭という歴史的好機を逃がさず、中国の成長によってもたらされる冨を吸収していくことが大事だと語る。

日本も中国も歴史問題や尖閣列島問題など様々な隣国であるがゆえの感情問題はあるが、経済大国同志で冷静な判断のもとに互恵関係を保ち、米国、EUに匹敵するアジアという大経済圏の構築を目指すべきだと柴田さんは提言している。


読みやすくよくまとまっている中国経済レポートである。


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2011年07月03日

心を整える。 アマゾン売り上げ一時トップ! 日本代表ゲームキャプテン・長谷部の本

心を整える。 勝利をたぐり寄せるための56の習慣心を整える。 勝利をたぐり寄せるための56の習慣
著者:長谷部誠
幻冬舎(2011-03-17)
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アマゾンで売れ行き一時トップ(2011年6月20日現在)の日本代表ゲームキャプテン・長谷部誠の本。

長谷部は2010年夏のワールドカップの2週間前に岡田監督からゲームキャプテンに指名された。チーム全体のキャプテンは川口能活、長谷部の前のゲームキャプテンは中澤佑二だった。

長谷部は当時26歳。チーム内で年長の選手が多くいた。一度は、チームに対する影響が大きすぎると岡田監督に辞退を申し出る。岡田監督はすぐに中澤を部屋に呼び、話し合った結果、長谷部にやはりゲームキャプテンをやって貰うという決定となった。

「やはりゲームキャプテンはオマエにやってもらう。オマエは誰とでも分け隔てなく話せるし、独特の明るさがある。何か特別なことをやろうとしなくていい。いままでやっていたとおり、普通に振舞ってくれ。」

岡田監督にはこのように言われたという。

この本のタイトルは「心を整える。」だ。試合で実力を出すために、いわばピアノを調律するように。心を調律して良いパフォーマンスを生み出すのだ。そのための56の習慣を紹介している。

長谷部は静岡県出身。藤枝東高校で2001年の国体に準優勝し、浦和レッズにスカウトされる。レッズでは2年目からレギュラーに定着し、2003年のナビスコカップで優勝、2007年にはACLで優勝し、一躍国際スカウトに注目される。

2008年にドイツのヴォルフスブルグに移籍して、翌2009年ブンデスリーガで優勝。



現在もMFとしてブンデスリーガでプレーを続ける。長谷部というとあまり目立たない選手という印象が強い。遠藤の様にフリーキックを蹴るわけでもないし、かつての小野伸二のようなキラーパスがあるわけでもない。

それでいてチームになくてはならないの攻守の要となっているのが、長谷部がブンデスリーガで4年もレギュラーを張っており、日本代表でもゲームキャプテンとなっている理由だろう。

ヴォルフスブルクのディレクターは長谷部の90分間のポジショニングを見て、感心して次のように評しているという。

「長谷部は組織に生まれた穴を常に埋められる選手だ。とても考えてプレーしているし、リーグ全体を見渡しても彼のような選手は貴重だ。」


長谷部の肉声が伝わる本

この本は長谷部の肉声が伝わるような本だ。

高校3年になってやっと藤枝東のレギュラーになれた長谷部にレッズからオファーが来た。両親は大学進学を勧め、高校生からのプロ入りに反対したが、そんな長谷部に、「じいちゃん」が言った。

「マコト、人生は一度しかないんだよ。男なら思いきって挑戦するべきではないのか」

長谷部の名前は誠実の「誠」だ。スパイクにはじいちゃんの「松」と自分の「誠」を刺繍で縫いつけているという。

長谷部のじいちゃんは松太郎という名前で、既に亡くなったが、スパイクの内側に刺繍を縫いつけることで、いつもじいちゃんと一緒だという気持ちでいるという。

試合でサイドラインを超える時に、長谷部は天を見上げているが、いつも「じいちゃん、今日もよろしく」と心の中で言うのだと。

「昔気質(むかしかたぎ)」なところが、長谷部の魅力なのだと思う。


「心を整える」56の習慣

この本ではいかにも誠実で努力家・勉強家の長谷部らしい「習慣」、エピソードが紹介されている。アマゾンのなか見!検索には対応していないので、目次を紹介しておく。

第1章 心を整える。
 01 意識して心を鎮める時間を作る。
 02 決戦へのスイッチは直前に入れる。
 03 整理整頓は心の掃除に通じる。
 04 過度な自意識は必要ない。
 05 マイナス発言は自分を後退させる。
 06 恨み預金はしない。
 07 お酒のチカラを利用しない。
 08 子どもの無垢さに触れる。
 09 好きなものに心をゆだねる。
 10 レストランで裏メニューを頼む。
 11 孤独に浸かるーひとり温泉のススメ

第2章 吸収する。
 12 先輩に学ぶ。
 13 若手と積極的に交流する。
 14 苦しいことは真っ向から立ち向かう。
 15 真のプロフェッショナルに触れる。
 16 頑張っている人の姿を目に焼きつける。
 17 いつも、じいちゃんと一緒。

第3章 絆(きずな)を深める。
 18 集団のバランスや空気を整える。
 19 グループ内の潤滑油になる。
 20 注意は後腐れなく。
 21 偏見を持たず、まず好きになってみる。
 22 仲間の価値観に飛び込んでみる。
 23 常にフラットな目線を持つ。
 24 情報管理を怠らない。
 25 群れない。

第4章 信頼を得る。
 26 組織の穴を埋める。
 27 監督の言葉にしない意図・行間を読む。
 28 競争は、自分の栄養になる。
 29 常に正々堂々と勝負する。
 30 運とは口説くもの。
 31 勇気を持って進言すべきときもある。
 32 努力や我慢はひけらかさない。

第5章 脳に刻む。
 33 読書は自分の考えを進化させてくれる。
 34 読書ノートをつける。
 35 監督の手法を記録する。

第6章 時間を支配する。
 36 夜の時間をマネージする。 
 37 時差ボケは防げる。
 38 遅刻が努力を無駄にする。
 39 音楽の力を活用する。
    コラム ミスター・チルドレン ベスト15
 40 ネットバカではいけない。

第7章 想像する。
 41 常に最悪を想定する。
 42 指揮官の立場を想像する。
 43 勝負所を見極める。
 44 他人の失敗を、自分の教訓にする。
 45 楽な方に流されると、誰かが傷つく。
 
第8章 脱皮する。
 46 変化に対応する。
 47 迷ったときこそ、難しい道を選ぶ。
 48 異文化のメンタリティを取り入れる。
 49 指導者と向き合う。

第9章 誠を意識する。
 50 自分の名前に誇りを持つ。
 51 外見は自分だけのものではない。
 52 目には見えない、土台が肝心。
 53 正論を振りかざさない。
 54 感謝は自分の成長につながる。
 55 日本のサッカーを強くしたい。
 56 笑顔の連鎖を巻き起こす。

最終章 激闘のアジアカップで学んだこと


この目次だけ読んでも、まじめな長谷部の性格が感じられると思う。


勉強家の長谷部

この本のところどころに、長谷部が影響を受けた本の言葉が引用されている。それは京セラ創業者の稲盛和夫さんだったり、松下幸之助だったりする。

たとえば稲盛さんの次のような言葉を引用している。

「判断に迷った時は、人として正しいかどうかを考えるようにしている」

以前読んだ稲盛さんの本では、「動機善なりや、私心なかりしや」と常に自問すると書いてあった。これと同じような言葉だ。

だから長谷部は監督にも進んで進言するという。「自己保身のために言わないことの方こそ、正しくない行動のはずだ」と思うからだという。

2010年ヴォルフスブルクの監督に就任したばかりの英国人マクラーレン監督にもボランチのポジショニングについて意見を言ったという。

こんな時に長谷部が意識しているのは「上から目線」にならないようにすることだと。監督が腹を立てたら考えも聞いてもらえず、干されてしまうかもしてない。チームのために進言しているという思いを伝えなければならないのだ。

この辺の一途さが岡田監督からゲームキャプテンに指名された理由の一つだろう。


33読書は自分の考えを進化させてくれる

この本の33番目の習慣が読書だ。長谷部は当初は東野圭吾とか宮部みゆきとかの人気作家の小説をよく読んでいたが、デール・カーネギーの「人を動かす」を読んでから、哲学系の本が圧倒的に増えたという。

ドイツではひとりでいる時間が増え、よりサッカーや人生のことを深く考えるようになったことも関係している。

読書は人前で話す機会が多いサッカー選手にとって、言葉のセンスを磨く上でも重要だという。

長谷部の推薦するのは次の本だ。このブログでもあらすじを紹介しているので、題名をクリックして参照してほしい。

松下幸之助の「道をひらく」

道をひらく道をひらく
著者:松下 幸之助
PHP研究所(1968-05)
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姜尚中(カン・サンジュン)の「悩む力」

悩む力 (集英社新書 444C)悩む力 (集英社新書 444C)
著者:姜 尚中
集英社(2008-05-16)
販売元:Amazon.co.jp
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太宰治の「人間失格」(リンクは「人間失格」に触発された押切もえの「モデル失格」)

人間失格 (集英社文庫)人間失格 (集英社文庫)
著者:太宰 治
集英社(1990-11-20)
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「アインシュタインは語る」

アインシュタインは語るアインシュタインは語る
大月書店(2006-08)
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この本はまだ読んでいないが、アインシュタインの伝記の決定版ともいえるものが、翻訳されたので、これをいずれ紹介する。

アインシュタイン その生涯と宇宙 上アインシュタイン その生涯と宇宙 上
著者:ウォルター アイザックソン
武田ランダムハウスジャパン(2011-06-23)
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アインシュタイン その生涯と宇宙 下アインシュタイン その生涯と宇宙 下
著者:ウォルター アイザックソン
武田ランダムハウスジャパン(2011-06-23)
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斉藤茂太「幸せを呼ぶ孤独力」

幸せを呼ぶ孤独力―“淋しさ”を「孤独力」に変える人の共通点幸せを呼ぶ孤独力―“淋しさ”を「孤独力」に変える人の共通点
著者:斎藤 茂太
青萠堂(2005-12)
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長谷部は「読書ノート」をつけて、気に入った文を抜き書きしているという。心の点検もしているのだと。

ちなみに本田圭祐も白洲次郎の本を読んでいたという。

白洲次郎 占領を背負った男白洲次郎 占領を背負った男
著者:北 康利
講談社(2005-07-22)
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長谷部の「監督ノート」

長谷部は今は現役選手だが、いずれは引退する。その時のために2年前から「監督ノート」をつけ始めているという。自分が出会った監督が、どのようにチームをマネージしているのかを記録しているという。

また他の選手から聞いた他の監督の練習方法や、本やテレビなどで見たサッカー以外のスポーツの練習方法でも参考になりそうなものは記録しているという。

注目すべき点は多いという。たとえば:

・シーズン前の合宿ではどのようにしてチームの組織を構築するのか
・遅刻したときの罰金の額
・携帯電話やゲーム機の使用制限
・GM(ゼネラルマネージャー)との関係の作り方
・スポンサーへの対応
・ファンやマスコミへの距離感
・どんなスタッフを揃えるか
・試合に向けてどのような練習をするのか
・練習の時間配分
・練習メニュー

この本の38番目の習慣は「遅刻が努力を無駄にする」だ。長谷部は練習の1時間前には着くようにしているという。時差対策も日本への帰国の一週間前から就寝時間を少しずつ早めるという。いかにもまじめな長谷部らしい習慣だ。

ちなみに筆者の時差調整のやり方は、東へ向かう場合は(日本→北米など)機内で眠るが、西へ向かう場合(北米→日本など)は、機内では寝ないで無理矢理時差調整をする。

飛行機に乗ったらすぐに時計を到着地の時間に合わせるというのも、頭の切り替えに役立つと思う。


長谷部はミスチルファン

この本には長谷部によるミスチルベスト15なども載っていて、ミスチルのことが、いろいろなところで出てくる。試合前の移動中のバスの中でもいミスチルは不可欠なのだと。



「ニーチェの言葉」にドキッとする

このブログでも紹介した「ニーチェの言葉」とか、ワタミの渡邉美樹さんの本のこととかも出てくる。

超訳 ニーチェの言葉超訳 ニーチェの言葉
ディスカヴァー・トゥエンティワン(2010-01-12)
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きみはなぜ働くか。―渡邉美樹が贈る88の言葉きみはなぜ働くか。―渡邉美樹が贈る88の言葉
著者:渡邉 美樹
日本経済新聞社(2006-09)
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「ニーチェの言葉」の中で「脱皮して生きていく」という言葉にドキッとしたという。ワールドカップ直前に、岡田監督の戦術変更を受け入れられない自分に気が付いたという。

2008年のアルゼンチンのボカ・ジュニアーズとの試合では、ボカの選手のワンプレー、ワンプレーに魂がこもった試合態度に圧倒されたという。ボールを失ったら、すごい気迫で奪い返しに来るという。ユニフォームを引っ張るのも当たり前。スタンドに来ているスカウトに必死にアピールして、わずかな可能性も逃さないという真剣な態度だ。

長谷部はボカの選手を見て、自分の未来は自分で勝ち取るのだという単純なことに気づかされたという。長谷部はボカ戦で、海外移籍を本気で考えるようになり、異文化のメンタリティを積極的に自分になかに取り組むことを意識するようになったという。



筆者はブエノスアイレスに2年間住んでいて、トップクラブ「リーベル・プレート」の会員だったので、リーベルとボカの試合も見た。日本でいえば巨人・阪神戦のような感じで、ちょっとハイソなリーベル、下町のボカという立ち位置だ。ブエノスの貧民地区出身のマラドーナもボカに憧れ、一時在籍したこともある。


長谷部の誠実な性格が伝わってくる本だ。正直あまり長谷部のゴールは記憶にない。あまり目立たないが、日本代表の常連としてチームには不可欠な選手なのだろう。

さすが幻冬舎である。著者の誠実さといい、気持ちのこもった内容といい、売れる要素満載の本だ。


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Posted by yaori at 02:24Comments(1)TrackBack(0)