2012年05月31日

日本酒は奥深い 銘柄その8 ナベツネのお気に入り 富山県の「立山」

「日本酒事典」を買って以来、日本各地の酒を試している。

蔵元を知って味わう日本酒事典蔵元を知って味わう日本酒事典
ナツメ社(2011-01-21)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

今回は冨山県の「立山」を飲んだ。このブログで紹介した「巨魁」に書いてあった通り、「立山」はナベツネのお気に入りの酒だ。

巨魁巨魁
著者:清武 英利
ワック(2012-03-16)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

2012052609490001














2012052609480000















【立山酒造】本醸造 銀嶺 立山 1800ml 富山の日本酒
【立山酒造】本醸造 銀嶺 立山 1800ml 富山の日本酒

本醸造酒を熱燗、冷や、冷酒で試してみたが、熱燗がいい。クセがない淡麗な酒だ。たぶんナベツネも熱燗で飲んでいるのだと思う。


日本酒は奥深い。他の銘柄も試してみる。


参考になれば投票ボタンをクリック願いたい。




  
Posted by yaori at 00:08Comments(0)TrackBack(0)

2012年05月30日

大往生したけりゃ医療とかかわるな ベストセラーの「自然死」のすすめ

大往生したけりゃ医療とかかわるな (幻冬舎新書)大往生したけりゃ医療とかかわるな (幻冬舎新書)
著者:中村 仁一
幻冬舎(2012-01-28)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

現在アマゾン売り上げ18位で、50万部近いベストセラーになっている医者にかからない自然死のすすめ。読書家の上司から借りて読んだ。

方向としては、以前ベストセラーになった蒲田實さんの「がんばらない」と同じだが、「がんばらない」が感動の実話集だったのに対して、この本は中村さんの自然死の提言というような内容だ。この本を読んでも、ウルウルくることはない。

がんばらない (集英社文庫)がんばらない (集英社文庫)
著者:鎌田 實
集英社(2003-06-20)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

著者の中村仁一さんは、1940年生まれ。京都大学医学部を卒業した内科医で、京都市にある高雄病院の院長・理事長を経て、現在はやはり京都市にある社会福祉法人「同和園」附属病院の院長を務めている。

京都新聞のサイトで、昨年収録された中村さんのインタビュー記事が載っているので、紹介しておく。「老いを受け入れて死ぬ」と、この本の趣旨とほぼ同じことを語っている。


中村さんの医療の鉄則

中村さんの医療の鉄則は次の2つだという。

1.死にゆく自然の過程を邪魔しない。
2.死にゆく人間に無用の苦痛を与えてはならない。

つまり「自然死」のすすめである。


医療に対する思い込みテスト

最初に医療に対する思い込みテストが15問ある。これをやると自分の考えと中村さんの考え方が対比できるので紹介しておく。

1.ちょっと具合がわるくなると、すぐ医者にかかる。

2.薬を飲まないことには病気はよくならない。

3.病名がつかないと不安。

4.医者にかかった以上、薬をもらわないことには気がすまない。

5.医者は病気のことなら何でもわかる。

6.病気は注射を打った方が早くよくなる。

7.よく検査するのは熱心ないい医者だ。

8.医者にあれこれ質問するのは失礼だ。

9.医者はプロだから、自分に一番いい治療法を教えてくれるはず。

10.大病院ほど信頼できる医者がたくさんいる。

11.入院するなら大病院、大学病院の方が安心できる。

12.外科の教授は手術がうまい。

13.マスコミに登場する医者は名医だ。

14.医学博士は腕がいい。

15.リハビリすればするほど効果が出る。

筆者はいくつか○(マル)があったが、中村さんが主宰している「自分の死を考える集い」の出席者は、○はほとんどゼロだという。

中村さんは、病気を治す力の中心は自然治癒力であり、薬や医療者は援助者にすぎないという。

目次を見ると中村さんの主張が大体わかる。

日経新聞の広告で、次の通り目次が紹介されていた。

大往生






読みにくいので、なんちゃってなか見!検索でも主な目次を紹介しておく。

第1章 医療が”穏やかな死”を邪魔している 
 
    本人に治せないものを、他人である医者に治せるはずがない
 
    ワクチンを打ってもインフルエンザにはかかる
 
    解熱剤で熱を下げると、治りは遅れる
  
第2章 「できるだけの手を尽くす」は「できる限り苦しめる」 

    「自然死」のしくみとは
  
    長期の強制人工栄養は、悲惨な姿に変身させる
  
    食べないから死ぬのではない、「死に時」が来たから食べないのだ
  
    ”年のせい”と割り切った方が楽
  
   「看取らせること」が年寄の最後の務め
    
第3章 がんは完全放置すれば痛まない

    死ぬのはがんに限る
 
    がんはどこまで予防できるか

    がんはあの世からの”お迎えの使者”
 
    「がん」で死ぬんじゃないよ、「がんの治療」で死ぬんだよ
 
    余命2,3か月が1年になった自然死の例
 
    手遅れのがんでも苦痛なしに死ねる
 
    医者にかからずに死ぬと「不審死」になる
 
    安易に「心のケア」をいいすぎないか

第4章 自分の死について考えると、生き方が変わる 
 
    「あなたもお棺に入って、人生の軌道修正をしてみませんか」
 
    「死生観」に大きく影響した父の死にっぷり
  
    延命の受け取り方は人によって違う
 
    「死」を考えることは生き方のチェック
  
    「自分の死を考える」ための具体的行動とは
 
    意思表示不能時の「事前指示書」はすこぶる重要
    
第5章 「健康」には振り回されず、「死」には妙にあらがわず、医療は限定利用を心がける    

    生きものは繁殖を終えれば死ぬ
    
    医者にとって年寄りは大事な「飯の種」
   
    生活習慣病は治らない
   
    年寄りはどこか具合の悪いのが正常
   
    検査の数値は微妙なことで変わる
    
    病気が判明しても、手立てがない場合もある
   
    年寄りに「過度の安静」はご法度

終章  私の生前葬ショー

    クイズにはまる

    「自分史」のまとめ

    私の「事前指示」


たとえば肺がんは痛いし、苦しむと聞いていたので、筆者は半信半疑なのだが、中村さんはがんでさえも、何の手出しもしなければ、全く痛まず、穏やかに死んでいくという。

中村さんは以前から「死ぬのはがんに限る」と思っていたが、年寄りのがんの自然死60〜70例を経験した今は確信に変わったという。「手遅れの幸せ」を得るためには、がん検診や人間ドックを受けてはいけないという。

アマゾンの書評を見ると、医者による反対意見も出されている。早々にあきらめることは医者としては認めることはできないと。また症例も60〜70例は少ないと指摘している。

著者の中村さんは今年72歳で、普通なら現役を引退しても良い年齢だ。内科医だから病院長という仕事を続けているが、外科医ならとっくに引退だろう。また72歳の医者の言うことと、たとえば40代、50代の働き盛りの医者の言うことは多分違うだろう。

その意味で、この本の自然死のすすめは、割り引いて考える必要があると思う。

中村さんは「繁殖年齢」という言い方をしているが、たとえば、50代くらいまでの人がガンに罹ったら、当然「自然死」コースではないだろう。なんとか治すべく、放射線治療でもなんでも、可能な治療法をとるべきだろう。

しかし70代以上であれば、中村さんの言う「自然死」コースも、アリだと思う。たとえばチューブだらけになって、すこしでも生きようとするのがいいのか、あるいは寿命と考えて、延命治療は拒否するのか、考えてしまう。


がんは不老不死の細胞

以前このブログで紹介した「ヒトはどうして死ぬのか」で、がん細胞が不死の細胞であり、遺伝子のコピーミスで毎日5,000くらいのがん細胞が誕生しているが、免疫細胞のおかげでがんが発症しないで済んでいることを知った。

ヒトはどうして死ぬのか―死の遺伝子の謎 (幻冬舎新書)ヒトはどうして死ぬのか―死の遺伝子の謎 (幻冬舎新書)
著者:田沼 靖一
幻冬舎(2010-07)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

がん細胞は毎日生まれ、生活習慣病や加齢により免疫力が弱まればどんどん増殖する。不死の細胞なので、やがては体の器官のあちこちに転移して、器官の働きを阻害し、ついには人の生命を奪うことになる。

自分の体を構成する細胞ががん細胞になって不死になったのに、自分は死んでしまうというと、なにかわりきれないところがある。

がんを克服すべく、医学や薬学は研究しているが、現状ではがんは克服できていない。外来の生物でなく、自分の細胞の突然変異だから、元々不死のがん細胞を殺すくらい強力な治療をすると、他の細胞も死んでしまい元も子もないからだ。

筆者の歳では中村さんのように、簡単にあきらめるというのは抵抗がある。しかし、もともと毎日発生している遺伝子のコピーミスががん細胞なので、その意味では人体の寿命とあきらめるべき時が来るのかもしれない。

この本がベストセラーになって、人の生き方が変わるかどうか疑問があるところだが、延命治療に対する自分の考えを家族に表明しておくことは意味があると思う。

そんなことを考えさせられる本である。


参考になれば投票ボタンをクリック願いたい。



  
Posted by yaori at 00:04Comments(0)TrackBack(0)

2012年05月29日

アルケミスト(錬金術師) 世界で5番目に読まれた本

アルケミスト―夢を旅した少年 (角川文庫―角川文庫ソフィア)アルケミスト―夢を旅した少年 (角川文庫―角川文庫ソフィア)
著者:パウロ コエーリョ
角川書店(1997-02)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

5月中旬になにげなく目にした「50年間で最も読まれた本ランキング」の5位に入っていたので読んでみた。

そのランキングは元々はSquidooという英語のサイトに載っていたようだがラバQという情報サイトが取り上げ、それがマイナビニュースで報道されたようだ

それによるとランキングは10位から:

10位 アンネの日記
9位  Think and Grow Rich(思考は現実化する)ナポレオン・ヒル
8位  風と共に去りぬ
7位  トワイライト
6位  ダ・ヴィンチ・コード
5位  アルケミスト
4位  指輪物語
3位  ハリー・ポッター
2位  毛沢東語録
1位  聖書

となっている。

上記の10冊の中では、「トワイライト」とこの「アルケミスト」は読んだことがなかった(もっとも「指輪物語」は映画だけだし、「「毛沢東語録」は学生時代に中国語の赤いポケット版を神保町の内山書店で買って持っていただけなので、読んだとはいえないが…)。

トワイライト 上 (ヴィレッジブックス)トワイライト 上 (ヴィレッジブックス)
著者:ステファニー メイヤー
ヴィレッジブックス(2008-04-19)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

毛沢東語録―付・奪権闘争を論ず (1971年) (角川文庫)毛沢東語録―付・奪権闘争を論ず (1971年) (角川文庫)
著者:毛 沢東
角川書店(1971)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

"Think and Grow Rich"は再度オーディオブックをiPodで聞いている。オーディオブックではナポレオン・ヒル自身の講演も収録されていて面白い。

Think and Grow RichThink and Grow Rich
著者:Napoleon Hill
(2007-06-12)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

「アルケミスト」はブラジル人のパウロ・コエーリョという人の作品だ。スペインの羊飼いの少年が、夢に導かれて北アフリカにわたり、砂漠で様々な冒険をしながらピラミッドを目指すというストーリーだ。

「アルケミスト」とは錬金術師のことだ。「錬金術」としてはこのブログで紹介した「大気を変える錬金術」は本当に無(空気)から有(物質)を生む錬金術である。

大気を変える錬金術――ハーバー、ボッシュと化学の世紀大気を変える錬金術――ハーバー、ボッシュと化学の世紀
著者:トーマス・ヘイガー
みすず書房(2010-05-21)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

「アルケミスト」の錬金術師は、少年と砂漠で一緒になる。

いつも通り小説のあらすじは、詳しくは紹介しない。ファンタジックなストーリーだ。「指輪物語」や「ハリー・ポッター」など大作が多い上記の10冊のなかでは、単行本で200ページあまりの本なので、一日で読める貴重な本だと思う。

文庫 新版 指輪物語 全10巻セット (評論社文庫)文庫 新版 指輪物語 全10巻セット (評論社文庫)
著者:J.R.R. トールキン
評論社(2005-12)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

ハリー・ポッターシリーズ全巻セットハリー・ポッターシリーズ全巻セット
著者:J. K. ローリング
静山社(2008-07-23)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

20年近く前のベストセラーなので、どこの図書館でも置いていると思う。興味がある人はぜひ一読をおすすめする。


参考になれば投票ボタンをクリック願いたい。





  
Posted by yaori at 00:18Comments(0)TrackBack(0)

2012年05月28日

理系の人々3 セキュリティの話題が増えてるね!

理系の人々 3理系の人々 3
著者:よしたに
中経出版(2012-04-07)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

このブログで紹介した「理系の人々」の最新作。

理系の人々理系の人々
著者:よしたに
中経出版(2008-09-27)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

「理系の人々2」も紹介している

理系の人々 2理系の人々 2
著者:よしたに
中経出版(2010-03-26)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

今度はセキュリティ関係の話題が目立つ。たとえばこんな場面だ

scanner357











データセンターや客先で作業する時は、USBメモリーの使用を厳禁されているマンガが2場面もある。

scanner354











客先ではCDしか認められていないようだ

scanner359











そして会社からメールを打つときは、メール添付にしてパスワードを掛けるのが必須だ。

scanner358












自分のPCを兄弟や親戚にあげる場合でも、データを残すことは情報漏洩の恐れがあるので、絶対に避けるべきだ。実際に親類にあげたPCから個人情報が漏洩して、悪意ある第三者がShareやWinnyに再流出させた事件も起こっている

scanner353











個人情報保護、情報セキュリティ確保のために、エンジニアにも厳しいルールが適用されていることがわかる。

もちろんいつもの理系クンシリーズのネタも多い。

scanner352












奥さんとの会話のネタも面白い。

scanner356












「好きな女の子のタイプは?」と聞かれて、機能で答えるというのも、いかにも理系らしい洞察だ。ちなみによしたにさんは33歳で独身。

scanner355












今回はJAXAの筑波宇宙センターを見学に行った話も載っている。



気軽に楽しめるSEマンガである。興味がある人はよしたにさんの「Tech総研」での連載をチェックして欲しい。


参考になれば投票ボタンをクリック願いたい。




  
Posted by yaori at 00:03Comments(0)TrackBack(0)

2012年05月27日

日本酒は奥深い 銘柄その7 石川県の「菊姫」

「日本酒事典」を買って以来、日本各地の酒を試している。

蔵元を知って味わう日本酒事典蔵元を知って味わう日本酒事典
ナツメ社(2011-01-21)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

今回は石川県の「菊姫」を飲んだ。

2012050514060000














2012050514070000














石川県の菊姫合資会社の日本酒米の柔らかな旨み・甘みがいきている、やさしい味わい!菊姫 金劔(純米酒) 1800ml
石川県の菊姫合資会社の日本酒米の柔らかな旨み・甘みがいきている、やさしい味わい!菊姫 金劔(純米酒) 1800ml

純米酒を熱燗、冷や、冷酒で試してみたが、ヒヤか冷酒がいいようだ。原料に兵庫県産の山田錦を100%使っていて、実に淡麗な酒に仕上がっている。

平成19年には、「鶴乃里」がIWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)2007にて初代チャンピオンサケを受賞している。

菊姫 山廃純米「鶴乃里」1800ML  2007年にはIWCゴールドメダルを受賞した「世界一に輝いた酒」 【RCPapr28】
菊姫 山廃純米「鶴乃里」1800ML  2007年にはIWCゴールドメダルを受賞した「世界一に輝いた酒」 【RCPapr28】


以前紹介した同じ石川県の「天狗舞」も2011年のIWCのゴールドメダルを受賞している。

菊姫はホームページも凝っている。会社沿革にある、安土桃山時代 天正年間(1570〜1600)に、屋号「小柳屋(おやなぎや)」として創業というのもスゴイ。

菊姫HP





日本酒は奥深い。他の銘柄も試してみる。


参考になれば投票ボタンをクリック願いたい。


  
Posted by yaori at 22:35Comments(0)TrackBack(0)

2012年05月25日

あなたも翻訳家になれる 翻訳ってカンタンではない センスが必要

あなたも翻訳家になれる!―エダヒロ式 [英語→日本語]力の 磨き方あなたも翻訳家になれる!―エダヒロ式 [英語→日本語]力の 磨き方
著者:枝廣 淳子
ダイヤモンド社(2009-04-17)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

このブログで紹介した「不都合な真実」などを翻訳した翻訳家・枝廣さんの翻訳入門書。

不都合な真実不都合な真実
著者:アル・ゴア
ランダムハウス講談社(2007-01-06)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

本のタイトルの「あなたも翻訳家になれる!」とは違い、やはり翻訳でメシを食っていくのは相当大変だということを思い知らされる本である。

枝廣さんは、旦那さんの留学のためアメリカで2年間生活した。向こうではじめた同時通訳になるためも勉強を日本帰国後も続けようと思ったが、通訳学校の学費が高いので断念し、翻訳のアルバイトをしたり、レターの英訳の仕事をしていた。


最初の翻訳本がベストセラーに

そんな時にたまたま知った心理学の本を訳して出版社に持ち込んだら、それが採用されてベストセラーとなったという経験の持ち主だ。

もっとも枝廣さんは実績がなかったので、企画を枝博さんが持ち込んだにもかかわらず、編集者からは翻訳者は別の人に頼むと言われた。そこを紹介者の力もかりて押し切り、なんとか自分の最初の翻訳書を出すことができたという。それが次の本だ。

人生に必要な荷物 いらない荷物人生に必要な荷物 いらない荷物
著者:リチャード・J. ライダー
サンマーク出版(1995-11)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

読んでみたが、翻訳もイマイチで、ピンとこなかった。10万部売れたベストセラーになったという。

枝廣さんは、翻訳本を出すかたわら、翻訳道場で翻訳者育成にも力をいれている。「Next Stage」という和訳力を鍛える通信教育講座も開設したり、出版翻訳セミナーを開催したりしているという。


やはりプロとアマの差は大きい

この本を読んで痛感したのは、やはりプロとアマでは相当な差があるということだ。枝廣さんは、それは「持久力」だと語る。アマがたまたまうまく翻訳したというのとは違い、プロは決まった時間にかなりの分量をこなさなければならない。アマの場合には、最初は良くても、途中でガクッとレベルが落ちてしまうという。

翻訳のレベルの推移をイラストで示してみると、最初の翻訳は次の図のDのように直訳だが、だんだんに読解力がついてくるとCのレベルになる。

翻訳





しかし慢心して意訳してしまうと、誤訳につながり、Bのレベルに落ちてしまう。最高のAのレベルに到達するためには、「日本語の表現力」と誤訳や読みにくいところを見つけることができる「自己チェック力」が必要なのだと語る。


翻訳では創作はご法度

翻訳とは「筆者が差し出したものを一つも落とさずにじょうずに受け取って、何も足さず、何も引かずに、大事に読み手に渡す作業」であると枝廣さんは語る。だから、意訳し過ぎの「創作」をする翻訳者には二度と出版社から注文が来ない。

枝廣さんは、訳文をつくる5〜6倍の時間を文章のブラッシュアップ、練り上げに使っているという。最初の翻訳をつくるのは、原著を見ながら訳文を口頭で読み上げ、それをテープに録音し、テープ起こしをしてもらって最初の訳文としているのだという。

これだと時間も短縮できる。また「書いた原稿は必ず声に出して読め」と語る。これは環境ジャーナリストの三橋規宏千葉商科大学教授の教えだという。

日本経済復活、最後のチャンス 変化恐怖症を脱して「3K立国」へ (朝日新書)日本経済復活、最後のチャンス 変化恐怖症を脱して「3K立国」へ (朝日新書)
著者:三橋規宏
朝日新聞出版(2012-05-11)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

ちなみにアル・ゴアの「不都合な真実」はゴアの来日にあわせて、25日間で翻訳してほしいというオーダーだったという。

そんな仕事をやっているから、ランダムハウスはこのブログで紹介した「アインシュタイン」のような出版事故をおこすのだと、言いたくなるところだ。

最後にこの本で取り上げられている翻訳道場の翻訳テクニックが参考になるので、いくつか紹介しておく。

最初は声に出して訳文を読み上げてブラッシュアップするというやり方だ。声に出して読み上げるとリズムの良い構文となるという。

scanner332









次は翻訳者のテクニックを感じられる例だ。擬音を入れて、軽妙な感じに仕上げている。小説などは、このような訳し方が向いていると思う。

scanner334









scanner335









主語を省略するというのも翻訳テクニックの一つだ。

scanner333









翻訳家をめざす人に懇切丁寧に自分のノウハウを教えている。別に翻訳家をめざさなくとも、和訳文によってこれだけ印象が違うのかという点は興味深い。


翻訳する原著を見つけるには

翻訳する原著を見つけるのは、最も多いのがタトル・モリエイジェンシーなどのエージェントが出版社に翻訳を持ちかけるケースで、これが7割くらいだという。

あとは出版社の担当者が10月にフランクフルトで開かれるブックフェアーとか、ロンドン、児童書ならイタリアのボローニャで開かれるフェアーに行って、よさそうな本を見つけてきて翻訳家に頼むケース。

比率は最も少ないが、翻訳家から出版社に原著と自分による翻訳を持ち込むケースだという。

平易で翻訳のコツがわかって参考になる本である。


参考になれば投票ボタンをクリック願いたい。





  
Posted by yaori at 12:36Comments(0)TrackBack(0)

2012年05月24日

地図と愉しむ東京歴史散歩 ブラタモリやクイズ番組のネタ

カラー版 地図と愉しむ東京歴史散歩カラー版 地図と愉しむ東京歴史散歩
著者:竹内 正浩
中央公論新社(2011-09-22)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

先日、小田急の社員と小田急線のマニアがクイズで対決するという「ほこXたて」の番組があり、井の頭線は元々小田急線だったこと、戦前に私鉄連合での東京環状線構想があったことを知った。

またNHKの「ブラタモリ」で、荒川は実は大正時代から昭和初めに掛けて造られた巨大な放水路だったことを紹介していた。このようなネタを多く収録していてるのがこの本だ。

この本はなか見!検索に対応していないので、なんちゃってなか見!検索で、目次を紹介しておく。

1.石垣に刻まれた幻の水準点 
  町に残る標石
  近代的測量の誕生
  愛宕山で水準点を探す
  皇居東御苑に残る水準点

2.明治の五公園は今
  東京の公園/遊興地
  上野の山
  公園の誕生
  国家の祝祭空間
  大正・昭和初期の上野公園
  芝公園の盛衰
  深川公園と飛鳥山公園
  上野公園の今

3.市営霊園の誕生と発展
  寺院墓地から公営墓地へ
  多磨霊園の開設
  名誉霊域の三人(東郷平八郎、山本五十六、古賀峯一元帥)
  多磨霊園に文化人の墓を訪ねる

4.都内に残る水道道路の謎
  江戸の水道
  コレラと三多摩
  玉川上水と淀橋浄水場
  水道道路を散歩する
  村山貯水池と導水路
  山口貯水池と廃線
  水道施設と戦争
  各地の水道道路

5.生まれた川と消えた村
  利根川の東遷
  人工河川の誕生
  消えた学校
  両岸に残る傷跡を探して
  旧中川の閘門(こうもん)

6.幻の山手急行電鉄計画
  放射状線と環状線
  第二の山手線
  井の頭線の建設
  山手急行線の遺構
  幻の新線

7.軍都の面影を訪ねて
  二.二六事件と第一師団 ー 麻布・六本木
  近衛師団の遺構 ー 北の丸
  偕行社と水交社
  在郷軍人会と九段会館
  小石川砲兵工廠
  赤羽の陸軍施設群
  各地の練兵場
  駒沢練兵場を行く

8.未完の帝都復興道路
  大正通りと昭和通り
  挫折した復興都市計画
  マッカーサー道路と播磨坂
  モータリゼーションの洗礼
  首都高とオリンピック
  首都高の未成線・休止線を訪ねて

9.廃線分譲地と過去の輪郭
  地図に残った仕事
  主張する街路
  円周道路の謎
  廃線分譲地
  水域の記憶

カラー刷りで昔の写真や地図が多く掲載されており、読んでいて楽しい。印象に残った点をいくつか紹介しておく。

★愛宕山は江戸有数の高い場所だったが、標高はわずか26メートル。東日本大震災級の津波が来れば、東京23区は大半が水に浸かるということだ。

★多磨霊園の名誉霊域の三人は、東郷平八郎、山本五十六、古賀峯一元帥だ。古賀元帥は「海軍乙事件」で飛行艇がフィリピンに墜落して殉職した。海軍乙事件では不時着した飛行艇から日本のマリアナ沖作戦概要や暗号解読書がゲリラ経由米軍の手に渡り、日本軍の作戦が筒抜けになった事件である。

吉村昭が「海軍乙事件」という小説を書いている。
 
海軍乙事件 (文春文庫)海軍乙事件 (文春文庫)
著者:吉村 昭
文藝春秋(2007-06)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

★当初三多摩地区(現在の東京都の西半分)は神奈川県に属していた。明治19年にコレラが流行し、青梅市で多摩川に汚物を流したという報告が流れ、宮内庁が過敏に反応して東京府と警視庁に厳重な取り締まりを指示したが、三多摩は神奈川県だったので、東京府と警視庁の権限は及ばなかった。このことが原因で、明治26年に三多摩が東京府へ編入されることになった。

★荒川放水路の大工事

次が荒川放水路建設工事がまだ始まっていない明治42年の東武線堀切駅の周辺地図だ。

scanner350












次が大正10年の同じ場所の地図。すでに鉄道の付け替えは完了し、川の開削も上流から順次行われている。

scanner351














ちなみに荒川放水路が建設された時に、住民の間では都心側の堤防の方が高いという噂が流れた。実際には堤防の高さは同じだったが、堤防の幅が都心側が15メートル、左岸は11メートルで、都心を守るという設計があったことは当たっていたといいう。

現在は国道16号の地下50メートルに建設された首都圏外郭放水路が首都圏の放水路を形成している。

東京山手急行電鉄計画は昭和3年に敷設免許が交付され、小田急が中心となって進めた壮大な新線建設計画だ。ルートは大井町を始発として、下北沢、中野、板橋、田端、北千住、平井を通って、洲崎(東陽町)に至り、洲崎から東京駅までは地下鉄が運行することになっていた。

次が全体図だ。

scanner337







出典:上記図はいずれも本書から

しかし用地買収が進まず、結局計画倒れとなった。

★井の頭線も昭和20年代に吉祥寺から田無を経て、東久留米まで延伸する計画があり、だから井の頭線の吉祥寺駅は高架なのだ。ところが西武線も同じような計画があり、結局ケンカ両成敗でどちらの延伸計画も頓挫したという。

上記の目次で紹介した通り、参考になるネタが満載だ。

タモリは「タモリのTOKYO坂道美学入門」という本を出している。

新訂版 タモリのTOKYO坂道美学入門新訂版 タモリのTOKYO坂道美学入門
講談社(2011-10-25)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る


昨年改訂されたばかりだが、こちらは坂道だけなので、名所・旧跡を訪ねるという意味では、「地図と愉しむ東京歴史散歩」の方をおすすめする。


参考になれば投票ボタンをクリックして頂きたい。



  
Posted by yaori at 12:35Comments(0)TrackBack(0)

2012年05月23日

テルマエ ロマエ 阿部寛主演のローマ風呂コメディ

テルマエ・ロマエ I (BEAM COMIX)テルマエ・ロマエ I (BEAM COMIX)
著者:ヤマザキマリ
エンターブレイン(2009-11-26)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

人気マンガの「テルマエ・ロマエ」の映画版が好調のようだ。小説も出ている。

テルマエ・ロマエ 〜小説版〜 (KCG文庫)テルマエ・ロマエ 〜小説版〜 (KCG文庫)
著者:伊豆平成
エンターブレイン(2012-04-20)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

筆者も家族で見に行った。



マンガらしく、ありえないストーリーなのだが、面白く、楽しめる映画だ。阿部寛が結構いい体をしているのはさすがだ。相当鍛えているのだろう。

あらすじを詳しく紹介すると映画を見たときに興ざめなので、文句なく楽しめる映画とだけ言っておく。


参考になれば投票ボタンをクリックして頂きたい。


  
Posted by yaori at 12:29Comments(0)TrackBack(0)

2012年05月21日

巨魁 元巨人軍GM清武さんの球団経営の実態 ナベツネ糾弾はごく一部

巨魁巨魁
著者:清武 英利
ワック(2012-03-16)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

読売新聞主筆兼巨人軍会長として86歳になった今も君臨するナベツネに対して、現場のコーチ人事に口をだすのは「コンプライアンス違反」と突然批判を始め、当然の帰結として2011年11月に巨人軍をクビになった元巨人軍GM清武英利さんの本。ちなみにウィキペディアには清武さんのナベツネ告発というコラムがつくられている

この本を読み終えても「なんで?」という疑問は解消されていない。ナベツネを告発する内容は第8章(最後の独裁者)に集中しており、この本の大半は巨人軍の運営に関するもので、告発本というよりは、球団経営の実情紹介本のような内容だ。

第8章(最後の独裁者)でも、ナベツネの様々な言動や行動が取り上げられているが、ナベツネが悪者であるという決定的な証拠はない。すべてナベツネならありうるだろうなぁ、という想定の範囲内である。

この本を読んで読売新聞社内には歴史的に、ナベツネを筆頭とする政治部と、清武さんが所属していた”正義派”の社会部の社内対立があることを初めて知った。そのあたりが根本原因なのかもしれない。

清武さんは1950年生まれ、立命館大学を卒業後、読売新聞に入社し、社会部の記者として警視庁や国税庁を担当する。中部支社社会部長のあと、編集委員、運動部長を経て、2004年から巨人軍の編成部長に転出し、球団代表、GM・編成部長、オーナー代行などになった後、ナベツネ批判をして解任される。



YouTubeには上記ニュース以外に、清武さんの記者会見の発表全部が6編に分かれて収録されているので、興味がある人は見てほしい。



「コンプライアンス」問題ではない

筆者もそうだが、たぶん多くの人が、「なんで?」と思ったと思う。ナベツネがコーチ人事など巨人軍の運営に介入することなど、いわば日常茶飯事だと思っていたし、別にコンプライアンス違反でもなんでもないと思う。

告発した理由もすでにヘッドコーチに昇格が決まっていた岡崎コーチの代わりに、巨人軍OBの江川氏をヘッドコーチ兼助監督としてナベツネが押し込んできたというもので、たしかに現場の人事に介入するものではあるが、ナベツネは巨人軍取締役会長でもあるので、経営トップが口を出すことは、ままあることだ。

「上司は思いつきでものをいう」という本もあるくらい、上司は思いつきでものを言うものだし、現場はそのことがわかっているので、それなりに根回ししたり、事前に了解を取っておくことは当たり前のビジネス慣行だ。

上司は思いつきでものを言う (集英社新書)上司は思いつきでものを言う (集英社新書)
著者:橋本 治
集英社(2004-04-16)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

清武さんが問題としている「鶴の一声」は、強いて言えば巨人軍会長のナベツネが、巨人軍の経営陣を無視しているというガバナンスの問題ではあるが、別にコンプライアンスやモラルに反しているとかいう問題ではない。「コンプライアンス違反」というのは、新聞記者にはあってはならない言葉の誤用だと思う。

清武さんは元新聞記者なので、文章もうまく、読み物としては面白い。詳しく紹介すると読んだときに興ざめなので、印象に残った部分を箇条書きで紹介しておく。


歴史的な読売新聞社内の社会部と政治部の対立

★社会部記者は政治部記者を記者として認めていなかった。
本田靖春は、著書「我、拗ね者として生涯を閉ず」のなかで、”赤坂の高級料亭で有力政治家にタダ酒を振る舞われ、政局に際しては、その政治家の意向に沿った原稿を書く。取材先でコーヒーの一杯も頂戴しないようにおのれを律している私たちからすると、彼らは新聞記者ではない。権力者の走狗である。”と言っているという。

我、拗ね者として生涯を閉ず我、拗ね者として生涯を閉ず
著者:本田 靖春
講談社(2005-02-22)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る


★清武さんが読売新聞社に入社した1975年に「読売政変」があった。
従来硬派3部(政治部、経済部、国際部)に対して、「社会部帝国」ということで、軟派社会部が圧倒的な力を持った時代があったが、1975年の人事異動で社会部出身の実力者が巨人軍代表に更迭され、務台社長の信頼を得たナベツネが編集部次長兼政治部長に昇格し、軟派と硬派の権力構造は逆転してしまったという。

ちなみにナベツネは、”俺は若いころ長谷川にいじめられた。内職して本を書いたこともある。何年も我慢したんだ。氏家も読売から追放され、ルンペンを何年もやった。それを面倒見たんだ。”と言っていたという。

やはり今回の事件の背景には読売新聞社内の社会部と政治部の対立・不仲があるように思える。


ナベツネの本領発揮

★清武さんの依頼でナベツネが橋本龍太郎に、キューバ選手獲得の骨折りを頼む電話の話が面白い。それまで渋々という感じだったのが、電話になると「渡邊ですが、先生にキューバの件でお願いしたいことがありまして」と丁寧な口調で話し始めたという。ナベツネの本領発揮という感じだ。


ナベツネあれこれ

★近鉄とオリックスの球団合併の時に、新規参入した楽天三木谷さんについてナベツネは知らなかったので、説明を受けて「孫正義の小型版か」と言ったという。当時75歳くらいだったナベツネが知らないのもやむを得ないだろう。

★巨人軍のBOS(Baseball Operating System)についてナベツネが興味を持っているという話があり、パソコンを持ち込んでナベツネに説明したら、怒り出したという。ナベツネがBOSに興味を持っているという話は、取り巻きの勝手な憶測だったという。

★ナベツネは「大震災こそ読売のチャンスだ」と言っていたという。関東大震災のときは、読売新聞は被災し、発行部数も11万部から5万部まで落ち、そのうち2万部は代金未回収で、やむなく当時の警視庁刑務部長だった正力松太郎に読売新聞社を10万円で売却したという歴史がある。

★復興支援の巨人軍激励会で、「復興祈念だから記念撮影、サインは遠慮してほしい」とのアナウンスが流れると、ナベツネが激高して、「なんでダメなんだ。こんなこと誰が決めたんだ。あとで懲罰だ!」と怒鳴ったという。

★カラーバス効果で日本酒の銘柄は気になる。ナベツネの好きな酒は「立山」だという。

【富山県の地酒】【辛口日本酒】『 銀嶺 立山 本醸造 1.8L 』贈りものやプレゼントにも!お歳暮・お年賀・お中元父の日・敬老の日・内祝い・お誕生日お祝い・のし対応・熨斗名入れ・メッセージカード無料
【富山県の地酒】【辛口日本酒】『 銀嶺 立山 本醸造 1.8L 』贈りものやプレゼントにも!お歳暮・お年賀・お中元父の日・敬老の日・内祝い・お誕生日お祝い・のし対応・熨斗名入れ・メッセージカード無料



その他の情報

★古田の後の選手会会長の宮本は、酒が飲めないのに何時間でもつきあってくれ、個人的なことまで打ち明けてくれたという。割り勘負けしているのに、「いや、いいんですよ。これも仕事です」と言っていたという。

★ライブドアのホリエモンは、Tシャツ姿で現れ、オーナーたちを挑発し、時には元水着キャンペーンガールの恋人と登場する厚顔ぶりも反発を買っていたという。


巨人版マネーボール

★巨人軍は提携先のヤンキースからBOS(Baseball Operating System)の研修を受け、2010年に自分のBOSを作り上げた。日本ハムも2005年に1億円を投じてBOSを導入したという。RC27という27回アウトになるまでに得点をどれだけあげられるかを見る指標では、巨人では小笠原、谷、阿部慎之助、ラミレスという順番だった。

「マネーボール」に”高校生ドラフトに大金をかけるのは、確率を無視し、理性をないがしろにしている”と書いてあるが、巨人軍でも同じ結果が出たという。

マネー・ボール (RHブックス・プラス)マネー・ボール (RHブックス・プラス)
著者:マイケル・ルイス
武田ランダムハウスジャパン(2006-03-02)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

活躍する確率は、高校生<大学生<社会人とはっきり結果が出ている。

★かつてスカウト部長をつとめた人に「巨人軍は伝統的に小さい選手はとりません」と言われたことがあるという。スカウトはどうしても体格にまず目が行くが、清武さんは、体格にめぐまれていなくても、”B群”として獲得していったという。

★BOSで比較してみると2010年ドラフトの澤村と斎藤佑樹との差は歴然。斎藤より高校生の宮国のほうが数値は高かった。しかし原監督は大石がいいと、異議を訴えてきて一波乱あったという。

★選手が「何かを持っている」というのは英語では"The way carry by himself"というのだと巨人の在米スカウトのミンチーが教えてくれたという。巨人の東北地区担当のスカウトが、無名の坂本を八戸のグラウンドで見つけた時も、そんな雰囲気を感じたという。

「コンプライアンス違反」と清武さんが呼んだナベツネ語録

この内容は2012年1月号の文芸春秋にも載っているが、真偽のほどはわからない。いずれにせよ江川さんはひどいとばっちりだ。「悪名」などと言われ、イメージダウンで大迷惑だろう。

文藝春秋 2012年 01月号 [雑誌]文藝春秋 2012年 01月号 [雑誌]
文藝春秋(2011-12-10)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

”巨人は弱いだけでなく、スターがいない。江川なら集客できる。江川は悪名だが、無名よりはいい。悪名は無名に勝るというじゃないか。彼をヘッドコーチにすれば、次は江川が監督だと江川もファンも期待するだろう。しかし、監督にはしないんだ。

江川の庇護者は氏家だった。だが江川は監督にはしない。天と地がひっくりかえって人格者になれば別だがな。”

”原監督は采配ミスは一つもないと言い張るが、実際は交代をことごとく間違えた。采配で負けた試合はたくさんある。原をコントロールできる江川を置いておくほうがいいんだ”

”江川は99.9%受ける。日テレから1億円もらっていたのが、4900万円くらいになるから、こっちが1億円出せば、ウチに来たほうが多くもらえると考えるだろう。原を江川でコントロールするよ”

清武さんは新聞記者出身なので、文章がうまく面白い読み物である。しかし冒頭に記したように内容は球団経営の実情紹介本で、ナベツベ批判はごく一部だ。読んでも「なんで?」という疑問が依然として残る本である。


参考になれば投票ボタンをクリック願いたい。







  
Posted by yaori at 13:11Comments(0)TrackBack(0)

2012年05月20日

反TPP論 小林よしのりの「ゴーマニズム宣言」 おいおい今度はテロ礼賛かよ? 

ゴーマニズム宣言スペシャル 反TPP論ゴーマニズム宣言スペシャル 反TPP論
著者:小林 よしのり
幻冬舎(2012-02-24)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

マンガ家小林よしのりのゴーマニズム宣言最新版。今度は反TPP論だ。以前紹介した「TPPを考える」に続いて、TPPに関する賛否両論を研究するために読んでみた。

TPPを考える―「開国」は日本農業と地域社会を壊滅させるTPPを考える―「開国」は日本農業と地域社会を壊滅させる
著者:石田 信隆
家の光協会(2011-02)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

目立つ赤の表紙な上に、次のような過激な帯がついている。

scanner338











そして後の帯に小林よしのりのTPPに反対する主張がまとめられている。ひと言で言うと”TPPはアメリカが仕掛けた逃げ道なき過酷な経済戦争であり、日本はTPPに参加してはならない。経済鎖国・攘夷をしろ”というものだ。

scanner340





TPPは日本を経済侵略する米国の陰謀で、日本は明治時代の40年を掛けて回復した関税自主権の回復と治外法権の解消をTPPにより失うと説く。

グローバリズムが弱肉強食を促進し、世界中に貧富の差を拡大させている。だから今必要なのは「攘夷」なのだと。マンガ家の中にもネットで雇った誰かにトーンからベタぬりまでやらせている人がおり、これなら世界中から絵のうまいアシスタントを雇えるという。

そして「攘夷」の代表として明治22年に大隈重信に爆弾を投げつけて暗殺を謀ったテロリストの玄洋社の来島恒喜(くるしまつねき)を国士であり、”忠臣蔵四十七士、桜田門外十八士に匹敵する明治の壮挙である”と礼賛している。

scanner349












まさに開いた口が塞がらないとはこのことだ。だいたい忠臣蔵四十七士、桜田門外十八士など、テロリストやリンチ=私刑に走った暗殺者がなぜ国士なのか?

「天皇論」など大変参考になる本も多く、小林よしのりは大変勉強家だと思うが、「学問のすすめ」は読んだことがないように思える。

学問のすすめ 現代語訳 (ちくま新書)学問のすすめ 現代語訳 (ちくま新書)
著者:福澤 諭吉
筑摩書房(2009-02-09)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

福沢諭吉は「学問のすすめ」の第6編(文明社会と法の精神)で、国法はなぜ必要なのかを説き、忠臣蔵などの暗殺や「天誅」をはなはだしい勘違いとして厳しく非難している。

福沢諭吉の「学問のすすめ」は明治5年から9年にわたって、17編出版され、当時の日本の人口が3千万人に対し、300万部売れたということは、10人に一人が買った超ベストセラーである。

現在もそうだが、テロリストを国士などと呼ぶ人はアルカイダとかの一部の過激派のみだろう。

ともかく要点を紹介しておく。小林よしのりを血迷ったマンガ家と見るのか、「国士」あるいは国士気取りと見るのかは自分で判断して欲しい。

TPPの農業分野については、輸入米が増え、日本農業は大打撃を受け、日本の田園風景も一変してしまうという。

scanner345






それ以外の様々な分野で外国労働者が日本に殺到し、外国人が増え、日本人はあぶれて社会問題化するという。

scanner343






もともとTPPは2006年シンガポール、ブルネイ、ニュージーランド、チリの四カ国で始まった協定を、アメリカが輸出拡大を狙って2010年に乗っ取ったものだという。

scanner346






そして日本に必要なのは開国でなく鎖国だと。

scanner344






TPPは日本に非関税障壁撤廃と治外法権を押しつけるもので、ISD条項(国際投資紛争仲裁センター)は、いままでアメリカ企業に不利な決定をしたためしはなく、事実上の治外法権だという。日本はいまや不平等条約を自ら進んで締結しようとしているのだと。

scanner348






最後に参考文献が載っている。以前から思っていたが、小林よしのりの場合、誰か考えを吹き込む人がいて、その人の推薦する本のみを読んでマンガを描いているのではないか?TPPにしても、賛否両論を読んで、自分で判断するのではなく、TPP反対論の本を参考文献として5冊挙げているだけだ。

マンガなので過激でなければ面白くないという面もあり、学者のように賛成でも反対でもないというものは売れないのだろうが、それにしても影響力のあるマンガ家だけに、偏った意見はかえってマイナスだろう。

筆者には小林よしのりは、ヤキがまわったように思えるが、本を立ち読みするなりして判断して欲しい。


参考になれば投票ボタンをクリック願いたい。



  
Posted by yaori at 10:25Comments(2)TrackBack(0)

2012年05月16日

政治家の殺し方 前横浜市長・中田宏さんの暴露本 ノンフィクション小説のようだ

政治家の殺し方政治家の殺し方
著者:中田 宏
幻冬舎(2011-10-26)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

前横浜市長・中田宏さんの暴露本。この本を読むと横浜市に巣くっている様々な闇・おもて勢力の実態がわかる。

このブログを書き始める前なので、ブログにあらすじは紹介していないが、中田さんの本は何冊か読んだことがある。特に「偏差値38からの挑戦」というサブタイトルがついている「なせば成る」は面白かった。

なせば成る (講談社プラスアルファ文庫)なせば成る (講談社プラスアルファ文庫)
著者:中田 宏
講談社(2005-11-25)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

突然の市長辞任の理由

中田さんが横浜市長選挙に出馬しないと表明したので、このブログでも著書を何冊か紹介している元ダイエー会長の林文子さんを民主党がかついで、林さんが横浜市長になったのは、ちょうど前回の衆議院選挙が行われた2009年夏だった。

筆者は中田さんが衆議院選に出馬するので、市長を辞めたものとばかり思っていたが、実は市議会の有力者達とつながる闇勢力から「ハレンチ市長」として、ありもしないでっちあげスキャンダルで攻撃されていたという。

そして自民・公明・民主がオール与党として談合している市議会勢力に、次の市長選挙を牛耳られないように、衆議院総選挙と横浜市長選挙を同一日にするためにあのタイミングで市長を辞めたのだという。


中田市長追い落とし作戦

2007年11月から7週間にわたって「週刊現代」の見出しに「私の中に指入れ合コン」とか、「口封じ恫喝肉声テープ」、「公金横領疑惑」などと事実無根の記事を書かれ、挙句の果てには「中田の愛人」と称する女性までテレビに登場するというスキャンダルを起こされていたという。

中田さんが市長をやめて後、週刊現代を発行する講談社を名誉棄損で訴え、2010年10月には全面勝訴を勝ち取っている。また”フィアンセ”と称する女性から慰謝料を求められた裁判でも、付き合った事実すらないとして全面勝訴した。

スキャンダルの疑いは晴れたが、政治には闇の世界があることを知ってほしいためにこの本を書いたのだという。


ノンフィクション小説のように面白い

中田さんは横浜市出身で、神奈川県立霧が丘高等学校を卒業し、2浪して青山学院大学に入り、松下政経塾を経て28歳で衆議院議員となり、2002年に37歳で横浜市長に当選する。当時は史上最年少の政令指定都市の市長だった。

筆者は神奈川県藤沢市出身だ。しかし友人から横浜スタジアムをめぐる利権について聞いたことはあったが、同じ県にある横浜市の政界がこれだけ腐敗しており、公務員も既得権を守るのに汲々としているとはこの本を読むまで全く知らなかった。

この本は中田さんの横浜市の闇勢力との抗争ドキュメンタリーで、ノンフィクション小説のように面白い。あまり詳しく紹介すると、読んだときに興ざめなので、簡単に紹介しておく。

★中田さん追い落としのねつ造スキャンダルは2007年11月の「週刊現代」から始まった。根も葉もない上記のような内容だ。

★2008年12月には中田の愛人と名乗る元ホステスの女性が全国ニュースに登場、3000万円の慰謝料を請求して裁判を起こした。しかし、幸いなことに、家族のきずなは保てたという。この女性は裁判には一度も出廷しなかった。金をもらって訴えたに過ぎないのだ。

★中田さんを恨んでいたのは、まずは指名競争入札で仲間同士で仕事を融通しあっていた建設業界だ。一般競争入札にしたので、競争がきびしくなったからだ。

★公務員組合も恨んでいた。公務員の定数を1000人当たり8人から5人まで減らし、各種手当も減らした。退職時昇給という最後の一日だけ昇給して、それが退職金のベースを高くするというお手盛りも辞めさせた。

★暴力団もからむ風俗業界も恨んでいた。京浜急行の日ノ出町駅から黄金町駅の間に違法売春風俗店が250店もあったのを、県知事、神奈川県警本部長、警察庁長官の協力を得て撲滅した。

★さらにAという市会議員が中田さんの政敵だったという。横浜市に住んでいる人は、Aというのが誰なのかわかるのだと思う。

★選挙の開票を翌日開票とすると1億3千万円もコストが下がるので、それを実施したら、朝刊しかない地元新聞は大反対したという。地元新聞も自社の利益優先で、県のコスト削減など二の次だったのだ。

★横浜市の公務員の待遇うは信じられないほど優遇されている。
希望しなければ10年間異動なしで、しかも毎年昇給するという「渡り」を辞めさせ、3年で強制配転としたので、公務員組合から敵視された。そのほかにも一律だった管理職のボーナスを上下100万円の差をつけたとか、鎌倉市などの隣の市に行くだけでもらえる出張手当も辞めさせた。

★おどろくことに、市職員からは実名で「おまえはバカだ」、「死ね」メールまで部署名・氏名入りで送られてきたという。公務員であれば、たとえ態度が悪くても懲戒免職などされないことを知っているからだ。

昔の長野県の田中康夫知事名刺折り曲げ事件を思い出させる公務員の暴挙である。

★定期を1か月定期から半年定期にしたら職員から規則違反と言われた。いままで差額をネコババしていたので、既得権と思っている職員がいたのだ。なんのことはない、ほかの自治体も同じで、横浜市が先陣を切って半年定期化したのだと。


こんな具合に、信じられない地方政治の実態が語られている。簡単に読める面白い読み物である。


参考になれば投票ボタンをクリック願いたい。


  
Posted by yaori at 12:58Comments(0)TrackBack(0)

2012年05月15日

就職に強い大学・学部 まあ大体わかっていたことではあるが…

偏差値・知名度ではわからない 就職に強い大学・学部 (朝日新書)偏差値・知名度ではわからない 就職に強い大学・学部 (朝日新書)
著者:海老原 嗣生
朝日新聞出版(2012-03-13)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

このブログでも「学歴の耐えられない軽さ」など何冊か紹介している転職エージェントマンガ・エンゼルバンクのモデルとなったリクルートワークス編集長で人材コンサルティング会社(株)ニッチモ社長の海老原嗣生(つぐお)さんの本。

学歴の耐えられない軽さ やばくないか、その大学、その会社、その常識学歴の耐えられない軽さ やばくないか、その大学、その会社、その常識
著者:海老原 嗣生
朝日新聞出版(2009-12-18)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

就職をめぐるデマ・誤解

この本のあとがきで、海老原さんは、マスコミに流れるデマ・誤解をデータで反証するために就職関係の本をこれで5冊出したが、もうこれで打ち止めにしようとして、この本を書いたという。

そのデマとは(カッコ内は海老原さんの反論や筆者のコメントだ):

1.新卒偏重の日本では、大学卒業時点の1回しか正社員になるチャンスがない。

2.既卒3年まで新卒扱いすれば、若者は救われる

3.内定解禁を半年後ろ倒しにして4年の秋にすべき
(筆者はこれを”デマ”とは思っていなかったが、海老原さんは4月1日解禁の現在でも10月1日時点で4割近い未就職者が出ている。そこから3月末までにこのうちの3割は(大体は中小企業に)内定する。もし10月解禁にすると、3月末に4割近い未就職者が出てしまうという。)

4.採用広報を12月1日に後ろ倒しにすることで、学業阻害が和らぐ

5.採用を通年化すべき
(採用を通研化すると、いつまでも大手志向が冷めやらず、学生が中小企業に目を向ける機会が減る。人気100社には5%しか入れず、1000人以上の企業に就職できるのは1/3だという現実を忘れている。)

6.日本式の新卒一括採用が、若者を苦しめる諸悪の根源
(OECDのデータでも一括採用している日本と韓国の若年失業率が際立って低い。欧米型にすると就職できずに、インターンとかアソシエイトという不安定な待遇を我慢しないと、正社員にはなれない。どちらが若者にとって良いのだ?)


大体わかっていたことではあるが…

国公立大学は卒業生の就職先を公表していないので、この本で論じられているのは私立大学の卒業生の話だ。大体わかっている通りだが、結論は次の通りだ:

★人気上位100社への就職に強いのは慶應、早稲田、上智まで。それも経済・法学部・商学部など偏差値の高い学部に限られる。

海老原さんが各大学の公表資料からまとめた人気上位100社への就職率が載っている。高い方の数字は全就職者に占める比率、低い方の数字は全卒業生に占める比率。全卒業生は大学院進学者も含んでいる。

scanner328






出典:本書68ページ

次が上位100社に就職できたどの大学の学生が、どの業界に卒業できたかという表だ。早稲田・慶應・上智はいろいろな業界に、分布しているが、それ以下だと大量に採用する金融系の比率が圧倒的。

scanner329










出典:本書71ページ

金融系を除いた人気上位100社への就職率は、早稲田・慶応・上智が10%、同志社が6%、それ以下だと数パーセントとなっている。

scanner330







出典:本書75ページ

つまり、就職に強い私立大学は簡単に言うと慶應、早稲田、上智、同志社の順で、それ以下は金融系を除いては人気上位100社に就職は難しい。金融系は大量に採用するが、それは本店中心のキャリアを歩むエリートと、支店要員のソルジャーを両方採用しているからだという。


「誰でも大学生化」の当然の結果

「学歴の耐えられない軽さ」で説明されていた通り、若年層の人口は減っているのに、大学生の数は増えている。

基礎人口と大学進学率推移















当然のことながら、誰もが大学生となっている現在、平均学力は落ちている。産業構造が変わり、高卒求人が減少したことにより大学進学者が増えたのだ。

大学は少子化にもかかわらず、学生を確保しなければならない必要に迫られ、学力試験なしのAO入試や女子学生を増加させて、学生数を増やし続けてきた。そのツケが大学生の学力低下なのだ。

scanner327











出典:本書37ページ

これからは東大の秋入学化に象徴されるように、日本の少子化対策として留学生獲得競争が日本の大学に起こるだろう。


企業の求める人材の要素

企業が求める人材の要素は次の6つだ。
1.地頭がいい
2.要領がいい
3.継続性がある
4.体力がある
5.ストレスに強い
6.人に嫌われない、人を嫌わない。


人気上位100社の採用数は景気が良くても悪くても大体2万人前後で変わらない。

従来型の入試で、厳しい受験戦争を勝ち抜いて難関校に入るには、少なくとも上記の1〜3が必要だ。だから企業は難関校出身者を優先的に採用してきた。

一方、AO入試拡大で全私立大学の無試験入学者は5割にも上る。国公立を加えた全大学でも無試験入学は4割を超えるという。

厳しい受験戦争を経験せず「誰でも大学生化」で入学した学生は、上記1〜3の試練を受けていないので、大企業の選考ではじかれてしまう結果となるのだ。

昔のエントリーはハガキの手書きで、多くの企業に応募するのはよほど根気がないとできなかった。ところが、今は就職サイトに一旦情報を登録しておけば、同じ情報を使って何十社でもボタン一つで応募できる。

就職説明会などのエントリーでも、大手企業は有名校向けは大学別に開催し、それ以外の大学はまとめて開催している。誰でもエントリーが可能なので、希望者が殺到し、下位大学の学生はエントリーシートすら提出できないという事態になっているが、企業側も機械的スクリーニングせざるを得ないのだ。


早稲田対慶応の星取表が面白い

この本では早稲田対慶応の人気100社への就職状況を細かく分析していて面白い。

就職数では早稲田、就職率では慶応。業界数では早稲田だが、慶応が強い業界は慶応が圧勝しており、早稲田はまんべんなく、慶応は金融、商社などに集中する傾向がある。


国際教養大学が就職では最強

就職に強い大学は、開学からまだ8年の秋田県にある国際教養大学だという。

一般入試比率が7割で、入学者全員にTOEFLの成績でクラス分けし、最初の1年は全員が寮生活。1年の海外留学が必須で、4年で卒業できる学生は半分。企業の評価は高く、就職率はほぼ100%だという。


女子のほうが相対的に優秀のメカニズム

人気企業では男子学生の応募が大量にあるので、ライフイベントコストの低い男子を優先的に採用する。そんなハンディをものともしないパワフル女子は、激戦を勝ち抜いた精鋭となり、同期男子に比べて優秀さが際立つ。

人気企業が優秀な男子学生を大量に採用するので、それほど人気のない企業では優秀な男子学生が集まらない。

ところが女子は優秀でもなかなか人気企業に採用されないため、こうした企業群にも数多く応募する。したがって、優秀な女子とそれほど優秀でない男子との比較なら、どうしても女子が良く見えるのだ。

しかし女子が優秀=女子を多く採用とはならない。女性が長期で活躍できるのは、マスコミと化学・日用品業界というのが現実だ。


下位私立大学の高就職率は分母を操作している

下位私立大学が発表する9割という就職率は、就職できなかった学生をいろいろな理由でノーカウントにして操作された数字だ。

つまり就職者数=分子はいじれないので、分母=就職希望者数を少なくしているのだ。


大体わかっていたことではあるが、データで詳しく検証しているので納得できる。読みやすく参考になる本である。


参考になれば投票ボタンをクリック願いたい。





  
Posted by yaori at 22:31Comments(0)TrackBack(0)

2012年05月14日

グローバル資本主義を卒業した僕の選択と結論 元外資系トレーダーがお受験産業に転身

グローバル資本主義を卒業した僕の選択と結論グローバル資本主義を卒業した僕の選択と結論
著者:石井至
日経BP社(2012-02-23)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

東大医学部(理掘砲鯊感函0綣圓砲覆蕕困法外資系トレーダーの道を歩み、バンカーズトラスト、USBを経てインド・スエズ銀行東京支店でマージング・ディレクターとなった後、32歳で退職して金融コンサルタントの石井兄弟社を設立。現在は慶應幼稚舎などのお受験指導のアンテナ・プリスクールを経営している石井至さんの本。会社の読書家の友人から紹介されて読んでみた。

石井さんは幼稚舎について何冊も本を書いている。

慶應幼稚舎 (幻冬舎新書)慶應幼稚舎 (幻冬舎新書)
著者:石井 至
幻冬舎(2010-05-27)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

慶應幼稚舎入試解剖学(改訂版)慶應幼稚舎入試解剖学(改訂版)
著者:石井至
石井兄弟社(2012-03-30)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

32歳で一生分稼ぐ

本の帯に「32歳で一生分稼いだ頭脳サバイバル仕事術」という宣伝文句が書いてある。石井さんは医者になるのをやめて最初に就職したバンカーズ・トラストで、初任給が650万円だった。それが2年目には5,000万円を超えていたという。

その後もたぶん年収1億円から数億円稼いでいたのだと思う。だから32歳で一生分稼いだという本の帯になるのだ。

石井さんは医学部出身なので、経済や金融のことはまったく知識がなかったが、いわば逆療法で、予備校の経済学の講師になり、人に教えて自分でも覚えるというやり方で経済学を学んだという。


こいつはバカではない

バンカーズ・トラストに入社したら、入社面接の時に会った人は日本人も外人も別の会社からグループで引き抜かれて、そっくりそのまま消えていたという。英語もあまりできず、採用した人もいなくなったので、ほとんど無視されていたところ、英人トレーダーが偏微分方程式に困っているのを助けたら、こいつはバカではないということで、いちやく頼りにされるようになった。

それからはどんどん仕事が来るようになり、3年目には東京のデリバティブ市場を牛耳っていたという。


お受験産業に参入

それから外資系を2社渡り歩き、32歳で石井兄弟社をつくって金融コンサルタントとして独立した。そして長男の「お受験」をきっかけに、小学校受験のアンテナ・プリスクールを設立した。

筆者は「お受験」には全く興味がないが、もし興味あるなら、上記の「慶応幼稚舎」が参考になるかもしれない。

この本では石井さんが雑談風に自分の高校受験、大学受験、外資での仕事、そして「お受験」業界の後進性などについて書いている。

いくつか参考になった点を紹介しておく。

★アメリカの私立大学では究極の裏口入学のようなものがあり、アジアのエリートファミリーの子女を最低100万ドルの寄付金を条件にハーバード大学に入学させている。多額の寄付をもらえるし、アジアの有力一族がハーバードの卒業生となるのだから一石二鳥だという。

★(ハーバードの理事の話)ハーバードには頭が良くて人柄もよい学生を育てるノウハウはない。全米の優秀な高校から成績優秀でリーダーシップのある子どもばかりを集めているから、そういう学生がいるのだ。そんな優秀な高校とはフィリップス・アカデミーとかセント・ポールとかの、ボーディングスクールだという。

ウィキペディアでも紹介されている通り、同志社の創立者新島襄はフィリップス・アカデミーの卒業生だ。1864年に函館から密航してアメリカにわたり、その船のオーナーだったハーディー氏の援助でフィリップス・アカデミーに入学したという。

今度紹介する海老原嗣生さんの「就職に強い大学・学部」にも採用側の評価ポイントが書いてある。このハーバードの理事が語っているところは、まさに採用にも言えることだ。つまりリーダーシップは育てるものではなく、「持っている」人を採用するものなのだ。

偏差値・知名度ではわからない 就職に強い大学・学部 (朝日新書)偏差値・知名度ではわからない 就職に強い大学・学部 (朝日新書)
著者:海老原 嗣生
朝日新聞出版(2012-03-13)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

★ヒースロー方式
ロンドンのヒースロー空港には「暴力はもちろん、係員に暴言をはくと逮捕します」という表示がいたるところに貼ってあるという。

石井さんは、これを「ヒースロー方式」として仕事に取り入れ、アンテナ・プレスクールでモンスター・ペアレントを防止するため、「スタッフがミスをしても、やさしく接することを約束してもらう」ことにしたという。

★新聞の本の広告の最大手は電通でも博報堂でもなく、「とうこう・あい」という会社だという。

石井さんが「出羽桜」で日本酒に目覚めたという話は以前紹介した通りだ。それまでワインかシャンパンしか飲まなかったのが、「出羽桜」で日本酒に目覚めたという。

山形県の出羽桜酒造の日本酒純米酒 一耕 1800ml【楽ギフ_包装】【楽ギフ_のし宛書】
山形県の出羽桜酒造の日本酒純米酒 一耕 1800ml【楽ギフ_包装】【楽ギフ_のし宛書】


ワイン党から日本酒に目覚めたという意味で、筆者も全く同じ体験をした。東日本大震災以来日本酒を飲んでいるので、いわゆるカラーバス効果で、日本酒のことが書いてあると、気になる。


話題が豊富で、簡単に読めて楽しい本である。


参考になれば投票ボタンをクリック願いたい。





  
Posted by yaori at 12:47Comments(0)TrackBack(0)

2012年05月06日

日本酒は奥深い 銘柄その6 山形県の「出羽桜」

「日本酒事典」を買って日本各地の日本酒を試している。

蔵元を知って味わう日本酒事典蔵元を知って味わう日本酒事典
ナツメ社(2011-01-21)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

今回は山形県の「出羽桜」を飲んだ。

2012050514080000















2012050514090001















【父の日ギフト/お歳暮にも◎】2012年3月蔵出し品!ザ・チャンピオンSAKE銘柄!【出羽桜 「純米大吟醸酒 一路(いちろ)」720ml】<出羽桜酒造>
【父の日ギフト/お歳暮にも◎】2012年3月蔵出し品!ザ・チャンピオンSAKE銘柄!【出羽桜 「純米大吟醸酒 一路(いちろ)」720ml】<出羽桜酒造>


前回紹介した「天狗舞」は2011年のInternational Wine Challengeで純米酒部門の最高金賞を受賞しているが、「出羽桜」は160蔵が出品した2008年のIWCで最高賞である”チャンピオン・サケ”を受賞している。

ちなみにIWCは日本酒も大きく取り上げており、現在のIWCのトップページにはサケ・サムライアソシエーションの第6回叙任式の模様が載っている。



「出羽桜」は輸出も積極的に取り組んでおり、ホームページも英語に対応している。海外で「出羽桜」が飲める店まで紹介されている。

純米酒の「一耕」という銘柄を飲んでみた。蔵元の推奨は冷酒と燗だったが、冷酒、冷や、燗で飲んでみた。やはり蔵元の推奨通り、冷酒が一番すっきりして淡麗という感じだ。

出羽桜酒造 純米酒 一耕 1.8L
出羽桜酒造 純米酒 一耕 1.8L


今度紹介する「グローバル資本主義を卒業した僕の選択と結論」という本の著者の石井至さんも、「出羽桜」を飲んで日本酒に対する認識が変わった人の一人だ。

グローバル資本主義を卒業した僕の選択と結論グローバル資本主義を卒業した僕の選択と結論
著者:石井至
日経BP社(2012-02-23)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

日本酒は奥深い。他の銘柄も試してみる。


参考になれば投票ボタンをクリック願いたい。


  
Posted by yaori at 00:48Comments(0)TrackBack(0)