日経新聞と米戦略国際問題研究所(CSIS)の共催シンポジウムに3年ぶりに参加した。
出席メンバーは毎回パワーアップする感じで、米国側の出席者はあまり変わりはないが、日本側は与党から前原国家戦略大臣・玄葉外相の両大臣が出席し、玄葉外相は30分ほどの講演を行った。
自民党からは9月の自民党総裁選を争った5人のうちの2人の、石破幹事長と林芳正元防衛大臣の二人が参加し、石破幹事長は30分ほどの講演を行った。
学者としては元東大教授の北岡伸一・国際大学学長、外務省OBとして薮中三十二・元外務事務次官が参加した。
米国からはほぼいつものメンバーで、ハムレCSIS所長兼CEO,国務省で極東・太平洋担当する現役のカート・キャンベル国務次官補、ジョセフ・ナイハーバード大学教授、リチャード・アーミテージ元国務副長官、マイケル・グリーンCSIS上級副所長といった面々だ。
いずれも民主党寄り、共和党寄りという色がついている。現在は民主党オバマ政権なので、カート・キャンベル氏が政府の要職についているが、来週の米国大統領選挙で、共和党のロムニー氏が勝つと、今度はマイケル・グリーン氏など別のメンバーが政府の要職につく、と言う感じで、まさに「回転ドア」そのものだ。
今回は国務省の現役のカート・キャンベル氏が冒頭の基調講演を行った。
日経新聞の春原剛編集委員がアーミテージ・ナイ鼎談に参加して、事前のアンケート結果や会場でプログラムの裏表紙の赤(YES)、表表紙の青(NO)を使っての即興アンケートも行って、面白かった。
会場で配られたプログラムは次の様なものだ。
講演の内容は、日経新聞などで報道されているので、詳しく紹介しないが、大変興味深い内容だった。
特にアーミテージ・ナイ両氏は、オバマ大統領の命を受けて、日本・中国のシャトル外交を行ったばかりだった。
もちろん詳しい秘密は明かさないが、中国には「尖閣付近で紛争が起こると米国は中立ではない」と伝えるなど、効果は十分期待できるシャトル外交だったと思う。
中国とは尖閣問題、韓国とは竹島問題が起こっているだけに、日米安保条約の第5条の米国の日本防衛義務に関し、日中間で紛争が起こったら、本当に米国は日本を軍事力で守ってくれるのかという日本人なら誰しも抱く疑問に対しては、明確にイエスだというメッセージをカート・キャンベル国務次官補他メンバーが伝えていた。
ただしこの場合には日本の紛争解決努力が前提となり、当然のことながら、米国は平和的な解決を望むということだった。
基調講演では、玄葉外相が官僚のつくった原稿をベースとした講演で、ほとんど得るところのないあたりさわりのない演説だったのに対し、石破幹事長は原稿なしで30分持論を語り、ニュースでも報道されているとおり、、「今回の自民党総裁選候補者5名全員が日本国憲法改正論者」だと語り、「いつまでもあると思うな、親と日米安保条約」や日本版海兵隊の創設などを訴えて迫力ある演説だった。
石破氏の三白眼が、まるで宗教家のような気味の悪い印象を与えていた点はマイナスだが、主張がはっきりしていて良いと思った。
大変参考になるシンポジウムだった。来年も抽選に当たったら参加しようと思う。
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