2016年03月30日

アルジャーノンに花束を アルジャーノンって誰?



盲ろう者で東大教授の福島智(さとし)さんの、「ぼくの命はことばとともにある」に紹介されていたので読んでみた。



健常者の筆者が全盲ろう者の福島さんに本を教わるというのは、何か逆のような気もするが、福島さんの本に紹介されていたので村上春樹とかの本も読んでみた。

この「アルジャーノンに花束を」は、知的障がい者が自ら経過報告を書くというスタイルで物語が進行する。

テレビドラマ化されて、元NEWSの山ピーこと山下智久が主役を演じており、DVD化もされている。

アルジャーノンに花束を DVD-BOX
山下智久
TCエンタテインメント
2015-11-06



知的障がい者で、6才程度の知能しかないチャーリー・ゴードンは、パン屋で働いている。

みんなと仲良く働いていたが、大学の脳医学研究所から研究対象に選ばれ、頭に手術を受けることになる。

そのときチャーリーと同じ手術を受けたのがハツカネズミのアルジャーノンだ。

大学の研究室では、チャーリーとアルジャーノンに迷路クイズを受けさせると、毎回アルジャーノンがチャーリーに勝った。

チャーリーの手術も大成功で、チャーリーのIQはぐんぐん伸び、ついには普通の人間を超えIQ140以上の天才となる。

チャーリーはどんな本もすぐに吸収し、知識抜群、多くの国の言葉もマスターし、語学も天才ぶりを示す。

しかし、そんなチャーリーをパン屋の仕事仲間たちは恐れ、ついには主人にチャーリーを追い出させる。

頭はよくなったが、仲間がいなくなったチャーリー。

そんなチャーリーをなぐさめてくれる仲間がアルジャーノンだったが、アルジャーノンに異変が起き始める。

そしてチャーリーにも異変が……。

というようなストーリーだ。

この小説を最後まで読むと、なぜ「アルジャーノンに花束を」なのかわかる。

ロマンのあるSF小説で大変楽しめる。

翻訳もいい。

山ピー主演のドラマはどんな展開なのか気になるところである。


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2016年03月21日

逆境経営 山口県の田舎の酒蔵が「獺祭」で成功した理由



現在最も手に入りにくい日本酒の代表格・獺祭をつくる山口県の旭酒造の桜井社長が語る逆境をバネにした経営。

旭酒造はJR徳山駅から1〜2時間に1本しか電車のない岩徳線で40分程度いった周防高森駅から車で15分程度の周東町獺越(おそごえ)にある。

旭酒造アクセス








































Google Mapで「周東町獺越旭酒造」と入力すると、ストリートビューで立派な酒蔵所ビルが表示されるので、一度見ていただきたい。

旭酒造は、もともとは普通酒(1・2級酒)の地酒・旭富士をつくっていたが、普通酒の経済的製造最小単位の年間5,000石(日本酒ビン詰にして50万本/年)を大幅に下回る1,000石以下の生産量だった。

桜井社長は先代の社長の長男として生まれ、ほかの日本酒メーカーで修行した後、旭酒造で働いていたが、先代の社長と経営方針でぶつかり、勘当されて日本酒作りとは無関係の仕事をしていた。

先代の社長が急死したため、急きょ実家に戻り、旭酒造の立て直しに奔走した。

しかし、多角経営策として打ち出した地ビール事業が失敗し、このままではジリ貧となることが明白だったので、方針を転換して大吟醸酒に特化して、東京市場に進出することとした。

経営の先行きを危ぶんで、杜氏が去っていったので、こちらも酒造りの常識を破って、社員で製造することにした。

普通、日本酒は杜氏が冬に仕込むが、旭酒造では社員が年間仕込めるように、空調を入れて年間5度程度の作業環境とし、さらに遠心分離機などの新技術も導入した。

酒米については、山田錦にこだわり、さらに磨き率も最高で2割3分まで削り込んだ。

獺祭 磨き二割三分 木箱入 720ml


東京に進出した1990年ころに「獺祭」と命名して、ブランド名を統一した。

「酒造りは夢創り、拓こう日本酒新時代」をスローガンに、日本酒製造の革新をはかる桜井社長が、「獺祭書屋主人」の別号を持つ正岡子規の進取の精神に共鳴していたことと、酒蔵の地名・獺越(おそごえ)にちなんだものだ。

ラベルにもこだわり、山口県出身の書家・山本一遊(いちゆ)さんに書いてもらった。

力強い字で、印象的なラベルだと思う。

東京に進出した後は、輸出を拡大している。

最大の市場は米国、特にニューヨークだ

ニューヨークのレストランはパリのレストランに影響を受けており、ニューヨークで成功するためにも、パリが重要なのだと。

2014年にはパリに獺祭を出す直営レストランを開店し、2016年にはロンドンでも直営レストランを開店する予定だという。

獺祭は純米大吟醸酒なので、酒造用アルコールを一切添加していない。それがユダヤ人向けマーケティングに重要な「コーシャー」ライセンスをとるのに役立ったという。

2015年には冒頭のGoogle Mapで紹介した立派な酒造所ビルが完成して、生産能力は3倍の5万石(一升瓶換算で500万本)となった。

筆者の家の近くには様々な地酒を置いている「まさるや」という有名な酒屋がある。

昔は獺祭50(一番安い獺祭で、一升瓶が3千円程度だが、十分うまい)も買えたが、今は品切れで、高価な獺祭2割3分しか置いていない。

※数量限定セール中!!※獺祭 純米大吟醸50 720ml【旭酒造】【山口県 日本酒】
※数量限定セール中!!※獺祭 純米大吟醸50 720ml【旭酒造】【山口県 日本酒】

ぜひ増産して、安くてうまい獺祭50が出回るようにしてほしいものである。


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2016年03月14日

プラチナデータ DNA捜査はこうなる? 東野圭吾の近未来警察小説

プラチナデータ (幻冬舎文庫)
東野 圭吾
幻冬舎
2012-07-05


東野圭吾の近未来警察小説。

嵐の二宮和也主演で映画化されている。



この小説の中には年号は一切出てこない。

近未来の日本。

DNA検査が犯人特定に使われるようになる。「ビッグデータ」の犯罪捜査への活用だ。

映画の予告編では、日本国民すべてDNAデータを国が管理するとのキャプションが出ているが、話はそう簡単ではない。

日本の居住者全員からDNAを集めるのは不可能なので、近親者のDNAからも犯人を割り出せるシステムが天才数学者の手によって開発された。

DNAを肉親や親戚が登録したら、自分まで芋づる式に調べられる可能性が出てきたのだ。

これなら犯罪抑制の効果も期待できる。

というのは、もし親類や兄弟がDNAを登録していたら、悪いことをするとすぐに自分が割り出される恐れがあるからだ。

手法は異なるが、スピルバーグの映画「マイノリティレポート」の犯罪未然察知システムを想起させる。



「マイノリティレポート」は「未知との遭遇」と並んで筆者の最も好きなスピルバーグ映画だ。特に、ショッピングモールの虹彩を読んで個人を特定して、その人にあった広告を表示するショッピングモールの場面は興味深いので、よく話題にしている。



話が横道にそれたが、DNA検査の捜査利用は順調なスタートを切った。

採取した毛や体液などの分泌物のDNAを調べて、日本国民の膨大なデータとマッチングすれば、容疑者の身長、体重、身体的特徴、そしてモンタージュ写真まで作ることができるのだ。

まずは逮捕第一号。簡単なものだ。

「朝飯前」だ。

これなら刑事も多数リストラできる。

しかし、そのシステムには致命的な欠陥が……。

突然、なぜか警察庁が本腰を入れて乗り出してくる。

というようなストーリーだ。

今や邪魔者扱いされた豊川悦司が演じる警視庁の捜査一課刑事と、検査結果を解析する二宮和也演じる警察庁特殊解析研究所の主任解析員が主人公だ。

大変面白い。単行本だと430ページもの作品だが、時間を忘れて一気に読めてしまう。

是非一読をおすすめする。


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2016年03月07日

天才 石原慎太郎が描く田中角栄

天才
石原 慎太郎
幻冬舎
2016-01-22


石原慎太郎が描く田中角栄の自伝的小説。

この本の「長い後書き」に石原慎太郎が記している。

この本を書くことになったのは、早稲田大学の森元孝教授との会話がきっかけだったという。

森教授は「石原慎太郎の社会現象学」という本を書いている。




「貴方は実は田中角栄という人物が好きではないのですか?」と森教授に聞かれ、

「確かに、彼の様にこの現代にいながら中世期的でバルザック的な人物は滅多にいませんからね」。

と答えたという。

石原慎太郎は田中角栄の金権政治に真っ向っから反対していた。しかし、その一方で田中角栄という政治家が好きだったという。

テレビというメディアを造成したのは田中角栄だし、高速道路の整備や新幹線網、各県に一つの空港、エネルギー資源の乏しい国に適した原子力発電推進、資源をメジャーに依存しないための自主資源外交、30を超える議員立法のいくつかは現在も有効だ。

自主資源外交を推進したためにアメリカの虎の尾を踏んで彼らの怒りを買い、虚構に満ちた裁判で失脚に追い込まれたが、それ以前に重要閣僚としてアメリカとの交渉で見せた姿勢は、彼がまぎれもない愛国者だったということがわかる。

田中角栄の先見性に満ちた発想が、今日の日本の在りようをつくったともいえる。

筆者もまさに石原慎太郎さんと同感だ。

このあたりは、「田中角栄 封じられた資源戦略」という本のあらすじで紹介しているので、参照してほしい。



この本では、田中角栄の生い立ちから、高等小学校を卒業後、土方をやって身に着けた世の中の見方が後々役に立ったことなど、様々なエピソードも交えて田中角栄自身が語るという一人称小説に仕上げているので、非常に読みやすい。

石油ショックでアメリカやメジャーに頼っていた日本のエネルギー自立を促進するため、カナダ、インドネシア、オーストラリア、ニュージーランド、ビルマ(現ミャンマー)を歴訪して資源確保の契約を進めた。

これがニクソンの片腕だったキッシンジャーの反発を買い、キッシンジャーは田中のことを「デンジャラス・ジャップ」と呼んで、のちにアメリカが仕掛けたロッキード事件で田中角栄は失脚した。

次の三木内閣の法務大臣となった稲葉修が「逆指揮権」を発令して、田中角栄は受託収賄容疑で逮捕された(その後起訴され、一審、二審で有罪、最高裁の判決が出る前に田中角栄は75歳で亡くなり、死後最高裁が収賄を認定した)。

三木内閣は総選挙で大敗、次は福田内閣となった。

福田内閣時代には、中国の小平副主席が田中邸を訪ね、「水を飲む時、井戸を掘った人の苦労を忘れない」と言って、田中角栄に感謝したことは有名だ。

この本では田中角栄の妾や愛人との関係などの私生活、政治活動、仲間の政治家の評価などについても、田中角栄自身に語らせていて大変面白い。


小説なので、これ以上は紹介しない。

一人称小説で、これほど読みやすいものは珍しいと思う。

全200ページの本だが、2時間程度で簡単に読める。

是非一読をおすすめする。


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