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2017年01月15日
大前研一 「ビジネスモデル」の教科書 生きた題材を使った経営の問題集
大前研一「ビジネスモデル」の教科書 [単行本]
大前 研一
KADOKAWA
2016-07-14
大前さんがBBT(ビジネス・ブレーク・スルー)大学で、実際に取り上げた12のRTOCS(Real Time Online Case Study)の事例を、大前流に分析・考察・結論付けしたもの。
多くのビジネススクールが、すでに時代遅れとなった過去の事例(たとえば、「コダックとポラロイドの戦い」とか「ゲートウェイ2000はいかにしてトップシェアを取ったか」などという、ネットからデータも取れないような古い過去の話)を扱っていたりするという。
それに対して、RTOCSは現在進行中のフレッシュな事例を取り上げ、当事者たるリーダーと同じ立場に立って、自分ならどうするという自分なりの結論を出す訓練だ。
結論を出すためにどういった情報を集めて、それらをどう読み、どう分析し、どう活かすのかを徹底的に考える癖をつけることが目的だ。
BBT大学の学生は毎週1回このRTOCSに取り組み、リーダーになった気持ちで経営課題を考え、クラスでディスカッションする。
こういったトレーニングを2年間やれば、100本ノックならぬ、100本ケーススタディで、頭の回転も驚くほど速くなり、リサーチ作業や収集した情報を整理、分析するスピードも格段に上がると大前さんはいう。
この本で取り上げている12の事例は次の通りだ。
CASE 1
Coca Cola
のCEOだったら
CASE 2
ローソン
の社長だったら
CASE 3
Uber
のCEOだったら
CASE 4
任天堂
の社長だったら
CASE 5
キャノン
のCEOだったら
CASE 6
シャオミ(小米)
のCEOだったら
CASE 7
ゼンショー
の社長だったら
CASE 8
クックバッド
の代表だったら
CASE 9
日本経済新聞社
の社長だったら
CASE10
Airbnb
のCEOだったら
CASE11
ニトリ
の社長だったら
CASE12
島精機製作所
の社長だったら
それぞれのケースにBBT大学総研が作成した分析チャートが多く配置されており、その会社の現状の姿と経営上の課題が浮き彫りになる。
本来ならその分析まで自分でやるべきところだが、BBT総研の分析は非常にわかりやすく、その会社の問題点がよくわかる。
そのうえで、大前さんが考えるその会社が取るべき経営戦略を解説している。
たとえば、ローソンについては、成城石井の商品を取り込んで「ショップ・イン・ショップ」形式で商品力を強化すること、都心店舗ではコンシェルジュサービスを導入して、顔の見える営業を展開し、半径200メートル内の住民を確実に囲い込むこと、地方店舗は現状維持というものだ。
また、2007年の4.5兆円をピークに、リーマンショック後は売上高が低迷しているキャノンは、オフィス向けソリューション、医療、理化学機器分野、商業用・産業用プリンターという3つの収益事業を強化するために、M&Aを積極的に仕掛け、各分野で圧倒的なトップを狙う、などというものだ。
BBT総研の分析がわかりやすく、チャートが見やすいので、ついつい大前さんの考える経営戦略まで読み進んでしまうが、この本が最高に役立つのは、その会社の現状分析のところで、いったん読み進むのをやめて、そこで自分なりにアイデアを練って、それから大前さんの案を読むという活用法だ。
経営に正解などない。大前さんの案とは違ってもいいので、自分なりのアイデアを考える経営の問題集としての活用をおすすめする。
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Posted by yaori at
00:26
│
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│
2017年01月09日
おとなの法律事件簿 最新判例・法令がわかるコンプライアンスハンドブック
おとなの法律事件簿 職場編 弁護士が答える企業のトラブルシューティング (おとなの法律事件簿(NextPublishing)) [オンデマンド (ペーパーバック)]
蒲 俊郎
インプレスR&D
2016-12-13
IT企業などの監査役や桐蔭法科大学院長としても幅広く活躍している蒲弁護士が、5年間「ヨミウリオンライン」の「
おとなの法律事件簿
」というコラムで書いた事例(フィクション)から16ケースを選んで、企業向けに再編集・加筆したもの。
どのケーススタディも「ヨミウリオンライン」に掲載した内容から、その後の判決などを織り込んで加筆・修正している。
16のケーススタディは実践的で、最新の判例や厚生労働省の指針等を反映しているので、企業の実務担当者にはコンプライアンスハンドブックとして役立つと思う。
この本で取り上げているケースは次の通りだ。
第1章 情報漏洩に関する事件簿
CASE 1 相次ぐ個人情報漏洩事件、企業における防止対策の決定打とは?
CASE 2 「産業スパイ」事件、うちの会社は大丈夫?
第2章 ハラスメントに関する事件簿
CASE 3 セクハラに対する企業の処分が、急速に厳罰化しているって本当?
CASE 4 社員から「パワハラ」の訴え、防止策は?
CASE 5 出産後にマタハラ、無事に職場復帰できる? パタニティーハラスメントの解説と共に
第3章 時間外労働に関する事件簿
CASE 6 話題のブラック企業、自分の会社がそう言われないためには?
CASE 7 実態が伴わない”名ばかり管理職”、残業代を請求できる?
CASE 8 50時間もの残業代、年俸制だと請求できない?
第4章 人事異動や退職に関する事件簿
CASE 9 嫌がらせ同然の上司による退職勧奨、法的に問題は?
CASE10 関連会社への出向命令、無効になる場合とは?
CASE11 転勤辞令、「子どもの通学」理由に拒否できる?
第5章 組織の不祥事に関する事件簿
CASE12 ライバル企業の社員の引き抜き、どこまで許される?
CASE13 内部通報で報復人事、配転の取り消しは可能?
CASE14 社内情報で妻や他人名義で株売買、インサイダー取引になる?
第6章 経営に関する事件簿
CASE15 当社も上場、企業にとってのIPOの意味とは?
CASE16 監査役への就任、賠償責任で全財産を失う?
法律本によくある、「この場合はAだが、こういった条件の場合はBで、さらに条件が変わるとCで…」といった、結論を言わない論点はぐらかしのような部分がなく、すべてのケースで「So What?」(だから、どうなの?)がはっきりしていてわかりやすい。
どのケースも参考になるが、特に筆者の専門分野である個人情報漏洩事件についてのCASE1が絶対おすすめだ。この本はアマゾンの「なか見!検索」に対応しており、CASE1は全文が立ち読み可能なので、ぜひ
こちらをクリックして、「なか見!検索」の画面を表示して、右側のスクロールバーを操作してCASE1の全文を読む
ことをお勧めする。
個人情報漏洩については、「悪意を持った内部者」の犯行を抑えられるかが重要なポイントであり、蒲弁護士は情報漏洩が割に合わない実態を教育で徹底的に周知すべきだと語る。
三菱UFJ証券の個人情報漏洩事件
の犯人の三菱UFJ証券の部長代理は、わずか12万8千円の現金のために、そのまま勤めていればもらえたはずの数千万円の退職金を失い、懲役2年の実刑判決で収監され、離婚して家族も失った。
一生消えない刑事前科がつくので、再就職もままならず、さらに会社からも総額70億円と言われる損害の一部を賠償請求される見込みだ。
たった12万8千円のために、失ったものは計り知れなく大きい。
ベネッセ事件の犯人の刑事裁判
では2016年3月29日に、不正競争防止法違反による3年6カ月の懲役、罰金300万円の判決が言い渡された。
この本では、社員の日常の変化を見逃さず事前に対応することの重要性、悩み事相談窓口の設置、ベネッセ事件を例にあげての記者会見での発言の注意点や、500円の金券に限らない補償のやり方など、至れり尽くせりの実務的な解説をしている。
その他のケースについて、参考になった点を紹介しておく。最近施行された法令・指針や判決が多く、この本の内容の新しさがわかると思う。
★営業秘密について、2016年1月に施行された改正不正競争防止法では、罰則が強化され、個人に対する罰金の上限は1,000万円から2,000万円に、法人に対する罰金の上限は3億円から5億円になった。国外に流出させた場合の罰金の上限は3,000万円と、法人10億円。
それに加えて、営業秘密侵害行為によって得た収益は、上限なく没収できることを定めている。また、当初は親告罪となっていたが、裁判で営業秘密を公開しない秘匿決定手続きが導入されたこともあり、非親告罪となった。海外のサーバーで管理されている営業秘密が、海外で不正取得された場合でも、処罰の対象となった。
★パワハラケースの最後に「心にしみる言葉」として、次が紹介されている。ある企業の人事担当役員の言葉だそうだが、パワハラケースでよく引用されているそうだ。
「
すべての社員が家に帰れば自慢の娘であり、息子であり、尊敬されるべきお父さんであり、お母さんだ。そんな人たちを職場のハラスメントなんかでうつに至らしめたり苦しめたりしていいわけがないだろう
。」
★マタハラケースの最初に「ガラスの天井」をヒラリー・クリントンが破れなかったという米国の大統領選挙の話を紹介している。12月9日初版発行の本なのに、話題の新しさに驚かされる。判例や法令は常に新しいものが出てくるので、その意味では、この電子書籍+オンデマンド出版という出版形態は、このようなコンプライアンスハンドブックに適したものではないかと思う。
★マタハラ防止措置義務も2016年に動きがあり、厚生労働省が「
事業主が職場における妊娠、出産等に関する言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針
」と「子の養育又は家族介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活の両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置に関する指針」を2016年8月に公表し、2017年1月から施行されている。
★
パタニティーハラスメント
についてもマタハラの最後に紹介している。東京都の小池知事が、就任早々、都の幹部職員に対して
「イクボス宣言」
をおこない、男性の育児休業取得率を2020年までに13%に引き上げる目標を掲げている。
★ブラック企業に関するケースでは、厚生労働省の「かとく」(過重労働撲滅特別対策班)が紹介されている。
エービーシー・マート
、大阪の「まいどおおきに食堂」などを運営する
フジオフードシステム
、ドン・キホーテなどが「かとく」が書類送検したケースとして紹介されており、2016年11月7日に
電通の強制捜査に入ったのも「かとく」だ
。
★ケース12のライバル企業の社員の引き抜きも参考になる。
サイバーエージェントの藤田晋社長は、ライバル企業に引き抜かれた社員に対して「激怒」し、それを社内に拡散させた
という。
2000年頃に他社社員の引き抜きを行った際に、業界第2位以下の会社は寛容だったのに対して、業界1位の会社は「出入り禁止」とばかりにカンカンに怒り、その企業は今でも業界首位を維持しているという事例を見て、自分も不寛容と言われようが、社員が同業に引き抜かれた場合には「激怒する」という方針に決めたのだと。
社員の転職も、企業による社員引き抜きも原則自由で、競業禁止の特約はわずか6カ月の制限でも無効とされた判例がある。しかし、首謀者が部下をごっそり引き連れて転職するようなケースでは、損害の範囲は限定的ながらも、損害賠償責任を認めた判決もあり、ケースバイケースで考えなければならない。
会社側の対抗手段は、あまりなく、だからこそ藤田社長も意図的に「激怒」して、それをメディアに載せることでけん制したのではないかと蒲弁護士は推測している。
★ケース13の内部通報者に対する報復人事も参考になる。事例として挙げられているのは、オリンパスの内部通報者が、2007年に内部通報したら、必要のない配転命令を受けたケースだ。
訴訟に発展し、いったん2012年に会社側の権利の濫用を認めて最高裁で確定したが、その後も通報者は元の営業職に戻れず、2012年9月に損害賠償を求めて新たに訴えていたもので、
2016年2月に和解が成立して、会社側が1,100万円支払うことになった
。
この間に
オリンパスの粉飾決算による不正経理
が発生している。不正経理に気付いた社員が、社内告発をしようと考えたが、内部通報制度で不利益を被った社員がいることを知り、社内通報をやめて、外部のフリージャーナリストに情報を提供したことから、明るみに出た。
オリンパスの内部通報制度が機能していれば、あれほどのダメージは受けなかったのではなかろうかと。
もともと「ヨミウリオンライン」のコラムだったこともあり、一般読者向けにわかりやすく解説している。コンプライアンスの担当者のみなならず、一般読者にも参考になる話題が多いと思う。
この本はオンデマンド出版なので、ネット販売と一部の大手書店のみで取扱っており、一般の書店には並んでいないため、まずは
アマゾンの「なか見!検索」
で、立ち読みすることをお勧めする。
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書評・レビューランキング
Posted by yaori at
21:55
│
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│
2017年01月07日
販売差し止めにつきあらすじ再掲 日本会議の研究 まるで謎解きのようなノンフィクション
2017年1月7日再掲:
「日本会議の研究」が取り上げた人物の名誉を棄損しているということで、販売差し止めの仮処分が決まった
。
アマゾンでは、現在本のベストセラー第一位となっている。いずれ販売差し止めになると思うので、あらすじを再掲する。
2016年6月26日初掲:
日本会議の研究 (扶桑社新書) [新書]
菅野 完
扶桑社
2016-04-30
大学の先輩から勧められて読んだ。
それまで
日本会議
なるものの存在すら知らなかったので、こんなに政治的にパワフルな右翼集団が、自民党を動かしているとは知らなかった。
日本の国会議員の4割が日本会議に参加している
という報道もある。
ちなみに、ともに就任直後に辞任した
松島みどり元法相と小渕優子元経産相は日本会議議連のメンバーではなく、「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」のメンバーでもなかった珍しい例だという
。
日本国憲法を改正しようという勢力は、2016年7月10日の参議院選挙で勝利して、参議院の2/3の議席を確保し、憲法改正ができる基盤を整備しようとしている。
それの中心が日本会議だ。
日本会議は
ホームページ
を開設している。
日本会議のブログへのリンク
など、日本会議の現在の活動がわかるリンクもあるので、参照してほしい。
この本の著者の
菅野完(すがのたもつ)さん
は、サラリーマン時代にコツコツと日本会議の資料を集め、会社をやめて著述業に専念するようになったという経歴を持つ。
Wikipediaでも菅野さんの経歴が紹介されているが
、毀誉褒貶が多く、何が正しいのかよくわからない。
日本会議から出版元の扶桑社に対して、この本の出版停止要求が出されており
、それもあってアマゾンでは本のベストセラーの17位(本稿執筆時点)となっている。
日本会議は、1960年代後半の長崎大学の学園紛争に勝利した
椛島有三現日本会議事務総長
らの右派学生を中心とした
日本青年協議会
が母体となっており、もともとは宗教団体の
生長の家
の信者の政治活動とも密接なつながりを持っていた。
安倍首相のブレーンの一人とされる日本政策研究センター所長の
伊藤哲夫氏
、政府の御用学者となっている
百地章国士舘大学大学院客員教授
などが日本会議の主要メンバーだ。
日本会議の動員力はすごい。現在も憲法改正を実現するために、1,000万人の署名を集めており、ホームページにも
「憲法改正を実現する1,000万人ネットワーク」
へのリンクが張ってある。菅野さんがこの本で紹介している
「武道館1万人大会」
の様子も紹介されている。
集客力こそ自民党が日本会議と切っても切れない絆を保っている理由だろう。
生長の家
は、
谷口雅春
氏が創始者の宗教団体で、谷口氏の著書の「生命の実相」は全40巻で、通算1,900万部売れているという。
生命の実相―頭注版 (第1巻) [単行本]
谷口 雅春
日本教文社
1962-05
生長の家は1980年代に政治活動をやめている。
生長の家の現総裁の谷口雅宣氏は、この本を推薦し、2016年7月10日の参議院選挙では、与党とその候補者を支持しないとブログで語っている
。
現在の生長の家は、元信者の多くがつくった日本会議を支持していないのだ。
この本は日本会議と主要な日本会議のメンバーの活動に関し謎解きのような展開で、大変興味深く読める。
内容については、ネタバレになるので詳しく紹介しないが、
アマゾンで、なんと139件(初掲時。再掲時には265件となっている)ものカスタマーレビューが寄せられており
、カスタマーレビューをざっと見ただけでも大体の感じはわかると思う。
ベストセラーとなっているので、ぜひ本屋で手に取ってパラパラ見てほしい。新たな発見があるはずだ。
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書評・レビューランキング
Posted by yaori at
23:41
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Comments(0)
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