2006年01月23日

『僕は死なない』 ホリエモンとライブドアはこれで終わるのか?

2006年1月23日追記:


ホリエモンが証券取引法違反疑惑で本日逮捕された。このブログではホリエモンの本を多く紹介してきたが(右のインデックスのホリエモンをクリックしてみてください)、一番今回の逮捕劇にぴったりなのは、たぶんこの本だろうと思うので、再掲する。

今回の逮捕、ライブドア株監理ポスト入りで、たぶんホリエモンはビジネスマンとしてはほとんど『死んだ』ことになるだろうが、はたしてこのままで終わるのか、それとも復活するのか。


小学生でも買えるライブドア株

ホリエモンが自著で書いていたように、「小学生でもライブドアの株が買える」様に株式分割を繰り返したおかげで、ライブドアの株主総数は22万人と言われている。

ホリエモンは「身に覚えがない」とか自身のブログで書いているが、もし側近にすべて罪をなすりつけられると思っているとしたら、幼児経営と言わざるを得ない。

もし粉飾決算がなされていたのであれば、結果責任を問われる経営者として、身に覚えがないなどという言い訳は許されない。

22万人をだまして、お金を巻き上げた事になるからだ。絶対に許されないことだ。


日本の経済界とライブドア自身への影響

日本の経済界にも大きな影響があるだろう

IT企業のみならず、すべての企業にインターナルコントロール(内部統制)強化が要求され、米国のエンロン事件並の影響が出るだろう。

一方ライブドアの事業としては、すべてがすべて影響ないとは言えないだろうが、たぶん致命的なダメージはないだろう。

問題は事業の収益力を実体以上に粉飾していたからで、事業が黒字であれば、利用者・顧客がついてくる限り会社の株価は下落しても事業自体は影響ないだろう。

たとえばこのブログもライブドアブログだ。ちょっと前にライブドアブログの利用者は115万人と言われていた。

ホリエモンが逮捕されたからといって、多くのユーザーが他のブログサービスに移るとは思えず、日本最大の利用者を持つライブドアブログには大きな影響はないだろう。


IT業界への影響

それにしても、もし一般の人からすべてのIT業界の会社が、ライブドアと同列と見られるとしたら、それこそ心外だろう。

たとえば楽天だ。楽天は加盟店の1社から個人情報漏洩事件が起きたとき、三木谷さん自身がセキュリティ本部長となり、非常に迅速に抜本的対策を打った。

まさに楽天のスローガンの一つである『スピード、スピード、スピード』を実践するすばやさだった。

三木谷さん自身が消費者相手のインターネットビジネスでなにが重要なのか、よくわかっている。

楽天の様な対応を多くの会社が取っており、特にYahoo!BBは一度個人情報漏洩事件(実際は恐喝事件なのだが)があったこともあり、監視ソフト、監視カメラ、セキュリティ対策等の個人情報保護体制はIT業界のトップと言われているほどだ。

たぶんそれが大多数のIT企業なのだろう。投資家もパニックが過ぎたら、インターナルコントロールも含めた企業価値を冷静に考えて欲しいものだ。


米国のミルケンは慈善事業家として復活

米国ではジャンクボンドの帝王と言われたマイケル・ミルケンが米国の証券取引法違反で、逮捕・収監された。(すみません。日本語のWikipediaでは載っていませんでした)

ミルケンは何十億ドルと稼いだが、それも罰金として徴収され、出獄した時はほとんど財産は失ったが、心を入れ替えて慈善事業家として見事に復活した

今回の事件の真相の解明が待たれるところだが、ライブドアの事業は継続され、ホリエモンも将来復権の機会はあるだろう。

もし報道されている通りだとしたら、法律を破り、ルールを守らないなど、もってのほかだ。違法な経営など経営とは言えない。

そんなホリエモンに第2幕があるかどうかわからないが、彼が若者に人気のあるキャラクターであることは間違いない。

ミルケンの様な日本社会にとっても良い復活劇になるかもしれないという期待を込めて、一応ホリエモンにはエールを送っておこう。




僕は死なない黒枠で囲まれたホリエモンの表紙が目をひく。

この本のあらすじを書くのは時間が掛かった。なんかまとまらない。なんども書き直した。なぜだろうと思っていたが、やっと気がついた。

この本は2部構成となっており、最初の部分のプロ野球参戦記は実はホリエモンにとっては、one of themのビジネスチャンスの一つであり、どうでもよいのだ。

ホリエモンの言いたいのはこの本の題にもなっている。『僕は死なない』という部分。

えらく逆説的で、挑戦的な発言ではあるが、ホリエモンは死ぬと決めつけるな。すべてに挑戦・チャレンジしろ!と言っているのだ。

彼の言葉によると『人間みんな死ぬんだって、みんな当たり前のこととして受け入れちゃってますよね。死なないかもって発想することすら思いつけないだよね。

でも僕は人間は死ななくなるって思っているし、金さえあれば、それは確実に実現できると思っているんです。』

たしかに米国では将来の医学の発達を期待して、死後自分の体を冷凍保存させている人がいると聞いている。同じ発想かもしれない。

あとがきでチャレンジし続けることを説く。『僕はずっとチャレンジし続けてきた。ずっと変わり者だった。しかし勝てば官軍とはよく言ったもので、常識は突然180度変わってしまうことが実は多い。』

『今一番言えることはチャレンジするには最適なタイミングだということ。今生きている人はこの瞬間にチャレンジしないと大損だといってもいいだろう。

まだ誰も気がついていない。僕が10年以上前にインターネットに出会ったときに酷似している。一生に一度あるかないかのこの変革の時期、自分が信じた道にかけてみよう!』

本当はこの本の最大のメッセージはここなのだ。野球はチャレンジの一例で、あくまで付け足し。

プロ野球参戦については、ホリエモンの言葉だと「一言でいえば『パンドラの箱を開けちゃった』ってことでしょう。

ナベツネさんの顔色をうかがい、巨人の意向に逆らわないっていうのが、これまでのプロ野球界の常識で、それを僕は『読売クラブ』って言っているんだけど、要は誰もが読売新聞という大マスコミにビビっている。けど僕ら別に何書かれても怖くないから。」

ライブドアは純粋に新規ビジネスとして野球参入を考えた、それに対してナベツネを筆頭とする日本プロ野球が、既得権にしがみつく護送船団の様に新参者を閉め出した。

近鉄以外でもいろいろな球団からの買収の誘いはそれまでも出ては消えしていた。

ライブドアは2004年4月に公募増資して358億円の資金調達ができたので、野球ビジネスを本格的に検討しはじめた。

目的は簡単で会社の露出拡大である。オリックスがいい例だ。

6月になってオリックスとの合併を発表した直後、楽天の小澤氏から近鉄に興味あるかとの話が寄せられ、買収交渉を発表した。

球場でもホリエモンは一躍ヒーローとしてファンに迎えられる。それでも合併交渉には影響ない。

昨年この辺から話がわからなくなってきた記憶がある。

ホリエモンが『大阪の未来を考える会』で、『まあ選手がストやるぐらいしか方法ないっすよね。ぶっちゃけ、そうですよね』という様な話をしたら、会場はシーンとなってしまったと。

ナベツネの『無礼なことをいうな。分をわきまえないといかんよ。たかが選手が。オーナーとね、対等に話する協約上の根拠は一つもない』発言が火に油を注いだ。

結局なんだかんだで選手会のスト、合併承認、新規球団候補選考、楽天対ライブドアの争い。楽天の勝利と話が進む。

三木谷氏は2004年8月の決算発表会で『プロ野球の球団は持たない』と発言しているそうだが、野球がらみのライブドアの知名度アップを見せつけられ、もはや座視できないとみずからも野球参入を表明する。

ライブドアは宮城県に目を付けて、事前の交渉もしていて宮城県営球場をフランチャイズとした案を作っていたが、楽天も結局同じ宮城県営球場で、ライブドアつぶしに出てくる。

ホリエモンは「三木谷さんってもともと慇懃無礼な人じゃないですか。

どうでもいいけど、僕に対しては『堀江君』呼ばわりだし。僕は三木谷さんに興味もないし、仙台なんていうことがなかったら、もっと早く僕の視界から消えてしまう人だったんです。」

「本業でも、Yahoo!は僕たちが目指す会社だけど、楽天はそういう相手じゃないんだし、最初から楽天をライバルなんて思っていない。我々の世界では、うちも含めて2位以下はクズですから。」と悔しさをぶつけている。

最近の楽天トラベルの手数料値上げに対抗して、ベストリザーブが手数料を値下げして、一挙にホテル組合を取り込もうとしているのも遺恨試合の延長戦か?

ライブドアと楽天の一騎打ちの新球団選考が始まる。無手勝流のライブドアに、抵抗勢力の日本プロ野球は元から拒否するつもりで、アダルトソフトの扱いなどをつっこみ始める。

実は楽天もライブドアも、『18歳以上入場不可』とかいうボタンをつくり、これを押しさえすれば認証を得たとして、その先に進めるのは同じなのだが、ライブドアについては必要以上につっこまれる。

他方楽天は、自分たちはエスタブリッシュメントの一員であるとして、奥田経団連会長、三井住銀行の西川頭取などビッグショットを並べた経営諮問委員会設立を発表。最初から楽天に決まるシナリオがほぼ決まっていたようだ。

第6章の『インターネットが権力を倒す日』では今回の騒ぎで結局一番の勝者となったライブドアホリエモンの言いたい放題。

いわく、『今のシステムは10年後には黙っていてもつぶれる』、『インターネットは、本質的に彼ら(=読売クラブ、エスタブリッシュメント)の社会システムを脅かす存在なんです』、『プロ野球も、競馬も、政治も、社会全体がたかりの構造なんですね』。

最後の資料編に近鉄に出した提案書、プロ野球参入の参加申込書、日本プロ野球組織からの61項目に上る詳細な質問状に対する回答書のコピーがつけられており、面白い。

近鉄への提案は2−1−1顧客データベースマーケティング、2−1−2インターネットメディア中継・情報配信、2−1−3選手ーファン・ファン同士の双方向コミュニケーション(ブログ活用)、2−1−4国内外成功事例の導入、2−1−5球団株式発行、2−1−6プレイヤーズ証券、2−1−7報酬体系の合理化・透明化を提案している。

これを受け取った近鉄はあまりに先進的で若者のノリなので、『なにこれ?』って感じで受け取っていたことは想像に難くない。

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Posted by yaori at 23:55│Comments(0)TrackBack(0) ビジネス | ホリエモン

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