2005年07月10日

57歳のセカンドハローワーク わかりやすく現実的な定年後生活入門書


57歳のセカンドハローワーク
著者の布施克彦氏自身も1947年生まれの団塊の世代で、総合商社に28年間勤務した後に、NPO法人に勤務したり、大学講師となったりしている。本書は自らの経験をふまえたわかりやすい定年後の人生設計の入門書となっている。


13歳のハローワーク
ベストセラーとなった『13歳のハローワーク』を意識したタイトルだが、『13歳のハローワーク』は作家の村上龍となんの関係があるの?という感じの幻冬舎制作の職業辞典にすぎないのに対して、この本は経験者がケースファイルとして多く取り上げられており、転職コンサルタント等の専門家のコメントも参考になる実践的な入門書である。

57歳まではまだ間があるが、筆者もセカンドライフを考える年になってきたので読んでみた。

2007年問題といわれ、2007年に団塊の世代が大量に60歳定年を迎えることが、大きな社会変化を起こすと見込まれている。団塊世代は昔の60代=老人というイメージはあてはまらず、依然としてエネルギッシュで、もちろん現役のビジネスマンとしてもやっていける。

以前米国に駐在していたときに読んだGreat Boom Aheadという本を思い出す
The Great Boom Ahead: Your Comprehensive Guide to Personal and Business Profit in the New Era of Prosperity

米国では日本とはベビーブーマーの時代が10年ほど後ろにずれていて、1961年から1964年生まれの人が米国ではベビーブーマーといわれているが、この本ではベビーブーマーたちが社会・経済の中心となるに従って、1990年代前半より始まった経済成長が持続的に、かつさらに加速すると予測しており、事実その通りになっている

ちなみに米国ではベビーブーマーヘッドクオーターというサイトもあり、ベビーブーマーの様々なニーズ、活動に役立つようになっている。

日本では50歳代後半のベビーブーマー、いわゆる団塊の世代は今までは、猛烈にはたらいてきて日本経済をリードしてきたが、60歳定年を数年後に迎え、これからはお金も暇も両方持つ巨大な購買力を持つ集団となってくる。

現にプラズマや液晶テレビなど50万円前後もする高額テレビの購入者は半分以上がシニア世代と言われており、シニア市場が注目されているわけである。

この本はこの団塊の世代の定年後の進路を
1.年収200万円以上コース、
2.年収200万円以下コース、
3.悠々自適コース、
4.エリート対応
と4つのコースに分けており、一応200万円を収入の基準としている。


新版 年収300万円時代を生き抜く経済学
たけしのテレビ等によく登場する森永卓郎氏が『年収300万円時代を生き抜く経済学』を出している。若い人も含めて日本人の大半が年収300万円という時代となると言っていたのはちょっと問題だが、定年後は200万円(月収15万円程度)が基準と考えるというのは実際的だと思う。

日本政府の対応は2004年6月に成立した改正高年齢者雇用安定法は2006年4月から施行され、2013年までには企業は65歳の定年延長が義務付けられる。団塊の世代もこの65歳定年に引っかかる可能性もある。

しかし65歳定年となれば、たぶん企業は給与体系の見直し、年金の見直し、ポストオフ制度等を導入し、結局60歳定年制と65歳定年制では個人の収入はあまり変わらない可能性があるのだ。

それでは具体的にそれぞれのコースを紹介してみよう。

200万円以上コースは会社しがみつき型、転職型、起業型、海外出稼ぎ型の4パターン。7月2日に紹介した『なぜか仕事のできる人の習慣』のあらすじで、、大前研一の発言を紹介したが、200万円以上コースを目指すのであれば、自分に『名札と値札』をつけていることが絶対に必要となる

つまり自分はこういう仕事をやり、こういうことができる。従ってこれだけの市場価値があると言えることが転職型でも会社しがみつき型でも必要なのだ。

200万円以下コースは嘱託型、落ち穂拾い型、資格型、農業を含む新規挑戦型、生活コストダウン型、海外移住型がある。会社しがみつき型と似ているが、嘱託型はどちらかというと週に数日会社に顔出す程度。落ち穂拾いは会社がやめた商権などを自分で引き継ぐパターン。

税理士など資格を取っても独立してクライアントを得ることは難しく、また農業なども収入という意味ではしれている。

悠々自適コースは趣味、勉強、社会貢献など。どの程度時間を使うかは個人差はあろうが、他のコースの人でも自由時間の過ごし方は今後の楽しみに考えておく必要があるだろう。

最後のエリート対応コースは第1の会社人生で、経営トップ陣まで上り詰めた人たちのコース。

いまやトップまで上り詰めても、明日は権威失墜する可能性もある。今回退任したソニーの出井さんと、退職金を寄付して軽井沢に大賀ホールを建設する大賀さんの対比を考えれば社長受難の時代というのが納得できる。

このエリート対応コースは経営コンサルタント型、大学教員型、自分史制作型がある。

年収200万円=月収10〜20万円と割り切れば、どんな仕事でもやれるし、好きな仕事でもできるだろう。

人生80歳時代となった現在、あと20年をいかに有益に過ごすのかは本当に重要だ。なかには会社の経営者となり、まだまだ現役で頑張る人もいるだろうが、そんな人も数年の差がつくだけで、いずれにせよ全員が定年後の人生を考える必要がある。

この本は入門書であり、大まかにコースを分け、それぞれを概観しただけである。まだまだエネルギッシュなシニア世代には、今後の自分の人生設計を考える上でおすすめできる本である。

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Posted by yaori at 21:00│Comments(0)TrackBack(0) 人生設計 | 村上龍

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