2005年07月19日

問題な日本語 国語学者の本にしては気軽に読めるベストセラー


問題な日本語―どこがおかしい?何がおかしい?
筆者のオフィスの隣に辞書で有名な大修館書店がある。書店といっても出版社なので、単にオフィスがあるだけなのだが、車に積み込みやすいように段ボールに入れた本が山積みになっているのが普通のオフィスとは違うところだ。

筆者のオフィスはこの週末は海の日で3連休だったが、大修館書店では金曜日も休みで、4連休にしていた。学生向けなどの辞書が強みの出版社なので、勤務時間も余裕がある様だ。

筆者もフランス語の辞書とか大修館書店の辞書を何冊か持っているが、同社は国語辞書では『明鏡国語辞典』を出している。その辞書の大修館書店が出した30万部を越えるベストセラーが本書だ。


そのバイト語はやめなさい―プロが教える社会人の正しい話し方

最近正しい日本語がちょっとしたブームで、上記の様な本もでているが、この本は明鏡国語辞典の執筆者が最近の日本語の使い方について、学問的な面から、時には用法の正誤までも説明しているちょっと変わった現在日本語論だ。

日本語学者が解説しているからといって、単にカタイだけの内容ではなく、たとえば『全然いい』というように、若者が『全然』を肯定的表現につかっているからといって、それがすぐに間違いだと決めつけるのは問題だという。

どのように使っているのか、その使用状況をきちんと観察してから、その正誤・適否を判断したいと。筆者も職場のスタッフに『全然』の次は否定だと行ったことがあるが、この本を読んで反省している。

たとえば『大丈夫?』と聞かれ、『全然平気』と答えるようなケースもある。

それにしても言葉はどんどん変化するので、間違いでもそれがどんどん広まると、『慣用』、『俗用』ということで、間違いではなくなる。

筆者も間違って覚えていたものがいくつかある。病膏肓(やまいこうこう)に入る。膏肓(こうもう)だと思っていたが、これは慣用あるいは俗用だと。

仮名遣いも『本則』と慣用的に用いられる『許容』というのがある。『さかずき』は本則で、『さかづき』が許容である。

『コーヒーのほうをお持ちしました』というように、コーヒーしか注文してない場合に使うのは不適切ではあるが、『…のほうを』という言い方は、礼儀としての慎み深さを重んじたきわめて日本語的な言い方といえると。しかし必要以上のぼかし表現は逃げの姿勢が出るので要注意なりと。

クイズ感覚のものもある。たとえば斉藤の『』と『』は別字であると。『斎』は書斎、斎場の『サイ』、『斉』は国歌斉唱の『セイ』であると。それぞれの旧字も『齊』と『齋』と異なる。

雰囲気(ふんいき)を『ふいんき』と読む人が増えているそうだが、間違った読みでも、そのうち定着しそうな勢いであると。

わたし的にはOKです』というような言い方も広がっているが、手軽さが受けている様だが、聞き手には正しく伝わらないおそれがあるので、安易な使い方はさけるべきであると。

なにげに』は『なにげなしに』または『なんか寂しいね』の『なんか』の二つの意味がありえ、現在は誤用とされる表現ですがこれも慣用として広がる可能性がある。

『きもい、きしょい、うざい』については、短縮化された若者語には、禁忌(きんき)を犯す楽しみを味わうという心理と、冗談めかして楽に言えるという心理があるように思えると、解説している。

米国でよく使われる文法的に間違った用法に"sure!"がある。文法的に正しいのは"surely!"だろうが、もはや米国では"sure"が定着している。

日本語でも誤用が慣用となり、いずれ正しくなる言い方も出てくるはずであり、『うざい』は『うざったい』から変化した言葉だが、語感もぴったりで定着する可能性は一番あると思う。

国語学者の本にしては気軽に読める。ベストセラーとなるだけのことはある。

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Posted by yaori at 22:34│Comments(0)TrackBack(1) 趣味・生活に役立つ情報 

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問題な日本語【かぜのむくまま。】at 2005年08月01日 05:16