2005年08月09日

やっぱり変だよ 日本の営業 トップセールスになりたい人は読んではいけない組織的営業力強化の本


やっぱり変だよ日本の営業―競争力回復への提案

ソフトブレーン社長の宋文州さんのベストセラー。

はじめにガツーンとやられる:

「営業とはセールスではありません。企業の営業とは、営業マンの営業とは全く異なります。企業の営業とは売ることではなく、事業を営むことです。」

「我々はもっと売らないことの重要性を認識すべきです。
我々はもっと撤退することの重要性を認識すべきです。
我々はもっと売上から利益にシフトすべきです。」

「我々が常識と思ってきた営業の非常識を解剖してみせます。」

この考えはABC分析(Activity Based Costing)などにも共通する考えであるが、マンネリ化した営業のやりかたを見直す気づきを与えてくれる好著である。


宋さんは、中国から北海道大学大学院への国費留学生だったが、天安門事件が発生して、中国に戻るのをやめ日本で就職した。


大地の子
宋さんの家族は文化大革命で追放され、辺境の地を転々とし、兄・姉は物乞いまでしたという過去を持つ。『大地の子』を思い出させるストーリーの現実版である。

辺境では漢民族からは迫害されても、異民族からはいじめられなかったという経験から、日本でも全く不安や不満を感じなかったのだと。

最初に就職した会社は入社2ヶ月後に倒産したので、大学院で研究用に開発した災害被害シミュレーション・ソフトをパッケージにして13億円も売った。

この資金を元にソフトブレーン社を設立してSFA(セールス・フォース・オートメーション)、CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネージメント)のソフトウェア販売を始めた。

日本の製品は安くて高品質だから売れたのであって、営業力があったから売れたのではないと。

日本の営業の変な点として指摘されているタイトルをまとめると:

*同じ会社の営業マンが入れ替わり立ち替わり脈絡なく来る
*失礼な『無料』営業マン
*「パパ今日は早く帰ってきてね」
*営業が営業していない
*『人参教』信者の思いこみ(インセンティブが効かない)
*トップセールスマンの美談(トップセールスマンのハウツー本を読んで成功する人は少ない
*ウチはとっくに営業情報を共有しているよ
*なぜ撤退しないのか(チーズはどこへ行った?)
*なぜ携帯電話に気づかないのか(世界一の情報端末普及度)
*営業拠点はなぜあるのか
*営業会議はなぜあるのか
*担当者がなぜいるのか
*なぜ8人で訪問するのか
*日報はなぜ必要なのか
*営業課長はなぜ必要なのか
*営業マンはなぜ必要なのか
*顧客は神様ではない
*営業は足で稼げない(データが勝負だ)
*鳥瞰図のない経営
*営業マンは25歳までに転職する人材
*派遣社員のほうが売れる
*営業常識は非常識
*インセンティブ論の誤解
*人間力論は正論だが、常識にしてはいけない
*センス論 (どうやってセンスの有無を見抜くのだ?)

これの様な日本の営業の実態に対して宋さんは、自社のeセールスマネージャーというSFAのシステムをすすめる。これにより:

*日報をなくし、文字入力をなくしたアンケート方式で入力させる
*営業の最適化 マーケティングの考え方と分業を導入
*見える営業 勝ちパターン、負けパターンによるナレッジマネージメント
*神様に近づく方法(リアルタイムで仮説を修正することを繰り返す)

プロのアメフット選手の話は参考になった。プロもアマも一日の練習時間は変わらない。違うのはプロは常にアメフットについて考えていることにある。

プロはアメフットのグラウンドを1ヤード四方の升目に切って考えている。だからクオーターバックはレシーバーに、たとえば「縦41ヤード、横12ヤードの地点に七秒後に行け」と指示を出す。早くても遅くてもダメなのだ。

たしかにITとデータ分析の考えを取り入れることによって、日本の営業効率は飛躍的に向上する可能性があると思う。

日本で最も普及しているサイボウズでも一部SFAの機能はあるが、あまり使い込まれていない。

取引先社員の個人情報保護という点でも一考を要するので、このツールを導入するかどうかは別として、組織的な営業力を強化するうえで参考になる考え方である。

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Posted by yaori at 00:00│Comments(0)TrackBack(0) ビジネス | 成功哲学

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