2009年01月09日

楽天の研究 これぞホントの楽天研究(山田善久さんの消息)

2009年1月9日追記:

12月に山田さんの経営するネインを訪問したときに名刺にメッセージを書いて残していったら、山田さんより次のメールを頂いた。


元楽天の山田善久と申します。

ブログで私のことを取り上げて頂いたり、また先日はお店にもお越し頂いたそうで、ありがとうございます。

ブログにも書いておられる通り、昨年の12月14日にフジテレビの「新報道2001」という番組で私がドーナツショップを始めたことが13〜14分ほど取り上げられ、それ以降、お店のお客様もかなり増えています。また、AERAにも同様の記事が掲載されました。

このように周囲からは不思議なことを始めたと見られていますが、自分としてはさほど違和感もなく、結構楽しく仕事をしています。

またお近くにお越しの際にはお店にお立ち寄り頂ければ幸いです。

今後ともよろしくお願い致します。簡単ながら、お礼まで。

山田



ネインは年中無休なので大変だと思うが、大人気のドーナッツショップになっているので、山田さんには体に気をつけて是非頑張って欲しい。

ケーキ一個が400円前後もする時代なので、スペシャルティドーナッツの200−300円のほうがいろいろなバラエティもあって楽しめると思う。筆者も今度は事前に電話で予約して、持ち帰りで家族用にネインのドーナッツを買おうと思う。

首都圏に住んでおられる方は、地下鉄の赤坂駅の4番出口からすぐのネインのドーナッツをためされることを是非おすすめする。



2008年12月25日追記:

12月14日(日)にこのブログへのアクセスが急増した。朝8時に一挙に1時間400人以上がアクセスし、「山田善久」で検索して訪問する人がその日は1、000人以上にも達した。

実はGoogleで「山田善久」で検索すると、このブログがトップに表示されるのだ。

たぶん日曜日朝8時のテレビで紹介されたのだろうと思っていたが、このブログでも紹介している山田さんのドーナッツショップ ネインに一度行って見なければならないと感じていた。

本日赤坂の取引先に行く機会があったので、朝ネインに行って、ドーナッツを食べてみた。山田さんはおられなかったが、毎日朝一と昼には店にいるとのこと。

12月14日(日)08:00のフジテレビの新報道2001で元楽天の山田さんがドーナッツショップを開いたことが報道されたため、お客さんも問い合わせも急増しているとのことだった。

これがお店の外見だ。中にイートインのテーブルといすもある。

neynmaccha and montblanc

左が抹茶あん、右がモンブラン。抹茶あんはドーナッツの中にあずきあんが入っている。

mont blancberry

左がモンブラン。筆者はこれが一番気に入った。上には栗ペーストとくるみなどが載っており、大変おいしい。右がベリーノエルだ。各種ベリーとカシスも加えているという。

ネインのホームページに載っていたマンゴーのドーナッツを食べたかったが、これは期間限定で現在はフィッグに変わっているとのこと。

ドーナッツもおいしいが、コーヒーが大変気に入った。朝食を抜いていったので、ドーナッツを3個食べてコーヒーも2杯飲んでしまった。ドーナッツ3個とコーヒーで1,000円ちょっとだった。毎日食べるわけにはいかないが、たまには良いと思う。

朝から注文が殺到しており、販売量は一人12個までと制限しているそうだ。

地下鉄赤坂駅の4番出口からすぐ。是非ネインのドーナッツをためすことをおすすめする。


2008年9月16日追記:

たにたけしさんから次のコメントを頂いた。

2008/09/15 22:36 投稿者:たにたけし
こんにちは、初めて拝見させていただきました。
山田さんの新しい事業はこちらです。
9月からスタートされたので検索件数が増えたのではないかと思います。

http://www.neyn.com/

美味しいですよ。


前楽天の山田善久さんが赤坂でスペシャルティドーナッツショップNeyn(ネイン)を経営されていたとは知らなかった。

楽天の中村晃一さんのブログにも紹介されている。

ドーナッツショップとは三木谷さんの楽天創業時のエピソードを思い出させる。

三木谷さんと創業メンバーの本城さんはECモールの他、スペシャルティベーカリー(アメリカで有名なAu Bon Pain?)、地ビールチェーンなどのビジネスを検討したという。

東京ではKrispy Kremeドーナッツが買うのに約1時間待ちと異常な人気だが、英国ではスーパーのTESCOでも売っている普通のドーナッツだ。アメリカがオリジンだが、アメリカでも特に人気だったわけではない。

その意味では山田さん達の目の付け所は良いと思う。

ドーナッツはダンキンとミスタードーナッツの2つのチェーンがダントツで、その他は追従できていないので、Krispy Kremeなどが人気が出ているが、ネインの様なさらに高級なスペシェルティドーナッツの可能性もあるかもしれない。

ネインのサイトはユニークな作りのサイトだ。ドーナッツショップとしては、一個250−300円と高いが、ドーナッツも大変凝っている。

Neyn





たしかにおいしそうだ。

山田さんの消息がわかってよかった。ドーナッツもおいしそうなので、是非近々ネインも行ってみようと思う。

たにたけしさん有り難うございました。


2008年9月15日追記:

「山田善久」で検索して当ブログを訪問する人が急増して、毎日百人以上にのぼっている。Googleで「山田善久」で検索すると、当ブログがトップ表示されるからだ。

楽天の三木谷さんのいわば右腕であった山田善久前楽天トラベル社長が、今どこにおられるのか知らないが、急に1日百人以上の訪問者があるということは、何か次の活動を始めているのかもしれない。

筆者も一度まだ楽天が中目黒にいたころに山田さんにお会いしたことがある。たしか三木谷さんの興銀の1年先輩で、ハーバードのMBA仲間だったはずだ。当時は楽天のNo.2というポジションだった。

紳士的で物静かな人という印象を受けたが、あるいは第一印象が間違っているのかもしれない。

現在どこにおられるのかわからないが、まだ若いので、新しい事業を仕込んでいるところなのだろう。

その山田さんも含めて、六本木ヒルズにいた頃の楽天の様子がよくわかるので、「楽天の研究」を再掲する。


2005年8月20日初掲:

楽天の研究―なぜ彼らは勝ち続けるのか楽天の研究―なぜ彼らは勝ち続けるのか
著者:山口 敦雄
販売元:毎日新聞社
発売日:2004-12
おすすめ度:4.0
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今回のあらすじは長いです。要点は次の通りです:

1.楽天は三木谷さんのワンマン会社ではなく、それぞれ専門を持つメンバーの集合として見るべきである
2.楽天は単なるIT企業ではなく、日本でトップクラスのM&Aのプロ集団
3.楽天の営業はドブ板から始まった。今は問い合わせ中心だが、2分以内に電話が来るのが特徴
4.楽天のシステムは自前主義で、案件毎にプロデューサーが企画、システム開発から運営まで担当する
5.M&Aを成功確率を上げる手段として使い、利益1,000億円、会員6,000万人を目指す

“教祖”降臨―楽天・三木谷浩史の真実“教祖”降臨―楽天・三木谷浩史の真実
著者:児玉 博
販売元:日経BP社
発売日:2005-07
おすすめ度:3.5
クチコミを見る


この前の教祖降臨が三木谷さんの経歴中心だったので、もっと楽天のビジネスの研究をするために2004年12月発刊のこの本を読んだ。

この本は毎日新聞の『週刊エコノミスト』の記者が書いているが、次の楽天観に基づき主要メンバーへきっちり取材し、それぞれのメンバーのストーリーを通じて楽天の強さがよくわかる構成となっている。

1.楽天を、三木谷氏のワンマン企業とみるのではなく、それぞれ専門分野を持つ複数の人たちの集団として見ること。

2.現在の楽天を、単なるIT企業というよりM&A(企業買収)のプロ集団と見ること。

いくら三木谷さんが傑出した経営者とはいえ、あれだけの会社を一人で経営できるはずはない。経営システムの強さが楽天の強みである。

この本で取り上げられている主要メンバーは次の通り。

楽天の創業メンバー6名。三木谷さんの他、三木谷夫人(下山晴子氏、創業時は経理・広報担当)、本城慎之介氏(システム開発担当)、増田和悦氏(システム開発担当)、杉原章郎氏(営業担当)、小林正忠氏(営業担当)。

三木谷夫人は興銀時代に三木谷氏と社内結婚、楽天創業前はリーマンブラザース証券に転職していた。

本城氏、杉原氏、小林氏は慶応湘南出身で、楽天には20代で参加。増田氏は技術畑で三木谷氏と同年齢。

M&Aプロ集団として後からのメンバー3名。興銀時代の1年先輩山田善久氏、興銀での同期高山健氏、社外取締役としてM&A弁護士の草野耕一氏。

さらにDLJディレクト証券から國重惇史氏。東大法学部卒ながらリクルートでISIZEを立ち上げ、システム開発プログラマーとして楽天に入社し頭角を現した吉田敬氏。

この本では取り上げられていないが、ポータル・メディアカンパニー担当取締役の森学氏。社外取締役はUSENの宇野社長、CCCの増田社長、エイベックスの依田氏という豪華な顔ぶれである。

楽天の朝会

この本のストーリーは楽天グループの月曜8時の朝会から始まる。2004年11月8日の朝会で三木谷社長は全部署で対前年比100%の成長目標と、各事業部の格付けを行うこと、野球参入を発表。

その後各事業部の責任者が入れ替わり立ち替わり事業報告を行う。これは最大90秒と決められており、時間が過ぎると「チン」とベルが鳴り、時間の無駄が全くない。
楽天らしい朝会だ。

成功のコンセプト

それにもまして楽天らしいのが、オフィスの至る所に貼られている成功のコンセプト5箇条だ。

世界1のインターネット・サービス企業

1.常に改善、常に前進
人間には2つのタイプしかいない。
「GET THINGS DONE」様々な手段をこらして何が何でも物事を達成する人間
「BEST EFFORT BASIS」現状に満足し、ここまでやったからと自分自身に言い訳する人間。
一人一人が物事を達成する強い意志を持つことが重要。

2.Professionalismの徹底
楽天はプロ意識を持ったビジネス集団である。勝つために人の100倍考え、自己管理の元に成長していこうとする姿勢が必要。

3.仮説→実行→検証→仕組化
仕事を進める上では具体的なアクション・プランを立てることが大切。

4.顧客満足の最大化
楽天はあくまで「サービス会社」である。傲慢にならず、常に誇りをもって「顧客満足度を高める」ことを念頭に置く。

5.スピード!!スピード!!スピード!!
重要なのは他社が1年かかることを1ヶ月でやり遂げるスピード。勝負はこの2〜3年で分かれる。

三木谷さんは2000年の毎日新聞のインタビューに答えて、「ビジネスで失敗したことがない」と答えたそうだが、よくわかる。変な話で、結果論のようだが、実は強運はビジネスマンの成功の最大の要因だと思う。

楽天のジャスダック上場はITバブル崩壊直前の2000年4月。サイバーエージェントは3月、ライブドアは同じ4月の上場だ。株価は急上昇して時価総額6000億円となったあと急落し年末までに10分の1となる。

上場して得た500億円という資金を使ってM&Aを展開し、Infoseek、ライコス、旅の窓口やDLJディレクト証券を買収してワンオブゼムから抜き出し、時価総額も1兆円を越えた。

楽天のシステム:本城慎之介氏の証言

創業メンバーの本城慎之介氏は、慶応湘南の大学院の時に三木谷氏と出会い、行動を一緒にする。

小説 日本興業銀行〈第1部〉 (講談社文庫)小説 日本興業銀行〈第1部〉 (講談社文庫)
著者:高杉 良
販売元:講談社
発売日:1990-10
おすすめ度:4.0
クチコミを見る


高杉良の『小説 日本興業銀行』を読んで「興銀に入って、日本の産業を元気にしたい」と思っていたところ、三木谷氏に会って「もう興銀とか、銀行、商社が日本をつくる時代は終わった。むしろ個人や中小企業が既成事実をつくることで日本を変えていくのだ」と説得され、コンサルをしていた三木谷氏のクリムゾングループに入社する。

クリムゾンは深紅であり、ハーバードのスクールカラーである。

逆転の発想

しかし4名いた従業員は独立し、三木谷氏と本城氏の2名となってしまう。コンサル業は2名では続けられないので、事業を起こすことを決め、次の3つの事業プランを検討する:

1.地ビールレストランのフランチャイズ展開
2.天然酵母のパン屋の全国展開
3.インターネットモール

当時はIBMがモール事業から撤退したところで、日本では大日本印刷とか、凸版印刷とかがやっていたが、インターネットモールは儲からないと思われていた。

しかし、みんな失敗しているからこそ、参入する余地があり、失敗の原因を分析しさえすれば、勝てると逆転の発想で進出を決意した。

1997年2月にMDM(Magical Digital Market)設立、1997年5月より開業。

失敗の原因は、みんな片手間でやっていることと、簡単にネット上でショップを開設できるシステムがないことだった。楽天はモール事業専業で、システムは自分たちでつくった。

楽天マーチャントサーバー

そのシステムをつくったのが、本城氏だ。

システムを開発しなければならないとなったときに、慶応の大学院生にシステム開発をやらせたが、ダメだった。そこで三木谷氏から「この本を読んでお前がつくれ」と言われ、『初めてのSQL』という本を読んで、1週間だけシステムの家庭教師をつけてもらい、あとは自分だけでシステム開発を始めた。

むちゃくちゃな話だが、結局完成し、ものを売る人が、ホームページ作りから受注発注まで、一人ですべてできるシステムがはじめてできた。専門家でない本城氏がつくったから、普通のユーザーが使いやすいシステムができたのだ。

ここにエキスパートとして加わったのが、理系参考書出版社にいた増田和悦氏だ。

本城氏と増田氏がシステム担当だったが、三木谷氏もふくめ創業メンバーのほとんどはUNIXサーバーが使えて、HTMLを書けた。だからシステムに関して全員で知恵を出し合えた。これが強みだったと。

本城氏は楽天の副社長になったあと、三木谷氏にならって30歳になった時に楽天をやめ、いまは教育関係の事業を始めるかたわら(公募で横浜の港北ニュータウンにある山田中学校の校長になった)、楽天の社外取締役となっている。

なぜ教育かというと、日本をもっと元気にしたいからだと。

本城氏の目から見て楽天の今後の課題は、マネジメント層をもっと育てていくことだ。

万が一なんらかの事故で三木谷氏が執務できなくなったときも、楽天として変わりなく、経営をしていけるようにしなければならない。カリスマ的で、非常に優秀な社長なので、どうしても頼ってしまう面があるが、これからはそれをしてはならないと。

楽天の営業:小林正忠氏、杉原章郎氏

システムと並んで創業時のもう一つの関門の営業はドブ板営業でこなした。そのときに活躍したのが、三木谷氏と、本城氏の慶応の1年先輩の杉原氏と小林氏だ。破格の出店料の月5万円だが、6ヶ月前払いという条件で、キャッシュフローも確保するという優れた作戦だった。

小林正忠氏は慶応大学卒業後、大日本印刷に就職したが、同期の杉原章郎氏が起業したホームページ制作のアールシーエー(有)で三木谷氏を手伝っているうちに、杉原氏とともに営業として引っ張られる。

三木谷氏より「絶対に出資しろ」と言われて、資本金の2,000万円の一部を貯金をはたいて出資した6人のうちの2人だ。

最初は日経流通新聞の新製品の売れ筋欄を見てアポイント取りの電話をしていたが、その後、メインバンクの住友銀行の協力を得て、取引先を紹介してもらうようになって成果が上がるようになった。銀行の協力は絶大であったと。

そのうち問い合わせが増えたので、飛び込み営業はやめ、興味のある人に対応する営業に変え、資料請求のフォローアップをしている。

楽天では今でもツー・ミニッツ・コールをやっている。ウェブ経由で資料請求がくると、2分以内に電話をかけて営業するのだ。現在ではよく請求がくるから10秒以内では電話していると。

すぐに電話が掛かってくるから、お客は驚き、テンションが上がった状態で営業ができるのだと。ドブ板のマインドが生きている。

スピード!!スピード!!スピード!!

小林氏は三木谷氏を『ビッグトーカー』だという。夢や希望を絶妙な大きさで表現できる才能を持った人であると。三木谷氏の目標設定能力こそ、楽天の成功の秘訣であると。

たとえば楽天カードを始めたとき、カード会社の常識では万人単位の会員を集めるには何ヶ月もかかると言われたが、他社が1年でやることを楽天では数ヶ月でやる手法を考えろと社内キャンペーンをはり、わずか1〜2ヶ月で1万人以上を獲得した。

社内でよく使われている言葉に「いすの足をふく」、つまり徹底的にやるということと、「Make mistake early(早めに失敗せよ)」というのがある。机上で議論するくらいなら、まず行動して誰よりも早く失敗し、その結果から解決策を考えろという意味だそうだ。

杉原章郎氏は政治家志望だったが、ホームページ制作会社アールシーエーを起業、三木谷氏と知りあう。本城氏と増田氏がつくったRMS(楽天マーチャントサーバー)を見て驚き、楽天に入社を決意する。

もともと政治家志望だったので、ドブ板は性に合っていると。

現在杉原氏は楽天ブックス担当。楽天ブックスは日販と組んだ本の直販。自前で在庫を持たず、日販の在庫をフルに利用できるので、高価な専門書でもすぐ手にはいるのが特徴である。

日本の書籍販売サイトではAmazonがダントツの月間利用者数11百万人以上。二位グループのESブックスYahoo!Shopping、紀伊国屋、楽天ブックスいずれも2百万人前後で圧倒的な差がついていて、いまのところ差が縮まる見込みはない。

楽天のM&Aプロ集団:山田善久氏、草野耕一氏、高山健氏

次にM&Aプロ集団を見てみよう。楽天は2000年4月のジャスダック上場以来、M&Aを繰り返している。Infoseek, Lycos, 旅の窓口、DLJディレクト証券、あおぞらカード、国内信販、中国の旅行予約サイト シートリップなど、まさに怒濤のM&Aラッシュである。

これを可能にしているのが元々興銀のM&Aバンカーだった三木谷社長と、上場直前に楽天に参加した山田善久氏、高山健氏、社外取締役で弁護士の草野耕一氏である。

楽天のM&Aの考え方は「企業拡大の道具で、成功確率を上げるための手段」で、次の2つの基準で判断していると:
1.買うことにより楽天グループのサービスの質的向上につながるかどうか。
2.楽天市場の顧客データベースと統合して、相乗効果が見込めるかどうか。

買収した先は基本的に在庫を持たないマーケットプレース型が多い。トラベルや金融は情報のやりとりなので、ネットとの親和性はよく、米国のネット企業の成功例でも金融・トラベルは多い。

株式交換でもキャッシュでも経済原則から言えば同じだが、楽天の株は将来的に上がっていくので、株ではなくキャッシュの方が安いという考えであると。

M&A戦略の右腕山田善久常務は興銀/ハーバードの1年先輩で、興銀をやめゴールドマンサックスに転職、IPOやM&Aを担当した時に、楽天のビジネスの将来性をいかに投資家に伝えるかというプレゼンを三木谷社長に行い、楽天入りを勧められる。

投資銀行の立場からも楽天は将来必ず成功すると思い転職を決め、ディズニーからのInfoseek買収を手始めにライコス買収などを手がける。

上場準備していた旅の窓口を323億円で買収、さらに中国のシートリップネット、格安航空券のワールドトラベルにそれぞれ21%出資して着々と体制を整えている。現在山田氏は楽天トラベルの社長で、3〜4年後は楽天トラベルをJTBにとならぶ総合旅行会社にしたいと語る。

今三木谷氏がもっとも注目しているのは中国市場だそうで、山田善久氏によると「米国のナンバーワンを買うことは難しいが、中国のナンバーワンを120億円で買えるのは決して高い買い物ではない。」

もう一人の興銀出身者の高山健氏は、一橋大学、興銀の同期。テキサス大学でMBAを取得、三木谷氏と同じ企業投資情報部に配属される。三木谷氏より「株式公開を考えているが、財務を見てくれないか」と誘われ、一時期銀行と楽天の2足のわらじをはき、楽天を手伝う。

社外取締役の草野耕一氏は西村ときわ法律事務所パートナーである。M&A専門の弁護士であり、三菱自動車=クライスラー、ロシュ=中外製薬などの大型案件を手がける。

ハーバード・ロースクール留学から戻って、T・ブーン・ピケンズの小糸製作所買収をうち負かしたという輝かしい経歴の持ち主である。

楽天証券:國重惇史氏

國重惇史氏は楽天が買収したDLJディレクト証券の社長で、入札を経て楽天が買収後も楽天証券社長として残る。

株に興味のない人にいくら株を勧めてもダメという調査結果をもとに、株の好きな人に徹底的にアプローチした方が良いとして、個人投資家向けのリアルタイム株価自動更新機能のあるマーケットスピードのサービスを開始、信用取引も始めてアクティブトレーダーを取り込むことに成功した。

楽天証券の取締役会には三井住友銀行の西川頭取も社外取締役として参加している。

楽天証券はアニメファンド、REITなどのファンドマネージャー、IPOの主幹業務、M&A案件の紹介などリテールとホールセール両方ができるネット証券を目指し、将来楽天が経常利益1,000億円を達成する際には、金融事業だけで300億円を達成することを目標としている。

楽天プロデューサー集団のトップ:吉田敬氏

新設の楽天球団の初代社長を務めたのが、吉田敬常務だ。吉田氏はリクルートでイサイズの立ち上げに加わるが、リクルートのスピード感のなさに落ち込んでいた時期に、三木谷氏より2度目の誘いが来て、プログラマーとして楽天入社。

開発のエンジニアでありながら広告などのシステムをつくって、営業の仕方とか営業企画の建て方までシステム化して頭角を現し、営業本部長になった。

たとえばバナー広告の営業で大変なのは、売る段階よりも、売った後の入稿とか、請求とかである。当初は営業マンの負担であったものを、顧客にIDとパスワードを与え、セルフサービスで入稿、広告枠を買ったり、レポートを見たりできるようにした。

それまで500万円くらいの売上だったものが一挙に3,000万円となった。その結果セールスに関係ない人件費を削減し、コスト削減を行い、さらにアグレッシブな広告単価設定をしてそれまで10万円の広告枠を2万円にして裾野を広げた。

楽天にはシステム開発から、サービスの企画、運営までを担うプロデューサーという役職があり、吉田氏はプロデューサー集団のトップである。

楽天のウェブ作成、メルマガ配信システム、広告配信システム、楽天フリマ、楽天ブックス、楽天会員システム、楽天ゴーラ、楽天スーパーポイント、楽天アフィリエイトなど楽天トラベル、楽天証券以外のサービスはすべてプロデューサーにより作成・管理されている。

システムは基本的には全部自社開発。顧客に一番近いところに最終の開発者が居る方がコミュニケーションロスがなくなり素早く開発できる。作り出すより、作ったものをどう改善していくかに重点を置く。それが楽天のこだわりである。

吉田氏はヒューマンリソースを動かすのが得意である。

楽天では三木谷氏の発案で、毎月一回誕生会をやっている。コミュニケーションをどう取るかは非常に重要で、これが吉田氏の仕事である。単にお金だけ与えれば済むという問題では絶対にない。

目標はYahoo!を越えることである。

三木谷社長

最後に三木谷社長のインタービューである。時節柄野球の話題が多いが、「インターネットはすべてのビジネスにつながるので、展開しようと思えばいくらでもできる。」と語る。

「ポイントはむしろなにをやらないかを決めることだ。」アマゾンのような在庫リスクを抱えるビジネスはやらず、マーケットプレイスモデルだと。

世界でネットモールで成功しているのは楽天だけであり、ネットショッピング市場は4〜5年で今の10倍になるだろう。1回ものを買った人は習慣化し、年に5〜10回は買い物をする。

筆者の場合でも楽天市場では購入したことがなかったが、一旦買ってみるとたしかに習慣化した。

現在2,800万人いる楽天グループ会員を同じIDですべてのサービスを受けられる様にすることが目標で、サービス利用者にポイントを付与するしくみを拡大し、最終的には楽天グループ会員を日本の人口の半分の6,000万人まで伸ばしたいと語っている。

三木谷社長のリーダーシップもすごいが、勝つしくみつくりが絶妙。是非close watchして見習いたい強い会社である。


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Posted by yaori at 23:53│Comments(2)TrackBack(1) インターネット | 楽天

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『楽天(株) 成功のコンセプト』 1.常に改善、常に前進 2.Professionalismの徹底 3.仮説→実行→検証→仕組化 4.顧客満足の最大化 5.スピード!!スピード!!スピード!! これは英語の学習にも取り入れることができる。 まずは、自分で考える。 ...
optimism〜楽天主義〜【TOEIC990点を目指す。】at 2005年10月01日 08:26
この記事へのコメント
5
非常に面白い話です。勉強になりました。
Posted by グルメ at 2008年01月24日 04:09
こんにちは、初めて拝見させていただきました。
山田さんの新しい事業はこちらです。
9月からスタートされたので検索件数が増えたのではないかと思います。
http://www.neyn.com/

美味しいですよ。
Posted by たにたけし at 2008年09月15日 22:36