

メルマガビジネスについては、ベストセラーとなった藤井孝一さんの『情報起業』が有名で、この本は読んだ本しか買わないというポリシーの筆者が、昨年買った数少ない本のうちの1冊で大変参考になった。
それにも勝るとも劣らず参考になり、手取り足取りの親切な内容で、やる気を奮い立たせるのがこの石田さんの本だ。筆者が今年買った3冊目の本である。
この本は前半は石田氏のメルマガ成功物語。後半はメルマガ成功のいくつかのノウハウの紹介、最後の付録としてまぐまぐでのメルマガ発行の手引きがついている。
本のタイトルはいかにも売らんかなのキャッチーなものなので、内容が薄い本を実は予想していたのだが、非常に内容の濃い本である。
このあらすじを書くのに2度読み直したが、読み直すたびに石田さんの読者愛というのか、『魂を込めた』メッセージが感じられた。
さすが10万人の読者を持つお化けメルマガの発行者だけある。
石田さんの運営しているアカデミアジャパンで、メルマガやアフィリエイトで成功した人たちのノウハウがe-bookの形で販売されている。
石田さんの勧めるものならと、e-bookもセミナーなどのアフィリエイト販売も成功を収めるのもうなずける。
インターネットビジネスの『稼ぎの構造』
石田さんは『ナマケモノの戦略』あるいは『稼ぎの構造』と呼んでいるが、インターネットビジネスではしくみをつくれば自動的に儲かるビジネスができる。それこそ目指す姿なのだ。
必要なツールはパソコン1台のみ。
石田さんは『稼ぎの構造』と呼ぶが、川から水路をいくつも引く様にいろいろな収入源を設けるのだ。
石田さんは翻訳もやっていることから、昨年度の収入は翻訳1億円、e-bookの販売が3,000万円、アフィリエイト収入と広告が3,000万円、家庭教師の紹介、コンサルで4,000万円で、合計2億円だったと。
石田健さんの経歴
著者の石田さんは新潟の有力企業の3代めとして生まれ、早稲田大学を卒業後、アメリカにMBA留学する。しかし帰国すると家業の会社が傾いており、経営職どころかトラック運転手として働かされる。
アメリカ留学でインターネットに親しんでいたこともあり、翻訳と家庭教師紹介のサイトを立ち上げ、独立する前までに毎月20万円から50万円くらいの収入を得る。
2000年に独立したが、その時父親の借金1億円が発覚、石田家は財産をすべて失うことになる。
そんな崖っぷちで考え出したのが、英語新聞を読もうという『毎日1分!英字新聞』というメルマガだ。2000年9月にまぐまぐで発刊した。当時はまぐまぐがすごい勢いで伸びており、まぐまぐの新作ランキングで1位になったことから、配信数は加速度的に増えていった。
メルマガ発刊1年で部数は1万部を超えたが、収入はなかった。そんな時に出てきたのがアフィリエイトだ。英会話教材をメルマガで紹介し、『不労所得』を得た。すばらしい4文字であると。
メルマガの配信部数を伸ばすには次の3通りしかない:
(1)質の良いコンテンツを配信し、口コミで増やす
(2)他のメルマガと相互紹介する
(3)広告料を払って他のメルマガ、媒体で宣伝して貰う
石田氏は試行錯誤の結果、コンテンツで差別化する決心をする。必ず編集後記を書き、相互紹介は1通につき1件だけと決める。
メルマガの配信数増加にともないヘッダー広告等の収入も増え、10万部となった今は広告が60万円、アフィリエイト収入が40万円と合計100万円/月を越える。
金持ちメルマガ、貧乏メルマガ
この本では副業で年収7倍。私が31歳でセミリタイアした方法の畑岡宏光さん、ネットで収入と自由な時間を手に入れる方法田渕隆茂さんとの対談を載せている。
メルマガには貧乏メルマガと金持ちメルマガがあると。配信部数だけの勝負ではない。配信部数が少なくても、魂のこもったメルマガは顧客動員力が違う。その良い例がこのふたりのメルマガ成功者であると。
このふたりのメルマガ成功者も紹介も貰った原稿でなく、すべて自分で書く。だから人が動くのである。単に貰った原稿を載せ、お仕着せ広告ばかりのメルマガは読者の心をつかむことはできない。著者の心が人を動かすのだ。
PCのスクリーンの向こうには数万人の生きたお客様がいて、その人達のオーラ、視線を意識して仕事しなければならないのだ。
メルマガビジネスのススメというより鼓舞(こぶ)
至れり尽くせりの内容で、自分でもメルマガを書いてみようかという気になる。また石田さんのノウハウの集大成という『ザクザク稼ぐメールマガジン』のe-bookは当初1万円で売り出し、今は約3万円するが、興味をそそられる。
「心の中にある成功への扉を開けるか、開けないか。たったそれだけの違いだ」と。
成功するには魂のコアな部分を伝えるメルマガを作ることだと。誰でも心の中は絶えず『振動』しているのだと。金持ちメルマガは自分の中の振動を読者に伝えるのだと。
「理想とする自分を演じろ」と。
筆者の場合さしずめ「本好きのただのオッサン」ではなく、「新進気鋭のビジネスブック・レビューアー」となるのだと。
成功するには強い思いが必要だ。生半可な決心では起業はできない。しかしこの本を読むと、なにはともあれ一度メルマガをやってみようかという気になる。
「後は行動あるのみだ」と。そそられる本である。