2005年12月13日

新第三世代ネットビジネス 電子商取引法の権威 蒲俊郎氏の新著 ネット業界の教科書として最適!

新第三世代ネットビジネス―新たな潮流に対応できる法務・マーケティング


桐蔭横浜大学法科大学院教授で、日本で初めて電子商取引法講座を開設した蒲俊郎氏と、インターネットやポイントCRMのコンサルタント林一浩氏、ICカードやポイントカードの専門家昌栄印刷の信濃義朗氏の3人の共著である。

このトリオで前著『第三世代ネットビジネス』を2003年6月に発刊している。

第三世代ネットビジネス―成功する法務・技術・マーケティング


前著は大学の教科書用に1/4程度が各種法律の引用資料編だったのに対し、新著は同じタイトルに『新』をつけただけながら、内容は全く異なる。

資料編無しで380ページもの大作である。じっくり読むと延べ10時間くらい掛かったが、内容が濃く実戦的手法が満載で驚く。

いくつかの例を挙げると:

マーケティング 顧客のシーンを考える

マーケティング解説では、顧客に選ばれる企業こそが勝ち残る企業だという考え方から、選ばれるために次の切り口から顧客のシーンを分析している。

タイトルを見れば内容が想像できると思うが、非常に実用的な解説である。

1.Webを見つけるシーン
  (1)ドメイン名はどんな名前にすればよいのか
  (2)検索サービスを有効に使う
  (3)広告
  (4)SEO(サーチエンジンオプティマイゼーション)
  (5)アフィリエイト
  (6)検索エンジンとPPC(Pay Per Click)広告
  
PPC広告の説明の中ではGoogleのAdWordsのクリック上限単価とクリック率の相関関係による課金額の決定方式がコラムとして紹介されており参考になる。

2.Webを見続けるシーン  
  (1)利用者にあわせたページつくり
  (2)アクセシビリティ(受け入れやすさ)という考え方

利用者を引きつけるウェブサイトのナビゲーション、構造、デザイン、文章の作り方などの基本が説明されており役に立つ。

3.利用後のサービス(会員化/メール/ポイント)
  (1)会員組織を作るということ
  (2)会員登録は個人情報を提供するに値するサービスとなっているか
  (3)ネットにおけるポイントの意義
  (4)ポイントの種類と動向

2005年のインターネット白書によると、最も投資効果の高いアクセス誘導対策は次の通りである:

  会員登録して貰った人へのメルマガの配信   23.8%
  SEO(検索エンジン上位に表示される技術)   20.8%
  キーワード広告への出稿              17.9%
  懸賞・プレゼント企画への参加            7.7%
  オークションへの出品                 7.1%
  アフィリエイトプログラムの導入            6.5%

会員組織をつくり、個人情報データベースを構築する最も効率的な手段がポイントである。

4.口コミとネットビジネス
  (1)口コミマーケティングの科学
  
イノベーター(新しもの好き)、メイブン(イディシュ語で博識な人のこと)、コネクター(顔の広い人)というカテゴリーが紹介されており興味深い。

  (2)会員組織とネットビジネスの関係
  (3)お友達紹介の構造  

5.クレーム対応とネットビジネス
  (1)利用者の声は誰のため
  (2)FAQとフィードバックのツール

カスタマーサポートツールASPお任せ業務メーラーというサービスが紹介されており参考になる。

ネット関連の新しい技術動向として、ブログ、携帯電話、QRコード、QUICPay、おサイフケータイ、電子マネー、ICカードなど専門家の見地からわかりやすく説明してあるのも参考になる。


ネットビジネスにおける法務

第2章のマーケティング編も参考になるが、なんといっても本書の肝は、電子商取引法を得意とする蒲俊郎弁護士みずからが、実例に基づき詳しく説明する第3章である。

前著『第三世代ネットビジネス』ではネットビジネスに関係する諸法規を網羅的に解説していたが、本書では次のテーマをそれぞれ掘り下げて説明しており、大変参考になる。

1.ネットビジネスとコンプライアンス経営
雪印食品の不祥事などが相次ぎ、企業の社会的責任とコンプライアンス(法令・倫理遵守)がいっそう重要になってきている。

内部告発者保護の公益通報者保護法が2006年4月より施行され、もはや隠蔽することが大きなリスクとなったことも、企業のコンプライアンス重視にいっそう拍車をかける事になるだろう。

2.ネットビジネスにおける規約の役割と重要性
会員制を取っている多くのネット企業が会員規約をサイト上に掲載しているが、蒲教授がサンプル規約をベースに詳しく解説をしている。

インターネット業界に働く人でも、実際に自社の会員規約を読んだことがない人が多いのではないかと思うが、この本を読めばまるで蒲教授を家庭教師にした様な親切な解説で、会員規約の考え方やリスクが理解できる。

未成年者を会員とする場合、契約の成立時期、個人情報の利用、免責事項、クッキー使用の注意書きなど、すぐに役立つ解説である。

丸紅ダイレクトが19万円のパソコンを1万9千円と価格を誤表示した事件などの具体例も解説しており、わかりやすい。ちなみに丸紅ダイレクトのケースは、注文を受けると自動的に注文確認メールが発信されるシステムであったことから、丸紅は表示価格通りで販売するという苦渋の選択をした様だ。

しかし、2ちゃんねるで『祭(まつり)』になり、注文が殺到したことを考えると、発注者も誤表示であることを認識してた訳でもあり、悪しき前例を残さないためにも『誤表示であって契約は無効である』と主張して対処する方が適切であったと解説している。

3.ネット広告における法規制
景表法(不当景品類及び不当表示防止法)による表示の規制、ネット上の懸賞についての制限、ポイントが当たる懸賞広告、特定商取引法(通信販売への規制)による誇大広告等の禁止、迷惑メール規制(特定電子メール法)と電子メール広告の平均単価下落、広告倫理綱領、広告掲載ガイドラインなど、実用的な説明が満載である。

4.ネット上の誹謗中傷
掲示板で誹謗中傷されたという事件が、古くはニフティ、最近では2ちゃんねるを相手にしていくつかの訴訟が提起されている。この関係で2002年に施行されたプロバイダ責任制限法を説明している。

結論的には、よほど極端な例を除いて、開示請求に応じない方がリスクが少ないと。

プロバイダ責任制限法は発信者からの意見聴取義務を定めているので、本書では発信者への通知のサンプルまで掲載されている。至れり尽くせりである。

サイト運営者が掲示板等で誹謗中傷されるケースでは、無視して放置しておくのが最善の策であることが実は多いと。

追従者を出さないように徹底的に叩くという選択肢もありうるが、いずれにせよ基本スタンスがぶれないことが重要である。

ちなみに日本では名誉毀損の損害賠償額は低額なので、勝訴しても弁護士費用もまかえない程度であることが現実である。

5.現時点でのビジネスモデル特許の意義
もはやビジネスモデル特許は神通力が薄れているので、あまり気にする必要はないと思われる。

6.ネットビジネスにおける個人情報保護法
各省庁のガイドライン一覧、過去の個人情報漏洩事件、訴訟リスクと慰謝料相場、個人情報保護法の概説、サンプル規約、事故対策がわかりやすく解説されている。

NPO日本ネットワークセキュリティ協会2004年度情報セキュリティインシデントに関する調査報告を公開しているが、個人情報漏洩の原因別件数による集計結果は次の通りである:

(1) 盗難(36.1%)
(2) 紛失・置き忘れ(21.6%)
(3) 誤操作(10.7%)
(4) 管理ミス(9.8%)
(5) 内部犯罪・内部不正行為(7.9%)
(6) 不正な情報持ち出し(2.7%)
(7) 目的外使用(2.7%)
(8) 不正アクセス(1.9%)
(9) 設定ミス(1.6%)
(10) バグ・セキュリティホール(1.4%)

個人情報漏洩事故の多くは企業内の人為ミスと犯罪によるものであり、技術的対策不足に基づく事故は少数にすぎない。従い社内体制整備を確立することによって個人情報漏洩事故の大半は防止できるのだ。

漏洩経路もネット経由でなく、紙やディスク等の媒体経由であることが多い。さらに大規模被害を引き起こした事故の多くは、内部者が関与するケースである。

その意味でも社内体制整備が最重要だが、社員を監視し、疑うのではなく、ちゃんとやっていることを社外にもアピールし、それによって会社を守り、ビジネスチャンスをつかむという積極的な発想が重要であると結論づけている。

最後のコラムはカカクコムの不正アクセスとメアド流出事件を取り上げている。非常に実用的で、すぐに実際の業務に使える。まさにネット業界の教科書である。


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Posted by yaori at 12:52│Comments(1)TrackBack(0) インターネット | 蒲俊郎

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Posted by トプログ at 2005年12月23日 16:45