2006年01月09日

起業バカ2 今度はidiot entrepreneur 前作より数段パワーアップ

2006年1月9日追記:


サイバーエージェントのメルマガで起業バカ2の著者渡辺仁さんのインタビューが掲載されていたので、参考までに紹介しおきます。



起業バカ 2 やってみたら地獄だった! Idiot Entrepreneurs


渡辺仁さんのベストセラー;起業バカの続編。数段パワーアップされている。

前作の起業バカはこのブログでも紹介したが、、フランチャイズビジネス等で起業しようとする起業バカを食い物にする様々な具体例が紹介されており非常に参考になった。

前作も良かったが、この続編は取材力がさらにパワーアップされている。たぶん前作の成功で著者の渡辺仁さんは一躍有名となり、起業に関する様々な情報が渡辺さんに集まるので、うまい具合に転がりだしたのだと思う。

光文社のペーパーバックスシリーズは、キーワードに英語訳がついているのがスタイルで、今回の起業バカ2の英題は前作のnaive entrepreneurs(ナイーブ・アントレプルナー;世間知らず)からさらに進んでidiot entrepreneur(イディオット:idiotは本当のバカの意味)となっている。

渡辺さん自身はジャーナリストだが、自分で発刊したビジネス誌で起業に失敗した経験もあるので、傍観者ではない非常に実戦的な内容である。

読みやすく、ビジネスの現場における様々な誘惑やリスクの実体があきらかになる。起業を目指している人、漠然(ばくぜん)と起業を考えている人のみならず、ビジネスマン全般におすすめできる良書である。

非常にためになる本なので、あれもこれも紹介しようとして、ついついあらすじが長くなってしまうが、もちろん実際に本を読んだ方が良い。

ここでは特に印象に残ったポイントだけいくつか紹介する。


あなたはそんなに修羅場が見たいのか?

はじめにintroducutionとして、最初に来るのがこれだ。

この世に地獄があるとすれば、事業で失敗した責め苦こそ起業地獄と呼んでいいだろう。

ヒト、モノ、カネは成功への武器であるが、ひとたび流れが変われば身を滅ぼす凶器にもなる。それが起業の怖さであり、事業のむずかしさである。地獄への片道キップone way ticket to hellであると。

借金取りの連日連夜の取り立て電話におびえ、金策に苦しみ不眠症insomniaとなる、だまし、裏切り、ワナ、家庭ではカネをめぐって夫婦ゲンカが絶えず、子供からもバカにされ家庭崩壊、心身とも疲れ、ついマンションから飛び降りたくなる…。

テレビでさかんに宣伝していた通信ベンチャー平成電電が2万人から、500億円弱の投資金を集めて、突然倒産したのは記憶に新しい。世の中にはカモsuckerをだましてカネを巻き上げようと言うやからが一杯だ。

著者の渡辺仁さんも、起業家向け雑誌発刊で失敗し、妻からは離婚され、友人からは見放され、大借金を負い、自己破産直前で暖房のないアパートで震えながら書いた本が売れたのだと。


調剤薬局フランチャイズ 詐欺事件

前作で紹介されていた調剤薬局フランチャイズ詐欺事件のフランチャイズ名を今回は実名で紹介し、他社の調剤薬局をあたかも自社のチェーン店の様に案内した話とか、いい加減な需要予測による事業計画などの手口が紹介されている。

登場する被害者は大手ハウジング会社の猛烈サラリーマンferocious businessmanだった。

FC本部に強い不信感を持っていたが、自分ならもっとうまくやる自信があったので、話にのったのだ。7,000万円を注ぎ込んで、累損が2,500万円。FS(feasibility study事前採算性調査)不足と過信が失敗の原因のようだ。

OSA起業研究所というところがこのFC詐欺事件をコンパクトにまとめており、参考になるので、こちらも紹介しておく。

調剤薬局詐欺事件はこの本のいろいろなところで紹介されるが、最後に被害者の元猛烈サラリーマンが、ひそかに損失4,500万円のうち、2,700万円を回収していたという事実があとがきafterthoughtで紹介される。

被害にあったら素早く隠密裡に行動し、ワル知恵を総動員して自分の身を守れということだと。

この気概と度胸があなたにはあるだろうか?百戦錬磨の詐欺師やヤクザども相手にあなたは戦えるだろうか?と。

うーん考えさせられる。


パクられ地獄は底なし沼

パクリ屋に引っかかったのはスーパーやディスカウントストアに家電や雑貨を卸す商社経営者だ。彼はバイヤー、店長としての経験があるその道のプロ。売上高3億円、経常利益6000万円、従業員23名の会社だった。

うっかり儲け話に乗ってしまい、家電やブランド品をパクられ、1億3千万円の被害をうけ、マチキン(町金融業者)に手を出し、あえなく2億円の負債を抱えて倒産した。

パクリ屋は筋金入りdyed in the woolのだましのプロ。裏の裏まで段取りset-upをつけていると。

例えばこうだ:ヤツラは相手を納得させる舞台をきちっとつくっている。農協に太いパイプがあるというふれこみで、事務所に行くと、全国の農協のポスターや各地の業界新聞とかがわんさと置いてある。

ビルにはその会社の看板が出ており、自社ビルと思わせるが実はオーナーも不動産屋もだました偽装ビルだった。長くても半年程度で会社を閉めていくので、数百万円の補償金など捨てるつもりなのだ。

帝国データバンクなどの信用調査も限界がある

パクリ屋が使う会社は100%買った会社で、まずは小口の架空取引で100万円、200万円程度の手形、小切手決済を何度も繰り返し、完璧な決済履歴をつくる。調査会社や銀行がいくら調べても問題なく決済しているという履歴しか見あたらない。

代表者に面談しても、社長発言のウラはとれないので、発言を信用するしかないのだ。

信用調書を取っても『評価できない』というレーティング、銀行に聞いても『良くもなく悪くもなし』ということで、所詮プロのパクリ屋の悪知恵に対しては役立たない。

唯一の方法としては会社謄本の全部事項を取ることだと。

社名が変わって半年以内なら要注意だ。定款に書いてある内容と著しく違うものを扱っている会社とか、換金度の高い商品を欲しがるところとかも要注意だ。

パクリ屋は引き屋と買い屋がグルになり、コンサルや弁護士も巻き込み組織だっている。

支払いが滞ると怪しげな財務コンサルタントが現れ、代理交渉するが、これは時間稼ぎ。数週間して急にFAXが来てコンサル契約を解消したので、もはや何の関係もないと。あわててコンサルの事務所に行ってももぬけのカラ。

詐欺だと気づき、告訴を準備すると、顧問弁護士が現れ、和解交渉をする。弁護士は1件2,000万円とかで握っているので、和解金を500万円で押さえられれば残りの1,500万円が利益となるので、必死に和解に持ち込む。

すべてがグルなのだ。


鬼になれない男は会社をつぶす

敗者のみならず、勝ち組社長も一度や二度は生きるか死ぬかの地獄の体験を味わっている。地獄の責め苦をくぐらなければ一人前ではないのだ。

グッドウィルグループの折口雅博会長長はジュリアナ東京で名を売った後、仲間の裏切りで7,000万円の借金を抱え、トイチ地獄に突き落とされた。孫さん、三木谷さん、ホリエモンにはない地獄の体験が自分の武器であると語っている。


「プロ経営者」の条件


このブログでもインデックスの落合正美会長サイバーエージェントの藤田晋社長、を紹介しているが、彼らも借金地獄あるいは、株価暴落による針のむしろ地獄を経験している。

一度事業を立ち上げると終わりのないnever-ending battleが繰り広げられ、社長は24時間、365日利益を求めて走り続けるドッグレーサーである。日本電産の永守社長も同じことを言っている。この戦場で鬼になれない気の弱いヤツは即、地獄行きなのである。

セゾングループの創始者の堤清二氏が、NHKの番組でなぜセゾングループは崩壊したのかと聞かれ、ちょっと考えた末、「私が鬼になれなかったからだ。」と告白したという話は印象的だ。


社長になっちゃいけないヤツがなったから失敗する

ウィークリーマンションのツカサを立ち上げ一世を風靡したが、バブル崩壊で大失敗、億万長者から一転して1,000億円以上の負債を背負った川又三智彦(さちひこ)さんの話で締めくくる。

川又三智彦さんは自らの体験を元に1,000億円失ってという本の他、様々な本を出版し、最近では二極化ニッポンという本を出している。

川又三智彦さんのホームページもあるので、一度見て頂きたいが、天国と地獄をローラーコースターで往復しても不屈の起業家である。


1000億円失って―情報整理があなたの危機を救う!



二極化ニッポン―2007年、1億総中流社会は崩壊する


川又さんの話を最後に持ってきたのは理由があると。以下は本書から引用する著者の渡辺さんの起業バカ(naive entrepreneur/idiot entrepreneur)たちへの檄文(げきぶん)だ。

川又さんの話で最も感心したのは「社長になっちゃいけないヤツがなったから失敗する」という言葉だ。単純明快、目から鱗ではないか?

ハッキリ言おう、この本を手に取った多くの読者は「ちょっと起業でもしてみようかな」と思っているはずだ。だがそんなヤツらは間違いなく社長の資格qualificationはない。「社長になっちゃいけないヤツ」だ。だから、99%失敗する。その先には『大借金地獄』、『家族崩壊地獄』、『風俗地獄』などが待っている。

そもそも素質のある人間は、私の本を読む前に、とっくのとうに起業している。まずは実際にやっているのだ。私の本を読んでいる時間なんてない。その意味では、本書を読んでいるようなあなたに、起業の資格なんぞないと断言assertしてもいい。

さあ、私がここまで書いても、それでもあなたは起業するつもりだろうか?

それならそれでいい。私は前著でも書いたように、起業自体を否定するつもりはないからだ。むしろ、奨励したい。それが沈滞して閉塞感の強いこの国を元気にしていくからだ。

そして、起業するなら、最後に川又さんの言葉をもう一度思い出して欲しい。私からも同じ言葉をあなたに贈りたい。それはこうだ。

「人間は、歩いた分だけ視野が広がるんです」



著者の渡辺さんが告訴されている

前著刊行後、渡辺さんは本の中で取り上げた教育フランチャイズから出版差し止め請求を起こされたと。

結局、ほんの数カ所の文字の書き換えで内容は一切変えずに和解したのだが、この課程で面白い事実が浮かび上がってきた。

このフランチャイズは加盟者に準備金として5万円を渡していたのだが、この部分をどうしても削除して欲しいと言ってきた。それはこの部分が彼らの商売の肝だからだ。

彼らは主婦をターゲットにしているが、毎日一円でも安くスーパーで買い物する主婦にとって、5万円は大金だ。その大金をゲットして、つい気が大きくなって、あとは大船に乗った気分でカネをバンバン使ってしまうのだ。

そのフランチャイズにとって5万円ははした金だが、主婦を釣るには絶好のエサだったのである。

その後このフランチャイズから名誉毀損で訴えられている。しかしあえて今回も起業をめぐったスレスレのことを書いたつもりであると。

最後に「バカは成功に学んで失敗し、利口は失敗に学んで成功する」と、これだけは、忘れないで欲しいと。

今時めずらしい闘志あふれる起業予備軍の選手兼応援団長である。
一読の価値がある。


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Posted by yaori at 10:36│Comments(0) ビジネス | 起業