2006年02月08日

その時自衛隊は戦えるか 自衛隊の実力を知ろう!

そのとき自衛隊は戦えるか


自衛隊につき数々の記事を書いている井上和彦さんの自衛隊の分析。

ちょうど防衛施設庁を舞台とした官製談合に捜査のメスが入っている。

官僚OBに就職口を斡旋しようとして、官製談合を組織的にやっていた防衛施設庁は糾弾されるべきだが、それゆえに自衛隊全体を非難することにはならないだろう。

ゴーマニズムの小林よしのり氏の推薦文が帯に載っているが、「自衛隊が生まれて50年、わしらはもっと真実を知らなきゃいかん」と。

この本はあたらしい歴史教科書で独自路線を歩む扶桑社が出版しており、著者の井上さんは小学館のSAPIOや産経新聞社の『正論』などで記事を書いている。

右寄りの本ではあるが、逆に自衛隊の真実の姿を広く知らしめる動きが、扶桑社、SAPIO、正論、産経新聞などに限られてしまうのは、問題だと思う。

たしかに日本国民は自衛隊をもっと知るべきだと思う。そんなことを考えさせられる本である。


北朝鮮こそ自衛隊生みの親

実は北朝鮮こそ自衛隊の生みの親だ。1950年朝鮮戦争が始まり、北朝鮮が韓国に向けて侵攻を開始したときに、日本政府に対してGHQはいわゆるマッカーサー書簡を送り、警察予備隊の創設を指令した。

海上自衛隊は旧海軍の伝統を継承している。ラッパも海上自衛隊は海軍と同じだ。

これに対し陸上自衛隊は当初旧軍の伝統を排したので、ラッパも陸軍のものを踏襲してない。

空軍はもともと存在していなかったことから、旧陸軍と旧海軍の名パイロット達が集結したのだ。


自衛隊の戦力

自衛隊の国防費は世界第3位で、アメリカ、ロシアに次ぐ規模。第4位は中国だ。但しGNP比では主要国が2−3%であるのに対し、日本の自衛隊は1.0%だ。

防衛白書の内容がウェブで公開されているので、ご興味のある方は見て頂きたい。

総兵員数は24万人で、中国の10分の1、世界第22位だが、装備は最新鋭のものばかりだ。

戦車は最新式の90式戦車を中心に、1,020両。AH1S攻撃ヘリは89機。輸送・偵察ヘリは422機。


特筆されるべき対潜水艦戦闘能力

海上自衛隊は護衛艦54隻、潜水艦は16隻。掃海艇31隻、高速ミサイル艇7隻。

対潜戦闘能力は突出としており、有効射程100キロを超えるハプーン空対艦ミサイルを4発、対潜魚雷8発を搭載できるP3Cオライオン哨戒機を99機、SH60J哨戒ヘリを97機も保有している。

これらの哨戒部隊はソナー等の4種類の各種探知機を完備しており、ロシアや中国の潜水艦のスクリュー音をすべて記録している。

中国の潜水艦は浅い大陸棚で活動せざるをえないが、すぐに自衛隊の哨戒機に探知されてしまうだろう。

米軍でもP3C保有機数は全世界で200機ということなので、いかに自衛隊の対潜水艦戦闘能力が突出しているかよくわかる。


航空自衛隊は戦闘機361機だが、世界最強のF15や日米合作のF2、F4J改などで構成されている。輸送機59機、迎撃ミサイルは6個高射群ある。

これら日本の軍用機の写真を集めたKenny's Mechanical Birdsというサイトがあるので、ご興味があれば見ていただきたい。


自衛隊には7つの世界一があると。それらは次の通りだ:

1.実戦経験が育てた掃海技術

2.海上自衛隊のお家芸対潜作戦

3,原子力潜水艦に劣らない通常型潜水艦戦力

4.先端技術の結晶F2戦闘機(炭素繊維の一体成形とアクティブ・フューズド・アレイレーダーなど)

5.米軍を驚愕させた100発100中のハイテク・ミサイル(SSMー1地対艦ミサイルなど)

国産ミサイルをまとめているMISSILEの解説というサイトがあるので、ご興味あればご覧頂きたい。

6.F15戦闘機を世界最強たらしめる一流パイロットと整備員

7.自衛隊員こそ真の世界一(全将兵が高校以上の教育を受けている志願制の自衛隊は世界でも珍しい。しかも入隊競争率は3倍、幹部候補生学校の競争率は43倍)

対潜戦闘能力に優れた自衛隊と空母をはじめ空軍力を中心とした米軍のコンビネーションは補完関係にあり、極東アジア地域の安全保障の要となっているのだ。


これからの自衛隊

これからの自衛隊では2007年度から導入される予定のイージス艦、情報収集衛星、パトリオットミサイルを使ったBMD(弾道ミサイル防衛)が今後の目玉だ。


北朝鮮の工作船対策

新型ミサイル艇はやぶさ級は76mm砲一門と、射程距離100キロ以上の対艦ミサイル4発、12.7mm機銃2丁の装備を持ち、スクリューでなくウォータージェットで最高時速44ノットを出すことができる。


自衛隊もし戦わば

仮想敵国として次が想定され、それぞれのシナリオが紹介されている:


1.中国人民解放軍 

空の戦いで日米連合軍は圧勝、海でも自衛隊の対潜水艦作戦で封じ込め。空と海で圧倒され、中国陸軍は手も足も出ず。

中国は莫大な国防費を注ぎ込んで兵器の近代化に努めているのに、そんな中国にODAを継続する必要があるのかと議論している。

しかし侮れないのは中国の宣伝力であると。中国の対日外交カードが靖国問題であることはたしかだ。


安全保障装置としての靖国神社?

平成14年の産経新聞で評論家の櫻田淳氏が「靖国神社は兵士の志気を支える仕組みの中核に位置づけられるべき装置である」と語っている。

この本には紹介されていないが、櫻田発言には神道の國民新聞から次のように批判を浴びている

「靖国神社の本質は、国事に殉じた畏き英霊に対しての祭祀を行ふことであり、これが『安全保障政策を最も根本のところで支える『装置』』 と看做されるのは、あくまでも結果論としてにしかすぎず、本末転倒の観点と云ふ他はない。」

この論争はともかく、靖国問題を中国が執拗に取り上げるのは当然のことながら、深い戦略があるわけであり、善し悪しはともかく、中国に宣伝機会を常に与えることが適当なのか、次の首相は考え直す必要があるだろう。


2.北朝鮮 

ほとんどが旧式兵器の北朝鮮だが、唯一脅威なのは超旧式のAN2型アントノフ布貼り複葉プロペラ機を多数保有していることだ。

これは12名の人員を空輸することができ、300メートルという短距離で離着陸できる。超低空を飛行するためレーダーに捕捉されにくく、陸続きの国には大変な脅威であるが、日本海を隔ていれば日本にとっては脅威ではない。

村上龍の半島へにもこのアントノフが北朝鮮軍来襲手段として描かれているが、実際にはなんの遮蔽物もない海上ならレーダーに捕捉されてしまい、小説のようなことにはならないのだ。


この本のタイトルは『そのとき自衛隊は戦えるか』だが、これを読むと自衛隊は極東地域の安全を保障する有効な戦力になっていることがよくわかる。

日本は武器を輸出することができないので、全世界に輸出して生産コストを下げることができる米国の兵器に比べ国産兵器は数倍コストがかかるといわれている。

だからといって本当に3倍とかが妥当かという点は防衛施設庁の官製談合の件もあり、今後厳しく追及される必要があるだろう。

国産兵器はコストが高いので、配備数は少ないが、このように米軍との補完を考え、メリハリのきいた最重要戦略に従った配備をしていれば、非常に有効な戦力となることがよくわかる。

いままであまり自衛隊のことを研究したことがなかったが、簡単に読めて自衛隊の実力がわかる良い本であった。


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Posted by yaori at 00:07│Comments(0)TrackBack(0)趣味・生活に役立つ情報 | 自衛隊・安全保障

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