2006年12月17日

ウェブ進化論 Googleはインターネットの第2の巨大隕石!?

2006年12月16日追記:


以前『ウェブ進化論』のあらすじの中で紹介した、企業向け消耗品、間接材のeコマースサイトモノタロウが12月に東証マザースに上場した。

瀬戸社長は以前鉄鋼原料で、同じ新製鉄法プロジェクトを米国と日本で担当していた仕事仲間なので、瀬戸社長の成功はおおいに刺激になる。

その瀬戸社長のおすすめの『ウェブ進化論』。

今年初めのベストセラーなので、多くの人に読まれたと思うが、モノタロウの上場を祝して再度あらすじをご紹介する。


ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる


atamanisutto主人前書き: 著者の梅田望夫(うめだもちお)さんはブログを『究極の知的生産の道具』と呼んでいるが、筆者も同感である。

このブログは筆者の備忘録も兼ねて作成しているが、この本についてはあまりに参考になることが多すぎて、備忘録が長くなりすぎてしまった。

元の原稿は非公開として保存し、以下の公開版は半分程度にまとめた。あらすじを公開、非公開と2種類つくったのは、はじめてだ。それほど参考になるとともに、intriguing(興味をそそられる)ということである。

是非次のあらすじを参考にして、実際に『ウェブ進化論』を手に取って頂きたい。

ベストセラーになるだけのことはある中身の濃い本である。新書の定価の740円以上の価値があること、筆者が請け合います。


昔の仕事仲間、日本最大の間接資材のネットショップMonotaROモノタロウ瀬戸社長に、最近読んだ本で一番良いとすすめられて読んだ。

今世界のインターネット業界でなにが起こっているのか、どんな構造変化が起こっているのかよくわかる。

著者の梅田さんのブログによると発売して4週間で15万部売れているそうだ。筆者の近くの書店でも売り切れだったので、アマゾンで買った。まさに爆発的な売れ行きである。

筆者は米国駐在時代の1999年にインターネットの威力と将来性に驚き、キャリアを変更したが、当時、ソニーの出井さんは『インターネットは(恐竜を死滅させたと言われる)巨大隕石だ』と表現していた。

日本に帰国してそれから5年余りたち、出張もせず東京で過ごしていると、アメリカや世界の情勢にどうしてもうとくなるが、インターネットで、いわば第2の隕石が落ちた様な変化が起きていることを思い知らされたのがこの本だ。


著者の梅田望夫さんは、シリコンバレー在住のコンサルティング会社ミューズ・アソシエイツ代表。梅田さんご自身のブログMy Life Between Silicon Valley and Japanもある。

梅田さんが常時寄稿しているCNETや、asahi.comITPROなどが梅田さんとのインタビューを載せているのでこれも参考になる。


現状分析がわかりやすく、かつ鋭い

まずは現状分析だ。現在のウェブ社会を次の3大潮流で説明している。

1.インターネット 
リアル世界に対するバーチャル世界・経済の出現。文章、映像、動画等、知的資産をなんでもネットに置き、不特定多数が見られ、何百万件でも検索して網羅できる。

国境等の物理的限界はなく、コミュニケーションも瞬時に行える。全世界の『不特定多数無限大』の人がはじめて経済ベースで捉えられるようになった。

2.チープ革命 
ムーアの法則は半導体の集積度が18ヶ月で倍増するというものから、IT製品のコストは年率30−40%下落すると広義に解釈されている。

3.オープンソース 
世界中の200万人の開発者がネット上でバーチャルな組織をつくり、イノベーションの連鎖で、最先端ソフトウェアをつくっていく世にも不思議な開発手法。


上記3大潮流が相乗効果を起こし、次の3大法則を生み出した:

1.神の視点からの世界理解 
Yahoo!や楽天などのネットサービスは1,000万人もの人にサービスを提供し、しかも一人一人の行動を確実に把握できる。膨大なミクロの情報を全体として俯瞰(ふかん)でき、今なにが起こっているのかがわかるのだ。まさにお釈迦様、神のみぞ知るということが実現している。

2.ネット上につくった人間の分身がカネを稼いでくれる新しい経済圏
ネット上に自分の分身(ブログやウェブサイト)をつくると、分身がチャリンチャリンと稼いでくれる世界が生まれた。自分は寝ていても儲かるしくみができる。奥さんもサイトを持っていれば、ダブルインカムならぬ、クアドラプルインカムも可能なのだ。

3.無限大 x ほぼゼロ = なにがしか(Something)
『不特定多数無限大』の人とつながりを持つためのコストはほぼゼロとなった。不特定多数無限大の人々から1円貰って1億円稼ぐことが可能となったのだ。


これら3大潮流と3大法則が引き起こす地殻変動で、想像もできなかった応用が現実のものとなった。その本質がGoogleである。


バーチャル世界政府のシステム開発部門Google

梅田氏のGoogleに勤める友人は『世界政府というものが仮にあるとして、そこで開発しなければならないはずのシステムは全部Googleでつくろう。それがGoogle開発陣のミッションなんだよね。』と真顔で語っていると。

梅田氏はGoogleはシリコンバレーの頂点を極めるとてつもない会社だと確信しているそうで、Googleのすごさを次の観点から説明している:

1.世界中の情報を整理し尽くす

Googleは自らのミッションを『世界中の情報を組織化し、それをあまねく誰からでもアクセスできるようにすること』と定義している。

全世界のウェブサイトの情報を集めるグーグル検索、全世界のニュースに優先順位づけするグーグル・ニュース、過去出版されたすべての本をデータベース化するとブチ上げ、著作権者ともめているグーグル・ブックサーチ。

個人のメール内容を判断して最適な広告を載せるGメール。グーグル・マップグーグル・アース等々。

こうして見てくると、筆者にはGoogleがCIAの別動隊の様に思えてくる。まさに映画ターミネーターのスカイネットの世界だ。

グーグルのサービスすべてを通して言えるのが、情報を人手を使わずコンピューターによって自動的に分析して組織化するという基本思想だ。人が扱わないのだから個人のメール内容などもプライバシーの問題はないという。


2.構想を実現するために情報発電所とも言うべき30万台から成る巨大コンピューターシステムを、ネットの『あちら』側に構築したこと
すべての言語におけるすべての言葉の組み合わせに対して、最も適した情報を対応させる。これがグーグル検索エンジンの仕事だ。全世界を英語圏のシステム一本で運営するための自動翻訳機能も、最適の情報を対応させるための必要機能だ。

そのためにグーグルの30万台ものコンピューターが日々稼働し続けている。


3.巨大コンピューターシステムを圧倒的な低コスト構造で自製したこと
オープンソースを最大限に利用して、30万台ものリナックスサーバーを自社でつくり、運営している。拡張性に優れるスケーラブル・ストラクチャーをつくり、処理能力を上げるためにはサーバー数を増やせば良い構造とし、一部が故障しても全体としては動くしくみを取り入れている。


4.検索連動型広告『アドワーズ』に加え、個人サイトに自動的に広告配信する『アドセンス』を実装し、個人にまで広告収入が入る『富の再配分』のメカニズムを実現したこと
筆者も一時『アドセンス』をこのブログに貼り付けていたが、個人サイトでもグーグルから自動配信される広告表示で、チャリンチャリンとお金が落ちる感覚を体験できた。

インターネット広告業界では、ネット専業代理店が力を持っており、小さなクライアントまで広告の裾野を広げているが、それにしてもアドセンスで配信される個人の『情報起業』の様な小企業などは到底カバーできない。


5.多くが博士号を持つベスト・アンド・ブライテスト社員5,000人が情報共有する特異な組織運
グーグルは株式公開したとはいえ、創業者のセルゲイ・ブリンとラリー・ページが一般株主とは違う種類の株式を持つ特異な所有形態である。これはマイクロソフトによる敵対的買収や経営介入を防ぐためだという。

グーグルには経営委員会などの経営組織はなく、5,000人の社員全員が情報を共有する。

博士号を持つ社員も多いが、それぞれ仕事の20%は自分のテーマで研究することを求められる。アイデアは社内で共有され、平均3人の小組織がアイデア実現のスピードを競い合う。キーワードは『自然淘汰』だ。


6.既に存在するネット企業のどことも似ていないこと
強いて言えばYahoo!はメディア、グーグルはテクノロジーであると。Yahoo!は人間が介在してサービスの質が上がるなら、人手を使うべきだという考えである。


それぞれの論点につき興味深い分析がなされており、もっと詳しく説明したいところだが、それだと『あらすじ』でなくなってしまうので、上記の切り口だけ紹介しておく。

いくつか印象に残った点を紹介しておこう。


『こちら側』と『あちら側』

パソコンは『こちら側』。機能を提供する企業のサーバーやネットワークは『あちら側』だ。どちらかというと日本のIT企業はこちら側に専念し、アメリカの企業はあちら側に注力している。

これを象徴する出来事が昨年起こった。売上高1兆円のIBMのパソコン部門がレノボに2、000億円以下で売却され、売上高3,000億円のグーグルの公開直後の時価総額は3兆円で、いまは10兆円だ。

グーグルの動きはすべてあちら側の動きだ。


『恐竜の首』と『ロングテール』

ロングテールについてはこのブログでアマゾンでは専門書と古典的名著が売れる例で紹介したが、リアル店舗では返品の憂き目にあう『負け犬』商品がアマゾンでは売上の1/3を占める。

パレートの80:20の法則で、従来は20%の売れ筋商品=『恐竜の首』に注力して80%の売上をあげれば良かったのが、インターネットにより陳列・在庫・販売コストを気にしなくて良くなった今、残り80%の『負け犬』もちりも積もれば山となることが可能となった。

グーグルの『アドセンス』は個人でもクレジッドカード払いで広告出稿でき、無数にある個人サイトに広告を掲載することができる。梅田さんの言葉で言うと『ロングテール』、筆者の言葉で言うとゴルフの『バンカー・ツー・バンカー』という様な分野が、巨大なビジネスとなっている。


Web 2.0

今までのインターネット企業や機能をWeb 1.0と呼び、開発者向けにプログラムしやすいデータ、機能(API=Application Program Interface)を公開するサービスをウェブサービスと呼ぶ。

グーグルの台頭にYahoo!が危機感を強め、自社の検索エンジンを導入することを決定したのが、2002年から2003年にかけてであり、ちょうどこのころインターネットの先駆者たちは、Web 2.0を研究しだした。

(筆者はこのWeb 2.0というのが、どうもよく理解できなかったが、筆者のたとえでいうと、いわば漁師が網元になる様な感じではないか。つまり漁師が今まで自分で魚を捕っていたものが、網元となり漁船に網を貸して分け前を受け取ることにより、一挙に魚獲量を拡大し始めたという感じではないか。)

アマゾンアソシエイトで一個一個の商品にリンクをつけて販売するのが、従来からのWeb 1.0。アマゾンの商品データベースへのアクセスを認め、アマゾンが卸売りのようになり、専門サイト、小売りがアマゾンの商品を販売するのを支援するのがWeb 2.0。

もちろんデータベースを公開すれば、アマゾンの全世界単一システムObidosに巨大な負荷が掛かるはずだが、それをこなすシステム増強をアマゾンは『あちら側』で行って、Web 2.0を可能としたのだろう。

ウェブサービスにおけるアマゾンの利益率は15%なので、今やアマゾン本サイトよりもウェブサービスの方が利益率が良くなっており、自己増殖的に増えていると。


ブログと総表現社会

米国ではブログ数が2,000万を越え、日本でも500万を越えた。ネット上の玉石混淆問題を解決する糸口が技術の進歩で見えつつあると。


マス・コラボレーション

オープンソース、マス・コラボレーションの例としてウィキペディアを挙げている。ウィキペディア・プロジェクトは2001年1月にスタートしたので、5年強の歴史だが、既にブリタニカの65,000項目に対して、英語では870,000項目にも及ぶ百科事典が既にできあがり、200にも及ぶ言語毎に百科事典がつくられ、日本語版でも16万項目以上に揃ってきた。

誰でも書き込み、修正できるが、それでいてかなりの水準に達している。

不特定多数無限大は衆愚か?

梅田さんは"Wisdom of Crowds"、日本語訳「『みんなの意見』は案外正しい」を紹介している。仮説ではあるが、ネット上で起こっているオープンソース、コラボレーション、バーチャル開発の質の高さを考えると、不特定多数無限大の人が参加する知的プロジェクトは成功している。キーワードは、ここでも情報の『自然淘汰』だ。


「みんなの意見」は案外正しい


羽生善治名人の高速道路論

梅田さんは羽生名人と親しいそうだが、羽生名人はITがもたらした将棋界への影響として、「将棋が強くなるための高速道路が一気に敷かれたということです。でも高速道路を走り抜けた先では大渋滞が起きています」と語ったそうだ。


編集してカットしても、まだあらすじが長すぎて、著者の梅田望夫さんにしかられそうだが、それほど中身の濃い本だった。最近ピカいちの本だろう。


参考になれば次クリックと右のアンケートお願いします


人気ブログバナー




Posted by yaori at 00:13│Comments(0)TrackBack(1) インターネット | 梅田望夫

この記事へのトラックバックURL

http://trackback.blogsys.jp/livedoor/yaori/50416052
この記事へのトラックバック
Googleがついに次の2点について規約を変更して明確に 違反行為であると明文化...
実録アカウント停止の恐怖〜Googleアドセンスの罠【アフィリ天国!〜出遅れ組みが月収7桁稼ぐ方法】at 2006年12月23日 14:05