2006年04月28日

ザ・プロフェッショナル 大前研一の予言 日本でもプロフェッショナルクラスが台頭する

ザ・プロフェッショナル


大前研一は好きな著者の一人なので、このブログでも多く紹介してきたが、今回の本では大前さんは、プロフェッショナルクラスが日本でも台頭してくると予言する。

次回紹介する松下幸之助の400万部超のベストセラー『道をひらく』によると、「プロとは、その道をわが職業としている専門家のことである。職業専門家とは、つまりその道において、一人前にメシが食える、ということである」と定義しているが、これは40年前、1968年の定義であり、大前さんは、いわば『プロ中のプロ』という意味でプロフェッショナルを定義する。

プロフェッショナルは専門性の高い知識とスキル、高い倫理観はもとより、例外なき顧客第一主義、あくなき好奇心と向上心、そして厳格な規律、これらをもれなく兼ね備えた人材だと。

『顧客の顧客』に目を配っている人、己の技量を一生かけて磨き続けてしまう人、日本人大リーガーであればイチローと松井秀喜がプロフェッショナルだと大前さんは語る。


プロフェッショナルに必要な力

プロフェッショナルの必要な力は次の通りであると;

1.先見する力

2.構想する力

3.議論する力

4.矛盾に適応する力

それぞれ具体例を紹介し、大前さんは説明しているが、上記表題だけ読んでも大体想像ができると思う。


松下幸之助の影響

以前紹介した松下幸之助の言葉を集めた『成功の法則』を読むまで気が付かなかったが、大前さんもかなり松下幸之助に影響を受けている。

いままで多くの大前さんの著作を読んできたが、松下幸之助の逸話はあまり印象に残っていない。たぶん単に筆者が読みすごしていただけだろう。

前回紹介した柳田邦男氏の『もう一度読みたかった本』再読のすすめにならって、大前さんの代表作も再度読み直してみようと思う。

この本でもソニーの盛田さん、オムロンの立石一真さんとともに、松下幸之助のエピソードがいくつか紹介されている。

松下幸之助は質問の上手な経営者だったと。難しい意志決定に直面した時は、必ず3人以上の社員を呼んで、「それはなぜか」と質問を繰り返し、問題の本質を見極め、自分の判断に最も近い考えをする社員に権限を持たせた。

松下幸之助はいい加減な妥協はしないことの重要性を説いた。得心がいかない時は、仕事を進めず、時機を得て、完璧を期すのだと。アメリカ企業からの技術導入でもこれを貫いた。納得できなければ合意しなかったのだ。

この話は誰かの本で以前読んだことがある。たしかオーティスエレベーターとの合弁会社設立の話だったと思う。

また松下幸之助は経営が内包する矛盾をよく理解し、見事な決断をする経営者だった。

ホームビデオ開発のVHSが良い例だ。松下はフィリップスと一緒にV2000を開発していたが、子会社のビクターはVHSを開発。松下幸之助は700名くらいの技術者の意見に耳を傾け、V2000を断念してVHSに社運をかけるという意志決定をした。

既に数百億円投じたV2000をドブに捨て、自己のエゴを捨て、ソニーに勝つという信念のもと、みずから築いた家電王国をまもるベストの選択をした。

どんなにすばらしいビジネスプランでも、「必ず成功する」という強い信念がなければ、ビジネスは成就しないと大前さんは説く。まさに松下幸之助のダム理論の通り、それに影響された稲盛和夫さんの教え通りである。

かつての日本の経営者には強い信念と覚悟があったが、最近の経営者には欠けていると大前さんは言う。カルロス・ゴーンやマツダのジェームズ・ミラーはかつて世界が賞賛した日本の経営者の『忘れ形見』であるとまで言っている。

筆者ももっと松下幸之助を研究してみようと思う。


面白いストーリーが紹介されているので、一度手にとってみて頂きたいが、印象に残った話をいくつか紹介する。


リクルートのカンニバリゼーション

リクルートはライバル事業を社内に興して成長している。

リクナビは圧倒的な強さを見せているが、かつて就職情報は紙媒体が主だった時、リクルートの創始者の江副さんは「どうせ淘汰されるなら、リクルートの人間に淘汰してもらいたい」と紙媒体からインターネットへの転換を語っていたと。

自分で自分を否定するところからリクルートの成功は始まったのだ。


マルチプル経済

この本はまだライブドアの粉飾決算が公になる前の2005年9月に出版されている。

ライブドアとフジテレビについて大前さんは、経営を知らないホリエモンが、フジテレビのスーパー・ゼネラリストとして誉れの高かった日枝久会長を、赤子の手をひねるように土下座させたと表現している。

経営を知っている人よりも、知らない人のほうが経済に大きなインパクトを与える。これがマルチプル経済であると。

実体の収益力よりも市場の成長性、会社の将来性で、会社の評価は収益力の何十倍にもなっているのだ。このようなマルチプル経済下では、通常ありえないことが起こる時代である。


松下幸之助の偉大さを改めて感じた大前さんの近作だった。


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Posted by yaori at 23:43│Comments(0)TrackBack(0)ビジネス | 大前研一

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