2006年05月28日

リッツ・カールトンで学んだ仕事でいちばん大事なこと 『売れる』自分のつくり方

リッツ・カールトンで学んだ仕事でいちばん大事なこと


京都全日空ホテル社長で、リッツ・カールトンの大阪営業統括支配人を7年勤めた林田正光さんが語る、『売れる』自分のつくりかた。

リッツ・カールトンを題材にした最近のベストセラーは、本の帯の色で青と赤の2冊ある。

青の帯が以前紹介したリッツ・カールトン日本支社長の高野登さんの『リッツ・カールトンが大切にするサービスを超える瞬間』であり、こちらは赤の帯のリッツ・カールトンだ。


リッツ・カールトンが大切にする サービスを超える瞬間


感動を与えるサービスを作り出す仕組みのインサイダー情報(?)も興味深いが、この本の珠玉は第4章の「リッツ・マンに負けない魅力ある自分をつくる」という部分である。

林田さんは「自分の魅力づくり」というテーマで、しばしば講演の依頼を受けるそうだが、この本はリッツ・カールトンを経てパワーアップした林田さんが実践してきた「自分の魅力づくり」が紹介されており非常に参考になる。

青のリッツ・カールトンも良いが、赤のリッツ・カールトンも良い。一読をおすすめしたい本である。


林田さんの略歴

林田さんは熊本県出身で、高校卒業後、藤田観光の子会社の大阪の太閤園というレストランで32年間営業マンとして勤務したが、大病して退社。リッツ・カールトンが大阪で開業する際に応募し、営業支配人として就職する。

藤田観光はフォーシーズンズホテル椿山荘という合弁会社を持つが、フォーシーズンズホテル関係者が「リッツ・カールトンに見習え」としばしば言っていたことから、林田さんもいつかはクオリティの高いホテルで仕事をしたいという思っていたと。

林田さんは太閤園時代は3,000人を越えるお客様と、いつでも電話できる人間関係を保っていた。リッツ・カールトンに転職してからは人脈を4,500人に拡大した。

独立してサービス業のコンサルを一時していたが、現在は京都全日空ホテルの社長である。


リッツ・カールトン・ミスティーク

リッツ・カールトン・ミスティークについては、リッツ・カールトン日本支社長の高野登さんの『リッツ・カールトンが大切にするサービスを超える瞬間』で一部紹介したが、この本では、ミスティークと呼ばれるサービスを提供する仕組みがわかって面白い。

たとえばリッツ・カールトン・ミスティークの代表的なもので、以前一度宿泊しただけなのに、フロントが名前を覚えていたり、前回の宿泊目的がゴルフだったことを覚えていたりして感動した、というのがある。

これはドアマンが荷物の名札から名前を読み取り、インカムでフロントに連絡し、チェックインの準備を整えるとともに、素早くデータベースを参照しているのだ。

この様な接客はある意味、マネができるところだが、マネのできないところは営業時間が終了していても来た客には料理を出すとか、バーならせっかくだからと一杯出すとかいった、通常のサービスを超えた「ノーと言わない」サービスだ。

さらにお客の期待を上回り、感動を与えるサービスを提供するために、エンパワーメントという一人20万円までの決裁権限を全員が持ち、その場で最良の手配ができる仕組みとなっている。本物の顧客第一主義だからここまでやれるのだと。

お客のニーズをつかむために、従業員が心配りできる設定もしてある。

お客を部屋に案内したり、話をする機会をとらえてお客のニーズをいかに察知するかが決め手となるので、リッツ・カールトンでは自動ドアはないし、エレベーターやトイレは人目に触れにくくされ、表示もない。

これは「もう一つのわが家」というコンセプトからプライベートな空間を演出する意味合いもあるが、スタッフとお客様が接する機会を増やすという戦略でもあるのだ。


クレド(信条)を基軸として最高のサービスをつくる

リッツ・カールトンが感動を与えるサービスを提供できる仕組みは、リッツ・カールトン・クレドと呼ばれる信条が中心だ。

従業員には、入社時にクレドカードが配られ、これにはゴールドスタンダードと呼ばれるクレド、サービスの3ステップ、従業員への約束、モットー、ザ・リッツ・カールトン・ベーシックが記載されており、これがことあるごとに使われる。

このあたりは、青のリッツ・カールトン、高野登さんの『リッツ・カールトンが大切にするサービスを超える瞬間』に詳しい。

次に入社後2日間の、アルバイトやパートを含め全員が受けるクレドの思想・哲学の勉強で、紳士・淑女の行動はいかにあるべきかを一人一人が考える。

さらに入社1年目は300時間クレドを日常業務で実戦できるようトレーナーがマンツーマンで指導。定期的なテストもある。

これに加えてデイリー・ラインナップと呼ばれる15分間のミーティングで、クレドに基づいた勉強会を毎日全職場で行う。

クレドを根付かせ、補強する制度として3ヶ月に1度各ホテルで5人が選ばれるファイブスター制度、エンパワーメントなどがある。

林田さんは、お客様第一主義を掲げながら、多くの会社は自分たちの都合で動いていると指摘する。

それを限りなくお客様の都合にあわせる「ノーと言わない」会社にするために、リッツ・カールトンはクレドという経営哲学をつくっているのだ。

林田さんは、顧客満足向上のコンサルティングをするときは、必ずクレドを創るようにすすめていると。首尾一貫した心配り、顧客満足のアクションを起こすためにはクレドが必要なのである。尚、クレドつくりには必ず女性をいれよと林田さんはアドバイスしている。


仕事でいちばん大事なこと

林田さんは仕事でいちばん気を配らなければいけないことは、人間関係であると説く。

仕事上の仲間、上司、部下のみならず、お客様、取引先など、お互いの関係がうまくいかなければ、その仕事が成功する確率は極めて低いと。

林田さんはリッツ・カールトンに在籍してリッツ・カールトン・ミスティークと呼ばれる、お客様との人間関係を構築する手法にふれ、それを自分のものとする機会に恵まれたと語る。

モテる人になるのだ。そのために必要なのが、自分の魅力づくりだ

林田さんは「自分の魅力づくり」というテーマで、しばしば講演の依頼を受けるそうだが、魅力は『心配り』という土台の上に、『専門性』がのって成り立っていると語る。

心配りの最初は気配りで、マナーとコミュニケーション能力である。コミュニケーションのポイントは相手のことを理解しようとする姿勢とお互い妥協点を見つけあうことだ。

「なにごとも最初は人間関係から始めなくてはなりません。これは長年サービスや営業の仕事に携わってきた私の実感です」と林田さんは語る。「まずはマナーとコミュニケーション能力を身につけることから始めてください」と。

その上で自分の専門性を磨くのだ。

林田さんの『売り』は人脈づくり、顧客満足、イベントの仕掛けである。


林田さんの人脈づくり

林田さんは太閤園の営業マン時代は3,000人を越えるお客様といつでも電話できる人間関係を保っていた。名刺は名簿化して、2ヶ月に一回太閤園のイベント案内のDMを、必ず林田というハンコを押して送る。

リッツ・カールトンに転職してからは人脈を4,500人に拡大した。リッツ・カールトンを退職して、独立したときは、一介のサラリーマンの激励会にお客様400人が祝賀会を開いてくれたほどだ。

リッツ・カールトンを退社した後は、自分でイベントを考え、DMを出し続けていた。

林田さんの人脈づくりはこうした地道な努力と心配りの結果だ。

世代を越えたつきあいも意識してつくった。太閤園にいたときは、なるべく年上の人とつきあうことをこころがけ、ロータリークラブやライオンズクラブの人たちからはかわいがって貰ったと。

「頼み事をされたら絶対に断らない」し、心配りと情報で人脈をつくるのだ。

また入会金20万円を払い、自費で青年会議所(JC)に参加し、太閤園の勤務時間外にJC活動を積極的に行い、一月に10日はJC活動に充ていた。これで青年実業家を中心に人脈がどんどん広がった。

団体に所属する他に、自分でイベントを開くということも人脈づくりに有効である。

林田さんは42歳のとき、経営の為の勉強会『なにわ経済倶楽部』をつくり、現在は『ザ・フレンド倶楽部』という1,000人ほどの会となっている。

成功する異業種交流会の開き方についても、林田さんはノウハウを公開している。講師を呼んで講演会と交流会を行う。交通の便のいい場所で、参加者の1/3は女性とする。世話人会を作る等々。とにかく継続が大切である。

名刺交換御礼のファックス、フォロー、人脈つくりにはマメに心配りをというのが林田さんのメッセージだ。


リーダーシップと目標

最後に林田さんはリーダーシップと目標管理の重要さを説く。

リーダーには管理と感性の両方が必要であると。人間関係ができていれば、理屈抜きで人は動くと。

リーダーシップとともに、魅力ある人が必ず備えているものが目標である。個人版クレドを持とうと林田さんは説く。

林田さんの目標は、1.健康である、2.経済力をつくる、3.自己啓発をする、4.人脈づくりをする、5.家庭を大切にする、6.趣味を持つ、7.仕事、8.ボランティアの8つだ。

それぞれに3年先を見据えた長期目標、1年先を見た短期目標を定める。具体的な目標があれば、具体的なアクションプランが見えてきて、何をすればよいのかわかる。


トップ営業マンがリッツ・カールトンを経て、さらにパワーアップした『自分の魅力づくり』のノウハウを親切に説明してくれる。

さすがベストセラーになるだけのことはある。赤のリッツ・カールトンもおすすめだ。


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Posted by yaori at 22:53│Comments(0)TrackBack(0) ビジネス | リッツ・カールトン

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