2006年08月05日

万世一系のひみつ 動物行動学の竹内久美子さんの近著

遺伝子が解く!万世一系のひみつ


『浮気人類進化論』、『そんなバカな!』や『小さな悪魔の背中の窪み』などベストセラーを連発している動物行動エッセイストの竹内久美子さんの近著。

週間文春の連載をまとめたもので、それぞれ一つのテーマで4−5ページの読み物になっており、簡単に面白く読める。

最初から『腰のくびれはなぜステキ』という軽いテーマで始まる。ヒップに対するウェスト率(Waist-to-Hip Ratio=WHR)が低い女性ほど受胎しやすいというオランダの研究結果がある。

また男のヒゲは、皮脂腺から分泌される大量の皮脂を蓄え、においをばらまくのが第一の働きで、そのにおいは女性に排卵をうながす効果がある。

週末だけ彼女に会う灯台守の男性のヒゲの伸びを調べてみたら、普通の日より金曜日、土曜日のヒゲの伸びが大きい。ホント、男はわかりやすい!とは竹内さんのコメント。たしかにそうだ。

生理は霊長類の一部のメスにしかないが、経血が大量なのは人間の女だけ。この理由は全くわかっていない由。

マーギー・プロフィットという学者は、女性はSEXによって精子と一緒に運ばれてくるバクテリアやウィルスに感染するので、子宮内膜がはがれ大量の血液によってバクテリアやウィルスを一掃できるという学説を唱えている。

なるほど。しかしこれだと人間よりSEXの頻度が高いチンパンジーでは経血は少ないことの説明がつかないということで、いまだに結論は出ていないのだ。

印象に残ったテーマをいくつか紹介しよう。


『あなたと私の共通のご先祖様は』

『利己的な遺伝子』で有名なリチャード・ドーキンスがオックスフォードの授業で、田舎出身の学生にこの質問をしている。


利己的な遺伝子 <増補新装版>


その時は約200年ということだったが、日本でも大体江戸時代、戦国時代、室町時代までさかのぼれば確実だろうと。

ちなみに『利己的な遺伝子』(Selfish gene:セルフィッシュ・ジーン)とは生物は遺伝子が時間の旅をする単なる乗り物で、主人は遺伝子だという驚くべき、しかし納得性の高い説である。


『出生率向上作戦』

婚外子率が高いほど出生率も高い傾向があると、竹内さんは指摘する。

婚外子率は北欧では半分以上、イギリス、フランスでは4割になっている。これは正式な結婚をしなくても、税金や相続について結婚者と変わらない扱いになるように法律が改正されたからだと。

数字で見ると確かにそうである。

国名      婚外子率     出生率
アイスランド  65%      2.08%
スウェーデン  55%      1.54%
ノルウェー   50%      1.85%
フランス    42%      1.77%
イギリス    40%      1.64%
イタリア     9%      1.23%
日本       2%      1.29%

「子供はすっごく欲しい。でも、結婚となると…。」というきちんと結婚しなくてもいいなら、子供を産むという女性のホンネ、日本もそろそろ法律を改めては?

考えさせられる竹内さんの提言だ。


『女帝論争、ここに決着』

日本の皇室は1,500年余り、同じY染色体が繋がっているという世界にも例のない伝統であると竹内さんは指摘する。

人間の染色体は女でXX、男でXYとなっている。

女のXXは生殖細胞をつくる減数分裂の時に、それぞれの遺伝子が互いに一部を交換して(交差という)卵子ができるが、男のXYは交差することなく精子ができる。

染色体が交差しないのは、すべての染色体のうちY染色体のみであると。

女帝が誕生するのも良いが、基本は皇室のY染色体が引き継がれる様な相手と結婚して伝統を守って欲しいと竹内さんは語る。

反論も出てくるかもしれないが、注目すべき科学的論点である。


周期ゼミはうまい

筆者が個人的に特に印象に残ったのはセミの話。『17年ゼミのひみつ』という周期ゼミの話だ。

周期ゼミとは普通なら1年で一生を終えるところ、17年間も地中に居て周期的に発生する北米にいる2−3CMの小さなセミだ。

17年も地中に居る理由は捕食者対策で、一時期に大量に発生すれば捕食者も捕らえきれないので、生き延びる可能性が高いからだ。

しかしあまりに大量に発生するため、いっそのことセミを食べてしまえとセミ食いを始めると、周期ゼミはおいしいことがわかり、人間も鳥もリスも犬もむさぼり食ったと。

うまいので捕食者がふえてしまったので周期的な発生することになった?

なぜこの話が印象に残ったのかというと、実は筆者はセミの幼虫を食べたことがあるのだ。

げてもの食いの様に聞こえるかもしれないが、中国の山東省の済南に出張して耐火煉瓦のメーカーと会食したときに大皿にずらっと並べられたセミの幼虫がでてきたのだ。

こちらは主賓なので、まず筆者が食べないと始まらないため、しかたなく数匹取って食べたが、どんな味だったのか覚えていない。

見ていると中国人でも食べる人と食べない人がいて、なにか騙された様な気がしたが、あとで聞くと今の時期(冬だった)のセミは冷凍なので新鮮ではないとか言っていた。

それほどひどい味ではなかった事だけは覚えているが、セミは二度と食べたくないと思っていたところに、この周期ゼミはうまいという話だ。

ひょっとして自分はセミを見て身構えてしまい、ちゃんと味わっていなかったのかもしれないと一瞬思った。(中国人も食べていなかったので、たぶんそんなことはないのだろうが)


その他クモはなぜ自分の糸にひっかからないのか、本当にペットは飼い主に似るとかいった雑学的な話題もある。

竹内さんの本らしく、大人が楽しく読めるおすすめできる本である。


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Posted by yaori at 21:30│Comments(0)TrackBack(0) 趣味・生活に役立つ情報 

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