2006年11月05日

ハイコンセプト 「新しいこと」を考え出す人の時代 大前研一訳の21世紀の勝ち組

ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代


本の帯がふるっている。

21世紀にまともな給料をもらって、良い生活をしようと思った時に何をしなければならないか ー 本書は、この「100万ドルの価値がある質問」に初めて真っ正面から答を示した、アメリカの大ベストセラーである。大前研一

大前さんの訳者解説がこの本の内容をよくまとめているので、大前さんの解説を中心にあらすじを紹介する。

「格差社会」を勝ち抜くための三条件

私は、この本の翻訳を二つ返事で引き受けた。それほどこの本は、これからの日本人にとって大きな意味があるからだ。

それはいま話題の「格差社会」という問題に深くかかわっている。

経済のグローバル化で、中国で生産できるものは中国に、ITなどインドでできるものはインドで、というふうに少しでも人件費が安くすむ地域へ産業は引っ張られ、下の給料は中国・インドに引っ張られる。

一方上の方は、アメリカのプロフェッショナルに引っ張られる。トレーダー、大手コンサルタントなど億単位の給料を貰うのが普通になった。

所得分布がM字型になったとき、われわれは何をしたらよいのか、上に行くには、次の三つを考えなければならない。

1.「よその国、特に途上国にできること」は避ける
2.「コンピューターやロボットにできること」は避ける
3.「反復性のあること」も避ける
   反復性があることは、コンピューターがやってしまうか、アウトソーシングされるからだ

(以上の3点は大前さんのまとめだが、著者のダニエル・ピンクはこう付け加える。

4.自分が提供しているものは、豊かな時代の非物質的で超越した欲望を満足させられるだろうか?)

要するに、これからは創造性があり、反復性がないこと、イノベーションとか、クリエイティブ、プロデュース、といったキーワードに代表される能力が必要となってくる。


第四の波

アルビン・トフラーの『第三の波』はいまや古典的名著だが、大前さんはトフラーと旧知の仲で、トフラーはビジネスブレークスルーの出資者の一人でもあるので、この本の題名を『第四の波』としていいかどうか、トフラー夫妻に聞いたという。

第三の波とは。第一の波(農耕社会)、第二の波(産業社会)が終わって、これからはナレッジ・ワーカーの情報化社会だというものだ。

このナレッジ・ワーカーの仕事が急速にコンピューターやインターネットに取って代わられてしまっている。弁護士や会計士の仕事を100ドル程度のソフトが肩代わりしているのだ。

それが著者のダニエル・ピンクが提唱する情報化社会から「コンセプチュアル社会」、右脳主体の発想ができる突出した個人の時代となりつつある現在なのだ。


専門力ではない総合力の時代

今まではある種の知識を持った特定の人たちの世の中だった。プログラマー、弁護士、MBA取得者など。

これからは、何かを創造できる人や他人と共感出来る人、つまり芸術家、発明家、デザイナー、ストーリーテラー、介護従事者、カウンセラー、そして総括的に物事を考えられる人たちの時代である。

いままではMBA資格が重視されていたが、これからはMFA(Master of Fine Art)が最も注目されている資格だ。

情報化社会を引っ張ってきた左脳的能力だけではだめで、右脳的な資質が重要になってくる。


6つのセンス

ダニエル・ピンクが重視する6つのセンスとはデザイン、物語、調和、共感、遊び、生きがいだ。

1.これからは機能だけでなくデザインが意味を持ってくる。

2.誰でもすぐにタダで検索できる時代の情報価値は、人に訴えかけることができる物語である。

3.個別よりも全体のシンフォニー(断片をつなぎあわせて統合する能力)が重要だ。これから成功するタイプは、マルチタスク、発明できる人、巧みな比喩(メタフォー)が作れる人である。

4.相手を説得するのは論理ではなく、共感をつくれることが重要だ。これは相手の感情を読みとる能力だ。

5.まじめだけでなく遊び心が重要だ。

米軍のAmerica's Armyテレビゲームを紹介している。

米軍は志願者が減少している現実を踏まえ、志願者を増やす方法として、なんと擬似的に軍の生活や作戦を体験できるゲームをつくって理解を広めることを始めた。

まさに遊び心である。


America's Army








いまやAmerica's Armyは760万人がダウンロードした大人気ゲームとなっている。

America's Armyは目的を達成する上で必要なチームワークや価値観、および責任を強調しているという点で、他のゲームとは一線を画すものだ。

6.物よりも生きがい

最後に、ダライラマの言葉を紹介している。

科学と仏教はとてもよく似ています。なぜなら、どちらもリアリティの本質を探ろうとしているからです。そして、どちらも、人類の苦しみを軽減することを目標としているのです。


ハイコンセプト、ハイタッチの時代

ダニエル・ピンクはこれからは、右脳中心のクリエイティブさ、人々の共感を得られるかどうかが重視されるハイコンセプト、ハイタッチの時代だという。

このことを強烈に印象に残る形で説明しているのが、本文にはない大前さんの解説の「カンニングOK」社会への転換という点だ。

今の義務教育で教えているようなことは、メモリーチップに入れるとせいぜい100円程度の価値しかないという。そこまでつぶしがきかなくなった。

現実にアメリカの高校ではカンニングを容認するようになってきたという。

答のない時代のいま、世の中に出たら、知識を持っていることよりも、多くの人の意見を聞いて自分の考えをまとめる能力、あるいは壁にぶつかったらそれを突破するアイデアと勇気を持った人の方が貴重なのである。

自分一人で考えたり、覚えていることは二束三文の価値しかない。学校で教えてくれる程度のことも二束三文の価値しかないのだ。


教育基本法改正が現在論議になっているが、ダニエル・ピンクの提唱するような右脳素質を伸ばし、21世紀に世界じゅうの国と対等に戦えるクリエイティブな日本人を育成する戦略となっているのだろうか?

筆者も反省するところ大だが、知識詰め込み物知り人間では、世の中が情報検索無料、「カンニングOK」の時代になってきたら役に立たない。

カンニングOKの時代でも競争力のある人材が21世紀の勝ち組となるのだ。大前さんの解説がこの本の価値をより一層高めている。考えさせられる良い本である。


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Posted by yaori at 02:11│Comments(0)TrackBack(1) ビジネス | 大前研一

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ハイ・コンセプト 「新しいこと」を考え出す人の時代
ハイ・コンセプト 「新しいこと」を考え出す人の時代【経理マンの営業日誌】at 2008年05月04日 21:15