2006年11月30日

使える弁証法 ソフィアバンク代表田坂広志さんの近著

使える 弁証法


シンクタンクのソフィア・バンク代表で、多摩大学大学院教授の田坂広志さんの近著。

田坂さんは著書が多いことで知られているが、どれも読みやすい本ばかりで、いままで7−8冊程度は読んだ。

筆者は現在の会社に来る前に、1999年から3年ほど米国と日本で企業向けインターネット逆オークション事業を立ち上げようとしていたので、当時田坂さんの講演を聞いたことがある。

たしか「これから日本市場で何が起こるのか」という本が出たころで、ニューミドルマンが活躍する場が多く出てくるという様な内容だったと思う。


ネット革命 これから日本市場で何が起こるのか―ニューミドルマンが資本主義市場を進化させる


まず驚いたのは会場に入ると、講演に出てくるキーワードをびっしり書いたA4一枚のトーキングペーパーを渡されたことだ。

トーキングペーパーがあるので、話の展開がよくわかり、記憶に残る講演内容だった。

このトーキングペーパー配布という配慮からもわかるとおり、田坂さんの読者に理解して貰おうという努力には頭が下がる。

この本も非常に読みやすく書かれている。

表紙に「ヘーゲルが分かればIT社会の未来が見える」と書いてあるが、筆者はヘーゲルなんて大学時代に教養として読んでからは、ほとんど縁がなかった。

『弁証法』とか『止揚(アウフヘーベン)』などという言葉だけは覚えているが、内容はどうだったのかおぼつかないところがある。

この本は次の3章で構成されている。

第1章 弁証法は、役に立つ
第2章 弁証法を、どう使うか
第3章 弁証法で、身に付く力


それぞれの印象に残った部分を紹介する。

第1章 弁証法は、役に立つ

弁証法で最も役に立つ法則

弁証法にはいくつもの法則があるが、重要なのは次の法則であると:

1.螺旋的発展
2.否定の否定による発展
3.量から質への転化による発展
4.対立物の相互浸透による発展の法則

このうち、田坂さんは弁証法で最も役立つ法則は「螺旋的発展」の法則だと説く。

螺旋的とは直線的に対する言葉で、「進歩・発展」と「復活・復古」が同時に起こるのが螺旋的発展なのだと。

例えばネット革命。

オークションと逆オークション。市場(しじょう)が「いちば」と呼ばれていた時代のビジネスが、ひとたび消えてまた新しい形で復活したのだ。

ネット・オークションは資源リサイクルのしくみとしても優れている。これから復活してくる懐かしいものとは、「御用聞き」の復活のコンシェルジェサービスなどだ。


なぜ、この時代に「螺旋的発展」が起こるのか

これまでも「螺旋的発展」はあったが、世の中の変化が遅かったから気づかなかった。

ドッグイヤー、マウスイヤーの現代だから「螺旋的発展」を見ることができるようになったのだ。

企業は3年計画を毎年見直す時代となった。先のことは予測不能なのだ。

田坂さんは「書を捨てて、街に出よ」と訴える。街で「螺旋的発展」を見つけようと語る。


第2章 弁証法を、どう使うか


復活では、必ず「価値」が付け加わる

ECショップを電子自動販売機、電子通販と考えた人は失敗した。

顧客はECショップというハイテクの場で、実は昔ながらの店のオーナーとのふれあい、ハイタッチを求めたのだ。

成功しているECショップは、オーナーの顔が見えて、心配りが感じられるショップなのだ。

だから我々は「新しいもの」を「新しい眼鏡」で見なければならないと田坂さんは語る。いかなる形で新たな価値が付加されるかを考えるのが、新しい眼鏡でみることなのだと。


現在の動きは必ず「反転」する

田坂さんは「知識社会」は「知識が価値を持つ社会」ではなく、「知識が価値を失っていく社会」だと語る。

今までは専門知識は一部の人に限られていたが、これからは「言葉で表せる知識」は相対的な価値を失っていき、「言葉で表せない知恵」が価値を持つようになる。

かつての徒弟制度の「体で覚えろ」とかが復活して、スキル、センス、ノウハウといった知恵になって価値を持ったのだ。


第3章 弁証法で、身につく力

弁証法の次の法則から、田坂さんは弁証法を知ると「対話力」と「歴史観」が身につくと語る。

1.弁螺旋的発展
2.否定の否定による発展
3.量から質への転化による発展
4.対立物の相互浸透による発展の法則

たしかに弁証法という枠組みで考え方の整理ができる。

わかりやすく、読みやすい。考え方のヒントが得られるおすすめの本である。


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Posted by yaori at 00:33│Comments(0)TrackBack(0) ビジネス | 成功哲学

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