2007年10月21日

不都合な真実 アル・ゴアが力説する 地球温暖化の恐るべき事実

2007年10月22日追記:

「不都合な真実」の著者のアル・ゴア元米国副大統領がノーベル平和賞受賞者となったので再掲する。筆者は結局この映画は見なかったが、大変参考になる本だった。

地球の気候の変化は身近まで押し寄せている、是非この本を読んで現状を再認識することをお勧めする。


不都合な真実


映画も公開されているアル・ゴア元米国副大統領の地球温暖化、環境問題についての事実をふまえた訴え。

アル・ゴアは2006年のサイエンティフィック・アメリカン誌の「最も影響力のあった指導者」として選ばれている。

世界一受けたい授業







先日日テレの世界一受けたい授業に出演していたので、見た方も多いのではないか。

Futsugou







映画のホームページでは予告編が見られるので、是非見て頂きたい。エッセンスが紹介されている。

アル・ゴアは副大統領になる前の1992年に「地球の掟」というベストセラーを出している数少ない環境保護論者の政治家である。

またクリントン政権の副大統領時代に情報スーパーハイウェイ構想を発表し、ITの力でアメリカが世界の産業界をリードするポジションを取り戻した立役者でもある。

シリコンバレーを民主党びいきにしたのも、彼によるところが大きい。

ちなみにアル・ゴアの父親アル・ゴア・シニアは米国のハイウェイ網建設を推進した政治家の一人で、父親のハイウェイ構想と対比された情報スーパーハイウェイ構想だった。


悲運の大統領候補

筆者はアル・ゴアが敗れた2000年の大統領選挙をアメリカに居て経験した。

エレクションデイ(11月の第2火曜日)の夜、各テレビネットワークが州別の勝ち負けを発表し、青と赤で地図がどんどん色分けされていく中で、全米中が興奮していた。

2000 electipn






たしか真夜中にはアル・ゴアが優勢(当確?)と報道された様な記憶があるが、翌日起きてみるとまれに見る接戦で、フロリダの獲得票が最終の結果を決めることとなり、ブッシュの勝利が一旦発表され、アル・ゴアもブッシュ・ジュニアを祝福した。

得票数ではアル・ゴアが勝っていたが、アメリカの大統領選挙は選挙人を選ぶ間接選挙なので、選挙人の数では277:266でブッシュがわずか5人の差で勝利を収めた。

ところがフロリダの各カウンティの無効票の数え方がおかしいとして、再集計が発表され、アル・ゴアもブッシュに対する祝福を取り消した。

再集計に結構時間が掛かり、その再集計結果がおかしいとゴア陣営が提訴し、このままズルズルと大統領が決まらないという異常事態になった。

結局連邦最高裁が5:4の評決でこれ以上の再集計中止を決定し、ブッシュの勝利が確定した。この間たしか1ヶ月ほどだった。

その後アル・ゴアは政界から引退し、たしか大学教授となった後、ビジネス界で独立系テレビ会社や投資事業会社などの会長を務める他、環境問題の啓蒙家として、世界で積極的に活動している。


アル・ゴアが大統領になっていたら

世界の先進国の中で、地球温暖化を食い止める為の京都議定書を批准していないのはアメリカとオーストラリアだけであり、これはジョージ・W.ブッシュがクリントン政権が結んだ京都議定書を批准していないからだ。

なにか昔の国際連盟の話の様だ。第一次世界大戦直後の国際連盟も、アメリカ大統領ウィルソンが提唱したのだが、当のアメリカではウィルソンの民主党に敵対する共和党が議会の多数を占めており、議会が否決して結局アメリカは国際連盟に加入しなかった。

イラクに侵攻したのもブッシュ大統領であり、これは石油業界の利権、カーライルを中心とするファンドにバックアップされた軍需産業の後押しも感じられる。

こうしてみるとアル・ゴアが大統領になっていたら、世界は違った展開になっていたのは確実と思う。それもたぶん今より良い世界となっていたのではないか。


恐るべき事実

この本でアル・ゴアは、地球の二酸化炭素濃度が過去50年急速に上昇し、温暖化のスピードが速まっている事実を指摘する。

1860年以降、地球の平均温度は確実に上昇しており、2005年は過去最高温度の年で、最近の20年はすべて平均気温が高いトップ21に入っている。

各地の氷河の消え去り方、キリマンジャロの雪が数年でなくなるなど、一目でわかる数々の事例が写真で紹介されている。

2004年、そして2005年にニューオリンズを襲ったハリケーンカトリーナは記憶に新しい。毎年毎年ハリケーンの勢力は強くなり、ブラジルなど、今までハリケーンのなかった地域にもハリケーンが発生している。

これも温暖化で起きる現象だ。

もっと深刻なのは北極だ。南極の氷冠は3000メートルの厚さがあるが、北極の氷は平均3メートル以下だ。北極は地球で一番温度が上がっている場所で、直射日光と海水の気温上昇のダブルパンチで、急速に氷が溶けている。ホッキョクグマも絶滅が心配されている。

地球の平均気温は14.5度だが、気温が2−3度あがるとき、赤道付近では0.5−1度しかあがらないが、北極付近は7度あがる。


海洋コンベアベルト

地球にはメビウスの輪の様な「海洋コンベアベルト」がある。

北大西洋で蒸発により塩分濃度が上がったメキシコ湾暖流が、毎秒2000万立方メートルという信じられない速度で沈み、深層水の流れとなる。

それが南米から南極を通って太平洋で浮上し、赤道付近でまた暖流となってアフリカを通ってメキシコ湾に戻る。

北極やグリーンランドの氷が溶けたとき、この海洋コンベアベルトがどうなるのか。地球に与える影響は計り知れない。

もしグリーンランドと南極の氷が溶けたり割れたりすると、海面は5.5−6メートル上昇する。そうなると世界地図は変わる。

海面が上昇した場合のシミュレーション地図が多く載せられている。上海では4000万人が非難、バングラデシュでは6000万人が家を失うことなる。


エネルギー消費の急増

世界の人口は爆発的に増えている。1945年に23億人だった人口は、2000年には65億人になった。2050年には91億人になると予想されている。

森林伐採はひどい傷跡をアマゾンなどに与えている。

この本の中にある地球の夜の合成写真も驚く。

都市の夜の照明の他に、アフリカ、アジア、オーストラリアではたき火で煮炊きするので、かなりの部分が赤くなっている。シベリアでは天然ガスを燃やしているので、黄色くなり、東シナ海や日本近辺の海では釣漁灯のために水色になっている。もっとも北朝鮮はまっくらだ。

世界中で温暖化ガスが放出されているのだ。


アメリカが世界最大の温暖化ガス排出国

温暖化ガスの排出量では、アメリカ一国で世界の30.3%を占める。ヨーロッパが27.7%、ロシアが13.7%、東南アジア・中国・インドで12.2%、日本は3.7%だ。

アメリカは中南米、アフリカ、中東、オーストラリア、日本、アジアのすべてを合計したよりも多い温室効果ガスを排出している。

科学において、地球が温暖化しているということほど皆の見解が一致することはまれであると。

過去10年間に地球温暖化に関する論文は928に対して、地球温暖化を疑う論文はゼロだった。

ところが過去14年の間に新聞に掲載された地球温暖化に関するマスコミの記事は636で、地球温暖化を疑う記事はその53%だった。

誰かが世論を操作しているのだ。

それは石油業界や自動車業界などに支援されたブッシュ政権に他ならない。アル・ゴアはこれはタバコの害を隠した、タバコ会社のロビー活動と同じだと断ずる。(アル・ゴアの姉は肺ガンでなくなった。)

ブッシュ政権は京都議定書を批准していないが、米国の多くの都市は京都議定書を独自に"批准"し、温暖化物質を減らす政策を実行中である。

またエクゼクティブの中にも、GEのイメルト会長のように「環境に優しいことはお金にもなると考えている。環境面の改善が、経済面の利潤にもつながる時代なのだ」という考えの人も増えている。

アル・ゴアは将来を守るため、私たちはもう一度立ち上がらねばならないと呼びかけている。


アル・ゴアが呼びかける私たちにもできること

1,自宅の省エネを進めよう
  電球の代わりに電球型蛍光灯を使う。省エネ家電を買う。冷暖房効率を上げる。お湯を節約する。無駄なスタンバイ電力を減らす。風力などのクリーン電力に切り替えるなどだ。

2.移動時の排出量を減らす
  公共交通機関を利用する。賢く運転する。停車中は、エンジンを切る。燃費の良い車に乗り換える。ハイブリッド車に変える。タイヤの空気圧をチェックする。飛行機の移動を減らす。在宅勤務をするなどだ。

3.消費量を減らし、もっと節約しよう
  消費量を減らそう。長持ちするものを買おう。買う前にごみを減らそう。リサイクルしよう。紙を無駄にしないようにしよう。こまめに蛇口をしめよう。買い物にはマイバッグを。生ゴミや落ち葉は堆肥にしよう。マイボトルを持ち歩こう。食生活を変えて肉の摂取量を減らそう。地場産のものを買おう。木を植えよう。カーボン・オフセット(植樹活動)を買おうなど。

4.変化の推進役になろう
  気候変動についてさらに学ぼう。他の人にもおしえてあげよう。自分の学校や会社が排出を減らすように促そう。自分のお金で投票しよう。自分の投資の影響を考えよう。政治的な行動を起こそう。環境団体を支援しよう。


ビジュアルで印象深くまとめてある。映画も見てみたい。是非おすすめできる本である。

最後に一言。高校生の息子にこの本を勧めたら、インキがくさいと言われた。たしかにインキくさい。これで大豆インキを使用していたら(においの点は変わるかどうかわからないが)さらによかったと思う。


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Posted by yaori at 02:28│Comments(0)TrackBack(0) ノンフィクション 

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