2007年04月08日

ゴーン・テキスト ゴーンさんの講演が英語で読め、かつ聴ける

ゴーンテキスト ビジネスの教科書


日産再建の立役者、世界でも再生人として有名なカルロス・ゴーンさんの講演などを集めたもの。

片側から読むと日本語で、反対側から読むと英語になっている。

CDが付いており、ゴーンさんの有名な日産リバイバルプランの発表(一番重要な部分は、ゴーンさんは日本語で演説している)や、いろいろな場所での講演が集められていて面白い。

いかにも教科書的に、女性の採用拡大や多様化したチームの重要性、学生へのキャリアデザインのアドバイスなどのテーマをピックアップしている。

有名なくだりは次の通りだ:

「日産リバイバルプラン」を成功させるためには、どれだけ多くの努力や痛み、犠牲が必要となるか、私にも痛いほどわかっています。でも信じてください。他に選択肢はありません。そして、この計画は挑戦するに十分な価値があるのです……。

これをゴーンさんは、日本語でそのまま読み上げた。

フランス語なまりなので、「ち」が「し」になったりする部分はあるが、強い感動を与える演説である。

この本の目次は次の通りだ(CD印は、CDに収録されていることを示す):

第1章 
1999年、私が来日したとき (CD)
規範に挑戦せよ!
「ザ・コストカッター」と呼ばれて(CD)
「日産リバイバルプラン」発表(CD)
優れた商品さえあれば、解決できない問題はない(CD)
奇跡の復活 ー そこから何を学ぶか(CD)
"運命共同体"として(CD)

第2章
リーダーの条件(CD)
無能な経営陣への処方箋
レイオフ
大切なのは「人とつながる力」を持つこと

第3章
初めて日産に出社した日の出来事
「多様性」が豊かさをもたらす
グローバルにいけ!
トップ営業マンは74歳(CD)

第4章
「多様性」は強力な武器となる(CD)
「多様性」を育む(CD)
企業は女性を求めている(CD)

第5章
キャリアデザインの方法
仕事と家庭
失敗の中にこそ成功の芽がある

第6章
汝の敵は汝自身なり(CD)
アメリカの自動車産業(CD)

第7章
日産ウェイ(CD)ー 15人の経営会議メンバーが箱根の研修所に集まり1日議論して日産ウェイを改訂


ビジネスの教科書、英語の教科書として使われることを念頭に置いており、クラスメートや同僚との討論の材料となるような本となって欲しいという意味も含めて、ゴーン・テキストである。

簡単に読め(聞け)、参考になる。


コストカッター

フランス語で"Le Cost Killer"というのが、正式呼称だ。なぜこれが、日本語でコストカッターになったのかよくわからないが、ゴーンさんの昔のあだながコストカッターである。

ゴーンさんが来日して、資材購買を見直し、鋼板の購入先を高炉メーカー5社から、3社に絞ると発表したとき、大きなショックが日本の鉄鋼業界を痛撃した。

鋼材価格はゴーンショックでたしか2−3万円/トン下がり、川崎製鉄と日本鋼管が合併する業界再編の引き金になった。

ゴーンショックにより、新日鐵はじめ各メーカーは人員整理を行い、血を流したことも事実であるが、日本の鉄鋼価格は大幅に下がったので、世界でも最も安い市場となった。

韓国や中国、台湾、ブラジル、ロシア等からの安値輸入は止まり、むしろ日本の鋼材は世界での競争力を取り戻す結果となった。

そんなつらい時期を経て、現在の日本の鉄鋼メーカーの過去最高の決算があるのだ。

同時にケイレツもほとんど整理された。日産が投資していた1394社のうち、関係が継続されたのは4社のみ。他の株は売却された。


リーダーの条件

最良のリーダーは次の3つの特性があると、ゴーンさんは語る。

1.モチベーションを高める力
2.人から信頼されること
3.結果を出していること

カーネギーによると、成功したビジネスパーソンのうち、知識や技術的スキルが成功要因である例は15%にすぎず、残りの85%は社員に対する接し方や処し方が成功要因だったという。

人とつながる能力、capacity to connectが重要である。


無能な経営陣への処方箋

ゴーンさんは、良いマネジメントとは、その会社を見ればすぐわかると語る。

社員が魅力を感じ、信頼していて、会社の上から下までモチベーションが高まっている。そうなれば、良いマネジメントが行われている証拠だ。

一方、何もかもわかりにくくて、社員がよく理解できていない。そんな場合には良いマネジメントが行われていない。

悪いマネジメントを避ける方法は、一つしかないと。それは、コミットメントを掲げることで、コミットメントとは結果に対する責任をともなう目標である。

「やり遂げよ。さもなくば、いさぎよく去れ」というコミットメント文化をつくり上げることだと。

単純明快なルールである。筆者も反省すべき点が多い。


大切なのは「人とつながる力」を持つこと

ゴーンさんが、アイセック・ジャパンで講演している。

アイセックとは国際的な商学経済学生のNPOで、筆者の学生時代、友人が日本支部長を務めていたこともある。

優れたリーダーに共通して備わっている能力の一つは、Capacity to connect、人とつながる能力である。

話を聞きたい、何かを学びたいと思わせる上司が人を引きつけるとゴーンさんは語る。

また、勝利にこだわり、勝ちたいと思っている人も、リーダーの資質を備えている。

生まれつきのリーダーはいない。リーダーは作られるもの、経験から作られるものであると。だからこの2つの能力をつちかい、高め、実践に生かすことが重要であるとゴーンさんは語る。

優れたリーダーに必要なのは、一にも二にも経験である。たとえ失敗したとしても、その機会を生かし、打ち勝つことができれば、自信になり、困難を乗り越えるたびに自信がつくことで、信頼される より有能なリーダーになっていくのだと、ゴーンさんは学生たちに呼びかける。

ちなみにゴーンさんは、アイセックの学生たちに、自分も学生時代はなにをやりたいか決まっていなかったが、漠然とブラジルで仕事をしたかったので、ミシュランを選んだと語っている。

学生の時に明確なビジョンがなくても、焦る必要はないと。



日産の経営会議


最後に日産の経営会議メンバーが2005年末に箱根で研修し、1999年策定の日産マネジメントウェイを一新した会議の抜粋が紹介されている。CDにも収録されている。

メンバーは日産のゴーンさん、志賀COO,他トップマネジメントと、マイケル・ヨシノ ハーバードビジネススクール教授、浅川 慶應ビジネススクール教授を入れた15名だ。

この会議で決まった日産マネジメントウェイは2つの柱、マインドセットとアクションから成っている。

そしてマインドセットとアクションそれぞれに、5つのキーワードが入っている。そのキーワードを決める会議がこれだ。

結局マインドセットには、クロス・ファンクショナル/カルチュラル、エンパシー(共感、その後トランスペアレントに変更)、フルーガル(最小資源で最大効果)、ラーナー(学習)、コンペティティブの5つのキーワード。

アクションには、モチベート、コミットメント&ターゲット、メジャー、チャレンジ、デリバー(その後パフォームに変更)のキーワードが選ばれ、現在の日産ウェイが策定された。

一流企業の経営会議の模様が収録されたCDというのも珍しい。面白い聞き物となっている。


この本の最大の目玉はゴーンさん自身の演説が収録されているCDだ。CDだともちろん立ち読み(聴き)はできないので、是非最寄りの図書館で借りて、一度お聴き頂きたい。

聴いてみる価値はあると思う。


参考になれば次クリックと右のアンケートお願いします。


人気ブログバナー










Posted by yaori at 01:28│Comments(0)TrackBack(0) ビジネス 

この記事へのトラックバックURL