2007年06月20日

成功はゴミ箱の中に 柳井さんがバイブルと呼ぶ本 マクドナルド創業者の自伝

成功はゴミ箱の中に―レイ・クロック自伝 世界一、億万長者を生んだ男-マクドナルド創業者 (PRESIDENT BOOKS)
成功はゴミ箱の中に―レイ・クロック自伝 世界一、億万長者を生んだ男-マクドナルド創業者 (PRESIDENT BOOKS)


マクドナルドの創業者レイ・クロックの自伝。

ソフトバンクの孫さんとユニクロの柳井さんが自分たちの人生のバイブルだとして、本のあとがきの対談や解説に登場している。柳井さんは事業の創り方として7つの法則を巻末にまとめている。

世界一億万長者を生んだ男と言われているレイ・クロックの起業家としてのスタートは遅い。

レイは52歳の時にカリフォルニア州ロスアンジェルス郊外のサンバーナーディーノでマクドナルド兄弟が経営するハンバーガーレストランを発見し、ハンバーガービジネスに進出した。

この本の4割くらいがマクドナルド以前のレイ・クロックで、ペーパーカップやマルチミキサーのセールスマンとピアニストの2足のわらじをはいて生活をしていた時代のエピソードがつづられている。

柳井さんは「バイブル」と呼んでいるが、読み物としても面白い。


マクドナルドを引き継ぐまで


レイ・クロックはボヘミア(チェコ)系アメリカ人で、1902年にシカゴ郊外に生まれた。高校卒業後、夜はピアニスト、昼間はペーパーカップのセールスマンとして働く。

仕事はハンバーガーの肉の様なものであると。自分にとって仕事は遊びと変わらない喜びを得られるものであると語る。

レイ・クロックはペーパーカップの次にマルチミキサーを販売する。マックシェイクなどのソフトアイスをつくるミキサーだ。

そのマルチミキサーを8台も使っているレストランがあり、同業者が同じミキサーを注文してくる様になった。

レイ・クロックは興味を惹かれてカリフォルニアのサンバーナーディ−ノのマクドナルド兄弟のドライブインレストランを訪問し、ひっきりなしに訪れる客の列にびっくりする。

マック&ディックのマクドナルド兄弟のレストランは15セントのハンバーガー、19セントのチーズバーガー、10セントのフライドポテト、コーヒーは5セント、ソフトドリンクは10セント、ミルクシェイクは20セントでこれがメニューのすべてだ。

清潔なダイニングと駐車場、合理的で清潔なキッチン、なかでもフライドポテトは独自の製法と機械を入れ、飛ぶように売れていた。

レイ・クロックはマクドナルドレストランをチェーン展開することを申し入れる。マルチミキサーをすべての店に売ることが目的だった。

マクドナルド兄弟が事業化に乗り気でないので、レイ・クロック自身がフランチャイズチェーン展開を行い、当初は20年間有効のライセンス料が950ドル。売上の1.9%のロイヤリティを0.5%マクドナルド兄弟、残りをレイ・クロックが取ることでスタートした。

ゴールデンアーチを持ち、赤と白が基調のおなじみのマクドナルドのスタートだ。

しかしマルチミキサー販売会社の社長だったレイが、ハンバーガービジネスを始めたことで、奥さんとの関係は修復不能となってしまった。

マクドナルド兄弟との契約はずさんで、既にカリフォルニア州付近にはマクドナルド兄弟と契約した10店のフランチャイジーがあり、レイとの契約後も、マクドナルド兄弟が契約したフランチャイジーに悩まされることが続き、レイは煮え湯を飲まされる。


成功の理由


どの本だったか覚えていないが、昔読んだ英語のオーディオブックで、次のような話が紹介されていた。記憶を頼りに再現すると:

レイ・クロックが大学で学生相手に講義をした後の飲み会で、学生達に「私の仕事は何か知っているかい?」と質問したという。

学生達はレイが冗談を言っているものと思って、取り合わなかったが、そのうち勇気ある学生が「レイ。あんたの仕事はハンバーガーだってみんな知っているよ」と答えると、レイは笑って「そう言うと思ったよ。」と答えた。「紳士淑女諸君!私の仕事は不動産業です」と。

このエピソードを思い出させる話が紹介されている。

レイとマクドナルド揺籃期からの友ハリー・ソナボーンは、フランチャイズビジネスが儲からないことから、フランチャイズ権を販売する普通のやり方でなく、出店場所をマクドナルドが選び、地主と契約してマクドナルド自身が店を建設して、フランチャイジーに20%から40%のマークアップを乗せてサブリースするやり方を編み出す。

そのための会社がFranchise Realty Corporationだ。

このやり方なら、店が繁盛すると店舗不動産の値上がり益はマクドナルドが手にする。フランチャイジーの規律も保て、マクドナルドが強く要求するQSC&V(Quality, Service, Cleanliness and Value、品質、サービス、清潔さと価値)の徹底もできる。

Forbesの"Greatest Business Stories of all time"にレイ・クロックも紹介されており、英文だがサンプル要約が紹介されており、より詳しくマクドナルドのビジネス手法が紹介されているので、ご興味あればこちらもご覧頂きたい。

Forbes Greatest Business Stories of All Time (Forbes)
Forbes Greatest Business Stories of All Time (Forbes)


開業から10年で株式公開

マクドナルドコーポレーションの最初の店舗はレイの生まれ故郷シカゴ郊外、オヘア空港のあるデスプレーンズに1955年4月15日に開店した。

しかしマクドナルド兄弟は勝手にフランチャイジーと契約続けており、もはや目の上のたんこぶ状態だったので、やむなくレイ・クロックはマクドナルド兄弟から権益をすべて買い取ることを決断する。

マクドナルド兄弟の言い値は270万ドルであり、当時のマクドナルドコーポレーションの収益では到底負担できないものだったが、なんとか融資をまとめて支払った。

最初は低利益に苦しんだが、不動産ビジネス化したとたん、収益が急増していった。

開業してから10年後の1965年4月15日にマクドナルドは上場し、レイは一躍億万長者となる。

ユニクロの柳井さんはまさに同じ道を歩んだ。


広告の活用が成長の原動力

レイ・クロックの成功のもう一つの要因は広告をうまく活用したことだ。レイ自身が、「広告に出費することに何の躊躇もない。なぜなら、それがすべて利子とともに自分の元へ返ってくるからだ。」と語っている。

マクドナルドが起用している広告会社のおかげで、マクドナルドという名前は世の中に知れ渡った。

マクドナルドの広告の効果は単に直接的な売上アップだけではない。満足した顧客はリピーターとして友人を連れてくるし、CMを見た子供は両親にせがんで来店する。そして顧客が増えるのだ。

そういえば、孫さんのソフトバンクも、柳井さんのユニクロも広告に熱心だ。レイ・クロックの教えを経営に生かしているのだろう。


経営者は孤独 創業メンバーと衝突する

レイは社長に創業メンバーのハリー・ソナボーンを起用し、事業を拡大してきた。しかし上場後に、二人の対立は埋めようがなくなる。

もう一人のマクドナルドの創業メンバーで、経理を担当してきたのが、ジューン・マルティーノで、彼女はマルチミキサーのプリンスキャッスル時代からの同僚だ。

レイはハリーとジューンを退社させることにする。レイには20%、ジューンには10%の持ち分株式を与えたので、上場により二人は億万長者になる。

レイは2度離婚して、3度結婚している。2度の離婚は同じ女性、既婚者で子供もいるジョニ・スミスと結婚するためだ。ジョニ・スミスと結婚するため最初の妻と分かれたが、ジョニ・スミスの家族の反対で、結局結婚できず、別の女性と結婚する。しかし数年後ジョニ・スミスと再開し、今度は2度目の妻と別れ、ジョニ・スミスと結婚する。

レイの友人関係や結婚をみていると、一途というのか、自分勝手というのかわからない。そのどちらも正しいのかもしれない。


新商品はフランチャイジーのアイデア

マクドナルドのメニューは上記の通り当初は6品だけだった。フィレオフィッシュはカトリックが多い地区の日曜日対策が必要なフランチャイジーの発案だ。もっとも、チーズを入れたのはレイの発案だという。

ビックマックはピッツバーグのフランチャイジーのアイデアで、バーガーキング対抗商品だ。

エッグマクマフィンがフランチャイジーのアイデアで誕生したので、パンケーキも取りそろえ、朝食マーケットに参入した。

次は夕食マーケットだという。


レイ・クロックの社会貢献

成功した後、レイ・クロックは様々な慈善事業を支援する。病気の子供を持つ恵まれない家族が、安い費用で病院の近くに宿泊できるドナルド(英語ではロナルド)・マクドナルドハウスプロジェクトは全米や世界に広がっている。

クロック財団をつくり、医療研究や病気の子供と家族の支援を中心に毎年数百万ドルの寄付をして、70歳の誕生日には総額750万ドルの寄付を行った。

「お金は儲けるより使う方が難しい」。レイ・クロックの言葉だ。



最後に柳井さんのまとめるレイ・クロックの教えを紹介しておこう:

1.成功者の発想法 ー 商売の神髄はBe darling, be first, be different(勇気を持って、誰よりも先に、人と違ったことをする)
2.失敗を乗り越える力 ー 原理原則を知ることとわかることは違う
3.リーダーシップ ー お客様に配ったあんパンと牛乳への想い
4.成長する組織づくり、人材づくり ー なぜ高学歴社員だけでは駄目なのか
5.ヒットの作り方 ー 売れるブランド、売れる営業の相関関係
6.ライバルとどう戦うか ー なぜレイ・クロックはゴミ箱を見るのか
7.大富豪の金銭感覚 ー お金は儲けるより使う方が難しい


レイ・クロックの成功法則がわかると同時に、柳井さんの経営についての考えもわかる。グリコのように一粒で2回おいしい、おすすめの本である。


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Posted by yaori at 11:32│Comments(0)TrackBack(0) ビジネス | 自叙伝・人物伝

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