2007年10月12日

誰も知らなかったケータイ世代 目からウロコのケータイビジネス解説

誰も知らなかったケータイ世代


ケータイ電話専用の放送局、Qlick TV=QTVサービスを提供しているフロントメディア社長の市川茂浩氏のケータイビジネス解説。

このブログでもケータイビジネス最大手インデックスの落合正美会長兼社長の「当てるコンテンツ外すコンテンツ」のあらすじを紹介しているが、落合さんの本は2001年の発刊で、最近のケータイビジネスの動きを知るには、この市川さんの本が最適だ。

筆者もケータイを使っているが、あくまで便利なツールとして使っているだけで、若者のケータイに対する愛情は今ひとつ理解できないでいた。

先日受講した研修で、「あなたの人生にとって大事な5つのもの」は何かというテーマがグループ討議の課題として出されたが、参加者は家族とか、お金、生きがいとか答えていた。

その時、講師が20代を対象にこの質問をすると、必ずケータイが入ってくると説明していたので、理解できない驚きを感じていた。

その答えがこの本でわかった。


ケータイは部屋にこもって使う!?

筆者は携帯電話は外出の時しか持ち歩かず、自宅では引き出しにしまっている。外出専用だ。しかし若者は自室で一人でケータイを使っている。

全く利用目的が異なる。

ケータイは他人が侵害できない自分だけの世界をつくる友達なのだ。

10代から20代のアンケート結果では、一日のケータイ利用時間は4時間以上と2−3時間で9割近くを占める。情報を得る為に主に利用するものもケータイが首位で54%、次のTVが25%、PCが18%なので、実にテレビの倍以上という結果が出ている。

QTVを見ているシーンでも、暇なとき、寝る前、一人で居るときに回答が集中している。

その意味では筆者が最近買ったiPod touchも一人で見る専用機なので、YouTubeやインターネットへのアクセスの簡単さ、画面のきれいさから言って、かなりのシェアを獲得すると思う。

iPod touch







そしていずれ日本でも販売されるiPod touchに電話機能が付いたiPhoneも、一人向けマーケットで人気となるだろう。


ケータイユーザー5原則

市川さんはケータイ世代の特徴として次の5原則を挙げている。

1.若者は、ケータイでいつでもつながっていたい
2.若者は、ケータイで何人もの役割を演じたい
3.若者は、ケータイで稼ぎたい
4.若者は、ケータイで秘密を持ちたい
5.若者は、ケータイで自己主張したい

これらの原則を理解すれば、若者のケータイに対する愛情が理解できる。

たとえば現在若者に人気のモバゲータウンは、5原則のすべてをカバーしている。ゲームが無料、デコメ、アバター、SNS、ケータイ小説があり、そして姉妹サイトでポイントが稼げる。

モバゲー








ケータイをちゃらちゃらいろんなアクセサリーで飾ることも、10代の女性の9割が使っているデコメを使うことも、自己主張なのだ。

匿名性がヒットの鍵で、モバ彼、モバカノ、モバ学校など、違う自分をつくって楽しむ。ある種の自分探しなのだ。誰にも言えない秘密をたくさん詰め込んでいるのがケータイなのだ。

モバゲータウンが会員200万人に達するまでサイト開設から9ヶ月だった。これに対しPCのmixiは200万人に達するまで1年9ヶ月かかった。PCとケータイの爆発力の差は大きい。

現在ではmixiもケータイに力をいれており、mixi会員になるにはケータイメアドの入力が必須となっているほどだ。


ケータイ2.0

市川さんは2006年夏頃からのケータイビジネスに於ける変化を、ケータイ2.0と呼んでいる。それはi-modeに代表される公式サイトに登録しなければ集客が成り立たない時代から、検索エンジンによる集客に変わったことをさしている。

ケータイサイトはインターネットでは検索できないので、女子高生の中で人気の「プロフ」もケータイのみの世界に限定される。

今やテレビや電車の広告も「詳しくは○○○というキーワードでネットで検索」というのがはやっているが、ほとんどがケータイ検索には対応していないので、みすみす若年層のユーザーを逃しているのだと市川さんは語る。


Qlick TVのサービス

QTVのサービスは、映像広告を見せてからユーザーが見たい番組を提供するというもので、パソコンのGyaoと同様のサービスだ。

ワンセグとQTVの違いを筆者も今まで区別が付かなかったが、ワンセグはテレビで流している同じ番組を放送するのに対し、QTVは様々な提供者がつくった映像を無料で流すものだ。

ワンセグはテレビを携帯電話で見るだけのもので、コンテンツはテレビと同じ。つまり昼の2時台には主婦向けの番組か再放送しかない。

たとえばこれを書いている10月8日は体育の日の休日の月曜日だが、筆者には平日の昼に見たい番組など、ほとんどない。

それに対しQTVはケータイ動画用のコンテンツである。自分の見たいコンテンツがあれば、いつでも見たい番組を見られるのだ。

つまりワンセグはケータイの1機能。QTVはコンテンツなのだ。

使用シーンが自宅で一人ということを考えた場合、居間にテレビがあるのに同じ番組をケータイで見るということはほとんどないだろう。深夜放送のノリで、やはりアングラな番組やマイナーな番組ということになるのではないか。

野球などのスポーツ好きな人は、外にいてもワンセグで試合を見るという使い方はあるし、車の中や旅行先で見たいテレビを見るということもできるが、そんな使い方が必要となるケースはごくわずかだろう。

市川さんはワンセグは、将来的にはカメラ機能と同じく標準装備され、なくても困らないが、ないと物足りないという機能の代表格になるのではないかと語っている。


これからのケータイビジネスのねらい目

市川さんはこれからのケータイビジネスのねらい目として次を挙げている。

1.ケータイへの接触時間・回数を増やすものがはやる

たとえばドワンゴのサイトが成功したのは、テレビCMもあるが、サイトが迷宮化したことがヒットした理由だと市川さんは指摘する。複雑で元に戻れず迷い込むことがケータイ世代の若者にとって、ひまつぶしに最適なのだと。

ちなみにモバゲーもテレビCMを行っているが、ターゲットは主に30代だと。既に500万人の会員を獲得しケータイ世代の会員はほとんど獲得してしまったので、違う世代をねらっているのだ。

またドワンゴのケースでもケータイサイトを会員ゼロから100万人に急速に増やすにはテレビCMが効果的だ。

2.ケータイ上の別人格を演じられるものがはやる
3.ケータイで新しい稼ぎ方ができるものがはやる

ポイントやリアルマネートレードが鍵だ。個人がコンテンツを提供してポイントを稼ぐというセミプロも登場するだろう。

ポイントによって個人サイトの課金システムを元締めする会社が登場すれば、儲かること間違いないだろうと。

4.若者に新しい「秘密」を持たせるものがはやる
5.若者にささやかな自己主張をさせるものがはやる


携帯電話を外出専用と考えている筆者の世代の人には、まさに目からウロコだ。ケータイ世代の特徴をわかりやすく説明している。

約200ページの本ではあるが、テンポが良いので1時間強で読み切れる。

ケータイビジネスを知りたい人には是非お勧めできる本である。


参考になれば次をクリックお願いします。


人気ブログバナー





Posted by yaori at 00:47│Comments(0)TrackBack(0) モバイル | ビジネス

この記事へのトラックバックURL