2008年3月18日追記:
まさかこのブログのせいではないだろうが、カーネギーの「人を動かす」とモーティマー・アドラーの「本を読む本」がアマゾンのベストセラーの50位内に入った。
カーネギーの「人を動かす」は19位。
「本を読む本」は36位だ。
長年のベストセラーのカーネギーはともかく、「本を読む本」は知る人ぞ知る本なので、ベストセラーに入るとは驚きだ。
このブログが「本を読む本」の普及に役立ったとすれば喜ばしい限りだ。
是非おすすめしたい本だ。
2008年3月12日再掲:
長男が大学に合格した。ついこのあいだ生まれた様な気がするが、もう4月から大学生だ。時の経つのは早いものだ。
その長男の合格祝いに贈った本が、この「本を読む本」だ。
大学生になったら是非いろいろな本を読んで欲しい。その際、本の読み方を知っておくのと、知らないのとでは将来大きな差が出てくる。
だからこの本を贈った。
それと必読書として渡したのが、カーネギーの「人を動かす」のオーディオブックだ。
How To Win Friends And Influence People
著者:Dale Carnegie
販売元:Simon & Schuster Audio
発売日:2000-01
おすすめ度:
クチコミを見る
尊敬するコンサルタント新将命さんにならって、大学在学中にはデール・カーネギー・トレーニングも受講して欲しいと思う。
本をたくさん読んで、そして人とのつきあい方を覚えて欲しい。そんな思いを込めてこの2冊を贈った。
2008年1月27日再掲:
1月1日の「本を読む本」の中でも紹介した「本200%活用ブック」というムック本を読んでみた。
仕事に活かす!本200%活用ブック
司法試験の伊藤塾の伊藤塾長、このブログでも紹介しているレバレッジリーディングの本田直之さん、無理なく続けられる 年収10倍アップ勉強法の勝間和代さん、「伝説の社員」になれ! 成功する5%になる秘密とセオリーの土井英司さん、和田裕美の「稼げる営業」になる!―お金と感謝がやってくる3つのステップの和田裕美さんという、ベストセラービジネスライターが自分の読書法、勉強法を紹介している。
「本を読む本」からも、このあらすじで紹介する「読書の4段階」や、「積極読書の技術」の4つの質問などが、大きく取り上げられている。
これらベストセラービジネスライターのコメントを読んでいると、誰もが本を自分のものにしようとして、レバレッジメモ、マインドマップ的整理、赤ペンチェック法、読書ノート、早朝読書会など、様々な努力をしていることがよくわかる。
本田直之さんは、若い人には「とにかくビジネス書を読め。本への投資は100倍になって返ってくる」と言っているという。
本を読む時間がないという人には、本は読めば読むほど仕事が効率化されて、時間が生まれるということを言いたいという。
時間がない人ほど、読まないといけないのだと。
だまされたと思って、まずは今読んでいる量の2倍読むようしてみようと。3ヵ月続けるだけで、自分と仕事に大きな変化を感じることができるはずだと。
まさにその通りだと思う。
年収10倍シリーズの勝間和代さんは、オーディオブックの活用を説く。CDなどもいいが、ダウンロードも便利だと。
筆者もオーディオブックを愛用しているが、なんといっても歩きながら本を読める(聞ける)のがいい。すきま時間を有効に活用できる。
勝間さんのおすすめは、英語なら、このブログでも紹介したオーディブル、日本語なら、フィービー、新刊JPだという。
本を読む上で参考になるムック本である。早い人なら30分あれば読めるので、以下に紹介するモーティマー・アドラーの「本を読む本」(英語タイトルは"How to read a book")とともに、おすすめする。
2008年1月1日初掲:
本を読む本 (講談社学術文庫)
本日は年の始め1月1日なので、本のあらすじブログにふさわしい本を紹介する。
この本はシカゴ大学の哲学研究所所長で、エンサイクロペディア・ブリタニカの編集長も勤めたモーティマー・アドラーの名著である。先日あらすじを紹介したジム・ローンの"The Art of Exceptional Living"でも必読書として紹介されている。
最近発売された仕事に活かす!本200%活用ブックというムック本でも、アドラーのこの本が紹介されている。
英語版Wikipediaによると、アドラーは1902年にニューヨーク市の貧しい移民の家庭に生まれ、14歳で学校からドロップアウトするが、苦学してコロンビア大学の夜学に通う。そこでJ.S.ミルの著作に感銘を受けるとともに、ミルがわずか5歳でプラトンを読んでいたことに衝撃を受け、哲学研究を志す。
この本は、1940年に出版され、英語圏で高校や大学の教材として広く使われ、スペイン語、ドイツ語、フランス語などにも翻訳され、日本では1978年に邦訳が出版された。
先日紹介した本田直之さんのレバレッジリーディングと共通点もあるが、ハウツー本ではなく、読書の基本を述べたものだ。
アドラー自身の言葉によると、「読むに値する良書を、知的かつ積極的に読むための規則を述べたもので、すべての本がこの本のすすめる様な読み方に値するわけではなく、名著といわれる本にこそふさわしい読み方」ということだ。
60年以上前に書かれた本だが、全く陳腐化しているところはない。
英文版の付録ではGreat Booksとして137人の名著が挙げられているが、この本を読んで学生時代にかじった本(目は通したという意味では読んだが、内容を覚えてもいない本)を、再度挑戦してみようかという気になった。
読書の4段階
この本でアドラーは、読書を次の4段階にわけて説明している。
1.初級読書 ー 初歩的な読み書きの技術を習得するためのもの 単に文の意味を理解するレベル
2.点検読書 ー 時間に重点を置いた読書 系統立てた拾い読み 本田さんのレバレッジ・リーディングに近いが、全く同じではない
3.分析読書 ー 時間に制約がない時に本の内容を徹底的に読み込むもの いわばよくかんで消化すること 理解を深めるための読書
4.シントピカル読書 ー 最も高度な読書 最も複雑で組織的な読書法 一つの主題について何冊もの本を、相互に関連づけて読むこと
シントピカル読書
シントピカル読書とは聞き慣れない言葉で、辞書にも載っていないが、朝日新聞の天声人語などの記事を思い出して貰えば良い。
天声人語では、ほとんどの場合、他の人の本や発言が引用され、それを利用してトピックスを構成している。つまり、TPOにあわせて「著者に読者(天声人語の場合には筆者)の言葉で語らせる」のだ。これがシントピカル読書の特徴で、一番難しい点なのである。
シントピカル読書に至る前には、2の点検読書による拾い読みと、3の分析読書が準備段階となる。
シントピカル読書の第一段階は、主題に関係のある作品をすべて再点検し、密接な関わり合いを持つ箇所を見つけ出すことだが、読む本の論旨がわからなければ、他の本も見つけられないというパラドックスがある。
このパラドックスを解消するツールとして、アドラーはシントピコンというブリタニカの「西欧名著全集」の項目索引を挙げている。
ブリタニカによる「西欧名著全集」の紹介は次の通りだ:
「過去の歴史的作品から20世紀の傑作まで、それぞれの作品・作家を紹介した西洋史コレクションとも言えるものです。
西欧世界の1.文学 2.数学 3.歴史・社会学 4.哲学・神学などの諸分野の著名な作品517編・作家130人を収めた大全集です。
また、グレートブックスならではのシントピコン索引は、知識のデータベースとして活用できます。」
邦訳版では見あたらなかったが、この本の英文版の付録として137人の歴史的名著リストが”Great Books”として紹介されている。
もちろんこの137人だけでは不十分で、カバーされていない名著も多い。今ならインターネットの検索や、いずれGoogleのGoogle Book Searchが完成すれば、シントピコン検索が、もっと簡単に手軽にできる様になるだろう。
積極読書の技術
アドラーは、読者は本を読みながら、次の4つの質問を繰り返さなければならないと語る。
1.全体として何に関する本か
2.何がどのように詳しく述べられているか
3.その本は全体として真実か、あるいはどの部分が真実か
4.それにはどんな意義があるのか
さらに本を自分のものにする技術として、本の「行間を読む」ために、本の行間に書き込むことをすすめている。
アンダーラインや、線で囲んだり、書き込みをしたりすることだ。読書は著者と読者の対話でなくてはならないので、読者が著者と意見を異にするか、同じくするかの表現として、本に書き込むのだと。
筆者は書き込みは好きではないので、たくさんしおりを挟んで、あらすじをこのブログにまとめているが、目的は同じだ。
本の構想やプロットを捉え、アウトラインをつかみ、著者の意図を見つけるためにする書き込みは、読者が著者に対して払う最高の敬意であり、書くことと読むことは、教えることと教わることの関係のように相互的であるとアドラーは語る。
さらに、「わかったと言えるまでは、賛成、反対、判断保留の態度の表明を差し控えること」だと。アマゾンなどの書評に多く見受けられるが、「けんか腰の反論はよくない」とアドラーは付け加えている。
文学書の読み方
このあらすじブログは基本的にビジネス書などの教養書を中心としているが、筆者は小説なども時々読んでおり、最近は夏目漱石などの小説の全文を吹き込んだオーディオブックを愛用している。
アドラーは教養書と文学書の違いとして、次のように語っている:
教養書は著者が経験したこと、あるいは経験できるかもしれないことの知識を伝えるものだが、文学書が伝えるのは、経験それ自体で、読者が得ることのできる経験だと。
だから文学書を読むには感覚と想像力が必要で、教養書を読むには判断力と推理力が必要だ。
文学の中に、命題、論証を求めてはならないとアドラーは語る。
筆者は夏目漱石の「それから」や、川端康成の「雪国」などの様に、尻切れトンボで終わる小説には、つい不完全燃焼感を抱いてしまうのだが、それは良くないとアドラーは言う。
作品の好き嫌いを言う前に、読者は、まず作品を誠実に味わうように努力することだと。味わうとは、作者が読者の感情や想像力に働きかけて創り出そうとした経験を体験することである。
教養書を読んで理解するのと同じく、積極的な態度で小説も読まなければならない。
小説は一気に読むものである。「戦争と平和」の様に多くの登場人物が出てきて、わからなくなっても、かまわず読み続けるのだと。
無人島に持参する10冊の本
最後にアドラーは、本はピラミッドだと語る。世界で出版された本の数は数百万(千万?)冊以上に達するが、その中で、本当に読むに値する本は数千冊で、分析読書に適する本となると100冊にも満たないだろうと。
それらは、最高の読書術を駆使しても、完全には理解できず、読み直すたびに、新しい発見のある様な本、つまり永遠の名著だ。
いまたった一人で無人島に流される事になって、持って行きたい本を10冊選べと言われたら、どれを選ぶだろうかと。
自分にとって読み返したい本はどれかということを、改めて考えさせられる。まさに自分の生き方を反映する選択だ。
英語版Wikipediaによると、1980年のインタービューで、アドラーは無人島に持って行く本として次の11冊を挙げている。
トゥキディデスの歴史
プラトンの作品5ー6点
アリストテレスの政治学、形而上学
アウグスティヌスの告白
プルタークの英雄伝
ダンテの神曲
シェークスピアのいくつかの戯曲
モンテーニュの随想録
ガリバー旅行記
ジョン・ロック市民政府論
トルストイの戦争と平和
あなたはどの10冊を選ぶのか?
考えただけでも、楽しくなってくる質問である。
興味をそそられた古典的名著
上記のアドラーの10冊とかぶるものもあるが、最後にこの本の中で紹介されていた古典的名著で、筆者が再度読みたい本を紹介しておく(これらは、筆者が無人島に持って行きたい10冊のリストではない)。
筆者は退職したら図書館に通って、学生時代にかじった古典を読もうと思っているが、人生は限られており、いずれと思っていたら、結局時間がなくなったということもあるので、古典的名著も徐々に読み直そうという気になった。
種の起源〈上〉 (光文社古典新訳文庫)
著者:チャールズ ダーウィン
販売元:光文社
発売日:2009-09-08
おすすめ度:
クチコミを見る
新訳ローマ帝国衰亡史
政治学 (西洋古典叢書)
ソクラテスの弁明・クリトン (岩波文庫)
国富論 国の豊かさの本質と原因についての研究(上)
戦争と平和〈1〉 (新潮文庫)
ハムレット (新潮文庫)
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