2008年02月03日

東京の窓から世界を 石原都知事の対談集

東京の窓から世界を


東京のローカル局であるMXテレビで放映されている石原慎太郎都知事と、各界からの多彩なゲストとの対談集。

この本では、なかにし礼(作詞家、作家)、石井和子(気象予報士会会長)、蓮池透(拉致被害者家族連絡会副代表)、岡崎久彦(元大使、国際政治評論家)、はかま満緒(タレント)、葛西敬之(JR東海会長)、小田啓二(日本ガーディアン・エンジェルス理事長)、星野仙一(阪神シニアディレクター)、中曽根康弘というゲストと対談をしている。

テレビ番組なので台本もあるのかもしれないが、それにしても石原慎太郎氏の博識には感心する。

文人政治家と言えるだろう。

石原慎太郎氏は国会議員として25周年の時に国会議員を辞めて、都知事に転身した。やはりこの人は、国会議員でワンオブゼムになるより、大統領型の都知事の方が向いていると思う。


ところどころに東京都の宣伝も入っている。

たとえば神田川の治水対策として、環状七号線の地下40メートルに設置された直径12.5メートル、長さ4.5キロの巨大な調整池トンネルのことが紹介されている。2007年に全部完成したが、2004年、2005年の台風や集中豪雨の時は、浸水対策として威力を発揮した。

このブログでも紹介した拉致被害者家族会の蓮池透さんとの対談では、帰国した拉致被害者には月額24万円しか政府から支給されていないことや、元外務省の田中均前外務審議官のミスターXのことが糾弾されている。

外務省は拉致をテロだとは言わないと。テロと言っているのは、安倍晋三氏と中山恭子氏だけで、小泉総理も「普通に考えればテロだ」と言っているそうだ。

外務省の田中均元外務審議官の「ミスターX」秘密外交は許せないと石原氏は語る。当時の安倍晋三官房副長官も矢野外務副大臣も、ミスターXが誰か知らなかったという。

加えてブッシュー小泉会談の前に、田中氏が訪米して、加藤大使など正式な外交チャンネルをスルーして、直接米国国務省のアーミテージ氏とかケリー氏と会い、北朝鮮に対して強く当たらないように依頼したという。

首脳会談では「北朝鮮問題の平和的解決には対話と圧力が必要」という共通認識で一致しているものを、田中氏は「圧力」という言葉を公表しないように、アメリカに働きかけていたのだと。

石原氏は、外務省の悪口は言いたくないが、と言いながらも、白洲次郎の論文集を引用して、外務省は「あいつら、外国語ができない。外国語ができない人間は、社交ができない。社交ができない人間に外交できるか」との言葉を紹介する。

逆に一番しっかりしているのは、やはり警察を中心にした内務省で、マッカーサーが軍隊のあと、これを徹底的に潰そうとして、内務省が潰されたのはわかると白洲の本に書いてあったと言う。

北朝鮮へのコメの援助については、石原氏は「ものをやらなかったら出てこない」んじゃない、「やらなきゃ出てくる」んだよと語る。

日朝平壌宣言では、外務省は「拉致」という言葉を一切使わなかった。「日本人の生命に関わる云々」という一行が拉致問題だというのだと。

蓮池さんも、著書では言い出せないことを、石原氏のつっこみもあってか、不満を暴露している。


元大使、国際政治評論家の岡崎久彦氏との面談では、石原氏の米国政界とのコネクションを披露している。

松下幸之助の言葉を紹介した江口克彦さんの「成功の法則」ハドソン研究所の未来科学者ハーマン・カーン氏のことが出てくるが、石原氏はハーマン・カーン氏と仲がよかったので、アメリカの情報がいろいろ入ってくると言う。

今のブッシュのホワイトハウスを動かしているのは、カール・ローブとか、ロバート・ゼーリックとか、みんなハドソン研の連中だが、日本の大使館はそういう人たちへのアプローチができていないと。

岡崎さんは、戦後の総理大臣で偉かったのは岸信介氏だという。

総理就任後、すぐに外遊しているが、最初に行ったのは戦前日本を尊敬していたインドのネールのところで、次にパキスタン他、最後に台湾に行って蒋介石に会って帰ってきた。

アジアで大歓迎を受けて、アメリカに行き、アイゼンハワーに会い、それから東南アジアをすべて訪問し、アジア外交の基礎をつくったという。


弟故石原裕次郎の親友のはかま満緒との対談では、大道芸人をヘブンアーティストとして東京都が認めた話が出てくる。当時の警視総監が話が分かる人で、道交法の関係で資格が必要だが、公道での大道芸を認めることになった。

最後にはかま満緒が、伊勢のおかげ横町の様に、東京でもお台場に「大江戸名店街」をつくり、江戸時代から営業している老舗400店をあつめることを提案している。

JR東海の葛西社長との話では、フランスのTGVは機関車が客車を押し、引っ張る動力集中方式をとっているので、モーターが各客車に分散している日本の新幹線の様に急停車ができず、各駅停車運行や小刻みな運転はできないという。

日本の新幹線は1時間に12本運転しているが、TGVではせいぜい1時間に2−3本で、韓国もTVGを買って困っているようだと石原氏は言う。

JR東海だとやはり話題はリニアだ。ドイツのリニアは8MMしか浮上しないので、ボルトが落ちていても障害になるが、日本の超伝導リニアは10CM浮上する。既に最高時速550キロを達成したという。

実験線は19キロしかないが、一日に90往復しているので、約2,800キロを一日で走行している。これだけ走れれば、いつでも実用化できるのだという。

2025年までに首都圏と中京間でリニアを実用化する計画を、JR東海は進めている。

リニア新幹線





出典:リニア中央新幹線ホームページ


星野仙一氏との対談では金田正一氏の話が出てくる。カネやんと石原氏は山中湖の別荘が隣同士なので、仲が良いが、左手は硬くなって右手のようには曲がらないという。「この左手で400勝して、プロ野球で数十億円稼いだのよ」と言っていたという。

その金田の400勝めの試合の負け投手が星野仙一だという。

金田とはルーキーの年にオールスターで一緒に練習したが、22歳の星野が、40歳近い金田について行けなかったという。

星野は、同年代のナンバーワンは江夏だという。スピード、コントロール、勝負勘、すべてが長けていたという。

長嶋はつかみどころがなかったという。どこに放っても一応バットに当ててくる。王は選球眼が良いので、「ストライクしか打ちませんよ。勝負したかったら、ベースの中に放ってきなさいよ」というタイプだったという。

ただ星野はONよりもちょこまかしたヤクルトの若松とか、広島の高橋慶彦などが嫌いだったという。


最後の中曽根康弘氏は、「命の限り蝉しぐれ」という本を共著で出しているが、今なお改憲の意識が高いのには、感心した。

命の限り蝉しぐれ―日本政治に戦略的展開を


中国は10−15年のうちには日本に追いついてくるが、政治、経済面で2020年頃からがどうなるか動向をさぐり、共存していくのが今後の大きな仕事だという。

中曽根氏は、憲法問題はやはり大事な問題だから、国民運動を起こさなければならないと意欲を語っている。今年90歳になるが、意欲は衰えない。スゴイ人だ。


ゲストも石原慎太郎氏が事前に人選しているのだと思うが、気の置けない対談で、読み物としても面白い。おすすめの本である。



参考になれば次クリックお願いします。


人気ブログバナー




Posted by yaori at 21:48│Comments(0)TrackBack(0) ビジネス | 石原慎太郎

この記事へのトラックバックURL