2008年2月5日再掲:
本日のNHK「プロフェッショナル仕事の流儀」で、ミシュランガイド東京で3つ星を取ったフレンチの「カンテサンス」のオーナーシェフ岸田周三さんの、料理に掛ける情熱を興味深く見た。
岸田さんは、ミシュラン3つ星シェフの中で最年少の33歳だ。
素材の産地に足を運び研究する。
時には北海道でエゾシカ狩りに立ち会い、シカへの感謝の念を持って調理する。
また京都で京野菜を畑で土のついたまま試食し、食材を選ぶ。
メニューはおまかせだけだという。
肉は1分焼いて、5分さます。そのルーティンを2時間続ける。素材の味を最大に引き出すための調理法だ。
カモはジューシーに、魚は身が輝き虹色にひかっている。
さすがミシュランの3つ星だけある。
料金的にも手頃だ。昼が7皿コースで7,350円、夜が13皿で15,750円。3つ星レストランのフルコースでは破格の値段だろう。
岸田さんの師匠のパスカル・バルボ氏のアストランスは、パリで最も予約が取りにくいレストランと言われているそうだが、岸田氏のカンテサンスも、東京で最も予約が取りにくいレストランとなることは間違いない。
既にホームページでも電話がつながりにくいと書いてあり、これからもこの状態が続くだろう。
NHKのドキュメンタリーも面白い。「すきやばし次郎」でも感心したが、調理場の現場にこれだけ長期間密着取材できるのもNHKならではだろう。
2月11日と12日にNHKで再放送されるので、番組を見られることを是非お勧めする。
2008年1月23日初掲
MICHELIN GUIDE東京 2008 (2008)
このブログで、書店でも注文して2−3週間掛かるベストセラー本を、図書館でリクエストしたら何日で読めるか実験した対象の本。
実験結果は、図書館でリクエストして1ヶ月でミシュランガイド東京が読めるというものだった。
そのミシュランガイド東京。ひとことで言って、見ていて楽しい本だ。
ミシュランは東京では、三つ星8軒、2つ星25軒、1つ星117軒のレストランに星を与えた。東京は世界で最もミシュランの星のレストランが多い、ということだ。
世界共通の編集方針なのだろうが、日本のレストランガイドのように料理カテゴリー別に並んでおらず、あいうえお順となっているので、やや使いにくい。
レストランとホテルが、見開き2ページで紹介されている。
レストランの場合、左ページが内部の大きな写真と代表的料理の小さな写真が2枚、反対側のページが解説と地図や入り口の写真、住所・電話番号、料金などがまとめられている。
さすがと思わせるのは、すべてのレストランの内部の写真が、客の座るイスを中心に撮られていることだ。入り口の写真も必ず載っているので、これならガイドを手に初めてレストランを訪問しても、違和感を感じないと思う。
またミシュランに取り上げられるくらいのレストランなので、たとえカウンターだけの小さな店でも、やはりイスにも細心の心配りがされていることがよくわかる。
すばらしいイスばかりだ。
しかし料理の写真が2枚ずつ載っているのに、何の料理なのかが書いていない。右ページに、代表的料理が解説されているレストランもあるが、写真との関連付けはない。
たぶんミシュランの編集方針なのだろうが、折角料理の写真を載せるなら、何の料理なのか書いて欲しいものだ。
元々旅行者向けのガイドブックなので、すべてのレストラン・ホテルの料金レンジが書いてあるのが親切だ。
昔、取引先の世界的に有名な中小企業の社長がよく言っていた、麤皮(あらがわ)という西新橋にある三田牛のステーキレストランも一つ星で載っているが、なんと昼でも夜でもコースが56,000円から78,400円となっている。
たぶんミシュランガイド東京で最も高いレストランだ。
とても普通では行けるレストランではない。正直、値段が高いレストランは、たとえ紹介されていても、料金を見ただけで興味を失う。
しかし、星の数と値段は比例しないところが良い。
ミシュランは、星はあくまで料理の評価であって、レストランの雰囲気とか、サービスの質とかは星のカウントには考慮しないという。
夜のコース料理が1万円前後のレストランも多く掲載されているので、こういったところは、普通の人でも十分行けるところだ。
もちろんミシュランガイド東京には載っていないレストランでも、良い店はたくさんある。
たとえばすしなら、筆者は築地市場の魚がし横丁にある大和寿司(だいわ)がベストだと思っているが、おまかせで3,500円ながら、1時半に閉店して、食べるのに1時間弱も待つ店など、旅行者には不向きの店は、当然載っていない。
うなぎなら神田のきくかわだと思うが、うなぎは竹葉亭しか載っていない。そばの神田 松屋もだ。
そんなこと言っていても始まらないので、ミシュランガイドで、リーズナブルな値段のレストランで、筆者が家族で行きたいと思ったところは、北青山のリストランテホンダ、駒場のミラヴィル(ここのホームページは凝っている)、レストランひらまつグループのキャーヴ・ド・ひらまつだ。
接待で使いたいと思ったのは、銀座うかい亭(鉄板焼)とジョエル・ロブションだ。
先日NHKの「プロフェッショナル」で、ミシュランの3つ星を獲得した、すしの「すきや橋 次郎」が取り上げられていたが、同じ食材でも親方の二郎さんが味見して、満足いかなければ捨てていた。
そしてロブションさんが来日して、「すきや橋 次郎」を訪れた時の場面が、レポートされていた。まさに東西の味の巨匠の真剣勝負という感じで非常に面白かった。
ミシュランの星は、一つでも3つでも余り差はなく、それぞれが素晴らしいレストランなのだろうが、3つ星のレストラン訪問記は、現在発売中の雑誌「おとなの週末」2月号に載っている。
おとなの週末 2008年 02月号 [雑誌]
ミシュランの3つ星だからといって、どうしても行きたいとは思わないが、思わず筆者もこの雑誌を買ってしまった。
超有名レストランのロブションや、ホテルのダイニングもあるが、カウンターだけの10席前後の小さな割烹料理屋も紹介されている。よく調べたものだ。
今回は東京といっても、基本的に山手線の内側で、銀座・築地を除くと、山手線外のレストランはほとんどない。エリアは銀座と六本木・麻布が両巨頭で、だいぶ差があって、神楽坂、赤坂、恵比寿などが続いている。
筆者が家族の誕生日などで、時々利用するうかいグループでは、都心にある銀座うかい亭と、とうふ屋うかいのみが紹介されている。
うかいグループは、味はもちろん、雰囲気やサーブスもよく、価格もリーズナブルなので、東京の郊外まで範囲を広げれば、高尾山のうかい鳥山や、八王子のうかい亭も入ったのではないかと思う。
全部で150軒のレストランが紹介されているが、筆者が食事したことのあるレストランは、わずか1軒だけだった。新宿の女子医大に近い小笠原伯爵邸というスペイン料理レストランだ。
まあ一軒あって良かったというところか。
使いにくい点はあるが、やはり見ていて美しく、楽しいガイドだ。
今は書店でも平積みになっていたので、是非手にとってパラパラとめくって欲しい本である。
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