2008年02月21日

朝30分の掃除から儲かる会社に変わる "No-nonsense"な経営改善策

朝30分の掃除から儲かる会社に変わる―社員ニコニコ業績ピカピカの法則


ダスキンの代理店業務の一方で、経営サポート業を大きな柱とした株式会社武蔵野社長の小山昇さんの経営指南。

2月19日(火)の日経新聞の朝刊に広告が出ていたので、気がついた人も多いと思う。

小山さんは社長!儲けたいなら数字はココを見なくっちゃ!とか強い会社をつくりなさいなどのベストセラーを連発しているビジネス作家でもある。

20年前までは社員の半分はアルバイト上がり、1/3は元暴走族という落ちこぼれ集団だった会社を2,000年には日本経営品質賞、経済産業大臣賞を受賞する企業に再生した秘密は毎朝30分の掃除だったという。

武蔵野は掃除を核に、経営サポート業に進出し、数多くの成功企業を指導している。この本では27社の実例が紹介されていて興味深い。


掃除で思い当たること

筆者は湘南高校出身だが、この本を読んで掃除のことを常に言っていた湘南高校の倫理の先生を思いだした。

小山さんと同様に掃除の効用を語っていたものだ。

湘南高校は戦後すぐ佐々木信也さんが居た時に甲子園で全国優勝したことがあり、箱根の山を深紅の優勝旗が初めて越えたとして、藤沢の地元では大歓迎会が開かれた。その翌日湘南高校の野球部員を中心にみんなで藤沢駅前を掃除したという。

掃除により心身共に鍛錬ができていたのだと、その先生は言っていたものだ。

楽天の三木谷さんの本でも、楽天には掃除人はいない、社員みんなが掃除をするのだと書いてあったが、同じような考えだろう。


他社視察で衝撃を受ける

元々小山さん自身も落ちこぼれだったというが、落ちこぼれ集団で何でも良いから一位になり、社員に誇りを取り戻させたいと考えた。掃除であれば簡単でお金がかからないし、これならできるだろうと思って始めたという。

しかし掃除を始めてすぐ、長野県の精密機械メーカーをベンチマーキングの為に訪問したときに、小山さんはあまりの違いにぶちのめされたという。

精密加工業なので、毎日大量の切削片などがちらかるが、旋盤など工具にはチリ一つ落ちておらず、油がつくこともなかった。

社長に聞いたら、「その方が安全だから。安全だと高品質の製品が効率的に生産できます」と言っていたという。

「徹底するということは、第三者から異常だと思われることだ」と小山さんは語るが、まさに異常なまでの整頓だったという。この精密加工メーカーは京セラのパートナーで、ここの部品は京セラでは何の検品もなく、そのまま納入されるそうだ。

この会社は毎日1時間を掃除に充てていたので、小山さんはせめてその半分でもと思って毎日30分を掃除に充てることにしたのだという。


たしかにある掃除の効用

人を鍛えて組織を掌握するには「環境整備」と呼ぶ掃除が一番と小山さんは語る。「毎朝30分の掃除から儲かる会社に変わる」と聞くと、半信半疑に思えるだろうが、この本を読むとうまく真理を突いていると感心した。

"No nonsense"な経営施策だ。

仕事がしやすい環境を整えて、備えるから利益が出る。環境整備の範囲は新聞紙1枚程度というのがミソだ。毎朝強制的に30分で環境整備できる範囲をピカピカにする。

そうすることで社員が気持ちよく仕事しやすくなるので、効率と安全性があがる。さらに定期的に第三者に見てもらうことで、励みにもなり自信も生まれてくる。

社員同士がぺちゃくちゃ話しながら一緒に掃除するので、社内のコミュニケーションは劇的に変わり、連帯意識が生まれてくる。

来客にも気持ちよく挨拶するので、規律と教育のゆきとどいた良い会社だという印象を与える。そうなればしめたもので、他企業と競争になった場合でも、第一印象が良いから勝てるので売り上げにも直結する。

経営の好循環が環境整備から始まるのだ。


形から入って心に至る

小山さんのやり方はまさに、「形から入って心に至る」を実践している。たとえばお客さまに対して、起立して挨拶ができれば一人当たり100円をその部に払うという。

動機は不純でも、しっかり挨拶を続けることで、必ず心がこもる様になる

アメとムチを使い分けている。環境整備チェック結果の賞与評価反映度は30%だという。だから社員も上司も必死になって環境整備に取り組む。

武蔵野の社員は仕方なく環境整備をしている。仕方なくやることが素晴らしいのだと小山さんは語る。逆説的ではあるが、仕方なくやるという人間の本性に従っているからこそ他の会社にも応用可能なのだろう。

資金が足りない会社には、スタンプカードを導入して50点集まれば、商品券と交換できるようなやり方を勧めている。


中小企業に適した経営施策

中小企業に適した小山さんの経営感覚はすばらしいと思う。

「新聞紙1枚の掃除で、利益3倍の会社が誕生」というのもありえない話ではないと思う。

その反証に小山さんの会社でも、もう大丈夫と安心して掃除時間を30分を20分にしたら、業績が落ちたという。社長に甘えが生じ、それが社員に伝わり社内のムードが変わったからだ。

女性社長が出した本が売れているホッピービバレージも、2006年に小山さんの指導を受けて環境整備を始め、効果が現れた例だ。

全部で27社が紹介されているが、中小企業ばかりなので、筆者が名前を知っている会社はホッピービバレージだけだ。

日本には250万以上の会社があり、中小企業が圧倒的多数を占めているので、中小企業を元気にし、業績を上げる方策としては効果的だと思う。


整理と整頓の違い

環境整備の本質は掃除ではない、整理と整頓であると。整理は捨てること、やらないことを決めることであり戦略だ。まずはやらないことを最初に決めよと小山さんは語る。

書類もドンドン捨て、現在はオフィスでは全員が引き出しのない共有机を使っていると。引っ越し、人事異動、部屋替えが定期的に捨てるチャンスだという。

新人には「やってはいけないこと」を一番先に教えているという。

これに対して整頓は、必要なものを必要な時にすぐ使える状態に保つことで、戦術だ。小山さんはまずは徹底的に捨てることから始めよという。


様々なノウハウを紹介

小山さんの会社や27社の様々なノウハウが紹介されている。たとえば:

*ボランティアにしない(=勤務時間内にやる) 社長自らが率先してやる

*環境整備前、環境整備後を写真などで記録する

*社員に体験させること、定期的に第三者に見て貰うことでやる気を起こさせる


環境整備では、ものの置き方までこだわる。ものを揃えて置くと社員の美的感覚が養われるのだと。

当番表(環境整備カード)は、社員が入れ替わっても維持できるように、変わるものを両軸に配し、変わらないものを表に記入している。

普通は日付と場所の表に名前を記入するという形だが、武蔵野の場合は、日付と氏名が縦横軸で、担当場所を記入するという表になっている。


チェックが重要

環境整備で一番大切なのは、事後のチェックをすることだという。環境整備の成果は4週に一度チェックする。1拠点当たり10分で、抜き打ちチェックは御法度にしていると。

武蔵野が使っている環境整備チェックシートが紹介されている。

チェックシート






採点は社長の小山さんのみが行う。面倒くさがりの小山さんが「仕方なく」現場にいけるようにする仕組みであると。

また△を付けたい場合には×にすると。△ではお客さまに買って頂けないからだという。


パクリを奨励する

社内ベンチマーキングということで、他部門、他社の良いところをどんどん盗むことを奨励しているという。

社員に模範企業を積極的に訪問させ、社員をやる気にさせるもの重要だ。

20年前は社員を社長の小山さんが引っ張る形だったが、現在は360人の社員それぞれがモーターとなり動きだした。1ヶ月もすると会社がすっかり変わり、社長の小山さんですら変化についていくのが大変なのだという。

石原都知事の本に出てきた仏TGVと日本の新幹線の様な話だ。

このような会社に変わったことをうれしく思うという小山さんの言葉で締めくくられている。


筆者もタイトルを読んで半信半疑だったが、読んで納得した。どうやって社員をその気にさせるかをじっくり考えれば、どの会社でも導入可能だと思う。大変役に立つ本だ。

是非一読をおすすめしたい本だ。


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Posted by yaori at 00:41│Comments(0)TrackBack(0) ビジネス | 企業経営

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