2009年08月08日

一生懸命って素敵なこと 林文子さんの自伝的ビジネス論 再掲

2009年8月8日再掲:

またも「林文子」で検索して本ブログを訪問する人が急増している。民主党が横浜市長選挙の候補者の一人として林文子さんを検討しているというニュースが流れたからだろう。

先月2009年7月に会社で林文子さんの講演を聞く機会があったので、それを追記しておく。

筆記用具を忘れたので、記憶から感想を記すが、失礼ながら見かけはちょっと意地悪そうなおばさんという感じだったが、何ともいえないオーラがある。

最初のつかみがスゴイ。

たまたま前列に座っていた社員が林さんの知人で、その社員の名前を呼び、その社員の奥さんが小学生の頃に林さんの家の隣に住んでいて、鍵を忘れて家に入れないことがあり、林さんの家に呼んでご飯を食べさせて、お風呂もいれてあげたのだという話をいきなりしてきた。

「エーッ!」という感じで、聴衆を一気に引き込んでしまった。

話の内容自体は、以下で紹介する本とほぼ同じストーリーだが、みっともない話ではあるが、いい年して筆者も感動で涙がにじんできてしまった。

ホンダで初めての女性セールスマンだったため、男性ばかりの集合研修に参加できなかったので、林さんを採用した販売店の社長が、マンツーマンで指導してくれ、最後はゴム長靴を履いて自ら洗車指南をしてくれた話。「心を込めて車を洗うんだよ」と教えてくれたという。

毎日100軒を目標に始めた訪問セールスで、とても車を買いそうもない赤ん坊が居る若い夫婦のアパートを毎週の様に訪問して、奥さんに「女性のセールスマンってカッコイイ」とか言われ、お茶をごちそうになったりしていたら、そこの旦那が会社の同僚でホンダ車を買いたいという後輩を紹介してくれて最初の車が売れた話。

感性に訴えると言う話。たとえばショールームに来てくれたお客さんを男性社員は、遠巻きにして眺めて品定めし、脈がありそうだったら、声を掛けていたが、林さんは誰に対してもまず来店を感謝し、飲み物などを出してもてなす、そして褒める。

記憶から再現すると、こんな感じだ。

「旦那さんのスーツはとってもセンスが良いですね。奥さんの見立ての良さが現れていますね。ちょっとこの色のホンダ車の横に立ってください。スーツの色と車の色が合って、ひときわ引き立ちますね…。」といった具合だ。

まさに「褒め殺しの林」の本領を見た感じだった。

本でも紹介されているストーリーではあるが、本人の林さんから聞くととても感動を覚えた。

1時間半くらい、林さんは全くメモもなにも見ずに講演した。講演に慣れているのだろうが、人に感動を与える話はさすがだ。

特に強調していた点は、これからのビジネスは感性が大事なので、感性にすぐれ、ねばり強く話を聞く女性の良さをビジネスでもっと生かすべきだという話だった。

男性は部下の話を最後まで聞かずに、「それでは結論は?」とか切り上げることがよくあるが、女性は辛抱強く最後まで聞く。途中で結論をせかしたりしないのだと。

時間がなくなってしまい、質問できなかったが、筆者は林さんに「なぜそんなに人に感動を与えられるのですか?」というちょっとバカみたいなオープンエンドの質問をしてみたかった。

実はそれが筆者の本音なのだ。

何でかわからないが、ともかくカリスマ性がある人だ。

しっかりしたブレーンといわば親衛隊のように随所に配置するキーパーソンさえ確保できれば、横浜市長としても十分やっていけるだけの能力はあると思う。

もし選挙に出るようなら、是非当選して欲しいものだ。



2008年8月25日初掲:

一生懸命って素敵なこと


前ダイエー会長で、先日東京日産販売の社長に就任した林文子さんの自伝的ビジネス論。

林さんの三部作

このブログでは林さんの2005年7月発刊の「失礼ながら、その売り方ではモノは売れません」と2007年10月の「もう一言の極意」の二冊のあらすじを紹介している。

この本は2006年1月発刊で、ちょうど前述の二冊の本の間に書かれている。最初の「失礼ながら…」がダイエー会長CEO就任直後、この「一生懸命…」がダイエー会長CEO在任時、最後の「もう一言…」がCEOを退任し、ダイエー退社直前という三部作だ。

この本では他の本では詳しく述べられていない いわば水鳥の水の中のみずかきの部分の話が林さんの生き方、仕事術として明かされている。

林さんみずからは次のように書いている。

「働く女性たち、とくに若い女性たちに心からのエールを送りたい。私のこれまで歩んできた道のりが、少しでも働く女性たちの励み、ヒントになればと願っている」


この本の構成

この本の目次は次の通りだ。アマゾンのなか見検索で「一生懸命って素敵なこと」の目次がすべて見られるので、是非参照して欲しい。

第一章 私がダイエーでやっていること
第二章 幼い頃から人が好き
第三章 トップセールスマンへの道
第四章 経営の要点は「人」である
第五章 女性の力が企業を活性化する

林さんがダイエー再生に乗り出して、最初に行ったことは従業員用トイレの改修である。CS(Customer Satisfaction)の前にES(Employee Satisfaction)というのが経営者として林さんが言ってきたことだという。


林さんの経歴

林さんが最初にアルバイトをしたのは小学校五年の夏休みにお茶くみをしたことだった。それ以来夏休みになったらアルバイトをして、1965年に高校を卒業して東洋レーヨンのOLとなるが、結婚前の腰掛け的な仕事に飽きたらず、22歳で松下電器の部長秘書として転職する。

しかし、すぐに社内結婚したので居づらくなって半年で退社し、オムロンに転職する。その後31歳でホンダのセールスウーマンになるまで七つの職場を転々としたという。

林さんはOLと書いているが、昔はBG(ビジネスガール)と呼んでいたと思う。BGと言っていた時代の女性社員の仕事は、林さんが書いている通り、お茶くみ他のアシスタント業務で、女性の能力を全く生かせていなかった時代だ。


セールスパーソンに転身

林さん夫妻は二代目の車としてホンダのシビックを買ったが、その時のセールスマンがうだつの上がらない人ながら成績優秀だと聞き、自らホンダのセールスに飛び込んだ。これがセールスパーソンになったきっかけだ。

当時ホンダの集合研修には女性は参加できなかったので、営業所の社長が事務処理や最後に心のこもった洗車まで、3日間自ら林さんに教えて、外回りの営業を始める。

セールスの本を読んで一日百軒を目標にして、自分の顧客リスト・メモをつくった。林さんは「ご用聞き営業」に徹していたという。

林さんを訪ねて多くのお客が来訪するようになったので、それに応対するために営業所の内勤になった。他のセールスマンは客を品定めしてから応対するのに、林さんのやり方はまずお客をお迎えして、客の話を聞き、おもてなししてから車の話をする。

相手が子どもでも、ラフな格好の短パンサンダル履きの若者でも、若い女性でも心のこもった対応は変わらない。

お客にはこんな感じで声を掛ける。「奥様、お若いですし、良いお声ですね。」到底男のセールスマンには真似できないだろう。

そして必ずその日のうちに自宅を答礼訪問する。そのやり方ですぐに営業所のトップになった。

普通のセールスマンは年間40台くらいだが、ホンダに入った最初の年は80台、最高は140台で、毎日15−16時間働いていたという。


BMWに転職

40歳で営業所長になったが、半年で過労で倒れてしまった。医者からは「このままいったら、50代まで生きられないよ」と言われたという。

そこで転職を決意して、BMWの世田谷の営業所に直接電話を掛けたが、女性セールスは採用していないと、その場で断られたので、今度は自分を売り込む七ページのレターを送って面接の約束を取り付けた。

林さんを採用するといかにメリットがあるかという内容のレターである。まさにカーネギーの「人を動かす」で出てくるニューヨークからアリゾナに転居した女性銀行支店長の話そのままだ。

BMWに入ったら41歳の営業所長経験者の自分はヒラ、そして林さんの推薦で採用された男性セールスマンは最初から主任と差別を感じた。それに発憤し、BMWのトップセールスの人から名刺をもらい、来年は必ずその人を抜くとその人の名刺を見つめて誓った。

BMWでも「おもてなし」を大切にしたことから、翌年は林さんが九月まではトップになった。通年ではその人が102台でトップ、林さんが98台で二位だったが、その後は林さんがトップを五年続けた。

このBMW時代の話は、セールスの心得本としても役立つことが多いので、サブタイトルを紹介しておく

・最高の商談を演出すること
・お客を好きになるのも才能の一つ
・先入観でお客を選ばない
・クレーム処理は大事な仕事
・長くおつきあいするともっと素晴らしいことが
・説明でなく”感動”を伝えること

その後BMW初の女性所長として新宿支店を任せられ、業績を急回復させ、新川支店に移ってまた業績を向上させる。

林さんは「ほめ殺しの林」と言われていたという。ともかくセールスマンをほめまくる。人を育てることは本当の喜びであると。


再度転職

53歳の時にフォルクスワーゲングループジャパンの英国人社長から電話が掛かってきて、「社員を幸せにして欲しい」とファーレン東京の社長としてスカウトされる。

ファーレンではまず営業時間を短縮した。社員に生活のゆとりを与え、年功序列も廃止した。ほめ殺しでやる気にさせた結果、四年間で売り上げは倍増した。

そうすると今度はBMWからBMW東京の社長に呼び戻された。

「心を大切にする、人を大切にする、CSの前にESありきということを、是非BMWに戻ってきて実現して欲しい」と頼まれたのだという。

以前からやっていたBMWショールームでの能やコンサートなどのイベントも、お客の風間杜夫さんに頼んで、ショールームで「カラオケマン」という一人芝居をやってもらい、お客を招いて風間杜夫さんとの交流パーティを開いたという。

おもてなしもさらに充実させ、ショールームにはコンシェルジュを置き、ホテル並みのホスピタリティを提供した。さすがBMWだ。


トップセールス、そして女性へのエール

トップセールスには次のような性格の人が向いているという。

1.人にも物事にも好奇心がある
2.目標数字をプレッシャーと感じず、自分をレベルアップさせて達成感を得ることを喜びと感じられること。チャレンジ精神があること
3.明るくポジティブな性格であること

林さんは、イー・ウーマン代表の佐々木かをりさんが開いている国際女性ビジネス会議に毎年参加し、女性の社会進出を応援している。会議で講演したら、参加者一人一人と名刺を交換して話を聞くので、パーティでも全く食事できないという。

女性はオープンで、ビジネスに向いているというのが林さんの意見だ。女性こそ日本の企業を活性化できるのだと。

女性はあきらめてはいけない。いまこそチャンスだと林さんは呼びかけている。たとえばゴールドマン・サックス証券日本法人の社員の40%は女性だという。

女性に対する力強いエールだ。今の林さんがあるのも、これまでの努力の賜物であることがわかって参考になる本である。


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Posted by yaori at 01:21│Comments(1)TrackBack(0) ビジネス | 林文子

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この記事へのコメント
本当に、この人に経営手腕があるのか不安です。
株価もさらに低迷しているし、某大手スーパーの
再建にも失敗した人だし。
優秀セールス出身のようですが、経営手腕と執行
能力は別次元の問題と思います。
Posted by 元OB at 2008年10月11日 14:42