2009年1月8日追記:
著者の岩田氏はオールアバウトのクレジットカード担当のほかに、カード道場というサイトと岩田昭男公式ブログというサイトでも情報発信されている。
このあらすじを岩田氏の公式ブログに紹介頂いたので追記する。
岩田氏のサイトはどれも参考になる情報が満載なので、是非チェックしてみていただきたい。
2009年1月7日初掲:
「信用力」格差社会―カードでわかるあなたの“経済偏差値”
著者:岩田 昭男
販売元:東洋経済新報社
発売日:2008-11
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筆者が尊敬する消費生活評論家岩田昭男氏の力作。「信用力」という新しい分野を切り開く好著である。
岩田氏はもう一冊「信用偏差値」という本も最近出されているので、こちらも近々あらすじを紹介する。
「信用偏差値」―あなたを格付けする (文春新書)
著者:岩田 昭男
販売元:文藝春秋
発売日:2008-11
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日本ではあまりなじみのないクレジットスコア(経済偏差値)が、今後はクレジットカードを作ったり、ローンを借りたりするときに大きく影響するようになることを予測している。
米国では過去のクレジットカードなどの支払い履歴をまとめた「クレジットヒストリー」が、就職のときの重要な評価ツールとなっているという。日本でも外資系企業はクレジットヒストリーを要求するところがあるそうだが、これからは日本でも良いクレジットスコアやクレジットヒストリーを維持することが重要になってくる。
岩田氏は1990年代のはじめに米国に行った時に、書店に入ってクレジットカードのお得な活用法の本を買おうとしたら、「クレジットスコアをリペアする方法」などの本ばかりで驚いたと語る。
それから20年近くたって日本も当時の米国と同じような状況となり、信用力格差社会となりつつある。年収の多さだけで信用がつく時代は終わり、クレジットカードを基にした新しい信用時代が始まっているのだ。
改正貸金業法の第3次施行(2009年6月実施)により指定信用情報機関制度の創設が決まっており、日本でも米国並みの信用力管理「クレジットスコア」が導入されようとしている。日本社会では様々な格差が広がっているが、信用力も社会生活を営む上で不可欠になり、信用を持てない人が大きなハンディを背負うことになってくるのだ。
中流・下流の信用力危機
秋葉原で起こった17人連続殺傷事件の犯人は、犯行前にネットの掲示板にいろいろな書き込みをしていた。その中でクレジットカードがないのでレンタカーが借りられなかったという書き込みがあったことに岩田氏は注目する。
この犯人は派遣労働者だったが、派遣を打ち切られたので、当初4トントラックを借りて元勤務先の工場の入り口をブロックするつもりだった。ところがクレジットカードがないので4トン車は断られたため、現金で借りられた2トントラックで秋葉原の凶行に及んだのだという。
クレジットカードを持っていれば、あるいは秋葉原の事件も起きなかったかもしれない。
岩田氏は、今後中流・下流にはセゾンなどの年会費無料カード(年収300万円以上)、消費者金融のローンカード(年収200万円以上)、そしてそれ以下の最下層には電子マネーというすみわけができるだろうと予測する。
ちなみに岩田氏は電子マネー業界の定本である「電子マネー業界ハンドブック」も出版している電子マネー業界の第一人者でもある。
図解 電子マネー業界ハンドブック (「図解業界ハンドブック」シリーズ)
著者:岩田 昭男
販売元:東洋経済新報社
発売日:2008-03
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電子マネーでも限度額が2万円あるいは5万円なので、一応クレジットカード並みに使えるし、米国の様にデビットカードが普及していない日本ではクレジットカードを持てない層には電子マネーが普及するだろう。
また一部では依然として違法金利を徴収するヤミ金融に走らざるを得ない最下流層も残るだろう。
信用力のある選ばれた人向けのアメックスブラックカード
クレジットカードがつくれなかったり、ローンが受けられなくなる中流・下流とは違って、信用力のある上級の人は楽勝となる。
信用力が最高ランクの選ばれた人には、最上級としてアメックスのセンチュリオンブラックカードがある。年会費は36万7千5百円(2009年4月に従来の16万8千円から2倍以上に引き上げられた)という高額だが、そのサービスは半端ではない。
アメックスのコンシェルジュサービスは「ノーといわないサービス」を標榜するほど充実しているといわれている。24時間365日のコンシェルジュサービスに加えてホテルはスイートルームにアップグレード、飛行機もワンランク上のファーストクラスあるいはビジネスクラスに無料アップグレードされるという。
限度額もないといわれており、ヨットや自家用機の購入にも使えるという噂である。
芸能人では細木数子、みのもんたなどが持っているという。年収3,000万円以上で、プラチナカードを数年使っているなどのクレジットヒストリーがしっかりした人にアメックスの方から持ちかけてくるのだという。
日本では2,000人程度しか持っていないといわれるが、最近コンシェルジュサービスへの電話がつながりにくくなったという話もあり、この数が増えている可能性もある。
岩田氏はオールアバウトでクレジットカードを担当されているが、2004年のアメックスセンチュリオンカードの記事は、いまだに検索上位に上っているという。筆者も何度も読んで参考にさせていただいた。
余談になるが、岩田氏には筆者の別ブログポイントマニアブログもオールアバウトで紹介頂いたことがある。
元ヤンキーズの伊良部が大阪のバーで暴れた事件があったが、あれも伊良部がアメックスのブラックーカードを出したら使えないといわれて逆上したというのが真相だという。
アメックスは加盟店手数料が高いのでアメリカでも飲食店はアメックスが使えない店が結構あるが、日本ではアメックスが使えない飲食店のほうが多い。伊良部はそれも知らなかったようだ。
信用力のある人はブラックカードやプラチナカードが用意されている。ゴールドカードは今やステイタスシンボルではなくなっており、年収500万以上が大体の基準だという。
ゴールドカードは普通年会費1万円だが、三菱UFJ銀行は年会費2,000円のゴールカードを出しているので、ゴールドカードの大衆化に拍車が掛かるだろう。
この本で岩田氏はブラックカードホルダーに直接インタビューしており、大変参考になる。
その人は外資系IT企業のシステムエンジニアで年収2,000万円以下だが、アメックスゴールドカード、プラチナカードとステップアップし、3年ほどプラチナカードを使っていたらアメックスよりインビテーションが来たのだという。
限度額はあるそうだが、飛行機やホテルの無料アップグレードに加え、各エアラインラウンジが使え、送迎はリムジンがつくという。実際に家族で舞浜のシェラトンに泊まったら、1泊3万円の部屋から一泊20万円のプレジデンシャルスイートにアップグレードしてもらったという。
また海外のコンシェルジェサービスは、有名なホテルやレストランの予約がすぐに取れて驚かされたという。
岩田氏は銀行(住宅)ローンの審査、クレジットカードの審査、消費者金融の審査の3つにわけて審査のポイントを詳しく説明していて大変参考になるので紹介しておく。
ちなみに岩田氏が出されている東洋経済の「クレジット&ローン業界ハンドブック」は、すでに3回改訂されており、この業界の教科書といえる本である。
図解 クレジット&ローン業界ハンドブック (「図解業界ハンドブック」シリーズ)
著者:岩田 昭男
販売元:東洋経済新報社
発売日:2008-03
おすすめ度:
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銀行のローン審査
住宅ローンを借りる場合には、次のクレジットカード会社の審査と同様に10項目程度の属性が審査されるほか、借り入れ額が年収に比べて大きすぎないか、消費者金融に借金がないか、延滞はしていないか、クレジットカード保有数が多すぎないかなどがチェックされる。
住宅ローンが借りられる人は日本を代表するプライム層で、次のようなカテゴリーにあてはまる極めて信用力が高いひとたちであると岩田氏は語る。
1.限度額の25〜50%を毎月継続して利用している。
2.返済遅延が絶対にない。
3.常に上位カード取得の意欲を見せている。
4.キャッシング、ローンは絶対に利用しない。
5.住宅ローンを組んだ経験がある。
6.クレジットカードは持ちすぎない。
7.新しいカードを作ってから6ヶ月以上経過している。
年収が高かったり、勤務先が有名企業だから信用力があるというわけではないという。
クレジットカード会社の審査
OKWaveなどのQ&Aサイトでは毎日のようにクレジットカード審査についてのQ&Aが寄せられている。
この本ではクレジットカード会社の審査実体を熟知する岩田氏が詳しく解説しているので、大変参考になる。
クレジットカード会社の審査は、各社のノウハウのかたまりで、秘中の秘であるが、大体はこの業界のデファクトスタンダードのフェア・アイザック社のシステムを採用しながら、年齢、職種、勤務先規模、勤務年数、年収、住所形態、居住年数、電話、家族構成といった10項目程度の属性の評価ポイントと、次のような評点の合計で審査される。
1.過去の支払い履歴(35%)
2.現在の借り入れ残高(30%)
3.与信取引の長さ(15%)
4.新規枠・増枠の打診履歴(10%)
5.現在利用している与信取引形態(10%)
たとえば何社にもクレジットカードを集中して申し込むと審査に通らない可能性がある。本当に審査されるのは年齢でなく可処分所得であり、転職後1年間、転居後1年間などの人生の転機にはクレジットカードを作るのは我慢しろと岩田氏はアドバイスする。
消費者金融会社の審査
消費者金融会社の審査は申込者の顔色を見ながら審査する対面審査だと岩田氏は説明する。
岩田氏は前述のハンドブックの他にも消費者金融業界についていくつもの本を出されており、大変参考になる。
お金を貸す人 借りる人―カード&ローン儲けのカラクリ
著者:岩田 昭男
販売元:実業之日本社
発売日:2004-02
おすすめ度:
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消費者金融の顧客は1,400万人といわれるが、新規契約者では年収400万円以下が62%を占めている。貸し倒れ、延滞は日常茶飯事であるにもかかわらず、無担保で貸すのでリスクが高いという業界の特性から編み出されたのが対面審査である。
お客の顔や服装、言葉遣い、態度等から貸せるかどうか判断するのだ。
ちなみに年収500万円以上の人はむしろ敬遠されるという。銀行で借りられずに消費者金融に借りに来ていると思われるので、資金繰りになんらかの問題があるケースが多い。またたとえ融資しても一度で終わってしまいリピーターにはならないからだという。
岩田氏は、実際に無人自動契約機での審査に立ち会った貴重な経験談を披露しているので、大変興味深い。
無人契約機ブースに入るとロックするように言われ、まずは身分を証明する免許証などの提示を求められる。
無人機のカメラ映像は事務所のモニターに写される。事務所には個人信用機関とつながっているテレホンデータ端末やNTTのデータペース、住宅地図などが置かれている。
申込用紙に属性や他社からの借入額など20項目を記入すると事務員がいくつか質問をして、その場で受け答えがある。それから10分ほどかけて数人の事務員が信用情報機関へ問い合わせたり、免許証が偽造ではないか確認したり、データベースと照合したりして貸し出しの可否を判断する。
岩田氏の立ち会ったケースでは、4社から借り入れしているにもかかわらず、他社からの借り入れゼロと申告していた。当然これは信用情報機関に問い合わせればわかることで、50万円の希望額に対して10万円が貸し出された。
現在は消費者金融会社の申し合わせで、4社以上から借り入れしていると、新規の融資は断られる。また過払い金返還請求をしているとその消費者金融会社では借りられないという。
日本の5つの個人信用情報機関
日本には次の5つの個人信用情報機関がある。
1.全国銀行個人信用情報センター(KSC) 銀行系
2.CIC クレジットカード、信販系
3.CCB クレジットカード、信販系
4.全国信用情報センター連合会(全情連、JIC) 消費者金融系
5.テラネット 消費者金融系
このうち最も古く40年の歴史のある全情連のデータベースは加盟各社のデータがリアルタイムで統合されており、入金があるたびに更新されるという点で最も優れている。消費者金融業界の貸し倒れが少ないのも、このデータベースが充実しているからだといわれている。
ちなみに全情連のデータベースが出来る前は、消費者金融各社が申し合わせて、保険証の角に針で穴を開け、その針穴の位置で会社を特定していたという。
業態ごとに信用情報の交流がないので、クレジットカードで多重債務に陥っても、消費者金融に行けば何度でも借り入れができるということができていた。そのため他業態と連携して信用情報の一部共有化を行うことが決定されている。
信用情報をより広く共有化することにより、多重債務を抑止しようとするものだ。
信用情報機関では、1.個人特定情報、2.契約内容に関する情報、3.支払いに関する情報が登録されている。いわゆるブラックリストというものはなく、3ヶ月支払いが滞った場合は「事故」として登録され、これがブラック情報になる。
信用情報には加盟企業からの問い合わせ・アクセス履歴や、過去5年間の取引履歴、過去6ヶ月間の申込履歴も登録される。
信用情報機関に申し込むと自分のクレジットレポートが入手できる。
4年ほど前にある雑誌の編集者がクレジットレポートを取り寄せたら、CICでは問題なかったが、全情連のレポートでは身に覚えのない借り入れ履歴があったという。
真相は、消費者金融会社の店長が、期末に休眠口座を使って借り出し実績があったように見せかけ、自分の店のノルマを達成していたという驚くべき事態だった。
改正貸金業法の骨子
一般にはあまりなじみのない改正貸金業法の説明も興味深い。
貸金業法の改正骨子は次の5点である。
1.金利規制(グレーゾーン金利撤廃)
2.過剰貸付の抑制(年収の1/3までの総量規制と、すべての業態をまとめる指定金融情報機関設立)
3.業務規制(貸金業登録の最低総資産額を500万円から5,000万円に引き上げ)
4.ヤミ金融対策(罰則強化)
5.多重債務者対策(借りられなくなる人のセーフティネット強化)
法律は2006年12月に成立し、2010年6月に完全施行される。すでに段階的に施行されており、グレーゾーン金利撤廃の影響で消費者金融会社とクレジットカード会社が3大金融グループの草刈り場となりつつある。
たとえば三井住友ファイナンシャルグループは、従来の三井住友カードとプロミスに加え、クレジットカードではOMC,セントラルファイナンス、ポケットカードを、消費者金融では三洋信販(ポケットカードの親会社)を新たにグループに加えている。MUFGはJALカードを買収するといった動きがある。
日本版グラミンバンク構想
従来消費者金融からお金を借りていた個人は、改正貸金業法により新たに借り入れられないという事態が生じている。
現在消費者金融の利用者は1,400万人だが、そのうち1,000万人が消費者金融を利用できなくなるという「ローン難民」が出現するという。ちなみに200万人が多重債務者といわれており、完済はほぼ無理な人たちだ。
こうした人たちに国や自治体は「多重債務問題改善プログラム」をつくって活動をはじめている。日本版グラミンバンクをつくろうというもので、そのモデルケースとなるのが、岩手信用生協だ。
グラミンバンクについてはこのブログでも創設者ムハマド・ユヌス氏の「貧困のない世界を創る」を紹介したが、バングラディシュの貧民専門の銀行である。
岩手信用生協は1969年設立で、組合員向けの低利融資を行い、スイッチローンと呼ばれる生協、自治体、弁護士会、金融機関の4社が一緒になって生活再建のための債務整理や訴訟費用のバックアップを行うなど、解決に至る適切なアドバイスと具体的な解決策を提供している。
グラミンバンクでは借り手を5人ごとのグループにわけ、お金を借りたい時は他の4人の許可を得なければならない。それぞれの借り手が自分のローンに責任を持つが、グループとして互いに励まし合うことで、精神的なサポートになるという。「グループの他のメンバーを失望させたくない」というのが、ローンをきちんと返済する一番の理由だ。
岩手信用生協もチーム構成は異なるが、いずれも債務者をチームで支援しようとするものだ。
しかし岩田氏は自分も借金で苦労した経験があるので、この日本版グラミンバンクは、机上の空論のように思えると語る。
消費者金融会社のような与信管理のノウハウがなくては、新銀行東京のような結末になるのではないかと危惧している。
米国のクレジットヒストリー社会
この本で岩田氏は米国のクレジットヒストリー万能社会について紹介している。
米国ではクレジットビューローと呼ばれるエキファックス、エクスペリアン、トランスユニオンという3社の信用情報機関があり、銀行、クレジットカード会社など様々な会社から支払い履歴などの情報が毎日寄せられる。
過去2年間毎月の返済状況をまとめたのがクレジットレポートで、クレジットレポートの内容を3桁の偏差値であらわしたものがクレジットスコアだ。30日以上の支払い遅延があるとクレジットレポートに記載される。
筆者も合計9年間の米国駐在時に、クレジットヒストリーでは不便な思いをさせられたことがある。
1986年からの最初のピッツバーグ駐在のときにクレジットカードをつくろうとしたら、日本のクレジットヒストリーは米国には反映されないので、ダイナーズにリジェクトされてしまったのだ。
仕事用はアメックスのコーポレートカードが支給され、口座を開いた銀行で限度額が3,000ドル程度のビザカードがつくれたので、あまり問題なかったが、プライベートの支払いも限度額を超える分はコーポレートカードで支払っていた。
アメリカでもアメックスが使えないレストランとかが結構あるので、ビザカードは必需品なのだ。
半年から1年くらい経ってクレジットヒストリーができた段階で、今度はいろいろなカード会社から"Pre-approved"つまり審査合格済みというクレジットカードの案内がやたら送られてきて、手のひらを返したような扱いに驚いたものだ。
そのうちダイナーズからも申込書が送られてきたが、あのときの恨みがあるのでダイナーズカードは一度もつくったことがない。
米国でクレジットヒストリーが重要視される理由は、支払いは銀行引き落としでなく債務者がチェック(小切手)を切って郵送しないと支払いが行われないからだ。
これが筆者の小切手帳である。小切手に手書きで相手の名前、金額を英語と数字で書いて、封筒に入れて送るのだ。スペルミスがあると格好が悪いので、金額を英語で書くのが結構大変だ。たとえば14は"Fourteen"だが40は"forty"だ。
資金繰りに余裕がないときは小切手の送付を支払期日から遅らせることがあり、あまりこの遅れが大きくなると延滞金利を取られるようになるので、ぎりぎりのところで郵送するのがコツである。
米国では銀行がクレジットカードを発行している例が大半なので、銀行に一定金額以上の預金があれば1,000ドル程度の低い限度額のクレジットカードなら発行される。それ以外の場合はデビットカードという銀行引き落としカードを使う。
デビットカードは銀行残高がないと支払えないので、クレジットカードを持てない人でも持てる。だから中・下層向けの支払い手段といえる。
クレジットスコアとは?
クレジットスコアは前述のフェア・アイザック社のFICOスコアというスコアリングがデファクトとなっている。
クレジットスコアは300点から850点までランク付けされており、米国民における比率は次の通りだ。
800点以上 13%
799〜750 27%
749〜700 18%
699〜650 15%
649〜600 12%
599〜550 8%
549〜500 5%
〜499 2%
米国ではクレジットスコアにより、社会の階層化がより促進されたと岩田氏は語る。
クレジットスコアは日本に於いてはいわゆるセンシティブ情報ということで、個人情報の中でも最も知られたくない個人情報に分類されている。
しかし通販業界が政治力を持っている米国ではその点はルーズで、ダイレクトメールの送り先を抽出するために信用情報機関からクレジットスコアが高い人のリストを購入するということも日常的に行われている。
だから良いクレジットヒストリーができると、やたらにクレジットカードの勧誘のダイレクトメールが来るのだ。
日本では統一的なクレジットスコアの導入は急ぐべきでないと岩田氏は考えているが、現実としては日本もそういった社会が近づいているように思われると語っている。
クレジットスコアをあげる方法
最後に岩田氏は、クレジットカードの審査に通るために、前述の転職後や転居後1年間はじっと待つなど、基本的な対策のほかにクレジットヒストリーを磨く方法を伝授している。
クレジットヒストリーには過去2年間の毎月の返済状況が”$”(期日どおり支払い)マークで示されているが、毎月”$”マークが並んでいたほうが審査担当者に心証が良い。
こまめにカードを使ってくれている積極的なカードホルダーと評価されるからだ。
JCBカードなどは、毎月きちんと払っていても”$”マークはつかないので、クレジットヒストリーを修復するにはOMCカード、ビューカード、セゾンカードなど支払い記録に”$”マークがつくカードが良いと薦める。
さすが消費生活評論家第一人者の岩田氏の実際的なアドバイスである。
生活習慣をあたらめることで、信用力をいくらでもつけられる時代になったので、クレジットヒストリーの仕組みを知って自分の点数が下がらないように努力すべきであると語る。
それには次の6つの原則を実行することである。
1.カードを持ちすぎない
2.返済には決して遅れない
3.限度額いっぱいで使うことはしない
4.毎月一定額は必ずカード払いをして実績を積む
5.複数のカードの申し込みを短期間にしない
6.一度申し込んだら半年間は期間をあける
これらのアドバイスに従い、年に1回くらいは個人信用情報機関からクレジットレポートを取り寄せて、自らのクレジットヒストリーを確認することを岩田氏はすすめている。
消費者の「信用力」という新しい分野の定本となる本である。
岩田氏ならではの現場密着型の情報が満載で、アドバイスもすぐに実行可能なものばかりである。
是非一読をおすすめする。
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