2009年02月09日

ロジカル・ライティング 人を動かすレターの書き方

ロジカル・ライティング (BEST SOLUTION―LOGICAL COMMUNICATION SKILL TRAINING)ロジカル・ライティング (BEST SOLUTION―LOGICAL COMMUNICATION SKILL TRAINING)
著者:照屋 華子
販売元:東洋経済新報社
発売日:2006-03-24
おすすめ度:4.0
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前回紹介した「ロジカル・シンキング」の実践編。

人を動かすには相手の立場になって考えろと言われるが、相手の立場にたって考えるというのはどういうことなのか論理的に示されている。加えて文章作成のテクニックが多く紹介されていて実用的で参考になる。

大学生の息子にも読ませた本の一つだ。

コラムに「ロジカル・シンキングは筋力トレーニングと同じ」というセミナー受講者のコメントが紹介されている。

筋力アップには「やっとできる」程度の負荷を掛けることが大事で、楽なトレーニングをいくらやっても筋力アップにつながらない。汗をかくくらいの負荷を継続的にコツコツやらないといけない。

ロジカルシンキングも同じで、「なるほどこういう手法か」と頭で理解するだけでは宝の持ち腐れで、「これをMECEにわけると」とか「So What?すると」など、頭のなかに汗をかきかき、考えることの積み重ねでスキルがついてくるという。

読み手の立場になって考えろとはよくいわれることだが、次の要素を確認することが読み手の立場点に立つことだという。

視点1 なぜ、「このテーマ」を設けたのか?

視点2 なぜ、「この反応」をとらねばならないのか?

視点3 なぜ、「この書き手」なのか?

視点4 なぜ、「この読み手」なのか?

視点5 答えについてあらかじめ把握しておくべきことはないのか?


書く前にやること

書く前にやることは、読み手の立場に立って考えることと同じで、テーマの確認、期待する反応の確認、読み手の確認、そして書き手の確認だ。つまり「何について、何のために、誰が、誰に向けて書くのか」ということだ。

テーマを確認するとは、「現状」はどうか、「課題」は何か、「アクション」は何かの3点を確認することだ。

期待するアクションの確認とは、読み手に「理解して貰う」のか、「フィードバックして貰う」のか、「アクションをとって貰うのか」の3種類だ。

そして読み手と書き手を確認する。

「ロジカル・シンキング」で学んだMECEと"So What?/Why So?"でピラミッド構造にロジックを構築する。

この本では技術者派遣業におけるベータ社という競合相手を研究するという仮定で、約30ページにわたってレポート作成例が解説されている。

いろいろな例を使うやり方もあるが、一つの例について「避けたいありがちな例」と「望ましい例」を対比しながら様々な切り口で説明する方がわかりやすい。


見てわかる文章の作り方

「見てわかる」文章の作り方のノウハウが解説されており、参考になる。

1.表題・見出しを明記する
2.記号・スペースを活用する
3.文頭で説明の切り口を明示する

記号を使った見出しのタイプ別の対比がわかりやすい

  項目型          So What?型
●意欲向上策        ●自主性重視の意欲向上策
 ・採用の段階        ・独立志向の人材の採用
 ・育成の段階        ・メンター制を活用した育成
 ・評価・報奨の段階    ・成果を個人に還元する評価・推奨
 ・独立支援の段階     ・積極的な独立支援

どちらが良いということではないが、So What?型の見出しは大変分かりやすい印象を受ける。

「文頭で説明の切り口を明示する」とは、文の出だしにMECEのキーワードなどを入れて、「市場全体を見ると....」、「競合の状況は....」、「販売チャンネルの...」というようにすると説明の切り口がわかりやすくなることだ。


プレゼンテーション作成の基本

最近はパワーポイントでプレゼンを作る事も多いが、プレゼンテーション資料を見てわかる文書にするノウハウは次の3点だ。

1.本論に入る前に導入部「はじめに」を入れる
2.目次を入れる
3.要旨を入れる

このような配慮で、プレゼンテーションがわかりやすくなること請け合いだ。


ビジネス文書で重要な3つの要件

要件1:具体的に表現する  

たとえばこんな具合だ。

「若年層セグメントでは、ライフスタイルの変化により、腕時計の需要が伸び悩んでいる」
                ↓
「若年層セグメントでは、携帯電話の普及とともに、時計機能を携帯電話に代替させて腕時計を持たない層が拡大している。」
  
●「商品Xのマーケティングの現状
 ・商品:統一感の欠如
 ・価格:割高感
 ・訴求方法:定価販売不振の悪循環
 ・販売経路:プッシュ販売の失敗」
            ↓
●「商品Xのマーケティングの現状
 ・商品:商品テイストの統一感の欠如
 ・価格:競合に比べて2割程度高い価格設定
 ・訴求方法:定価販売の不振対策の値引きが商品イメージを落として、定価販売の一掃の不振を招く。
 ・販売経路:プッシュ販売による、上顧客離れの進行」


要件2:論理的な関係を正しく表現する

エッセンスを明示する例が参考になる。

「『マイホーム・コーディネート・サービス』は、注文住宅をご希望の施主の皆様を以下のようにお手伝いします。」
                ↓
「当サービスは『品質もコストも満足できる注文住宅』をご希望の施主の皆様がベストな建築士を選べるよう、家作りのプロがきめ細かくサポートする仕組みです」


要件3:簡潔に表現する

「花粉症に悩む患者が、抗アレルギー剤に求めるものは、もはや効き目だけではない。この点に鑑みて...」
                ↓
「花粉症に悩む患者が、抗アレルギー剤に求めるものは、もはや効き目だけではない。眠気などの副作用の少なさや、1日の服用回数が少なくて済むという利便性を重視するようになってきている。この点に鑑みて...」

簡潔に表現するノウハウを紹介している。

●主語と述語をはっきりさせ、一文を短くする。

●「...によって...」、「...における」などを多用しない。

●「れる・られる」を乱用しない。基本は能動態で、むやみに受動態にしない。

●屋上屋を架するような言い回しに注意
 「設定を行う」→「設定する」
 「検討を実施する」→「検討する」

   
巻末に「セルフエディティングのためのチェックリスト」がついている。これまで公開してしまうと照屋さんにしかられそうなので紹介しないが、大変有効なチェックリストだ。

文章を書くときに大変役立つチェックリストなので、筆者もコピーして常に手許に置いている。


読んだ本しか買わない筆者が買った今年2冊目の本である。

「ロジカル・シンキング」と2冊比べたら、「ロジカル・シンキング」がより理論に厚く、「ロジカル・ライティング」は実戦的だと思う。

どちらか一冊ということであれば、筆者は「ロジカル・ライティング」をおすすめする。

是非手にとってパラパラめくってみて欲しい本である。


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Posted by yaori at 06:46│Comments(0)TrackBack(0) ビジネス | 趣味・生活に役立つ情報

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