2009年02月24日

食品の裏側 知られざる食品添加物の世界

食品の裏側―みんな大好きな食品添加物食品の裏側―みんな大好きな食品添加物
著者:安部 司
販売元:東洋経済新報社
発売日:2005-10
おすすめ度:4.0
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60万部売れたという食品添加物についてのベストセラーを読んでみた。

先週社員食堂でチャンポンを食べた。食べて気がついたが、このチャンポンのスープは、まさにこの本が書いている”白い粉の配合剤”ではないかと思えてきた。

思えば当たり前である。

たとえば筆者の家の近くにある全国的に有名な”室蘭ラーメン”の店雷文の営業時間は11時30分から16時頃までだ。夜は翌日の仕込みをしている。

20種類以上の野菜、肉、鶏ガラ、魚を入れてスープをとり、スープをとった後の残りが大量に出るので堆肥として無料で希望者に配っているほどだ。

社員食堂で、”仕込み”に何時間も費やせるはずがないので、スープのだしは出来合いのものを使うはずである。

ちなみに雷文のスープは絶品で、一言で言うと”クリアーな味”だ。町田駅から遠いので、車で来られるひとは是非食べてみてほしい。

この本では”白い粉”からとんこつスープを作る話とか、サボテンの寄生虫をすりつぶしてつくる天然色素、廃棄寸前のくず肉を大量の添加剤をまぜてミートボールに再生する話、スーパーで売っているパックサラダが殺菌剤のプールで何度も消毒されているというような話を紹介している。


味の素に慣れた舌

この本を読むまでは、ほとんど気にしていなかったが、思えば食品添加物だらけである。

実は筆者の子供のころは、しょうゆには必ず味の素を混ぜていた。刺身を食べる時にも、まずしょうゆに味の素を混ぜ、軽くかき混ぜてからわさびを足すのだ。家族や親類みんなが同じようにしょうゆに味の素を混ぜていたので、筆者も自然とそうしていた。

いつ頃から味の素を入れなくなったのかはっきりしないが、たぶん小学校高学年くらいから味の素を混ぜるのはやらなくなった。

そんなわけで味の素には子供の時から慣れているが、この本を読んでからは化学調味料の味が気になってきた。


著者の安部さんは食品添加物の専門家

著者の安部さんはかつて食品添加物の専門商社につとめて、お客の要望しだいで、食品工場の生産性が飛躍的に向上する食品添加物を売っていた”添加物のソムリエ”だった。しかし、ある日自分の家族が、安部さんの自信作のくず肉再生ミートボールをおいしいと食べるのを見て、人生が変わったという。

食品の安全性を無視して仕事をしてきた罪悪感にさいなまれ、会社を辞め、無添加明太子をつくりはじめ、食品添加物についての講演も引き受けるようになった。

食品添加物は悪か?と言われれば、法は犯していないし、消費者も味よりも見た目が良いものを求めるので、正しい経済活動だという。しかし、食品添加物がどれだけ使われているか情報公開がされていないのが問題だという。

製造している人たちも自分のところの製品は食べるなと言っているほどだそうで、野菜の漂白や合成着色料などを大量に使っているという。


食品添加物の実例

添加物商社に勤めていた時の最大の得意先は、明太子、漬物、練り物、ハム・ソーセージだったという。これらには大量の食品添加物が使われている。

●ドロドロのたらこが、添加物に一晩漬けるだけですきとおった赤ちゃんのようなつやつやな肌に生まれ変わるという。普通の明太子は20種類以上の”白い粉”でつくられているという。

添加物は一つひとつの安全性は厚生労働省がチェックしているが、20種類もの添加物を一度に食べて安全性はどうかはテストされていない。

無着色の明太子も合成着色料を2−3種類はずしているだけだという。

●”プリンハム”は豚肉を増量するために、大豆たんぱく、卵白、乳たんぱくなどのつなぎを加えて水をゼリー状にしたものを20−30%加えてつくる。

たんぱく加水分解物は肉や大豆のタンパク質を分解してつくられるアミノ酸で、うまみの成分で、子供の舌をこれに慣れさせてしまうと、おいしいと感じるようになり、味覚の崩壊が起こるという。

●塩分5%の低塩梅干しは、アルコールにつけたリサイクル梅に化学調味料、甘味料、酸味料、合成着色料、保存料(ソルビン酸)でつくった代物だ。塩だけで保存するのは7−8%が限界で、それ以下では他の保存料が必要になる。

●特売しょうゆや弁当についてくるしょうゆは、しょうゆ味調味料なことが多い。本物のしょうゆの成分は大豆、小麦、食塩だけで製造は1年以上かかるので、新式醸造しょうゆは、うまみのアミノ酸に何十種類も添加物を加えて作る。しょうゆの色はカラメルで出す。

●日本酒も米とこうじから作るのは純米酒だけで、本醸造酒は10%までのアルコール添加、普通酒はさらに糖類と酸味料の添加が許され、一番安い合成酒だとブドウ糖、みずあめなどなんでもありだ。

吟醸酒でも大吟醸でも変わらない。単にネーミングだけで、純米酒かそれ以外かに分けられる。

もっとも安部さんは純米酒しか本物の日本酒でないように書いているが、日本酒にアルコール添加は昔から味を調えるために行われてきたことだそうなので、必ずしも純米酒以外はダメということではないようだ。

実際本醸造酒は最大で10%までのアルコール添加なので、その意味では味を調えるためには必要なことのようだ。

●日本酒のつまみのさきイカも有名メーカーの製品も化学調味料がいっぱいで、成分表を見ても食品添加物のオンパレードなことがわかる。

筆者は今は食品添加物なしで昆布しょうゆで味付けした裂きイカを食べているが、後味が全然違う。

●砂糖の代わりにブドウ糖果糖液糖を使うとさわやかな甘みになるという。清涼飲料水のほとんどが使っている成分で、これを飲むとあっという間に血糖値が上がるという。


添加物表示の落とし穴

添加物は同じ種類なら一括表示で「乳化剤」とか「酸味料」、「PH調整剤」で、表示をできるだけ短くする。一種のトリックだと。

さらに食品衛生法の表示免除の制度を使う手もある。

キャリーオーバー(たとえば調味料のしょうゆに種々の添加剤が入っていても表示義務なし)、加工助剤(残っていなければ良い。たとえばパック入り野菜の洗浄剤)、ばら売りおよび店内加工、パッケージが小さいものが除外例だ。


安部さんは今、最進(さいしん)の塩という海水を平釜でコトコト炊くという製法で作っている塩に携わっているという。コストは高くなるが、ひもの会社で採用が決まったという。

安部さんは”手首の練習”で食品包装の裏を必ずチェックして、ハムになぜ大豆たんぱくや卵白が入っているのか?など素朴な疑問をもつことだと語る。

食品添加物すべてが悪ではない。ただ世の中には食品添加物を使いすぎた食品も氾濫しているので、消費者の厳しい目で「食品の裏側」を見ることが大事だと語る。


あまり知られていない食品添加物という分野がおもしろくわかる。さすが60万部のベストセラーとなっただけのことはある。是非一度手に取ることをおすすめする。


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Posted by yaori at 00:00│Comments(0)TrackBack(0)趣味・生活に役立つ情報 | ノンフィクション

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