2009年03月04日

脳を活かす勉強法 売れっ子脳科学者 茂木健一郎さんの勉強法

脳を活かす勉強法脳を活かす勉強法
著者:茂木 健一郎
販売元:PHP研究所
発売日:2007-12-04
おすすめ度:3.5
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テレビに頻繁に出演し、NHKでは「プロフェッショナル 仕事の流儀」というレギュラー番組まで持っている超売れっ子脳科学者茂木健一郎さんの勉強法。

この本は2007年12月に発売され、2008年の総合10位、ビジネスジャンルの1位になったベストセラーだ。2008年末の段階で76万部売れたというから、今年中には100万部を突破すると思う。

アマゾンでもいまだに301位にランクされている。

この本を読んだのは昨年の夏だが、あらすじを書きそびれている間に時間が経ってしまった。内容をだんだん忘れてきたので、今回あらすじを書いて自分の頭にもしっかりたたき込むことにする。

ベストセラーになるだけあって、大変おもしろいし、1時間程度で読めてしまうのも良い。中学生の息子にも読ませている。これを読んで発憤して勉強してくれれば良いのだが…。

茂木さんは東大出身だが、中学でも高校でも最初はトップクラスではなかったにもかかわらず、3年の時には学年トップになっていたという。

それは”勉強のしかた”がわかったからで、新しい知識を得ることがなによりの喜びと感じるようになったので、自分から進んで勉強したからだという。


この本の目次

脳を活かす勉強法はアマゾンのなか見検索に対応しているので、是非目次をチェックしてほしいが、この本の構成は次のようになっている。

はじめに 入学当初の僕は「できない子」だった

第1講 脳は「ドーパミン」と「強化学習」が好き

第2講 「タイムプレッシャー」が脳の持続力を鍛える

第3講 「瞬間集中法」で勉強を習慣化させる

第4講 茂木健一郎流「記憶術」

第5講 茂木健一郎の「読書のススメ」

第6講 脳のコンディションを把握しよう

第7講 自分を変える「一回性」に巡り会うには

第8講 偶有性がさらなる脳の発達を促す

おわりに 知の「オープンエンド」時代がやってきた


茂木さんの勉強法

最初の第1講から3講までで、茂木さんの勉強法の特徴を脳科学の見地から説明している。

問題に正解するたびに、脳には快楽を生み出す脳内物質のドーパミンが分泌される。難しい問題・課題に取り組み、それを解決することによって、問題を解く(勉強すること)が快楽となり、これを繰り返すことにより強化学習ができる。さらに自分で制限時間を決めて、脳にさらにタイムプレッシャーを与えることによって、脳の持続力を鍛える。

そして最後は茂木さんの「鶴の恩返し」勉強法だ。

勉強のスピードを上げながら、すこしづつ分量を増やし、他人が何を言っても聞こえないような没頭して勉強に集中する状態をつくり、瞬時にこの状態に入れるように訓練する。そうすると細切れの時間でも勉強できるようになる。一心不乱に機を織る鶴の姿から「鶴の恩返し」勉強法と名付けたのだという。


茂木流記憶術

茂木さんは高校(東京学芸大附属高校)時代、試験の前には教科書を全文暗記していたという。記憶は脳の大脳皮質にある側頭葉の側頭連合野に蓄えられるが、ここは五感などを司るところなので、耳で聞き、目で見て、声に出して読み、手で書き、様々なモデリティ(五感、第六感)を使って記憶に定着させるのだと。

記憶には短期記憶と長期記憶があり、長期記憶にとどめるためには、海馬(かいば)も活性化させる必要がある。

そのためには見ながら書き写してはダメで、一度原文を見て記憶してから、それを書き写し、これを何度も何度も繰り返すのだと。これが脳の記憶回路を利用して書くということだ。

横道にそれるが、このブログも茂木さんの言われる「モデリティ記憶」で書いているようなものだ。

ブログに書くと、本の内容を記憶に刻み込むことができ、他人にもすらすら説明できる。この他人に説明することが重要で、これによってさらに深く記憶に刻み込めるので、本を「読破」したことになる。

備忘録としてのブログの活用法は「ウェブ進化論」にも書かれていたので、実践している人も多いと思うが、読んだ本のまとめ・要点をブログに書いて覚えれば、理解度が飛躍的に高まること請け合いだ。

勉強する時間帯も重要で、一夜漬けではあまり効果は上がらないので、脳のゴールデンタイムである朝にすることを茂木さんは勧める。

一日の記憶の整理は「レム睡眠」(Rapid Eye Movementの略)中に行われるので、勉強したことをしっかり記憶するためには、しっかり睡眠をとる必要がある。

茂木さんは起きてからの朝の三時間が貴重な仕事の時間だと語っている。


茂木流読書のススメ

文章能力と国語力は勉強や仕事の基本で、これらを鍛えるには読書が良い。茂木さん自身、小学校3年生からSFものや探偵ものを中心に年間100〜200冊読んでいたという。

読書は脳をクールダウンさせる貴重な時間ともなる。

インターネットの普及とともに、大学が独占していた知の情報は、インターネットで公開されるようになってきている。これからは大学に行かなくともインターネットの情報収集でノーベル賞を取る人がいずれ出てくるだろうと。

日本でもインターネットやポッドキャストで、講義を公開している大学もあるが、アメリカの大学、特にインターネットビジネスのメッカ、Stanford大学の授業公開はすごい。

Podcastの検索画面で、"Stanford University"と打ち込んで検索すると、150の講義が表示され、ほとんどが無料で視聴できる。

Podcast Standford University





その気があれば、大学に行かなくとも相当高度な授業を受けられる時代なのだ。

ただし独学で自己満足していては意味がないので、本居宣長と賀茂真淵の「松坂の一夜」というエピソードを紹介している。独学で古事記を研究していた本居宣長が、賀茂真淵に出会ったことで、一生の研究の方向性を決めたという。これが「松坂の一夜」だ。

人とのかかわりを大切にしつつ、重要な情報の取捨選択を行える人がこれからの時代に輝く人だ。

茂木さんは東大理学部と法学部両方を卒業しているが、アメリカでは理系の大学を出たエンジニアでも文系の大学院や弁護士資格を目指す。日本では大学の四年間の勉強だけで、文系理系と人を区分するが、これはナンセンスな話だと茂木さんは語る。


脳のコンディションを把握

茂木さんは当初現代国語が苦手だったという。

現代国語では自分なりの解釈を展開していたが、現代国語の問題が求めていることは、オリジナルで奇抜な発想でなく、文章に即してあっさりと無機的に答えを返すことが求められているのだと気がついてからは得意科目になったという。

正しい勉強法とは実にシンプルだ。自分の欠点、弱点、ミスを直視でき、その原因を自分自身で論理的に突き止め修正できるかどうかが勝負なのだ。

茂木さんが話を聞いた完全無農薬のアイガモ農法を開発した古野隆雄さんも、アイガモを思いつくまで何度も失敗を繰り返しているという。逆境の時に何をやるか、失敗した経験を次に生かせるかで決まってくる。


自分を変える一回性に出会うには

「一回性」とはその後の人生を変えてしまう出来事を経験することだ。茂木さんはケンブリッジのトリニティカレッジに留学していた時に、貴重な経験をしたという。

トリニティカレッジでは様々な分野の教授が食事の時に集まっては活発に議論しているという。全く違った分野の教授達が自由に議論をしてくる環境をみて、こういう環境があるからノーベル賞受賞者を31人も出せるのだと悟った。

ここには「変人であることの自由」=自分の好きなことをとことん追求することが許される自由があるのだ。

たとえばアップルのスティーブン・ジョッブスも、マイクロソフトのビル・ゲイツもいわゆる変人であることで知られているという。日本では変人を平均人にしてしまおうとする周りの圧力があるが、トリニティカレッジでは正反対だったという。

ちなみに茂木さんの高校には、卒業文集に「ラテン民族における栄光の概念について」というエッセーを書いた同級生がいたと。

トリニティカレッジのような環境に身を置くことが必要なのは、人間にはミラーニューロンという1996年に発見された共感回路が備わっているからだという。

他人がある行動をしていると、自分もそのことをしていると思いこむ様な活動のことで、テレビでグルメ番組を見ていると、おなかが空いてくることもその例で、相手の感情や心を推測する力の源泉となっている。

競走馬も同じようなことが起こり、10年連続最多勝を記録している競馬のJRAの調教師藤澤和雄さんに話を聞いた時も、強い馬と弱い馬を一緒に走らせるというそれまでの競馬界のセオリーに反した調教で成功したという。弱い馬は強い馬に追いつこうとし、強い馬は燃え尽き症候群がなくなった。

藤澤さんのモットーは「一勝よりも一生、一つ勝つよりも一生続ける」というものだ。

人間も馬も良い環境に自分を置くことが重要なのだ。


偶有性がさらなる脳の発達を促す

偶有性(contingency)とは、予想できることと予想できないことが混在している状態だという。

予想できることと予想できないことが混ざっているから脳は楽しいと受け取る。

できるかできないかわからない難しいことに成功すると、喜びもひとしおとなる。たとえば難しい入学試験に受かるようなことだ。


知の「オープンエンド」の時代

茂木さんは学問の本質は、「知のオープンエンド性の楽しみを知ることだ」と考えているという。

学問はどんなに学んでも必ず次がある。終わりがない、これがオープンエンドだ。

プラントンは弟子に「オリンピック競技の勝者には賞品が与えられるのに、哲学者には賞品が与えられないのはなぜか」と聞かれ、「賞品とは、その人の業績に比較して、より価値のあるものでないと意味がない。しかし、知識を得る以上に価値があるものなど、この世には存在しない。だから、知恵を得た人には、あげるべきものがないのだ」と答えたという。

江戸時代に本居宣長の元に集まった近江商人たちが、「学問ほどの快楽はないということがよくわかりました」と語ったという話を小林秀雄さんが紹介している。

学習は脳を喜ばせるための最大の快楽なのだと。脳が思うままに教科学習の回路を暴走させろと茂木さんは結んでいる。


わかりやすく、脳科学者だけあって、記憶に残る話が満載だ。ベストセラーを続けている理由がわかる。是非一度手にとってみることをおすすめする。


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Posted by yaori at 00:10│Comments(0)TrackBack(0) 茂木健一郎 | 勉強法

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