2009年03月26日

竹中式マトリクス勉強法 No frills(実質本位)な勉強法

竹中式マトリクス勉強法竹中式マトリクス勉強法
著者:竹中 平蔵
販売元:幻冬舎
発売日:2008-10
おすすめ度:3.5
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最近ではテレビの日経新聞のコマーシャルにも白衣で登場している竹中平蔵元金融担当大臣の勉強法。

ヒットを次々飛ばしている幻冬舎の本だ。

最後のクレジットの部分で、竹中さんが幻冬舎の編集者鈴木恵美さんの名前を謝辞に挙げている。筆者も一度鈴木さんと仕事でお会いしたことがあるが、幻冬舎の美人辣腕編集者だ。

實は筆者はこの本を読むのはあまり気が進まなかった。会社の友人が昨年末に読んだと言っていたので、あまり期待しないで図書館でリクエストして読んでみた。

気が進まなかった理由は、竹中氏が小泉元首相のブレーンとして小泉改革を推し進め、よくわからない理由でUFJ銀行を目の敵にして東京三菱銀行と強引に合併させたりしたので、元UFJ銀行に友人がいる筆者としては疑問と反感を持っていた。

そもそも郵政民営化は当初から優先度が低いと思っていたが、これは今でも変わらない考えだ。

しかしこの本を読んで竹中さんに対する認識が変わった。

高級マンションに住んでいる竹中さんの愛車はサニーの11年物というのはできすぎだが、価値観は同じではないかと感じた。また勉強の方法論も重なる部分が多い。

アマゾンではこの本の評価が分かれているようだが、その理由もわかるような気がする。

ひとことで言うと、いわゆる"No frills"(フリル(飾り)のない=実質本位な本だ。

ベストセラーを連発している勝間さんとかレバレッジ勉強法の本田直之さんなどの勉強法の本とは異なり、奇抜な話はない。

この本を読んで、目からウロコとか、新しい勉強法を学んだという人は少ないだろう。だからアマゾンでも低評価の人がいるが、この本で書かれている勉強法を実践している人にとっては、なるほどと同感できる部分が多いと思う。


この本の目次

目次になんと12ページも費やしている。目次だけを見てもこの本の内容が推測できる優れた目次だ。この点でも筆者は好感を持ったが、目次を全部紹介すると長くなりすぎるので、章題と項目だけ紹介しておく。

それぞれの項目が2−4くらいのサブタイトルから構成されており、面白いサブタイトルが並んでいるので、サンプル的に第2章の3.だけ紹介しておく。

第1章 マトリクス勉強法とは
 1. あなたは何を勉強したいのか
 2. 成績表とは関係ない「頭の良さ」がある
 3.「勉強したいこと」が見つかれば、成功したも同然
 4. 努力できることが才能である

第2章 竹中式勉強法9つの極意
 1. 目標は常に2つ持て
 2. 目標から締め切りを逆算しろ
 3. 何事も基本がすべて
   ・阪神が巨人に勝てなかった理由
   ・小泉元総理のワンフレーズはなぜ強い
   ・複式簿記が分かれば、日本経済が分かる
   ・銀行員になってから簿記3級に挑戦

 4. 身近によきライバルを持て
 5. メモを持ち歩け
 6. 時間は自分でつくるもの
 7. バカは何人寄ってもバカである(人と群れるな)
 8. 自分のためにおおいに金を使おう
 9. 健康でなければ勉強はできない(よく寝よ)

第3章 竹中式記憶勉強法5つの極意
 1. 飽きるほど暗記と基礎を繰り返せ
 2. 人より早く始めた者が必ず勝つ
 3. 資格試験は実によくできている
 4. 日本は楽な国だと思う
 5. 人任せにせず、必ず自分でまとめよ

第4章 竹中式英語勉強法7つの極意
 1. 完璧な英語を話すのは、そもそも無理
 2. 暗唱で英語を頭に詰め込む
 3. 分からない単語は必ず辞書を引け
 4. 「英語のうまい日本人」の英語を真似る
 5. 進んで試験を受けよ
 6. 一番前の席で聞いて、一番最初に話せ
 7. 質問しまくる子どもに学べ

第5章 竹中式経済勉強法9つの極意
 1. 生きることは経済、間口は広い
 2. 先は読めない、天井は高いぞ
 3. 耳学問と読み書き、一挙両得の方法
 4. 東京についての記事を読み漁る
 5. 逆転の発想で考えよう
 6. 庭師の発想で考える
 7. 経済は連立方程式で予測する
 8. 情報源は本家本元をたどれ
 9. 自分のこだわりポイントを持とう

第6章 世界に通じる勉強5つの極意
 1. 聞き上手、ほめ上手になりなさい
 2. いつでもどこでも「頭の体操」
 3. できない経験は進んでしよう!
 4. 「誰と働くか」にこだわろう
 5. 誰とでも仲良くする必要はない


竹中さんの経歴

竹中さんは和歌山県出身。商店街でお店を持っている平凡な家庭の次男だという。公立の中学、高校と進学し、高校の先生から”竹中、世の中をよくしたいと思うなら、経済学を勉強しろ”と言われたことがきっかけで、一橋大学経済学部に進学する。

筆者も記憶があるが、当時は近経(近代経済学)の一橋、マル経(マルクス経済学)の東大と言われた時代で、日本の近代経済学は都留重人教授がいた一橋がトップだった。

卒業後は日本開発銀行に入行し、富山支店の総務などの経験もある。ハーバードなどに留学し、大蔵省財政金融研究所、大阪大学経済学部助教授、ハーバード大学客員準教授、慶應大学教授を歴任し、小泉政権では経済財政対策担当大臣、金融担当大臣、郵政民営化担当大臣を歴任した。

現在は慶應大学グルーバルセキュリティ研究所長、日本経済研究センター特別顧問、アカデミーヒルズ理事長などを兼務している。


マトリクス勉強法

竹中さんがいうマトリクス勉強法とは、次の図に示されている通りで、縦軸に武器としての勉強と、人と人を結ぶ勉強、横軸は天井がある・なしで区分する。

竹中式勉強マトリクス



ちなみにこの本にならってつくった筆者のマトリクスは次のようなものになる。

筆者のケース



このマトリクスで整理して、勉強の優先順位をつけて中・長期勉強計画を立てるのだという。


努力できることが、才能である

「努力できることが、才能である」とは、松井秀喜選手がお父さんから教わった座右の銘だそうだが、まさに松井とかイチローの日々の努力を長年にわたってやりとげられる非凡な力が伺える言葉だ。

日本語では”頑張れ”とよく言うが、英語では"You can do it!"だという。竹中さんは瀬古選手がボストンマラソンで優勝したときに、沿道の観客が瀬古選手の応援にこう言っていたことを聞き、初めて頑張れが"You can do it!"だと知ったという。


目標から締め切りを逆算する

竹中さんは目標からスタートして、いつまでに何をやるという"To do list"をつくって、仕事をしろと語る。

竹中さんは働きながら100日かけて最初の本を書いたそうだが、単行本は原稿用紙で300枚前後なので、1日3枚書けば、100日で1冊になると逆算し、毎日3ページづつ書いて「研究開発と設備投資の経済学」を書いたという。

研究開発と設備投資の経済学―経済活力を支えるメカニズム
著者:竹中 平蔵
販売元:東洋経済新報社
発売日:1984-07
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「本を読む時は、初めから終わりへと読む。ビジネスの経営はそれとは逆だ。終わりから始めて、そこへ到達するためにできる限りのことをするのだ。」という言葉は、ユニクロの柳井さんが「私の最高の教科書」と呼ぶハロルド・ジェニーンさんの言葉だが、竹中さんの言うこともまさに同じだ。

プロフェッショナルマネジャープロフェッショナルマネジャー
著者:ハロルド・ジェニーン
販売元:プレジデント社
発売日:2004-05-15
おすすめ度:4.0
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スケジュールは月間手帳で管理するとか、簿記3級を取ったとか、常にメモを持ち歩く、本も資料もどんどん「捨てる」ことなど、筆者も同感な事ばかりだ。

特に工程表をつくって、いろいろな仕事、登場人物をコーディネイトするスケジューリング能力は、自分の最も弱い部分だと自覚しているので、筆者は重要なプロジェクトの場合は、専用ソフトのマイクロソフト・プロジェクトを自費で買ってスケジュール管理している。

このソフトは普通だと約9万円と高いので、今は大学生になった息子に数年前にアカデミック版を買わせたものだ。

Microsoft Office Project Standard 2007 アカデミックMicrosoft Office Project Standard 2007 アカデミック
販売元:マイクロソフト
発売日:2007-01-30
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Project Standard 2003Project Standard 2003
販売元:マイクロソフト
発売日:2003-10-24
おすすめ度:4.0
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アメリカではスケジュール管理というと、このマイクロソフト・プロジェクトを使うビジネスマンが多い。その影響もあって、筆者も使っているものだ。


竹中式記憶勉強法

竹中さんは数学だって暗記科目だという。問題集を暗記してしまうのだと。筆者も同感だ。

筆者は高校1年になった時に、「数学1,000題」という様な参考書を買い、ほぼ毎日1題づつやっていった。

問題を暗記というよりは、解き方のパターンを憶えるという感じだが、おかげで大学入試の面積の難問をタンジェントアルファ=Xと置く方程式で完答した。

「数学1,000題」をやっていたおかげで、タンジェントアルファ=Xと置くという解き方がひらめいたものだ。

二度と同じ問題は解けないが、数学力のピークを高校3年生に持ってこれたことは幸いだった。

竹中さんは人より早く始めた者が必ず勝つと語る。スタートダッシュで差をつけろと。これも同感だ。

筆者は高校受験の時に内申書が良くなかったため苦労したので、高校1年の秋から四谷の駿台の夜間講座で数学と国語などを受講していた。誰にも言わなかったが、高校1年のクラスで予備校など通っていたのは筆者だけだったと思う。

サッカー部だったので、週五日のクラブ活動が終わったあと週1回小田急で新宿まで行き、四谷の駿台で名物講師の一番遅い時間の授業を2コマほど受けていた。

竹中さんは中学3年の時に英語や数学は高校3年分の勉強を終わらせていたという。筆者の場合、そこまではいかないが、いずれにせよスタートダッシュが重要だという考えに同感だ。


日本は「学歴社会」ではなく「入試歴社会」

竹中さんは日本は学歴社会ではなく、入試歴社会だという。どの大学でどういった教育を受けたか、成績はどうだったかは問わず、もっぱらどの入試に受かったかを重視する。

企業はOJT(on the job training)を重視していたので、素直な体育会系学生が好まれていたのだ。


耳学問と読み書きして学んだことの違い

政治家には耳学問の人が多いが、耳学問の知識は、ちょっと突っ込まれるとしどろもどろになってしまう。やはり問題解決の具体案などは、自分で書いてまとめて理解するしかないのだと痛烈に政治家を皮肉っている。

マスコミにも評論家にもこのタイプの人は多いと。

政治家や評論家はよく「たとえ話」をするが、真の知識人は「たとえ話」に頼らない。

「たとえ話」は煎じ詰めると、まるでロジックが通らないデタラメがほとんどだと。

ちゃんと自分で理解ができていないから、たとえ話に逃げるのだ。


竹中式英語勉強法 日本人は「喋れないけど、書ける」は大ウソ

竹中さんに言わせれば、日本人には一般的に書く力も読む力もないのだと。英語を読む量が圧倒的に不足しているからだ。

竹中さんはケネディ大統領やキング牧師の演説を暗記して、英語脳を鍛えたという。音読も良い。竹中さんはいまだに飛行機の中ではブツブツ音読しているのだと。

これについても全く同感だ。筆者はTOEIC945点だが、25年間くらいタイム誌を毎週読んでいたことが英語力をつけるのに大いに役だった。

最近は読むのが面倒なので、もっぱらオーディオブックで読んで(聞いて)いるが、グリーンスパン氏の本など、あまりに英語が格調高すぎて、オーディオブックで聞いていても分からない本はオーディオブックだけでなく、本も読んでいる。

The Age of Turbulence: Adventures in a New WorldThe Age of Turbulence: Adventures in a New World
著者:Alan Greenspan
販売元:Penguin USA (P)
発売日:2008-09-09
おすすめ度:5.0
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竹中さんは、わからない単語は必ず辞書を引けと言っているが、ボキャブラリーを増やすには英語をたくさん読み、新しい単語を一々覚えるしかない。

筆者も25年間タイム誌を毎週読んでいたが、辞書を引かないで1ページ全部読めたことは結局なかった。筆者のやり方は、分からない単語はアンダーラインを引いて、あとで辞書を引くという方式だが、辞書を引くたびにタイム誌の適切な単語選択に感心したものだ。

竹中さんが推薦するのは「英語のうまい日本人」の英語を真似ることだ。竹中さんがハーバードに留学していたときは、当時ハーバードの客員教授だった小和田恒(ひさし)さん(現国連大使。雅子妃の父君)、の英語を参考にしていたという。

外交とは何か外交とは何か
著者:小和田 恒
販売元:日本放送出版協会
発売日:1996-07
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竹中式経済勉強法 「庭師と植物学者は違う」

「庭師と植物学者は違う」というのはポール・クルーグマン教授の言葉だそうだが、優れた経済学者が優れた政策ができる保証はどこにもない。経済学者は政策実行に関わったことがない人たちが政策の議論をしているからだ。

竹中バッシングの時に、批判的な議論の中にも参考になる意見があると思って、耳を傾けたが、あるのは具体的代案のない批判ばかりで役立つ議論はほとんど皆無だったという。

竹中さんは長年批判され続けた結果、批判には3タイプあるという結論にたどり着いたという。そのいずれも対案のない批判のための批判であると。

一つは「コントラリアン型」で人とは常に反対の意見を言う人。次は「永遠の真理型」で、「長期的な視野に立て」とか言うが、”だからどうする”がない人、最後は「ラベルを貼る」型で、決めつけタイプ、「竹中は市場原理主義者だ」とかいったものだ。レッテルを貼って、問答無用とする。


竹中さんの情報ソース

竹中さんが進める情報ソースの一つがNational Bureau of Economic Research(NBER)の報告書だ。精鋭の経済学者による世界最新の経済レポートで、現在はインターネットでダウンロードできるという。

ハーバード大学、スタンフォード大学などの講義も参考になるという。

iTunesのPodcastで"Standord University"で検索すると150くらいの講義が表示されるので、一度試して欲しい。

Podcast Standford University






竹中式世界に通じる勉強

聞き上手になれと竹中氏は言う。小泉元総理の聞く技術は印象的だったという。小泉さんは大事な話は相づちも打たずに押し黙り、目をつむって聞くクセがあったという。

それだけ神経を集中させて聞いていたのだと。

最後まで聞いて、「それはつまり、こういう意味ですか」と念を押して、「ありがとうございました」と言って引き下がり、一人になって考えて最後は必ず一人で決断するという。

このステップがあったから熟慮の上の判断ができたのだと。


最後に竹中さんは、友人である元アリスの谷村新司さんの「鳥は向かい風の中、飛び立つ」という言葉と、「結局最後は志で決まる」ということを語っている。


「闘う経済学者」というイメージの"sharp-tongued"な部分もあるが、勉強法としてはオーソドックスで、誰でも実行できるものだ。

筆者も実践している勉強法が多く含まれているので、敬遠せずに一読をおすすめする。


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Posted by yaori at 23:25│Comments(0)TrackBack(0) 趣味・生活に役立つ情報 | 勉強法

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