2009年04月29日

「パル判決書」の真実 渡部昇一氏のパル判決のまとめ

『パル判決書』の真実『パル判決書』の真実
著者:渡部 昇一
販売元:PHP研究所
発売日:2008-08-23
おすすめ度:4.0
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専門の英文法以外にも様々な分野の著書を書いている渡部昇一上智大学名誉教授の「パル判決書」の解説書。

渡部氏は昨年「日本は侵略国家であったのか」という田母神前航空幕僚長の論文を「真の近現代史観」懸賞論文で最優秀賞に選んだ審査委員長をつとめた。

日本は「侵略国家」ではない!日本は「侵略国家」ではない!
著者:渡部 昇一
販売元:海竜社
発売日:2008-12
おすすめ度:3.0
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渡部さんが「石破防衛大臣の国賊行為を叱る」という論文を発表して、石破氏と論戦になったことを石破氏がブログで紹介している

東京裁判の時に、判事中で唯一の国際法学者だったインド人のラダ・ビノッド・パル判事の出した被告全員無罪の判決の歴史観を見直している。

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出展:Wikipedia

東京裁判を命じたマッカーサー自身が、解任された後の米国上院公聴会で、次のように語った。

"Their purpose, therefore, in going to war was largely dictated by security"

つまり、「日本人が戦争に入った主な理由は自衛上やむにやまれぬものであった」と証言したのだ。

復讐の色が濃いニュルンベルグ裁判は東京裁判より半年前の1945年11月に始まり、1946年10月に結審した。そのニュルンベルグ裁判を日本にも持ち込もうというもので、東京裁判は1946年5月から審理が始まり1948年11月に判決が言い渡された。

渡部さんは、「日本は侵略国家であり、悪い国だ」という東京裁判の決めつけが戦後日本を悩ませてきたが、日本を悪い国だと断罪したものは東京裁判以外にはないと語る。

しかし東京裁判を命じたマッカーサーの「極東国際軍事裁判所条例」は、当のマッカーサー自身が解任されて帰国後、日本はやむにやまれず戦争を始めたと証言していることから、その寄り立つ基盤を失っている。

渡部さんは、「趣旨としては東條英機の宣誓供述書と同じようなことをマッカーサーは述べたのである」と語っている。

このブログで以前紹介した小林よしのりの「いわゆるA級戦犯」という本でも、東京裁判の欺瞞性を指摘しているが、渡部さんも東京裁判では少数意見だったパル判決書のみが法学的に意味あるものだと指摘する。

いわゆるA級戦犯―ゴー宣SPECIALいわゆるA級戦犯―ゴー宣SPECIAL
著者:小林 よしのり
販売元:幻冬舎
発売日:2006-06
おすすめ度:4.5
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日本はナチスと同様に歴代内閣が共同謀議してアジアを侵略し、人道に反する罪を犯したというのが東京裁判の検事の立件理由で、その証拠として昭和2年の「田中義一内閣の田中上奏文」が挙げられた。

ところが、この「田中上奏文」は中国語や英語で書かれた偽物で、当時広く配布されていた。東京裁判でも結局証拠には採用されなかった。渡部さんによると、今日ではコミンテルンのつくった偽文書だとわかっているとのことだ。(コミンテルンの仕業ということまで本当にわかっているのかは筆者には疑問に思える)

TanakaMemorial





出展: Wikipedia

パル判決の中で最も有名な部分は次のところだ。

「今次戦争についていえば、真珠湾攻撃の直前に米国国務省が日本政府に送ったものとおなじような通牒を受け取った場合、モナコ王国やルクセンブルグ大公国でさえも合衆国にたいして矛を取って起ちあがったであろう」

そして次に続くのが次の文だ。

「ルーズベルト大統領とハル国務長官は右の覚書にふくまれた提案を日本側が受諾しないものと思いこんでいたので、日本側の回答を待つことなく、右の文書が日本側代表に手交されたその翌日、米国の前哨地帯の諸指揮官にたいして戦争の警告を発することを認可したのであった」

当時はもちろん知る由もないが、アメリカは日本の外交暗号を解読して、その情報を「マジック」と呼んでいたことがわかっている。

近々紹介する多賀敏行さんの「”エコノミック・アニマル”は褒め言葉だった」のなかで、「暗号電報誤読の悲劇」として「マジック」に意図的とも思える誤訳・曲訳があったことが紹介されている。

いずれにせよ、ルーズベルトらは、日本が追いつめられて戦争に突入することを予想していたことは間違いない。

「エコノミック・アニマル」は褒め言葉だった―誤解と誤訳の近現代史 (新潮新書)「エコノミック・アニマル」は褒め言葉だった―誤解と誤訳の近現代史 (新潮新書)
著者:多賀 敏行
販売元:新潮社
発売日:2004-09
おすすめ度:4.5
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東京裁判の欺瞞性を非難しても、いまさら歴史が変わるわけではないが、筆者などの年代がかつて教わった歴史が、その後の暗号解読や歴史的文書の公開により、かなり見方が変わっているのも事実だ。

石破さんとの論争などを見ると、渡部さんがパル裁判を客観的に語るのに適当な人物かどうかは、やや疑問もあるが、難解とされるパル判決を読みやすく整理しているので、パル判決の入門書としては良いと思う。

マンガ入りでわかりやすく理解したいなら、小林よしのりの「パール真論」か「いわゆるA級戦犯」、もっと詳しく理解したいときの入門書には渡部さんのこの本が良いと思う。

ゴーマニズム宣言SPECIAL パール真論ゴーマニズム宣言SPECIAL パール真論
著者:小林 よしのり
販売元:小学館
発売日:2008-06-23
おすすめ度:4.5
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もちろん原文翻訳を読みたいという人には、上下2巻の翻訳がある。

共同研究 パル判決書 (上) (講談社学術文庫 (623))共同研究 パル判決書 (上) (講談社学術文庫 (623))
著者:東京裁判研究会
販売元:講談社
発売日:1984-01
おすすめ度:4.0
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東京裁判に関しては多くの本が出されている。

常識として一度手にとって見ることをおすすめする。


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Posted by yaori at 01:57│Comments(0) 歴史