2009年04月24日

春琴抄 谷崎潤一郎の名作をオーディオブックで聴く

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筆者は二宮金次郎ばりに(?)「歩きながら本を読む」ことをモットーにしており、毎朝駅まで30分ほど散歩がてら歩いていく間と、満員電車で本が読めない時、最寄り駅から会社まで歩いていく間にiPodで小説などの朗読を聴いている。

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報徳二宮神社(神奈川県二宮市)の二宮尊徳像  出典:Wikipedia

英語のオーディオブックも聴いているが、最近は日本の作品に凝っている。

最近聴いたのが谷崎潤一郎の名作の一つ「春琴抄」だ。

耽美主義と呼ばれる谷崎潤一郎の、純愛というよりは、異常なラブストーリーだが楽しめる。

山口百恵、三浦友和主演で何度目かの映画にもなっている。

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小説のあらすじは詳しく紹介しないのが、筆者のポリシーだが、この小説の中で特に興味を惹かれたのが、江戸時代末期から明治にかけて町人の間にはやったという小鳥道楽だ。

盲目の美人三味線師匠春琴は、小鳥道楽でうぐいす、ひばりを特に愛したという。

春琴のうぐいす道楽についての原文は次の通りだ。

もっとも今日と昔とでは啼きごえの聴き分け方や翫賞法(がんしょうほう)が幾分異なるらしいけれども、先ず今日の例を以て話せば、ケッキョ、ケッキョ、ケッキョケッキョと啼くいわゆる谷渡りの声、ホーキーベカコンと啼くいわゆる高音(こうね)、ホーホケキョウの地声の外にこの二種類の啼き方をするのが値打ちなのである。

これは薮鶯(やぶうぐいす)では啼かない。たまたま啼いてもホーキーベカコンと啼かずにホーキーベチャと啼くから汚い。ベカコンと、コンという金属性の美しい余韻を曳くようにするには、ある人為的な手段を以て養成する。それは藪鶯の雛(ひな)を、まだ尾の生えぬ時に生け捕って来て、別な師匠の鶯に附けて稽古させるのである。

「鳥・鳥・鳥そのエッセイと」から引用。

こうして読むとあまり頭にスッと入らないかもしれないが、これを朗読で聴くと、なんともいわれぬ不思議な話に聞こえる。

筆者は毎朝鶴見川沿いに駅まで歩いているので、時々うぐいすの鳴き声を聞くことがあるが、うぐいすが「ホーキーベカコン」とも「ホーキーベチャ」とも鳴くのを聞いたことがない。

思わず図書館で「日本の野鳥」というCDを借りて聞いてみたが、「ケッキョ、ケッキョ」と「ホーホケキョウ」という声は入っていても「ホーキーベカコン」という声は入っていない。

なんとも不思議な話だが、谷崎潤一郎もいろいろ調べて書いているのだろうから、たぶん観賞用に育てられたうぐいすは、そのように鳴くのだと思う。

YouTubeにもうぐいすの鳴く声が収録されているが、これは谷崎の言う薮鶯(やぶうぐいす)なので、ホーホケキョウと鳴いている。




本だとなかなか日本の小説の名作を読もうという気にならないが、オーディオブックなら気軽に聞けて楽しめる。

春琴抄はもちろん結構シリアスな話だが、「ホーキーベカコン」の話は楽しめた。

日本の小説でオーディオブックになっているものも結構あるので、是非オーディオブックを聞いてみることをおすすめする。


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Posted by yaori at 12:19│Comments(1)TrackBack(0) 小説 | オーディオブック

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この記事へのコメント
初めまして。
「春琴抄」を映像で見たのは、山口百恵と三浦友和の映画が最初でした。谷崎潤一郎原作の古典文学という事で、原作を読んでみたのですが、春琴と佐助がどのような人物だったかが淡々と語られているだけなので、これをよくあれだけの濃厚なラブストーリーに演出したものだと、思わず唸ってしまいます(ウーン!)。
春琴の顔に熱湯を掛けて大火傷を負わせた犯人は、映画では春琴に袖にされた弟子らしい事にされてましたが、ただこ奴が一番クサいというだけで、実際には容疑者は他にも大勢いたようですね。何しろ、美貌・才能・高ビーな態度と、春琴は多くの人々に妬みや恨みを買っていたらしいですから、彼女の周りはクサい奴でいっぱいという訳です。
そんな毒の強い性格の春琴に献身的、それこそ盲目的に尽くす佐助って、典型的な「蓼食う虫型」なんでしょうかしら?(例:オバQ&U子)
それでも、百恵ちゃんの演じた春琴にはまだ可愛いところがありましたね。普段は佐助に高ビーな態度を取っていても、何か自分に危険が及ぶと「タスケ!サスケテー!!」の人でしたから(笑)。

昔は愛玩用に雲雀や鶯を飼っていたんですね。小鳥は姿も声も癒されますが、鶯がそのような鳴き方をするのは初めて聞きました。
Posted by A-chan at 2010年12月14日 01:03